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伊藤 貴章 尿失禁・・・おしっこが漏れる
MAGHREB HEALTH COLUMN VOL.48 ●状態に関係なく尿がたらたら 漏れる︵溢流性尿失禁︶ 様々な原因により膀胱の尿を排 出する機能が低下したり、尿道 の何らかの閉塞により、高度な 尿の排出障害があるため、膀胱 から尿を出し切れず、ダムから 水があふれ出るように膀胱から 尿があふれ出る状態をいいます 。症状だけでは腹圧性尿失禁や 切迫性尿失禁と間違える可能性 もあり、様々な検査が必要です 。治療も原因や状況に応じて様 々ですが、放置しておくと腎臓 の働きにも影響を与える可能性 があり、注意が必要です。 ●排尿後に少し尿がたれてしま う、尿の切れが悪い︵排尿後滴 下︶ 排尿後に少し尿がたれてしまい 、下着を汚すことがあるような 状態を排尿後滴下といいます。 排尿後に残尿があったり、尿の 勢いが悪いために起こったりし ます。男性では前立腺肥大症や 前立腺炎の方に多いようです。 男性の場合、尿道が屈曲してい るため、残尿があまりなくても 尿道の屈曲した部分にたまった 少量の尿が排尿後にたれてしま うことがあります。残尿測定や 尿流測定、超音波検査等を行い 前立腺の状態をみてそれにあっ た治療を行います。 などを行います。治療としては 、骨盤底筋を鍛える骨盤底筋体 操を行ってもらい、括約筋のし まりをよくするためのβ刺激剤 などを投与します。これで改善 しない場合や重症例では手術が 必要になる場合があります。 尿失禁 ・・・おしっこが漏れる ●尿意のためトイレに間に合 わず、漏れてしまう︵切迫性 尿失禁︶ トイレが我慢できないよう な強い尿意を尿意切迫感とい い、そのためにトイレに間に 合わず少し漏れてしまうこと を切迫性尿失禁といいます。 この状態は女性にも男性にも 見られ、年齢と共に増加する 傾向があります。この原因と しては、トイレが近い状態を 伴う過活動膀胱や、排尿に勢 いがないという症状を伴った りする前立腺肥大症や前立腺 炎などがあげられますがはっ きりしない場合も多いようで す。検査としては、残尿測定 で排尿後に尿が膀胱に残らな いかどうかや、排尿の勢いを みる尿流測定、他の疾患がな いか確認したり、前立腺の大 きさをみるために超音波検査 を行ったりします。治療とし ては膀胱の過敏な動きを抑え る抗コリン剤というのが主に 用いられます。しかし前立腺 肥大症のある場合では、まず 前立腺肥大症の治療を行うべ きで、抗コリン剤は慎重に用 いなければなりません。また、 緑内障のある方では抗コリン 剤の投与は注意すべきです。 ●せきやくしゃみなど、お腹 に力が入った時に漏れてしま う︵腹圧性尿失禁︶ お腹に力が入った時尿が漏 れ出てしまうことがある状態 を腹圧性尿失禁といいます。 これは女性に多く、出産や加 齢のために膀胱や子宮を支え ている筋肉︵骨盤底筋群︶が 弱くなることが原因です。 検査としては失禁の程度をみ るためパッドテストを行いま す。その他残尿量をみる残尿 測定や尿流測定、超音波検査 日本泌尿器科学会 泌尿器科専門医 日本泌尿器科学会 泌尿器科指導医 PRESENTED BY TAMURA CLINIC 田村クリニック 南大沢メディカルプラザ 消化器内科 たかあき いとう 伊藤 貴章