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美容整形で実際の施術後の状態がイメージ写真と全く異なる場合、補償し

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美容整形で実際の施術後の状態がイメージ写真と全く異なる場合、補償し
【相談 32】美容整形で実際の施術後の状態がイメージ写真と全く異なる場合、補償してもらえますか。
キーワード: 美容整形、補償、説明義務、立替払い、医療契約、診療契約
女性です。
先日、美容医療機関のホームページを見て、そこに表示されている情報を見て二重まぶたの完全埋没法
で手術を受けたところ、表示されていた写真のような見栄えではなく失望してしまいました。そこで「失
敗ではないのか」と医師に文句を言ったところ「成功です」と言われました。自分では、満足しないので
補償して欲しいと当該美容医療機関に申し入れたところ、
「有料」と言われました。成功・失敗の基準は分
かりませんが、ホームページの表示と明らかに異なり、だまされた気持ちです。このような場合、医師に
補償してもらうことはできないのでしょうか。
【回答】
一般的に、医師の故意または過失による行為によって損害が生じた場合(不法行為責任:民法第 709 条)
、
または、医師が故意または過失により診療契約における債務の本旨に従った診療契約の履行をしないため
損害が発生した場合(債務不履行責任:民法第 415 条)
、患者は医師に対して損害賠償を請求することがで
きます。
不法行為に基づく場合でも債務不履行に基づく場合でも、医師の行為に故意または過失が認められる場
合には損害賠償責任が発生します。医療行為において過失、すなわち、注意義務違反があったかどうかは、
「医療水準」に達しているかどうかで判断されます。医療水準に達していない行為によって損害が発生し
た場合には、医師に対して損害賠償を請求することができます(最高裁平成 8 年 1 月 23 日)
。
では、美容整形における「医療水準」とはどのようなものでしょうか。
美容整形は、一般に患者の主観的な願望を満足させるために、医学的に緊急性および必要性が乏しい場
合が多いにも関わらず、人体に対する侵襲行為が行われるものですので、この場合の医師の過失は、他の
医療行為よりも厳格に判断される傾向にあります。しかし、そもそも美しいか否かは各人の主観によると
ころが大きく、客観的に決めることは困難です。したがって、本件において、手術自体の過失を理由に損
害賠償を請求することは難しいと思います。
ただし、美容整形は、患者の主観的願望を満足させるために、医学的に緊急性および必要性が乏しいに
もかかわらず人体に対する侵襲行為を施行するわけですから、美容整形において医師が、説明義務を尽く
したかどうかは厳しく判断されることになります。美容整形手術にあっては、緊急性がなく、手術の必要
性自体が患者の主観的意図に基づくことが多いのですから、医師は、医学的に判断した当人の現在の状態、
手術の難易度、その成功の可能性、手術の結果の客観的見通し、可能性のある合併症や後遺症等について
十分な説明をした上で、その承諾を得る義務があると考えられます。このような医師による説明は、専門
的知識を有しない通常の患者に対しては、十分な理解が得られるように、十分に分かり易い説明を工夫し
なければなりません。単に注意事項を列挙した書面を交付しただけでは、説明義務を尽くしたとは言えな
いでしょう。本件で、医師に説明義務違反が認められた場合には、患者は損害賠償を請求することができ
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Medical-Legal Network Newsletter Vol.31, 2013, Jul. Kyoto Comparative Law Center
ます。
また、美容整形は原則として自由診療として行われるため、患者負担の治療費が高額に上ることが少な
くありません。亀頭増大術において用いられた術式が医学的に一般に承認された方法でないことは、消費
者契約法第 4 条第 2 項の「当該消費者の不利益になる事実」に該当するとして、治療費を立替払いしたク
レジット会社への支払い拒絶を認めた下級審判決が存在します。
(回答者:籔本 恭明
弁護士、医学博士、中小企業診断士)
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