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小児そけいヘルニアの手術 従来の小児そけいヘルニア手術 小児そけい
小児そけいヘルニアの手術 赤ちゃんやこどもの脱腸は、そけいヘルニアと呼ばれる病気で、20~50 人に1人くらいに発生するとされています。人間 のおなかが作られるときにおなかの底に腹膜の落とし穴(腹膜鞘状突起といいます)ができます。多くの子供は落とし穴が自 然にふさがりますが、開いたままになっているこどもでは、腹圧によっておなかの中の腸や女の子では卵巣が落ち込んで、 足のつけねや男の子の陰嚢がふくらむ脱腸をおこします。おむつ交換や入浴中に発見されて、泣きやんだり、おとなしくなる と引っ込んでしまうのが特徴です。腸や卵巣がスムーズに出入りしている間は違和感や痛みはありませんが、はまりこんで 抜けなくなってしまう嵌頓(かんとん)ヘルニアという状態をおこすと痛みや嘔吐を起こすほか腸や卵巣の血流障害の危険性 もありますので、一般にヘルニアが発見されたら早めの手術が必要です。 小児のそけいヘルニアの手術は、おなかの底にあいたヘルニアの落とし穴を結んで閉じる方法で行います。 従来の小児そけいヘルニア手術 ヘルニアの入り口の真上の皮膚を 15-20mm ほど開いて腹膜でできた落とし穴を引き出し、これを切断して根元を結んで 閉じる方法が標準的な手術として行われてきました。この手術は身体への負担が少なく、安全で確実な方法として確立して おり、創も比較的目立たなくなる、現在でも標準的な手術として推奨できる方法です。 鼠径ヘルニアの手術(1.8kg 男児) 1)精索を引き出します。 2)精管と血管を落とし穴から外します。 3) 落とし穴の根元で結びます。 小児そけいヘルニアの腹腔鏡下手術 近年、小児鼠径ヘルニアの腹腔下手術が普及しており、当科でも希望される方に腹腔鏡下そけいヘルニア根治術 (LPEC 法)を行っています。 この手術はおなかの中を腹腔鏡で観察しながら専用の針でヘルニアの落とし穴の周りに糸を回し、その糸を結んでヘル ニアの入り口を閉じてしまう方法です。この手術では腹腔鏡を入れるためのおへそと細い手術器具(鉗子)を入れるための 小さなきずが2カ所必要ですが、下腹部のヘルニアの部分には注射針の穴だけで、きずあとが目立たず、さらに両側のヘル ニアが同時に手術できるというメリットもあります。従来法と同様に体への負担は少なく、多くの経験を有する施設の報告で は、従来の皮膚を切開して行う方法と再発などの治療成績に違いは認められていません。 北九州市立医療センター 小児外科 女児のそけいヘルニア手術 (腹腔鏡手術の所見) 1)腹腔内から見たヘルニアの落とし穴 2)糸を回したところ 3)糸を結んで落とし穴を閉じたところ 男児のそけいヘルニア手術 (腹腔鏡手術の所見) 1)腹腔内から見たヘルニアの落とし穴 ヘルニアの模式図 2)糸を回したところ 従来のヘルニア手術 3)糸を結んで落とし穴を閉じたところ 腹腔鏡下ヘルニア手術 両側そけいヘルニア手術の傷の位置(従来法、腹腔鏡手術) 北九州市立医療センター 小児外科