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八戸高等学校/髙山 咲希さん
八戸高等学校 髙山 咲希 私がこの研修に参加した動機は、東日本大震災を経験し、原子力発電の 安全性について考えたため、日本のエネルギーがこれからどうあるべきか、 どのように原子力発電を利用するべきか見極めたいということでした。私 の将来の夢は世界中の貧困に苦しむ人々を教育面で救うことなので、エネ ルギーの勉強と直接結びつくわけではありませんが、ある物事について自 分の考えを持つことや海外の人とかかわることで様々な考え方を学び、視 野を広げられたことは私の人生にとって大きな財産となりました。 私がこの研修を通してエネルギーに関して興味深かったことは 5 つあ ります。 1 つ目は、それぞれの国土にあった発電方法を見つけることが重要だと いうことです。これは普通に考えて当たり前のことですが、フランスに行 ってこのことを改めて実感しました。フランスは平地が多く、河川が広大 なため、河川の近くに全 58 基中 54 基の発電機があります。フランスには ブルターニュ半島を除く全国土に原子力発電所があり、この地形と地震が 起こらないことがフランスの原子力発電を支えているのだと思いました。 また、フランスで潮力発電という面白い発電方法に出会いました。私は初 めて潮力発電について学び、干満の差を利用するこの発電は地形にあった 方法だと思いました。日本で広大な河川や大きな干満の差のある海峡を見 つけるのは難しいですが、日本の山地地形にあった発電方法や、日本の各 地域の気候や地形にあった発電方法を見つけられればよいと思いました。 2 つ目はエネルギーをミックスすることについてです。私はフランスの エネルギー事情についていろいろなエネルギーをミックスさせる必要が あることを知りました。今のフランス政府の政策では、全発電量に占める 原子力発電の割合を 75%から 50%にすることを目指しています。加えて、 化石燃料は有限であるため、やはりいろいろなエネルギーをミックスさせ る必要があります。この必要があるのは日本も同様です。資源の少ない日 本にとって、原子力発電はある意味「再生可能エネルギー」であると思う からです。発電に使用されるペレットという燃料は、高さ 1cm、直径 1cm の小さなものですが、これ1つで家庭で使う約6か月から8か月分の電気 を発電することができます。使用後もその 96%がリサイクルできるので、 エコと似た考えであると思いました。日本では震災による事故で原子力発 電所の再稼働に対して反対意見の方が強いです。しかし私は原子力発電を 必要だと思います。震災後さらなる安全対策を施した発電所もありますし、 現在行われている安全審査を通過する原子力発電所は信頼できると思い ます。 3 つ目は原子力発電への住民の安全理解についてです。日本でこれは大 きな課題であることは知っていましたが、研修を通してフランスでもスウ ェーデンでも同じであることが分かりました。今年のフランス国会で、 2025 年の高レベル放射性廃棄物の永久保管施設建設案が審議されるそう です。技術的な問題はないのですが、政治家や国民の理解を得ることが難 しいという話を聞きました。スウェーデンの SKB 社では「会社の言いたい ことを聞きたい人のところへ行く」というオープンな姿勢で、住民理解に 取り組んでいました。具体的には学校、組織、隣接地域を訪問したり、逆 にフォルシュマルクに案内したり、またこの地域に引っ越してきた人には 自分たちから声をかけたりするそうです。この取り組みによって、住民の 約 80%が SKB 社を信頼しているというデータがありました。私はこれが 目指すべき姿だと感じました。 4 つ目はスウェーデンのハンマルビーショースタッドの見学です。私自 身この見学をとても楽しみにしていたこともあり、非常に興味深かったで す。ここは本当に理想の街で、とことんエコを追及している印象を受けま した。実際にやっていることとして、自家用車を持たせないようにするこ とがありました。バイオガスバスや Carpool というレンタカーのようなシ ステムの車があり、この車は路上駐車してもよいという優遇がありました。 日本でこのような取り組みをするとしたら、交通機関の充実している東京 から始めればよいと私は思いました。まずバイオガスバスを普通のバスよ り安いなどという優遇をつけて、広く導入し、自家用車を減らした後で、 Carpool を導入するという方法もあると思います。 5 つ目は、スウェーデンと日本で原子力発電の捉え方が違うということ です。日本では先ほども述べたとおり再処理が重要ですが、スウェーデン では燃料を再処理しないワンスルーが採用されています。スウェーデンで は昔、一度原子力発電をやめる考えが出てしまったのでその時点で研究が 止まってしまって再処理まで至らなかったという話と、日本と比べて人口 が少ないため原子力発電がなくても電気をまかなえるという現地高校生 の意見がありました。そして私はここで日本と海外の視点の違いを実感し ました。 私はこの研修のエネルギー施設見学を通して、今まで詳しく知らなかっ たエネルギーについて知り、高校訪問時にいろんな人と意見交換をして、 今までの知識や考え方にとらわれずに視野を広げ、そのなかで自分の考え を持つことができたと思います。また、普通は高校生のうちに行けないよ うなフランス、スウェーデンの名所も訪れることができたことは一生の思 い出になりました。フランスでアレバ社を訪れたとき入口に日章旗が掲げ られてあるのを見たときに、私たちはこの研修でたくさんの人に迎えられ、 たくさんの人に支えられているのだと思いました。こんなに貴重な体験が 詰まった 2 週間を支えてくれたみなさん、一緒に過ごしてくれたみんなに 感謝しています。ありがとうございました。