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プログラム 抄録集

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プログラム 抄録集
第11回東関東ストーマ
リハビリテーション研究会
プログラム 抄録集
会
期
会
場
平成 20 年(2008)10 月 25 日(土)
10:00 ~ 17:00
千葉大学けやき会館
大ホール(1F)
千葉市稲毛区弥生町1-33
TEL:043-251-1111 内線 4020
会
長
岩井 潤
千葉県こども病院
小児外科
ご 挨 拶
第11回東関東ストーマリハビリテーション研究会
会長
千葉県こども病院
岩井 潤
小児外科
このたび第11回東関東ストーマリハビリテーション研究会を平成 20 年 10 月
25 日(土)に、千葉大学けやき会館(西千葉)におきまして開催させていただく
こととなり、大変光栄に感じております。
本研究会の特徴として、参加者の大部分が看護師の方々であり、ストーマケアに
関わる問題を広く取り上げ、毎回活発な討論がなされています。一方、私を含め関
連各科の医師にとっては、オストメイトおよび看護の立場にたった知識(意識)の
共有化を図る大変良い機会となっております。
本研究会も 11 回を数え、今後はさらに排泄管理一般にも目を向けるようになる
かと推察いたします。
小児においては、二分脊椎症の患者さんがその代表で、成人に至るまで、時期に
応じた排泄(排尿・排便)管理を必要としています。千葉県こども病院でもすでに
多数の患者さんがいる中で、成人されてもいまだに当院に通われている方が少なく
ない状況です。
そこで今回、二分脊椎症の厚生労働省症班研究において分担研究員も務められた、
千葉県こども病院長(脳神経外科)の伊達裕昭先生に、「二分脊椎症の成因と治療
―長期フォローアップ・トータルケアの重要性―」と題して教育講演をお願いしま
した。本疾患へのご理解を深めていただけるものと思います。
一方、一般演題にも多数のご応募をいただきました。有難うございます。また、
座長・コメンテーターの皆様には、突然のお願いにも関わらずご快諾いただき厚く
お礼申し上げます。今回は一般演題の発表・討論時間に多少の余裕を持たせました
ので、活発なご討論をお願い申し上げます。
以上、これからストーマケアを始める方はもちろん、ケアをさらに充実したいと
考えている方、あるいはケアに難渋している方にとり有意義な情報が得られると考
えております。皆様是非奮ってご参加下さい。
最後になりましたが、本研究会の開催にあたり、こども病院看護局および千葉大学
小児外科教室の皆様はじめ、ご指導・ご支援をいただきました皆様方に感謝を申し
上げご挨拶とさせていただきます。
ご参加の皆様へのご案内
◆ ご参加の皆様へ
1. 開場および受付開始時間は、9時30分からです。
2. 参加費は 2000 円(会員登録込み)です。
3. 所定の用紙に必要事項を記入してから受付をお願いいたします。これに基づいて
次回、第 12 回研究会のご案内を郵送したします。
◆ 演者、座長、コメンテーターの皆様へ
1. ご自分のセッションの開始30分前までに受付をお願いいたします。
2. 演者の方は発表前に次演者席でお待ちください。座長、コメンテーターの方は、
ご自分のセッション前に次座長席でお待ちください。
◆ 発表時間・形式
1. 発表時間は一題につき6分、討論時間は4分です。
2. 発表はPCプレゼンテーションのみとなります。プロジェクターは 1 台です。
3. OS は WindowsXP、アプリケーションソフトは Windows 版 PowerPoint 2000 に
統一させていただきます。Vista および PowerPoint 2007 には対応しておりません。
4. 発表用のファイルは USB メモリーあるいは CD-R に保存の上、PowerPoint 2000
での動作確認をお願いいたします。
5. 発表用ファイルを保存した USB メモリーあるいは CD-R は、研究会当日に受付ま
でお持ちください。各自でウィルスチェックを事前にお願いします。
6. 動画の同時使用など動作に不安がある場合は、ご自分の PC をご持参下さい。
◆ 2次抄録の提出
本研究回の内容は日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会誌に投稿いたします。
すでに提出された抄録に変更がある場合は、研究会当日に再提出をお願いいたします。
◆展
示
1 階エントランスホールおよび 2 階展示ホールにてストーマ関連用品の展示を行
います。(出展企業名:巻末)
◆会
議
幹 事 会:9時00分から、中会議室(3F)で開きます。
世話人会:12時10分から、レセプションホール(3F)で開きます。
会場のご案内
千葉大学けやき会館 大ホール
〒263-8533 千葉市稲毛区弥生町1-33
TEL: 043-251-1111 内線 4020
アクセス
★駐車場はありませんので、電車などの交通機関をご利用ください。
【電 車】
※1 JR 西千葉駅より西千葉キャンパス南門まで徒歩約2分
※2 京成みどり台駅より西千葉キャンパス正門まで徒歩約7分
“◆”は乗り換えを表します
【JR 品川・東京駅から】
JR 総武線(快速)乗車◆JR 稲毛駅(総武線(普通))-西千葉駅下車(※1)
【JR 秋葉原駅から】
JR 総武線(普通)乗車-西千葉駅下車(※1)
【京成上野駅から】
京成本線(特急)乗車◆京成津田沼駅(京成千葉線)-みどり台駅下車(※2)
プログラム
平成20年10月25日(土)
開会のあいさつ
10:00~10:05
第11回会長 岩井 潤
(千葉県こども病院)
1.セルフケア・受容
10:05~10:55
座
長
樋口 ミキ (東京歯科大学 看護部)
コメンテーター 小杉 千弘 (帝京大学ちば総合医療センター
外科)
演題1.視力障害のある高齢者オストメイトのストーマケア
塚越 美典(帝京大学ちば総合医療センター
看護部)
演題2.家族の介入がセルフケア確立を困難にした一例
山本 晴江(総合病院取手協同病院
看護部)
演題3.ストーマ脱出を起こし装具選択が困難であった症例
谷澤 伸次(筑波大学附属病院
ストーマ外来)
演題4.消化器ストーマ造設患者の術後在院日数に影響する要因の検討
平木 久美子(㈱日立製作所日立総合病院 地域がんセンター外科)
演題5.ストーマの受容に困難をきたした患者への術前看護介入の分析
-アギュララとメズイックの危機モデルを用いて-
米嶋 美晴(総合病院土浦協同病院 消化器外科病棟)
2.ストーマ・瘻孔・排泄管理(1)
10:55~11:25
座
長
清藤 友里絵 (東邦大学医学部附属佐倉病院 看護部)
コメンテーター 照 井 慶 太 (千葉大学大学院 小児外科)
演題6.回腸ストーマ造設後皮膚障害を生じ難渋した平坦型ストーマ事例
菊地 潤子(総合病院土浦協同病院 茨城県地域がんセンター)
演題7.消化管瘻におけるパウチングと吸引が有効であった事例
田代 亜美(㈱日立製作所日立総合病院 D 棟 3 階
演題8.ストーマ装具購入のシステム化を試みて
加瀬 昌子(国保旭中央病院
3.ストーマケア用品
最新情報紹介
外科病棟)
スキンケア指導室)
11:25~11:55
展示企業に、ケア用品の最新情報提供をお願いしました。
本日の展示を見る際にも役立つと思います。
休
憩
(11:55~13:30)
休憩時間中に、世話人会をレセプションホール(3 階)で開きます。
4.ストーマ・瘻孔・排泄管理(2)
13:30~14:00
座
長
茅野 昌子 (社会保険船橋中央病院 看護局)
コメンテーター 大塚 恭寛 (社会保険船橋中央病院 外科)
演題9.緊急ストーマ造設術後の皮膚離開に伴ったケア難渋例へのストーマケアチ
ームの関わりの1経験例
直井 師子(成田赤十字病院 看護部)
演題10.バルーンカテーテルによる管理を行なった糞瘻の 1 例
照井 慶太(千葉大学大学院
演題11.排泄経路の変更で創感染が改善した患者の一事例
糸永 亜矢(独立行政法人労働者健康福祉機構
5.教育講演
14:00~14:50
座
長
柿本
コメンテーター 岩井
小児外科)
鹿島労災病院)
洋子 (千葉県こども病院 看護局)
潤 (千葉県こども病院 小児外科)
「二分脊椎症の成因と治療
―長期フォローアップとトータルケアの重要性―
伊達 裕昭 先生
千葉県こども病院
コーヒー ブレイク
」
脳神経外科
(14:50~15:10)
6.泌尿器・パス
15:10~15:40
座
長
榎本 和夏奈(国立がんセンター東病院 看護部)
コメンテーター 丸 岡 正 幸(千葉県がんセンター 泌尿器科)
演題12.千葉県こども病院における二分脊椎症患児の排尿管理の現状
本間 澄恵(千葉県こども病院 泌尿器科)
演題13.排尿の自己管理に向けての看護支援の実際
~自己導尿方法のマニュアル作成についての報告~
川上 幸子(千葉県こども病院 看護局
外来)
演題14.膀胱全摘回腸導管造設術クリニカルパス改訂後の活用上の問題点
平野
智子(総合病院土浦協同病院
茨城県地域がんセンター)
7.看護支援・医療連携
15:40~16:40
座
長
加瀬 昌子(旭中央病院 スキンケア指導室)
コメンテーター 小 林
豊(船橋市立医療センター 外科)
演題15.多職種の連携にあたり、看護師が調整機能を果たした症例
齋藤 美由紀(国立がんセンター東病院 7B 病棟)
演題16.当病棟におけるストーマ管理の現状
羽生田裕子(千葉大学医学部附属病院
小児外科病棟)
演題17.思春期にある総排泄腔症の児と家族への関わり
永田 由美(千葉県こども病院
演題18.排泄障害児の在宅支援の現状報告
~地域医療連携室としての取り組みを通して~
上加世田 豊美(千葉県こども病院
看護局)
地域医療連携室)
演題19.高齢ストーマ保有者と地域連携
茅野 昌子(社会保険船橋中央病院
看護局)
演題20.排泄障害を持つ学童児のキャンプ体験の意義と課題
~そらぷちキッズキャンプの取り組み~
本多 貴子(そらぷちキッズキャンプを創る会)
閉会のあいさつ
16:40~17:00
次期会長あいさつ
大河内
(筑波大学人間総合科学研究科先端応用医学専攻
信弘
消化器外科)
代表世話人総括
代表世話人 幸田 圭史
(帝京大学ちば総合医療センター 外科)
閉会のあいさつ
第 11 回会長 岩井 潤
(千葉県こども病院 小児外科)
抄 録 集
演題1
視力障害のある高齢者オストメイトのストーマケア
帝京大学ちば総合医療センター
○塚越
美典
柴山
直子
工藤
美紀子
白石
看護部
央子
【はじめに】高齢化により、ストーマ保有者だけでなく、その介護者も高
齢化してきている。セルフケア確立には視力、手先の運動、記名力が重要
であるが、加齢や疾患により身体機能の低下が生じており、在院日数短縮
化が進むなか短期間でのセルフケアの確立は難しい現状がある。この症例
を通し、高齢者へのストーマケアを検討する。【症例】78 歳男性
直腸癌にて腹会陰式直腸切断術、単孔式 S 結腸ストーマ造設。糖尿病性網
膜症にて視力障害あり 妻(76 歳)との 2 人暮らし【経過】妻が主体とな
りケアを実施、便破棄の自立を目標に、術前よりストーマモデル、実際の
装具を使用し、指導をすすめた。術後の疼痛、排尿障害出現により「分か
らないよ。今までのように何もできなくなった」と否定的な言動が増え、
便破棄を行わず、妻が実施することが続いた。妻も恐怖心・不安にため、
ストーマに触れるまでに時間を要した。指導時は娘が同席し、一緒にケア
を行った。退院時には妻主体でケアの確立ができた。ストーマ外来へ継続
している。
【考察】視覚的情報が少ないことで、ストーマに対してのイメー
ジがもてず、混乱・不安が増強しており、術後疼痛・体力の低下も加わり、
ストーマの受容が進まなかったと考える。
【結語】高齢者の身体機能、セル
フケア能力、患者背景を把握し、入院時から退院時の目標を視野に入れか
かわり、外来・地域連携による継続看護・サポート体制の充実が重要であ
る。
演題2
家族の介入がセルフケア確立を困難にした一例
総合病院取手協同病院
○山本
山本
晴江
順子
鈴木 理恵
竹之内美樹
鈴木
柴田
看護部
千晴
教子
【はじめに】
当院では、セルフケア確立が困難であると予測される場合、術前から家族を
加えてオリエンテーションを行い、家族の介入を促している。
今回、家族の介入が患者自身のセルフケア確立に影響を及ぼしたと考えられ
る事例に出会った。振り返りを行い、今後の課題が明らかになった為報告
する。
【事例紹介】
80歳代男性。大腸癌により S 状結腸ストーマ造設。ADL 自立。老視にて
眼鏡使用。難聴にて補聴器使用(日常生活に支障なし)。キーパーソンは妻
(妻と2人暮らし)。入院期間40日間
【経過】
概ねセルフケア確立可能と予測されたが、高齢である為、術前にストーマオ
リエンテーションを本人・家族に対し実施。手術に対する不安の表出のみ
で、ストーマに対する発言はなかった。術後7日目、指導開始。
「見たくな
い」との発言あり、装具交換の指導に進む事が出来ず、術後14日目、妻
へ指導を開始した。自分で行う必要性があることを説明したが、見学のみ
でセルフケア確立できず退院を迎えた。
【考察】
ストーマへの受容ができていない状態で、早期に家族へ指導を開始した事で、
患者自身の家族への依存心が強まり、セルフケア確立を困難にしたと考え
られる。
【まとめ】
精神的援助や、指導方法の工夫、家族への指導開始時期の検討が今後の課題
となる。
演題3
ストーマ脱出を起こし装具選択が困難であった症例
筑波大学附属病院
○谷澤
伸次
武田由美子
山本
雅由
ストーマ外来
柳澤
和彦
【はじめに】
原疾患のフォローアップ終了後長期間、自己流のストーマケアを行ってい
る患者がしばしば見受けられる。今回、ストーマ造設後自己流のケアを 30
年以上行ってきた患者がストーマ脱出を発症し、ケア方法や装具の変更に
理解を得ることに苦慮した症例を経験したので報告する。
【事例】
78歳 男性 直腸癌術後
1968 年に直腸癌(詳細不明)の診断で腹会陰式直腸切断術が施行された。
ストーマは腹直筋外に造設されていた。その後 5 年間の外来通院後、経過
良好で外来受診終了となっていた。2005 年 1 月ストーマ脱出を認め、同月
当ストーマ外来受診となる。
【経過】
受診時のストーマサイズは 52×72×160mm。ストーマの最大径は約
100mm で、腸管の脱出に伴い装具は皮膚に密着せず、排便毎に装具交換を
していた。しかし、装具とストーマサイズが合っていないため装具変更と
ケア方法の変更が必要であったが、本人の同意は得られなかった。精査の
結果、脱出腸管に通過障害を認め手術適応と判断され右下腹部に人工肛門
再造設術が施行された。
本症例では、入院したことをきっかけに時間をかけ装具変更の必要性や
皮膚保護材つき装具の特徴を説明したことで装具変更に理解を示し、装具
変更後 3 日毎での装具交換が可能になった。
【まとめ】
ケアに不便を感じていないオストメイトにケア方法の変更の理解を得る
には困難を極める。術後長期に経過した患者は医療機関への受診が減り、
専門外来に掛かっていない患者にとっては新しい情報を得る機会が少ない
ため医療者が責任を持ってケア方法が適切であるか判断・評価し患者にフ
ィードバックすることが重要である。
演題4
消化器ストーマ造設患者の術後在院日数に影響する
要因の検討
(株)日立製作所日立総合病院
地域がんセンター
○平木久美子
斉藤
外科
康予
【目的】
消化器ストーマ造設患者の術後在院日数の中央値以上の患者に影響した要
因を検討し、術後在院日数が長い患者への看護介入の示唆を得る。
【研究方法】
2007 年度に当院で消化器ストーマを造設し、その後追加治療等がなく退院
した患者 42 名を対象とした。対象者の診療記録より、疾患名、合併症の有
無などの治療要因、セルフケア指導開始日、看護師の外科経験年数などの看
護要因、患者の身体状況を収集し、術後在院日数に関連する要因を検討した。
倫理的配慮として個人を特定できないよう配慮を行った。
【結果】
対象者は男性 30 名女性 12 名で、平均年齢は 67.7 歳であった。術後在院日
数の中央値は 23 日で、術後在院日数短期群は 22 名で長期群は 20 名であっ
た。術後在院日数と関連を示した項目は、全身の合併症の有無およびセルフ
ケア指導開始日であり、術後在院日数に最も影響していたのは、全身の合併
症の有無であった。看護師の外科経験年数と緊急手術の有無は、術後在院日
数と関連が示されなかった。
【考察】
術後在院日数に看護として関連を示したのが、セルフケア指導開始日であっ
たことから、緊急、予定手術に関わらず、術後早期からセルフケア指導を行
うことで術後在院日数が短縮できる可能性が示唆された。したがって、術後
早期にセルフケア指導を受けられる心理状況へと患者を導くための看護介
入が重要であると考える。
演題5
ストーマの受容に困難をきたした患者への
術前看護介入の分析
-アギュララとメズイックの危機モデルを用いて-
総合病院土浦協同病院
○米嶋
美晴
片岡 美香
河須崎智子
消化器外科病棟
内藤
飯塚
郁絵
規子
<事例紹介>
59歳男性、横行結腸癌術後縫合不全にて腸瘻を形成し保存的治療を行った。
2ヵ月後ストーマ造設術を提案されるが再手術に脅威を感じていた。この患
者が、前向きに手術に望めるよう看護師が行った術前の看護介入と患者の言
動をアギュララとメズイックの危機モデルを用いて分析した。
<倫理的配慮>
患者に研究の主旨、プライバシーの保護について説明し書面で同意を得た。
<結果と考察>
①知覚
ストーマ造設を自分の身に起こる事として知覚できず、知識がないことで脅
威が増大していた。パンフレット指導や瘻孔ケアにアシュラコンフォートE
C®を使用したことがストーマを知覚させる一因であったと考える。
②対処機制
再手術や瘻孔ケアによる行動制限は患者の対処機制では解決されずにいた。
情緒的コーピングを尊重しスタッフ間で統一した積極的傾聴を行ったこと
が解決へ向かう要因の一つとなったと考える。
③社会的支持
患者・キーパーソン・医療従事者とのコミュニケーションは良好であり、社
会的支持があったと考える。
以上のことから患者が前向きに手術に望めたのは主に①と②に対しての看
護介入が有効に働き、知覚・対処機制・社会的支持のバランスが保たれた為
と考えられる。
演題6
回腸ストーマ造設後皮膚障害を生じ難渋した
平坦型ストーマ事例
総合病院土浦協同病院
○菊地
大津
潤子
佳子
茨城県地域がんセンター
安達 真澄
豊田江美子
富田
羽持
洋子
律子
はじめに
平坦型の回腸ストーマが造設され、排泄物の漏れを繰り返したことで、皮膚
障害を生じ、管理に難渋した事例を経験した。難渋した原因と局所管理に焦
点をあて考察したので報告する。
事例紹介
50歳代 女性。家族性大腸腺腫症、直腸癌のため結腸全摘術を施行し、回
腸ストーマを造設した。
倫理的配慮
患者に研究の趣旨・個人情報保護について説明し書面にて同意を得た。
看護の実際と考察
ストーマは平坦型で、座位になると 3 時・9 時方向に深い皺を認めた。正中
創は離開し、浸出液が多いこと、ストーマ皮膚粘膜接合部離開が生じていた
ことから、装具の密着が困難であった。さらに水様性の排泄物が多量に流出
するため、排泄物の漏れを繰り返し、ストーマ近接部のびらんが発生し、悪
化を認めた。そこで凸型嵌め込み具内蔵装具を使用し、皮膚保護材の溶解を
予防するために、板状皮膚保護材を併用した。さらに皮膚へ排泄物の付着を
予防するため、排泄の少ない時間に装具交換を計画実施した。ケア前に局所
のアセスメントを行い、カンファレンスで話し合い、統一したケア方法を行
ったことで排泄物の漏れを防ぎ、皮膚障害は治癒に至った。
演題7
消化管瘻におけるパウチングと吸引が
有効であった事例
㈱日立製作所日立総合病院 D 棟 3 階
○田代
亜美
照山
綿引
理美
文男
外科病棟
齋藤 美佳
作山富記子
【目的】難治性消化管瘻は、発生頻度は少ないが入院が長期化することが多
い。今回の事例を振り返り、今後の創傷管理につなげる。
【方法】患者の腹部の状態を記録した写真を皮膚障害の発生機序ごとに分か
りやすく
まとめる。看護記録から、看護師が関わったこと、患者の変化などについて
カテゴリー別に分け、問題点を抽出する。ケアチャートを活用しチーム内で
統一した手技ができるようにする。
【結果・考察】肝内結石症にて総胆管切石術を施行し、経十二指腸的胆汁ド
レナージチューブを留置した患者が、術後よりドレナージチューブ挿入部周
囲からの胆汁十二指腸液漏出により、皮膚障害を起こし苦痛を抱えていた。
そこで、カンファレンスで話し合いながら創傷ケアを検討した。方法として
は胆汁十二指腸液が皮膚に付着するのを最小限にするためパウチング法を取
り入れ、漏出液が多い時は低圧持続吸引を併用し実施した。
ケアチャートを活用したことで、治癒過程の経過がわかり創傷ケアが同じ視
点で実施できるようになった。
パウチングという方法は、先行文献ではあったが低圧持続吸引を併用すると
いう方法は見当たらなかった。しかし、試行錯誤した結果、低圧持続吸引を
併用することで徐々に皮膚障害が改善され今回の事例に有効であったと考え
る。
演題8
ストーマ装具購入のシステム化を試みて
国保旭中央病院
スキンケア指導室
○加瀬
昌子
【はじめに】
当院での昨年1年間のストーマ造設数は、コロストミー、ウロストミーを併
せ、約100件である。装具決定までは、メーカーからのサンプルで対応し
ていたが、購入までの使用枚数が曖昧で、医療者を初め、オストメイトや家
族のコスト意識の薄さを感じることが少なくなかった。また、入院中の装具
は入院費に含まれると思っていたオストメイトもおり、装具決定までのシス
テムを見直す必要性を感じた。そこで、今回、業者と連携し、術直後より装
具を購入するシステム作りを試みたので報告する。
【これまでの経過】
一人あたりの装具のサンプル数は、凡そ3~5枚であり、オストメイト10
0件分を概算すると、年間約35万~45万円分を使用していた。
【システム化開始の実際】
今年4月、現状について各病棟間でカンファレンスを行い、業者との取り組
みを検討した。
結果、5月にストーマの種類別装具選択のアルゴイズム表を作成し、6月に
泌尿器科病棟、7月に消化器病棟でシステム導入を開始した。
【考察】
システムの導入期間が3ヶ月であり、システム化に対しての評価には至って
いないが、術直後からの装具購入に、トラブルは生じていない。客観的な評
価ではあるが、導入前と比較して、看護師の意識改革と業務の効率化につな
がる機会になったと考える。
【今後の課題】
今後は、装具購入方法をシステム化したことによる看護師の意識改革と業務
の効率化の評価と、患者、家族にとっての有効性について検証していく必要
がある。
演題9
緊急ストーマ造設術後の皮膚離開に伴ったケア難渋例
へのストーマケアチームの関わりの1経験例
看護部1)
師子1)
近藤
成田赤十字病院
○直井
外科2)
英介2)
<はじめに>人工肛門造設を必要とする緊急手術は、全身状態が不良な患者に施行
されることが多く、予期せぬ合併症を生じることもあり、ストーマケアに難渋する
ことが多い。今回創離開も合併したため、長期かつ連日の装具交換を伴うケアの負
担と目標設定が問題となったが、再造設により解決した症例を経験した。<症例>
82歳男性、昨年12月に腹部膨満を主訴に当院の救急外来を受診。精査の結果、
S状結腸癌による大腸腸閉塞の診断で同日緊急手術を施行した。<経過>S 状結腸
に単孔式人工肛門を造設した。その際、結腸内圧の上昇により挙上した結腸が破裂
し、人工肛門6時方向に大きく腹部創の延長を余儀なくされた。術後、創部の離開
と皮下ポケット形成を認め、1ヶ月後に離開創の縫合処置を施行したが、再度、ス
トーマ4~8時方向の皮膚離開となり装具管理が困難となった。さらに、縫合創の
皮下に難治性の膿瘍腔の形成を認め、3ヶ月後に開放創とした。その後、ケアプラ
ンを統一し皮膚障害は生じず経過をしたが、ケアを継続しても退院という目標が設
定できず、患者のQOLも望めない状態になった。患者、看護師と主治医の協議の
結果、初回手術4ヶ月後、横行結腸にストーマを再造設した。その後、創の治癒と、
再造設ストーマのセルフケアも良好となり退院できた。<まとめ>患者、スタッフ、
医師間の3者が対等な立場で定期的プランの立案、目標の統一と調整を行うことが
必要である。
演題10
バルーンカテーテルによる管理を行なった糞瘻の 1 例
千葉大学大学院
○照井
中田
慶太
光政
菱木
小松
知郎
修吾
齋藤
大野
武
幸恵
小児外科
佐藤
吉田
嘉治
英生
症例は 26 歳男性。高位鎖肛・食道閉鎖に対し小児期に根治手術が行われ
ている。25 歳時、排便障害に関する QOL 向上のため、虫垂瘻造設目的に
手術施行。しかし、極めて高度の腸管癒着により Tube 腸瘻造設術となる。
術後、腸閉塞となり、腸切除端々吻合(4 箇所)施行。その後、短腸症候
群による症状が顕著となり、人工肛門造設施行。26 歳時、腸閉塞・穿孔に
て腸切除端々吻合施行。術後、複数箇所の縫合不全により、創部からの腸
液排出が継続。その後半年に渡り、5 回の手術で開放腸管の部分閉鎖・小
腸大腸側々吻合・創縮小を施行した。最終的に、創部に小腸瘻が開口し、
その直前の側々吻合口より人工肛門に接続する形となった。手術的な治療
は高リスクと判断し、保存的治療を優先した。創部の小腸瘻は、陥凹と体
位による変形が著しく、パウチングによる管理は不能で、バルーンカテー
テル(BC)を用いた瘻管理を行った。注腸用のダブル BC は脱出した腸粘
膜を両側から挟みこめるため、漏れに対しては有用であったが、外側のバ
ルーンにより創辺縁に潰瘍を引き起こし、断念せざるを得なかった。前立
腺圧迫用の BC にシリコン板+胃瘻用のストッパーを組み合わせた装具も
有用であったが、バルーンにより腸管開口部粘膜が徐々に拡大し、最終的
には管理不能の状態となった。創離開から 1 年後、保存的治療が限界とな
ったため手術に踏み切り、小腸大腸吻合により創閉鎖を行った。
演題11
排泄経路の変更で創感染が改善した患者の一事例
独立行政法人労働者健康福祉機構
鹿島労災病院
○糸永
亜矢
【はじめに】
臀部広範囲皮膚潰瘍(肛門周囲膿瘍由来)の感染コントロールを目的と
して一時的なストーマ造設を行い、医療チームとして関わりをもつことによ
り潰瘍の著明な改善をみた事例を報告する。
【倫理的配慮】
医療チームで関わっていくことを説明し、同意を得た。
【症例】
50代・女性。既往歴:知的障害・糖尿病
入院時 BS1147mg/dl・HbA1c16.8%、WBC40890/μl、CRP38.5
インスリン連続投与により1ヵ月後 BS200 台、HbA1c7.4%。自力で食事摂
取可能まで回復したが、Alb1.5g/dl と低く NST に依頼し、廃用症候群に対し
てリハビリテーションを開始した。知的障害によりおむつに排便していたこ
とから、創部の汚染を繰り返し不良肉芽が形成された。内服による排便コン
トロールは効果が無く、ストーマ装具を肛門部に貼付しても創汚染は回避で
きなかったことから排泄経路を変更した。
ストーマ造設後は、不良肉芽の形成は無く、浸出液は劇的に減少した。
ADL 及び栄養状態も改善したが知的障害と糖尿病の継続治療のため療養型病
院に転院となった。
【結語】
この患者の治療目標は①感染コントロール②創部の改善③ADL の改善④
栄養状態の改善、であった。各科医師、看護師、薬剤師、栄養士、リハビリ
テーションなどが、それぞれの専門性を活かし連携したことで目標達成でき
た。
演題12
千葉県こども病院における二分脊椎症患児の
排尿管理の現状
千葉県こども病院
○本間
澄恵
泌尿器科
長
雄一
【目的】二分脊椎症患児の排尿管理は生活の質は基より、腎不全など生命に
関わる重要な事柄でありながら、自己導尿・膀胱拡大術などに対して本人・
家族の戸惑いは大きなことが多い。二分脊椎のタイプによる導尿の時期(年
齢)・膀胱機能障害の程度等を検討し、排尿管理の現状を振り返ることで、
今後の排尿管理について考えたい。
【対象と方法】千葉県こども病院泌尿器科を 1989 年 2 月から 2005 年 11 月
までに受診した二分脊椎症患者 218 名(男児 103 名、女児 115 名)につ
いて、原疾患と VUR の有無・CIC 施行の有無・膀胱壁の肉柱形成の有無に
ついて、レトロスペクティブに検討した。
対象の内訳:脊髄髄膜瘤 134 例(61.5%)、脂肪腫 58 例(26.6%)、脂肪
髄膜腫 11 例(5.0%)、dermal sinus 3 例(1.4%) tethered cord 10
例(4.6%) その他 2 例(0.9%)
【結果】脊髄髄膜瘤の患児の約 8 割に自己導尿が必要であるのに対し、脂肪
腫の患児では自己導尿管理は約 2 割であり、タイプにより差がみられた。導
尿開始時期は生後間もなくから思春期にいたるまで幅広くみられた。
【考案】生後間もなくから自己導尿を開始した症例では、比較的スムースに
排尿管理ができていることが多いが、数年後からの自己導尿の導入は困難な
場合もある。しかし、思春期にいたるまで、自己導尿導入や拡大術の必要性
などを念頭に置いた排尿管理が必要である。
演題13
排尿の自己管理に向けての看護支援の実際
自己導尿方法のマニュアル作成についての報告
千葉県こども病院
川上 幸子 1)
小暮 貴代 2)
看護局
安蔵
川田
外来 1)
早苗 1)
泰子 2)
6 西病棟 2)
堂前 有香 1)
萱野さと美 2)
7 階病棟 3)
柿本 洋子 1)
小林久美子 2)
片山るみ子 3)
当院ではこれまで外来・病棟それぞれに自己導尿指導方法(以下CICとする)
のマニュアルはあったが内容に統一性がないため指導時に患児・家族に混乱をきた
す可能性があった。そこで指導方法の統一を目的に外来・病棟間でCIC指導マニ
ュアル作成ワーキングを立ち上げ、患児・家族への指導パンフレットの見直しと改
定を行い、外来・病棟共通のパンフレットの作成を試みた。
また隣接するリハビリテーション施設に転院しCIC指導が継続されるケースも
多いため千葉県リハビリテーションセンターと連携し共同で使用できる指導マニ
ュアルを作成した。
現在、外来・病棟において新しいパンフレットを使用したCICの指導が行われ始
めている。今後は実際に指導した内容や結果についての評価を行う事が課題である。
さらにより良い排泄の自己管理に向けての看護を目指していきたいと考える。
そこで今回は新しいCICのパンフレット作成までの経過とその内容について報
告する。
演題14
膀胱全摘回腸導管造設術クリニカルパス改訂後の
活用上の問題点
総合病院土浦協同病院
○平野
智子
渡部 富美江
茨城県地域がんセンター
太田真裕美
高野
年紀
【はじめに】
2008 年 3 月に膀胱全摘回腸導管造設術のクリニカルパス(以下パス)の改訂
を行った。改訂後 2 例にパスを使用し運用状況を評価した結果、活用上の問
題点が明らかとなり今後の課題が示唆されたので報告する。
【研究目的】
改訂後のパス運用状況を評価することで、パス活用上の問題点を明確化し、
今後の課題を見出す。
【研究方法】
使用したパスとカルテからパス運用状況を調査し、それを基に病棟看護師 13
名を対象に改訂後のパスの活用状況について選択式の質問紙調査を実施した。
倫理的配慮として無記名とし個人が特定されないようにした。
【結果・考察】
パス運用状況の調査から、アウトカムの評価不足や記入漏れがみられ、有効
に活用できていなかった。質問紙調査の結果、できていない 7 名であった。
できていない理由として、「バリアンス発生時の対応ができていない」「使用
方法が十分に浸透していない」との意見から、看護師は運用方法を熟知して
いないことが明らかとなった。今後はパスの運用方法について、認識を深め
る必要があると思われる。また、
「医師の指示がパスとずれている」との意見
から、パスに対する医師・看護師の認識が統一されていないと考えられた。
そのため、医師との連携を図ることが重要であると考える。
演題15
多職種の連携にあたり看護師が調整機能を
果たした症例
国立がんセンター東病院
○齋藤美由紀1)
7B 病棟1)
岡崎
薫1)
同看護部2)
中村 朋子1)
榎本和香奈2)
【はじめに】
今回、全身状態の悪化した患者に対して、NSTを始めとした多職種が介入
した症例を経験した。チーム医療における看護師の調整機能の重要性を認識
したので報告する。
【患者紹介】
60 代男性。X 年、直腸がんにて低位前方切除術施行後、吻合部壊死によ
りイレオストミー造設。Y 年、吻合部再建術を試みるが、縫合不全による腹
膜炎を発症。多臓器不全となり、人工呼吸管理、腎透析等施行した。
【看護の実際】
患者の治療にあたっては、NST皮膚排泄ケア・摂食嚥下障害認定看護師、
精神科医等の多職種の介入が必要とされた。患者は退院を長期目標としてい
たが、各職種が目標に向け治療方針を統一させられるよう、情報提供者であ
る看護師全員が、患者の状態を把握共有する必要があると考えた。
そこで病棟看護師は、医師に働きかけ定期的なカンファレンスを開催し、患
者の短期目標と、目標達成のための各職種の役割を明確化した。更にその内
容に基づき、各職種に対して情報提供、ディスカッションを行った。必要時
カンファレンスへの参加を促し、医師との直接的な意見交換の場を設けた。
【結果】
治療方針が揺らぐ事無く、各職種が協働し、効果的な介入となった。患者は
全身状態改善傾向で、リハビリテーション専門病院への転院を目指している。
【考察】
小林は、チームが上手く機能するか否かは、コーディネーターとしての看
護職の力に寄るところが大きいとしている。当院では多職種の協働が必要な
場面は数多い。円滑なチーム医療のため、各職種の役割を認識し、調整役と
しての機能を発揮できるよう努力していく。
参考文献
1)小林美亜:多職種と働く/Clinical Study/2008
演題16
当病棟におけるストーマ管理の現状
千葉大学医学部附属病院
○羽生田裕子
光 多恵子
河野せり菜
森岡
梨本
彩
麻美
小児外科病棟
田中
石野
千尋
恵子
当病棟でのストーマ造設患者は、新生児の消化器疾患からキャリーオーバ
ーの成人までが対象であるため、新生児から成人までの多岐にわたるスト
ーマケアや知識が必要となる。これまで病棟では、知識を補うために定期
的な勉強会を行い、ストーマケアについては、情報の共有手段としてフロ
ーシートを用いてきた。またケアに難渋する症例についてはカンファレン
スを行い、アセスメントやケアの統一を図る努力をしてきた。しかし、ス
トーマケアを担うスタッフは看護師としての経験年数も浅く、成人のスト
ーマケアを経験した事がないスタッフも多い。また年間の症例数か少ない
という現状からストーマに関する知識が乏しく、母に管理を移行している
ために、ストーマ管理に対する意識が低いのではないかという疑問が浮上
した。そこで今回、現状の把握と今後の課題を明らかにするために、アン
ケート調査を行い、スタッフのストーマ管理に対する意識調査を行った。
演題17
思春期にある総排泄腔症の児と家族への関わり
千葉県こども病院
○永田
看護局1)
同小児外科2)
由美1)
大澤 通子1)
岩 井 潤2)
小児の先天性疾患においては、生下時より治療を開始し、その後も成長と
共に継続されたフォローや、段階を踏んだ治療がされている。乳児期より何
度も手術や入退院を繰り返し、思春期や青年期を迎えても病気から発生した
問題を抱えるキャリーオーバー症例も多い。
今回、思春期にある総排泄腔症の児と家族への関わりを経験した。何度も
繰り返される入退院や手術において、治療についての説明はされるものの、
自分の病気や身体については充分に理解していない一面もあった。家族も生
涯を通して必要なことであるため、児にはしっかり病気や自分の体について
理解してほしいという思いはあるが、家族から児に伝えることは、困難に感
じていた。そこで看護師が児の疾患、身体の理解や将来を見据えた受け入れ
ができるよう関わった。その結果、社会生活においても生活の幅が広がり、
少しずつ環境が変化する時期に問題点を共有し、今後の目標とすることや
QOL を維持していく方法を共に考えることができた。キャリーオーバーする
児や家族がどのような問題や不安を抱え、どんな支援を必要としているのか
を明らかにし、継続的な援助について検討したので報告する。
演題18
排泄障害児の在宅支援の現状報告
~地域医療連携室としての取り組みを通して~
千葉県こども病院
○上加世田
豊美
河野
司
荒岩
真澄
地域医療連携室
高柳
正樹
排泄障害が原因で退院できない患児は少ない。尿路感染で入退院を繰り返
すことはあっても、小児の場合家族の努力により何とか家庭での生活を継続
できていると思われる。また、高齢者の医療対策のために整備されつつある
在宅医療を小児で活用しようとしたとき、受け手である在宅看護および医療
が少ないことも、小児の在宅支援が滞る原因である。この 2 つの原因により
小児の排泄障害児においては在宅支援の調整が不足しているのではないか
と危惧された。そこで、今回、当院での排泄障害児の在宅支援について、地
域医療連携室としての活動を通じて現状を報告する。
現在、在宅において訪問看護ステーションへ継続されている症例は 49 例あ
るが、その内訳は在宅人工呼吸器 17 例ほか、何らかの排泄障害のため、間
歇自己導尿・洗腸などの排泄にまつわる医療的ケアを行っている症例は 7 例
であった。その 7 例は、自己導尿 5 例(内 2 例は洗腸も行っている)、洗腸
のみ 2 名、排便コントロール 1 名であった。
訪問看護を必要とした原因は、排泄ケアを継続する上での困難であった。洗
腸の 1 例では重度心身障害児で母親の体調不良のため、患児が 30 歳を過ぎ
てから家族の希望で訪問看護を手配した。このように、家族が追い詰められ
た状況で支援調整するのではなく、初めての退院後 1~2 週間の在宅医療を
望まれる時期に、適切な支援を調整することが今後の課題である。
演題19
高齢ストーマ保有者と地域連携
社会保険船橋中央病院 看護局
○ 茅野 昌子
現在の日本は、高齢化社会に伴いストーマ保有者は高齢化し、ストーマ造設術を受
ける患者も高齢化している。その中で、ストーマケアが自身や家族だけでは困難と
なり日常生活に支障をきたすケースも少なくない。
そこでストーマ外来では、早期からセルフケア能力を日常生活自立度や介護力を含
めアセスメントし、ストーマ保有者の思い描く生活に近づくため社会資源の活用を
含め関わっている。今回経験した事例から、地域連携の問題点と今後の課題を報告
する。
ケース 1、70 歳男性。直腸癌でハルトマン術予定していた。術前説明ではキーパソ
ンである妻がケアの主体者となる予定だった。術後ストーマケアを開始すると妻か
ら「体力の落ちた本人の世話とストーマケアは辛い」と訪問看護導入となった。病
棟では、妻、娘 2 人との 4 人暮らしであり協力を求め練習してはという意見も多か
ったが、認知症があり長期の入院は弊害もあり退院後も家族の介護負担も予測され
た。訪問看護の活用によるストーマケアの一部代償は家族の精神的・肉体的負担の
軽減となり導入となった。
ケース 2、81 才女性。膀胱癌で尿管皮膚ろうのストーマ造設後 12 年で 80 歳とな
った頃から体力低下しストーマがうまく貼れずストーマトラブルで頻回に受診す
るようになった。外来看護師、ケアマネージャーより、ストーマ外来に相談があり
本人に社会資源の活用を案内した。当初、自力でのストーマケアを希望され活用を
希望されなかったが利点や利用者の希望を尊重することに納得され導入に至った。
これらのケースから、①セルフケア能力のアセスメント、②医療者側の患者・家族
の立場に立ちアセスメントする姿勢、③分かりやすい利用方法の案内、④利用者の
セルフケア能力を損なわない計画・連携が重要であると考える。
演題20
排泄障害を持つ学童児のキャンプ体験の意義と課題
~そらぷちキッズキャンプの取り組み
そらぷちキッズキャンプを創る会
千葉県こども病院1)
東海大学医療技術短期大学2)
聖路加国際病院3)
東海大学医学部外科学系小児外科学4)
○本多貴子1)
橘田節子2)
宮坂真紗規3)
平川
均4)
そらぷちキッズキャンプを創る会は、日本初の難病児のための常設キャンプ
施設として北海道滝川市に建設を進めており、2004 年から8回のプレキャ
ンプを現地の既存施設を利用して小児がん経験者を中心に行ってきた。子ど
もたちが自然の中で楽しい時間を過ごして、自分は一人ではなく仲間がいる
と実感してもらうことがプレキャンプのねらいの一つである。
一方、総排泄腔外反症など排泄障害のある子どもは、日常生活の QOL を高
めるために就学までに排泄管理が自立することが目標とされている。しかし、
自立していても宿泊を伴う学校行事に参加できなかったり、家族の同伴を求
められたりしており、子ども同士で宿泊生活を体験する機会に乏しい。また、
排泄障害が誘因となり、いじめなどの問題を抱えている子どももいる。我々
は、今年、排泄障害をもつ子どものプレキャンプを行い、
「そらぷち保健室」
を設置して医療的ケアについてサポートした。事前に、病状、治療経過、医
療的ケアについて面接や電話で情報交換を行い、必要に応じて主治医と連携
をとった。また、キャンプのプログラムは休憩や入浴等、排泄管理を考慮し
て行った。参加した子どもたちは仲間との関係を築く中で、声を掛け合って
トイレに行き、初めての大浴場での入浴を楽しみ、抱えている悩みについて
話し合ったり、排泄管理の方法を確認し合うなど、お互いを認め合う姿が見
られた。これらのことは排泄障害のある子どもたちの自信につながる機会に
なったと思われたため、子どもや家族の反応と医療サポートについて具体的
に報告する。
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