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無効審判審決後の手続(PDF:86KB)

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無効審判審決後の手続(PDF:86KB)
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P U D T
無効審判審決後の手続
1.審決取消訴訟の提起
無効 審判の審決に 不服の者は、審決の取消しを求めて審決取消訴訟を提起する
ことができる(特§178②、実§47①、平23附§19旧実§47①、意§59①、商§63①)。
(1)訴訟当事者
無 効 審 判 の 当 事 者 ( 請 求 人 又 は 被 請 求 人 )、 参 加 人 、 又 は 当 該 審 判 に 参 加
を申請して拒否された者は、訴訟を提起することができる。
無 効 審 判 の 相 手方 当 事 者 ( 被請 求 人 又 は 請 求 人 ) が被 告 と な る 。 被 告 は 、
応 訴 を し な け れ ば、 訴 訟 に お いて 自 白 が 擬 制 さ れ 、 審決 を 取 り 消 す 旨 の 判 決
がされる場合があるため、応訴をする必要がある。
(2)出訴期間
出 訴 は、 無 効 審 判 の 審 決 の 謄本 の 送 達 があ っ た 日 か ら30日 以 内に す る こ と
が で き る 。こ の 期 間 は不 変期 間 であ る( 特§178②、実§47②、平23附§19旧実
§47②、意§59②、商§63②)。
遠 隔 又 は 交 通 不便 の 地 に あ る者 に つ い て は 、 審 判 長の 職 権 で 附 加 期 間 ( 国
内 居 住 者は 15日 、在 外 者 は 90日 ) が 与 えら れ 、 審決 の 送 達 と と も に 告 知さ れ
る(→25-04の4.)。
(3)裁判管轄
無 効 審 判 の 審 決に 対 す る 訴 えは 、 東 京 高 等 裁 判 所 の専 属 管 轄 で あ り 、 東 京
高 等 裁 判所 の 特 別 の支 部で あ る 知 的 財 産 高 等 裁 判 所が 取り 扱う ( 特§178①、
実§47①、平23附§19旧実§47①、意§59①、商 §63①、 知 的 財 産 高等 裁 判 所 設
置法§2)。
2.審決取消訴訟の判決と無効審判の再係属後の審理
(1)審決を維持する旨の判決(請求棄却判決)が確定したとき
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裁判 所が請求を理 由がない(無効審判の審決に違法性はない)と認めて請求を
棄却する判決をしたときは、その判決の確定時点で審決も確定するから、その 後
の審判の審理は行われない。
(2)審決を取り消す旨の判決(請求認容判決)が確定したとき
裁判所が請求を理由がある(無効審判の審決に違法性がある)と認めるときは、
請求 を 認容 して 審決 を取り消す旨の判決 がされる(特§181①、実§47②、平23附
§19旧実§47②、意§59②、商 §63②)。 審 決 を 取 り 消 す 旨 の 判 決 が 確 定 し た と き
は、依然として無効審判事件に対する行政処分(審決)がされていない状態に な
る か ら 、 無 効 審 判事 件 は 特 許 庁に 再 係 属 し 、合 議 体 は 更に 審 理 を する ( 特 §181
②、実§47②、平23附§19旧実§47②、意§59②、商§63②)。
確定判決は当該事件について特許庁を拘束するため(行訴§33①)、合議体は、
当該確定判決で示された結論(判決主文)と、その結論の導出に必要な事実認 定
及び法律判断として判決理由中に記載された事項とにしたがって、再度の審決 を
する。ただし、別の理由で同一の結論の審決をすることは妨げられない。
(3)再係属後の審理
審決 は請求項ごと に可分な行政処分であり、判決もこれに対応してなされ、確
定する。どのような結論の審決を取り消す判決が確定したのか、また、審決の 取
消しの判決がどの部分について確定したのかに応じて、以下のように審理を進 め
る。なお、再係属後では、口頭審理は必要と認めるときにのみ行えばよい。
ア
審理再開通知までの手続(特、旧実)
(ア)
権利維持審決を取り消す判決が確定したとき
特 許 維 持 ( 無 効 不 成 立 ) 審決 を 取 り 消す 判 決 が 確定 し て 無 効審 判 が 特 許
庁 に 再 係 属 す る と き は 、 そ の判 決 の 確 定の 日 か ら 1週 間 以 内 に、 被 請 求 人
( 特 許 権 者 ) は 訂 正 の 請 求 のた め の 指 定期 間 を 求 める 申 立 て をす る こ と が
で き る( 特 §134の 3、 特施規§47の6様式63の 6、平23附§19旧実§40の3)。
審 判 長 は 、 申 立 て が あ っ たと き は 、 被請 求 人 に 対し て 訂 正 の請 求 を す る
た め の指 定 期 間 (標 準 10日 (在 外者 10日 )→ 25― 01.2) を与 える こ とが で
きる (特 §134の 3)。指定期間を与えるか否かは審判長の裁量権の範囲であ
り 、 必 ず 指 定 期 間 が 与 え ら れる 性 格 の もの で は な いが 、 審 決 後に 訂 正 の 機
会 が な い こ と を 鑑 み れ ば 、 審決 ま で の 訂正 の 機 会 は被 請 求 人 に有 効 に 利 用
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さ れ る べ き で あ る 。 し た が って 、 訂 正 をせ ず と も 特許 維 持 審 決を で き る と
き ( 例 え ば 、 特 許 維 持 審 決 が取 り 消 さ れた 理 由 が 単な る 手 続 違背 等 で あ っ
た と き 、 再 係 属 の 無 効 審 判 にお い て 手 続違 背 を 除 去し た 後 に 再度 の 特 許 維
持 審 決 を で き る と き 等 ) を 除い て 、 申 立て を 認 め て指 定 期 間 を与 え る こ と
とし、審理再開通知にその旨を記載する。
こ こ で 、 合 議 体 が 特 に 答 弁書 の 提 出 を促 す こ と が必 要 と 認 める と き は 、
訂 正 の 請 求 の た め の 指 定 期 間を 通 知 す る際 に 、 答 弁を 促 す 旨 を記 載 す る 。
(イ)
取消判決が一群の請求項のうち一部の請求項について確定したとき
「 一 群 の 請 求 項 」 の う ち の一 部 の 請 求項 に つ い て出 訴 さ れ 、審 決 を 取 り
消 す 判 決 が 確 定 し た と き 、 その 他 の 部 分の 請 求 項 につ い て の 審決 は 取 り 消
さ れ ず に 未 確 定 の ま ま 残 さ れた 状 態 に ある 。 一 群 の請 求 項 に つい て は 一 体
的 に 取 り 扱 う が 、 こ の 状 態 では 審 決 が 未確 定 の ま ま残 さ れ て いる 部 分 に つ
い て 、 併 せ て 審 理 を す る こ とが で き な い。 そ の た め、 審 理 を 再開 す る に あ
た っ て は 、 審 判 官 は 当 該 一 群の 請 求 項 のう ち そ の 他の 請 求 項 につ い て の 審
決 を取り 消 さ なけれ ば ならない(特§181②、平23附§19旧実§47②)。この
場合、審理再開通知において、審決を取り消す部分を記載する。
イ
審決をするのに熟すまでの手続
(ア)
権利維持審決を取り消す判決が確定したとき
合 議 体 は 取 消 判 決 に 拘 束 され る か ら 、例 え ば 審 決に お い て 無効 理 由 を 構
成し ない と判断した理由・証拠について、判決で無効理由を構成する旨の 判
断が示されたときは、通常は、無効(請求成立)審決をする。
特 許 に お い て 、 上 記 ア (ア )の 指 定 期 間内 に 訂 正 請求 書 が 提 出さ れ た 場 合
に は 、 そ の 訂 正 に よ り 当 該 無効 理 由 を 解消 し て い るか に つ い て審 理 す る 。
審 理 の 結 果 、 そ の 訂 正 に より 当 該 無 効理 由 を 解 消し て い な いと 認 め る と
き は 、 請 求 人 に 反 論 の 機 会 を与 え る 必 要は な く 、 審決 を す る のに 熟 し た と
判断できる。その後の手続については、以下ウを参照。
一 方 、 そ の 訂 正 が 訂 正 要 件を 満 た し てお り 、 か つ、 当 該 無 効理 由 を 解 消
し て い る と 認 め る と き は 、 訂正 請 求 書 及び 訂 正 明 細書 等 を 請 求人 に 送 達 し
て反論の機会を与える。
他 方、 被 請 求 人が 特 § 134の 3に 基 づく 申 立 て を しな か っ た とき 、 又は 、
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上 記 ア (ア )の 指 定 期 間 内 に 訂正 請 求 書 が提 出 さ れ なか っ た と きは 、 審 決 を
するのに熟したと判断できる。
(イ)
権利無効審決を取り消す判決が確定したとき
こ の と き に は 、 合 議 体 は 判決 に 拘 束 され て 、 通 常は 権 利 維 持( 請 求 不 成
立 ) の 審 決 を す る こ と に な るか ら 、 被 請求 人 に 訂 正の 機 会 ( 特、 旧 実 ) や
答 弁 機 会 を 与 え る 必 要 は な い。 ま た 、 判決 の 判 断 に拘 束 さ れ るこ と か ら 、
請求人にも改めて弁駁書を提出する機会を与える必要もない。
一 方 、 判 決 の 拘 束 力 の 範 囲に 属 し な い別 の 理 由 で再 度 の 権 利無 効 審 決 を
す る こ と は 可 能 で あ る 。 合 議体 が 、 原 審決 に お い て採 用 し た 無効 理 由 以 外
の 無 効 理 由 に つ い て 請 求 人 に主 張 立 証 させ る こ と が適 切 と 考 える と き は 、
弁 駁 の 機 会 を 与 え て も よ い 。し か し 、 原審 判 に お いて 主 張 立 証が 尽 く さ れ
て い な い と 認 め ら れ る 場 合 に限 る こ と とし 、 ま た 、既 に 判 決 から 十 分 な 時
間 が 経 過 し て い る こ と か ら 、弁 駁 指 令 の応 答 期 間 はご く 短 い もの と し て 差
し支えない(→25―01.2)。
ウ
審決をするのに熟してから後の手続(特、旧実)
再係 属後に初 めて審決をするのに熟したときは、原則として審決の予告 を
する(特§164の2①、特施規§50の6の2二、平23附§19旧実§41)。このとき、
審 決の 予告と審決のいずれとするかについては、審理を開始してから最初 に
審決をするのに熟したときと同じである。
(改訂H27.2)
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