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損害保険数理
損害保険数理 信頼性理論 修士1年 鶴田 実可子 保険料率に求められる要件 料率3原則 合理的 客観性があり、算出方法が科学的方法であること 妥当 将来の保険金の支払いが過不足なく行われること 不当に差別的でない 料率の危険区分や水準が、実態的な危険の格差に 基づき適切であること 信頼性理論について 信頼性理論の基本的な考え方 背景 •少ないデータ量の実績値(事故率、保険金単価、 損害率など)のみを用いて、料率算出してはいけ ない。 •少ないデータの実績値にはブレ(真の値との乖 離)の可能性があり、ミスプライシングの恐れがあ る。 対応策 「実績値」のデータ量が不十分な場合 1)実績値の信頼度に応じて、実績値を利用する 2)実績値の信頼で足りない部分は、「補助デー タ」を組み合わせて予測値(保険料)を推定する 実績値と補助データとを組み合わせて、「真の 値」を推定する保険数理の手法を、信頼性理論 という。 信頼性理論の公式 C = Z∙T+(1-z)∙M C : 予測値 M: 補助データ T : 実績値 Z: 信頼(credibility) 信頼性理論の種類 1. 有限変動信頼性理論 2. Buhlmann(ビュールマン)モデルによる信頼性理論 有限変動信頼性理論 背景 •実績値には、一定のブレ(変動幅)が含まれる 実績値ー真の値=ブレ(変動幅) •データの件数が十分量あると、「対数の法則」によ り、実績値は「真の値」に近づく。=「ブレ」が小さくな る 考え方 「データ件数」と「ブレ」の関係から、 データ件数大 →ブレ小→ 実績値の信頼度が高い (保険料に実績反映しやすい) データ件数小 →ブレ大→ 実績値の信頼度が低い (保険料に実績反映しにくい) データの信頼度 データ件数 有限変動信頼性理論のプロセス • 2段階に分けて分析を行う。 1 全信頼 実績値を構成する事故件数(n)が十分ある(𝑛𝑛𝐹𝐹 件以上ある)場合 「補助データ」を使用せず、実績値をそのまま使用する 2 部分信頼 実績値を構成する事故件数(n)が不十分(𝑛𝑛𝐹𝐹 件未満)のため、補助 データを組みあわせて推定値を計算する n ≥ 𝑛𝑛𝐹𝐹 n < 𝑛𝑛𝐹𝐹 全信頼 部分信頼 C=T C = Z·T + (1-Z)·M Z= 𝑛𝑛 𝑛𝑛F 全信頼に必要な事故件数(𝑛𝑛𝐹𝐹 )の定め方 ①全信頼の条件 「実績データのブレ」が「真の値(μ)の±100k%以内に100p% の確率で収まる」程度であれば、実績データに全信頼を与え る。 ②𝑛𝑛𝐹𝐹 の定め方 <一般的な公式> 𝑦𝑦𝑝𝑝 2 𝜎𝜎 2 𝑛𝑛𝐹𝐹 = ( ) 1 + 𝑚𝑚 𝑘𝑘 𝑦𝑦 1 1 P=∫−𝑦𝑦𝑝𝑝 exp{− 𝑥𝑥 2 }𝑑𝑑𝑥𝑥 2 𝑝𝑝 2𝜋𝜋 𝜎𝜎 : クレーム額の標準偏差 m : クレーム額の期待値