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部内限り on Security Trade Control クロノロジー Vol.13, No.3 2007.07.09 C ISTEC 発行:財団法人 安全保障貿易情報センター 〒105-0001 東 京 都 港 区 虎 ノ 門 1-1-21 TEL:03-3593-1149 新 虎 ノ 門 実 業 会 館 4F FAX:03-3593-1642 情報サービス・研修部 http://www.cistec.or.jp/ 2007年6月の輸出管理関連主要情報 1.中華人民共和国 ............................................................ 2 2.台湾(中華民国) .......................................................... 5 3.朝鮮民主主義人民共和国 .................................................... 6 4.インド ................................................................... 10 5.パキスタン・イスラム共和国 ............................................... 13 6.ロシア連邦 ............................................................... 15 7.イラン・イスラム共和国 ................................................... 20 8.イスラエル国 ............................................................. 29 9.シリア・アラブ共和国 ..................................................... 31 10.その他 ................................................................. 32 出典略号一覧表 ............................................................... 49 - 1 - 1.中華人民共和国 (1)輸出管理関連一般 6.18: 米国政府は、米国の輸出企業に対し、軍事開発につながる可能性のあるハ イテク製品を中国に輸出するに際して政府の許可を求める新しい法律を公布 した。この法律によれば、20 カテゴリーのリストに該当する品目を中国のエ ンドユーザーに輸出する場合、商務省のライセンスを取得する必要がある。 (FB 6.18) 6.19: 中国外務省の秦剛報道官は 19 日、両国間の貿易不均衡是正のため、米国は 中国に対するハイテク製品の輸出規制を緩和すべきである、と表明した。新 たな米国の法律によれば、中国の「信頼できる顧客」に対しては規制を緩和 する一方、米国は軍用のハイテク製品の輸出規制を強化することとした。 (XNA 6.19) (2)通常兵器関連 6. 4: Jane s Defence Weekly の最近の報告によれば、スリランカは4月に中国 の Poly Technology(中国保利科技有限公司)と、弾薬、重砲類を陸軍及び 海軍用に輸入する 3,760 万ドルの秘密の契約を行った。また、China National Electronics Import Export Corp(中国電子進出口総公司)も、同国に JY 11 三 次 元 レ ー ダ を 売 却 す る 5 百 万 ド ル の 契 約 を 行 っ て い る 。( Tamil Net ) (MISC 6.4) 6. 5: 米国の秘密を中国に送ろうとして有罪となった、中国系米国人技術者 Chi Mak の兄弟 Tai Mak とその妻 Fuk Heung Li 及び息子の Billy Yui Mak はカリフォ ルニア州 Santa Ana 地区裁判所において、米国の輸出管理法に違反したとし て有罪を宣告された。Chi Mak は米海軍の技術情報を中国に送ろうとした、 として先月有罪となっている。 6.11: (UPI 6.5) カリフォルニア州南部 Downey 在住の Rebecca Laiwah Chiu(63)は5日、 中国のエージェント活動をしたとして有罪を宣告された。Chiu は、機微な軍 事技術を不法に中国に輸出しようとした事件に関わった家族の、5人目で最 後の被告。既に有罪判決を受けたのは、① Chi Mak(66)、Downey 在住、Chiu の夫、軍事企業 Power Paragon の元技術者で事件の中心人物、② Chi Mak の 弟の Tai Mak(57)、Alhambra 在住、③ Tai Mak の妻の Fuk Heung Li(49)、 Alhambra 在住、④ Tai Mak の息子の Yui Billy Mak(27)Alhambra 在住。 (ICE 6.11) 6.13: 米国のローレス国防副次官は 13 日、下院軍事委員会の公聴会で、中国は今 年の軍事予算を 450 億ドルと発表したが、米国防総省は中国の実質国防費を 1,250 億ドルと見積もっている、と述べた。そして、中国政府の軍事的意図 について、核兵器を含め透明性を向上させるよう要求した。 - 2 - (GSN 6.14) 6.28: 中国の(300 万人の)人民解放軍が、英国企業の次世代デジタル無線シス テムを採用する問題が宙に浮いた状態となっている。英国の Software Radio Technology(SRT)は最近、携帯無線通信機設計のライセンス使用を、中国の 軍及び警察と関係のある TCB、Hisense 及び HYT の3社に許可する契約に調印 した。SRT 社は治安目的に使用は限定される、と主張しているが、この3社 は PLA と深い関係にあり、軍向けに大量生産が行われることが予想される。 (Times Online) (MISC 6.28) (3)核兵器関連 6. 6: 中国と米国は、中国の港に核探知装置を設置するという 2005 年 11 月の合 意について、その実施細部計画に最近調印した。米国国家核安全保障管理局 (NNSA)が6日発表した。この計画は、米国向け貨物を、貨物の出荷地で核 や放射性兵器が含まれていないか検査し、核テロを防止しようとする米国の Megaports Initiative の一環。 6.21: (GSN 6.8) Agence France-Presse の報道。北京市政府は「汚い爆弾」に対処する訓練 を来月実施する計画。2008 年北京オリンピックにおける安全確保の準備とし て行うもので、オリンピック・スタジアム近くで放射性兵器が爆発したとの 想定に対応する訓練を含む。 6.27: (GSN 6.21) 国際原子力機関(IAEA)は最近、中国及びカタールと、核安全体制構築の ための支援に関する2件の実務協力協定を結んだ。この協定に基づき IAEA は両国に次の支援を行う:核施設の物理的防護に関する助言。核及び放射性 物質による犯罪防止のための装置の用意。核関連の不法な移転、その他の活 動に関する情報の提供。さらに、IAEA は 2008 年北京五輪における安全の向 上に関して協力を約束した。 6.28: (IAEA 6.27) 米国とロシアは間もなく、民用の核協力を向上させる協定に調印の見込み である。この第 123 協定(米国原子力エネルギー法第 123 項に基づくところ から、そう呼ばれている)は、原子力エネルギーの平和利用の拡大及び拡散 の危険性を低下させることを目的に、米露が1年以上にわたり協議を続けて きた、グローバル核エネルギー・パートナーシップ(GNEP)にとって重要な ものである。 (REUT 6.28) (4)生物・化学兵器関連 6. 2: 2日の Kyodo News 報道。化学兵器の原料をイランに提供する化学兵器の闇 市 場 を 中 国 人 が 運 用 し て い る 可 能 性 が あ る 。 米 国 は 中 国 国 籍 の Qingchang Chen に対し、1990 年代から6回以上にわたり、米国の輸出関係法に違反した として制裁を発動したことを発表した。最近の CRS 報告では、Chen がイラン に化学兵器製造の前駆剤、装置、技術を輸出したとしている。 - 3 - (GSN 6.4) 6.15: 15 日の Xinhua News Agency 報道。数名の中国人労働者が、前大戦時に日 本軍機が投下したと見られるマスタードガス爆弾により、吐き気、めまい等 の症状を伴う被害を受けた。中国内モンゴル自治区の Bayannaoer 市において、 住宅建設のための工事中、地下7メートルのところでパワーシャベルがこの 不発弾を破砕し、化学剤が漏れだしたもの。 6.27: (GSN 6.15) 27 日の Xinhua News Agency 報道。中国は今後 20 年で、バイオテロリズム の脅威や伝染病に対応するシステムの開発を行う計画である。今週天津で開 催された生物経済学(Bioeconomy)に関する国際会議・展示会において、中 国化学技術省が発表した。 (GSN 6.28) (5)ミサイル関連 6. 5: 中国外務省の姜瑜報道官は5日の定例記者会見で、米国の進めているポー ランド、チェコへのミサイル防衛(MD)システムの配備について、「中国は MD の戦略的なバランス及び安定に及ぼす影響について、大国間の相互信頼及 び地域の安全に寄与せず、新たな拡散の問題をもたらすことになると考えて いる」と述べ、批判した。 (CHI 6.5) - 4 - 2.台湾(中華民国) (1)輸出管理関連一般 特記事項なし (2)通常兵器関連 6.15: 16 日の Washington Post 報道。台湾立法院は 15 日、PAC-3 防空システムを 含む米国兵器の購入に関する予算法案の大部分を否決した。陳水扁総統は、 2001 年の米国が勧めた兵器リストについて、購入を進めようとしているが、 野党国民党は費用が膨大で必要性は少なく、中国との軍備競争を招く、とし て反対している。 (GSN 6.18) (3)核兵器関連 特記事項なし (4)生物・化学兵器関連 特記事項なし (5)ミサイル関連 6.13: 13 日の Kyodo News 報道。台湾は、日本と米国のミサイル防衛(MD)計画 への参加を検討中である。在ワシントンの台湾代表部、経済・文化代表処の Jaushien Joseph Wu 代表が共同ニュースとのインタビューで語った。そして、 「もちろん希望であって、実現の困難性は理解している」と述べた。 6.13) - 5 - (GSN 3.朝鮮民主主義人民共和国 (1)輸出管理関連一般 6.11: 北朝鮮が国連開発基金(UNDP)の資金を兵器開発に流用している、との新 たな疑惑について国連の潘基文・事務総長は 11 日、調査を開始し、検査官を 北朝鮮に派遣することを検討中であると表明した。北朝鮮が UNDP の資金 300 万ドルを軍事費に流用している、との新たな情報を米国が入手した、との先 週末の報道に基づくもの。 (BP 6.11) (2)通常兵器関連 6. 7: Associated Press の報道。北朝鮮が7日、短距離ミサイルの発射訓練を実 施した。韓国国防省の2名の情報当局者が Yonhap News Agency に伝えたとこ ろによれば、少なくともミサイル1発が西部沿岸で発射されたとし、一人は 2回の発射が実施された、と述べた。発射されたのは最大射程 62 マイルの地 対艦ミサイルか艦対艦ミサイルで、北朝鮮領海内に着弾、通常訓練の一環と 見られるとしている。 6.19: (GSN 6.7) NHK の報道によれば、北朝鮮は短距離ミサイルの発射を日本海に向け実施 した。防衛省によれば、ミサイルは同日午前に発射され、弾道ミサイルでは ない、としている。なお、北朝鮮は今年5月に同国東部から、今月7日には 西部から、それぞれ海上に向けて短距離ミサイルを発射している。 (AFP 6.19) 6.27: Reuter の報道。27 日に、北朝鮮がミサイル発射を実施したことに対し、米 国ホワイトハウス国家安全保障会議の Johndroe 報道官は「6ヶ国協議が微妙 な時期にきているときであり、深く憂慮する」と表明した。北朝鮮は3基の ミサイルを発射している。なお、北朝鮮の人民武力省は「我が国が最近東海 (日本海)及び西海に発射したミサイルは、射程約 100km の地対地及び地対 艦ミサイルである。これらのミサイルは開発段階にあり、未だ配備していな い」と表明した。 6.27: (GSN 6.28) Reuter の報道。北朝鮮は 27 日、東海岸から短距離ミサイルの発射を実施 した模様である。韓国の Yonhap News Agency が韓国政府筋の話として「北朝 鮮が短距離ミサイル1発を、咸鏡南道の沿岸部から日本海に向け、午前 11 時半頃発射した兆候がある」と報じた。 (GSN 6.27) (3)核兵器関連 5.31: Agence France-Presse の報道。北朝鮮は 31 日、資金に関する問題が解決 する前に、核開発計画の凍結を開始するように、との米国の要請を拒絶した。 米国のヒル国務次官補は 31 日、米国が問題解決に真摯に取り組んでいること を信じ黒鉛減速炉の閉鎖を開始すべきである、と北朝鮮に要求した。これに 対し北朝鮮国連代表部の Kim Myong Gil 常任副代表は、「我々の立場は明らか であり、BDA の問題を先ず解決すべきである」と述べた。 - 6 - (GSN 6.1) 6. 4: 4日の Associated Press 報道。北朝鮮はプルトニウム生産のための5メガ ワット実験用黒鉛減速炉の運転を、5月に 10 日間停止した後再開した。原子 炉の運転停止の原因について、韓国の Yonhap News Agency は、2月の6ヶ国 協議の合意に基づくものとは考えられず、技術的な問題と思われる、として いる。 6.10: (GSN 6.4) 10 日の Agence France-Presse 報道。北朝鮮の核問題解決を遅らせている 凍結資金の問題解決に向けて、協力することでロシアと米国が合意した。当 局者が韓国の Yonhap News Agency に語ったところによれば、露はバンコ・デ ルタ・アジアに凍結されていた資金 2,500 万ドルを、米金融機関及び露の銀 行を通じ北朝鮮に送金することに合意したという。 6.12: (GSN 6.11) 12 日の Washington Times 報道。米国政府は北朝鮮に対し、2月の核放棄 についての約束通り、パキスタンのカーン博士の闇のネットワークを通じ入 手した約 24 基の遠心分離機について明らかにするよう要求した。米国政府高 官は、 「我々は、北朝鮮が約2ダースの P-1 及び P-2 タイプの遠心分離装置を 入手していることを知っている」と述べ、遠心分離装置用にアルミ管を入手 していることについても把握していると語った。 6.13: (GSN 6.12) 13 日の Agence France-Presse 報道。北朝鮮はバンコ・デルタ・アジアの 口座にある 2,500 万ドルの資金回収に向け動き始めた。関係筋が朝日新聞に 語ったところによれば、二つの北朝鮮貿易会社からの二人のビジネスマンが 先週、それぞれ 128,000 ドルを引き出した。残る資金は一つの米ドル口座に 入っているという。 6.13: (GSN 6.13) 韓国は北朝鮮に5万トンのトウモロコシを、国連食糧計画を通じて送る計 画である。また、1万 500 トンのコメを、昨年約束した洪水被害に対する支 援として直接北朝鮮に送ることとした。政府当局者が匿名のもとに語った。 なお、韓国は今年初めに約束した 40 万トンのコメ支援を、北朝鮮が2月の6 ヶ国協議における原子炉閉鎖を遅らせているとして、保留している。 (ASP 6.13) 6.14: Associated Press の報道。マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA) で凍結されていた、北朝鮮の資金の大部分の送金が 14 日実施された。最近、 米国とロシアで、この凍結資金を両国の銀行を介して動かす方策について合 意したと報じられていた。マカオの Francis Tam 経済・金融長官は「本日午 後、顧客の指示に基づき 2,000 万ドル以上を BDA から転出させた」と表明し た。なお、資金の転送先及び口座にある全額が送金されたかについては、明 言を避けた。 6.15: (GSN 6.14) 北朝鮮外務省は 15 日、国営の朝鮮中央放送(KCNA)を通じ「米国は我が国 及びイランからのミサイル攻撃に対抗することを、世界的規模のミサイル防 衛システム構築の理由としている。米国のこの動きによって軍備競争がさら に激化するなら、我々は自衛的抑止力をさらに強化せざるを得ない」との声 明を出した。核廃棄に向けた措置を遅らせる理由の、凍結資金問題が明らか に解決に向かっている状況下における声明として、注目される。 (ASP 6.15) - 7 - 6.16: Reuter の報道。北朝鮮の朝鮮中央放送(KCNA)は、国際原子力機関(IAEA) が 16 日、北朝鮮の原子力総局から「核施設の稼働停止」の査察に関する協議 を実施するとの書簡を受け取った、と報じた。IAEA の実務レベルの代表団が 訪朝の招請を受けた、という。 6.19: (GSN 6.18) Associated Press の報道。国際原子力機関(IAEA)は、北朝鮮、寧辺のプ ルトニウム製造用原子炉の稼働停止作業監視に関する協議を実施のため、次 週北朝鮮を訪問する。北朝鮮は2月に、IAEA の監視のもと核施設の閉鎖作業 を開始することを約束していたが、マカオの銀行に凍結された資金の問題が 解決していない、として遅らせていた。 6.20: (GSN 6.19) ロシアの Kislyak 副外相は 20 日夜、「北朝鮮の全ての資金は、ロシア国内 の銀行への送金を終了した」と表明した。(News) 6.21: (MISC 6.21) 北朝鮮の核問題をめぐる6ヶ国協議の米主席代表を務めるヒル国務次官補 が 21 日、北朝鮮を訪問した。ヒル次官補は北朝鮮の金桂寛外務次官と会談し た。ヒル次官補は 22 日までの滞在中、ほかの北朝鮮側の当局者とも会談する とみられる。(To The Center) 6.22: (MISC 6.21) 国際原子力機関(IAEA)の発表によれば、IAEA の高級査察官一行は北朝鮮 の核開発関連施設の閉鎖作業検証に関する調整のため、26 日に北朝鮮に到着 の予定である。なお、北朝鮮の凍結資金のロシアへの送金は、25 日に終了の 予定、と露で報じられている。 6.23: (REUT 6.22) Associated Press の報道。米国のヒル国務次官補は 23 日、北朝鮮は約3 週間以内に、寧辺の原子炉の閉鎖を実施可能であることを明らかにした。先 週の北朝鮮訪問からの帰途、東京における記者会見における発言。 (GSN 6.25) 6.25: 北朝鮮は、約5年にわたる米国との交渉の停滞を招いた原因の、論議の的 となっているウラン濃縮計画についても明らかにすることに合意した。突然 の北朝鮮訪問を終えた米国のヒル国務次官補が語った。なお、ヒル次官補は、 ウラン濃縮計画問題が解決しない限り、北朝鮮の核問題に関するいかなる解 決策も受け容れられない、と強調した。 6.26: (AU 6.25) 国際原子力機関(IAEA)の代表団が 26 日、プルトニウム生産用原子炉の、 稼働停止作業の監督に関する協議のため北朝鮮に到着した。寧辺の原子炉の 閉鎖は、今年2月の6ヶ国協議における合意に基づく、核放棄に向けての最 初の処置である。ハイノネン事務次長を長とする IAEA 代表団は3日間の滞在 期間中、核施設と核燃料再処理施設の閉鎖・封印の実施計画を作成の予定。 (GSN 6.26) 6.29: 29 日の Associated Press 報道。北朝鮮と国際原子力機関(IAEA)は、寧 辺のプルトニウム生産用原子炉の停止作業の監視要領について合意に達した。 北朝鮮の核施設訪問から戻った IAEA のハイノネン事務次長は 29 日、 「 我々は、 基本的に監視と検証の要領について合意に達した」と語った。IAEA は7月9 日に理事会(35 ヶ国)を開き、その後直ちに IAEA の代表は北朝鮮に戻るこ とになる。寧辺の5施設が閉鎖の対象になる、としている。 - 8 - (GSN 6.29) (4)生物・化学兵器関連 特記事項なし (5)ミサイル関連 特記事項なし - 9 - 4.インド (1)輸出管理関連一般 特記事項なし (2)通常兵器関連 6. 4: インドは 2006 年7月から、国防装備品の契約にオフセット政策を取り入れ 西側諸国からの技術導入を促進するとともに、印の国営及び民間企業が外国 企業と協力することにより複雑な兵器やシステムを製造する能力の向上を図 ろうとしている。しかし印の軍当局者からは、オフセット政策により国防装 備品の調達遅延やコストの上昇を招いているとの声が上がっている。これま でのオフセット契約は、イスラエルの Elta 社との間で航空機用の中型レーダ ーを 5,500 万ドルで購入する1件が成立したのみで、Elta 社は部品の3分の 1を印企業から調達することに同意している。 (DN 6.4) (3)核兵器関連 6. 1: インドの中部 Chhattisgarh 州で 1 日、テロリストによる高圧送電塔8基の 爆破があった。そのため中国及び日本向けの鉄鉱石輸出は、1 日から途絶え ている。更に今回の襲撃でヘルスセクター及び給水サービスが最も影響を受 けており、復旧に 1 週間は要すると見込まれている。一方 Chhattisgarh 州政 府は、テロリストが拘留されている仲間の解放を求める動きを想定して Bastar 刑務所の警備を強化した。 (PED 6.5) 6. 2: 印のシン首相は2日、印が求めている核貿易協定の細目について譲歩しな い、とバーンズ国務次官を通して米側にメッセージを伝えた。シン首相は、 海外から印核施設への核物質の輸入及び核燃料再処理の権利を認められなけ れば、印議会も人々も協定の合意を受け入れないと強く主張。印政府高官は 「今回の米・印の話し合いによって、米が両国の核貿易協定は解決されるべ き政治的課題として印と同じ認識を持ち始めた」とコメントしている。 (HI 6.6) 6. 5: 5日の Oh My News 掲載記事。米国務省のバーンズ次官と印外務省のメノン 長官が、先週ニューデリーにおいて印・米間の核貿易協定について3日間話 し合ったが、両国の主張は折り合わず最終合意に至らなかった。印・米間の 民生用核協力協定締結は2年越しの懸案であり、バーンズ次官はG8サミッ トの場でブッシュ大統領がシン印首相と会談する前に解決を図りたいとの意 向であった。 6. 6: (MISC 6.5) 6日 AP 通信によると、米・印の核貿易協定内の核不拡散条項に対し、印国 内で反発が強まっているという。インド南北からの主要6政党は協定に反対 する声明に署名をした。6政党内の Hindu Nationalist 党員による影響が強 いこの反対声明は、協定合意そのものを妨げるものではないが、印国内の反 論を象徴している。 (GSN 6.7) - 10 - 6. 6: 印商工会議所連合(ASSOCHAM)は印連邦政府に、原子力発電の総発電電力 量を現在の3%から 2012 年までに 10-12%の割合に引き上げるため、1962 年の 原子力法の改定を求めた。今後のエネルギー危機を想定し、印は原子力発電 に頼らざるを得ないという。ASSOCHAM の Venugopal N.Dhoot 会長は、印の原 子力計画を促進するため、米・印核貿易協定の課題である核問題の改善を要 すると述べている。 (HI 6.7) 6. 6: 印のメノン外務省長官が 「2007 年の G8アウトリーチ会合の際に、印のシ ン首相とブッシュ米大統領は個別にミーティングを行う可能性はあるが、 米・印の核貿易協定の詳細等については言及しないだろう」と述べている。 シン首相は6日から4日間ドイツに滞在する予定である。ベルリン滞在中に シン首相は、ブラジル、中国、メキシコ、南アフリカ等とアウトリーチ会合 でドーハ・ラウンド交渉を含む貿易・開発問題に関して協議するとのことで ある。 (HI 6.6) 6. 8: India eNews が8日、米・印政府関係者が両国による核貿易協定際細目の 最終化調整に困難を来しているため、米・印の首脳陣は会合を設けたという。 米・印による核協定未確定の状況で G-8諸国は、核不拡散の声明上で印の「核 活動に国際的な核査察を受け入れる姿勢等」を評価した。更に同声明では、 今後の国際的な核不拡散レジームに向けて印が一層の努力をするよう期待す る、と呼びかけた。 (GSN 6.8) 6.14: 印外務省が 14 日「印及び米は、地域及び全世界規模の拡散防止及び核テロ 阻止の強化について話し合う、2日間の年次会談を終えた」と発表した。米 代表団長の John C. Rood 国務次官は、メノン印外務長官や Saran 印核交渉特 使も訪問し、両国間の核貿易に関する いて話し合った。 6.16: 123 協定 締結を促進することにつ (14 日の India eNews 掲載記事) (MISC 6.14) Hindu が 16 日、印政府は 2005 年に改定された核物質防護条約(Convention on the Physical Protection of Nuclear Material)を批准したと報道。同条 約は、テロリストが核及び核兵器に関する物質の入手を防止するよう策定さ れており、核施設の警備強化や核物質の盗難及び密輸防止協力を呼びかけて いる。 (GSN 6.18) 6.24: Business Standard は 24 日「大量破壊兵器及び脅威となる物質に対して米 国 が 進 め て い る 海 上 コ ン テ ナ 安 全 対 策 ( CSI: Container Security Initiative)に印が参加する意向を示した」と報道。しかし米と印は、兵器関 連の汎用品(dual use materials)の定義が一致せず、最終的な CSI 合意には 至っていないという。 (GSN 6.26) 6.25: 印の核交渉担当者 S.Jaishankar 氏が 25 日、米との核貿易協定の最終締結に おいて印は主張を崩さないと述べた。同氏は、印が核不拡散の取り組みには 真剣であり更にその実績もあるため、今回進めている協定を軍縮協定と同等 に取り扱わないよう警告した。 (GSN 6.26) - 11 - 6.26: Asian Tribune26 日の掲載記事。米印の戦略関係に関する Eiselsberg 氏の 報告書は、不拡散を推進する多くのロビー活動で挙げられた「核協定におけ る不拡散問題」を明らかにしている。米・印の交渉者による協議は双方歩み 寄りを行おうとしているが、締結には至っていない。一方印国内では、シン 首相に対し核実験を行う期日等を要求する世論の圧力がかなり高いとのこと である。 (MISC 6.26) 6.27: ライス米国務長官が 27 日、行き詰っている印・米間の核貿易協定について 「困難な交渉であるが、2007 年末までには最終協定に結び付けたい」と語っ た。戦略国際問題研究所(CSIS)の不拡散専門家は、これから先 2,3 ヶ月で 不一致点を解決出来る否か明らかになるだろうと述べた。 (GSN 6.28) (4)生物・化学兵器関連 特記事項なし (5)ミサイル関連 6.18: AP 通信 18 日の掲載記事。印は、今後中距離弾道ミサイルのみの生産のみ に従事することを掲げて、米との核貿易協定締結を目指しているという。印 が保有しているミサイルの最大射程距離は Agni3の 3,000 キロメートルであ り、印は射程が 5,000 キロメートル以上のミサイル生産を行わないという姿 勢を示すことによって、米側の印に対する懸念を軽減出来るのではないかと 期待している。また印は、米・印による核貿易協定の上で米が要求している 核物質防護条約の批准も進めていくという。 (GSN 6.19) - 12 - 5.パキスタン・イスラム共和国 (1)輸出管理関連一般 特記事項なし (2)通常兵器関連 特記事項なし (3)核兵器関連 6.14: 米国の安全保障専門家 Charles Pena 氏が 14 日、独の外交に関する審議会 において「核の懸念に関して注意を払うべき国家は、イランよりもパキスタ ンであろう」と語った。ムシャラフ・パキスタン政権はテロとの戦いで米と 協力し、アルカイダやタリバンの制圧を期待されているがその目標を達成し ていない上、核兵器を保有するパキスタンにおいてテロとつながりのあるイ スラム原理主義組織が、ムシャラフ後に政権を獲得する事態が起こり得ると 述べた。 6.15: (UPI 6.14) パキスタンの情報筋が、サウジアラビアの Abdullah 皇太子は「石油と引き 換えにパキスタンから核兵器の供給を得るため、パキスタンと原子力協力協 定を結んだ」と Washington Times に語った。スンニ派主流のサウジアラビア はシーア派勢力の強いイランによる核装備を危惧しており、一方のパキスタ ンは 200 から 400 発の核弾頭保有の疑いがあるイスラエルと軍事協定を結ん でいるインドに対する懸念を示しているという。米のアナリストは、今回の サウジアラビア及びパキスタンの協定による核拡散よりも、どちらかの国が イスラム急進派的な傾向を帯びるのではないか、といった懸念を露にしてい る。 (ASP 6.15) 6.21: ワシントンにある科学・国際安全保障研究所(ISIS)は 21 日、3日に撮影 された衛星写真を基に「パキスタンは現在 Khyshab 地域に3号炉(重水炉) を建設中である」との結論を下した。オルブライト ISIS 所長は、パキスタン はプルトニウムの増産によって巡航ミサイル用の軽量の弾頭の製造や、印の 都市に標準をあてた兵器の改良を検討している可能性がある、と述べた。一 方所長は、パキスタンの動勢が昨今米による外交政策(印との核貿易協定案 及びテロ対策のためにパキスタンとの直接的対話を避けている等)を反映し ていると、米の姿勢に非難を示した。 (ASP 6.21) 6.21: 訪米中の Kasuri パキスタン外相が 21 日、パキスタンは安全保障に重点を置 いた対話及び経済的協力を推進し、核不拡散に尽力しているとするスピーチ を行った。印との関係は、2003 年 11 月に停戦を申し入れてから対話を続け 改善されているという。また Kasuri 外相は、パキスタンが今後の経済的発展 と国内のエネルギー需要拡大を想定し、民生用原子力発電所の開発に非常に 関心があり、適切な保障措置に基づく国際的な協力に期待していると述べた。 (MISC 6.22) - 13 - 6.27: 米民主党の Ackerman 議員が 27 日、中東及び南アジアに関する外交小委員 会において「パキスタンのカーン博士が 2004 年に核の闇市場を告白して数年 経過したが、その詳細は依然として不明で闇市場は今も存在している」と語 った。また米下院のテロ及び不拡散に関する国際関係小委員会において、共 和党筆頭の Royce 議員も「カーンネットワークの更なる検証が必要である」 と述べた。 6.28: (GSN 6.28) 米国務省の McCormack 報道官及びパキスタン外務省の Aslam 報道官は 28 日、 「カーン博士によるブラックマーケットは既に消滅した」と述べた。同じ ようなブラックマーケットの要素を掲げるネットワークが存在する可能性は あるが、現時点でカーン博士のブラックマーケットの存在は両報道官によっ て否定されている。 (GSN 6.29) (4)生物・化学兵器関連 特記事項なし (5)ミサイル関連 特記事項なし - 14 - 6.ロシア連邦 (1)輸出管理関連一般 特記事項なし (2)通常兵器関連 6. 4: ロシア、シベリアのニージニー・タギルに所在する Uralwagonzavod 社で製 造の典型的な「低シルエット」戦車 T-90(飛ぶ戦車と呼ばれている)は、よ く知られた T-72 戦車の発展型であるが、ロシア陸軍に漸次装備される一方、 海外への輸出も順調に進みつつある。露国防省の Polonsky 装備局長によれば、 インドへの 350 両(約 9,500 億ドル)の輸出契約が本年秋までに調印の運び となる見込み。なお、印には既に 300 両の輸出が終了している。アルジェリ アへは 90 両が既に納入され、トータル約 200 両が売却される。また、イエメ ン、リビア及びサウジアラビアからも引き合いがきている、という。 (PRV 6.4) 6.14: ロシアの Kommersant 紙が 14 日報ずるところによれば、ベネズエラ・ボリ バル共和国のチャベス大統領は、今月末の露訪問時に、9隻の露製潜水艦購 入の契約に調印の見込みである。ベネズエラは既に 636 型(注、Kilo 級)デ ィーゼル潜水艦5隻と、新型の 677E Amur 級4隻の注文を行っている。なお、 677E Amur 級は、露海軍でもまだ配備に至っていないことから、今回は 636 型購入契約のみの調印の可能性もあるという。 6.19: (AFPR 6.14) ロシアの国営兵器輸出企業、ロスオボロンエクスポルト社の Chemezov 最高 経営責任者(CEO)は 19 日、同社がシリア及びイランに戦闘機の供給を計画 しているとの報道を否定した。露のビジネス紙 Kommersant が、双発の迎撃機 MiG-31E 5機の、シリアへの納入を開始した、との記事に対するもの。また、 記事はさらに、露が不特定数の MiG-29M をシリアに供給することにも合意し た、と述べている。また、イスラエルは 34 日戦争の際、ヒズボラがシリア及 びイランから得たミサイルを装備した戦闘機でイスラエルを攻撃したと非難 している。 6.20: (RIA 6.19) ロシアのプーチン大統領は、国営兵器輸出企業の再編案に間もなく承認を 与える見込み。露紙 Kommersant が 20 日報じた。プーチン大統領は、新設の 国営企業 Russian Technologies の社長に Sergei Chemezov 氏を指名、現在の 兵器輸出企業ロスオボロンエクスポルト社はこの新企業に吸収される。 Chemezov 氏(54 歳)は、プーチン大統領の KGB 時代の同僚、大統領の側近で あり、後継者と目される。なお、大統領後継候補のイワノフ第1副首相は、 産業監督委員会の委員長に任命されている。 - 15 - (REUT 6.20) 6.25: ロシアは S-300 対空ミサイル・システムの改良型、S-400 の配備を開始し た。最初の1個大隊(ランチャー4基とレーダで構成)は、今年夏にモスク ワ郊外に配備される。S-400 は、米国のパトリオットの2倍の射程を有し、 露はステルス機にも対応可能と称している。また、短距離弾道ミサイルの迎 撃も可能とされている。(Strategy Page) 6.26: (MISC 6.25) ロシアの Ravrov 外相は 26 日、 「ロシアとシリアの兵器取引は、中東の力の バランスを崩すものではなく、我が国の国際的約束及び輸出管理規則−その いくつかは、世界でも最も厳しいものであるが−に厳正に従って実施してい る」と言明した。 (IFAX 6.26) 6.28: ロシアの MIG-29 戦闘機を不法に取引した事件がラトビアで明らかになった。 この犯罪グループの首謀者はラトビアの航空会社 CONCORS の社長で富豪、ソ 連空軍の元大佐の Sergei Ratnikov 氏。同氏は既に逮捕されている。Ratnikov の会社は MIG-29 の部品を露−リトアニア国境から西側に密輸した。Ratnikov の協力者はベラルーシ人の Alyaksandr Sadovy 氏、ベラルーシの兵器売買企 業 Beltech export 社の社長で、昨年 CONCORS の共同経営者になっていた。 (Charter 97) 6.29: (MISC 6.28) ロシアの国営兵器輸出企業ロスオボロンエクスポルト社とフランスの Thales 社は 29 日、サンクトペテルブルグにおける国際海軍展示会において、 海軍装備品の生産協力に関する協定に調印した。なお、Thales 社は昨年、サ ウジアラビア海軍向けに Sawari Ⅱフリゲートを建造している。また、2006 年にはスペイン、オランダ及び英国と海軍装備品の輸出契約を結んでいる。 (RIA 6.29) 6.29: ロシアの国営兵器輸出企業ロスオボロンエクスポルト社は、第4世代ディ ーゼル潜水艦(636/677 型)30-40 隻を 2015 年までに輸出することになる、 と発表した。636 型 Kilo 級潜水艦は、世界で最も静粛な潜水艦の一つで、露 はこの潜水艦をインド、中国及びイランに売却した。677 型 Lada 級は、輸出 バージョンが Amur 級として知られている。両潜水艦ともに Club-S 潜水艦発 射巡航ミサイル(対艦用 3M-54E1、対地攻撃用 3M-14E)を装備する。インド ネシアは昨年、Kilo 級4隻、Amur950 級2隻の購入計画を表明した。また露 の Kopmmersant 紙によれば、ベネズエラが9隻(636 型5隻、677 型4隻)の 購入について露に働きかけている。(VHeadline) (MISC 6.29) (3)核兵器関連 6. 1: ロシアと米国は、露の国境全てに放射線探知装置を設置する計画を加速促 進することとした。米国国家核安全保障管理局(NNSA)が1日発表したとこ ろによれば、核密輸の防止を目的として、露の空、海、陸、全ての国境管理 部署 350 ヶ所に 2011 年までに放射線探知装置を設置する計画。なお、200 ヶ 所への設置は本年中に終了の見込み。米国は 2006 年までに、この計画に4千 万ドルを投入、2011 年までに、さらに1億ドルの資金が必要としている。 (GSN 6.1) - 16 - 6. 1: ロシアの税関当局は1日、大量破壊兵器製造に関係した機微な文書の、国 外への不法な持ち出し計画を挫折させたと発表した。簡潔な声明により、ウ ラル山脈地域の税関当局者が 28 件に及ぶ技術文書及び報告書を持ちだそう とした事件の調査を開始したことを明らかにした。なお、事件の詳細につい ては明らかにしておらず、当局はコメントを拒否している。 6. 4: (ASP 6.1) 4日の Associated Press 報道。ウクライナはロシアの国際ウラン濃縮セン ター計画に参加することを検討中である。ウクライナの Yanukovych 首相は4 日、キエフにおいて露の Kiriyenko 原子力エネルギー長官と会談、本件につ いて協議した。 6. 4: (GSN 6.5) ロシアの原子力施設監督機関 Rosenergoatom の Krysov 副長官は4日、20 ヶ国以上がフローティング原子力プラントの取得に関心を示していることを 明らかにした。RIA Novosti の報道によれば、露は4月に第1号プラントの 製造に着手、10 年内に6基以上を製造の計画。プラントの購入及び共同開発 に関する関心を示している国に、中国及びインドネシアが含まれるという。 (GSN 6.5) 6. 5: オーストラリアの Carlson 保証措置・不拡散庁長官は5日、同国とロシア は新たな核エネルギー協力協定に関して協議し、9月には調印の見込みであ ることを明らかにした。露の原子炉用に豪がウラニウムを供給する新たな相 互協定の締結に向け、2月初めから5月末にかけ協議を実施したという。な お、1990 年に両国は、豪のウラニウムを第3国向けに露が処理する協定を結 んだが、この協定では露が豪のウランを使用することを認めていなかった。 (RIA 6.5) (4)生物・化学兵器関連 5.31: 5月 31 日の Rossiyskaya Gazeta 紙の報道。ロシア国防省は、相当数の国 が、遺伝子利用兵器の開発を行っていると推測している。西側先進国及び中 国、インド、イスラエル、パキスタン等は、遺伝子を利用した生物兵器を開 発している、としている。また、軍事科学研究センターに近い人物によれば、 遺伝子兵器は3世代のものが存在するという。第1世代:有毒のタンパク質 を遺伝子工学的に生産する。第2世代:交配によって作った微生物で、ある 地域の全ての生物が対象となる。第3世代:選択的にある人種、集団等に対 し、その免疫力を減じたり、著しく攻撃的にしたり、虚脱状態、あるいは精 神異常にする生物兵器。 6.14: (GSN 6.14) ロシア連邦産業庁の Kholstov 副長官は 14 日公表されたインタビュー記事 の中で、化学兵器処分プログラムに対する西側諸国の資金援助の現状は、当 初の約束を満たしていないと非難した。現在まで、わずか4億 5,000 万ドル しか受け取っていない。米国に関しては 10 億ドル以上約束した拠出金のうち、 2億 3,800 万ドルを支払ったに過ぎないとし、英国及びフランスも同様の状 況にある、と述べた。 (GSN 6.15) - 17 - (5)ミサイル関連 6. 5: ロシアの日刊紙 Kommersant が5日報ずるところによれば、ウラルにある Makeyev ミサイルセンターが、技術文書をブラジルへ送るに際し、許可を受 けなかった、として捜査を受けている。地方税関が1日、大量破壊兵器生産 に使用される可能性のある文書を5月に押収し取り調べ中と発表したが、同 紙が連邦関税局筋の情報として報じるところによれば、輸出ライセンスは取 ったが、ミサイルデータ解読法に関する情報を含む文書に関しては輸出申請 を怠った、としている。 6. 7: (RIA 6.5) ロシアのプーチン大統領は7日、米国の欧州へのミサイル防衛システム配 備に対する強硬な反対について、緩和のための条件を示した。米国がレーダ・ サイトの設置位置を旧ソ連のアゼルバイジャンに変更すれば、としている。 ハドレイ国家安全保障顧問は「興味深い」提案と述べた。さらにプーチン大 統領は、施設に対等にアクセスでき、システムが透明性を持つこと、と要求 している。 6.11: (GSN 6.7) Associated Press の報道。米国が欧州配備を計画しているミサイル防衛シ ステムのレーダ施設を、アゼルバイジャンに配備するよう提案したロシアの プーチン大統領は8日、さらに米国の迎撃ミサイルはトルコやイラクに展開 することも可能である、と表明した。なお、イラク政府の al-Dabbagh 報道官 は、 「我々はミサイル防衛に関して何もすることはない。誰からもこの問題に ついて聞いていない」と強く反発した。 6.14: (GSN 6.11) 14 日の Reuter 報道。ロシアは最近2種類の弾道ミサイルを開発したこと で、今後の長年にわたる安全を確保できた、と考えている。Solovtsov 露戦 略 ミ サ イ ル 軍 司 令 官 は 、「 機 動 型 及 び サ イ ロ 配 備 の Topol-M 弾 道 ミ サ イ ル (ICBM)と新型の RS-24 により、次の 20-30 年の我が国の安全保障は確かな ものとなるであろう」と語った。 6.20: (GSN 6.14) Agence France-Presse の報道。アゼルバイジャン共和国は 20 日、米国の 東ヨーロッパへのミサイル防衛システム配備を阻止しようとのロシアの働き かけに応じて、旧ソ連時代のミサイル監視レーダへの米国のアクセスを公式 に認めた。アゼルバイジャンの Abiyev 国防相は、 「我々は Gabala レーダ・ス テーションの、露米の共同使用に応ずる用意のあることを確認し、関連協定 に調印した」と表明した。 6.26: (GSN 6.21) ロシアの Ivanov 第1副首相は 26 日、Votkinsk 所在のミサイル製造工場を 訪問、Topol-M ミサイル及び Iskander-M 短距離弾道ミサイルの生産について、 量産体制にあることを確認、戦略兵力再構築の意図を述べた。Topol-M は射 程 6,200km(モスクワからロスアンゼルス)の ICMBM、Iskander-M は短距離 の戦術弾道ミサイルである。なお、Ivanov 氏は昨年、露が毎年 40 基の Toplol-M ミサイルを製造し、2015 年までに Iskander-M ミサイル 60 基を配備する、と 述べている。 (GSN 6.27) - 18 - 6.28: Reuter の報道。ロシアは 28 日、新型の Bulava ICBM の発射試験を成功裡 に実施した。潜水艦が白海から発射したミサイルはカムチャッカ半島に弾着 した。なお、昨年 10 月に実施した同ミサイルの試験は発射数分後に海中に突 入し失敗に終わっている。Bulava は米国の Trident ミサイルに対応する性能 を追求しており、Borei 級原子力潜水艦に搭載の予定。 - 19 - (GSN 6.29) 7.イラン・イスラム共和国 (1)輸出管理関連一般 6.11: NATO 軍司令官の McNeill 米陸軍大将が 11 日、AP 通信とのインタビューで 「イランは、西側が支持するカルザイ・イラク政権を政治及び物資面で支援 する一方で、隣国アフガニスタンに匿われているタリバンも助成しているに 違いない」と語った。良く訓練されたタリバン兵士が、先進の西側軍事技術 を使用して米国兵を襲撃しているという。これに対してイランは、シーア派 主導のイラン政府が原理主義のスンニ派活動家を援助するなどナンセンスで あると述べている。 6.26: (ASP 6.11) 米下院の外交委員会は 26 日、イランとビジネスを行なっている石油及びガ ス企業に制裁を科す法案を 37 対1で採択した。法案は更にイランに投資する 企業の税制恩恵を取り消し、世界銀行がイランへ投資している場合には援助 を削減し、もし露がイランの核プログラム支援を続けるなら露との核協力協 定を停止するとしている。法案が法制化されるには、上・下院による承認が 必要である。 (REUT 6.26) (2)通常兵器関連 6.11: 米下院は 11 日、用途廃止になった F-14 戦闘機の余剰部品が米国防総省か らイランへ売却されるのを禁止する法律を採択した。用途廃止となった国防 製品の売却は米国防総省の利益になるものであり、米下院は5月に売却を認 める追加的な軍事基金法を採決していたが、再度の表決で禁止としたもの。 1月に AP 通信が「イランや中国などは、国防総省による余剰品売却のセキュ リティー欠如に付け入り、F-14 その他の航空機やミサイルの機微な部品を取 得している」と報道したのをきっかけに、売却禁止の法案が上程されていた。 (ASP 6.11) (3)核兵器関連 5.31: Larijani イラン核交渉首席代表が 31 日、欧州連合(EU)のソラナ対外関 係担当委員との会談で「イランは核問題に進展が見込まれるのなら、国際的 な核査察への協力をより深めるだろう」と語った。しかし西側諸国が要求し ているウラン濃縮停止への合意は示さなかった。 6. 1: (GSN 6.1) エルバラダイ IAEA 事務局長が1日、BBC ラジオのインタビューで「イラン の核プログラムを停止させるとして軍事行動を起こすのは 汰 新たな気違い沙 であり、イラクのような戦争を再び見たくない」と語り西側諸国に警告 を発した。エルバラダイ事務局長はイランの限定的なウラン濃縮容認を提言 しているが、西側諸国は拒否している。 - 20 - (REUT 6.1) 6. 1: ワシントンポストが1日「国連監視検証査察委員会(UNMVIC)は、未だに 毎日 30 人の大量破壊兵器の専門家が国連本部においてイラクの衛星画像を 精査し、WMD の証拠を探している」と報じた。米及び英の外交官は安保理に 対し、国連によるイラクの WMD 捜索任務を終了するよう求める決議案を提議 している。 6. 5: (GSN 6.4) イラン国民抵抗評議会(NCRI)はドイツで5日、イランの宗教指導者(ム ッラー)による核兵器の入手方法及びその資金源について報じ、G8 の首脳に 対し国連による制裁措置追加を働きかけるよう求めた。NCRI 当局者は、ムッ ラー指導の活動について詳細を述べた。その詳細には、資金提供者の詳細や 国連の制裁措置から逃れながら非合法の入手活動を続けるために、多くの偽 装・隠蔽企業が設立されている、といった内容も含まれていた。更に同当局 者は、「イランの核兵器獲得を防ぎ、国際的な危機を回避するには、G8各国 がイランに技術的及び外交的措置並びに武器及び原油禁輸措置を直ちに行う 必要がある」と強調した。 (MISC 6.5) 6. 5: 2008 年に行なわれる米大統領選挙の共和党候補者が5日、ニューハンプシ ャー州で討論会を行い「必要なら戦術核攻撃を行なってでもイランの核兵器 開発を阻止すべきである」との意見で一致した。さらに民主党の候補者が討 論会で 米国は、核問題についてイランと直接外交交渉を行なうべきである との意見で合意していることについて、ジュリアーニ前ニューヨーク州知事 は「民主党は 1990 年代に後戻りしている」と非難した。 6. 5: (REUT 6.5) 5日のロイター通信によると、アフマディネジャド・イラン大統領は「列 強国はイランへの経済制裁を強化すべきでない」と述べるとともに、イラン がウラン濃縮プログラムを撤退する意思のないことを強調した。また最高指 導者ハメネイ師も、独立国家には核エネルギーを開発する権利があると述べ、 アフマディネジャド大統領の姿勢を支持している。 6. 5: (GSN 6.5) Larijani イラン核交渉首席代表が5日、スイスの当局者とイランの核問題 に関して話し合ったことを明らかにした。スイスは以前に、イランのウラン 濃縮と国連のイラン制裁を同時に停止し話し合うよう提案しており、 Larijani 核交渉首席代表は「スイスの提案に難点はあるが、修正すれば受け 入れ可能である」と語った。しかし修正の内容には言及しなかった。 (GSN 6.6) 6. 5: OECD 核エネルギー局(NEA)の Luis Echavarri 局長が5日、ロンドンで行 なわれている世界エネルギー・サミットにおいて「個人的な意見であるが、 イランの核プログラムは核兵器製造を企図したものであり、エネルギー用で はない」と語った。Echavarri 局長は、OECD 諸国が核エネルギーを安全かつ 経済的に使用するとともに核拡散の事態を招かないよう求めた。 6.5) - 21 - (REUT 6. 5: アフマディネジャド・イラン大統領が外国人ジャーナリストに対し、イラ ンの核プログラムは引き返す段階を過ぎていると強調するとともに「列強国 は眠れる獅子である大国イランの尻尾を踏むべきでない」と語り、国連安保 理でイランにこれ以上の制裁を画策することがないよう警告した。また Larijani イラン核交渉首席代表はG8サミットを前にした5日、ステインマ イヤー独外相とイランの核問題について話し合った。一方米国務省のマコー マック報道官は「国際社会は一致してイランの核兵器取得に反対しており、 イラン政府の脅しや空威張りに尻込みすることはない」と語った。 (RUET 6.5) 6. 6: 6日のイラン国営通信(IRNA)によると、Larijani イラン核交渉首席代表 は先週行なったソラナ欧州連合(EU)対外関係担当委員との核問題に関する 会談について「会談の空気は次第に理性的になっている」と語った。更に Larijani 首席代表は、もしイランの核問題論議が安保理から IAEA に差し戻 されたなら、イランは IAEA の核監視にもっと協力できると述べた。 (IANS 6.6) 6. 6: イスラエルのモファズ副首相は6日ライス米国務長官と会い、イランが核 兵器にも使用可能な物質を製造できるウラン濃縮施設を建造していることに ついて話し合った。モファズ副首相は「イランは核兵器プログラムを継続し ており、外交交渉により解決を図る期限は 2007 年末までであろう」と述べ、 暗にイスラエルによるイランへの軍事攻撃の可能性を示した。 6. 6: (GSN 6.7) 米駐在の Meridor イスラエル大使が6日「イランは未だ核兵器製造能力を 備えていないが、2年以内には製造する可能性がある」と語った。更に Meridor 大使は、もしイランの核プログラムに対する経済的・政治的圧力が 失敗に終わったら、イスラエルはテーブル上にある選択肢の一つをとるだろ うと述べた。 6. 7: (AP 6.6) D'Alema 伊外相が7日、ローマで開催されている不拡散会議において「イ ランが核兵器を取得するのは容認できず、国際社会が更なる制裁をイランに 科そうとするなら伊は支持する」と語ったが、交渉による解決の必要性も強 調した。またエルバラダイ IAEA 事務局長は、大量破壊兵器の拡散を阻止する ため国際諸国の国民が行動を起こすときであると述べた。 6. 8: (ASP 6.7) G-8諸国は 2002 年からの大量破壊兵器不拡散の取り組みに対して一定の評 価を示したが、今後も一層の努力が必要であると表明。2002 年の加サミット において G-8諸国は、 「 大量破壊兵器及び物質の拡散の G-8グローバル・パー トナーシップ」を表明し、2012 年までに 200 億ドルの資金調達を行うと明言 していた。しかし、米戦略国際問題研究所(CSIS)の Wolfsthal 上級研究員に よると「NSG による不十分な核濃縮・再処理の管理や、G-8による技術移転 に伴うイニシアティブを新たに行わないといった当時の合意が実際に履行さ れていない」とのことである。一方、G-8諸国はイランに対し、これまでの 国連によるウラン濃縮活動停止の要求を拒否したことについて「今後も履行 を怠れば追加制裁を行う用意がある」とイランへ警告した。 (GSN 6.8) - 22 - 6.10: 10 日の London Observer が「英当局は、イランが国際的な密売業者から兵 器級ウランを購入しようとするのを阻止した」と報じた。露の闇市場からウ ランを入手した英国人グループが、入手したウランをスーダンの仲買人経由 でイランに売却しようとしたもので、英情報機関はこの英国人グループを 20 ヶ月に亘って監視していたという。英議会の武器監視4部委員会 (Quadripartite Committee)の Berry 委員長は、密売を阻止した法執行当局 の功績を称えた。 6.10: (GSN 6.11) 米上院のリーバーマン民主党議員が 10 日、米国は在イラク米国人の殺害に 関与しているイランに対し軍事攻撃を検討すべきであると述べた。リーバー マン議員は、イランがイラン内で訓練したイラク人をイラクに送り込み、米 軍人を殺害させている証拠が明白と述べている。もしイランが国際社会の要 求するテロ支援や核兵器開発の停止に応じないなら、米国は軍事力を用いて これを阻止する必要があると強調した。 6.12: (ASP 6.11) 12 日の Fox News 報道。イランの司法システムを確立した Larijani 氏 (Larijani イラン核交渉首席代表の兄弟)が FOX News とのインタビューで、 イランは核問題で西側との関係が行き詰っているが米国との間でイラク、ア ルカイダ、イスラエルの安全保障、イスラム原理主義の輸出等について話し 合いたいと示唆した。しかし核問題については、ブッシュ政権や議会議員の 一部とは話し合うつもりが無いようである。 6.12: (MISC 6.12) エルバラダイ IAEA 事務局長が 12 日、欧米の外交官に対し「イランは 2007 年末までに 8,000 基の遠心分離機を設置しようとしている」と語った。エル バラダイ事務局長は、もし 8,000 基の遠心分離機がフル稼働すればイランは 年に3個の核兵器を製造することが可能になると述べている。しかしアナリ ストの中には、エルバラダイ事務局長がイランの核兵器製造を誇大に見積り、 ナタンツの遠心分離施設が完成する前にイランとブッシュ政権に対話させよ うとしている、との見方もある。 6.13: (GSN 6.12) 13 日の Spero News 報道。米国務省のバーンズ次官がパリで報道陣に対し 「イランが核プログラムの交渉に応じなければ、安保理は来週か再来週に更 なる制裁を科すだろう」と語った。バーンズ次官によると、イランがウラン 濃縮の停止に応じないなら国連の枠組み以外での制裁にも直面するという。 米国務省は、イランを国際金融システムから締め出す手段の幾つかを発表し ている。 6.13: (MISC 6.13) イランの反体制派グループ NCRI が「イランで核プログラムに関与している 企業が、国連の制裁を避けるため企業名を変更したり場所を移転したりして いる」と発表した。NCRI によると、イランのウラン濃縮プログラム開発に携 わっている Pars Tarash Co.及び Farayand Technique Co.の2社は先週米国 から制裁対象の企業に指定されたが、Farayand は Technology of Centrifuge of Iran Co.と社名を変えた上、テヘラン市内の別のビルに移ったという。米 財務省の Millerwise 報道官は、国連や米国の制裁を回避しようとするイラン 企業を積極的に調査し対応していくと述べた。 - 23 - (GSN 6.13) 6.13: エルバラダイ IAEA 事務局長が、イランは 2007 年末までに 8,000 基の遠心 分離機を稼動しウラン濃縮を行うだろう、と述べたことについて IISS の Mark Fitzpatric 上級分析官が「IAEA は1年前に イランの保有する遠心分離機 5,000 基は、ほとんどが壊れているか品質管理に適合していない と述べて おり、もし今年末までに 8,000 基の遠心分離機が稼動するようになるなら、 イランは再び輸出管理の網をかいくぐったことになる」と語った。 (REUT 6.13) 6.13: 米国の Schulte 国連(IAEA)大使が 13 日、IAEA 理事会の場において「イ ランは秘密の兵器施設を展開するため、国際核査察官への協力を縮小しよう としている」と述べた。Schulte 大使によると、イランはナタンツのウラン 濃縮施設で核査察官を追放した後に高濃縮ウランの稼動を始めるか、別の秘 密施設に大規模な濃縮施設を展開することが考えられるという。 (GSN 6.14) 6.14: エルバラダイ IAEA 事務局長が 14 日、西側諸国の懸念を和らげるためとし てイランに核活動の抑制を求めたのに対し、イランの外交を主導する Soltanieh 氏は「イランへの核活動停止要求は、妥当性が全くない」と述べ、 エルバラダイ事務局長の呼び掛けを拒否した。これについて米国の Schulte 国連大使が、Soltanieh 氏は遠心分離機の回転速度を上げようとしていると 述べた。 6.14: (GSN 6.15) 今週理事会を終えたエルバラダイ IAEA 事務局長が 14 日の記者会見で「イ ランの核問題の唯一解決策は外交と交渉であり、この 2,3 ヶ月がヤマである」 と語った。エルバラダイ事務局長は、イランがウラン濃縮の拡大を続ける一 方で IAEA によるイランの核プログラム解明能力は低下していると述べた。更 にイランが現時点でウラン濃縮の拡大を自発的に一時停止し、交渉の席に着 くよう求めた。 6.15: (IAEA 6.14) 15 日の Radio Free Europe 報道。米財務省は、イランの原子力エネルギー 庁と関係のある Mohammad Qannadi と、イラン企業 Mesbah Energy Company に雇われている Ali Hajinia のイラン人2名の米国内資産及び銀行口座を凍 結したと発表した。米国人は、両名とのビジネスを行うことも禁止された。 (MISC 6.15) 6.15: ニューヨークタイムズ紙が 15 日「イラン大統領がウラン濃縮施設の拡大を 唱えたのに対し、ブッシュ米政権内でチェーニー副大統領を筆頭とする強硬 派からイラン核施設への軍事攻撃を示唆する声が上がっている」と報じた。 一方米国務省当局は、イランの核活動を抑制するとして欧州連合(EU)がイ ランへ提示しようとする、経済及びエネルギーの見返り策による外交交渉を 支持している。 (GSN 6.18) - 24 - 6.15: リーバーマン米上院議員は 15 日、イラクに駐留する同盟軍殺害のため武装 勢力を訓練し武器提供を行なっているイラン基地に、米軍が限定的な軍事攻 撃を加えるよう繰り返し要求した。リーバーマン議員は「軍事攻撃はイラン の核施設に対するものでないが、イランの核兵器野望を排除することにもな る」と述べた。 6.17: (ASPR 6.15) イラン外務省の Hosseini 報道官が 17 日、露は米がミサイル防衛網用レー ダーをチェコへ設置するのに代えてアゼルバイジャンのレーダーを使用する 案を提示したが、実行に移すつもりはないと述べた。Hosseini 報道官による と露とイランの当局者が私的に会談した際に、露側から 提案の実現性が低いと見ている プーチン大統領は との話があったという。一方米国務省の報 道官は、米国防総省がアゼルバイジャンのレーダーをチェコに設置するレー ダーの補助として使用したいとして、露の提案を真剣に検討していると述べ た。 6.18: (GSN 6.18) 19 日の Congressional Quarterly 掲載。米下院は 18 日、イランを念頭に 核兵器製造に使用できるウラン濃縮を阻止するため、国際的な核燃料貯蔵設 備(International Nuclear Fuel Bank)を創設する法案(HR 885)を採択し た。IAEA が推進することになる INFB の資金として、2008 会計年度に 5,000 万ドルの歳出を承認する予定である。 6.19: (MISC 6.19) 19 日の AP 通信が「イランの核問題解決に向け、Larijani イラン核交渉首 席代表とソラナ欧州連合(EU)対外関係担当委員が 23 日にリスボンで会談す る」と報じた。イランは何か宥和的な提案をする可能性があるとも観測され ている。なおイランの発表によると、先週イランが突然キャンセルした IAEA との会談は、22 日に行なわれる予定であるという。 6.19: (GSN 6.20) 19 日のロイター通信が、イランの Kazempour Ardebili・OPEC 担当理事の 発言として「イランは、もし米国がイランの核プログラムに軍事攻撃を加え たら、原油の輸出を操作して世界的なマーケットを崩壊させると警告した」 と報じた。またイランの Javad Zarif 国連大使は潘国連事務総長に対し 国 連安保理がなんの措置もとらないため、イスラエルはイランに対する違法で 危険な脅迫を続けている 6.19: とする抗議の書簡を送付した。 (GSN 6.19) イランの OPEC 代表 Kazempour Ardebili 氏が 19 日「米国が軍事攻撃を選択 するなら、イランは原油による攻撃を排除しない」と語ったが、同代表は一 方で米国がイランへの制裁を解除するなら米国に原油を輸出する用意がある と述べた。また米国の圧力により米企業がイランの原油分野へ投資出来ない のみならず、米国以外の企業も投資が出来なくなっている、との不満を表し た。 6.20: (AFPR 6.19) Larijani イラン核交渉首席代表が 20 日「安保理によるイラン制裁は、イ ランの革命防衛隊に影響を与えるどころか逆に彼らを鼓舞している」と語っ た。また革命防衛隊はイランの核及びミサイル開発に関与していないと述べ た。一方仏は 20 日、28 才のイラン人学生がイランの核活動と繋がっている、 として安保理決議に基づく国外追放処分にした。 - 25 - (GSN 6.21) 6.20: イランの Soltanieh・IAEA 大使が 20 日「Larijani イラン核交渉首席代表 とエルバラダイ IAEA 事務局長が 21 日に会談するが、列強国がイランに要求 する核活動の停止については論議しないだろう」と語った。Larijani 首席代 表は 23 日、ポルトガルにおいて欧州連合(EU)のソラナ欧州連合(EU)対外 関係担当委員と会談の予定である。 6.21: (REUT 6.20) AP 通信が 21 日「国連安保理が各国に求めたイランへの制裁強化について、 半分以下の国しか応じていない」と報じた。これまでに 2006 年 12 月の制裁 決議に 40%の 73 ヶ国が、2007 年3月の制裁決議に 50 ヶ国が既に制裁を強化 していると報告しており、12 ヶ国が新たに制裁を強化すると報告している。 国連制裁監視委員長の Verbeke ベルギー大使は、加盟国に制裁決議を履行す るよう求めている。一方イランの Pour-Mohammadi 内相が、イランはナタンツ において 3,000 基の遠心分離機を稼動しており、100kg 以上の濃縮ウランを 貯蔵していると発表した。 6.22: (GSN 6.22) イランの国営通信 IRNA が 22 日「Pourmohammadi 内相が、イランは 100kg の濃縮ウランを貯蔵していると述べた」と報道したのに対し、同じイランの ISNA 通信は「Pourmohammadi 内相は、濃縮ウランの貯蔵量や遠心分離機の設 置基数に言 及していな い」と報じ 、IRNA の報道を否定 した。翌 23 日に、 Larijani イラン核交渉首席代表とソラナ欧州連合(EU)対外関係担当委員が、 イランの核問題を話し合う予定になっている。 6.25: (REUT 6.22) 25 日の FARS News Agency 掲載記事。ライス米国務長官が「仏・英・独な ど同盟国の外相は、イランがウラン濃縮を全面停止するよう求めている」と 述べ、米国もイランのウラン濃縮完全停止について譲歩する考えのないこと を示した。ライス長官は仏の新政府とスーダン、イラン、イラク問題などを 話し合うためパリを訪問中である。 6.25: (MISC 6.25) IAEA の Fleming 報道官が 25 日「イランが 査を支援したい IAEA によるイランの核活動調 と申し出たのを受け、IAEA は出来るだけ早くイランを訪問 したい」と語った。米国務省の Casey 報道官は、イランが核の懸念を緩和し ようとして示した行動に疑念を表明した。一方日本の三菱東京 UFJ、みずほ 及び三井住友の3銀行は、米国の対イラン制裁を反映してイランとの新たな ビジネスを行なわないと決定した。また日本の民間セクターは、イランが米 貨 以 外 で の 決 済 を 行 な お う と し て い る こ と に 難 色 を 示 し て い る 。 (REUT 6.26) 6.25: Larijani イラン核交渉首席代表は 22 日にエルバラダイ IAEA 事務局長と、 23 日にソラナ欧州連合(EU)対外関係担当委員と会談し が出来た 建設的な話し合い と述べているが、イランは依然として安保理の要求するウラン濃 縮の停止に応じていない。IAEA は、北朝鮮を訪問中の核査察責任者 Heinonen 氏を速やかにイランへ派遣し、イランの核疑惑解明について話し合う予定で ある。一方ソラナ EU 対外関係担当委員は、3週間以内にイランと再会談を行 うだろうと述べた。 (GSN 6.23) - 26 - 6.25: 米・英・仏・露・独・中の6ヶ国がイランへの第3次安保理制裁を協議す る中で、イランは 25 日に核プログラム問題を緩和するため、IAEA チームが イランへ派遣されることに同意を示した。Larijani イラン核交渉首席代表は、 22 日のエルバラダイ IAEA 事務局長との会談で核プログラムの透明性を強調 しており、イランが核施設、諸記録類及び当局者へのアクセスを認める可能 性もあると見られている。 6.26: (REUT 6.25) 2日間の仏訪問から帰国したライス米国務長官が 26 日、先週の Larijani イラン核交渉首席代表とソラナ欧州連合(EU)対外関係担当委員によるイラ ンの核プログラムに関する会談に進展はなかったと述べた。米国は、イラン の核問題について EU とイランの会談を促す一方で、イランへの新たな安保理 決議を主導する両面戦略を採っている。 6.26: (REUT 6.26) 米下院の国際関係委員会が 26 日、イランのエネルギー分野でビジネスを行 っ て い る 外 国 企 業 に も 制 裁 を 強 化 す る 法 案 を 採 択 し た が 、 Lantos 委 員 長 (D-Calf.)は「イランが核兵器獲得に向かっていることを欧州各国の指導者 は認識しており、イランのエネルギー産業に対する投資を終わらせる時であ る」と語った。また Ackerman 下院議員(D-N.Y.)は「イランの原油セクター に投資することはイランの核兵器獲得指向を容易にするほか、イランによる ヒズボラやハマス活動家の武装化支援も可能にしている」と語った。 (GSN 6.27) 6.27: 米民主党の大統領候補クリントン議員及びリチャードソン議員が 27 日、ブ ッシュ政権はイランとの対話により核問題の解決を図るべきであると述べた。 両大統領候補ともイラク戦争、対イラン及び北朝鮮への一方的な対応など、 ブッシュ大統領の外交政策を非難した。 6.27: (ASP 6.27) 潘 基文国連事務総長が 27 日「IAEA の査察官がイランの核問題打開に努め ている時期であり、米国や欧州同盟国はイランへの更なる制裁を遅らせるべ きである」と語った。潘事務総長は、対話を通じた政治的交渉によりイラン の核問題を解決しようとするエルバラダイ IAEA 事務局長の方針を支持する と述べた。 6.28: (BN 6.27) 28 日のニューズウイーク誌が「英外交団は欧州連合(EU)とイランの核交 渉を復活するため、これまでイランに要求していたウラン濃縮停止の取り下 げを提案した」と報じた。新たな提案は米国及び他の EU 主要国で検討されて いるが、イランによる 2,000 基の遠心分離機稼動を認めこれ以上の増設は認 めないとするもので、引換えに安保理による更なる制裁圧力を差し控えると いう。 6.28: (GSN 6.29) 米国防総省の Sanders ミサイル防衛局長補佐が 28 日、欧州議会の公聴会に おいて「イラン及び北朝鮮による弾道ミサイルの脅威が急速に増大しており、 欧州及び北米を防御するため欧州中央に対ミサイル防衛網を構築する必要が ある」と述べた。欧州連合(EU)の指導者の中には、域内にミサイル防衛網 を敷くことで EU と第三国との関係に影響が出ると懸念する声もある。 (ASP 6.28) - 27 - 6.29: 安保理常任5ヶ国及び独は、核プログラムの停止を受け入れないイランに 対し更なる制裁を科すことについて協議を開始した。ニューズウイーク誌の 報道やエルバラダイ IAEA 事務局長の提案で、現状のイランのウラン濃縮を認 めこれ以上拡大しないことを条件に核交渉を再開する案も論議されているが、 欧米は核プログラムの全面停止を交渉再開の前提条件としている。 (REUT 6.29) (4)生物・化学兵器関連 特記事項なし (5)ミサイル関連 6.21: 米下院で 21 日に行なわれた米・露議員の合同会議において、露の Kosachev 国際関係委員長は「イランのミサイル脅威は証明されていない」と述べ、米 国がポーランド及びチェコに建設しようとするミサイル防衛網の正当性を否 定した。Kosachev 委員長によると、イランは欧州を攻撃可能な射程 5,000km ∼6,000km のミサイルを保有しておらず、今後 20 年間も保有の可能性が低い という。 (GSN 6.22) - 28 - 8.イスラエル国 (1)輸出管理関連一般 6.11: 11 日の Internet Online 掲載記事。イスラエルは 11 日、シリアやイラン への監視を強化するとして Ofec 7 と呼ばれる 200∼500km 上空を飛行する 偵察衛星を打ち上げた。Ofec 7 は 2002 年に打ち上げられた Ofec 5 の後継衛 星で、イスラエル国防省の衛星管理者 Haim Eshed 氏によると、Ofec 7 はイ ランの核プログラム問題で役立つだろうという。 6.14: (MISC 6.11) 14 日のイスラエル軍発表によると、イスラエルが 11 日に打ち上げていた 偵察衛星 Ofec-7 が宇宙からの映像送信を開始した。Ofec-7 は、新たな情報 収集装置を用いてイランを含む地域情報を収集するという。 6.14: (ASP 6.14) パレスチナにおいて、ハマスの活動家がガザ地区にあるファタハ連合の治 安司令部を襲撃し制圧したことから、アッバス・パレスチナ自治政府議長は 14 日ハマスの Haniyeh 首相を解任するとともに、ハマス−ファタハ連立内閣 を解散し新たな政府を設立すると宣言した。アッバス議長はこの決断を米国、 エジプト及びヨルダンに伝えていたという。 6.19: (HI 6.14) 20 日の Combined Jewish Philanthropies 掲載記事。訪米中のオルメルト・ イスラエル首相が 19 日、同行のイスラエル記者団に「イスラエルがシリアと 接触するのに、米国の承認を得る必要はない」と述べ、イスラエルもシリア も戦争を望んでいないとして前提条件なしでシリアと交渉することを表明し た。一方ガザ地区において、エジプトとの間で武器密売が行なわれているル ート(Philadelphi Route)に対してはエジプトが密売防止の措置を採るよう 求め、イスラエルはそのルートを攻撃するつもりはないと述べた。 (MISC 6.20) 6.21: エジプトは 21 日、ガザ地区を制圧したハマスを遠ざける一方で、来週イス ラエル及びパレスチナを含む地域サミット開催に向け動き出した。ムバラ ク・エジプト大統領は 22 日にサウジアラビアのアブドラ国王と会い、サウジ がアッバス・パレスチナ自治政府議長を支えるための連合を組み、ハマスに 対抗することを要請する。 (ASP 6.21) (2)通常兵器関連 6. 5: イスラエル政府の高官代表団が来週米国を訪問し、サウジアラビアに対す る最新の衛星誘導スマート爆弾 JDAM の輸出を制限するよう米政府当局に要 請する。もし JDAM がサウジアラビアに売却されるのなら、イスラエルは地域 における力の均衡を保つためとして米国に F-22 ステレス爆撃機のリリース 話を持出すという。 (JP 6.5) - 29 - (3)核兵器関連 6. 6: イスラエルのモファズ副首相は6日ライス米国務長官と会い、イランが核 兵器にも使用可能な物質を製造できるウラン濃縮施設を建造していることに ついて話し合った。モファズ副首相は「イランは核兵器プログラムを継続し ており、外交交渉により解決を図る期限は 2007 年末までであろう」と述べ、 暗にイスラエルによるイランへの軍事攻撃の可能性を示唆した。 (GSN 6.7) 6. 6: モファズ・イスラエル副首相とライス米国務長官が6日、ワシントンにお いて安全保障の問題を話し合った。会談ではイランの核プログラムやヒズボ ラへの武器支援に焦点が当てられたほか、パレスチナ問題に関するシリアと の外交交渉にも言及した。 6. 6: (ASP 6.6) 米駐在の Meridor イスラエル大使が6日「イランは未だ核兵器製造能力を 備えていないが、2年以内には製造する可能性がある」と語った。更に Meridor 大使は、もしイランの核プログラムに対する経済的・政治的圧力が 失敗に終わったら、イスラエルはテーブル上にある選択肢の一つを採るだろ うと述べた。 6.25: (AP 6.6) エジプトの法廷は 25 日、エジプト人核科学者 Mohammed Sayed Saber(35) が勤め先のエジプト原子力エネルギー局から盗んだ重要書類を母国イスラエ ルの情報機関 Mossad に売り渡したとして、スパイ罪により終身刑を宣告した。 同時に法廷は、日本人とアイルランド人の2人にも欠席裁判で終身刑を宣告 した。 (GSN 6.25) (4)生物・化学兵器関連 6. 4: 4日の API 通信が「イスラエル国防省は、国民用に準備している 600 万個 のガスマスクを更新する契約業者を選定し政府も予算 7,380 万ドルを承認し ているが、財務省との話し合いがつかずその予算は棚上げされている」と報 じた。契約業者は既に 100 万個のガスマスクを確保しており、予算が割り当 てられるまで保管しておくという。 (5)ミサイル関連 特記事項なし - 30 - (GSN 6.5) 9.シリア・アラブ共和国 (1)輸出管理関連一般 6.19: 20 日の Combined Jewish Philanthropies 掲載記事。訪米中のオルメルト・ イスラエル首相が 19 日、同行のイスラエル記者団に「イスラエルがシリアと 接触するのに、米国の承認を得る必要はない」と述べ、イスラエルもシリア も戦争を望んでいないとして前提条件なしでシリアと交渉することを表明し た。一方ガザ地区において、エジプトとの間で武器密売が行なわれているル ート(Philadelphi Route)に対してはエジプトが密売防止の措置を採るよう 求め、イスラエルはそのルートを攻撃するつもりはないと述べた。 6.20) (2)通常兵器関連 特記事項なし (3)核兵器関連 特記事項なし (4)生物・化学兵器関連 特記事項なし (5)ミサイル関連 特記事項なし - 31 - (MISC 10.その他 (1)輸出管理関連一般 6. 3: 米移民税関施行局(ICE)と税関・国境警備局(CBP)はリオグランデ渓谷 の特殊部隊(BEST)の隊員らと共に3日、高性能ライフルと弾薬の密輸を企 てようとしたメキシコ人4人を逮捕した。この4人は武器輸出管理法及び銃 規 制 法 に 違 反 し た 罪 で 起 訴 さ れ 、 調 査 が 完 了 す る ま で 拘 留 さ れ る 。 (MISC 6.04) 6. 4: スーダン経済界では、米がダルフール問題のため科した経済制裁の影響は、 スーダンの石油中心の経済にはあまり影響を及ぼさないと見ている。今週独 で開催される G8 サミットでも議論されると思われるダルフール問題と米対 応だが、ブッシュ米大統領は米単独制裁に加え、国連安保理決議による制裁 を模索している。先週発表された米制裁では従来の 132 社に加え、31 社、軍 情報局長、閣僚と反体制派幹部の3人が対象とされた。しかし安保理で拒否 権を持つ中国は協議による解決を主張、また米制裁も石油価格への影響もあ るのか、中国系石油企業を避けた形での制裁となっている。(ASP 6. 4) 6. 4: 先進8ヶ国の首脳会議が6日から独ハイリゲンダムで開催される。メルケ ル独首相は地球温暖化に焦点を当て、ブレア英首相はアフリカに対する支援 を呼び掛け、ブッシュ米大統領はイラク問題を鎮めるため同盟国との協力を 議題にする意向である。またブッシュ米大統領とプーチン露大統領の間にミ サイル防衛を巡る論争が生起しており、プーチン大統領が欧州に対するミサ イル報復を示唆している。ブッシュ大統領の補佐官は、サミットの場におい て露と建設的な対話をしたいと述べている。G8サミットに初参加の安部首 相はマネー・スキャンダルなどで支持率が急落している上、2ヵ月後に命運 を握る参議院選挙を控えているが、世界貿易交渉 ドーハ・ラウンド の結 論を導くよう主張するとともに、イラン及び北朝鮮の核問題を優先議題に据 えるよう求める。 6.10: (ASP 6.4) イラクに駐留する米軍当局者へのインタビューによると、米軍部隊は占領 終了後も完全撤退せず、規模を縮小して数年間駐留を続けるとの観測が強ま っている。部隊の縮小は 2007 年半ばから開始され、2008 年後半又は 2009 年 初めまでに現在駐留する 15 万人のうち3分の2が撤退するだろうという。 (WP 6.10) 6.11: Darling 英貿易産業相が 10 日にサウジアラビアで Naimi 石油相と会い、エ ネルギー安全保障や低炭素エネルギー技術について話し合った。更に Darling 貿易産業省は 11 日、アラブ首長国連邦の国営企業 Abu Dhabi National Oil Company の会長と会い、BP and Royal Dutch Shell が応札している 100 億ドルに及ぶ巨大なガス・プロジェクトへの受注圧力を強める予定である。 (REUT 6.11) - 32 - 6.11: ブレア英首相の後継者 Gordon Brown 財務相が 11 日、訪問先のイラクで「民 間人の Gus O'Donnell 英情報局長に、大臣が情報資料に関与しない新たなル ールを作るよう依頼した」と述べ、2003 年3月のイラク進攻時に誤ったよう な情報分析を避ける構想を示した。Brown 財務相は、安全保障と情報を政治 的プロセスから独立させる必要性を強調した。 6.15: (GSN 6.12) 英 Financial Times 紙は、米英間の武器取引に関し、現在米ワシントンに おいて協議が行われていると報じた。米武器輸出管理法(AECS)に関し米は、 英豪に適用除外を認めることを 2000 年に約束していたが、英の中国等第三国 への輸出管理が不十分であるとの米議会の懸念により、適用除外が認められ ていない。加のみが適用除外を受けており、英豪には武器輸出に関し迅速な 審査が行われていることになっているが、許可までの審査期間が1か月程と なる場合もあるという。ワーナー米上院軍事委員は、協議の結果の文書は最 も信頼すべき同盟国である英に対する強いメッセージとなるとしている。 (UPI 6.15) 6.18: Indian Muslims 紙報道。EU 外相らは、通常兵器拡散抑制のための国際武器 貿易条約に支持を表明した。また他国や地域の国際機関との協力の重要性を 強調、同条約に向けた具体的な作業開始を歓迎した。(MISC 6.18) 6.18: 英政府は武器輸出管理規制の見直しを行う。2002 年輸出管理法は、英輸出 管理における 60 年ぶりの変革であり、英輸出管理制度は世界で最も確立され たものであるが、それを維持するためには定期的な見直しが必要であり、今 回の協議はこの見直しの一環として行われるもので、国外の英国人による取 引の際に英輸出許可を必要とする範囲を小火器を含むよう拡大するか、軍事 エンドユーズ管理強化等が上げられている。(DTI 6.18) 6.19: 欧州航空宇宙・防衛産業協会(ASD)の経営陣は 19 日、米側の経営陣が強調 している「安全保障及び貿易促進のための改善が欧州と米には必要のため、 米国輸出管理体制の改革を進めるイニシアティブ」の支持を示した。両経営 陣は、輸出管理規制が各国の国家主権及び国防を妨げるものではないとして 合意している。更に、生態学的影響の改善を考え、航空便の遅れ及び燃料燃 焼の軽減や、航空輸送システムの改革等にも承諾している。毎年開催されて いる ASD 及び米航空宇宙産業協会(AIA)による議会だが、今回は Raytheon 社の Swanson 氏及び Dassault Aviation 社の Edelstenne 氏が議長を務めた。 欧州側からは、EADS 社の Enders 氏及び Saab Aerospace 社の Svesson 氏が、 米側からは、Northrop Gramman 社の Sugar 氏及び Rockwell Collin 社の Jones 氏、BAE Systems 社の Havenstein 氏が議会に参加した。(Earth Times) 6.19) - 33 - (MISC 6.20: 豪情報局長は、2001 年9月 11 日の米同時多発テロ事件以降破滅的なテロ 攻撃はないものの、安心すべきでないと述べた。豪戦略政策研究所(ASPI)で 述べたもので、イラクにおける塩素テロや英米間の旅客機を液体爆弾で爆破 する計画を例に上げ、大量破壊兵器取得を目指す動きもあり、引き続き脅威 があるとした。そしてアルカイダがパキスタン、中東、アフリカ、西欧にお いて勢力を伸ばしていると指摘、世界的な対テロ戦は短くとも次世代まで続 くとの見方を示した。(GSN 6.21) 6.28: 米英は、米英国防協力条約を締結した。6月 21 日にブッシュ米大統領と当 時のブレア英首相が署名した同条約は、米上院での承認手続をまだ経ていな いが、特定の米軍用品と関連役務を米軍事企業から英政府や特定の英企業に 輸出する際に、米政府からの輸出許可等が不要となると同時に、英軍用品の 対米輸出について輸出許可不要とする政策を継続する内容となっている。現 在米軍用品の対英輸出の際には輸出許可が必要だが、過去2年間で 16 件が許 可されており、許可率は 99.9%となっているが、審査期間が長過ぎるとされ ている。(MISC 6.28) (2)通常兵器関連 6. 1: 1日の Jewish Times 掲載記事。ブッシュ政権が、最新の衛星誘導爆弾 Joint Direct Attack Munitions(JDAMS)をサウジアラビアへ売却しようとしてい ることについて、米下院議員2名が 不承認決議案 を上程するとともに、 その取引内容を速やかに公表するよう要求した。両議員は「JDAMS をサウジ アラビアへ売却することは、サウジ政権が米国やイスラエルを攻撃するテロ リストに資金援助を続けることにもなる」と述べている。 6. 1: (MISC 6.1) 欧州最大の軍事企業 BAE システムズ社は、現在ユーロファイター・タイフ ーン戦闘機のライセンス生産の件で、三菱重工と協議中。航空自衛隊は保有 する F-4 ファントム 90 機の更新に加え、200 機の F-15 イーグルも退役させ る計画で、防衛省はあらゆるオプションを検討し来年初めにも時期戦闘機を 選定する見込み。米ロッキード・マーティン社製 F-35 ライトニング2、米ボ ーイング社製 F-15 イーグル、同 F-18 ホーネットも候補に上がっているが、 現在米国内法で輸出が禁止されている F-22 ラプターが最有力との見方もあ る。(FT 6. 1) 6. 5: OECD 核エネルギー局(NEA)の Luis Echavarri 局長が5日、ロンドンで行 なわれている世界エネルギー・サミットにおいて「個人的な意見であるが、 イランの核プログラムは核兵器製造を企図したものであり、エネルギー用で はない」と語った。Echavarri 局長は、OECD 諸国が核エネルギーを安全かつ 経済的に使用するとともに核拡散の事態を招かないよう求めた。 6.5) - 34 - (REUT 6. 8: G-8諸国は 2002 年からの大量破壊兵器不拡散の取り組みに対して一定の評 価を示したが、今後も一層の努力が必要であると表明。2002 年の加サミット において G-8諸国は、 「 大量破壊兵器及び物質の拡散の G-8グローバル・パー トナーシップ」を表明し、2012 年までに 200 億ドルの資金調達を行うと明言 していた。しかし、米戦略国際問題研究所(CSIS)の Wolfsthal 上級研究員に よると「NSG による不十分な核濃縮・再処理の管理や、G-8による技術移転 に伴うイニシアティブを新たに行わないといった当時の合意が実際に履行さ れていない」とのことである。一方、G-8諸国はイランに対し、これまでの 国連からのウラン濃縮活動の停止の採択を拒否したことに対し、今後も履行 を怠れば追加制裁を行う姿勢がある旨をイランへ警告した。 (GSN 6.8) 6. 8: R・M・ゲーツ米国防長官は8日、海兵隊大将の P・ペース統合参謀本部議 長が2年の任期が切れる9月に議長を退任すると発表した。統合参謀本部長 が2年で退任するのは過去 40 数年で最短であるという。ゲーツ長官は、ブッ シュ大統領がペース氏の後任に M・G・マレン海軍作戦部長を指名するよう進 言すると述べた。(GSN 6.09) 6.12: ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)がこのほど発表した年次報告によ れば、過去 10 年間に世界の軍事費は 37%以上増加し、昨年は 1.2 兆ドルに達 した。米国の主要武器輸出先は、中東、日本、台湾等。ロシアの武器の主要 輸出先はインド、中国。また、最近はアルジェリア、ベネズエラが露製兵器 の輸入を拡大させている。 6.12: (RFE 6.12) 欧州で孤立しているベラルーシ共和国は、国内産業基盤が限定的であるに もかかわらず、世界の兵器輸出国に名を連ね、特に発展途上国への輸出は同 国の大きな収入となっている。米国議会調査局(CRS)によれば、1998 年か ら 2005 年に、同国は発展途上国に 11 億ドルの武器を輸出し、世界で第 11 位の位置を占めた。イエメン、スーダン、中国、イラン、パキスタン、シエ ラレオネ、コートジボワール、コンゴ、アルジェリア、フセイン時代のイラ ク、また、バルカン半島、グルジアの Adjara 地方等の紛争地域及びパレスチ ナのテロリスト等に武器を売却している。(Epicos) 6.13: (MISC 6.12) 米バークスデール空軍基地の第 8 空軍司令官である R・エルダー中将は 13 日、ステルス戦闘機 F-22A ラプター用に開発した既存のステルス技術を次世 代長距離爆撃機に流用する計画であることを明らかにした。この次世代爆撃 機は 2018 年までに配備することを目指しているという。(GSN 6.14) 6.14: AP 通信によると 14 日、米国に亡命していたラオスの Van Pao 元将軍と、 米国の Harrison Jack 元カリフォルニア州兵士官を含めた 11 人が、兵器など を米国から南アジアに 19 日から輸送し、ラオスの現共産主義政権へのクーデ ターを行おうとしていた計画に関する詳細を報道した。クーデター計画には、 具体的な軍事作戦(Operation Popcorn)の他、現ラオス政権転覆後の新しい 親欧米派による政権の樹立及び概要等が含まれているという。Pao 将軍を含 めた在米ラオス人のクーデター容疑者は、ベトナム戦争中に米軍を支援した モン族であるとのことである。 (MISC 6.15) - 35 - 6.19: Helicopter Association of America 報道。ベルギー政府は NH90 ヘリ 10 機購入することで、NATO ヘリ管理機構(NAHEMA)と覚書を締結した。10 機の内 訳は、戦術輸送型(TTH)4機、NATO フリゲート型(NFH)4機に2機のオプショ ンとなっている。ユーロコプターとパートナー関係にある NH インダストリー 社、アグスタウェストランド社、Stork Fokker 社が製造する NH90 だが、従 来米社が優位であった国への販売を伸ばしており、欧州における最大の軍用 ヘリ計画となっている。(MISC 6.19) 6.22: 韓国は、同国開発の次世代戦車 XK-2 Heukpyo(Black Panther)と、訓練 機 KT-1 Ungbi をトルコに輸出する計画である。契約額は 5,000 億ウォン(約 5.3 億ドル)となり、韓国のこれまでの輸出では2番目の大きな契約となる。 訓練機は 30 機を輸出する。XK-2 戦車は単価 83 億ウォン、120mm 砲を装備、 化学、生物、放射線攻撃への対応能力を有し、150 馬力のエンジンで最高速 度 70km/h を出し、水深 4.1m でも行動可能である。KT-1 訓練機は 1988 年に 開発、2000 年 11 月から実戦配備となった。これまで 12 機をインドネシアに 売却している。 6.25: (CHI 6.22) Rolls-Royce 社 CEO の Rose 氏は、防衛産業委員会(Defense Industries Council)の委員長も兼任しているが、武器輸出を円滑に進める役割も担って いる防衛駐在官に対して、英国防省からの財政支援が削減される可能性があ ることに懸念を示している。財政支援削減案の背後には、英国防省がサウジ アラビアとの 20 年におよぶ Al-Yamamah 武器売買契約についての汚職疑惑が あるという。防衛産業委員会は、46 億ポンドにもなる英の武器輸出に防衛駐 在官の存在が必須である、と考えている。 (FT 6.25) 6.25: 2006 年の世界の軍事費は、前年比 3.5%増の約1兆 2,000 億ドルに達した。 ストックホルム国際平和研究所が SIPRI Yearbook 2007 の中で明らかにし たもので、過去 10 年間の軍事費の増加率は 37%に達するという。米国の 2006 年の軍事費は 5,287 億ドルで世界の軍事費の 46%を占め、中国の 2006 年の 軍事費は 495 億ドルで日本を抜いてアジア1位となり世界でも4位になった としている。(GSN 6.25) 6.25: 米会計検査院(GAO)は 25 日に発表した報告書の中で、米国による他国の テロ対策支援が不十分であると主張した。米国の法執行機関は 2001 年 9 月 11 日の同時多発テロ以降、テロリストの特定や身柄拘束など他国のテロ対策 を支援することが義務付けられたが、ホワイトハウスが作成した手引書は、 重要項目が欠落するなど内容が不十分であるという。(GSN 6.26) 6.26: 26 日の What is the Word 掲載記事。欧州最大の兵器メーカーである英 BAE Systems Plc が 26 日「BAE は、米司法省から 取引について調査を開始した BAE とサウジアラビアの武器 との通知を受けた」と発表した。BAE がサウ ジアラビアとのビジネスで、贈賄防止法を遵守していたかどうか調査される という。 (MISC 6.26) - 36 - 6.27: オーストリアは、EADS 社製ユーロファイター戦闘機 18 機と保守関連業務、 計 20 億ユーロの契約を結んでいる。既に独において同機の製造は始まってい るものの、2006 年の総選挙の結果、契約破棄を公約にしてきた左派の社会民 主党が政権入りすることとなったため、その行方が危ぶまれている。連立政 権は EADS 社と再交渉することを主張してきたが、製造しているユーロファイ ターGmbH 社からキャンセル料は 12 億ユーロとなるとの見積が出されており、 また協議中にもかかわらず第1号機は試験飛行を開始、2号機も完成、3か ら6号機は最終組立段階に入っていることから、大きな変更はないと見られ ている。(DID 6.27) 6.28: 米国政府は、日本の次期主力戦闘機FXの要求を満たす1つのオプション として、F22A ラプター戦闘機の代わりに F-35 統合攻撃戦闘機(JSF)を提案 することを決定した。一方、ボーイングは F-15E あるいは F/A-18E/F スーパ ーホーネットを提案すると予想されている。(MISC 6.28) 6.29: Lanka Everything29 日掲載記事。スリランカが兵器売買を中国と取引する 姿勢を示したため、印はスリランカに新型の外洋巡視船を提供する予定があ るという。タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)との戦いでは、スリランカ にとって印からの兵器入手が必須であり、更に、スリランカは印に、地雷に 対応可能な車両(mine proof vehicle)や、LTTE が所有している航空機に対抗 するための高性能3次元レーダーを要求している。今回のスリランカの姿勢 は、印が以前から外交中心のみの対応であって、スリランカへ実質的な軍事 協力を行わなかったことを反映しているとのことである。 (MISC 6.29) 6.29: 29 日の Bake Sun 掲載記事。トルコは攻撃用ヘリコプタ購入に関する 20 億 ドルの入札を各国に呼びかけているが、応札予定は南アフリカ、露、仏及び 伊の企業であり米企業を含んでいない。2003 年のイラク進攻時に基地提供を 拒否したことでトルコと米の関係が冷却していること、入札規定にヘリコプ タのソフトウエアにフル・コンタクト出来ることや、契約後の納入に政治的 な障害のないことなどが記載されていることから、米企業の応札が困難にな っている。 6.29: (MISC 6.29) 英ロンドン市警は、繁華街においてガソリン、プロパンガスと釘を搭載し た車爆弾2台が発見された。ピカデリー・サーカス近辺で発見された1台目 は数百人がいる中で発見され、治安当局は多数の犠牲が出る可能性があった としている。英のテロ脅威レベルは"severe"に上げられている。米政府は在 外米国人に対し警戒を呼びかける一方、独立記念日を前に米国内においては 特に潜在的なテロ脅威はないとしている。(ASP 6.29) - 37 - (3)核兵器関連 5.16: 露はミャンマー原子炉を供与することに合意、5月 15 日に協定に署名をし たが、ケーシー米国務省報道官は5月 16 日それに対し、ミャンマーには原発 の安全運用に不可欠な規制と管理制度が欠けていると指摘、事故や環境への 影響、核燃料転用・盗難・移動等拡散を懸念すると述べた。5月 15 日付露原 子力庁(Rosatom)発表では、両国政府はミャンマーに核研究センターを設立、 その内容には 10MW 軽水炉供与も含まれているという。(ACT 6. 7) 6. 1: 米国とロシアは1日、2011 年までにロシア国境沿いに放射能検出システム を設置するための共同プロジェクトを推進することで合意した。同プロジェ クトは、核テロ防止政策の一環として実施されるもので、米政府は、核テロ に用いられる核物質の検出能力を高めることで、他国に自国内の核物質の安 全管理を強化させることを狙っている。(GSN 6.07) 6. 3: ロスアンゼルスタイムズが3日、イラクで塩素を浴びたと見られる米軍兵 士 62 人が目眩や吐き気を訴えたが、任務には復帰していると報じた。またバ クダッド周辺で起きた一連の爆破攻撃により、米軍兵士 14 人が死亡している。 (GSN 6.4) 6. 4: UPI 通信は4日、米ダートマス大学の Virtual Terrorism Response Academy が市販のテレビゲームをベースに大量破壊兵器(WMD)の訓練装置を開発した と報じた。この装置は、シューティングゲームの「Quake Ⅱ」をベースに作 られたもので、テロリストによる WMD を用いた攻撃などへの対応を訓練でき るという。(GSN 6.05) 6. 5: ブラジル科学技術相は、財政上の理由と保安上の理由で完成が遅れていた 同国第3の原発が完成すると今月末に発表する予定と述べた。同国には現在、 リオデジャネイロから約 180km の沿岸部に出力 2,000MW のアングラ(Angra) 1号基、同2号基が稼動しており、第3号基は 3,300MW となるという。(ASP 6. 5) 6. 5: 米国の Schulte 国連大使が5日、米国は湾岸協力会議(GCC)6ヶ国が計画 している平和的な核技術取得を支持するとともに、直接 GCC 各国と協力する 用意があると述べた。Schulte 大使は、平和目的の核技術として癌治療や浄 水用の放射線源を挙げた。 6. 6: (MISC 6.6) 米下院歳出委員会は6日、2008 年度の核兵器予算を政府要求額から6億 3,200 万ドル削減することを承認した。AP 通信が報じたもので、新型核弾頭 の開発に関わる全ての予算が削減対象となったという。同委員会の委員であ る民主党議員は「信頼性の高い代替核弾頭ミサイル(RRW)計画は、国際的な 核不拡散への取り組みを台無しにする恐れがある。政府は、RRW 計画を進め る前に将来の核兵器戦略を提示しなければならない」と述べた。(GSN 6.07) 6. 8: Albuquerque Journal は8日、米ロスアラモス国立研究所が核兵器の起爆 装置に使用する「ピット」を 1989 年以来 18 年ぶりに承認したと伝えた。こ れにより、ピットは同研究所からパンテックス弾頭組立工場に移送され、潜 水艦発射弾頭「W-88」に搭載される見通しである。(GSN 6.11) - 38 - 6. 8: ニュージーランドは8日、領土及び領海における核兵器禁止を宣言して 20 年を迎える。核兵器の持込や原子力艦の寄港が出来なくなった米国との軍事 的結びつきは後退したままであるが、豪の Phil Goff 軍縮担当大臣は「核兵 器禁止はニュージーランドの重要政策である」と述べ、政策継続を表明して いる。一方ライス米国務長官は 2007 年初め、ニュージーランドの核兵器禁止 政策は両国関係の障害になっているが、それ以外ではうまくいっていると述 べている。 6. 8: (GSN 6.8) 米上院軍事委員会の委員が7日、2008 年度国防認可法案で包括的核実験禁 止条約に批准するよう要求したことを明らかにした。同委員会の承認を得た 法案の条文は公表されなかったが、J.Sessions 上院議員(共和党)によれば、 米政府に包括的核実験禁止条約への批准を促す文言が聴聞会や議論が行われ ぬまま法案に盛り込まれたという。(GSN 6.07) 6.11: 11 日のトルコ紙 The Anatolian Times が「世界 30 ヶ国の安全保障専門家 が米マイアミで会議を開催し、テロリストによる核攻撃の脅威を警告すると ともに核や放射性物質を密売する闇市場の撲滅を訴えた」と報じた。開会を 宣言したミューラー米 FBI 長官は、核テロに全世界が対応するよう求める演 説を行なった。2006 年7月のG8露サミットで、ブッシュ米大統領とプーチ ン露大統領が していた。 6.11: 核テロと戦うグローバル・イニシアティブ(GICNT) を発表 (MISC 6.11) ストックホルム国際平和研究所 (SIPRI)が 11 日に発表した世界の兵器 開発に関する年次報告書によれば、核兵器を保有する5大国は、核兵器の保 有数を削減しているものの、全ての国が保有核兵器の近代化を計画しており、 これが核不拡散対策の新たな障害になる恐れがあるという。SIPRI は、 「中国、 フランス、インド、イスラエル、北朝鮮、パキスタン、ロシア、英国そして 米国の9カ国が核兵器を保有しており、2007年初め時点で配備されてい る弾頭の数は計 11,530 発になる」としている。(GSN 6.12) 6.11: 米国土安全保障省(DHS)の科学者である C・Layne は 11 日、「テロリスト が製造した核兵器は、第二次世界大戦の広島の原爆(1万トン)よりもはる かに小さいものと考えられる。しかし、小さな核爆発でも成功すれば、テロ リストは 成功 とみなすだろう」と語った。同氏は更に、100 トン級の核 兵器がアルカイダにとっての真の成功になるとしている。(GSN 6.12) 6.12: 核専門家である Michael May、 William Perry、 Ashton Carter は 12 日、 ブッシュ米政府に核攻撃等に対して更なる対応措置を検討する必要があると 要請。核物質入手の対応だけではなく、核の有事にも具体的に対応策(住民 との情報伝達体制及び具体的な避難勧告のあり方等)を構築する必要性を強 調した。 (GSN 6.13) - 39 - 6.12: 米ニューヨーク市警の報復テロ対策部門の幹部である R・Falkenrath 氏は 12 日、 「テロ対策戦略家は、ホワイトハウスを含め、 汚い爆弾(dirty bomb) を用いた核攻撃を軽視する傾向がある」と懸念を示した。同氏は、ブッシュ 大統領の前国土安全保障アドバイザーで、「小さな dirty bomb でも人口密集 地で爆発すれば大惨事を招く恐れがある」と警告している。(GSN 6.13) 6.13: 38 ヶ国が今週、昨年米国とロシアが提唱して始まった「核テロリズムに対 抗するためのグローバル・イニシアティブ(GICNT)」の会議に参加する。昨 年の G8 首脳会議において米露が提唱した GICNT には、これまでのところ 51 ヶ国が参加の意図を表明している。今回はカザフスタンが主催し、2日間の 日程で会議が実施される。 6.14: (GSN 6.13) 国際刑事警察機構(インターポール)の D・Gork 特殊犯罪分析部長は 14 日、核テロを防止するための予算の増額を要求した。インターポールには年 間7億円の予算が割り当てられているが、同部長は不十分であるとして加盟 国に更なる資金拠出を求めている。(GSN 6.15) 6.14: 米上院軍事委員会は、次期大統領が政府の核兵器計画を徹底的にレビュー するよう要求した。Inside the Pentagon が 14 日に報じたもので、ブッシュ 政権が就任直後に行った核態勢見直し(NPR)に続く第3次 NPR の策定を要求 しているという。一方、政府関係者は 14 日、米国の新型核弾頭ミサイルであ る 信頼性の高い代替核弾頭ミサイル(RRW) の開発計画に他国が過剰反応 しないよう呼びかけた。(GSN 6.15) 6.15: R・ルーガー米上院議員は 15 日、米国の強調的脅威削減(CTR)プログラム に基づき、ロシアの戦略核弾頭9基および移動型 ICBM 発射台9基が処分され たことを明らかにした。核兵器を積んだ列車4両も安全に保管されたという。 (GSN 6.18) 6.18: 18 日のニューヨークタイムズ紙によると、英及び米の外交官はイラクの大 量破壊兵器捜索チームの解散を求める決議案を、正式に安保理へ提議した。 イラクの大量破壊兵器を捜索し廃棄する国連特別委員会の UNMOVIC は 1991 年の湾岸戦争後に組織されたが、捜索チームは 2003 年のイラク進攻後にイラ ク入りしておらず、基幹要員のみが国連本部で従事している。 6.18: (GSN 6.18) 国連の L・ジョンソン事務次長補(法律問題担当)は 18 日、全ての加盟国 が 核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約 に批准するよう強 く求めた。同氏は「国際協力を早急に推し進め、テロ防止と犯罪者の訴追・ 処罰のための有効な措置を考案して実践に移す必要がある」と述べた。(GSN 6.19) 6.18: 米下院は 18 日、「核燃料バンク」を設立するための資金として、国際原子 力機関(IAEA)に 5,000 万ドルを拠出する法案を可決した。AP 通信が報じたも ので、下院外交委員会の T・Lantos 委員長は、同法案が世界的な核兵器拡散 を防止する上で大きな役割を果たすとしている。(GSN 6.19) - 40 - 6.19: Las Vegas Review-Journal 紙は 19 日、米エネルギー省(DOE)がネバダ核 実験場での核臨界実験を 2010 年6月までに再開する方針であると伝えた。ロ スアラモス国立研究所でのセキュリティ問題を受け、DOE は兵器級プルトニ ウムおよび実験装置をロスアラモス国立研究所からネバダ核実験場へ移管し 始めたという。(GSN 6.20) 6.19: McClatchy news service は 19 日、米国の情報局が 2009 年に失効する戦略 兵器削減条約(START)の期限を延長するようブッシュ政権に要求したと報じ た。START の失効を許せば、米国のミサイル防衛計画などを巡って米ロ間の 緊張が高まり、核兵器競争が再燃する恐れがあると警告する専門家もいると いう。(GSN 6.19) 6.20: 20 日の Reuter 報道。グルジア共和国国境の税関署員は、通常の入国車両 のチェック中に1台の車の中からプルトニウムとベリリウムの混合物を発見 した。グルジアでは核物質の密輸は不法とされているが、このケースにおい て当該車両はアゼルバイジャンに送り返された。 6.20: (GSN 6.20) 米国の前国防副長官である J・ハムレ戦略国際研究所(CSIS)所長は 20 日、 米軍は核テロ防止対策の優先順位を引き上げる必要があると主張した。ハム レ所長は「核の探知能力が不十分であり、 核攻撃が無い ということを確認 する方法を見出さなければならない」としている。(GSN 6.21) 6.21: NATO と英は、大量破壊兵器が使用された後に備え、スコットランドの研究 者らにガイドライン作成を依頼した。同地 The Scotsman 紙が報じたもので、 学生や会社員をテロ攻撃に備えるための訓練、NBC 攻撃があった際の緊急放 送等の基本となる。(GSN 6.21) 6.21: 国際原子力機関(IAEA)と包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)は6月第5週、 任務の遂行に必要な予算を割り当てられていないと不満をあらわにした。 IAEA は6月第4週に 2008 年の予算を 4.8%増額するよう要求したが、予算増 額は認められなかった。IAEA の年間予算は 3 億 7,900 万ドルで、米国が 25%、 日本が 19%を負担している。(GSN 6.22) 6.21: 仏は 21 日、新型潜水艦搭載型弾道ミサイルの2度目の試射を実施した。M-51 ミサイルは仏国内の地上から発射、大西洋に弾着した。同ミサイルは6個の 弾頭を搭載、8,000km の射程があり、現在4隻の戦略原潜に配備されている M-45 ミサイルを置き換える予定。(GSN 6.21) 6.21: 米 Independent Institute は6月 21 日に発表した報告書の中で「米国は、 非核兵器保有国による核兵器の開発を阻止することよりもテロリストによる 核兵器の入手を阻止することに注力すべきである」と主張した。同研究所の C・Pena 氏は「核武装国に対しては米国の核が抑止力となるが、テロリスト に対しては米国の核は抑止力にならない」としている。(GSN 6.22) 6.21: 米上院外交関係委員会は 21 日、米ブッシュ大統領とロシアのプーチン大統 領が戦略兵器削減条約(START)について協議するよう求めた。同委員会の R・ ルーガー上院議員は「大量破壊兵器に関する新たな協力分野の構築を両大統 領に促している」と語った。(GSN 6.22) - 41 - 6.21: 米大統領候補である B・オバマ上院議員は Foreign Affairs 掲載されたエッセイの中で、ブッシュ政権が進めている 7・8 月号に 信頼性の高い代替 核弾頭ミサイル(RRW) の開発計画に否定的な見解を示していることが明ら かとなった。オバマ上院議員は「米国は新型核弾頭の生産を急いではならな い」と主張しているという。(GSN 6.21) 6.22: 米はケニアに向け、核を含む大量破壊兵器関連物資探知機を供与、国境地 帯の監視する。今週正式にケニア政府は、9万ドル相当の探知機器を受領し た。現地税関長は、国の出入口を管理する税関職員には必要な装備が必要で、 違法に輸入される武器の拡散防止を行う必要があり、国境警備強化は国家安 全保障の鍵となると述べた。ケニア国境警備隊も米から訓練を受けている。 (GSN 6.22) 6.23: ブルームバーグは、チャベス・ベネズエラ大統領が核兵器開発に関心はな いと述べたと報じた。チャベス氏はテレビ演説で、核爆弾 100 個の威力のあ るベネズエラ民衆がいるため核兵器は不要であると述べたという。欧メディ アはチャベス氏の5度目のイラン訪問を前に、核兵器開発に関しイランと協 定を締結する意思があると報じている。(GSN 6.25) 6.25: Associated Press の報道。大手精密測定機器メーカー「ミツトヨ」の元副 会長等4名の元社員に対し、東京地裁は 25 日、核兵器製造に転用可能な計測 機器を不法にリビア等に輸出したとして、いずれも執行猶予付きの有罪判決 を言い渡した。同社は 2001 年 10 月から 2005 年7月にかけ、性能を偽って輸 出許可をとらず、3次元測定器5台をシンガポール経由でマレーシアの子会 社に輸出した。 6.25: (GSN 6.25) ベケット英外相はワシントンでの演説で、ブラウン次期英首相は英を「軍 縮の研究所」とする意向であるとし、外相は核兵器保有国の間で核軍縮を進 めるべく今後協議をするという。ブラウン氏はブレア首相のトライデント核 兵器システムを更新する意向を支持している。外相は、核兵器のない世界と、 段階的に弾頭数を削減し安全保障政策の中での核兵器の役割を限定すること、 両方の視点から見る必要があると述べた。(GSN 6.25) 6.26: 26 日の New Kerala 掲載記事。バングラデシュを訪問している IAEA の森脇 正直職員以下2名の代表が、26 日に同国の原子力エネルギー委員会と核エネ ルギーの使用及び原子力発電所の建設に関するガイドラインについて協議す る。バングラデシュは国内に 600MW 級の原子力発電所建設を希望しており、 韓国の原子力企業がプロジェクトへの投資を申し出ている。 6.26: (MISC 6.26) 米国家核安全保障管理局(NNSA)の前局長であるL・ブルックス氏はカー ネギー国際核不拡散会議で、「信頼性の高い代替核弾頭ミサイル(RRW)計画 は核実験を封印するものだ」と主張した。RRW 計画は国際社会に誤ったメッ セージを送ることになるとの批判に対し、同氏は「新型核弾頭に核実験の必 要性はない。核実験が必要なのは既存の核弾頭の実効性を証明する場合のみ である」と反論した。(GSN 6.26) - 42 - (4)生物・化学兵器関連 6. 1: The Vancouver Sun 紙 は 1 日 、 カ ナ ダ 政 府 と MacDonald Dettwiler and Associates(MDA)社が 380 万ドルのバイオセンサー開発契約を結んだと報じ た。このバイオセンサーは5km 先の生物物質の検出が可能で、生物テロを未 然に防ぐためピックアップトラックに載せて使用される見通し。2010 年のバ ンクバーオリンピックなどでの使用を想定しているという。(GSN 6.04) 6. 1: 米食品医薬品局(FDA)は6月初め、食品業界のテロリスト対策を評価するた めのコンピューター・プログラム CARVER + Shock を開発したと発表した。 同プログラムは、テロリストが食品工場に潜入して化学物質や有害微生物あ るいは放射性物質を食品に混入するといった行為を防ぐことを目的としたも ので、FDAのホームページからもダウンロードできるという。(GSN 6.27) 6. 4: アルゼンチンは、化学兵器禁止条約(CWC)履行のための国内法整備を完了し た。化学兵器禁止機関(OPCW)が発表した。(GSN 6. 5) 6. 4: 米保健社会福祉省(DHHS)は4日、デンマークの Bavarian Nordic 社に次 世代天然痘ワクチン 2,000 万回分を発注したと発表した。契約額は5億ドル になるという。DHHS の M・レビット長官は「天然痘ウィルスを用いた生物テ ロの脅威に備えるため、免疫系に障害を持つ人を含む全ての米国人の健康を 守ることのできるワクチンが必要である」としている。(GSN 6.05) 6. 5: 国連監視検証査察委員会(UNMVIC)が5日「イラクで反政府勢力により塩 素ガスが使用されているのは、生物・化学兵器攻撃の前触れかもしれない」 と報告した。報告によると、非政府活動家が有毒な病原体や化学性の前駆物 質を集めている可能性があるほか、旧フセイン政権の化学兵器プログラム関 係者数百人がイラクに残っている懸念もあるという。 6. 5: (GSN 6.6) 米テキサス州の科学者が、生物テロに用いられる病原菌のワクチン開発を 目的とした実験用の動物としてサルの一種である キヌザル が適している ことを発見した。San Antonio Express-News が5日に報じたもので、キヌザ ルがラッサ熱に感染した際に現れる症状が人間に現れる症状と似ていること をサウスウェスト生体医療研究財団(Southwest Foundation for Biomedical Research)の科学者2人が発見したという。(GSN 6.06) 6. 6: 米コネチカット大学の安全保障コンサルタントである K・スウィート女史 は6日、カナダで開かれた聴聞会で、テロリストが兵器を積荷の中に隠して 旅客機内に持込むのを防ぐための対策が不十分であると語った。同女史は「テ ロリストによる生物・化学兵器あるいは核兵器の開発の脅威に対処するため の新たな政策を立案しなければならない」としている。(GSN 6.08) - 43 - 6. 7: 米英等国連安保理常任理事国は現在、イラクの武装解除の監視検証をして いた国連査察官の任を解くための決議案を策定中。ハリルザド米国連大使が 述 べ た も の で 目 標 の 時 期 は 明 ら か に し な か っ た が 、 UNMOVIC 報 道 官 は 射 程 150km 超のミサイル開発を禁じるもの等未だ多くの国連安保理決議が有効と なっている点も指摘、UNMOVIC が収集した他国の大量破壊兵器開発支援につ ながりかねない拡散の恐れのある資料等の今後についても課題としている。 (ACT 6. 7) 6. 8: 8日のロイター通信によると、リビアは米国との間で取り交わしている少 量のマスタード剤処分に関する契約を破棄する可能性について示した。2003 年に WMD 放棄を宣言したリビアは、これまでに 1,000 トン以上の核及びミサ イル装備品を国外へ搬出し、化学兵器を運搬できる 3,500 の軍需品を破棄し ている。リビアは未だ 23 トンのマスタード剤と 1,300 トンの前駆化学物質を 保有していると見られるが、米国と交わした処分契約への金銭的不満から 14 日に契約を解除すると書簡で通告したという。 6. 8: (GSN 6.12) 米軍備管理不拡散センターは6月第2週、2001 年 9 月以降の生物テロ対策 費の累計額が 400 億ドルに達したことを明らかにした。ブッシュ政権は 2008 年度の生物テロ対策費として 67 億 7,000 万ドルを要求している。同センター は、この要求が議会で承認されれば 2001 会計年度以降の累計額は 480 億ドル 以上になるとしている。(GSN 6.11) 6. 9: 米疾病対策予防センター(CDC)の Gerberding 所長は6月第1週、伝染病患 者が意図的に第三者に感染を広げる意思を持っていると見なされる場合には、 その患者を隔離できるよう当局の権限を強化する必要があるとの考えを示し た。これに対し、保健法の専門家であるミシガン大学の P・Jacobson 教授は、 個人の移動の自由を制限するものであると懸念を示した。(GSN 6.11) 6.10: Sunday Telegraph 紙は 10 日、米国土安全保障省(DHS)が科学フィクショ ン作家による将来のテロ対策技術の開発に 1,000 万ドルを計上したと報じた。 DHS のスポークスマンは、 「 50 年前に科学フィクション作家が予言した携帯電 話は現実のものとなった。我々は様々なアイデアを探す必要がある」と述べ た。5月にワシントンで開催されたある会議では、関係者が6人の作家と彼 らのアイデアについて議論したという。(GSN 6.11) 6.11: フセイン前イラク政権下で、化学兵器を使用してクルド人を虐殺した容疑 で起訴され ている al-Majid(ケミカル・ア リ)以下6 人対する評 決は、24 日に行われる予定である。検察官によると、6人の被告は死刑に値するが十 分な証拠は不足しているという。 6.11: (GSN 6.11) 英医師会(BMA)は最近発表した報告書の中で「非致死兵器としての使用が 想定された麻薬は、戦時に用いることで致死兵器に変わり、テロ組織の新兵 器にもなり得る」と警告していることが明らかとなった。BMA は、非致死兵 器としての麻薬の使用を認めることが生物・化学兵器禁止条約を形骸化させ ることにつながると懸念しており、いかなる薬品も兵器として利用すること に反対している。(GSN 6.11) - 44 - 6.13: インドネシア議会は、化学兵器禁止条約における義務履行のための法案を 起草し始めた。現地 Antara 通信が報じた。イドリス産業相は、同国は 1998 年に加盟、化学兵器に転用可能な化学物質を少なくとも1種類(リン)製造し ていることは認めたものの、化学兵器は製造していないと述べている。また 有害化学品の使用について多くの規制を設けているが、兵器として使用する こ と に つ い て 規 制 が な か っ た と し 、 新 法 を 制 定 す る 意 義 を 説 明 し た 。 (GSN 6.14) 6.15: 米ミネソタ大学感染症研究政策センター(CIDRAP)は 15 日、改正国際保健 規則が発効したと発表した。同規則は 2005 年5月に世界保健機関(WHO)の 年次総会で採択されたもので、天然痘、ポリオ、SARS、新型インフルエンザ といった感染症について WHO への早期通報を義務付けるとともに、公衆の健 康に悪影響を及ぼす恐れのある化学物質や放射性物質、汚染食物などに関す る情報の提供を要求している。(GSN 6.18) 6.19: 米保健社会福祉省は 19 日、WMD 対策について助言する専門家委員会を組織 していると発表した。同委員会は、科学、公衆衛生・医療の各分野から 13 人の委員が選出される予定で、WMD に利用される生物・化学物質や核物質の 散 布 の 防 止 方 法 や 散 布 さ れ た 場 合 の 対 策 に つ い て 助 言 す る と い う 。( GSN 6.20) 6.21: 米陸軍は 21 日、国際条約の期限よりも数ヶ月早く国内の化学兵器の 45% を処分したと発表した。化学兵器禁止条約が発効した 1997 年に米国には約3 万トンの化学物質が備蓄されていたが、陸軍化学物質局が 18 日までに処分し たマスタードガス、サリン、VX 神経ガスは計 13,775 トン以上になるという。 (GSN 6.21) 6.24: Miami Daily Business Review は 24 日、米国では 2001 年 9 月 11 日の同時 多発テロ以降、テロ対策用の防護用品の市場が拡大していると報じた。既存 の企業も CIA の支援やベンチャー基金を活用しながら防護用品の開発に乗り 出しているという。(GSN 6.25) 6.24: イラクの高等裁判所は 24 日、ケミカル・アリと呼ばれた旧フセイン政権時 代の al-Majid 国防相ほか2名に対し、化学兵器によりクルド人数万人を大量 虐殺した罪で死刑を宣告した。同時に起訴されていた情報当局者2名には終 身刑が、更に他の1名には証拠不十分で無罪が言い渡された。 6.26: (GSN 6.25) カナダの中毒管理センターの R・Purssell 所長は「カナダには広範な生物 テロに対する当局の迅速な対応を可能にする中央中毒管理システムが無い」 と懸念を示した。同所長は「中毒専門家がそのようなシステムが無いことを 知らずにいる」と問題を指摘した上で、同システムが早急に必要であると主 張した。(GSN 6.26) - 45 - 6.26: 米エネルギー省(DOE)の C・セル副長官は 26 日、カーネギー国際核不拡 散会議で「国際原子力エネルギー・パートナーシップ(GNEP)と信頼性の高 い代替核弾頭ミサイル(RRW)は、核兵器と核兵器保有国の数を減らすと共に、 原子力の世界的な普及を保障するものである」と述べ、GNEP と RRW を推進す る考えを示した。(GSN 6.27) 6.27: アフリカの4か国、アンゴラ、コンゴ、エジプト、ギニアビサウの外相が 先週集まり、化学兵器禁止条約(CWC)加盟について協議した。アルジェリアと EU 共催で行われた会 合では4か 国に対し化 学兵器禁止 機関(OPCW)より加盟 申請を急ぐよう要請がなされた。現在アフリカでは 48 か国が化学兵器の開発、 製造、備蓄、使用を禁じる同条約に加盟している。(GSN 6.27) (5)ミサイル関連 6. 5: 豪はミサイル防衛に関する研究を開始し、今後独自システムを展開するか、 日米共同開発に参加するか検討する。ネルソン豪国防相が発表したもので、 3隻の駆逐艦に SM-3 迎撃ミサイルを搭載することを念頭に置くとし、北朝鮮 の弾道ミサイルは豪北部の脅威であるだけでなくアジアとの貿易のリスクと なるため、日米が協力し開発中の弾道ミサイル防衛は北朝鮮等のならず者国 家への防衛的措置として支持し、豪としてどのような支援が可能か検討中で あるとした。(GSN 6. 5) 6. 8: 8日の Dow Jones 報道。米国企業は 4.75 億ドルに及ぶミサイル防衛(MD) 関連技術の日本への輸出に関し、国防総省から正式の認可を受けた。国防安 全保障協力局(DSCA)の発表によれば、ロッキ−ド・マーチン社等の3社は、 イージス艦1隻のアップグレードのため、スタンダード・ミサイル3・Blok 1A 9基を、他の資材及び支援を含め日本に輸出する準備を開始することになる。 (GSN 6.11) 6.12: ポーランドのカチンスキ首相は、8日からポーランド訪問中のブッシュ米 大統領による提案、 「米のミサイル防衛(MD)システムの配備予定先である ポーランドに米の迎撃ミサイル 10 基を配備」を受け入れると表明。一方、カ チンスキ首相はロシアのプーチン大統領による逆提案、 「 新規のレーダー施設 のチェコへの配備よりも、旧ソ連・アゼルバイジャンのレーダー施設を米と 露が共同で使用する」を非難。カチンスキ首相は、ヨーロッパの MD システム に露の介入を認めない姿勢を示している。 (GSN 6.12) - 46 - 6.12: 西欧同盟(WEU)は、弾道ミサイル防衛(BMD)に関して、ミサイル防衛に おける概念の進展、を呼びかけた。この概念は欧州が率先して WEU 及び NATO の枠組みで「米による欧州ミサイル防衛システムの配備は、露による発言権 を認め露とも協力が必要」でなければならないとしている。一方、ロッキー ド・マーチン社は5日、同社の宇宙配備赤外線システム(SBIRS)開発チーム がシステムにおいて重要なソフトウェアを静止衛星(GEO-1)に組み込むこと に成功した という。今 回の開発に よって、防 衛支援プロ グラム、SBIRS HEO (高高度を楕円軌道で飛行する衛星に搭載されているセンサー)と静止衛星 を従えた、早期の軌道試験及び初期静止軌道オペレーションが可能になり、 より高度な監視能力を提供するようになるだろうと期待されている。 (MISC 6.12) 6.15: 米ゲーツ国防長官は 14 日、ブリュッセルで開かれた国防相理事会で「ロシ アがアゼルバイジャンのレーダー施設の共同使用を提案したが、米国はチェ コへのミサイル防衛(MD)レーダー施設の設置計画を放棄するつもりは無い」 と述べた。一方、AP 通信によると、北大西洋条約機構(NATO)軍関係者は、 米国のミサイル防衛網でカバーされないトルコ、ギリシャ、ブルガリア、ル ーマニアの4か国をイランなど中東諸国のミサイルの脅威から守るためのM D計画の検討に入ったという。(GSN 6.14) 6.20: NATO 加盟国は、欧州における短距離ミサイル防衛システムを計画中。NATO としてシステムを構築するかの決断は来年に持ち越される予定だが、加盟 26 か国の国防相らは研究を即時始めることで合意した。同時に、米のチェコと ポーランドに基地を設置する計画に対抗する、アゼルバイジャンのレーダー 基地を共同使用すべきとの露の提案についても検討するという。しかし現在 の計画ではトルコ、ギリシャ、ブルガリア、ルーマニアの一部が防衛網から 外れることは認識しており、次期 NATO 報告においてはギャップを埋める内容 になる模様。(MISC 6.20) 6.20: Space News は 18 日、米ミサイル防衛局(MDA)がミサイルを探知・追跡す るために設計された宇宙監視・追跡システム衛星2基の打ち上げを 2008 年に 延期したと報じた。MDA は「この衛生は 11 月に打ち上げられ予定だったが、 実験に不備があったことから配備が遅れる見通しだ」としている。 (GSN 6.18) 6.21: 米上院軍事委員会は、通常弾頭を搭載できるようトライデント・ミサイル を 改 良 す る た め の 予 算 を 2008 会 計 年 度 国 防 授 権 法 案 か ら 全 て 削 除 し た 。 Inside the Pentagon が 21 日に報じたもので、同委員会はトライデント・ミ サイルの改良に計上されていた 1 億 7,500 万ドルの予算を PGS ( Prompt Global Strike)に振り替えたという。(GSN 6.22) 6.22: 米ミサイル防衛局(MDA)は 22 日、ハワイ沖での直撃破壊(hit-to-kill) のミサイル迎撃実験に成功した。MDA がプレスリリースの中で明らかにした もので、この実験はブースターロケットから分離した標的の弾頭を直撃破壊 するというものである。2001 年以降に実施した 36 回の迎撃実験のうち 28 回 目の成功になるという。(GSN 6.25) - 47 - 6.26: ポーランドの Waszczykowski 外務次官が 26 日、米の迎撃ミサイル 10 基を ポーランドに配備する協定は、2007 年の9月までに最終締結となるだろうと 公表した。Waszczykowski 外務次官は Rood 米国務次官と協議し、チェコにレ ーダー基地の配備を含めた米による欧州弾道ミサイル防衛計画に賛同の意を 表していた。露によるアゼルバイジャンに配備されている既存レーダーの共 同使用に関しては、アゼルバイジャンのレーダーは、 「最初の警報レーダーと しては使用可能だろうが、ミサイルの軌道を完全に追跡することは不可能だ」 として受け入れられないと明言した。(GSN 6.27) - 48 - 出典略号一覧表 (参 考) 人民日 ・人民日報 共同 ・共同通信 時事 ・時事通信 新華社 ・新華社通信 タス ・タス通信 RP. ・ラジオプレス AB. ・ARABIES AFPR. ・AGENCE FRANCE-PRESSE APNW. ・ASSOCIATED PRESS NEWSWIRES AW. ・ASIAWEEK AWSJ. ・ASIAN WALL STREET JOURNAL AW&ST.・AVIATION WEEK & SPACE TECHNOLOGY BBCMS.・BBC Monitoring Service BBCMM.・BBC Monitoring Middle East BIS. ・BUREAU OF INDUSTRY AND SECURITY, US DEPT. OF COMMERCE CHD. ・CHINA DAILY CHNA. ・CHANNEL NEWS ASIA CP. ・CHINA POST CSM. ・THE CHRISTIAN SCIENCE MONITOR DD. ・DEFENSE DAILY DJN. ・DOW JONE'S NEWSWIRE DM. ・DAILY MAIL DN. ・DEFENSE NEWS DOS. ・US DEPARTMENT OF STATE DW. ・DEFENSE WEEK EM. ・ECONOMIST FAL. ・FRANKFURTER ALLGEMEINE FE. ・FINANCIAL EXPRESS FEER. ・FAR EASTERN ECONOMIC REVIEW FR. ・FOREIGN REPORT FT. ・FINANCIAL TIMES GN. ・GUARDIAN GSN. ・GLOBAL SECURITY NEWSWIRE HB. ・HANDELSBLATT HI. ・THE HINDU ICE. ・IMMIGRATION AND CUSTAMS ENFOECEMENT, US DEPT. OF HOMELAND SECURITY ID. ・INDEPENDENT IFAX. ・INTERFAX NEWS AGENCY IDR. ・INTERNATIONAL DEFENSE REVIEW IHT. ・INTERNATIONAL HERALD TRIBUNE IPR. ・IPR STRATEGIC BUSINESS INFORMATION ITCR. ・INTERNATIONAL TRADE REPORTER CURRENT REPORT ITW. ・ITAR-TASS WORLD SERVICE IUST ・INSIDE U.S. TRADE JDC. ・JANE´S DEFENCE CONTRACTS JDW. ・JANE´S DEFENCE WEEKLY JIR. ・JANE´S INTELLIGENCE REVIEW JC. ・JOURNAL OF COMMERCE LM. ・LE MONDE - 49 - LT. ・LOS ANGELES TIMES MEIW. ・MIDDLE EAST INTELLIGENCE WIRE MEN. ・MIDDLE EAST NEWSWIRE MISC. ・MISCELLANEOUS MOS. ・MOSCOW TIMES MT. ・MILITARY TECHNOLOGY NN. ・NATION NYT. ・NEW YORK TIMES NW. ・NEWSWEEK OANA. ・ORGANIZATION OF ASIA-PACIFIC NEWS AGENCIES OBS. ・OBSERVER PCN. ・PLATT'S COMMODITY NEWS RBM. ・RUSSIAN BUSINESS MONITOR REUT. ・REUTER SCMP. ・SOUTH CHINA MORNING POST SP. ・DER SPIEGEL STI. ・SUNDAY TIMES TT. ・TAIPEI TIMES TE. ・TASS ENERGY NEWS SERVICE TG. ・TELEGRAPH TIME. ・TIME TIMES.・THE TIMES USNW. ・U.S.NEWS & WORLD REPORT WP. ・WASHINGTON POST WQ. ・WASHINGTON QUARTERLY WSJ. ・WALL STREET JOURNAL WT. ・WASHINGTON TIMES XNA. ・XINHUA NEWS AGENCY YH. ・YONHAP ENGLISH NEWS *国別の担当者は次の通りです。 新宮領主任研究員:中国、台湾、北朝鮮、ロシア及び周辺地域 佐能主任研究員、加藤研究員:インド、パキスタン、イスラエル、シリア、イラン 風間主任研究員:米国、国際 大 森 研 究 員:欧州、その他 - 50 -