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厳しい温暖化対策を とらなかった場合 - EU

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厳しい温暖化対策を とらなかった場合 - EU
2015年1月28日
日欧政策セミナー
COP20の成果とCOP21への展望
環境省地球環境局長
梶原 成元
1.背 景
IPCC第5次統合報告書の要点
 気候システムの温暖化には疑う余地がない。世界地上平均気温は1850年~1900年と
1986年~2005年を比較して0.61℃上昇。
 人為起源の温室効果ガスの排出が、20世紀半ば以降の観測された温暖化の支配的
な原因(95%の可能性)。
 今世紀末の気温上昇は、現在と比較して、厳しい温暖化対策が取られなかった場合
は2.6~4.8℃、厳しい温暖化対策を取った場合は0.3~1.7℃上昇。
(℃)
 今後数十年間の大幅な排出削
減が極めて重要。これにより、
21世紀以降の気候リスクの低減
につながる。
厳しい温暖化対策を
とらなかった場合、
2.6~4.8℃上昇
 2℃目標の経路
複数あるが、どの経路において
も以下を要する。
①2050年に40~70%削減
(2010年比)
②21世紀末までに排出をほぼゼロ
厳しい温暖化対策をとった場合、
0.3~1.7℃上昇
図.1986年~2005年平均気温からの気温上昇
(産業革命前と比較する際は0.61℃を加える。)
(AR5 SYR Fig.6 編集)
3
世界のエネルギー起源CO2排出量の推移
 世界全体の排出量のうち、米中2カ国で40%以上を排出。
 今後の排出量は、先進国は微増なのに対し、途上国は急増するとの予測
⇒すべての(主要)国が参加する枠組みの必要性
1990年
その他
27.5%
2012年(現状)
中国,
10.9%
その他
その他
30.3%
中国,
中国
26.0%
米国
23.2%
ブラジル
0.9%
日本
5.1%
ロシア
10.4% インド
EU27ヵ国,
19.3%
2.8%
210億トン
その他
33.2%
中国
28.1%
米国,
16.0%
米国
ブラジル
1.4%
日本
3.9%
2030年(予測)
EU27ヵ国
EU27か国
11.0%
ロシア
5.2% インド
6.2%
317億トン
米国
12.9%
ブラジル
1.8%
日本
2.7%
ロシア
4.8%
インド
9.1%
EU28ヵ国
7.4%
365億トン
IEA「CO2 emissions from fuel combustion 2014」「World Energy Outlook (2013 Edition)」に基づいて環境省作成
4
2.COP21の展望
2015合意の論点(課題)
キーワード(COP17ダーバン合意)
 条約の下で(under the Convention)
 全ての国に適用される(applicable to all Parties)
 法的な合意 (a protocol, another legal instrument or an agreed outcome with legal
force)
(ワルシャワ~リマでの決定)
 合意に十分先立って各国が自らの約束草案を提出
 「緩和、適応、資金、技術、能力構築、透明性」の6要素をバランスよく扱う
 適応の行動を強化するとの決意
主な論点: 来年の交渉における宿題
• 各国間の差異化のあり方(「共通だが差異ある責任」原則の反映のさせ方)
• 各国の目標はまず各国が定める「各国提案方式」で、いかに実効性を確保するか
(「参加」と「野心」のジレンマ)。
• 「適応」の取り扱い。
• 「資金」、「技術」、「能力構築」の扱い。
• 「透明性」(報告、評価)の仕組み
• 合意の法的形式(議定書、その他)
6
2015年合意における 「緩和」 「透明性」
如何に実質的な削減につながる “効果的な枠組み”とするか。
透明性が鍵。
土地セクター及び市場メカニズム含む緩和約束に関するアカウンティング・ルールが必要。
約束草案の提出→正式化→実施のサイクルが重要。
日本の見解(2014年10月国連への意見提出)
緩和に関する約束草案:
■全ての国は、以下の義務を負うべき。
①約束草案の提出
②約束達成に向けた対策の実施
③約束の実施に関するレビューを受けること
■土地セクター及び市場メカニズムに関するアカウンティング・ルールは各国の約束に影響を与えうる。
COP21においてアカウンティング・ルール開発のための作業計画を立ち上げるべき。
■約束草案のサイクル:日本は終了年を2030年とする10年サイクルを選好。共通のサイクルがあること
が理想的。
透明性:
■既存の算定・報告・検証(MRV)の仕組みから得られる経験や教訓を踏まえ、全ての国に適用される
単一かつ共通、効果的、効率的、促進的な事後評価のプロセスが必要。
■事後評価プロセスの詳細決定に向けて必要な作業について、COP21で認識されるべき。
■例えば以下のように実施可能:
-各国は報告書を定期的に提出
-様々な主体が報告書に関する質問や意見を提出することができる
-各国の応答をウェブサイトに掲載
-評価セッションを実施。国際機関の専門性を十分に活用すべき。
77
COP21に向けた道筋
C
O
P
20
2月交渉会合
ジュネーブ
(2/8-13)
5月までに交渉テ
キスト作成
6月交渉会合
ボン(6/1~11)
秋 交渉会合
C
O
P
21
新たな枠組
み採択
各国の約束草案をウェブサイトで公開
各国がCOP21に十分先
立って(準備ができる国
は2015年3月末までに)
約束草案を提出
各国の約束草案が参照できる
状態で枠組みの交渉
この間、様々な非公式会合でも議論予定
2015年12月
(パリ)
各国の約束草案を総計
した効果についての統合
報告書を11月1日まで
に作成
8
3.日本国内の状況
二国間クレジット制度(JCM)
 優れた低炭素技術・製品・システム・サービス・インフラの普及や緩和活動の実
施を加速し、途上国の持続可能な開発に貢献。
 日本からの温室効果ガス排出削減・吸収への貢献を、測定・報告・検証(MRV)
方法論を適用し、定量的に適切に評価し、日本の排出削減目標の達成に活用。
 CDMを補完し、地球規模での温室効果ガス排出削減・吸収行動を促進すること
により、国連気候変動枠組条約の究極的な目的の達成に貢献。
ホスト国
日本
優れた低炭素技術等の普及や
緩和活動の実施
合同委員会で
MRV方法論を開発
日本の削減目標
達成に活用
クレジット
JCMプロ
ジェクト
MRV
温室効果ガスの排
出削減・吸収量
10
JCM二国間文書への署名国
【モンゴル】
2013年1月8日
(ウランバートル)
【ラオス】
2013年8月7日
(ビエンチャン)
【バングラデシュ】
2013年3月19日
(ダッカ)
【エチオピア】
2013年5月27日
(アジスアベバ)
【インドネシア】
2013年8月26日
(ジャカルタ)
【コスタリカ】
2013年12月9日
(東京)
【ケニア】
2013年6月12日
(ナイロビ)
【パラオ】
2014年1月13日
(ゲルルムド)
(2015年1月現在)
【モルディブ】
2013年6月29日
(沖縄)
【ベトナム】
2013年7月2日
(ハノイ)
【カンボジア】
2014年4月11日
(プノンペン)
【メキシコ】
2014年7月25日
(メキシコシティ)
インドネシアとの合同委員会において、2014年10月にJCM第一号
プロジェクト(工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減)を
登録済み
11
COP20におけるJCM関連活動
• ADPにおける交渉の結果、約束草案に市場メカニズムの活用を含める
ことは可能と整理された。
• JCM署名国会合(ハイレベル・ラウンドテーブル)を開催し、共同声明を
発出。
-JCMの進捗を歓迎
-JCMの実施を進展させる意思を共有
-JCMの実施を通じて得られた経験を共有することにより、気候変動に関す
る国際連合枠組条約に引き続き貢献していく意図を確認
12月10日 JCM署名国会合(ハイレベル・ラウンドテーブル)
12
2013・2014年度 環境省JCMプロジェクト設備補助事業(2015年1月時点)
モンゴル:
●高効率型熱供給ボイラの集約化に係る更新・新設(数理計画)
冬季の暖房用温水の供給に利用する旧式の低効率石炭焚き
ボイラ(HOB)を、高効率ボイラに更新又は新規に導入する。そ
の際、既存のHOBが建物個別供給型であるものを、高効率
HOBを集約的に導入し、集約的に温水(熱)供給する。
バングラデシュ:
◆省エネ型ターボ冷凍機を利用した工場空調と
設備冷却(ダッカ市郊外)(荏原冷熱システム)
製糖工場における品質管理(温度・湿度の適
正化)のため、高効率の圧縮機とエコノマイ
ザーサイクルを採用した省エネ型冷凍機を導
入する。
ベトナム:
◆卸売市場における有機廃棄物メタン
発酵およびガス利用事業(日立造
船)
卸売市場で発生する有機廃棄物に
ついてメタン発酵システムにより嫌気
性処理を行い、生じるメタンガスを回
収して水産加工工場へ供給する。
◆デジタルタコグラフを用いたエコドラ
イブ(日本通運)
エコドライブ啓発システムをトラック
輸送に導入し、CO2排出削減と安全
運転を促進する。
モルディブ:
◆校舎屋根を利用した太陽光発電システム導入
プロジェクト(パシフィックコンサルタンツ)
高効率のインバータ付太陽光発電を校舎屋根
に導入しグリッドからの電力消費を代替する。
●2013年度採択案件 (3ヶ国7案件)
◆2014年度採択案件 (4ヶ国8案件)
パラオ:
●島嶼国の商用施設への小規模太陽光発電システム(パシフィックコンサルタンツ)
商用施設屋上に高品質で耐風速性の高い小規模太陽光発電システムを設
置し、グリッド電力を代替することにより、CO2排出量を削減する
インドネシア:
●工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減(Batang市)(荏原冷熱シ
ステム)
製品品質管理のための空調(冷房)のための冷凍機として、高効率の圧縮
機とエコノマイザーサイクルを採用した省エネ型冷凍機を導入する。
●コンビニエンスストア省エネ(ローソン)
コンビニエンスストアにおいて、冷蔵冷凍・空調・照明に、それぞれ自然冷
媒(CO2冷媒)を採用した高効率冷凍機、インバータ式空調機器、及びLED
照明を導入する。
●コールドチェーンへの高効率冷却装置導入(前川製作所)
食品冷凍・冷蔵倉庫業に、自然冷媒(NH3・CO2の二元冷媒)を採用した
高効率冷却装置を導入する。
●冷温同時取出し型ヒートポンプ導入による省エネルギー(豊田通商)
冷温同時取出しヒートポンプからの温熱及び冷熱を同時に供給することで、
全体としての効率化を図り、CO2排出量を削減する。
●工場空調及びプロセス冷却用のエネルギー削減(荏原冷熱システム)
製品品質管理のための空調(冷房)のための冷凍機として、高効率の圧縮
機とエコノマイザーサイクルを採用した省エネ型冷凍機を導入する。
◆セメント工場における廃熱利用発電(JFEエンジニアリング)
廃熱回収発電を導入し、セメント生産プロセスから生じる廃熱を電気エネル
ギーに転換することで、工場の消費電力を削減する。
◆無電化地域の携帯基地局への太陽光発電ハイブリッドシステムの導入(伊
藤忠商事)
電源にディーゼル発電を使用する携帯基地局に、太陽光発電と蓄電池を
導入することで、CO2排出量を削減する。
◆自動車部品工場のアルミ保持炉へのリジェネバーナー導入による省エネル
ギー化(豊通マシナリー)
工場の鋳造工程に高効率なリジェネバーナーを導入することで、CO2排出
量を削減する。
◆省エネ型ターボ冷凍機を利用した工場設備冷却(荏原冷熱システム)
紡績工場における品質管理(温度・湿度の適正化)のため、高効率の圧縮
機とエコノマイザーサイクルを採用した省エネ型冷凍機を導入する。
13
約束草案の検討
○ 2013年11月のCOP19では、各国に対し、2015年のCOP21に十分先立ち(準備ができる
国は2015年第一四半期までに)、2020年以降の約束草案(削減目標等)を提出するよ
う招請。
○ 我が国の約束草案については、COPの決定、各国の動向や将来枠組みに係る議論の
状況、エネルギー政策やエネルギーミックスに係る国内の検討状況等を踏まえて、で
きるだけ早くとりまとめることを目指して、検討を深めていく。
○ 2014年10月に、中央環境審議会・産業構造審議会合同専門家会合を立ち上げ、現在
までに4回開催し、我が国の約束草案提出に向けて、検討を進めているところ。
合同専門家会合の開催状況
■第1回
2014年10月24日(金)
■第2回
2014年11月12日(水)
■第3回
2014年12月5日(金)
■第4回
2015年1月23日(金)
<議題>
・地球温暖化対策・国際交渉
の現状について
・エネルギー政策の現状につ
いて
<議題>
・IPCC第5次評価報告書統合
報告書について
・非エネルギー起源温室効
果ガス対策について
・低炭素社会実行計画につ
いて
<議題>
・エネルギー需要対策(省エ
ネ対策)について
・国民運動について
<議題>
・エネルギー供給対策につ
いて
14
適応計画策定に向けたステップ
※2℃目標を達成したとしても、我が国において気温の上昇、降水量の変化、
極端な現象の変化など様々な気候の変化、海洋の酸性化などの影響が生ずる
恐れがあり、その影響への適応を計画的に進めることが必要とされている。
第114回中央環境審議会地球環境部会にて気候変動影響評価等小委員会を設置
(平成25年7月2日)
•
•
•
•
極端現象を見るためのより詳細な日本の気候変動の予測
影響を7分野、30の大項目、56の小項目に整理
項目ごとに現在の状況、将来予測される影響について検討
重大性・緊急性・確信度について評価 等
気候変動の影響及びリスク評価と今後の課題を整理し、意見具申として取りまとめ
(平成27年2~3月頃)
政府全体の総合的、計画的な取組として、適応計画を策定(平成27年夏目途)
※定期的な見直し
15
ご清聴ありがとうございました。
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