...

鉤 虫 症 に 関 す る 研 究

by user

on
Category: Documents
12

views

Report

Comments

Transcript

鉤 虫 症 に 関 す る 研 究
鉤
虫
症
に
関
す
第
二
編
犬 鉤 虫 症 の 糞 便 に 関 す
る
研
究
る 実 験 的 研 究
岡山大学医学部北山内科教室(主 任 北山教授)
医学 士 柴
田
雅
男
〔
昭和29年3月25日 受稿〕
本 論 文要 旨 は 北 山 教 授 に よ り 昭 和26年4月
(
尚 再 び 昭 和26年6月24日
第61回
第13回
日本 医 学 会総 会 内 科 学会 に 於 て発 表 され た.
岡 山 医 学 会 総 会 に 於 て発 表 した.
食 物 残 遺 の 状 態 よ り良,不
Ⅰ 緒
言
良 と し,粘
らず 案 外 文 献 が 少 く,実 験 的 研 究 に 至 つ て は
顕 微鏡 的 所見 として
(イ) シ ャ ル コ ー ・ラ イ デ ン 氏 結 晶 小 指 頭
極め て断 片 的 な も のゝ 外 は 未 だ 是 を 見 な い.
大 の 便 に 浄 水5cc.を
余 は 先 に 患 者 の 糞 便 に 就 い て 精 査 した が,更
ー 濾 器 に て 一 回 濾 過 後 遠 沈 し,沈
に実 験 的 に 犬 鉤 虫 仔 虫 を 健 康 な 幼 若 犬 に 感 染
て 全 視 野 に10個
せ しめ経 過 を 追 つ て 肉 眼 的(硬
時(〓),
微 鏡 的(シ
液,血
液 は 肉 眼 的 に み た.
鉤 虫症 の 糞 便 所 見 は 重 要 な 事 柄 で あ る に 拘
粘液,血 液),顕
)
度,色,消
化,
ャ ル コ ー ・ラ イ デ
ン氏 結 晶,好 酸 球,中 性 脂 肪),化
学 的(反 応,
潜 血 反 応,ト
諸 検 査 を行
リブ レー 氏 反 応)の
い,又 抗 犬 血 清 沈 降 反 応 を 試 み,人
体 の鉤 虫
症 と此 較 せ ん と した.
30個
加 え て 攪 拌 し,コ
渣 を鏡 検 し
以 下 の 時(+),
以 上 の 時(〓)と
覆 硝 子 は18×18mmの
30個
以下の
し た.但
も の を 用 い,
し て 結 晶 を 認 め な い 時(-)と
ー ヒ
し被
3回 鏡 検
した.
(ロ) 好 酸 球 新 鮮 な 便 小 指 頭 大 に 生 理 的 食
塩 水 を 加 え て 攪 拌 し,コ
ー ヒー濾器 に て一 回
濾 過 後 遠 沈 し,沈 渣 を 予 め 血 清 を 塗 布 乾 燥 さ
せ た 載 物 硝 子 に 塗 抹 し,ア ル コ ー ル 固 定,ギ
Ⅱ 実 験 方 法
生 後1ケ
ム ザ 染 色 を 行 つ て 鏡 検 した.確
月 半 の 健 康 幼 若 犬3匹
離 して 鉤 虫 の 感 染 を防 ぎ,飼
を厳 重 に隔
料 は米 飯 又は 麦
飯 を醤 油 の み で 味 付 け した もの 及 び 水 の み を.
与 え た.数
日間 飼 育 後 血 液 及 び 糞 便 の 検 査 を
行 い,虫 卵 は 勿 論 何 等 の 異 常 の な い こ と を 確
実 に 好酸球 と
認 め 得 る もの を 発 見 した 時(+)と
した.
(ハ) 中性 脂 肪 糞 便 の 少 量 を 載 物 硝 子 に と
り,ザ ー トホ ー フ氏 液1乃
至2滴
を加 えて 混
和 し 被 覆 硝 子 を 置 き 少 時 加 温 鏡 検 した.赤
に 着 染 した 脂 肪 球 を 認 め た 場 合(+)と
色
した.
めた後瓦 培 養 に よつ て得 た 犬 鉤 虫 の 仔 虫 約
化 学的 所 見 として
1000匹 宛 を 各 犬 の 肩 胛 間 部 に 於 て 経 膚 感 染 せ
(イ) 反 応 新 鮮 な 便 を 良 く攪 拌 し,餾 水 に
しめ,以 後 隔 日 に 血 液 原 び 糞 便 の 検 査 を 行 つ
浸 し た リ トマ ス試 験 紙 を 貼 布 し て 検 査 した.
(ロ) 潜 血 反 応 ピ ラ ミ ドン 反 応 及 び ベ ン チ
た.血 液 は 耳 翼 よ り採 り,血 色 素 量(ザ ー リ
ー氏 法)及 び 赤 血 球 数 の 測 定 を 行 つ た .糞 便
チ ン 反 応 を 行 つ た.即
は 自 然 排 泄 の も の を 当 日 中 に 検 し,そ の 硬 度
20c.c.を 加 え て 攪 拌 し,遠 沈 し て 上 清 を 原 液
は 大 体 硬,普
と し,之 を30%醋
通,軟,泥
色 は 淡 褐 色,褐
色,暗
状 及 び 水様 に 区 別 し,
褐 色,黒
褐 色,チ
ョコ
レー ト色 等 に 区 別 し,次 に 消 化 は 便 を 攪 拌 し
列 を3列
酸 で 倍 数 稀 釈 し た.斯
作 り,そ の1列
列 に10%ピ
ち 便5gに30%醋
を 対 照 と し,他
酸
る管
の1
ラ ミ ドン ・ア ル コ ー ル 溶 液0.5c.c.
826 柴
及 び3%過
の1列
酸 化 水 素 水1c.c.を
に は 新 鮮 な1%ベ
0.5c.c.及
び3%過
加 え,亦
田
他
ン チヂ ン氷醋 酸 溶液
酸 化 水 素 水1c.c.を
加 え,
雅
男
日 よ り10日
目 前 後 に頸 動 脈 よ り全 採 血 した.
注 射 回 数 は 類 属 反 応 を 避 け る た め6回 を 限 度
3分 以 内 に 呈 色 す る も の を 陽 性 と し た.そ
と し た.採 血 し た 血 液 よ り自 然 分 離 した 血 清
し
を 無 菌 約2cc.宛
て 原 液 を 含 め て5本
目 迄 陽 性 を(+),10本
し, 56℃,
目迄 陽 性 を(〓),そ
れ 以 上 陽 性 の 場 合(〓)
した.本
と し た.
着 色 ア ン プ ールに 分注密閉
30分3回
実 験 に 使 用 した 血 清 は 沈 降 価12800
倍 乃 至25600倍
(ハ) ト リブ レ ー 氏 反 応 成 可 く新 鮮 な便5g
に 餾 水30cc.を
加 え て 攪 拌 し,化 学 分 析 用 濾
紙(東 洋 濾 紙Nr. 6)に て1乃 至2回
濾過 す れ
ば 比 較 的 透 明 な 濾 液 を 得 る.此 の 濾 液3ccに
餾 水12c.c.を
加 え,更
に ト氏 試 薬1cc.を
え て 室 温 に 放 置 し,試 薬 を 加 え な い も の を 対
の も の で,常
に 沈 降 価 を 測 り,
又 使 用 に 際 し て は 透 明 な も の を 用 い た.
(ロ) 糞 便 濾 液 排 便 当 日 の 便5gに
食 塩 水10c.c.を
紙(東
加
非 働 化 した 後 氷 室 に 保 存
生理的
加 え て 攪 拌 し,化 学 分 析 用 濾
洋 濾 紙Nr.
6)に
て 濾 過 し比 較 的 清 澄
で 且 濃 厚 な 濾 液 を 得 た.
(ハ) 実 施 及 判 定 濾 液 を 原 液 と し,之 を2
照 と し た.試 験 管 底 に 帯 褐 色 の 紫 状 物 質 の 沈
倍,
澱 を 生 じた 場 合 を 陽 性 と し, 5時 間 に て 陽 性
そ れ らの 少量 宛 を予 め村 田 氏梅 毒 反応用 小試
な る を(〓),
験 管 に 抗 犬 血 清 免 疫 家 兎 血 清 を 分 注 せ る もの
15時 間 に て 陽 性 な る を(+)と
16倍,
32倍 に 倍 数 稀 釈 し,
に両液 接 触面 に 白濁 輪 の生 じた場 合陽 性 とし
抗 犬血 清 沈 降反 応
(イ) 抗 犬 血 清 免 液 家 兎 血 清 健 康 犬3匹
股 動 脈 よ り各 々100cc.宛
血 清 を 分 離 し,
の
無 菌 的 に 採 血 し,
3者 を 混 合 し て56℃,
3回 非 働 化 した も の を 健 康 家 兎(体
3匹 に 静 脈 注 射 し た.注
1.0c.c.,第 二 回2.0cc,第
を 各3日
8倍,
ゝ上 に 静 か に 重 畳 し室 内 に 放 置 して1時 間 後
し た.
前 後)
4倍,
30分,
重2.5kg
三 回 以 後 は2.5cc.
以 後は 度 々各 家 兎の沈 降価 を測 り
沈 降 価12800倍
以 上 に 達 し た もの は 最 終 注 射
第 一 表 第 Ⅰ 例
正 常 家 兎 血 清 を 用 い た もの を 対 照 とし
た.而
し て 原 液 及 び2倍
(+),
稀 釈 で 陽 性 の とき
4乃 至8倍 で 陽 性 の と き(〓),
32倍 で 陽 性 の と き(〓),と
16乃 至
した.
射は第一回
目毎 に 各 家 兎 耳 静 脈 内 に 注 射 し,注
射 回 数3回
な.尚
Ⅲ 実 験 成 績
実 験 成 績 一 覧 は 第 一 表 に 示 す.第Ⅰ
Ⅱ 例 は 仔 虫 感 染 後13日
目 に 死 亡 し た.
例,第
目 に,第 Ⅲ 例 は23日
鉤 虫 症 に 関 す
第
る 研 究 827
Ⅱ 例
第 Ⅲ 例
1) 血 液 所 見 各 例 共 仔 虫 感 染 後 血 色 素 量,
赤 血 球 数 共 に 一 時 的 の 増 加 を み た が,
8∼10
の もの が 褐 色 と な り次 第 に 暗 褐 色,黒
褐 色,
チ ョ コ レ ー ト色 と な り,遂 に は 血 便 を 漏 す に
日目頃 よ り漸 次 貧 血 を 呈 し て 来 た. Ⅲ 例 の み
到 つ た.消
22日 間 観 察 し得 た が 血 色 素 量,赤
粘 液 は Ⅱ, Ⅲ 例 に於 て 死 亡 数 日前 よ り認 め ら
30∼40%の
血球数共に
減 少 率 を 示 し た.
化 も大 体8日
目頃 よ り不 良 と な る.
れ た.
ii) 顕 微 鏡 的 所 見 シ ャ ル コ ー ・ラ イ デ ン
2) 糞 便 所 見
i) 肉 眼 的 所 見 感 染 前 普 通 の 硬 度 を 示 し
た もの が 感 染 後8∼10日
目頃 よ り軟 便 とな り
氏 結 晶 は Ⅰ, Ⅲ 例 に 於 て 一 時 的 に 認 め られ た
が,好
酸 球 は Ⅲ 例 に 於 て2回
遂 に は 泥 状 便 と な る.便 秘 及 び 水 様 便 は 観 察
な い.脂 肪 は Ⅰ例 の2日
され な か つ た.便
毎 回 認 め ら れ た.
の 色 は6日
目頃 よ り淡 褐 色
発 見 したに過 ぎ
目の便 以 外 は各 例 共
828 柴
田
iii) 化 学 的 所 見 及 び 抗 犬 血 清 沈 降 反 応 反
応 は1例
に 於 て 酸 性 か ら 中 性 に 変 化 した が,
Ⅱ, Ⅲ
皿 例 は 病 勢 の 進 行 と共 に 中 性 か ら 酸 性 に
移 行 し た.ア
か つ た.潜
ル カ リ性 便 は 一 回 も認 め ら れ な
血 反 応 は8∼10日
り漸 次 そ の 強 さ も増 す.ト
目 よ り陽 性 と な
リブ レ ー 氏 反 応,
雅
男
多 数の 感染 を受け れ ば 硬度 の 変化 は 勿論血色
素 の 混 入 に よ る色 の 変 化 も 当 然 考 え ら れ る処
で あ る.
糞 便 中 に 好 酸 球 と共 に シ ャ ル コ ー ・ラ イデ
ン氏 結 晶 の 現 れ る こ とが 可 な り特 有 な事 柄 と
され て い る.本 症 患 者 の 糞 便 に 就 き 先 に 余 は
抗 血 血清 沈 降 反 応 は た体 潜 血 反 応 と蛙 行 す る
72例 中65.3%に
が Ⅲ 例 に 於 て4日 遅 れ て 陽 性 と な つ た.
16.6%に
iⅤ) 虫 卵 仔 虫 感 染 後10∼12日 に 初 め て 糞
便 中 に 発 見 され 漸 次 そ の 数 を 増 す.
本 結 晶 を 認 め,好
認 め た.本 試 験 に 於 て も シ結 晶は2
例 に,好 酸 球 は1例
に 認 め た.シ 結 晶 に関 し
て は 種 々 議 論 あ り,恒 存 を 主 張 す る も の或 は
全 く認 め な い と云 う者 も あ る.本 結 晶 出 現 の
Ⅳ 総 括 並 に 考 按
原 因 に 関 し て は 未 だ 定 説 は な い.然
宮 川 は 「本 症 患 者 の 糞 便 は 一 般 に 秘 結 し,
時 に は 不 痢 が あ り,そ れ が 交 互 に 現 れ る こ と
もあ る.且 変 色 せ る血 色 素 の 混 入 に よつ て暗
黒 色 を 呈 す る こ とが 多 い 」 と述 べ て い る.余
の 観 察 した 処 で は 特 に 秘 結 は 認 め ず 硬 度 は 次
第 に 軟 化 し て 泥 状 便 と な り,色 も感 染 後 日を
経 る と共 に 変 化 し遂 に は 黒 褐 色 或 は チ ョ コ レ
ー ト色 とな る こ とを 認 め ,同 時 に 潜 血 反 応 も
次 第 に そ の 強 度 を 増 し, 2例 に 於 て は 肉 眼 的
に 血便 を 認 め た,但
し先 に 本 症 患 者 に 就 い て
検 査 した 処 で は 硬 度,色
を 認 め た も の は1例
共 に 著 変 な く,血 便
もな か つ た.恐
ら く此 は
寄 生 し た 虫 体 数 に よ る もの で あ ろ う.一 時 に
犬鉤虫仔虫感染後の血液 像
酸球 も
しな が ら
余 の 経 験 で は 人 及 び 犬 の 場 合 を 通 じて アル カ
リ性 或 は 中性 の 便 に の み 本 結 晶 を 認 め,酸 性
一 便 に は 一 回 も見 出 し 得 な か つ た.従 つ て本 結
晶 の 出 現 が 糞 便 の 化 学 的 反 応 と密 接 な 関 係 の
あ る こ とが 窺 わ れ る.田
中は一 万以上 の本症
患者 の 便 に一 回 も本結晶 を 見 出 していないが
そ の91%は
酸 性 反 応 を 呈 して 居 り,又 酸 性
温 水 中 に て は 容 易 に 溶 解 す る こ とを 認 め てい
る.次 に 糞 便 の 化 学 的 反 応 で は 先 に 患 者 の 場
合 ア ル カ リ性 の もの が 多 か つ た の に 反 し,犬
で は 中 性 又 は 酸 性 で あ つ て ア ル カ リ性 の もの
は な か つ た.此 は 恐 ら く食 物 の 相 異 に 関 係 す
る もの と 考 え られ る.好 酸 球 の 出 現 に 就 い て
は 腸 壁 の 組 織 学 的 変 化 殊 に 咬 着 部 に 於 け る好
酸 球 の 多 数 の 浸 潤 の あ る こ とが 述 べ ら れ,山
田 一 井 上 は 虫 体 は 腸 壁 組 織 を 吸 引 し て 口嚢 内
に 取 入 れ 上 皮 は 早 く消 化,液
化 す る が 赤,白
血 球 は 極 め て速 か に 無 変 化 の ま ゝ排 出 せ られ
る こ とを 認 め,又
西 も犬 鉤 虫 の 排 出 す る血 球
は 変 化 され な い と述 べ,又 鉤 虫 は 屡 々 咳 着 部
位 を 変 更 し該 部 よ りの 後 出 血 の あ る こ と も認
め て い る 然 ら ば 同 様 に 好 酸 球 も一 部 は 虫 体
を 通 過 し て,又
一部 は 出血 部 位 よ り糞 便 内に
出 現 し得 る 可 能 性 もあ る で あ ろ う.
脂 肪 は 殆 ん ど常 に 存 在 し 感 染 前 に も見 られ,
其 の 後 も著 明 な 増 加 は 認 め ら れ な か つ た.乃
能 に よれ ば 脂 肪 は 多 か れ 少 な か れ 糞 便 内に は
常 に 存 在 す る もの で あ る.本 症 に 於 て 多 少 の
増 加 は 当 然 考 え られ る が 診 断 上 の意 義 は少 い
もの と 思 う.ト
リブ レ ー 氏 反 応 及 び 抗 犬 血 清
鉤 虫 症 に 関 す る 研 究 829
が 降 反 応 は 潜 血 反 応 とほ ゞ併 行 し て 陽 性 と な
Ⅴ 結
る.此 等 の 反 応 が 腸 内 出 血 と密 接 な 関 係 の あ
る こ とは 既 に 第 一 篇 に 於 て 述 べ た 処 で あ る.
生 後 一 ケ 月 半 の 仔 犬3匹
1000匹
又 多 数 寄 生 に よ り高 度 の 腸 炎 を 伴 つ た 場 合に
至
も陽 性 とな る こ とは 当 然 考 え ら れ る.
り,貧 血 は10日
至10日
に 犬 鉤 虫 の仔 虫
を 経 膚 感 染 せ しめ,以
後 隔 日 に12乃
22日に 亙 り糞 便 に 就 い て 種 々 検 査 を 試 め
た.貧 血 は10日 目 頃 よ り著 明 とな る.肉 眼 的
潜 血 反 応 に 就 い て は 今 更 多 言 を 要 し な い.
唯 仔 虫 感 染 後8乃
語
に 便 の 硬 度 は8乃
目頃 よ り陽 性 と な
目頃 か ら 著 明 に 起 つ て い る.
至10日
目 よ り軟 便 と な り,
色 も次 第 に 暗 褐 色,黒 褐 色,チ
ョ コ レ ー ト色
此 の 点 よ り も鉤 虫 症 の 貧 血 に 出 血 が 或 る程 度
を 呈 す るに 至 つ た.
の役 を 演 じ て い る こ とが 考 え 得 る と共 に 他 方
を 認 め た.反 応 は 中 性 又 は 酸 性 で ア ル カ リ性
吾 々 の ア ン キ ロ ン の 作 用 に よ る貧 血 も虫 体 が
の も の は な か つ た.潜 血 反 応 は8乃
成 虫 とな り小 腸 内 に 於 て 活 溌 な 活 動 を 始 め る
トリブ レ ー 氏 反 応,抗
こ とに よつ て 著 明 に な る もの と 思 わ れ る.
虫 卵 は 感 染 後10乃
至12日
2例 に 於 て 血 便 及 び 粘 液
至10日,
犬 血 清 沈 降 反 応 もほ ゞ
此 と併 行 し て陽 性 と な る.虫 卵 は10乃
目に 初め て発 見
日 目 に 発 見 され た.シ
至12
ャ ル コ ー ・ラ イデ ン氏
した.虫 卵 発 見 よ りや ゝ早 く潜 血 反 応 が 現 れ,
結 晶,好
トリブ レ ー 氏 反 応 は 潜 血 反 応 に や ゝ遅 れ て 陽
る.脂 肪 は 殆 ん ど常 に 認 め ら れ た が 著 明 な 増
性 とな る,
加 は な か つ た.
最 後 に 主 な 点 に 就 い て 人 と犬 の 場 合 を 対 比
擱 筆 す るに当 り終 始懇切 なる御 指導並 びに御 校閲
す るに 次 表 の 如 し
を賜つ た恩 師北 山教授 に深甚 な る謝意 を表 す.
主
1) 宮 川;臨
牀 人 体 寄 生 虫 病 学,蠕
日本 医 書,昭
2)
3)
乃 能;糞
上;満
虫 篇,第4版,
和23年.
便 学,
山 田,井
要
3版,克
誠 堂,昭
西;台
5) 今 村,中
号,昭
谷;日
32卷,
5号,昭
8)
田 中;東
9)
明 田 川;実
知 医 学 会 雑 誌,
7)
名 越;実
験 医 学 雑 誌,
32卷,
15卷,
6号,大
1号,昭
験 医 学 雑 誌,
岡 田;実
11)
Leichtenstern;
7
正14年.
和6年.
験 医 学 雑 誌,
Jahrg.
12)
和16年.
松 浦;愛
京 医 学 会 雑 誌,
10)
和8年.
本 消 化 器 病 学 会 雑 誌, 40卷,
6)
献
21卷,
18号,明
22卷,
1,
治40年.
2,
3号,昭
和13年.
洲 医 学 雑 誌,第20卷,第4号,
湾 医 学 会 雑 誌,
文
和7年.
昭 和9年.
4)
酸 球 も 出現 す るが時 期 は 不 定 で あ
13)
15卷,
Zentralbl.
2号,昭
f.
Klin
和6年.
Med.
19.
1898.
Ad.
Schmidt
des
Menschen,
Zinu
7. Sept.
u.
M.
u.
J.
4
Jacoby;
1896.
Strasburger;
Aufl.
Die
Faces
1915.
Berl.
klin.
Wochenachr.
Fly UP