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2014年8月版 - 国総研NILIM|国土交通省国土技術政策総合研究所

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2014年8月版 - 国総研NILIM|国土交通省国土技術政策総合研究所
ISSN 1346-7328
国総研資料 第 806 号
平 成 26 年 8 月
国土技術政策総合研究所資料
TECHNICAL NOTE of
National Institute for Land and Infrastructure Management
No.806
August 2014
道路交通騒音対策の参考資料(2014)
吉永弘志 井上隆司 大河内恵子
Reference book on Road Traffic Noise abatement measures (2014)
Hiroshi YOSHINAGA
Ryuji INOUE
Keiko OHKOUCHI
国土交通省 国土技術政策総合研究所
National Institute for Land and Infrastructure Management
Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism, Japan
国土技術政策総合研究所資料
第 806 号
2014 年 8 月
Technical Note of NILIM
No.806
August 2014
道路交通騒音対策の参考資料(2014)
道路交通研究部道路環境研究室
主任研究官
吉永弘志
室
井上隆司
長
研 究 官
大河内恵子
Reference book on Road Traffic Noise abatement measures (2014)
Road Traffic Department Road Environment Division
Senior Researcher
Hiroshi YOSHINAGA
Head
Ryuji INOUE
Researcher
Keiko OHKOUCHI
概要
道路交通騒音対策を講じる際に必要となる基礎的な知見について、平成20年度から23年度までの調査結
果、および文献等に基づいて解説した。
記載内容は、道路交通騒音の現状にかかる統計データ、関連する法令、および各種騒音対策とした。各種の
騒音対策については、発生源側での対策、伝搬経路での対策、受音点側での対策に分類して記述した。
なお、本資料の元となった資料は、これまでインターネットで暫定的に公開していた。本資料は、これに追
記、選別、要約等の改訂を行い、国土技術政策総合研究所資料としたものである。
キーワード:
道路交通騒音、自動車騒音、騒音対策
Synopsis
This document describes the basic knowledge necessary for implementing road traffic noise abatement measures,
based on the FY2008-2011 Survey results as well as existing literature.
The basic knowledge includes statistics data of road traffic noise, relevant legislation and various noise abatement
measures. The noise abatement measures are classified into several types, including noise reduction at the source,
during the propagation and at buildings as a receiving point.
This is a revised edition as a NILIM Technical Note after adding, selecting and summarizing the original edition,
which was temporarily opened to the public through the internet.
Key Words:
Road Traffic Noise, Car Traffic Noise, Noise abatement measures
資料の経緯を下記の表に示す。今後も知見の進展に伴い改訂する。
改訂の経緯
改定等の時
期
平成24年6
月
資料番号
なし
資料名
執筆等担当者
道路交通騒音対策 国土交通省国土技術政策
の参考資料(平成 総合研究所環境研究部道
24 年 6 月)
路環境研究室
主任研究官
室長
部外研究員
平成26年8
月
国土技術政策
総合研究所資
料第806号
備考
吉永弘志
曽根真理
安東新吾
道路交通騒音対策 道路交通研究部道路環境
の参考資料(2014) 研究室
主任研究官
室長
研 究 官
インターネットで公表
した暫定版
吉永弘志
井上隆司
大河内恵子
記述内容の追加、選
定、要約
引用文献の時点修
正
はじめに
道路交通騒音対策は騒音に関する理解を深めた上で進めることが大切です。
そこで、騒音対策を進めるにあたって、把握しておくことが望ましい知見等を
文献、担当者への聞き取り調査、および現地調査等に基づいて整理しました。
本参考資料が騒音対策の一助となることを期待します。
網掛け、転写、引用、および注釈
本資料での網掛け、転写、引用、および注釈は、以下とした。
1) 網掛け
本資料の読者が、把握しておくことが望ましい部分、および注意事項には黄色の網掛け
をした。
2) 法令・マニュアル等からの転写
法令等は、原文を加工して解説すると正確さが損なわれるので抜粋して転写し、破線で
囲み、下記のように表記した。また、把握しておくことが望ましい箇所等には黄色の網掛
けをした。
元となった法令等(例:環境基本法 (抜粋))
転写部分
3) 文献等からの転写
参考の程度が高い文献、および web site は抜粋して転写し、破線で囲み、下記のように
表記した。また、把握しておくことが望ましい箇所等には黄色の網掛けをした。
資-資料番号 資料名(例:資-1.1 環境基準の達成状況(平成 24 年度)(1)
1)
)
転写部分
4) 引用
“ 1),2),3)・・ ”のようにカッコと番号をつけ、巻末に引用元の参考文献のリストをつけ
た。website からの引用はアドレスを記載したが、容易に検索できるものは省略して
“,website”と表記した。
5) 注釈
“ * 1, *2,*3・・・”のようにアスタリスクと番号をつけ、段落、頁等の末部で解説した。
番号は各頁等で 1 からはじめた。
目
次
1.道路交通騒音の現状
1
2.法律と基準
5
3.道路交通騒音の現況を把握する方法
14
4.各種の道路交通騒音対策
18
4.1 自動車騒音単体規制
21
4.2 交通流対策
22
4.3 道路構造対策
30
4.4 沿道対策
35
5.道路管理者の対応事例
38
[付属資料]
付属資料 A1 騒音の基礎知識
41
付属資料 A2 道路交通騒音の予測計算
46
付属資料 A3 遮音壁に関する技術の概要
56
付属資料 A4 交差点近傍の騒音測定値
65
付属資料 A5 自動車騒音の単体規制
72
付属資料 A6 建物防音
77
付属資料 A7 FAQ
85
付属資料 A8 用語
95
付属資料 A9 道路交通騒音関係の情報源
98
1.道路交通騒音の現状
道路交通騒音の現状について、参考となる統計データ等を示す。道路に面する地域にお
いて昼間または夜間に騒音の環境基準を超過した住居等
*1
は、平成 24 年度において約 50
万戸(約 7%)と報告されている (図-1.1, 資-1.1, 資-1.2)。
なお、非達成戸数には、防音対策を講じて建設された住居等も含まれる。
達成戸数
非達成戸数
平成12年度
[523.2千戸]
402.3千戸(76.9%)
平成18年度
[3,292.3千戸]
2812.3千戸(85.4%)
480千戸(14.6%)
平成24年度
[6,645.1千戸]
6150.7千戸(92.6%)
494.4千戸(7.4%)
0%
20%
40%
60%
120.9千戸(23.1%)
80%
100%
図-1.1 道路に面する地域における騒音の環境基準達成状況 *2
*1: 悉皆調査でないので評価対象とした道路および住居等は年度により異なる。平成 24 年度は、高速自動
車国道 1,657km、都市高速道路 136km、一般国道 14,220km、都道府県道 23,099km、4 車線以上の市区
町村道 1,854km、およびその他の道路 85km の計 41,050km の道路に面する地域での評価結果である。
*2: 環境省の報告 1)に記載されている数値に基づいてグラフを作成した。
1
資-1.1 環境基準の達成状況(平成 24 年度)(1)
1)
1)全体の状況
評価対象とされた 6,645.1 千戸のうち、昼間(6 時~22 時)
・夜間(22 時~6 時)のい
ずれか又は両方で環境基準を超過していたのは 494.4 千戸(7.4%)であり、そのうち昼
夜間とも環境基準を超過していたのは 238.1 千戸(3.6%)であった(図3)。
幹線交通を担う道路に近接する空間 ※3(以下「近接空間」という。)の基準値が適用さ
れる地域における 2,783.9 千戸について、昼間・夜間のいずれか又は両方で環境基準を
超過していたのは 343.9 千戸(12.4%)、そのうち昼夜間とも環境基準を超過していたの
は 162.4 千戸(5.8%)であった。
一方、非近接空間 ※3における 3,861.2 千戸について、昼間・夜間のいずれか又は両方
で環境基準を超過していたのは 150.6 千戸(3.9%)、そのうち昼夜間とも環境基準を超過
していたのは 75.8 千戸(2.0%)であった。
※3 下線 付きの語句の説明は、本資料の末尾を参照下さい。
(※3 本文中の用語の説明)
「幹線交通を担う道路」
高速自動車国道、都市高速道路、一般国道、都道府県道、4車線以上の市区町村道。
「幹線交通を担う道路に近接する空間」
次の車線数の区分に応じ道路端からの距離により範囲が特定される。
・2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路 15 メートル
・2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路 20 メートル
「非近接空間」
幹線交通を担う道路に面する地域のうち、幹線交通を担う道路に近接する空間を除く地域。「幹線
交通を担う道路に近接する空間」の背後地にあたる。
2
資-1.2 環境基準の達成状況(平成 24 年度)(2)
1)
2)道路種類別の状況
道路種類別に集計したところ、昼間・夜間のいずれか又は両方で環境基準を超過して
いた割合がもっとも高かったのは都市高速道路であり、51.6 千戸のうち 7.1 千戸(13.7%)
であった(図4)。
3
次に、道路交通騒音に対する住民の不快感を把握するうえで参考となる他のデータを示
す。図-1.2,3 は自動車により被っている迷惑に関する世論調査結果である。平成 18 年度 2)
は騒音を迷惑と感じている割合が約 30%であったが、平成 24 年度 3)は、大気汚染、騒音、
および振動を合わせた割合で約 15%となった。騒音の環境は着実に改善している。
ゴミなどの
ポイ捨て 32.8%
路上駐車 32.8%
交通事故の
危険 29.4%
生活道路を抜け道として
利用する自動車 24.6%
騒音 27.9%
交通事故の危険 24.5%
振動 14.4%
ゴミなどの
ポイ捨て 18.4%
大気汚染 13.4%
大気汚染、
騒音、振動 14.5%
幹線道路による
地域の分断 4.1%
幹線道路を通過する自動車
による地域の分断 4.3%
その他 3.6%
その他 1.4%
特にない 28.8%
特にない 31.5%
0
0
50
100
迷惑に感じている割合(%)
(総数1,801 複数回答)
50
100
迷惑に感じている割合(%)
(総数1,866 複数回答)
図-1.2 自動車により被っている迷惑に
関する世論調査結果(平成 18 年 7 月) 2)
図-1.3 自動車により被っている迷惑に
関する世論調査結果(平成 24 年 10 月) 3)
また、住民が不快と感じる騒音について国土技術政策総合研究所が簡易な聞き取り調査 *1
した結果を図-1.4 に示す。不快感がきわだって大きいのは、路面の凹凸に起因する音、特
異的に大きなエンジン系の騒音、および路面の劣化に起因する音である。
トラックの荷台などの振動音
大きな音の二輪車
ゴーというタイヤ音
暴走族
道路の段差を通行するガタン、ドンという音
トラックやバスのブレーキ音
トラックやバスのエンジン音
救急車のサイレン
シャーというタイヤ音
大きな音の乗用車
パトカーのサイレン
無い
0
回答率(%)
50
図-1.4 沿道の住民が不快に感じる騒音例
*1: 関東地域の主要幹線道路 10 路線(騒音レベル 69~77dB)の沿道の住民にアンケート。具体例を提示し
て不快と感じる騒音の回答を得た。住民は、対象幹線道路から 50m 以内の居住者 132 名(男性 49 名, 女
性 83 名)(年齢 20 歳以上, 60 歳以上が半数)。調査時期は平成 23 年 10~11 月。
4
2.法律と基準
道路交通騒音に係る法体系の概要、環境基準を定めた法令の抜粋(P.6~9)、要請限度を定
めた法令の抜粋(P.10~13)の順に示す。法体系の概要をまとめると図-2.1 となる。環境基本
法において、環境の保全についての基本理念、および施策の基本となる事項が定められ、
環境基本法に基づく告示において環境基準が定められている。また、騒音規制法において、
自動車単体から発生する騒音の大きさの限度、および市町村長が都道府県公安委員会に道
路交通規制等の措置を執るべきことを要請する騒音の限度(いわゆる「要請限度」)が定め
られている。
環 境 基 本 法
騒 音 規 制 法
騒音に係る環境基準(環境省告示)
自動車騒音の限度( 総理府令)
[要請限度]
道路交通法の規定よる措置を要請
市町村長→公安委員会
道路構造改善等の意見具申
市町村長→道路管理者
自動車騒音の大きさの許容限度(環境省告示)
[単体規制]
道路運送車両法
道路運送車両の保安基準(国土交通省令)
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(国土交通省)
[単体規制]
図-2.1 道路交通騒音に係る法体系の概要
道路に近接する地域(空間または区域)における騒音の基準値等(環境基準および要請限度)
を表-2.1 に示す。
表-2.1 幹線交通を担う道路に近接する地域における騒音の基準値等
基準等
根拠法
測定位置
幹線交通を担う道路 環 境 基 本 法 住居等の建 屋外
に近接する空間に係 に 基 づ く 告 物の騒音の 屋内
る環境基準
影響を受け
示
やすい面
幹線交通を担う道路 騒音規制法 道路の敷地の境界
に近接する区域に係 に基づく省 線
る要請限度
令
基準値等
昼間
夜間
6:00-22:00
22:00-6:00
70 dB 以下
65 dB 以下
45 dB 以下
40 dB 以下
75 dB
70 dB
幹線交通を担う道路:高速自動車国道、一般国道、都道府県道、および四車線以上の市町村道等
5
環境基本法 (抜粋)
(平成 5 年 11 月 19 日 法律第 91 号 最終改正:平成 26 年 5 月 30 日法律第 46 号
第三節
環境基準
第十六条
政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条
件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されるこ
とが望ましい基準を定めるものとする。
2
前項の基準が、二以上の類型を設け、かつ、それぞれの類型を当てはめる地域又
は水域を指定すべきものとして定められる場合には、その地域又は水域の指定に関する
事務は、二以上の都道府県の区域にわたる地域又は水域であって政令で定めるものにあ
っては政府が、それ以外の地域又は水域にあってはその地域又は水域が属する都道府県
の知事が、それぞれ行うものとする。
3
第一項の基準については、常に適切な科学的判断が加えられ、必要な改定がなさ
れなければならない。
4
政府は、この章に定める施策であって公害の防止に関係するもの(以下「公害の
防止に関する施策」という。)を総合的かつ有効適切に講ずることにより、第一項の基
準が確保されるように努めなければならない。
騒音に係る環境基準について(抜粋)
(平成 10 年 9 月 30 日環告 64 改正:平成 17 年 5 月 26 日環告 45)
環境基本法(平成5年法律第91号)第16条第1項の規定に基づく騒音に係る環境
基準について次のとおり告示する。
環境基本法第16条第1項の規定に基づく、騒音に係る環境上の条件について生活環
境を保全し、人の健康の保護に資する上で維持されることが望ましい基準(以下「環境
基準」という。)は、別に定めるところによるほか、次のとおりとする。
第1 環境基準
1 環境基準は、地域の類型及び時間の区分ごとに次表の基準値の欄に掲げるとおりと
し、各類型を当てはめる地域は、都道府県知事が指定する。
地域の類型
AA
A及びB
C
基
準
値
昼
間
夜
間
50デシベル以下
40デシベル以下
55デシベル以下
45デシベル以下
60デシベル以下
50デシベル以下
(注)
1 時間の区分は、昼間を午前6時から午後10時までの間とし、夜間を午後10時か
ら翌日の午前6時までの間とする。
2 AAを当てはめる地域は、療養施設、社会福祉施設等が集合して設置される地域な
ど特に静穏を要する地域とする。
3 Aを当てはめる地域は、専ら住居の用に供される地域とする。
4 Bを当てはめる地域は、主として住居の用に供される地域とする。
6
5 Cを当てはめる地域は、相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される地域と
する。
ただし、次表に掲げる地域に該当する地域(以下「道路に面する地域」という。)に
ついては、上表によらず次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。
基
地 域 の 区 分
昼
A地域のうち2車線以上の車線
を有する道路に面する地域
B地域のうち2車線以上の車線
を有する道路に面する地域及び
C地域のうち車線を有する道路
に面する地域
間
準 値
夜
間
60デシベル以下
55デシベル以下
65デシベル以下
60デシベル以下
備考 車線とは、1縦列の自動車が安全かつ円滑に走行するために必要な一定の幅員を
有する帯状の車道部分をいう。 この場合において、幹線交通を担う道路に近接する空
間については、上表にかかわらず、特例として次表の基準値の欄に掲げるとおりとする。
基
準
昼
間
70デシベル以下
値
夜
間
65デシベル以下
備考
個別の住居等において騒音の影響を受けやすい面の窓を主として閉めた
生活が営まれていると認められるときは、屋内へ透過する騒音に係る基準
(昼間にあっては45デシベル以下、夜間にあっては40デシベル以下)に
よることができる。
2 1の環境基準の基準値は、次の方法により評価した場合における値とする。
(1)評価は、個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本とし、住居等
の用に供される建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルによって評価す
るものとする。
この場合において屋内へ透過する騒音に係る基準については、建物の騒音の影響を受
けやすい面における騒音レベルから当該建物の防音性能値を差し引いて評価するもの
とする。
(2)騒音の評価手法は、等価騒音レベルによるものとし、時間の区分ごとの全時間を
通じた等価騒音レベルによって評価することを原則とする。
(3)評価の時期は、騒音が1年間を通じて平均的な状況を呈する日を選定するものと
する。
(4)騒音の測定は、計量法(平成4年法律第51号)第71条の条件に合格した騒音
計を用いて行うものとする。この場合において、周波数補正回路はA特性を用いること
とする。
(5)騒音の測定に関する方法は、原則として日本工業規格Z8731による。ただし、
時間の区分ごとに全時間を通じて連続して測定した場合と比べて統計的に十分な精度
を確保し得る範囲内で、騒音レベルの変動等の条件に応じて、実測時間を短縮すること
7
ができる。当該建物による反射の影響が無視できない場合にはこれを避けうる位置で測
定し、これが困難な場合には実測値を補正するなど適切な措置を行うこととする。また、
必要な実測時間が確保できない場合等においては、測定に代えて道路交通量等の条件か
ら騒音レベルを推計する方法によることができる。
なお、著しい騒音を発生する工場及び事業場、建設作業の場所、飛行場並びに鉄道の
敷地内並びにこれらに準ずる場所は、測定場所から除外する。
3 環境基準の達成状況の地域としての評価は、次の方法により行うものとする。
(1)道路に面する地域以外の地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域
の騒音を代表すると思われる地点を選定して評価するものとする。
(2)道路に面する地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域内の全ての
住居等のうち1の環境基準の基準値を超過する戸数及び超過する割合を把握すること
により評価するものとする。
第2 達成期間等
1 環境基準は、次に定める達成期間でその達成又は維持を図るものとする。
(1)道路に面する地域以外の地域については、環境基準の施行後直ちに達成され、又
は維持されるよう努めるものとする。
(2)既設の道路に面する地域については、関係行政機関及び関係地方公共団体の協力
の下に自動車単体対策、道路構造対策、交通流対策、沿道対策等を総合的に実施するこ
とにより、環境基準の施行後10年以内を目途として達成され、又は維持されるよう努
めるものとする。ただし、幹線交通を担う道路に面する地域であって、道路交通量が多
くその達成が著しく困難な地域については、対策技術の大幅な進歩、都市構造の変革等
とあいまって、10年を超える期間で可及的速やかに達成されるよう努めるものとす
る。
(3)道路に面する地域以外の地域が、環境基準が施行された日以降計画された道路の
設置によって新たに道路に面することとなった場合にあっては(1)及び(2)にかか
わらず当該道路の供用後直ちに達成され又は維持されるよう努めるものとし、環境基準
が施行された日より前に計画された道路の設置によって新たに道路に面することとな
った場合にあっては(2)を準用するものとする。
2 道路に面する地域のうち幹線交通を担う道路に近接する空間の背後地に存する建
物の中高層部に位置する住居等において、当該道路の著しい騒音がその騒音の影響を受
けやすい面に直接到達する場合は、その面の窓を主として閉めた生活が営まれていると
認められ、かつ、屋内へ透過する騒音に係る基準が満たされたときは、環境基準が達成
されたものとみなすものとする。
3 夜間の騒音レベルが73デシベルを超える住居等が存する地域における騒音対策
を優先的に実施するものとする。
第3 環境基準の適用除外について
この環境基準は、航空機騒音、鉄道騒音及び建設作業騒音には適用しないものとす
る。
附 則
この告示は、平成11年4月1日から施行する。
8
騒音に係る環境基準では、
「道路に面する地域」の範囲が明確に示されていないため、参考ま
でに騒音に係る環境基準の評価マニュアル 4)の抜粋を以下に示す。
騒音に係る環境基準の評価マニュアル Ⅱ 地域評価編(道路に面する地域)4)
(環境庁 平成 12 年 4 月)
ここでは、
「幹線交通を担う道路」を想定した場合に、一般的に道路交通騒音の及ぶ範
囲等を考慮して、地域評価を行う範囲を便宜的に道路端より 50mとした。
この評価範囲は、
「道路に面する地域の環境基準を適用する範囲」を示すものではなく、
さらにこの範囲を固定的・画一的に評価の母数としようとするものでもない。
評価区間における評価範囲等の概念図
9
騒音規制法(昭和 43 年 6 月 10 日法律第 98 号
号)
第四章 自動車騒音に係る許容限度等
最終改正:平成 23 年 12 月 14 日法律第 122
(許容限度)
第十六条 環境大臣は、自動車が一定の条件で運行する場合に発生する 自動車騒音の大
きさの許容限度 を定めなければならない。
2 自動車騒音の防止を図るため、国土交通大臣は、道路運送車両法に基づく命令で、自
動車騒音に係る規制に関し必要な事項を定める場合には、前項の許容限度が確保され
るように考慮しなければならない。
(測定に基づく要請及び意見)
第十七条 市町村長は、第二十一条の二の測定を行った場合において、指定地域内にお
ける自動車騒音が環境省令で定める限度を超えていることにより道路の周辺の生活環
境が著しく損なわれると認めるときは、都道府県公安委員会に対し、道路交通法 (昭
和三十五年法律第百五号)の規定による措置を執るべきことを要請するものとする。
2 環境大臣は、前項の環境省令を定めようとするときは、あらかじめ、国家公安委員会
に協議しなければならない。
3 市町村長は、第一項の規定により要請する場合を除くほか、第二十一条の二の測定を
行った場合において必要があると認めるときは、当該道路の部分の構造の改善その他
自動車騒音の大きさの減少に資する事項に関し、道路管理者又は関係行政機関の長に
意見を述べることができる。
(常時監視)*1
第十八条 都道府県知事(市の区域に係る自動車騒音の状況については、市長。次項に
おいて同じ。)は、自動車騒音の状況を常時監視しなければならない。
2 都道府県知事は、前項の常時監視の結果を環境大臣に報告しなければならない。
(公表)
第十九条 都道府県知事は、当該都道府県の区域(町村の区域に限る。)に係る自動車
騒音の状況を公表するものとする。
2 市長は、当該市の区域に係る自動車騒音の状況を公表するものとする。
(環境大臣の指示)
第十九条の二 環境大臣は、自動車騒音により人の健康に係る被害が生ずることを防止
するため緊急の必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定
める事務に関し必要な指示をすることができる。
一
市町村長 第十七条第一項の規定による要請に関する事務及び同条第三項の規定
による意見を述べることに関する事務
二
都道府県知事、市長又は第二十五条の政令で定める町村の長 第二十二条の規定に
よる協力を求め、又は意見を述べることに関する事務
*1:平成 23 年の改正で市長も常時監視、および公表することになった。
10
騒音規制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める
省令(平成 12 年 3 月 2 日総理府令第 15 号 最終改正年月日: 平成 23 年 11 月 30 日環境省令
第 32 号)
騒音規制法(昭和四十三年法律第九十八号)第十七条第一項の規定に基づき、騒音規
制法第十七条第一項の規定に基づく指定地域内における自動車騒音の限度を定める命令
(昭和四十六年総理府厚生省令第三号)の全部を次のように改正する。
(定義)
第一条
この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるとこ
ろによる。
一
車線
一縦列の自動車(二輪のものを除く。)が安全かつ円滑に走行するために必
要な幅員を有する帯状の車道の部分をいう。
二
幹線交通を担う道路
道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第三条に規定する高
速自動車国道、一般国道、都道府県道及び市町村道(市町村道にあっては四車線以上の
車線を有する区間に限る。)並びに道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二
条第八項に規定する一般自動車道であって都市計画法施行規則(昭和四十四年建設省令
第四十九号)第七条第一号に規定する自動車専用道路をいう。
三
昼間
午前六時から午後十時までの間をいう。
四
夜間
午後十時から翌日の午前六時までの間をいう。
五
デシベル
計量法(平成四年法律第五十一号)別表第二に定める音圧レベルの計量
単位をいう。
(自動車騒音の限度)
第二条
騒音規制法第十七条第一項の環境省令で定める限度(以下「限度」という。)は、別
表のとおりとする。
(幹線交通を担う道路に近接する区域に係る限度の特例)
第三条
別表に掲げる区域のうち幹線交通を担う道路に近接する区域(二車線以下の車線を有
する道路の場合は道路の敷地の境界線から十五メートル、二車線を超える車線を有する
道路の場合は道路の敷地の境界線から二十メートルまでの範囲をいう。)に係る限度は、
前条の規定にかかわらず、昼間においては七十五デシベル、夜間においては七十デシベ
ルとする。
(都道府県知事及び都道府県公安委員会が協議して定める限度)
第四条
前二条の規定にかかわらず、別表に掲げる区域のうち学校、病院等特に静穏を必要と
する施設が集合して設置されている区域又は幹線交通を担う道路の区間の全部又は一部
11
に面する区域に係る限度は、都道府県知事(市の区域内の区域に係る限度については、
市長。)及び都道府県公安委員会が協議して定める自動車騒音の大きさとすることがで
きる。
(自動車騒音の測定方法等)
第五条
前三条に規定する限度は、次に掲げる方法により測定した場合における値によるもの
とする。
一
騒音の測定は、計量法第七十一条の条件に合格した騒音計を用いて行うものとする。
二
騒音の測定は、道路に接して住居、病院、学校等の用に供される建築物(以下「住
居等」という。)が存している場合には道路の敷地の境界線において行い、道路に沿っ
て住居等以外の用途の土地利用が行われているため道路から距離をおいて住居等が存し
ている場合には住居等に到達する騒音の大きさを測定できる地点において行うものとす
る。これらの場合において、測定を行う高さは、当該地点の鉛直方向において生活環境
の保全上騒音が最も問題となる位置とする。
三
騒音の測定は、当該道路のうち原則として交差点を除く部分に係る自動車騒音を対
象とし、連続する七日間のうち当該自動車騒音の状況を代表すると認められる三日間に
ついて行うものとする。
四
騒音の評価手法は、等価騒音レベルによるものとする。
五
騒音の測定方法は、原則として、日本工業規格Z八七三一に定める騒音レベルの測
定方法によるものとし、建築物による無視できない反射の影響を避けうる位置で測定す
るものとする。ただし、建築物と道路との間(道路の敷地の境界線を含む。)の地点に
おいて測定を行い、当該建築物による無視できない反射の影響を避けることができない
場合において、当該影響を勘案し実測値を補正するなど適切な措置を講ずるときは、こ
の限りでない。
六
自動車騒音以外の騒音又は当該道路以外の道路に係る自動車騒音による影響がある
と認められる場合は、これらの影響を勘案し実測値を補正するものとする。
七
騒音の大きさは、測定した値を時間の区分ごとに三日間の原則として全時間を通じ
てエネルギー平均した値とする。
別表
区域の区分
一
a区域及びb区域のうち一車線を有する道路に面する区域
二
a区域のうち二車線以上の車線を有する道路に面する区域
三
b区域のうち二車線以上の車線を有する道路に面す区域及び
c区域のうち車線を有する道路に面する区域
12
時間の区分
昼間
夜間
六十五デ
五十五デ
シベル
シベル
七十デシ
六十五デ
ベル
シべル
七十五デ
七十デシ
シベル
ベル
備考
a区域、b区域及びc区域とは、それぞれ次の各号に掲げる区域として都道府県知
事が定めた区域をいう。
一 a区域 専ら住居の用に供される区域
二 b区域 主として住居の用に供される区域
三 c区域 相当数の住居と併せて商業、工業等の用に供される区域
附則
この府令は、平成十二年四月一日から施行する。
附則 (平成一二年一二月一五日総理府令第一五〇号)
この府令は、内閣法の一部を改正する法律(平成十一年法律第八十八号)の施行の
日(平成十三年一月六日)から施行する。
補足:都道府県及び市(特別区)は、法定受託事務と自動車騒音の常時監視を行う。常時
監視のマニュアル 5)が、平成 23 年 9 月に作成されている。
13
3.道路交通騒音の現況を把握する方法
事業の計画・評価、環境問題への対応等においては、道路交通騒音の現況把握が必要に
なる。道路交通騒音の現況把握は、自動車騒音常時監視の調査報告 1)(環境省)または個別
の測定・評価により行われている。自動車騒音常時監視は、都道府県及び騒音規制法上の
政令市が騒音規制法に基づく法定受託事務として実施したものであり、調査結果はインタ
ーネットで公開されている。図-3.1 および図-3.2 は騒音の測定値および環境基準の達成状
況の公表例 8)である。以下、測定、評価、およびその他の調査の概要を示す。
騒音
調査自
報告
一連 測定
治体名
年度
番号 地点
称
番号
2008 札幌市 1042
2008 札幌市 1043
2008 札幌市 1044
測定地点の
住所
札幌市白石
1021 区北郷3条1
丁目
札幌市西区
3005 宮の沢1条4
丁目15
札幌市北区
3011 北32条西10
丁目
測
道
[1] [1]道 22定
環境 Leq Leq
路
[1]路線
車線 路種 ] ] 終
基準 昼間 夜間 緯度
経度
敷
名
数 別
類型 (dB) (dB)
路
道地
路境
北郷1
4
5
B
67
59
43.065 141.4056
丁目線
一般国
道5号
4
3
C
71
68
一般国
道5号
4
3札 C
71
66 43.09991 141.3332
43.0921 141.2669
図-3.1 騒音の測定値の公表例
[
[1]
2全体
22
調査自
評価区間
[1] 道
]評価
報告
一連番 評価区 評価区間開
[1]路線
]]
終了点住 延長
治体名
車線 路
道
対象
年度
号
間番号 始点住所
名
路
車
称
所
数 種
戸数
路
線
線
別
種
(戸)
数
別
2006 札幌市
4751
2007 札幌市
5848
2008 札幌市
4713
札幌市清田
40544 区里塚3条
7丁目
札幌市清田
40544 区里塚3条
7丁目
札幌市清田
40544 区里塚3条
7丁目
札幌市清
田区平岡
公園
札幌市清
田区平岡
公園
札幌市清
田区平岡
公園
全体
昼夜
とも
基準
値以
下戸
数
(戸)
全体
昼夜
とも
基準
値以
下割
合
(%)
全体
昼の
み基
準値
以下
戸数
(戸)
全体
昼の
み基
準値
以下
割合
(%)
全体
夜の
み基
準値
以下
戸数
(戸)
全体
夜の
み基
準値
以下
割合
(%)
全体
昼夜
とも
基準
値超
過戸
数
(戸)
全体
昼夜
とも
基準
値超
過割
合
(%)
2.3
道央自
動車道
4
1
67
66 98.5
0
0
1 1.49
0
0
2.3
道央自
動車道
4
1
67
67 100
0
0
0
0
0
0
2.3
道央自
動車道
4
1
67
67 100
0
0
0
0
0
0
図-3.2 環境基準の達成状況の評価結果の公表例
14
1) 測定
法令、マニュアル等に記載されている測定方法、および測定の事例を表-3.1 および図-3.3
にそれぞれ示す。騒音計についている黒いスポンジのようなものは風雑音を防止するため
のウインドスクリーンである。
表-3.1 道路交通騒音を測定する方法
測定日
時間の区分
測定位置
-水平方向
測定位置
-鉛直方向
測定方法等
除外音の処
理
その他
環境基準での評価
要請限度での評価
建物の位置での測定
道路端 *1での測定
騒音が 1 年を通じて平均的な状況 連続する 7 日間のうち当該自動車騒音
を呈する日
の状況を代表すると認められる 3 日間
昼間:午前 6 時から午後 10 時
夜間:午後 10 時から翌日の午前 6 時
建物から 1~2 m で騒 道 路 端 の 道路に接して住居等が存している場合
には敷地の境界線、道路から距離をお
音 の 影 響 を 受 け や す 1側 6)
いて住居等が存してる場合には住居等
い面 4)
に到達する騒音の大きさを測定できる
地点
住居等の平均的な高
鉛直方向において生活環境の保全上騒
さで地上 1.2 m~5 m4)
音が最も問題となる位置とし、一般的
な平面道路の場合は原則として地上
1.2 m7)
JIS Z 8731 により等価騒音レベルを測定
航空機騒音、鉄道騒音、建設作業騒音、鳥の声、マフラー改造による音、パ
トカーのイレン等の自動車以外の音や平均的でない音は除外
一般的な測定では、10 分間の測定を 1 時間ごとに 24 回行い、昼夜別の等価
騒音レベルを算出する。
*1: 道路端とは、道路の敷地(敷地内に複数の道路の管理者が存在する場合は、各道路の管理者
が管理する敷地)の境界線をいう 6)。
道路の敷地の境界線で測定
図-3.3 騒音測定の事例
15
騒音計
2) 評価
道路交通騒音は、環境基準または要請限度で評価されている。以下、これらの評価につ
いて説明する。
2.1) 環境基準
騒音に係る環境基準の告示(P.6)において、騒音を評価する位置、および環境基準の達成
状況を評価する方法を以下としている。
①評価は、個別の住居等が影響を受ける騒音レベルによることを基本とし、住居等の用に
供される建物の騒音の影響を受けやすい面における騒音レベルによって評価するものとす
る。
②道路に面する地域については、原則として一定の地域ごとに当該地域内の全ての住居等
のうち環境基準の基準値を超過する戸数及び超過する割合を把握することにより評価する
ものとする。
①の評価に対応した測定方法は表-3.1 の「建物の位置での測定」の列に記載した。しかし、
②の評価(いわゆる「面的評価」)に対応して全ての住居等で騒音を測定することは事実的
に不可能である。実務的には表-3.1 の「環境基準での評価」の「道路端での測定」の列での
測定値および建物の地理情報に基づいて住居等における騒音レベルを図-3.4 のように推計
している。環境省は 50m幅の区域ごとの環境基準達成率を図-3.5 のように環境 GIS8)として
公表している。
図-3.4 建物ごとの騒音の計算事例
図-3.5 公表された面的評価の結果の事例
なお、道路端での測定値を環境基準値と比較する場合もある。
2.2) 要請限度
道路端で測定した騒音レベルを要請限度値で評価。測定日数は、騒音規制法の要請限度
を適用する場合は 3 日間とされているが、騒音の現況把握においては一般的に 1 日。
16
3) その他
必要に応じて①道路の状況、②社会的状況を調査する。
①道路の状況
平面図、断面図により幅員構成、車線数、道路構造の種類(盛土、切土、トンネル、橋
若しくは高架、その他の構造の別)を把握するとともに、対象道路に係る道路の区分(道
路構造令(昭和 45 年政令第 320 号)第三条に規定する道路の区分をいう)、設計速度、計
画交通量及び(道路交通センサスにより)交通量を把握する。
②社会的状況
土地の利用や法令による指定の状況等、以下に記載した社会的状況を把握する。表-3.2
は把握する状況と入手資料の一覧である。
表-3.2
社会的状況の項
目
土地利用の状況
交通の状況
学校、病院その
他の環境の保全
についての配慮
が特に必要な施
設の配置の状況
及び住宅の配置
の概況
環境の保全を目
的として法令等
により指定され
た地域その他の
対象の状況、当
該対象に係る規
制の内容の状況
社会的状況の把握
把握する状況
文献・資料名
土地利用の現況
土地利用計画の状況
土地利用図
土地利用現況図
土地利用基本計画図
土地利用動向調査
都市計画図
道路交通センサス
主要な道路の位置
交通量等の状況
学校、病院、幼稚園、児童
福祉法に基づく児童福祉
施設(保育所等)、老人ホ
ーム、図書館等の配置の状
況、集落の状況、住宅の配
置の概況、将来の住宅地の
面整備計画の状況
①幹線道路の沿道の整備
に関する法律(昭和 55 年
法律第 34 号)第五条第一
項の規定により指定され
た沿道整備道路
②環境基本法(平成 5 年法
律第 91 号)第十六条第一
項の規定により定められ
た騒音に係る環境基準の
類型の指定状況
③騒音規制法(昭和 43 年
法律第 98 号)第三条第一
項及び第十七条第一項に
基づく指定地域内におけ
る自動車騒音の限度、地域
指定状況、区域の区分、時
間の区分の状況
住宅地図
病院名簿
教育要覧
土地利用動向調査
社会福祉施設名簿
発行者等
国土地理院
都道府県
市町村
都道府県
市町村
国土交通省
都道府県
民間
都道府県
例規集等
都道府県等
都道府県環境白書
例規集等
都道府県
都道府県等
都道府県環境白書
例規集等
都道府県
都道府県等
17
4.各種の道路交通騒音対策
道路交通騒音対策は多様であり、様々な着目点で分類できる。体系図の一例を図-4.1(次
頁)に示す。公共機関の整備や道路の立体交差などのように本来の目的が別の施策でも騒
音の抑制に資すると考えられるものも含めている。下線 は、道路交通騒音対策を目的とし
て道路管理者が講じているもので実施例が多いものである。図-4.1 の 下線 および建物防音
の模式図を図-4.2 に示す。主な騒音対策のおおまかな効果を資-4.1,2 に示す。これらの効
果は現場条件により大きく異なることに注意する必要がある。以下、図-4.1 のなかから把
握しておくことが望ましい対策を抜粋し、[ ]書きで示した節、項等で参考となる例、資料
等を示す。
排水性舗装
建物防音
遮音壁
高架裏面吸音板
環境施設帯
環境施設帯
伝 搬 経 路 対 策
受音点対策
遮音壁, 高架裏面吸音板, 半地下道路
建物防音
発生源対策
単体規制, 排水性舗装
通常の密粒舗装
排水性舗装
遮音壁
建物防音
図-4.2 道路交通騒音対策の模式図
備考:排水性舗装は、
「低騒音効果のある高機能舗装」または「低騒音舗装」ともいわれる。
18
自動車の低騒音化
・自動車騒音単体規制[4.1]
・低公害車の開発、普及の促進
・車輌検査、点検整備の徹底
交通流対策[4.2]
交通の分散[4.2.1]
交通規制等[4.2.2]
物流の合理化
道
路
交
通
騒
音
対
策
旅客輸送の合理化
・環状道路、バイパスの整備
・代替ルートへの誘導(ロードプライシング等)
・大型貨物車の中央寄り車線通行規制
・大型貨物等の通行禁止
・環境レーン
・速度規制
・消音器等の不法改造車両等の取締り
・交通管制システム、信号機の制御
・バス専用、優先レーンの設置
・物流拠点の整備・適正配置(ハード)
・在庫、配送の合理化(ソフト)
・公共交通機関の整備促進
道路構造対策[4.3]
基本構造
・掘割構造化、立体交差化
遮へい施設等の設置
・遮音壁[4.3.1]、遮音築堤
・高架裏面吸音板
路面の改良等
環境施設帯の設置
沿道対策[4.4]
*: 沿道法に基づく対策[4.4.1]
緩衝空間の設置
緩衝建築物の配置
沿道住宅の防音化
環境教育・啓発
・排水性舗装[4.3.2]、路面の補修
・橋梁ジョイント部の補修、桁連結
・環境施設帯[4.3.3]
・公園・農地・緑地の配置
・用途地域・特別用途地区の指定における配慮
・建築の用途・構造の指定
・土地区画整理・再開発等の都市計画及び事業
・建築物の高さ・間口率等の指定*
・防火地域の指定
・建替・共同建替による緩衝建築物化*
・公共施設の整備
・緩衝建築物の建築費用一部負担*
・沿道法に基づく防音工事助成*
・高速自動車国道等の防音助成[4.4.2]
・新築住宅の防音構造化の義務付け
・住宅の性能評価・表示制度(CASBEE)
・エコドライブの推進
図-4.1 道路交通騒音対策の体系図
19
資-4.1 各種対策効果の概要 9)
別紙 8
各種対策効果の概要
①自動車単体対策
現在予定されている単体規制(平成4年度中央
公害対策審議会答申及び平成 7 年中央環境審議会
答申に基づくもの)適合車に全て代替した場合
②道路構造対策
低騒音舗装
環境施設帯(片側 10m)
遮音壁(平面構造に高さ 3m の遮音壁)
③交通流対策
速度 10km/h の低減で
交通量 2 割削減で
④沿道対策
住宅と道路の間に空き地を設けた場合
(セットバック等)
車道から 10m で
車道から 20m で
緩衝建築物を設けた場合、建物の道路面裏側で
資-4.2 建物の防音性能の状況 9)
別紙 3
20
車種により
0.9~1.3 dB
約
約
約
約
約
3dB(A)前後
7dB(A)
10dB(A)
1dB(A)
1dB(A)
約 5dB(A)
約 8dB(A)
約 15~20dB(A)
4.1 自動車騒音単体規制
自動車単体の騒音は、中央環境審議会答申を受けた道路運送車両法の保安基準により、
「自動車の騒音防止装置」として規制されている。規制値および測定方法は、保安基準の
細目を定める告示で定められている(図-4.3)。図-4.4 は、これまでの規制値の推移の例を
示す。規制値は 10dB 以上強化(=発生する騒音のパワーを 1/10 以下に抑制)された。自動車
単体規制については付属資料 A5 自動車騒音の単体規制にも記載している。
騒音規制法
∟中央環境審議会答申
道路運送車両法
∟道路運送車両の保安基準(国土交通省令)
∟道路運送車両の保安基準の細目を定める告示(国土交通省告示)
図-4.3 自動車騒音単体規制の法体系
大型車(トラック)
乗用車(乗車定員6人以下)
原動機付自転車(第一種)
中型車(トラック)
二輪自動車(小型)
95
1,000μW/m2
加
90
速
走
行
騒 85
音
規
制
値 80
1/10
(
100μW/m2
)
d
B
1/10
75
10μW/m2
70
昭和
2
4
6
8
11
15
46 48 50 52 54 56 58 60 62 平
64 66
68
70
72
74 13
76 78
年
成
元
年
図-4.4 加速走行騒音規制値の推移
21
4.2 交通流対策
交通流対策のうち、他の路線への交通の誘導等、および交通規制等について解説する。
4.2.1 他の路線への交通の誘導等
騒音が懸案となっている路線から他の路線に交通を誘導させる施策として、料金格差で
誘導する環境ロードプライシング(図-4.5)
、有料道路の夜間無料化(資-4.3)
、大型車に高
架橋の通行を誘導する標識(図-4.6)などがある。バイパスの新設で交通量が減少し、騒音
値が下がった例は多い。
図-4.5 環境ロードプライシング
(国土交通省の website より)
図-4.6 大型車に高架橋の通行を促している例
22
資-4.3 有料 4 バイパスの夜間無料化で沿道環境が大幅改善 10)
進まなかった有料 4 バイパスへの交通転換
・現道 1 号(有料 4 バイパスとの並行区間)沿線地域では、進まなかった有料 4 バイパス
(藤枝・掛川・磐田・浜名バイパス)への交通転換が問題に。
・騒音の悪化が著しく、特に夜間における環境改善が急務。
夜間、有料 4 バイパスを無料化
・平成 11 年 4 月 1 日に有料 4 バイパスの夜間(22 時~翌朝 6 時)無料化を実施。
・夜間の現道交通が大幅に転換され、現道 1 号の沿道環境が改善。
23
4.2.2 交通規制等
交通規制等のうち、大型貨物車の中央寄り車線通行規制、大型貨物等の通行禁止、環境
レーン、および速度規制について解説する。
1) 大型貨物車の中央寄り車線規制
環境対策を目的とした車両通行区分の指定 (図-4.7)が各地で行われている。大型貨物自
動車等は指定された時間においては、指定された通行帯を通行しなければならない。東京
都内の環状7号線では、昭和48年3月から規制されており、大型貨物車は午前0時から5時ま
では中央寄り車線を通行しなければならない。国道43号の兵庫県内の一部区間では、平成
10年4月から規制されており(図-4.8)、大型貨物自動車等は、夜間22時~6時においては第3
通行帯を通行しなければならない。国道23号の名古屋市内の区間の一部および国道1号の豊橋
市内岡崎市内の一部の区間においても、夜間の23時~5時の間で、大型貨物車の中央寄り車
線通行規制が行われている。
図-4.7 大型貨物車の中央寄り車線通行規制(車両通行区分の指定)の概念図
図-4.8 国道43号における大型貨物自動車等の通行帯指定11)
24
2) 大型貨物等の通行禁止
東京都内の環状7号線(環七通り)以内及び環状8号線(環八通り)の一部では、土曜日22
時から日曜日7時までの間は大型貨物等の通行が禁止されている。
・環七通り以内都心全域(環七通りも含む)
・環八通りのうち、田園調布警察署前交差点から四面道交差点までの間
図-4.9 大型貨物等の都心部の通行禁止区域および標識の例 12)
表-4.1 環状 7 号線以内及び環状 8 号線の規制車両 12)
規制対象車両
・特定中型貨物自動車(最大積載量 5 トン以上 6.5 トン未満又は車両総重量 8 トン以
上 11 トン未満の中型貨物自動車)
・大型貨物自動車(最大積載量 6.5 トン以上又は車両総重量 11 トン以上の貨物自動車)
・大型特殊自動車(ロードローラー、タイヤローラー等)
備考
・首都高速道路は通行可能だが、規制区域内にある出口から一般道路へ出ることはで
きない。
・湾岸道路(国道 357 号)は通行可能。
・環八通りの規制区間では横断は可能。
25
3) 環境レーン
国道43号の兵庫県内の一部区間では、歩道寄りの車線を「環境レーン」と称し、大型車
には中央寄り車線の通行を促す対策が平成24年3月から講じられている(図-4.10)。
図-4.10 国道 43 号における環境レーン 11)
26
4)速度抑制
走行速度と騒音レベルの関係を表-4.2 に示す。走行速度を抑制することで騒音を抑制で
きる。走行速度を抑制する施策として、規制による方法、および啓発による方法について
解説する。
4.1)規制による方法
都道府県公安委員会は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、
又は交通公害その他の道路の交通に起因する障害を防止するため必要があると認めるとき
は、政令で定めるところにより、信号機又は道路標識等を設置、及び管理し、交通整理、
歩行者又は車両等の通行の禁止その他の道路における交通の規制をすることができる(道
路交通法第 4 条)。国道 43 号の一部の区間では、騒音対策を目的として、規制速度を昭和
48 年に 60km/h から 50km/h、平成元年に 50km/h から 40km/h に変更した。図-4.11 は他の規
制速度の例である。
4.2) 啓発による方法
国道 19 号では、騒音・振動の低減および交通事故の減少を目的とした木曽かめクラブの
取り組みが行われた。(図-4.12)
表-4.2 走行速度の変化と騒音レベルの変化 *1
走行速度(km/h) 通過時の
最大値の
V1
V2
変化(dB)*2
100 →
80
-3
100 →
60
-7
80 →
60
-4
80 →
50
-6
60 →
50
-2
60 →
40
-5
50 →
40
-3
等価騒音レ
ベルの変化
(dB)*3
-2
-4
-3
-4
-2
-4
-2
国道 250(夜間)
国道 2 号
図-4.11 騒音対策を目的とした速度規制
図-4.12 木曽かめクラブのロゴと車両 *4
*1: 定常走行の自動車から発生する騒音および通過時間は、速度の 3 乗および-1 乗に比例するため沿道の
騒音のエネルギー的な時間平均値は速度の 3 乗-1 乗=2 乗に比例する(表はデシベル換算値)。ただし、
加減速を伴う非定常走行では自動車から発生する騒音は速度の 1 乗に比例するので騒音のエネルギー
的な時間平均値は速度の 1 乗-1 乗=0 乗となり、速度によらないとされている。
*2: ΔL=30・log ( V 2 / V 1 )
*3: ΔL=20・log ( V 2 / V 1 )
*4:国土交通省の website に掲載されていたが削除されている(2014 年度時点)
27
(参考 1) 速度と交通安全
速度の低減は交通安全にも寄与する。WHO は、自動車と歩行者が衝突した際の自動車の走
行速度と歩行者が致命傷を負う確率との関係を図-4.13 で示している。信号制御の見直しに
より深夜の速度を抑制したら事故が減少したとの報告例(図-4.14)15)もある。
図-4.13 衝突時の自動車の走行速度と歩行者が致命傷となる確率 14)
図-4.14 信号制御により深夜の旅行速度が低下し事故が減少した例 15)
28
(参考 2) 啓発に資する横断幕の試行
騒音が課題になっている道路は物流等の役割が大きい道路でもある。その機能を維持し
つつ、騒音を低減させることは容易ではなく、道路管理者でできる対策は限られている。
このため、通行するドライバーに静かな運転を心がけてもらうことや道路管理者の願いを
住民の方に理解していただくことも大切と考え、図-4.15 の横断幕を試行的に設置した(図
-4.16)。過大な速度、加減速を抑制した穏やかな走行は、騒音、振動、燃料消費、路面の損
傷、エンジン・タイヤ・ブレーキの摩耗、交通事故、およびロードキルの抑制の効果があ
ると考えている。
図-4.15 啓発を目的とした横断幕
図-4.16 横断幕の設置例
29
4.3 道路構造対策
道路構造対策のうち、遮音壁、排水性舗装、および環境施設帯について解説する。
4.3.1 遮音壁
遮音壁は、自動車からの直達音を遮断して騒音を低減する( 図-4.17 )。環境影響評価法
に基づく環境影響評価では、約 7 割の事業において環境保全措置として遮音壁が計画され
ている。遮音壁は、図-4.18 に示すように様々な形式のものがある。遮音壁の設置にあ
図-4.17 遮音壁による騒音の低減
植栽に覆われた遮音壁
植栽と透光性遮音壁
透光性遮音壁
張り出し型
先端改良型遮音壁
先端改良型遮音壁
出典:KEEPING THE NOISE
DOWN 2001
低層遮音壁
掘割構造と遮音壁
図-4.18 様々な形式の遮音壁
30
海外の事例
たっては、沿道住民との調整が行われ、車の乗り入れ口、景観、日照、交通安全、および
防犯等について検討されている。遮音壁の設置コストは現場条件や遮音壁の仕様により異
なる。 遮音壁は、自動車専用道路のように連続して設置する場合の騒音低減効果は大きい
が,図-4.19 のように開口部を有する場合には,側方からも音が伝搬することに留意する必
要がある。
図-4.19 開口部の側方から伝搬する音
31
4.3.2 排水性舗装
排水性舗装は雨天時の安全確保を目的として開発されたものであるが、図-4.20 のように
タイヤと路面の間で空気が圧縮・膨張するのを空隙で緩和するとともに吸音することで騒
音を抑制する。排水性舗装による騒音低減量は道路の種別、車種、走行速度により異なる。
ASJ RTN-Model13)では排水性舗装の補正式を約 40 km/h~140 km/h の定常走行データ(積雪
地のデータは除く)から表-4.3 としている。図-4.21 はこれらを図示したものである。排水
性舗装による平均的な騒音低減量は約 3 dB(資-4.1)である。排水性舗装の減音効果は経
年変化で低下する。
表-4.3 排水性舗装による騒音低減量の補正量の計算式
道路種別
走行速度
停止時
一般道路
60 km/h まで
自動車専
用道路
60 km/h 未満
60 km/h 以上
車種
小型車類、
大型車類
小型車類
大型車類
小型車類
大型車類
小型車類
大型車類
計算式
ΔL surf =0
ΔL surf = -5.7 + 7.3log 10 (y+1)
ΔL surf = -3.9 + 3.6log 10 (y+1)
ΔL surf = -5.7 + 6.4log 10 (y+1)
ΔL surf = -3.9 + 3.6log 10 (y+1)
ΔL surf = 3.2 -5log 10 V +6.4log 10 (y+1)
ΔL surf = 5.0 -5log 10 V + 3.6log 10 (y+1)
ここで、V:走行速度[km/h]、y:施工後の経過時間[年]
図-4.20 排水性舗装によるタイヤ/路面音の抑制
敷設後5年 小型車類 (一般道)
密粒舗装との差 dB
0
-1
敷設後5年 小型車類 (自専道)
敷設後5年 大型車類
-2
-3
-3 dB 平均的な値
-4
大型車類 新設
-5
小型車類 新設
-6
-7
30 40 50 60 70 80 90 100
速度 km/h
図-4.21 排水性舗装による騒音低減量
32
(4.1)
(4.2)
(4.3)
(4.4)
(4.5)
(4.6)
4.3.3 環境施設帯
環境施設帯とは、幹線道路に隣接する地域の生活環境の保全を目的とした道路用地であ
り、「道路環境保全のための道路用地の取得及び管理に関する基準について」(昭和 49 年 4
月 10 日都市局長・道路局長通達)により設けられている。おおまかな概要を以下に示す。
・第1種または第2種住居専用地域等で、良好な住居環境を保全する必要がある地域では、
車道端から幅 10 メートルの土地を道路用地として取得する。ただし、自動車専用道路であ
って、道路の構造が切土、盛土、高架のいずれかに該当し、かつ夜間に相当の重交通が見
込まれる地域では、車道端から幅 20 メートル(ただし、建築物の不燃堅牢化が進んでいる
地域については 10 メートル。)。
・取得された土地は、原則として、植樹帯、しゃ音壁等を設置するものとし、必要に応じ
て、歩道、自転車道、通過交通の用に供しない道路等の施設を設け適正に管理する。
詳しくは文献 16)に解説されている。
新設の道路では環境施設帯が計画されるのが一般化しているが、供用中の道路でも用地
を任意取得して整備する例がある。事業の進め方、および整備効果の広報例を図-4.22 およ
び 図-4.23 に示す。
図-4.22 環境施設帯整備事業の進め方の例 *1
*1: 中部地方整備局作成資料を一部修正
33
図-4.23 環境施設帯整備事業の広報例 *2
*2:国土交通省の website に掲載されていたが削除されている(2014 年度時点)
34
4.4 沿道対策
沿道対策のうち沿道法に基づく対策、および高速自動車国道等の周辺における防音助成
について概要を述べる。
4.4.1 沿道法に基づく対策
都市における幹線道路周辺において、道路交通騒音による障害を防止し、あわせて適正
かつ合理的な土地利用を図ることを目的として、
「幹線道路の沿道の整備に関する法律」
(沿
道法)昭和 55 年法律第 34 号、平成 8 年改正が定められている。沿道法では知事が沿道整
備道路を指定すること、道路管理者及び都道府県公安委員会が道路交通騒音減少計画を作
成し、区市町村が沿道地区計画を策定すること、および以下の自動車騒音の諸対策を進め
ることを定めている。沿道法の概要を図-4.24 に示す(文献 17)からの引用)。
① 土地の取得費用の一部を国が市町村に無利子で貸付できること。
② 緩衝建築物の建築を促進するため、道路管理者が建築費の一部を負担すること。
③ 市町村条例により新設住宅の防音構造化が義務づけられたとき、道路管理者が既存住宅
の防音工事費用を助成すること。
④ 防音助成の住宅が老朽化し有効な防音工事の実施が困難な場合には、道路管理者が住宅
の移転・除去費用を助成できること。
沿道法による指定の要件は、交通量 1 万台、騒音 L Aeq 70 dB (昼)又は L Aeq 65 dB (夜)、
住居 50 以上連たん、車線数2車線以上とされている 17)。沿道整備道路の指定及び沿道地区
計画の決定状況を表-4.4 に示す。沿道対策として建築基準法に基づく建築制限条例を定め
ている区もあり、①建築物の用途の制限、②間口率の最低限度、③建築物の高さの最低限
度、④建築物の構造に関する遮音上の制限、⑤建築物の構造に関する防音上の制限、⑥敷
地面積の最低限度、⑦壁面の位置の制限などを規制している例もある。
35
沿
要請可
道路交通騒音減少計画
道路管理者及び都道府県公安
委員会が道路構造の改善,交
通規制等に係る計画を策定
計画に従い必要な措置を実施
沿道整備促進のための助成等
○沿道整備用地の取得費用の
無利子貸付け
・国→市町村
・費用の2/3以内(10年償還)
○緩衝建築物の建築等費用の
一部負担
・道路管理者→建築者
・建築費等(3F以下)の17%等
○防音工事に対する助成
・道路管理者→住宅所有者等
・工事費用の3/4
○住宅の移転等に対する助成
・道路管理者→住宅移転者等
・通常要する移転等費用の額
道
整
備
道
路
国土交通大臣の同意を得て
都道府県知事が指定
沿 道 地 区 計 画
指定の要件
道路管理者又は
関係市町村
・交通量
・騒 音
又は
・住 居
・車線数
1万台
Leq 70db(昼)
Leq 65db(夜)
50以上連たん
2車線以上
沿 道 整 備 協 議 会
沿道の土地利用を都市計画により規制
《計画の内容》
・区域及び方針
・沿道地区整備計画
建築物の間口率・高さの最低限度,
防音上・遮音上の制限,
緩衝空地,道路等の施設の整備 等
都道府県知事,都道府県公安
委員会,市町村,道路管理者
(国の地方行政機関の参加も
可)が沿道整備に必要となる
べき措置を協議
沿 道 整 備 推 進 機 構
沿道整備権利移転等促進計画
○市町村が公益法人を指定
《業務の内容》
・沿道整備事業者に対する情報提供,
相談等の援助
・緩衝建築物の建築
・沿道整備用地の取得,管理,譲渡 等
○機構の用地取得について
市町村が行う無利子貸付けに対す
る無利子貸付け
・国→市町村
・貸付額の2/3以内
(10年償還)
図-4.24 沿道法の概要 17)
36
○市町村が策定
《計画の内容》
・権利移転者名,権利移転地,
移転後の土地の利用目的
・権利移転時期,対価 等
○計画の公告により権利移
転
○土地所有者等は計画策定
を要請可
表-4.4 沿道整備道路の指定及び沿道地区計画の決定状況 17)
道路名
1
2
3
4
5
6
7
8
9
一般国道43号、阪神高速
神戸西宮線、大阪西宮線
環状7号線
環状8号線
笹目通り
目白通り
一般国道4号
一般国道23号
一般国道254号
中原街道
沿道整備
協議会
道路交通騒
音減少計画
(平成 22 年 4 月 1 日現在)
指定区間の延長、公告年
地区計画の延長、
公告年
建築
条例
○
×
20.2km(尼崎市~神戸市)、S57
4.2km、H13~H15
×
○
○
×
×
○
○
×
×
7 路 線
5 協 議 会
○
○
×
×
×
○
×
×
55.5km(大田区~練馬区~江戸川区)、S58~H02
28.6km(大田区~板橋区),S58~H13
3.7km(練馬区),H14
4.9km(練馬区),H15
5.1km(足立区)、S59
1.2km(四日市市)、S59
8.7km(板橋区)、H08~H12
5.0km(品川区、大田区)、H17
55.5km S61~H04
27.4km,S59~H15
3.7km,H15
-
5.1km,S62~H01
1.2km,S62
4.1km,H09
5.0km,H18~H20
○
○
○
-
○
○
○
○
3路線
合計 132.9km、路線数計11路線
合計106km(49箇所)
40箇所
4.4.2 高速自動車国道等の周辺における防音助成
「高速自動車国道等の周辺における自動車交通騒音に係る障害の防止について」
(昭和 51
年 7 月 21 日建設省都市局長・建設省道路局長通達、平成 11 年 7 月 1 日一部改正)に基づい
て、高速自動車国道および自動車専用道路の沿道の住居等に対する防音助成が行われてい
る。助成の要件は以下となっている。
①夜間(22:00~6:00)の等価騒音レベルが 65 dB 以上。
②基準日(昭和 51 年 8 月 1 日。それ以降に供用された路線については供用開始日。)に居
住の用に供されていること。(いわゆる「先住者」を要件としている。
)
防音助成以外にも移転の助成が行われている。
37
5. 道路管理者の対応事例
騒音に対する苦情・要望等に対しては、現場条件等に応じて臨機応変に対応する必要が
ある。ここでは、典型的な対応事例について、担当者への聞き取り調査等に基づいて示す。
1) ただちに現場を確認し対策に着手した事例
夜間の騒音・振動が激しくて飛び起きることもあるとの苦情が電子メールと電話で道路
管理者に寄せられた。担当者は、ただちに現場に行き、埋め戻しの跡やわだちぼれによる
路面の不陸が原因であることを把握した。日交通量は約 2 万台である。道路管理者は、た
だちに延長約 170 m の舗装の打ち換え工事を行うこととした。年間契約している維持工事
で行うため、発注等の事務手続きに時間を要することもなかった。夜間工事となるために
工事前には沿道の住民にビラを配って周知した。対策後は騒音・振動が解消し、住民から
もお礼があった。なお、この事例においては騒音・振動の測定等は行っていない。
図-5.1 わだちぼれした路面のイメージ
2) 新たな装置を設置した事例
橋梁ジョイント(伸縮装置)部を車両が通過する際に発生する「突発騒音」に対する改
善要望が住民からよせられた。道路管理者は、
「橋梁ジョイント部における突発騒音吸収装
置」(図-5.2)を設置した。装置は「突発騒音」対策として新たに開発したものである。ジ
ョイント直下部での 84 dB 以上の突発騒音の発生頻度は 36%から 2%に減少し、住民からも
改善されたと評価された。
開閉構造
(点検が容易)
図-5.2 橋梁ジョイント部における突発騒音吸収装置の設置
38
3) 時間をかけて着実に改善した事例
既に騒音対策が講じられている沿道でさらなる騒音抑制を求められると対策に苦慮する
ことがある。ここでは、そのような困難な状況において、住民との対話を図りながら時間
をかけて着実に改善した例を示す。
住民の自治会から道路交通騒音の改善要望を受けた(起算時点 A 年度)。道路は、高架部 4
車線、平面部 6 車線の二層構造であり、これまでに高さ 3 ~ 5 m の遮音壁等の騒音対策は講
じられていた。しかし、騒音の測定値は、測定した7地点の全てで環境基準を超過してい
た。騒音対策は、環境施設帯の設置、遮音壁の嵩上げ、舗装の打ち換えの順で計画した。
環境施設帯の用地取得は A + 3 年度に完了したが、一部の商業施設で協力してもらえなかっ
た。この箇所では遮音壁も設置できなかった。A + 5 年度から A+8 年度に既設遮音壁( 高
さ 3 ~ 5 m )を高さ 8 m にする嵩上げの工事、A + 7 年度から A + 8 年度にかけて舗装の打
ち換え工事を施工した。遮音壁を設置することができなかった箇所では、商業施設と住宅
地の境界に遮音壁を設置して課題を解消した(図-5.3)。対策の進捗状況や騒音の測定値は、
住民説明および広報誌で住民にお知らせしていた。
図-5.3 道路に面した商業施設と住居の間に設置した遮音壁
なお、最適な対策計画を立案するためには、対策が困難な箇所では時間がかかることを
関係者が理解しておくことが必要である。
4) 騒音対策を講じることができない旨を説明した事例
バイパスの供用後に単路部およびオンオフランプ付近双方の住民から遮音壁の設置要望
を受けた。道路の敷地の境界線での騒音レベルは環境基準値(幹線交通を担う道路に近接
する空間の基準値)を 5 dB 以上下回っていた。住民には、騒音が環境基準値以下なので遮
音壁を設置することができない旨を説明して理解を得た。
経緯を以下に示す。
39
起算時点
1 ケ月後
5 ケ月後
6 ケ月後
7 ケ月後
12 ケ月後
20 ケ月後
24 ケ月後
バイパスの全線を暫定的に供用開始。
単路部沿道の住民から遮音壁の設置要望。
騒音測定。昼夜ともに環境基準値以下であるため遮音壁を設置すること
ができない旨を住民に説明。
立体交差のオンオフのランプ付近の住民の自治会から遮音壁およびカ
ーブミラーの設置要望。立体交差の高架部が工事中であったため直進車
両もランプ部を通過していた。
立体交差の供用開始までの暫定措置として仮設の遮音シートを設置。
(高さ 1.8 m、全長 20 m + 110 m)
カーブミラーの設置。
交差点の立体化供用。仮設の遮音シートを撤去。
騒音測定。環境基準値以下であるため遮音壁を設置することができない
旨を単路部沿道の住民に説明。
立体交差のオンオフのランプ付近の住民の自治会に報告。
道路事務所および施工業者は住民対応で以下に配慮している。
・電話があったら即対応する。
・できることできないことを明らかにし、困難なことは回答を保留し持ち帰って検討する。
・できることを見つける。
5) 騒音が環境基準値以下の沿道における騒音対策要望への対応事例
衝撃的な騒音等が発生する場合には、騒音が環境基準値以下の場合でも改善要望を受け
て対策を講じることがある。表-4.5 は騒音の対策要望の要因と対応の事例である。
表-4.5 騒音が環境基準値以下の沿道における騒音対策要望への対応事例
苦情・要望の内容・要因
対
策
車道内に設置した情報 BOX による段差通過音
下水道工事後の段差で振動(騒音)
実施
高架ジョイント音
工事による施工継目による段差で騒音振動発生
実施せず
大型車のエンジン音(勾配部)
図-5.4 路面の凹凸に起因する衝撃的な音のイメージ
40
付属資料 A1 騒音の基礎知識
A1.1 音と音圧
音は音源が振動することにより伝搬する空気の圧力変動である。人間が聞くことができる
周波数(可聴域)は 20~20,000 Hz である。
疎 密
疎密
波長
[波長]
道路交通騒音は約0.3m
人の可聴域は0.017m ~ 17m
図-A1.1 音の伝搬
音の大きさは音圧として測定され、音の強さは(A1.1)式の「音圧レベル」で示される。人
の耳で聞き取れる最小の音圧は 20 μPa = 0 dB (鼓膜の振動振幅が水素原子の直径程度)とさ
れ、100 Pa = 130 dB の音圧になると耳に痛みを感じる。
LSP = 10 log10
ここで、L SP :音圧レベル (dB),
p2
p02
p: 音圧
(A1.1)
(μPa), p 0 : 基準音圧
20 μPa
A1.2 デシベル
デシベル値は基準値 I 0 に対する I の比 I / I 0 を対数で表現したものである。log 10 ( I / I 0 )を
ベル(電話を発明したグラハム・ベルが語源)
、10 log 10 ( I / I 0 )をデシベルという。基準値
の 1 倍は log 1=0 なので 0 dB、2 倍は 10 log 2 = 3 dB、10 倍は 10 log 10 = 10 dB、1/2 倍は 10
log 1 / 2 = -3 dB、1 / 10 倍は 10 log ( 1 / 10 ) = -10 dB となる。0 dB とは何もないということで
はなく基準量の 1 倍を意味する。「60dB」は 1,000,000 倍を意味し、「60dB の騒音」は人が
聞くことができる最も小さい音の 1,000,000 倍を意味する。
比率
1/10
1/4
1/2
0.79
1
1.26
2
4
10
1,000,000
dB
-10
-6
-3
-1
0
+1
+3
+6
+10
+60
41
A1.3 聴感補正
同じ音圧でも低い音や高い音は聞こえにくくなる(図-A1.2 音の等感曲線)。騒音レベル
は、音圧レベルを図-A1.3 に示す A 特性で補正した値である。
10
周波数重み特性(dB)
0
-10
-20
-30
-40
-50
-60
-70
10
100
1000
周波数(Hz)
(Wikipedia, website より)
図-A1.2 音の等感曲線
図-A1.3 A 特性補正
42
10000
100000
A1.4 騒音の種類と表示方法
騒音レベルの表示方法は時間変動により文献 A1)の表-A1.1 のように分類される。自動車交通
騒音は変動騒音に該当する。
表-A1.1 騒音の種類と表示方法 A1)
非 定 常 騒 音
定常騒音
衝 撃 騒 音
変動騒音
間欠騒音
騒音レベル L A
騒音レベル L A
時間変
動特性
の例
騒音レベル L A
JIS Z レベル変化が小 レベルが不規則 間欠的に発生し、
8731 に さく、ほぼ一定と かつ連続的にか 一回の継続時間が
お け る みなされる騒音
なりの範囲にわ 数秒以上の騒音
表現
たって変化する
騒音
時間
時間
分離衝撃騒音
準定常衝撃騒音
個々に分離できる
衝撃騒音
(衝撃騒音:継続
時間が極めて短
い騒音)
レベルがほぼ一定
で極 め て 短 い 間
隔で連続的に発
生する衝撃騒音
騒音レベル L A
類
騒音レベル L A
種
時間
時間
時間
移動式クレーン(吊り
上げ作業)
ディーゼルパイルハンマ *
油圧パイルハンマ *
インパクトレンチ
ブレーカ *
騒音計の指示値
が不規則かつ大
幅に変動する場
合
騒音計の指示値が
周期的又は間欠的
に変動し、
①その指示値の最
大値が概ね一定の
場合
②その指示値の最
大値が一定でない
場合
騒音計の指示値が
周期的又は間欠的
に変動し、
①その指示値の最
大値がおおむね一
定の場合
②その指示値の最
大値が一定でない
場合
騒音計の指示値が
周期的又は間欠的
に変動し、その指
示値の最大値が概
ね一定の場合
騒 音 評 騒音計の指示値 測定値の 90%レ
価量
又はその平均値
ンジの上端の数
値
①変動ごとの指示
値の最大値の平
均値
②変動ごとの指示
値の最大値の90%
レンジの上端の数
値
①変動ごとの指示 変動ごとの指示値
値の最大値の平 の最大値の平均
均値
値
②変動ごとの指示
値の最大値の 90%
レンジの上端の数
値
騒 音 源 発動発電機
の例
トラクタショベル *
バックホウ *
アースオーガ
アースドリル
自動車交通
騒音規
制法に
基づく
表現
記号
騒音計の指示値
が変化せず、又は
変動が少ない場
合
LA
L A5
L Aeq
①L A,Fmax
①L A,Fmax
②L A,Fmax,5
②L A,Fmax,5
*
注)表中の は、騒音規制法に規定する特定建設作業で使用される建設機械である。
43
L A,Fmax
A1.5 騒音レベルの目安
地方公共団体の試験研究機関を会員とする全国環境研協議会では、全国 25 の機関が参加
して 2007 年度と 2008 年度の 2 ケ年で「騒音の目安」を作成して報告 A2)している(表-A1.2)。
表-A1.2 騒音の目安(文献 A2)より抜粋)
調査区分および調査項目
騒音
調査区分および調査項目
(調査件数)
レベル (調査件数)
(dB)
パチンコ店(10)
90
航空機内(8)
居酒屋(17)
75
一般地下鉄(114)
地下街等(12)
69
鉄道車内 都心・近郊線(128)
ファーストフード店(43)
66
〃
ローカル線(48)
コーヒーショップ(94)
66
〃
新幹線(35)
商店街 昼間(38)
66
〃
グリーン車(7)
コンビニ(19)
63
自動車内 高速道路(39)
喫茶店(102)
62
〃
一般道路(41)
タクシー車内(9)
会議室内(6)
63
銀行内(16)
59
海浜(13)
病院内(13)
58
蝉の声(10)
図書館(25)
43
44
騒音
レベル
(dB)
77
76
73
73
69
65
70
64
60
61
72
A1.6 等価騒音レベル L Aeq と中央値 L A50
等価騒音レベル(equivalent continuous A-weighted sound pressure level) L Aeq,T は、ある時間範
囲 T について、変動する騒音の騒音レベルをエネルギー的な平均値として表した量(JIS
Z8731)。実務上は騒音レベル L の真数 10L/10を時間平均してから dB 変換している((A1.2)式)。
表記は「L Aeq 」が多く、「L eq 」もみうけられる。
(
LAeq = 10 log10 10 L /10
)
(A1.2)
騒音レベルの中央値 L 50,T は、対象とする時間 T の 50%にわたって騒音レベルがその値以
上となる値である(JIS Z8731 を加筆修正)。表記は「L A50 」が多い。実務上は L の 50 パーセ
ンタイル値として計算。変動する騒音の等価騒音レベル L Aeq と中央値 L A50 の計算例を図
-A1.4 に示す。
L Aeq の計算では 10 dB 大きい騒音レベルは 10 倍の重みをつけて計算するため、
L Aeq =65dB は騒音レベル L(dB)の算術平均値 61 dB よりも大きくなる。一方、L A50 は 60dB と
なり、図の 100 秒間のうち 50 秒間において騒音レベルが 60dB 以上となっている。図-A1.5
は 24 時間の騒音測定値と昼夜別の L Aeq の例を示す。
LAeq計算時のウエイト
騒音レベル(dB)
70
10,000,000
LAeq=65dB
LA50=60dB
60
1,000,000
100,000
50
0
20
40
60
時間(s)
80
100
図-A1.4 等価騒音レベル L Aeq と中央値 L A50 の例
環境基準での
昼(6:00~22:00)のLAeq
騒音レベル (dB)
90
LAeq 計算時の
ウエイト
1,000,000,000
環境基準での
夜(22:00~6:00)のLAeq
80
100,000,000
70
10,000,000
60
1,000,000
50
100,000
40
10,000
30
6:00
10:00
14:00
18:00
時刻
22:00
2:00
6:00
1,000
図-A1.5 24 時間の騒音測定値と等価騒音レベル L Aeq の例
45
付属資料 A2 道路交通騒音の予測計算
道路交通騒音の予測計算は、1)事業の計画段階での環境影響評価、2)供用済の道路におけ
る騒音対策計画等で行われている。国土交通省では環境影響評価法に基づく環境影響評価
における騒音予測の基本的な手法を「道路事業に関する環境影響評価の実施について」(平
成 11 年 6 月 11 日
道路局長)(最終改正:平成 25 年 4 月 1 日)において、
(社)日本音響
学会の道路交通騒音の予測モデル(ASJ RTN-Model)によることとしている。ASJ RTN-Model
は環境影響評価法によらない騒音予測でも使用されている。日本音響学会は ASJ RTN-Model
を 5 年間隔で定期的に改訂しており、最新版は ASJ RTN-Model 2013 13)である。
A2.1 計算法の種類
騒音の予測方法には、大別して 1) 幾何音響、2) 波動音響、および 3) 模型実験がある。
ASJ RTN-Model の本文で示されている計算方法は、1) 幾何音響に分類される。エネルギー
ベースで計算し、干渉の影響は考慮しない。2) 波動音響は、音を波動として扱い、干渉の
影響を考慮する。FDM(差分法)、FEM(有限要素法)、BEM(境界要素法)等の数値計算
方法がある。ASJ RTN-Model の本文で示されている計算法のなかには、波動音響で計算し
た結果を実務者向けに簡便式で示したものもある(例:半地下構造道路からの騒音の計算式)。
3) 模型実験は、現場条件が複雑な場合に実施することがある。図-A2.1 のように無響室内に
実寸法の 1/n の模型を製作し、n 倍の周波数(波長は 1/n)の音を発生させることで音の伝搬
を模擬する。例えば、遮音壁高さ 8 m、道路交通騒音のピーク周波数 1 kHz、および波長 34
cm を n = 25 で模型実験する際には、遮音壁高さ 32 cm となり、音源は周波数 25 kHz、波長
1 cm の超音波となる。
図-A2.1 模型実験の例
46
A2.2 ASJ RTN-Model による予測計算の概要
ASJ RTN-Model による予測計算の概要は以下である。
1) 適用範囲
適用範囲は以下のとおりである。
(1) 対象道路:道路一般部(平面、盛土、切土、高架)、道路特殊箇所(インターチェンジ
部、連結部、信号交差点部、トンネル坑口周辺部、掘割・半地下部、高架・
平面道路併設部、複層高架部)
(2) 交通量:制限なし
(3) 自動車の走行速度:自動車専用道路、一般道路の定常走行部 40~140 km/h
一般道路の非定常走行部 10~60 km/h
インターチェンジ部などの加減速・停止部 0~80 km/h
(4) 予測範囲:道路から水平距離 200 m、高さ 12 m(検証されているのはこの範囲までで
あるが、原理的には適用範囲に制限はない。)
(5) 気象条件:無風で特に強い気温の勾配が生じていない状態を標準とする。
2) 予測計算の流れ
対象とする道路上を 1 台の自動車が通過する際のユニットパターン(図-A2.2 のような騒
音レベルの時間変化のパターン)から予測地点における単発騒音暴露レベル L AE を計算し、
時間当たりの走行台数分で積算することで予測地点の等価騒音レベル L Aeq を計算する。騒
音の発生量については車種および速度を考慮し、騒音の伝搬については地表面や遮音壁等
による減衰を考慮する。計算手順は以下である。
予測地点
伝搬距離 r (m)
離散点音源
騒音レベル(dB)
ユニットパターン
Time t (s)
図-A2.2 ユニットパターン
2.1)道路構造・沿道条件・予測地点の設定
道路条件・沿道条件に基づいて、予測に必要な音源の位置、伝搬経路上の遮音壁など
音響障害物の位置、地表面性状および予測地点を設定する。
47
2.2) 音源のパワーレベルの設定
音源の A 特性音響パワーレベル L WA は自動車の走行状態(定常
*1
、非定常
*1
、加速、
減速)、走行速度及び補正条件(舗装路面の種類、道路の縦断勾配、指向性及びその他の
要因によるレベル変化)を考慮して設定する。図-A2.3 は自動車走行騒音の A 特性音響パ
ワーレベルの模式図、表-A2.1 は 4 車種分類のパワーレベルである。図-A2.4 は 60 km/h
における A 特性補正した音響パワー(W)を車種別に示したものである。1台当たりの騒音
はこの重みで加算されることになる。
1,000mW
120
加速,非定常
100mW
LWA
110
10mW
100
定常,減速
1mW
90
60km/h
10km/h
0.1mW
80
0
20
1km/h
40
60
速度 [km/h]
80
100
図-A2.3 自動車走行騒音の A 特性音響パワーレベルの模式図
表-A2.1 パワーレベル式(4 車種分類)
定常走行状態
40km/h≦V ≦140km/h
減速走行状態
10km/h≦V ≦140km/h
車種分類
a
乗用車
小型貨物車
中型車
大型車
小型車
類
46.4
大型車
類
51.5
47.6
54.4
非定常走行状態
10km/h≦V ≦60km/h
加速走行状態
1km/h≦V ≦60km/h
a
b
82
46.7
83.2
30
53.2
87.1
90
減速走行状態お
よび停止状態
V <10km/h
LWA
b
76.4
82.3
88.8
77.6
10
81.5
84.4
76.7
83.2
二輪車
49.6
85.2
79.6
L W A = a + b log10 V ここで a と b は車種別, 走行状態別のパラメータ.V は速度 (km/h)
停止および減速での L W A (V ≦10 km/h)は減速時の10 km/hでの値とする。
*1: 定常走行とは、自動車専用道路又は交差点から十分に離れた一般道路でのトップギヤに
近いギヤ位置での走行であり、非定常走行とは、信号交差点を含む一般道路での煩雑に加
速・減速を繰り返す走行とされている。
48
(注:違法マフラーの測定値は、規制が強化された平成 22 年
以前の測定例である。環境基準においては除外音処理の対象
となるため通常の騒音予測では見込まない。)
図-A2.4 60 km/h における A 特性補正した音響パワー
(参考) 音響パワーの分布
公道での大型車の音響パワーの測定値の例を図-A2.5 に示す。音響パワーは速度
の 3 乗で増加し、個々の車両により 10 倍以上の差がある。表-A2.1 は車種別の平
均的な値である。
高騒音車
1,000
騒音発生量 [mW]
n = 1,148
10
倍
以
上
100
10
1
20
静かな車
速度の3乗に比例する曲線
40
60
80 100
速度V [km/h]
120
図-A2.5 公道における大型車の定常走行での音響パワーの分布
49
2.3) 等価騒音レベル L Aeq の計算
等価騒音レベル L Aeq は、車両および走行車線別の音響パワー(W)が伝搬することによる予
測地点の騒音エネルギーの時間平均(W/m2)をデシベル(dB)に換算したものである。計算は音
源位置、車種別の走行台数分の加算を基本としている。詳細は ASJ RTN-Model による。
2.4) 様々な補正
予測計算においては、排水性舗装、回折、地表面効果等の補正を行う。これらの補正の
概要を以下に示す。
2.4.1) 排水性舗装
排水性舗装による騒音低減効果は道路の種別、車種、走行速度により異なる。ASJ
RTN-Model での補正量は 4.3.2 排水性舗装(P.32)に記載した。
2.4.2 )遮音壁などによる回折
遮音壁、高架道路の壁高欄の上端部、あるいは盛土、切土の法肩部では音が回折して伝
搬する。回折した音と直達音との差を ASJ モデルでは回折補正量 ΔL d とし、音源 S から受
音点 P までの直達音と上の回折パスとの行路差 δ を変数とした計算式が(A2.1)式および表
-A2.2 に示されている *1。行路差と回折補正量の関係のグラフを図-A2.6 に示す。
−20 − 10 log10 (cspec δ)
∆L d =
cspec δ ≥ 1
0 ≤ cspec δ < 1
−5 − 17.0 · sinh (c spec δ)
-1
0.414
−1
min [ 0, −5+ 17.0 • sinh (c spec |δ|)
0.414
]
cspec δ < 0
表-A2.2 係数 c spec の値
騒音の分類
自動車走行騒音
密粒舗装
排水性舗装
高架構造物音
橋種区分無し
1年未満
*1: 吸音効果を見込まない遮音壁
50
c spec
0.85
0.75
0.65
0.60
(A2.1)
回折補正量⊿L[dB]
-30
-30
-20
-20
δ=lOS+lOP-lSP
-10
-10
密粒舗装
排水性舗装新設
0
0.001
0.010
0
10.000
0.100
1.000
回折行路差δ[m]
図-A2.6 回折行路差と回折補正量
ここで、排水性舗装の回折補正量の絶対値が小さくなる(=遮音壁の効果が小さくなる)
のは、排水性舗装が密粒舗装よりも卓越する音の周波数が低く遮音壁の効果が小さくなる
ためである。
平面道路の高さ 1 m 程度の低層遮音壁については図-A2.7 のように挿入損失で計算する方
法を示している。音源 S から受音点 P までの直達音と上の回折パスとの行路差 δ 1 による回
折補正量を ΔL d1 、下の回折パスとの行路差 δ 2 による回折補正量を ΔL d2 とし、回折補正量 ΔL dif
は(A2.2)式で計算する。
ΔL dif =ΔL d1 -ΔL d2
(A2.2)
上の回折点
上の回折パス(ΔLd,1)
P
S
下の回折点
下の回折パス(ΔLd,0)
図-A2.7 ΔL dif をインサーションロスで与える場合の二つの回折パス
51
(参考)例題
◇図-A2.8 の条件での騒音の低減効果は?
遮音壁
5m
5m
道路交通
騒音の再
生音
騒音計
8m
図-A2.8 音源と遮音壁の幾何配置
Step 1:行路差の計算
(5+5)-8=2m
Step 2:回折補正量
図-A2.6 の回折補正量のグラフで回折行路差 δ=2 m の値は約 -22dB
道路交通騒音予測の実務では、音源が図-A2.2 のように線音源となることを考慮する。
2.4.3) 地表面効果による減衰
地表面効果による減衰は地表面の種類、伝搬経路の高さによって異なる。ASJ モデルで
は地表面の種別で、1)コンクリート、アスファルト、2)スポーツグラウンドなどの固い地
面、3)芝地、田んぼ、草地、4)表面の柔らかい畑地、耕田の 4 種類について、伝搬経路の
高さの考え方と地表面効果を計算する式を提示している。
52
A2.3 平面道路における L Aeq の簡易計算
平面道路における等価騒音レベル L Aeq は(A2.3,4)式で簡易に計算できる。
LAeq = 10 ⋅ log ∑ Pi
(A2.3)
i
ai
10
2
3.6Vi qi
Pi = 10
2li 3600
(A2.4)
ここで、i は車線別および車種別のインデックス、例えば 4 車線を 5 車種で計算する場
合には 4(車線数)×5(車種)=20 なので 1~20 の値となる。P は媒介変数、a は表-A2.1 の定常
走行の定数、V は自動車の速度(km/h)、l は車線の中心から騒音計までの距離(m)、q は 1
時間に換算した交通量(台/h)。
(A2.3,4)式で複数の車線を一つの代表車線、および2車種分類とし、大型車混入率をr、大型
車類および小型車類のaを53.2および46.7とすると(A2.5)式となる。
53.2
 46.7
 qV 2 
LAeq = 10 ⋅ log 10 10 (1 − r ) + 10 10 r  ⋅


 2000 ⋅ l 
(A2.5)
(A2.5)式での計算例を図-A2.9,10 に示す。これらの図から、等価騒音レベル L Aeq を速算
できる。
90
等価騒音レベル L Aeq dB
大型車混入率
r
80
0.8
0.6
代表車線から
測定点までの
距離 l = 10 m
速度V=60km/h
0.4
0.2
70
0
60
50
10
100
1000
時間交通量 台/h
図-A2.9 交通量と等価騒音レベルの計算例
53
10000
4
代表車線から
測定点までの距離 l = 10 m
との騒音レベルの差
2
ΔL dB
0
-2
-4
-6
-8
5
10
15
20
25
30
35
40
45
50
代表車線からの距離 m
図-A2.10 代表車線からの距離と等価騒音レベルの変化の計算例
[速算例]:対面 2 車線、日交通量 24,000 台、大型車混入率 20%の道路の 2 車線の中央から
20m 離れた地点における1日の L Aeq
図-A2.9 のグラフから時間交通量 1,000 台、大型車混入率 0.2 の L Aeq を 72dB、図-A2.10 で
20m の ΔL = -3dB と読み取れば、72 – 3 = 69 dB。
90
等価騒音レベル L Aeq dB
大型車混入率
r
80
0.8
代表車線から
測定点までの
距離 l = 10 m
0.6
72 dB
-3 dB
0.4
0.2
70
0
60
50
10
100
1000
10000
時間交通量 台/h
補足:信号交差点を有する道路で非定常走行を仮定すると自動車から発生する騒音は速度
の 1 乗に比例(P.48 参照)し、通過時間が速度に反比例するので、L Aeq の計算値は速度で変化
せず、60km/h の定常走行と同じになる。定常走行を仮定できる場合には(A2.4,5)式に示す
ように速度により L Aeq が変化する。60km/h との差 ΔL を図-A2.11 に示す。
4
定常走行部におけ
る60km/hとの差
ΔL dB
2
0
-2
-4
-6
30
35
40
45
50
55
60
速度 km/h
65
70
75
80
図-A2.11 定常走行部における 60km/h との等価騒音レベルの差
54
A2.4 A 特性音響パワーレベルと A 特性音圧レベルの関係式
A 特性音響パワーレベルと A 特性音圧レベルの関係式については、騒音関係の業務に初め
て携わる技術系の職員で関心のある方から質問を受けることがある。それぞれの定義に元
づいて解説した図書等がみあたらないのでここで解説する。
音源から単位時間に放出される音のエネルギーを音響出力という。音響出力 P [W]と基準
となる音響出力 P 0 = 10-12 [W]との比を(A2.6)式でデシベル換算した値を音響パワーレベル
L W [dB]という。P に周波数重み付け特性 A(以下、「A 特性」という。) をかけて評価した
量 P A に置き換えた場合の L W を A 特性音響パワーレベル L W A [dB]という。( (A2.7)式 )
LW =10 ⋅ log10 (P / P 0 )
(A2.6)
LWA =10 ⋅ log10 (PA / P 0 )
(A2.7)
音響出力 P [W]の音源から発した音が半径 l [m]の半球面(面積 2πl )に均等に伝搬する際の
2
音の強さ I [W/m2]は (A2.8)式となる。A 特性では (A2.9)式となる。
音の強さ I [W/m2]と基準となる音の強さ I 0 = 10-12 [W/m2]との比を (A2.10)式でデシベ
ル換算した値を音圧レベル L [dB]という。A 特性では (A2.11)式となる。A 特性音圧レベ
ル L A [dB]は騒音レベルともいう。
I = P /(2π ⋅ l 2 )
(A2.8)
I A = PA /(2π ⋅ l )
L =10 ⋅ log10 ( I / I 0)
LA =10 ⋅ log10 ( I A / I 0)
2
(A2.9)
(A2.10)
(A2.11)
(A2.6) 、(A2.8) 、および(A2.10)式から P と I を消去すると L と L W の関係は (A2.12)
式となる。同様に A 特性では (A2.13)式となる。(A2.12)式で-10log 10 2π=8, P 0 /I 0 =1 とする
と(A2.14)式となる。同様に A 特性では (A2.15)式となる。A2.2 での各離散点音源から予
測地点までの騒音の計算は (A2.15)式を基本としている。
L = LW − 20 ⋅ log10 l − 10 ⋅ log10 2π + 10 ⋅ log10 ( P0 / I 0 )
(A2.12)
LA = LWA − 20 ⋅ log10 l − 10 ⋅ log10 2π + 10 ⋅ log10 ( P0 / I 0 )
(A2.13)
L = LW − 20 ⋅ log10 l − 8
(A2.14)
LA = LWA − 20 ⋅ log10 l − 8
(A2.15)
なお、球面(面積 4πl )に均等に伝搬する場合の計算では (A2.8)、(A2.9)、(A2.12)、およ
2
び(A2.13)式の 2π を 4π に置き換え、 (A2.14)、および(A2.15)式の 8 は 11 とする。
(具体例) L WA = 100 dB の音源(固定)の騒音は P 0 =10-12 ( W )の 10100/10倍= 10-2 ( W )。この音のエ
ネルギーが音源から 10 m 離れた地点に半円球状に拡散すると面積が 2×3.14×102 = 628 m2となる
ので I A =10-2 / 628 = 1.59×10-5 ( W / m2 )となる。これは I 0 =10-12 ( W / m2 )に対して 1.59×10-5 /
10-12=1.59×107倍になり、デシベルに換算すると 10・log ( 1.59×107 ) = 72 dB となる。
55
付属資料 A3 遮音壁に関する技術の概要
遮音壁を設置するにあたっては、遮音量の他に様々な条件を考慮する必要がある。遮音
壁に関し、遮音量の測定事例、基準類、設置計画、および設計の概要を示す。
なお、この資料は現況を整理したものであり、基準類に該当するものではない。
A3.1 概要
1)遮音壁による遮音量の測定事例
遮音壁を連続して設置した条件での遮音量を構内で正確に測定した例を図-A3.1 に示す。
遮音壁の高さは 4 m とし、パネルは吸音性のある金属性とした。ユニットパターンを考慮
して音源は複数配置した。また、遮音壁の側方から回折する音の影響を除外する処理をす
るため TSP 音源とした。遮音壁による道路交通騒音の遮音量を現道で測定した例を図-A3.2
に示す。遮音壁の設置の有無以外の条件はできるだけ一致させ同時測定した。双方の測定
において計算値と測定値は整合した。しかし、遮音壁を計画する現場では、車の乗り入れ
口の開口部等で騒音低減効果が小さくなることに留意する必要がある。
:受音点
( 数値は減音量(dB) )
高さ9m
-11
-14 -16
遮音壁
旧公団仕様金属製
延長80m、高さ4m
高さ7m
-17
-19
高さ5m
-17 -19 -19
-20
4m
高さ1.2m
音源
高さ 0.3m
密粒舗装
-23 -23
7.5m
-22
5m
7.5m
10m
20m
(注意)図を見やすくするために高さ方向を拡大している。
図-A3.1 遮音壁による遮音量の構内試験結果の例
56
-21
L Aeq(80min)
L Aeq(80min)
減音量
遮音壁有
遮音壁無
P1
76
Pr1
76
P2
57
Pr2
74
-18
P3
55
Pr3
70
-15
P4
55
Pr4
70
-15
P5
60
Pr5
72
-12
P6
54
Pr6
67
-13
P7
58
Pr7
71
-13
図-A3.2 遮音壁による遮音量の現場測定結果の例
2)遮音壁の構造
遮音壁の構造の体系を図-A3.3 に示す。主に「遮音板」、「支柱」、「基礎」で構成され、付
属物として落下防止ワイヤーや笠木などがある。また、先端改良型遮音壁では、上記の構
造に「先端改良装置」が付加される。
57
遮音壁
遮音板
先端改良装置
支
柱
基
礎
・反射型
コンクリート製
透光性の素材
その他
通常遮音壁、低層遮音壁
透光性遮音壁、低層遮音壁
・吸音型
金属製
その他
通常遮音壁
・吸音型
・干渉型
・その他
先端改良型遮音壁
・H型鋼
・その他
・直接基礎
・杭基礎
・構造物取付
・その他
図-A3.3 遮音壁の体系図
3)遮音壁の種類、材質
遮音壁は、遮音板の材料および構造で分類すると表-A3.1 となる。
表-A3.1 遮音壁の分類
区分
遮音板
通常の遮音壁
主な材質
金属(亜鉛鉄板等)
コンクリート
説明
設置実績が最も多い。
透光性遮音壁 透光パネル
プ ラ ス チ アクリル
ック
ポリカーボネート
日照阻害対策や景観対策を目的
として設置される透光性の遮音
壁。
木製遮音壁
木製パネル
ガラス
間伐材
透光パネル
集成材
通常の遮音壁と同じ
透光性遮音壁と同じ
低層遮音壁
先端改良型遮
音壁
純木
各種
高さ 1.0 m 前後。
遮音壁上端の形状および吸音性
により、騒音低減効果を高めた遮
音壁。
58
A3.2 基準類
1)国内の状況
東・中・西日本高速道路株式会社(以下 NEXCO と呼ぶ)は、「遮音壁設計要領」A3)(平
成 21 年 7 月)を定めており、首都高速道路株式会社(以下 MEX と呼ぶ)は「附属施設物
設計施工要領(遮音壁編)」(平成 21 年 12 月)を定めている。国土交通省においては、各
地方整備局等で設計要領を定めている場合がある。
2)国外の状況
欧州(EU 加盟国)および米国における遮音壁に関する基準類の整備状況を以下に示す。
2.1) 欧州(EU 加盟国)
CEN(欧州標準化委員会)が発行する EN(欧州規格)において、遮音壁を対象とした音
響性能と安全性に関する要求水準および検証方法が定められている。欧州各国は、原則と
して EN(欧州規格)そのものを自国規格として採用するため各国の基準(例えばドイツで
は LTV-Zsw06)の中で、該当する EN の引用を行う。
なお、音響性能ついては EN1793-1、1793-2、および 1793-3 で定められ、音響性能以外の
要求性能については EN1794-1、および 1794-2 で定められている。
2.2) 米国
米国連邦道路庁(FHWA)が発行している「高速道路遮音壁設計ハンドブック(Highway
Noise Barrier Design Handbook)」には、遮音壁に関して材料の種類・音響性能・施工・維持
管理・コスト等が記載されているが、要求水準、検証方法は示されておらず、ガイドライ
ン的な内容である。
A3.3 設置計画における留意事項
1)遮音壁の設置位置
遮音壁の設置では、遮音性能とともに道路の建築限界、遮音壁の基礎に要する幅、のり
肩の保護、遮音壁前面の修景、自動車走行時の圧迫感、照明・標識、周辺地域の自動車の
衝突、除雪幅、および地形が考慮されている。さらに、高架併設区間、交差部、および分
合流部等については、沿道の土地利用状況等が考慮されている。
2)設置高さ
遮音壁の高さは目標とした遮音量の計算値およびパネルの規格を考慮して計画されてい
る。
3)設置延長
遮音壁の上方からの回折音は減音できても、設置延長が十分でない場合には側方回折音
が大きくなることもあるため、十分に注意が必要である。
4) 景観
外部景観またはドライバーの快適性が求められる場合に景観に配慮した遮音壁を計画す
ることがある。景観に配慮するためには計画の初期の段階から検討することが望ましい。
59
国土技術政策総合研究所では参考資料として、
「道路用遮音壁に関する景観評価の現状と事
例」A4)を公表している。図-A3.4 は記載例である。
出典: NOISE WALL DESIGN GUIDELINE
整備直後
樹木生長後
出 典 : ECRANS ACOUSTIQUES
CONCEPTION ET DE REALIZATION
GUIDE
DE
図-A3.4 景観に配慮した遮音壁の例 A4)
5)パネルの選定
遮音壁のパネルを選定するにあたっては、遮音性能、経済性、安全性、日照阻害、景観、
住民意見および荷重が考慮されている。
5.1) 遮音性能
遮音壁を新たに設置することで反射音が生じて騒音レベルが上昇する条件(図-A3.5 の模
式図の右)では吸音性の遮音壁を設置することが必要な場合がある。
60
図-A3.5 反射音影響範囲
5.2) 経済性
特段の制約や配慮が必要とされない場合は、経済性の高い遮音壁が選定されている。
5.3) 安全性
荷崩れした荷物の衝突等による遮音パネルの落下・破損および車輌火災等による延焼な
どの二次災害を防止することが必要な箇所では、落下防止策および燃えにくい材料の選定
が行われている。
5.4) 耐久性
遮音壁の劣化による音漏れや美観を損ねることがないように耐久性の高い材料が選定さ
されている。
5.5) 日照阻害
遮音壁による日照阻害が生じる可能性がある場合に透光性の遮音壁を選定することがあ
る。
5.6) 景観
外部景観またはドライバーの快適性が求められる場合に景観に配慮した遮音壁を選定す
ることがある。
5.7) 住民意見
住民の意見は多様である。治安や景観のために遮音壁の設置を望まない場合、およびプ
ライバーシの保護のため透光性の遮音壁を望まない場合もある。遮音壁の設置にあたって
は住民意見が反映されている。
5.8) 荷重
高架・橋梁部やボックスカルバートに遮音壁を設置する場合には、許容される荷重が制
約され、軽量の遮音パネル等を選定する等の留意が必要になる場合がある。
61
A3.4 構造および性能
1)遮音板
1.1) 構造
一般的な遮音壁は支柱(H鋼)に遮音板をはめ込む構造であり、遮音板の寸法は所定の
支柱間隔に適合するように規格化されている。以下に標準的な金属製のパネルの外形寸法
を示す。
表-A3.2 標準的な遮音板の諸元
記号 ※
20-05
20-10
40-05
40-10
長さ
L(mm)
1960
1960
3960
3960
有効たて幅
H(mm)
500
1000
500
1000
厚さ
D(mm)
95
95
95
95
備考
支柱間隔 2.0m 対応
支柱間隔 2.0m 対応
支柱間隔 4.0m 対応
支柱間隔 4.0m 対応
支柱間 有効たて幅
※記号の表記:例) 2 0 - 0 5 を示し、支柱間 2m、有効立て幅 0.5m であることを示す。
1.2) 材料
遮音板には、強度と耐久性を有する材料が使用されている。材料基準の例を表-A3.3 に示
す。遮音板には耐火性と耐衝撃性の基準が定められている
A5)
。さらに、透光パネルに関し
ては、黄色度(YI)、全光線透過率、曇価の変化(ΔH)に関する基準が定められている A6)。
表-A3.3 遮音板の材料基準(金属製)A6)
項目
正面板
適用基準
JIS H 4000
JIS G 3323
背面板、側面板、天板、底
JIS G3317
板、補強板
JIS G 3302注 1)
吸音材
JIS A 6301
内容
アルミニウム及びアルミニウム合金の板
高耐候性めっき鋼板
吸音材料
注 1)
高耐候性めっき鋼板とは、亜鉛・アルミニウム・マグネシウム等による溶融めっき鋼板や、め
っき厚を増した溶融亜鉛めっき鋼板など、耐候性を強化しためっき鋼板をいい、90°曲げ加工部及び
切断断面部(側面)において、JIS Z2371(塩水噴霧試験法)に規定する試験を行い、曲げ加工部及び切
断端面部(側面)で 2,000 時間後に膨れ、赤さび等の異常がないものとし、製造メーカーの試験記録等
を添付する。また、強度や寸法誤差等についてはJIS G3302 SGH400 又は SGC400 に準じるもの
とする。
表-A3.4 遮音板の材料基準(コンクリート製)A6)
板種別
ひび割れ荷重
破壊荷重
コンクリート製遮音板
2.0kN
10.4kn
表-A3.5 遮音板の材料基準(透光性)A6)
板種別
適用基準
ポリカーボネート 注 1)
JIS K 6735
注 1)
アクリル
JIS K 6718-1(キャスト板)、JIS K 6718-2(押出板)
網入板ガラス及び線入板ガラス 注 1) JIS R 3204
合わせガラス 注 1)
JIS R 3205
強化ガラス 注 1)
JIS R 3206
注 1) 上記以外の材料で、JIS 規格がないものについては屋外使用において十分な耐久性が確認されて
いることを証明する品質規格証明書等を添付すること。
62
1.3) 設計荷重
遮音板を単純梁とし、風荷重による応力が許容値以下となるように設計されている。
1.4) 音響性能
遮音板の遮音性能は JIS A 1416(空気音遮断性能試験)で測定する音響透過損失で規定さ
れている。吸音性の遮音板の吸音性能は、JIS A 1409(残響室法吸音率の測定試験)で測定す
る吸音率で規定されている。
1.5) 安全性
車輌からの荷崩れした荷物の衝突または車両火災により、遮音板が飛散または燃焼し、
二次災害が生じるおそれがある箇所に設置する遮音壁では、二次災害を回避する遮音パネ
ルが選定されている。二次災害のおそれがある箇所を以下に示す。
(a) 道路や鉄道と交差する箇所
(b) 橋梁部などで道路や鉄道と並行する箇所
(c) 人家に隣接する箇所
(d) 河川や湖沼と交差し、河川敷や湖沼面が娯楽施設等に利用されている箇所
遮音板は、耐火性と耐衝撃性が規定されている A5)。
2)支柱と基礎
2.1) 構造
支柱は、経済性と施工性から、H 形鋼が多く使用されている。基礎は、遮音板と支柱が受
ける風などの外力に耐えうる必要がある。基礎形式は以下が多い。
(a) 鋼管杭基礎
(b) 直接基礎
(c) 構造物取付
土工部の遮音壁基礎は経済性と施工性を考慮して鋼管杭基礎とされており、土質状況、
構造物等の近接区間、その他の理由により鋼管杭の施工が困難な場合には直接基礎とさ
れている。橋梁壁高欄、あるいはカルバート上等に遮音壁を設置する場合には直接これ
らに取りつけられている。
2.2) 材料
支柱および基礎には、十分な強度と耐久性をもつ材料が使用されている。NEXCO の施工管
理要領
A6)
では支柱は溶融亜鉛めっきを施した JIS 規格の一般構造用圧延鋼材とされ、基礎
の鋼管も JIS の規格品とされている。
2.3) 設計荷重
遮音壁の設計で考慮されている標準的な荷重は、①死荷重、②風荷重、および③土圧で
ある A3)。
2.4) 安定度照査
鋼管杭基礎では転倒に対する安定度照査を行うこととされており、直接基礎では鉛直支
持力、転倒、および滑動に対する安定度照査を行うこととされている A3)。
63
3)落下防止対策
車輌の衝突等により、支柱や遮音板の落下が想定される以下のような箇所では落下防対
策が講じられている。
(a)
鉄道、道路と交差する箇所
(b)
鉄道及び交通量の多い道路と平行する箇所
(c)
人家に隣接する箇所
(d)
河川や湖沼と交差し、河川敷や湖沼面が娯楽施設等に利用されている箇所
さらに、遮音板の落下防止が必要となる箇所は、上記の(a)~(d)に併せて、以下の
部分を含む箇所である。
(e)
遮音壁の張出部
破損落下防止範囲および落下距離については、道路構造、沿道状況を勘案の上、決定さ
れいる。NEXCO の設計要領 A3)では、遮音板の落下防止装置として、板落下防止装置(I ボ
ルト)のついた遮音板に索を通し、両側を支柱に固定するものとしている。また、支柱落
下防止装置についてはワイヤーロープ(共心ロープ JIS G 3549)を用いるものとしている。
64
付属資料 A4 交差点近傍の騒音測定値
交差点近傍では交差する双方の交通の騒音、および加速時のエンジン音の影響を受ける
ため単路部よりも発生する騒音が大きいこと、および遮音壁を連続して設置することがで
きないことにより騒音対策が困難である。
ここでは騒音対策の検討に資することを目的とし、様々な交差点近傍における騒音の測
定値を示す。距離減衰を確保できる箇所、遮音壁を設置した箇所、および立体交差部では
騒音が抑制されている。騒音の測定値は、交通量・気象等の条件により変化するため、騒
音の低減量は複数の地点で同時に測定した等価騒音レベル L Aeq の差で示した。
65
a) 距離減衰
距離減衰により騒音が低減していることを確認した例を示す。
(a-1)
主道路:都道府県道、従道路:都道府県道
交差点の状況:遮音壁等がない平面交差。
等価騒音レベル L Aeq の測定値
72dB(P3)
平面交差部。主道
路・従道路双方か
ら10.5m離れた地点
70dB(P2)
従道路の最近車
線中央から5.1m
離れた地点
67dB(P4) -5dB
主道路・従道路双
方から20m程度離
れた地点
68dB(P1)
主道路の最近車線
中央から5.1m離れ
た地点
低層の植栽
※)調査地点 P4(敷地の境界線)から交差点までの間には低木の植栽が施されている。
交通条件
道路 進行 時間換算交通量(台/h) 大型車混 規制速
舗装種別
種別 方向 大型車類 小型車類 入率(%) 度(km/h)
主道路 上り
74
382
16
50 排水性舗装(良好)
下り
69
324
18
50 排水性舗装(良好)
従道路 上り
38
215
15
50 密粒舗装(良好)
下り
51
258
17
50 排水性舗装(良好)
66
b) 遮音壁
遮音壁により騒音が低減している事例を二つ示す。
(b-1)
主道路:国道、従道路(測定側):市町村道
交差点の状況
・主道路と従道路は平面交差で主道路の上部に高架道路が併設されている。
・主道路および交差点部には遮音壁が設置されている。
等価騒音レベル L Aeq の測定値
67dB (P6)
72dB (P1)
主道路の最近接車線中央か
ら23.0m、従道路の最近接
車線中央から4.5m
主道路の最近接車線中央か
ら5.4m
72dB (P2)
66dB (P7)
主道路の最近接車線中央か
ら6.2m
主道路の最近接車線
中央から32.8m、従道
路の最近接車線中央
から4.5m
73dB (P3)
主道路の最近接車線中央か
ら4.2m
66dB (P5)
62dB (P4)
主道路の最近接車線中央
から19.4m、従道路の最近
接車線中央から7.9m、遮
音壁端部から4.1m
-11dB
主道路の最近接車線中央か
ら18.8m、遮音壁から14.9m
44dB (P8)
-29dB
窓は単板ガラスの屋内。主
道路の最近接車線中央から
22.5m、遮音壁から18.6m
©2009 ZENRIN CO.,LTD.
(Z09EC第026号) 紙の資料
(Z09EC第027号) インターネット
主道路の車道端付近 ( P1、P2、P3 )での L Aeq は 72~73 dB と大きいが、建物側では遮音壁中央部背後 ( P4 )
で 62 dB、遮音壁端部背後 ( P5、P6、P7 )で 66~67 dB となっており、遮音壁中央部背後において大きく
低減していた。遮音壁中央部背後建物の室内 ( P8 ) の L Aeq は 44 dB に低減していた。
交通条件
進行 時間換算交通量(台/h) 大型車混 規制速
方向 大型車類 小型車類 入率(%) 度(km/h)
北行
111
1,026
10
50
南行
92
945
9
50
西行
14
153
8
40
従道路※1
東行
3
192
2
40
高速道路※2 上下
47
890
5
-計
(高架部)
※1:交差点を挟む2つの断面交通量を実測し、平均して求めた。
※2:交通量は道路交通センサスによる。
道路
種別
主道路※1
67
舗装種別
排水性舗装
排水性舗装
密粒舗装
密粒舗装
--
( b-2 )
主道路:国道、従道路:都道府県道
交差点の状況
・従道路が高架の立体交差(主道路及び従道路の上部に高架道路)
。
・主道路に遮音壁が設置されている(交差点部の高さ: 約 5.5 m、主道路部の高さ: 約 9.5 m)。
等価騒音レベル L Aeq の測定値
67dB(P2)
従道路の最近車線中央から
8.8m離れた地点
横断歩
道橋
64dB (P1)-6dB
遮音壁の端部
61dB(P4)-9dB
70dB(P3)
住居の位置で、遮音壁の
騒音低減効果が認められ
る箇所。遮音壁より約10
m離れた地点
交差部。遮音壁の手
前。主道路の最近車
線中央から7.1m離れ
た地点
遮音壁
※)調査地点 P4 では交差点からの騒音は十分に低減されている。
交通条件
道路 進行 時間換算交通量(台/h) 大型車混 規制速
舗装種別
種別 方向 大型車類 小型車類 入率(%) 度(km/h)
主道路 上り
163
294
36
50 密粒舗装(良好)
下り
171
333
34
50 密粒舗装(良好)
従道路 上り
77
207
27
50 排水性舗装(良好)
下り
64
156
29
50 排水性舗装(良好)
68
c) 距離減衰及び遮音壁
距離減衰及び遮音壁の双方により騒音が低減している事例を示す。
( c-1 )
主道路:国道、従道路:都道府県道
交差点の状況
・主道路と従道路は平面交差。主道路の下部に半地下道路が併設。
・主道路には遮音壁、半地下道路には吸音ルーバーが設置されている。
等価騒音レベル L Aeq の測定値
56dB (P4) -12dB
63dB (P5) -5dB
主道路の最近接車線中央から
22.7m、遮音壁から17.6m
主道路の最近接車線中央から
22.7m、従道路の最近接車線中
央から19.4m、遮音壁端部から
17.6m
68dB (P1)
主道路の最近接車線中央から
8.6m、従道路の最近接車線中央
から8.2m
69dB (P8)
68dB (P3)
主道路の最近接車線中央から
25.1m、従道路の最近接車線中
央から4.1m
主道路の最近接車線中央か
ら7.0m
59dB (P6) -10dB
69dB (P2)
主道路の最近接車線中央か
ら16.2m、従道路の最近接
車線中央から28.4m、遮音
壁端部から8.7m
主道路の最近接車線中央から
10.3m、従道路の最近接車線中
央から7.8m
52dB (P7) -17dB
©2009 ZENRIN CO.,LTD.
(Z09EC第026号) 紙の資料
(Z09EC第027号) インターネット
主道路の最近接車線中央
から23.7m、遮音壁から
16.2m
主道路の車道端付近 (P1、P2、P3) の L Aeq は 68~69 dB と大きいが住居側では、遮音壁中央部背後(P4、
P7) で 52~56 dB、遮音壁端部背後 (P5、P6)で 59~63 dB となっており、交差点からの騒音は特に遮音
壁中央部背後において大きく低減されている。なお、P8 では従道路の騒音の影響が大きい。
交通条件
進行 時間換算交通量(台/h) 大型車混 規制速
方向 大型車類 小型車類 入率(%) 度(km/h)
北行
92
446
17
50
南行
65
518
11
50
東行
51
530
9
40
従道路※1
西行
42
518
8
40
※2
上下
高速道路
350
2,125
14
-計
(半地下部)
※1:交差点を挟む2つの断面交通量を実測し、平均して求めた。
※2:交通量は道路交通センサスによる。
道路
種別
主道路※1
69
舗装種別
排水性舗装
排水性舗装
密粒舗装
密粒舗装
--
d) 立体交差
立体交差では高架またはアンダーパスに交通が転換しているので交差点近傍の騒音は小
さい。以下に2事例を示す。
( d-1 ) 騒音レベルが単路部よりも小さい事例
主道路:都道府県道、従道路:都道府県道
交差点の状況
・主道路と従道路は立体交差。
・主道路の立体部には遮音壁が設置されている。
等価騒音レベル L Aeq の測定値
立体交差
70dB(P6)
71dB(P4)=P2-5dB
主道路の側道と従道路の交
差点部。
68dB(P3)=P2-8dB
主道路本線が立体部であり遮音
壁の設置されている地点。主道路
の側道最近接車線中央から6.6m
従道路の交差点から190m地点。
従道路の最近接車線中央から
69dB(P5)
従道路の交差点から90m地点。従
道路の最近接車線中央から6.8m
76dB(P2)
主道路の側道分合流部。主道路
の最近接車線中央から5.8m離れ
74dB(P1)
主道路単路部。主道路の最近接
N
0m
50m
主道路からの騒音が支配的な単路部地点 (P1、P2) での L Aeq は 74~76 dB である。主道路本線が立体
部となる地点 (P3) では、立体化と遮音壁の効果により 68 dB に低減されているが、交差点部 (P4)では、
従道路の影響を受けて 71 dB となっている。交差点部と主道路単路部を比較すると、交差点部のほうが
3 dB 小さい。従道路からの騒音の影響が大きい地点 (P5、P6) では 69~70 dB となっている。
交通条件
時間換算交通量(台/h)
道路
進行
大型車混 規制速
舗装種別
種別
方向 大型車類 小型車類 二輪車 入率(%) 度(km/h)
主道路 本線 内回り
120
1,215
81
9
40 排水性舗装
外回り
141
1,395
99
9
40 排水性舗装
側道 内回り
15
375
48
4
40 排水性舗装※
外回り
21
420
69
5
40 排水性舗装※
従道路
上り
114
1,095
138
9
60 排水性舗装※
下り
120
3
60 排水性舗装※
36
1,023
※:交差点内は、密粒舗装
70
( d-2 )
騒音レベルが単路部と同程度の事例
主道路:都道府県道、従道路:都道府県道
交差点の状況
・主道路と従道路は立体交差。
・主道路の立体部には遮音壁が設置されている。
等価騒音レベル L Aeq の測定値
0m
69dB(P1)
50m
N
主道路単路部。主道路の最近接車線
中央から4.6m離れた地点。
70dB(P2)
主道路の側道分合流部。主道路の最近
接車線中央から5.1m離れた地点。
69dB(P5)
従道路の交差点から40m地点。従道
路の最近接車線中央から5.0m離れ
た地点。
70dB(P6)
従道路の交差点から140m地
点。従道路の最近接車線中
央から5.5m離れた地点。
67dB(P3)=P2-3dB
主道路本線が立体部であり遮
音壁の設置されている地点。
主道路の側道最近接車線中
央から4.8m離れた地点。
70dB(P4)=P2+0dB
主道路の側道と従道路の交差
点部。
凡例
:騒音測定地点
立体交差
:遮音壁位置
主道路からの騒音の影響が大きい単路部地点 (P1、P2) での L Aeq は 69~70 dB である。主道路本線
が立体部となる地点 (P3) では、立体化と遮音壁の効果により 67 dB に低減しているが、交差点部 (P4)
になると、従道路の影響を受けて 70 dB となっている。従道路からの騒音の影響が大きい地点 (P5、
P6) では 69~70 dB となっている。主道路単路部では渋滞の影響で定常時よりも騒音が約 1 dB 程度小
さくなっていたことが考えられる。
交通条件
時間換算交通量(台/h)
道路
進行
大型車混 規制速
舗装種別
種別
方向 大型車類 小型車類 二輪車 入率(%) 度(km/h)
主道路 本線 内回り
162
897
15
15
50 排水性舗装※1
外回り
120
1,395
39
8
50 排水性舗装※1
側道 内回り
12
423
30
3
50 排水性舗装※2
外回り
18
291
27
6
50 排水性舗装※2
従道路
上り
48
567
87
8
40 排水性舗装※2
下り
69
447
51
13
40 排水性舗装※2
※1:主道路本線は、渋滞の影響あり
※2:交差点内は、密粒舗装
71
付属資料 A5 自動車騒音の単体規制
A5.1 経緯
自動車騒音の発生源対策として、昭和 27 年に定常走行騒音及び排気騒音に対する規制が
導入され、さらに昭和 46 年からは、市街地を走行する際に発生する最大の騒音である加速
走行騒音に対する規制が導入された。その後、以下のように逐次規制強化されてきている。
(環境省の websiteA7)を一部修正)
昭和 27 年
昭和 46 年
昭和 51.52 年
昭和 54 年
昭和 57~62 年
昭和 61 年
昭和 63~平成元年
平成 10 年
平成 11 年
平成 12 年
平成 13 年
平成 22 年
騒音規制の導入(定常走行騒音、排気騒音)(運輸省令)
加速走行騒音規制の導入(運輸省令)
加速走行騒音、全車種規制強化(環境庁告示及び運輸省令、以下
同じ)
加速走行騒音、全車種規制強化
加速走行騒音の逐次規制強化
二輪車・原動機付自転車に対する近接排気騒音規制の導入
四輪車に対する近接排気騒音規制の導入
大型バス、乗用車(6人以下)、軽二輪、第1種原付の規制強化
GVW1.7t 以下の小型車、ボンネット型軽貨物自動車、乗用車(6人超)
の規制強化
中型バス、GVW1.7t 超の小型車、キャブオーバ型軽貨物自動車の規制
強化
大型車の全輪駆動車、トラクタ、クレーン車及びトラック、中型車の全輪駆動車
及びトラック、小型二輪、第2種原付の規制強化
交換用マフラー等の規制強化
72
A5.2 規制値
国土交通省の website で公開されている単体規制値を表-A5.1 に示す。
表-A5.1 自 動 車 騒 音 規 制 一 覧 表 A8)
自
動
車
の
種
[ 単 位 : デ シ ベ ル ( d B )]
規制開始日
(全て1日付け)
別
新型車
継続生産車
許容限度
設定目標値
加速
定常
近接
85
1 10
82
83
99
81
82
99
81
82
99
81
80
98
80
79
98
80
79
98
76
74
97
76
74
97
76
74
97
76
74
97
76
72
/100
96
76
72
/100
96
73
72
94
73
71
94
71
68
90
71
65
84
特殊自動車
大
型
車
車両総重
全輪駆動車、トラク 日本
量 が3.5ト ン タ及 び ク レ ー ン 車
輸入
を 超え 、 原
トラック
日本
動 機 の最 高
輸入
出 力 150 キ ロ
バ
ス
日本
ワットを 超 え る
もの
中
型
車両総重
量 が 3.5ト
車
ン を 超え 、
全輪駆動車
車
13 年 10 月
15 年 9 月
車
15 年
9 月
15 年 9 月
車
13 年 10 月
15 年 9 月
車
15 年
9 月
15 年 9 月
車
10 年 10 月
11 年 9 月
輸入車
12 年
4 月
12 年 4 月
日本車
13 年 10 月
14 年 9 月
輸入車
14 年
9 月
14 年 9 月
全輪駆動
トラック 日本車
以 外 の も
輸入車
高 出 力 が 150
の
バ
ス
日本車
キロワット以 下 の
13 年 10 月
14 年 9 月
14 年
9 月
14 年 9 月
12 年 10 月
13 年 9 月
もの
輸入車
13 年
9 月
13 年 9 月
車 両 総 重 量 車 両 総 重 量 1.7 トン を 超 日 本 車
が 3.5 ト ン え る も の
輸入車
以 下の も の
車 両 総 重 量 1.7 トン 以 下 日 本 車
12 年 10 月
14 年 9 月
14 年
9 月
14 年 9 月
原 動 機 の最
小
型
車
11 年 10 月
12 年 9 月
輸入車
13 年
4 月
13 年 4 月
軽 自 動 車 (総 排 気 原 動 機 が 運 転 席 日 本 車
量 0.66 l 以 下 の も の 前
輸入車
の 、 乗 用 車 を 除 く)
その他
日本車
11 年 10 月
12 年 9 月
13 年
4 月
13 年 4 月
12 年 10 月
13 年 9 月
輸入車
13 年
9 月
13 年 9 月
本車
11 年 10 月
13 年 9 月
のもの
乗
用
車
専 ら 乗 用 の 用 乗車定員7人以上 日
に供 す る 乗 車
輸
定 員 10 人 以 下
乗車定員6人以下 日
のもの
輸
二輪自
動車
入車
14 年
4 月
14 年 4 月
本車
10 年 10 月
11 年 9 月
入車
12 年
4 月
12 年 4 月
小 型 二 輪 自 動 車 ( 総 排 気 量 0.25 l
を 超 え る も の)
日本車
13 年 10 月
15 年 9 月
輸入車
15 年
9 月
15 年 9 月
軽 二 輪 自 動 車(総 排 気 量 0.125l を
超 え 0.25l 以 下 の も の )
日本車
10 年 10 月
11 年 9 月
輸入車
12 年
4 月
12 年 4 月
原 動 機 第 二 種 原 動 機 付 自 転 車(総 排 気 量
付 自 転 0.05l を 超 え 0.125 l 以 下 の も の )
車
第 一 種 原 動 機 付 自 転 車(総 排 気 量
0.05l 以 下 の も の )
日本車
13 年 10 月
14 年 9 月
輸入車
14 年
9 月
14 年 9 月
日本車
10 年 10 月
11 年 9 月
輸入車
12 年
12 年 4 月
側車付を
含む
/100: 車両の後部に原動機を有するもの
73
4 月
A5.3 測定方法
測定方法は道路運送車両の保安基準で定められ、国土交通省の website A9)で閲覧できる。
抜粋を以下に示す。
1) 近接排気騒音の測定方法例
最高出力時の回転速度の 75%の回転速度で 5 分間程度無負荷運転されている状態から加速
ペダルを急速に放し、騒音(A 特性音圧レベル)の FAST 特性での最大値を測定(図-A5.1)。
騒音計は、JIS C1505-1988「精密騒音計」又は同等の性能を有するものとする。
図-A5.1 近接排気騒音の測定方法例
2) 定常走行騒音・加速走行騒音の測定方法例
試験路の仕様は、JIS D8301-1993(ISO 10884)(最大粒径 8 mm、空隙率 8 %未満の密粒度
アルファルトコンクリート)とし、マイクロホンの位置は、走行方向の直角に車両中心線か
ら左側へ水平距離で 7.5m 離れた位置。高さ 1.2 m とする。 騒音計は近接排気騒音と同じ仕
様。
2.1) 定常走行騒音
原動機の最高出力時の回転数の 60%の回転数で走行した場合の速度で定常走行させ、騒音
の最大値を測定
2.2)加速走行騒音
原動機の最高出力時の回転数の 75%の回転数で走行した場合の速度で定常走行し騒音測定
区間で加速ペダルを一杯に踏込み加速走行させ、騒音の最大値を測定(図-A5.2)
microphone
7.5m
20m
20m
騒音測定区間
図-A5.2 定常走行騒音・加速走行騒音の測定方法例
74
A5.4 自動車等に備える消音器の基準の見直し
交換用マフラーや並行輸入車等に備えるマフラーの規制が強化され、近接排気騒音だけ
でなく、加速走行騒音も有効に防止する性能が新たに求められることになった。環境省の
website A10)および国土交通省の website A11)を加筆修正して資-A5.2 に示す。
資-A5.2 自動車等に備える消音器の基準の見直し
1.経緯
平成 20 年 12 月 18 日:中環審答申
26 日: 国交省による道路運送車両の保安基準関連法令改正
同日、登録性能等確認機関の申請受付開始
平成 21 年 4 月 28 日~9 月 8 日:登録性能等確認機関として 4 者が登録
平成 22 年 4 月 1 日:規制開始(この日以降製作される自動車が対象)
2.規制の概要
(1) 自動車又は原動機付自転車(以下「自動車等」といいます。)について、使用過
程車及び並行輸入車等の非認証車に備える消音器(マフラー)は、「原動機の作動
中に加速走行騒音を有効に防止し、かつ、その性能を損なうおそれのないもの」で
なければならない。これにより、交換用マフラーや並行輸入車等に備えるマフラー
は、近接排気騒音だけでなく、加速走行騒音も有効に防止する性能が新たに求めら
れることになった。
(2) 次の①から⑤までのいずれかに該当するものは、(1)の基準に適合しない。
(⑤が新たに追加された。)
① 消音器の全部又は一部が取り外されているもの
② 消音器本体が切断されているもの
③ 消音器の内部にある騒音低減機構が除去されているもの
④ 消音器に破損又は腐食があるもの
⑤ 消音器の騒音低減機構を容易に除去できる構造その他の騒音防止性能を容易に
変更することができる構造であるもの
(3) 次に掲げる消音器であって、
(2)①から⑤までのいずれにも該当しないものは、
(1)の基準に適合する。
① 次のいずれかの表示がある消音器
イ 純正品表示
型式指定自動車等の製作者が当該型式指定自動車等に備える消音器に行う表
示
ロ 装置型式指定品表示
道路運送車両法(昭和 26 年法律第 185 号)第 75 条の2に基づき、装置型式
75
指定を受けた騒音防止装置の一部又は全部である消音器に表示される同法第 75
条の3第1項の特別な表示
ハ 性能確認済表示
「後付消音器等の性能等を確認する機関の登録規程」に基づく登録を受けた機関
により、性能等の確認を受けた型式の後付消音器等に表示される「性能確認済表
示」
ニ 国連欧州経済委員会規則(ECE 規則)適合品表示
ECE 規則に基づく E マーク表示
ホ 欧州連合指令(EU 指令)適合品表示
EU 指令に基づく e マーク表示
② 次のいずれかに該当する自動車等が現に備えている消音器
イ 公的試験機関が実施した試験の結果を記載した書面により、別添 40「加速走行
騒音の測定方法」に定める方法により測定した加速走行騒音を dB で表した値が
82dB 以下(原動機付自転車にあっては 79dB 以下)であることが明らかである
自動車等(ハに掲げる自動車を除く。)
ロ 外国の法令に基づく書面又は表示により、ECE 規則又はこれらと同等の EU 指
令に適合することが明らかである自動車等
ハ 乗車定員が 11 人以上の自動車、車両総重量が5トン以上の自動車、大型特殊自
動車又は小型特殊自動車
関係条項:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示第 40 条第2項、第 118 条第2項、第 196 条
第2項、第 252 条第2項、第 268 条第2項及び第 284 条第2項
76
付属資料 A6 建物防音
A6.1 地方自治体による行政指導
地方自治体では、道路沿道において集合住宅を建築する事業者に対して建物の防音対策
を指導している(表-A6.1)。横浜市では室内での夜間の騒音レベルが 40 dB 以下、大阪市で
は居室内で昼間 45 dB 以下、夜間 40 dB 以下としている。神戸市および尼崎市では道路に面
する住居の外壁の総合透過損失が 25 dB あるいは 30 dB 以上となるように指導している。総
合透過損失 25 dB は「幹線交通を担う道路に近接する空間」の環境基準を設定する際に考慮
した住宅の室内外音圧レベル差 25 dB(平均値)と同じである。重交通の道路沿道では総合
透過損失 30 dB とされ、屋外騒音が要請限度と同じ(昼間 75 dB、夜間 70 dB)であっても
室内では「屋内へ透過する騒音に係る基準」程度になると考えられる。
表-A6.1 地方自治体における建物防音の指導例
自治体
制 度 名
横浜市
●集合住宅等の防音対策指導書
道路沿道及び鉄道沿線地域に新築する住宅(集合住宅高さ 10m 以上)の室内騒音
レベルの目標値を設定。道路交通騒音:夜間 40 dB 以下
大阪市
●大規模建築物の建設計画の事前協議に関する取り扱い要領
一定規模以上の建築物(例えば 70 戸以上の集合住宅)の建築事前評価制度。
●騒音・大気汚染等に係る居住環境の保全基準
室内 L Aeq で 45 dB(昼間)、40 dB(夜間)以下。
神戸市
●神戸市民の健康の保持及び良好な生活環境の確保のための自動車の運行等に関
する条例(平成 14 年 4 月)
指定した幹線道路の道路沿道に集合住宅を建築する場合に、外壁の総合音響透過
損失が 25 dB あるいは 30 dB 以上となるように定めている。
尼崎市
●尼崎市民の環境を守る条例(平成 12 年 12 月)
指定した幹線道路の道路沿道に集合住宅を建築する場合に、外壁の総合音響透過
損失が 25 dB あるいは 30 dB 以上となるように定めている。
77
A6.2 CASBEE(建築環境総合性能評価システム)による住宅の性能評価
CASBEE(建築環境総合性能評価システム)は、図-A6.1 の例に示すように環境性能で建
築物を評価する手法である。評価は、建築物の環境品質・性能 Q(Quality)、建築物の外部環
境負荷 L (Loadings)、および環境性能効率 BEE=Q/L を総合して行い、評価値は、S ランク(素
晴らしい)、A ランク(大変良い)、B+ランク(良い)、B-ランク(やや劣る)、および C ラ
ンク(劣る)の 5 段階となる。表-A6.2 は CASBEE の性能評価項目の概要である。評価項目
は、Q-1(室内環境)、Q-2(サービス性能)、Q-3(室外環境(敷地内))、LR-1(エネルギー)、
LR -2(資源・マテリアル)、および LR -3(室外環境)に区分されている。
騒音の Q として、室内の暗騒音レベル、空調機などの設備騒音対策、屋外からの騒音の
進入を防止する開口部遮音性能、隣室間を遮音する界壁障壁、上下界で物の落下・衝突等
の騒音を遮断する界床遮音性能、および室内での反射音を防止するための吸音が定められ、
L として、敷地外への騒音・振動の防止が LR-3 に定められている。道路交通騒音に関する
項目は、Q-1 の暗騒音レベルと開口部遮音性能である。
図-A6.1 CASBEE による評価結果の例
78
表-A6.2 CASBEE における建築物の環境品質・性能評価項目
Q-1 室内環境
1.音環境
1.1 騒音
(1) 暗騒音レベル
(2) 設備騒音対策
1.2 遮音
(1) 開口部遮音性能
(2) 界壁遮音
(3) 界床遮音性能
(軽量衝撃源 )
(4) 界床遮音性能
(重量衝撃源 )
1.3 吸 音
2.温熱環境
2.1 室温制御
(1) 設備容量
(2) 負荷変動・追
従制御性
(3) 外皮性能
(4) ゾーン別制御性
(5) 温度・湿度制御
(6) 個別制御
(7) 時間外空調
(8) 監視システム
2.2 湿度制御
2.3 空調方式
Q-2 サービス性能
1.機能性
1.1 機能性・働きやすさ
(1) 広さ・収納性
(2) 情報設備への対応
(3) バリアフリー計画
1.2 心理性・快適性
(1) 広さ感・景観
(2) リフレッシュスペース
(3) 内装計画
Q-3 室外環境(敷地内)
1.生物環境の保全と創出
LR-1 エネルギー
1.建物の熱負荷抑制
LR-3 敷地外環境
1.大気汚染防止
4.空気質環境
4.1 発生源対策
(1) 化学物質汚染
(2) 鉱物繊維対策
(3) ダニ・カビ等
(4) レジオネラ対策
4.2 換気
(1) 換気量
(2) 自然換気性能
(3) 取り入れ外気への配慮
(4) 給気計画
4.3 運用管理
(1)CO2の監視
(2)喫煙の制御
2.耐用性・信頼性
2.1 耐震・免震
(1) 耐震性
(2) 免震・制振装置による付加価値
2.2 部品・部材の耐用年数
(1) 外壁仕上げ材の補修必要間隔
(2) 主要内装仕上げ材の更新必要間隔
(3) 配管・配線材の更新必要間隔
(4) 主要設備機器の更新必要間隔
2.3 信頼性
(1) 空調・換気設備
(2) 給排水・衛生設備
(3) 電気設備
(4) 機械・配管支持方法
(5) 通信・情報設備
3.対応性・更新性
3.1 空間のゆとり
(1) 階高のゆとり
(2) 空間の形状・自由さ
3.2 荷重のゆとり
3.3 設備の更新性
(1) 空調配管
(2) 給水配管
(3) 電気配線
(4) 通信配線
(5) 設備機器
(6) バックアップスペース
2.まちなみ・景観への配慮
3.地域性・アメニティへの配慮
2.自然エネルギー利用
1.1 直接利用
1.2 変換利用
LR-2 資源・マテリアル
1.水資源保護
1.1 節水
1.2 雨水利用・雑排水再利用
(1) 雨水利用システム
(2) 雑排水利用システム
3.光・視環境
3.1 昼光利用
(1) 昼光率
(2) 方位別開口
(3) 昼光利用設備
3.2 グレア対策
(1) 照明器具のグレア
(2) 昼光制御
3.3 照度
(1) 設計照度
(2) 設計照度均斉度
3.4 照明制御
3.設備システムの高効率化
3.1 空調設備
3.2 換気設備
3.3 照明設備
3.4 給湯設備
3.5 昇降機設備
3.6 エネルギー利用効率化設備
4.効率的運用
4.1 モニタリング
4.2 運用管理体制
2.低環境負荷材の使用
2.1 資源の再利用効率
(1) 躯体材料の再利用効率
(2) 非構造材料の再利用効率
2.2 持続可能な森林から産出された木材の活用
2.3 健康被害のおそれが少ない材料
2.4 既存建築躯体などの再利用
2.5 非最終処分予想量
2.6 フロン・ハロンの回避
(1) 消火剤
(2) 断熱材
(3) 冷媒
2.騒音・振動・悪臭の防止
2.1 騒音・振動
2.2 悪臭
3.風害、日照障害の抑制
4.光害の抑制
79
5.温熱環境悪化の改善
6.地域インフラへの負荷
抑制
A6.3 CASBEE における音環境の評価項目
文献 A12)を参考に CASBEE - 新築(簡易版)の音環境の評価項目の概要を紹介する。音環
境については、表-A6.3 に示すような建物用途毎に評価水準(レベル) が定められている。
道路交通騒音に関連する項目は、暗騒音レベルと開口部遮音性能である。
用途区分
略
事
学
物
飲
会
工
病
ホ
住
非住宅系
住宅系
表-A6.3 建物用途による分類
用途名
含まれる用途
事務所
事務所、博物館、庁舎、図書館など
学校
各種学校
物販店
百貨店、スーパーマーケットなど
飲食店
飲食店、食堂、喫茶店など
集会所
公会堂、劇場、体育館、パチンコ店など
工場
工場(生産ラインは除く)、観覧場など
病院
病院、老人ホーム、福祉ホームなど
ホテル
ホテル、旅館など
集合住宅
(戸建住宅は対象外)
1) 暗騒音レベル
室内の暗騒音レベルの評価水準(レベル)を表-A6.4 に示す。評価水準は 3~4 dB 幅で定
められており、騒音に係る環境基準や道路交通騒音の要請限度の刻み幅 5 dB とは異なって
いる。屋内における夜間の環境基準値 40 dB は住居系室内ではレベル 3 が相当する。
用途区分
建物全体
・
共用部分
住居
・
宿泊部分
表-A6.4 室内の暗騒音レベルの評価水準( レベル )
レベル
用途別評価水準 LA [dB]
(得点)
事・病・ホ・工・
学
物・飲
住
1
50< LA
45< LA
55< LA
40< LA
2
47< LA ≦50
42< LA ≦45
52< LA ≦55
37< LA ≦40
3
43< LA ≦47
38< LA ≦42
48< LA ≦52
33< LA ≦37
4
40< LA ≦43
35< LA ≦38
45< LA ≦48
30< LA ≦33
5
LA ≦40
LA ≦35
LA ≦45
LA ≦30
病
ホ・住
1
50< LA
45< LA
2
47< LA ≦50
42< LA ≦45
3
43< LA ≦47
38< LA ≦42
4
40< LA ≦43
35< LA ≦38
5
LA ≦40
LA ≦35
80
会
2) 開口部遮音性能
開口部遮音性能の評価レベルを表-A6.5 に示す。外壁開口部の遮音性能はサッシの遮音性
能で代表させて評価する。サッシの遮音性能は JIS A 4706「サッシ」に示されており、評価
は T 値で行う。T 値曲線を図-A6.2 に示す。T 値は 5 dB 間隔で定められているが、CASBEE
の評価では 5 dB の差がレベル 2 つに相当する。神戸市では外壁の総合透過損失を 25 dB あ
るいは 30 dB 以上と規定している。一般に建築音響では単一の数値で性能を評価する場合に
500 Hz の値を用いることが多い。総合透過損失を 500 Hz で代表させて考えると、神戸市の
制度はレベル 3 あるいはレベル 5 に相当する。
表-A6.5 開口部遮音性能の評価レベル
建物全体・共用部分
住居・宿泊部分
事・学・飲・病・ホ・工・住
病・ホ・住
T-1 未満
-
T-1
-
T-2 以上
T-1:500Hz 以上で透過損失が 25dB 以上
備 考
T-2:500Hz 以上で透過損失が 30dB 以上
レベル
(得点)
1
2
3
4
5
音響透過損失
[dB]
T-4
T-3
T-2
T-1
1/3 オクターブバンド中心周波数 [Hz]
図-A6.2 T 値曲線
81
3) その他
設備騒音対策は、空調設備や給排水設備などからの発生騒音に対する対策で評価する。
ただし、CASBEE - 新築(簡易版)では設備騒音対策は評価・表示の対象になっていない。
界壁遮音性能は、室間の界壁の遮音性能を室間音圧レベル差により評価する(JIS A 1419-1
「建築物及び建築部材の遮音性能の評価方法 - 第 1 部:空気音遮断性能」)。界床遮音性能
(軽量床衝撃源)は、軽量床衝撃源に対する上下階の界床の遮音性能を軽量床衝撃源(タ
ッピングマシン)に対する床衝撃音の音圧レベルにより評価する(JIS A 1419-2「建築物及
び建築部材の遮音性能の評価方法 - 第 2 部:床衝撃音遮断性能」)。界床遮音性能(重量床
衝撃源)は、重量床衝撃源に対する上下階の界床の遮音性能を重量床衝撃源(タイヤの落
下)に対する床衝撃音の音圧レベルにより評価する(JIS A 1419-2「建築物及び建築部材の
遮音性能の評価方法 - 第 2 部:床衝撃音遮断性能」)。
A6.4 自治体での CASBEE の活用
自治体での CASBEE による評価・表示制度の例を表-A6.6 に示す。24 の自治体で CASBEE
による評価・表示が行われており、平成 24 年度までに延べ 11,096 件の提出があった A13)。
表-A6.6 自治体での CASBEE の活用例
公共団体担当部署
制 度 名
名古屋市
住宅都市局建築指導部建築指導課建築指導係 建築物環境配慮制度
大阪市建築物総合環境評価制
大阪市
大阪市計画調整局開発調整部規制誘導担当
度(CASBEE 大阪)
横浜市
まちづくり調整局建築審査部建築環境課
横浜市建築物環境配慮制度
京都市
環境政策局地球温暖化対策室
特定建築物に係る制度
特定建築物排出量削減計画・報
京都府
地球温暖化対策課
告・公表制度
住宅まちづくり部建築指導室審査指導課建築
大阪府
建築物の環境配慮制度
環境・設備グループ
神戸市建築物総合環境評価制
神戸市
都市計画総局建築指導部建築安全課指導係
度(CASBEE 神戸)
兵庫県建築物環境性能評価制
兵庫県
県土整備部住宅建築局建築指導課
度
川崎市建築物環境配慮制度
川崎市
環境局環境評価室
(CASBEE 川崎)
静岡県
県民部建築住宅局建築確認検査室
静岡県建築物環境配慮制度
福岡市
住宅都市局建築指導部建築審査課
福岡市建築物環境配慮制度
札幌市建築物環境配慮制度
札幌市
環境局環境都市推進部エコエネルギー推進課
(CASBEE 札幌)
北九州市建築物総合環境性能
北九州市
建築都市局建築指導課
評価制度
さいたま市
建設局 建築部 建築総務課
建築物環境配慮制度
備
考
82
CASBEE 制度における環境品質・性能 Q に占める音環境の割合を表-A6.6 の 14 自治体を
対象として表-A6.7 に整理した。14 自治体の全てで建物全体・共用部分については音環境に
ついて定めていた。加えて、名古屋市、大阪市、札幌市、静岡県の 4 自治体で住居・宿泊
部についても音環境の項目を評価に採用していた。音環境が環境品質・性能 Q に占める割
合は、14 自治体のうち大阪市が 4.5%で、他の自治体では 6.0%であった。名古屋市と大阪
市は暗騒音レベルが項目として取り上げられていないが、その代わり遮音の割合が高くな
っていた。
表-A6.7 各自治体の CASBEE 制度における環境品質・性能 Q に占める音環境の割合
区
分
項目
Q-1 室内環境
建 1.音環境
1.1 騒音
物
(1) 暗騒音レベル
全
(2) 設備騒音対策
体
・
1.2 遮音
共
(1) 開口部遮音性能
用
(2) 界壁遮音
部
(3) 界床遮音性能 (軽量)
分
(4) 界床遮音性能 (重量)
1.3 吸音
Q-1 室内環境
1.音環境
1.1 騒音
住
(1) 暗騒音レベル
居
(2) 設備騒音対策
・
1.2 遮音
宿
(1) 開口部遮音性能
泊
(2) 界壁遮音
部
(3) 界床遮音性能 (軽量)
(4) 界床遮音性能 (重量)
1.3 吸音
地方公共団体のCASBEE評価制度における環境品質・性能Q に占める音環境のウエイト
CASBEE新築(簡易) 名古屋市 大阪市
横浜市
京都市
神戸市
川崎市
福岡市
札幌市
北九州市 さいたま市 京都府
大阪府
兵庫県
静岡県
40.000% 40.000% 30.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000% 40.000%
6.000% 6.000% 4.500% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000% 6.000%
2.400% 0. 000%
0.000% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400% 2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
2.400%
1.440%
0.960%
1.200%
4.200%
2.100%
1.050%
3.150%
3.150%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
2.400%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
1.440%
0.960%
2.400%
2.400%
1.800% 1.350%
40.000% 30.000%
6.000% 4.500%
0.000%
1.200%
1.200%
1.200%
1.200%
1.200%
1.200%
40.000%
6.000%
1.714%
1.714%
1.200%
1.200%
1.200%
1.200%
1.200%
1.200%
40.000%
6.000%
1.714%
1.714%
4.200%
2.100%
1.050%
1.800%
3.150%
0.945%
0.945%
0.630%
0.630%
1.350%
3.000%
0.900%
0.900%
0.600%
0.600%
1.286%
3.000%
0.900%
0.900%
0.600%
0.600%
1.286%
自治体での CASBEE による評価結果の公表データのうち住居の用途の建物の音環境に関
するデータを整理した。住居・宿泊部の暗騒音レベルの全体の平均値は 3.1 であった。これ
は表-A6.8 より、得点 3 に相当するのが[38< LA ≦42dB]であることから、騒音に係る環
境基準の屋内へ透過する騒音に係る基準の夜間の値 40 dB と同程度である。住居・宿泊部の
開口部遮音性能の全体の平均値は 3.8 であった。これは表-A6.9 より、サッシの性能として
は T-2(500 Hz 以上で透過損失が 30 dB 以上)に近い遮音性能であり、ほぼ 30 dB の遮音が
期待できる。
表-A6.8 暗騒音レベルの評価水準
用途区分
住居
・
宿泊部分
レベル(得点)
1
評価水準 LA
45< LA
2
42< LA ≦45
3
38< LA ≦42
4
35< LA ≦38
5
LA ≦35
83
[dB]
表-A6.9 開口部遮音性能の評価水準
レベル(得点)
1
2
3
4
5
備考
評価水準 T
T-1 未満
-
T-1
-
T-2 以上
T-1:500Hz 以上で 25dB 以上
T-2:500Hz 以上で 30dB 以上
84
付属資料 A7 FAQ(Frequently Asked Questions)
本資料の内容は、騒音対策に関連する質問もふまえて選定したが、他の箇所で記載して
いない質問のうち比較的多いものを FAQ(Frequently Asked Questions:よくある質問)として
下記の順に解説する。
Q1:海外における道路交通騒音の基準値は?
Q2:山間部においては騒音がこだまして増幅されるのではないか?
Q3:エンジン音とタイヤ路面音の寄与はどの程度か?
Q4:盛土構造区間の一部をコンクリート BOX にすると上を走行する自動車からの音が
透過してくるのではないか?
Q5:騒音の車種別寄与は?
Q6:環境影響評価法、主務省令、道路局長通達、ASJ RTN-Model、および道路環境影響
評価の技術手法の関係は?
Q7:電気自動車等の静かな車でどの程度騒音が下がるか?
85
Q1:海外における道路交通騒音の基準値は?
A1:道路の新設時、既設道路、沿道における住宅建設に関する基準値が定められています。
また、規制から行政目標的なものまで強制力は様々です。平成 23 年度に調査した結果
の概要を表-A7.1,2,3 に示します。
表-A7.1 新設道路にかかる道路交通騒音の基準値
イギリス
屋外 L A10, 18h (6-24)
68 dB、
かつ、1dB 以上
の騒音増加が見
込まれる場合
基準値
根拠法お
よび強制
力
騒音対策
対策の実
施主体
ドイツ
屋外 L Aeq dB
[6~22 時/ 22~6 時]
フランス
屋外 L Aeq dB
[6~22 時/ 22~6 時]
スウェーデン
推奨値
[59/49]住宅地域
[64/54]住宅商業混合
地域
[69/59]商業・工業地
域
[65/60] 住宅
[60/55] 住宅
(現況で静かな場合)
L Aeq, 24h 55 dB 定住地
L AFmax 70 dB 業務地
建物防音を行う場合
遮音量≧実騒音-規制
値+25≧30
屋内
騒音対策に関する法
律、道路インフラ騒音に
関する施行令、騒音に
関する通達
道路交通騒音に関す
るガイドライン(WHO
の推奨に従ったもの)
[行政目標]
屋外
土地補償法に基
づく防音規制[規
制]
連邦イミッション防止
法第 16 施行令[規制]
道路構造対策、
建物の防音対策
または補助金の
支払
道路構造対策、道路
構造による対策が困
難な場合は建物防音
対策可
区
L AFmax 45 dB
建物防音等
道路事業者
※本表は各国の担当者への聞き取り調査に基づくものであり、全ての基準等を網羅したものではない。
86
表-A7.2 既設道路にかかる道路交通騒音の基準値
基準値
根拠法お
よび強制
力
イギリス
騒音対策最優先
地選定は
屋外 L A10, 18h (6-24)
76 dB
(55dB を超えた騒
音に暴露されてい
る人口の 1%とした
結果)
ドイツ
屋外 L Aeq dB
[6~22 時/ 22~6 時]
EU 指令に基づくア
クションプラン(作
成中)
[行政目標]
騒音対策
対策は今後
対策の実
施主体
[Highways Agency,
道路管理者および
地方自治体]
フランス
屋外 L Aeq, 6-22 65 dB
屋外 L Aeq, 22-6 60 dB
屋外 L den 65 dB
屋外 L night 65 dB
(対策後の上限値)
スウェーデン
新設・改良の推奨値を
10 dB 以上超過した場合
(屋外 L Aeq , 24h 65 dB
定住地
屋外 L AFmax 80 dB 業
務地区
屋内 L AFmax 55 dB
に相当)
はアクションプランを策
定.
連邦交通省の通達
州法または州ごとの
取組
[行政目標]
騒音に関する通達、
環境騒音防止計画
(PPBE)の策定に関
する施行令
道路交通騒音に関する
ガイドライン(WHO の推
奨に従ったもの)[行政目
標]
道路構造対策,交通
流対策,沿道の既存
住宅への防音助成.
道路構造対策、交通
流対策、沿道の既存
住宅への防音助成
(現状では国道の
み)
道路構造対策、交通流
対策、建物移転
[70/60]住宅地域
[72/62]中心地域
[75/65]商業・工業地
域
[道路管理者]
※本表は各国の担当者への聞き取り調査に基づくものであり、全ての基準等を網羅したものではない。
表-A7.3 新規住宅立地にかかる道路交通騒音の基準値
イギリス
屋外 L Aeq, 7-23
55~63dB 分類 B
63~72dB 分類 C
72 dB 超 分類 D
屋外 L Aeq, 23-7
45~57dB 分類 B
57~66dB 分類 C
66 dB 超 分類 D
B:騒音防止計画
C:条件により例外的に開発許
可
D:開発許可を与えない.
ドイツ
屋外 L Aeq dB
[6~22 時/ 22~6 時]
根拠法お
よび強制
力
都市計画ガイドライン
(Planning Policy Guidance 24)
および英国規格
[規制]
DIN(ドイツ工業規格)および市
町村の都市計画
連邦遠距離道路法
[規制]
対策の実
施主体
[住宅地の開発事業者(地方自
治体を含む)]
基準値と
規制
[55/45]住宅地域
[65/55]中心地域・営業地域
開発規制および建物防音義務
付け
連邦遠距離道路法により連邦道
路の沿道で住宅等の建設を認
めない箇所を指定
フランス
屋外 dB
81 <L Aeq,6-22
76 <L Aeq,22-6
→45~32 dB の遮音
76 <L Aeq,6-22 ≦65
71<L Aeq,22-6 ≦60
→42~30 dB の遮音
防音対策の義務付け
騒音対策に関する法律、
騒音に暴露される地区に
おける居住用建物の遮音
に関する施行令[規制]
[建物建設者]
※本表は各国の担当者への聞き取り調査に基づくものであり、全ての基準等を網羅したものではない。
87
Q2:山間部においては騒音がこだまして増幅されるのではないか?
A2:山間部における反射音による騒音レベルの増加量は、騒音計の検定公差 *1よりも小さい
程度のわずかです。
洞窟のような閉鎖的な空間では音が多重反射して減衰しません。しかし、山間部では、
反射音は、草木や地面により反射時に減衰し、反射後は上方に拡散します。また、反射
音は直達音よりも伝搬経路が長いため大きく減衰します。このため、反射音により騒音
レベルが増幅されることはありません。
なお、山間部における反射音の影響については、
「谷の増幅効果」の事例がないことお
よび反射音による増加が 0.2dB との報告例
A14)
があります。また、谷部で反射音の寄与
が大きい地形条件で直達音に対する反射音の寄与を測定した例
A15)
を図-A7.1 に示します。
反射音による騒音レベルの増加は最大でも約 1 dB でした。騒音計の検定公差 *1よりも小
さい程度です。
θ= 8°
受音点2
θ= 8°
音源
受音点1
受音点2
M:+0.7 d., T: +0.8 d.
斜面の反射面
(表面コンクリート)
受音点3
M:+0.8 dB
T:+1.0 dB
70m
44m
51m
受音点1
M:+0.6 d.
T: +0.4 d.
24m
測定方法
M: M系列変調相関法
T: TSP法
19.5m
0
斜面の反射面
(表面コンクリート)
20m
図-A7.1 測定点と測定値
*1: 計量法での普通騒音計の検定公差 1.5 dB
88
Q3:エンジン音とタイヤ路面音の寄与はどの程度か?
A3:図-A7.2 に示すように車種、走行状態により大きく異なります。
56
大型車 高速での定常走行(80km/h)
タイヤ騒音
44
タイヤ騒音以外
50
定常走行1)
91
9
加速走行1)
41
中型車 高速での定常走行(100km/h)
59
45
定常走行1)
加速走行1)
50
55
7
93
95
乗用車 高速での定常走行(100km/h)
92
定常走行1)
8
61
加速走行1)
1) 自動車騒音試験方法
(TRAIAS20)による.
5
0%
20%
39
40%
60%
80%
100%
中央環境審議会騒音振動部会 自動車単体騒音専門委員会(第8回) (平成22年8月19日)
資料より抜粋
図-A7.2 タイヤ騒音の寄与率(標準タイヤ)
89
Q4:盛土構造区間の一部をコンクリート BOX にすると上を走行する自動車からの音が透過
してくるのではないか?
A4:盛土構造の一部をコンクリート BOX としても上部から透過してくる音の影響はほとん
どありません。
なお、参考までにコンクリート BOX の近くで測定した騒音の事例を図-A7.3 に示しま
す。コンクリ―ト BOX の前 A と盛土区間 B で騒音レベルに差がないことやコンクリー
ト BOX 内の騒音レベルが小さいことがわかります。
C BOX内
54.9 dB
約10m
約10m
B
58.8 dB
約35m
図-A7.3
A
58.5 dB
盛土区間の一部にコンクリートBOX近傍の騒音測定例
90
Q5:騒音の車種別寄与は?
A5:道路の種別、時間帯により大きく異なります。
なお、国土交通省が管理している道路の傾向を図-A7.4 および図-A7.5 に示します。
図-A7.4 騒音の車種別寄与(都市地方別)
図-A7.5 騒音の車種別寄与(騒音レベル別、夜間)
(備考)大型車Ⅰ:普通貨物車、特殊用途自動車、乗合自動の大型番号標(車両総重量 8 トン以上等)
大型車Ⅱ:
〃
の中型番号標(車両総重量 8 トン未満等)
二輪車:二輪自動車、原動機付自転車
小型車類:大型車Ⅰ及び大型車Ⅱ、二輪車を除く自動車
91
Q6:環境影響評価法、主務省令、道路局長通達、ASJ RTN-Model、および道路環境影響評価
の技術手法の関係は?
環境影響評価法 A16)(以下、「アセス法」と略称。)、主務省令、道路局長通達、およ
A6:
び ASJ RTN-Model の関係を図-A7.6 に図示します。アセス法では、調査、予測及び評価
の手法を主務省令で定めることとしています。主務省令では、環境要素の区分ごとに
調査、予測及び評価の参考手法を示しており、自動車の走行にかかる騒音の予測の手
法は、音の伝搬理論に基づく予測式による計算としています。さらに、道路局長通達
において、「音の伝搬理論に基づく予測式」は、日本音響学会の道路交通騒音の予測モ
デル(ASJ RTN-Model)とする旨が示されています。
道路環境影響評価の技術手法(以下、「技術手法」と略称。)は、環境影響評価法の
成立を契機として大気質、騒音、振動、動植物・生態系等の環境影響評価に関する技
術的な知見をとりまとめたものです。技術手法においても騒音予測の基本的な手法を
ASJ RTN-Model 2008A18)によることとしています。平成 26 年度は、ASJ RTN-Model の最
新版 13)の適用を検討中しています。
法令
騒音の予測計算に関連する記述(抜粋)
環境影響評価法 *1
第十一条 「事業者は、・・事業の種類ごとに主務省令で定め
るところにより、・・・調査、予測及び評価の手法を選定しなけ
ればならない。」
別表第二 予測の基本的な手法 音の伝搬理論に基づく予
測式による計算
主務省令 *2
局長通達 *3
第11 「音の伝搬理論に基づく予測式」は、日本音響学会の
道路交通騒音の予測モデル(ASJ RTN-Model)とする。
*1: 平成 9 年 6 月 13 日法律第 81 号 最終改正:平成 23 年 8 月 30 日法律第 105 号
*2: 平成 10 年 6 月 12 日建設省令第 10 号 最終改正: 平成 25 年 4 月 1 日国土交通省令第 28 号: 「道路
事業に係る環境影響評価の項目並びに当該項目に係る調査、予測及び評価を合理的に行うための手法を
選定するための指針、環境の保全のための措置に関する指針等を定める省令」
*3:平成 11 年 6 月 11 日 道路局長 最終改正: 平成 25 年 4 月 1 日
図-A7.6 環境影響評価法による騒音の予測評価の法体系
(参考)アセス法(平成 9 年に成立、平成 11 年から施行)では、一定規模以上の道路、ダム、空
港等の 13 種類の事業については、アセス法で定めた手続きで環境影響評価を行うことを定めて
います。道路事業において適用される規模等は、高速自動車国道の新設、長さが 1 km 以上の高
速自動車国道の改築、長さが 10 km 以上の一般国道の新設・改築等とされ(境影響評価法施行
令 A16))、これまでにアセス法が適用された道路事業は約 60 です A17)。 技術手法は、旧土木研究
所が平成 12 年に初版を刊行しました。以後、国土技術政策総合研究所および(独)土木研究所が
知見の進展に伴う改定を行ってきました。
92
Q7:電気自動車等の静かな車でどの程度騒音が下がるか?
A7:
どの程度まで騒音を下げられるかは、技術の進展、法規制、路面管理、および運転
者のモラルの複合的な要因で異なるので明確な数値等はお答えできませんが、参考と
なるデータ等を紹介します。
近年ハイブリッド車が大きく増加しました A22)(図-A7.7 )。ハイブリッド車は加速時
の騒音が大きく低減されています A19) , A20), A21)。また、燃料電池バスの運行例(図-A7.8 )
にあるように燃料電池車にも実用化の兆しが見えてきました。燃料電池車は1回の充
填で走行可能な距離がエンジン系の自動車と同程度なので次世代自動車の本命とも言
われています。今後、電動加速による静かな車の普及がさらに加速すると考えられま
す。一方、高級乗用車が静かであることを体験することおよび高速バスの車内騒音が
一般の乗合バスよりも 5 dB 小さい A2)ことなどから従来のエンジン系の自動車でも電気
自動車と同程度まで騒音を下げることは不可能ではないと言えます。
これらから、全ての自動車の騒音を電気自動車と同程度に抑制することは技術的に
は不可能ではありません。
全ての自動車の騒音を電気自動車と同程度に抑制できた場合を想定した騒音減少が
約 6 dBA23)との報告があります。国総研では低公害車等の騒音の発生量を構内の試験走
路(密粒舗装)で測定しました。乗用車の惰性走行および電気自動車は、公道で測定
した一般的な乗用車 13)よりおおむね 5 dB 程度小さい値となりました(図-A7.9 )。低公
害の中型車も公道で測定した一般的な中型車 13)よりおおむね 5 dB 程度小さい値となり
ました(図-A7.10 )。
しかし、過積載や急な加減速で路面が荒れたり、違法改造や速度違反等で大きな騒
音を発生する自動車が走行すれば、騒音は十分に抑制できません。
どの程度まで騒音を下げられるかは、技術の進展、法規制、路面管理、および運転
者のモラルの複合的な要因で異なります。
93
2
貨物車等
300
200
1
100
0
0
H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
貨物車等(万台)
乗用車+軽自動車
図-A7.8 燃料電池バス
(羽田空港リムジンバス)
図-A7.7 ハイブリッド車の保有台数(国内)
(文献 A22)のデータを加工)
①国内の平均的な乗
用車4)
②惰性走行
(ガソリン1BOX 1)
③惰性走行
(ガソリン1BOX 2)
④惰性走行
(セダンハイブリッド車)
⑤EV(軽乗用 1)
110
100
LWA(dB)
5 dB
90
⑥EV(軽乗用 2)
⑦EV(原付四輪 1)
80
20
速度 (km/h)
⑧EV(原付四輪 2)
70
図-A7.9 乗用車の定常走行における測定結果
①国内の平均的な中
型車4)
115
110
5 dB
②ハイブリッド車1
105
LWA (dB)
乗用車+軽自動車(万台)
400
③ハイブリッド車2
(冷蔵冷凍車のため
(冷蔵冷凍車のた
エンジン大)
めエンジン音大)
100
④天然ガス車1
95
⑤天然ガス車2
90
⑥小型貨物車
タイヤ路面音(参考)
85
20 速度 (km/h)
70
図-A7.10 中型車の定常走行における測定結果
94
付属資料 A8 用語
用語
本 資
分
料 で
野
簡略した説明 [根拠、引用元等]
の 記
載頁
大気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染及び騒音に係る環境
上の条件について,それぞれ,人の健康を保護し,及び生活
環境を保全する上で維持されることが望ましい基準。[環境基
本法]
環境基準
法 5-9
要請限度
(通称)
法
幹線交通を担う
道路
法 11
高速自動車国道、一般国道、都道府県道及び 4 車線以上の
市町村道、並びに自動車専用道路。[騒音規制法に基づく総理
府厚生省令]
幹線交通を担う
道路に近接する
区域
法 11
2 車線以下の車線を有する道路の場合は道路の敷地の境界
線から 15m、2 車線を超える車線を有する道路の場合は道路の
敷地の境界線から 20m までの範囲。[騒音規制法に基づく総理
府厚生省令]
常時監視
法
道路の周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるとき,
5,
市町村長が都道府県公安委員会に対し、措置を執るべきこと
10-13
を要請する限度。[騒音規制法]
10,
14
都道府県及び政令市が,騒音を測定して環境省に報告する
こと。[騒音規制法]
幹線道路の沿道
の整備に関する 法
35
法律(通称:沿道
法)
幹線道路周辺における道路交通騒音による障害の防止と合
理的な土地利用を目的とした法律。①土地の取得費用の一部
の国による市町村への無利子貸付,② 道路管理者による緩衝
建築物の建築費の一部負担,③道路管理者による既存住宅の
防音工事費用の助成,および④道路管理者による住宅の移
転・除去費用の助成を定めている。
デシベル
測
定 41
法
デシベル値 L は基準量 I 0 に対する I の比 I/I 0 から L=10 log 10
( I/I 0 )で計算した値。
A特性
測
定 42
法
A 特性補正は音圧レベルの周波数補正の一種。A 特性補正し
た音圧レベルを騒音レベルという。[JIS C1502]
測
定 45
法
ある時間範囲 T について、変動する騒音の騒音レベルをエ
ネ ル ギ ー 的 な 平 均 値 と し て 表 し た 量 。 [JIS Z8731, ASJ
RTN-Model13)]
測
定 45
法
対象とする時間 T の 50%にわたって騒音レベルがその値以
上となる値。[JIS Z8731]
等価騒音レベル
L Aeq
L A50
(中央値)
95
JIS Z8731
測
7,15
定
環境騒音の表示・測定方法を定めた JIS。
除外音処理(通
称)
測
15
定
環境基準の適用対象外である騒音や、環境基準に基づく騒
音の評価の妨げとなる騒音を測定値から除外すること。除外
音は、航空機騒音,鉄道騒音,建設作業騒音,鳥の声,マフ
ラー改造による音,パトカーのサイレン等の自動車以外の音
や平均的でない音。 [ 騒音に係る環境基準の評価マニュア
ル 4) ]
面的評価
評
16
価
環境基準の達成状況の道路に面する地域としての評価 [騒
音規制法第 18 条の規定に基づく自動車騒音の状況の常時監
視に係る事務の処理基準 6)]
環境施設帯
対
33
策
環境施設帯とは、幹線道路の沿道の生活環境を保全するた
めの道路の部分をいい、植樹帯、路肩、歩道、副道等で構成
される。[昭和 49 年 4 月 10 日都市局長・道路局長通達]
高架裏面吸音板
対
18
策
高架の裏面での反射音を抑制するための吸音板。
排水性舗装, 低
騒音効果のある
高機能舗装, 低
騒音舗装
対 18,
策 32
排水性舗装は多孔質な表層から浸透させた雨水を直下の不
透水層で路側の排水施設に排水させる舗装。透水性舗装とは
異なり、路盤以下に水を浸透させない。雨天走行時の安全性
向上のほか、タイヤ摩擦音の一部が表層内の空隙に吸収され
ることにより、道路交通騒音の発生を減少させる等の効果が
ある。
排水性舗装以外の舗装でも騒音低減効果が確認されている
例があるが、一般的には低騒音舗装は排水性舗装のことをい
う。[国土交通省 websiteA24)]
単体規制
対 21,
策 72
ASJ モデル、ASJ
RTN-Model
計 46,
算 92
(社)日本音響学会(ASJ)の騒音の予測モデルを ASJ モデルと
いう。建設工事騒音の予測モデル ASJ CN-Model と道路交通騒
音の予測モデル ASJ RTN-Model13)の双方が発表されている。
A 特性音響パワ
ーレベル L WA
計
48
算
音源が放射する音響パワー(1 s 当たりに放射する音響エネ
ルギー)に周波数重み付け特性 A をかけて評価した量をレベ
ル表示した値(単位:dB)。[ASJ RTN-Model13)]
自動車一台ごとの排出ガス規制、騒音規制。
96
ユニットパター
ン
計
47
算
道路上を1台の自動車が走行したとき、一つの予測点(観測
点 ) に お け る 騒 音 レ ベ ル の 時 間 変 化 の パ タ ー ン 。 [ASJ
RTN-Model13)]
回折補正量 ΔL d
計
50
算
遮音壁などの音響障害物による回折に伴う減衰に関する補
正量。[ASJ RTN-Model13)]
97
付属資料 A9 道路交通騒音関係の情報源
道路交通騒音に関連する情報源の概要を下記に示す。多くはインターネットで入手可能。
1) 電子政府 e-GOV
法令データ提供システムは、「法令」のキーワードで検索してアクセス可能。
2) 環境省・国立環境研究所
自動車騒音の website は「環境省」、「自動車騒音」で検索。
環境影響評価法の website は「環境省」、「環境影響評価法」で検索。
自動車騒音の常時監視結果の website は「環境 GIS」で検索。
3) 学会
a) 一般社団法人
日本音響学会
音声、聴覚、騒音・振動、建築音響、電気音響、音楽音響、超音波、音響化学、および
アコースティックイメージングの研究者が参加する学会。研究発表会、各種の講習会、セ
ミナーを開催している。学会が発表した ASJ RTN-Model は、
「道路環境影響評価の技術手法」
にも転載している。ASJ RTN-Model は一部で「騒音・振動研究委員会」での発表論文を引
用している。論文は日本音響学会の website から購入可能。DVD も販売されている。ASJ
RTN-Model に関する音響技術セミナーは年1回程度開催されている。
b) 公益社団法人
日本騒音制御工学会
騒音・振動およびその制御に関する学術・技術の発展と普及を図り、もって生活環境の保
全と向上に寄与することを目的として 1976 年(昭和 51 年)に設立した環境省所管の社団
法人。全体の研究発表会、「騒音対策の基礎と考え方」「騒音・振動技術の基礎と測定実習」
「騒音・振動の苦情処理」等の技術講習会を毎年開催している。
4) 主な研究機関
a) 一般財団法人
小林理学研究所
物理学の基礎及び応用研究を指向する研究所として発足。現在は主として騒音振動を研
究している。
b) 大学その他
東京大学生産技術研究所、千葉工業大学、九州大学、名城大学、中央大学、新潟大学、
独立行政法人交通安全環境研究所、独立行政法人産業技術総合研究所、株式会社高速道路
総合技術研究所、国土交通省国土技術政策総合研究所等の研究機関において研究されてい
る。
5) 騒音計の製造・販売業
騒音計を製造・販売している企業が、website での解説、講習会等を行っている。
98
参考文献
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100
国土技術政策総合研究所資料
TECHNICAL NOTE of N I L I M
No. 806
August 2014
編集・発行
© 国土技術政策総合研究所
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