ABUハノイ総会開幕

（報道資料）
2005 年 11 月 26 日
ＮＨＫ広報局
ＡＢＵハノイ総会開幕
〈ＡＢＵの新会長を選出〉
ＡＢＵ・アジア太平洋放送連合の第４２回総会が、きょう（２６日）からベ
トナムの首都ハノイで開幕しました。ＮＨＫからは橋本会長や石村理事らが出
席し、２８日までの３日間、去年暮れのインド洋大津波や先月パキスタンで起
きた大地震を教訓に、災害時の緊急報道や、防災のための放送の役割などにつ
いて話し合いが行われます。
初日のきょうの総会では、海老沢前会長の辞任で今年１月以降、空席となっ
ていたＡＢＵ会長を選ぶ選挙が行われ、新しい会長にＮＨＫの橋本元一会長が
選出されました。
橋本元一新会長のコメント
「日本国内におけるＮＨＫの置かれた厳しい状況を考えれば、果たしてＡＢＵ
会長という重責を引き受けるべきか、正直に言って、躊躇する面もありまし
た。ＡＢＵに加盟する各国の放送機関からは、ＮＨＫに、引き続き、リーダ
ーシップを取ってほしいという強い期待が、繰り返し表明されました。加え
て、ＡＢＵがこれからの大きな課題である放送のデジタル化に取り組んでい
くには、 一日の長 のあるＮＨＫが果たすべき役割は大きいと考え、会長を
受諾することといたしました。
依然として厳しい状況にあるＮＨＫを再生させる取り組みを、決して疎か
にすることなく、アジアを代表する公共放送機関として引き続き日本と世界
の放送文化の向上に微力を尽くしてまいりたいと考えています。」
〈ＡＢＵ賞
ＮＨＫの２作品が受賞！〉
また、２６日夜には、ＡＢＵ加盟の放送機関が制作したテレビ・ラジオ番組
の中で優れた作品に贈られるＡＢＵ賞の授賞式が行われ、ＮＨＫが制作した以
下の２つの作品が、全１０部門の内、２部門で、最優秀賞に当たるＡＢＵ賞を
受賞しました。
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テレビ
クインテット（子ども・青少年番組部門）
１７年５月１９日放送 １０分 ＮＨＫ番組制作局（青少年・こども番組）
／ＮＥＤ（ＮＨＫエデュケーショナル）
パペットによる音楽バラエティー。とある街の、とあるホールの、稽古場、楽
屋、オケピット…そこに集まってくる、５人の個性豊かな音楽家たち。歌も踊
りも語りも抜群でエスプリに富んだ、子どもも大人もいっしょに楽しめる番組。
ＮＨＫ教育テレビで月曜から金曜日の午後５時５０分∼６時で放送中。
ラジオ
ＦＭシアター シリーズ ベトナムの現代文学「戦争の悲しみ」
（ドラマ番組部門）
１６年９月１８日放送 ５０分 ＮＨＫ番組制作局（ドラマ番組）
かつて対米戦争の兵士として戦ったキエンに、忘れられない壮絶な記憶の数々
が夜毎襲う。戦争中、キエンの属した部隊はジャングルの中で何度も激しい交
戦の果てにほとんど全滅。キエンの記憶は、１９６４年高校生最後の夏に飛ぶ。
恋人フォンとの甘く幸せな日々・・・。１９６５年、陸軍へ入隊したその日、
ハノイ駅で、疎開のために発とうとしていたフォンと偶然出会い、列車に乗り
遅れる。所属部隊の後を追うため二人は貨物列車に乗るが激しい空襲に遭遇。
爆弾炸裂の中で、同じ人民軍兵士にフォンは集団レイプされ、キエンは男の一
人を撲殺する。戦争で運命を大きく変えられた若い男女の悲劇を、時空を自在
に行き来する大胆な構成と、哀切極まりないトーンで描く。
＜ＡＢＵ賞について＞
ＡＢＵ賞は、１９６４年、第１回ＡＢＵ総会で創設が決まって以来、毎年、
年次総会にあわせて審査と授賞式が行われています。テレビ５部門（ドラマ／
エンターテインメント／子ども・青少年／ニュース・ドキュメンタリー／スポ
ーツ）、ラジオ５部門（ドラマ／インフォテインメント／子ども・青少年／ニュ
ース・ドキュメンタリー／国際放送）の各部門の最優秀作品にＡＢＵ賞が贈ら
れます。今回は加盟５７機関から過去最多の２０１作品（テレビ１２５作品、
ラジオ７６作品）が出品されました。
昨年から新たに設けられた「審査員特別賞」は、途上国メンバーの中から、
限られたリソースでクリエイティブかつ革新的な制作を行っている番組に贈ら
れます。今年は、テレビ部門ではインドネシア・ＴＶＲＩの「Banda Aceh On The
Day」が、ラジオ部門ではスリランカ・ＭＢＣネットワークの「A Nation Across the
Sea」が選ばれ、各部門の「ＡＢＵ賞」とともに表彰されました。
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また、ＮＨＫの「スマトラ島大地震取材」（2005 年 3 月 28 日）が、最も優れ
たニュース取材を行ったアジアビジョン加盟放送機関に贈られる「デニス・ア
ンソニー記念賞」を受賞しました。
〈ＡＢＵ技術賞〉
放送技術の向上に貢献した団体や個人を表彰するＡＢＵ技術賞の３つの部門
の内、工業界や国際的な貢献を行った個人を対象に贈られるＡＢＵ技術工業優
秀賞をＮＨＫの元技師長が受賞しました。
ＡＢＵ技術工業優秀賞
受賞者 吉野武彦・元技師長
（受賞理由）
衛星放送のための PCM(パルスコード変調）音声伝送方式を開発し、衛星放送の
実用化に貢献した。また、映像、音声、データをデジタル信号として統合的に
放送する統合デジタル放送（ISDB：Integrated Services Digital Broadcasting）
の概念を提唱し、世界各国のデジタル放送開発の先駆けとなった。
〈自然災害と危機∼放送の役割と責務〉
昨年１２月のインド洋大津波を契機にＡＢＵでは、この一年、災害放送に関
する様々な取り組みを現場レベルで行ってきました。各放送機関の最高責任者
がインド洋大津波後初めて一堂に会する今次総会において、改めて「自然災害
と危機∼放送の役割と責務」について議論します。ＮＨＫからは、佐藤国際放
送局長が、ＮＨＫの培ってきた災害緊急報道のノウハウや防災放送の重要性な
どについて講演する他、
「ラジオの緊急警報放送システム」などを紹介し、希望
する放送機関に対しては技術提供を行う予定です。
※ ABU は、政治的・商業的な目的を持たず、アジア太平洋地域の放送の発展を
図るために協力する放送機関の連合体。１９６４年に発足し、ニュース交換
（アジアビジョン）、番組素材交換、スポーツ放送権交渉、ＡＢＵ賞番組コ
ンクール、技術情報交換、発展途上国会員への助言サービスなどを実施して
います。現在、５４カ国・地域の１０５放送機関が加盟しています。
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