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サイエンスライターというお仕事
サイエンスライターという仕事 筑波大学広報室 サイエンスコミュニケーター/教授 渡辺 政隆 編著 10冊 訳書 56冊 ライターデビュー • 雑誌デビュー 『EQ』マガジン 1982年9月号 pp.161-168 「マルタの鷹を探せ」 • 翻訳デビュー 『猛獣はなぜ数が少ないか』 コリンボー著 共訳 早川書房 1982 • オリジナル単行本デビュー 『ガラガラヘビの体温計』 (河出書房新社 1991 日刊工業新聞科学技術図書優秀賞受賞) ライター遍歴(単行本発刊数) 7 6 5 点 数 4 3 2 1 0 年 新聞連載コラム 新聞連載コラム 毎日新聞 第二木曜日朝刊 サイエンスライティングとは サイエンスについて一般読者向けに書くこと 媒体は問わない 雑誌・書籍・新聞記事の原稿から、パンフレッ ト、展示説明、ドラマの台本などまで 翻訳も 文章作法のコツ 読者は誰かを意識する 冒頭のつかみ : 続けて読んでみようと思わせる書き出し ふつうの言葉で書く:専門用語使用の際は要注意 文章のつながりを大切に:かといって単調になってはダメ 文章に凝りすぎない:決まり文句 の安易な使用はダメ 効果的な喩え (アナロジー、メタファー)を工夫する 書いた文章は必ずプリントアウトして音読する! 紋きり口調はどこまで許されるか 日食騒動 天文現象のニュース報道に関する「植木不等式の法則」 ・天文現象は必ず「天文ショー」と表現される ・天文現象を観察する一般市民は必ず「酔いしれた」と表現される 98%の皆既日食 サイエンスライター(SW)とは誰か 科学記者? 科学雑誌編集者? 科学者? サイエンスコミュニケーター? プロ? アマ? 機能、職能としてのSWだと思えば誰でも!? 元祖サイエンスライター ガリレオ・ガリレイ(1564~1642) 『天文対話』1632年 チャールズ・ダーウィン(1809~1882) 『ビーグル号』(1839) 『種の起源』(1859) サイエンスライターと研究者の数 自然科学系研究者数 SW組織会員数 SWコース数 日本 67万5898名 310名 0 米国 126万1227名 2500名(2003年) 45校 英国 15万7662名 900名(2004年) 28校(専門コースは4校) 科学技術政策研究所 DISCUSSION PAPER No.39 (2005)より サイエンスライターのための フィールドガイド 科学技術に関する知識の情報源 質問「あなたは、ふだん科学技術に関する知識をどこから得ていますか? この中からいくつでもあげてください」に対する回答 1995 1998 2004 2010 0 20 40 60 80 100 総理府世論調査(1995,1998)及び内閣府世論調査(2004,2010)より 日本の科学雑誌 資料:科学技術政策研究所「我が国の科学雑誌に関する調査」(2003) ジャンル別読書傾向 ジャンル別読書傾向 40 趣味・スポーツ 26 26 日本の小説 暮らし・料理・育児 24 健康・医療・福祉 22 無回答 15 ノンフィクショ ン 13 13 歴史・地理 経済・産業・マネー 10 エッセー・詩・短歌・俳句 9 9 外国の小説 宗教・哲学・倫理 8 8 8 自然科学・環境 児童書・絵本 社会 7 政治 ※質問「主に読む本のジャンルは」に対する回答の内訳(複数回答) 調査対象は16歳以上 5 5 写真集 その他 0 5 (%) 10 15 20 25 30 35 40 45 資料:毎日新聞社『2003年版 読書世論調査』 フォーティ著『生命40億年全史』 読書カードに見る読者の年齢分布 人 50 計: 40 45 288 名 年齢幅: 43 38 18~92 歳 平均: 33 61.8 歳 31 29 30 メジアン(中央値): 63 歳 21 20 16 9 10 6 1 0 6 5 3 2 0 15-19 20-24 25-29 30-34 35-39 40-44 45-49 50-54 55-59 60-64 65-69 70-74 75-79 80-84 85-89 90-94 歳 よく本を読むと答えた人で、 自然科学書・環境関連書を読んでいる人の年齢分布 25 15 10 5 毎日新聞社『読書世論調査2003年版』より 0 18~19歳 20代 30代 40代 年齢 50代 60代 70歳以上 100 80 60 人数 割合(%) 20 40 20 0 15-19 20-29 30-39 40-49 50-59 年齢 読書カード 60-69 70-79 80以上 「遺伝子」本出版の経年変化 50 45 一般向け科学書 専門書 一般書 40 クローンヒツジ「ドリー」 35 30 出 版 25 点 数 『利己的な遺伝子』出版 20 15 『生物=生存機械論』出版 10 5 年度 ・Webcatプラスのデータ検索において、書名ないし副題に 「遺伝子」の文字がある書籍の出版点数 04 20 02 20 00 20 98 19 96 19 94 19 92 19 90 19 88 19 86 19 84 19 82 19 80 19 78 19 76 19 74 19 72 19 19 70 0 DNA本出版の経年変化 30 25 専門書 一般啓蒙書 通俗本 20 出 版 15 点 数 10 5 0 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 年度 ・国会図書館のデータ検索において、書名ないし副題に「DNA」の文字がある書籍の出版点数 ・通俗本には、小説、コミック、写真集も含まれる。 ニューヨークタイムズ ベストセラーリストに入った科学書の数 カール・セーガン『エデンの恐竜』が出版された1977年を境に増加 Lewenstein(2002) タイガー・ウッズ効果!? Get a Grip on Physics John Gribbin (2003) 絶版だった本がネットオークションで高騰 文系出身のサイエンスライター 理系出身のサイエンスライター 理系出身の作家 森 鴎外 手塚 治虫 安倍 公房 瀬名 秀明 東野 圭吾 文系出身だけど・・・ 数学オリンピックを目指す 筑波大学付属小学校の 女生徒 芸術系だけど・・・ 「ある晩、ふと目を覚ますと、 なんと自分の体から、 もう1人の自分が出てきているではありませんか! 森川幸人『テロメアの帽子』 (新紀元社 2002)より 「あくる朝、テロメアは、鏡を見てびっくりしました。 なんと、大切な帽子が一個なくなっているではありませんか。 文化としての科学 科学を文化向上の一要素として取り入れる 場合には、広い意味での芸術の一部門として 迎えた方が良い。 中谷宇吉郎 「科学と文化」 より Culture Competition 英国王立化学会主催 ペニシリン発見75周年記念企画 研究室に放置されたマグカップに生えた 青カビコンテスト サイエンスライティングの効用 サイエンスリテラシーを養う上で有効 科学について書くには論理性、物語構築力が必要 コミュニケーションスキル向上にも役立つ? 生涯教育としても使える 学びの機会をどう提供するか――カルチャーセンター? ↑サイエンスライターが講師?