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ケニア訪問とシンポジウム 農学部 野菜園芸学研究室 田中義行 私
ケニア訪問とシンポジウム 農学部 野菜園芸学研究室 田中義行 私にとっては初めてのケニア訪問であった。11 月 4 日−20 日の JKUAT を中 心 に 滞 在 し 、 大 学 内 で の 研 究 打 ち 合 わ せ 、 9th JKUAT Scientific and Technological Conference への参加、園芸産地の見学を行った。 ケニア・ナイロビは、赤道付近でありながら標高 1500m に位置し涼しいなが ら、日本より乾燥した気候である。訪問以前から、ケニアでは園芸が最も成長 する分野の一つであり、ヨーロッパ諸国へのバラやアボカドなどの輸出を行っ ているという話を聞いていたが、まず今回強い日射と温暖な気候を体験し、園 芸生産が盛んなことがなるほどと思わされた。 JKUAT 大学はバナナのウイルスフリー苗を農家に供給していることで有名 であり、その組織培養と育苗施設を見学した。カハンギ氏が日本で学んだ組織 培養技術をバナナに適用することで、ケニア型イノベーションにつながった好 例である。大学内では桝田教授による現地教員へのヒモ栽培の技術指導に同行 した。日本と同じ栽培資材や肥料を入手できないために、ケニアでの代替案を 考えないといけない場面が多々あったが、ウェソンガ博士グループは装置をケ ニア式に改変しながら上手に対応していた。省力的に高品質なメロンが栽培で きるヒモ栽培技術が新たなケニア型イノベーションにつながることに期待した い。 ケニアでは青枯れ病やキャッサバのウイルス病など様々な病害が園芸生産上 問題になっており、JKUAT では作物の病害防除に関する研究が多くみられた。 病気の判定技術の確立と抵抗性品種の育種などがケニア農業で早急に必要とさ れていることであると感じた。一方で、経済成長に伴って、ホテルやレストラ ンなど国内でも高品質な農産物へのニーズも高まってきており、日持ち性や付 加価値など作物の品質に関する研究も今後重要になってくるのではないかと思 われた。シンポジウムでは、アフリカ在来野菜であるナス近縁種のコレクショ ンやその利用に関する発表があり、トウガラシの遺伝資源を研究している私に は非常に興味深かった。アフリカの多様な遺伝資源による抵抗性品種や新しい 野菜の育種などへの展開が期待された。 最後に、今回の訪問に関して AFRICA-ai-JAPAN Project の塩見先生、角田 先生、田中氏には大変お世話になった。現地スタッフとの研究打ち合わせや産 地見学が滞りなく進んだことは御三方の力なしにはなかったであろう。深く感 謝したい。