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中国国有石油企業の国際展開 本日の報告事項

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中国国有石油企業の国際展開 本日の報告事項
中国国有石油企業の国際展開
~2008年の動向と今後の見通し~
2008年12月17日
調査部
竹原 美佳
1
本日の報告事項
1.中国国有石油企業国外投資の現状
(1)積極姿勢に転じた国有石油企業
(2)2008年の国際展開の傾向
2.中国国有石油企業の国外投資における今後の
見通し
(1)経済減速、石油需要減退の影響
(2)中国政府の支援
(3)国有石油企業の国外投資に対する姿勢
-CNPC(PetroChina)の活発な国外投資交渉
参考:中国国有石油企業 国際展開の
変遷
(1)21世紀以降、本格的な国際展開
2000~2001年のIPOにより資金調達能力向上、特
に2004年から2006年にかけて、10億ドルを超える
ような大型の開発・生産中資産の買収を集中的に
行っている。
3社の権益分原油・天然ガス生産量
2000年:約30万boe/日→2007年:約86万boe/日
boe:石油換算バレル
(2) 2006年後半から2007年の国際投資はやや低迷
入札参加や石油契約締結は数件行っているものの、
大型の開発・生産資産の買収は行われていない。
2007年には資産買収を見送る動きも
図:国有石油企業3社の権益分生産量推移(2004年~2007年)
90
単位:万boe/日
80
70
60
50
40
30
20
10
0
2004年
2005年
CNPC
各社年報にもとづき作成
2006年
CNOOC
Sinopec
2007年
1.中国国有石油企業国外投資の現状
(1)積極姿勢に転じた国有石油企業
・2008年に入り、中国国有石油企業の国外
上流投資が再び積極姿勢に転じた模様
国外資産買収停滞の理由は不明
9 資産買収価格高騰による買い控え、国内回帰
9 政府の行政指導(北京オリンピックを控え、国
際的な批判をかわす)により抑制的に?
2008年9月以降、大型案件の契約・合意が集中
1.中国国有石油企業国外投資の現状
(2)2008年の国際展開の傾向
9 2008年の特徴
①大型資産(企業)買収の復活 開発・生産中資産の買収
Sonangol-Sinopec International*/CNOOC:アンゴラ深海
Sinopec:シリア
*2005年にアンゴラ国営SonagolとSinopecが設立した上流ジョイントベンチャー
②中南米への傾注 フロンティア地域への進出、国外下流事業
拡大
CNPC:キューバ、コスタリカ
③国内外企業との提携 リスク分散狙い?
Sinopec/CNOOC:アンゴラ深海
CNPC/中南米orインド企業:コロンビア、ペルー
9 長年の懸案事項が解決
イラン:ヤダバラン油田開発に係るバイバック契約
イラク:アフダブ油田サービス契約 いずれも最終契約締結
表:2008年における国際展開の特徴の事例
国名
企業
内容
鉱区
内容
M- 3、M-4
タイPTTと資産ス
ワップ(M- 3 、M- 4の
各2 0% )
CNOOC
ミャンマー
Sin ope c
Puffin 、Talbot油田
他
オーストラリア
CNPC
コロンビア
Sin ope c
シリア
○
豪AED Oil鉱区6 0%
を5.6 1億ドルで買収
○
CPE- 7
○
○
B loc k15 5
CNPCはインド
Rilian ce 、アルゼン
チンPlu spe trol、
Pe trope lu と共同で
B loc k15 5 を落札
○
○
Tan ganyika Oilを
Oude h 、Tish rine 、 約2 0億ドルで買収
She ikh Mansour鉱 見込み
区
Sonan gol- Sinope c
/CNOOC
アンゴラ
特徴
中南米への傾倒 国内外企業との提携
CNPCはKNOC、ア
ルゼンチン
Plu spetrolと共同で
陸上Llan os盆地
CPE- 7鉱区を落札
CNPC
ペルー
資産(企業)買収
Bloc k32
米Marath onが売却
したアンゴラ
Bloc k32 の権益2 0%
を18 億ドルで落札
○
○
○
各種資料にもとづきJOGMEC作成、合意、落札時期順
2.中国国有石油企業の国外投資における
今後の見通し
(1)経済減速、石油需要減退の影響
中国経済、油価の見通しが不透明な今、今後の見通しを
推し量ることは難しい。
悲観論:投資縮小
中国経済が減速し、油価下落・石油需要減退により国有
石油企業の収益が下振れ、投資は縮小
楽観論:積極投資継続
中国政府による経済対策(インフラ投資、税制見直し、金
利引き下げなど)により、経済減速の影響は軽微、石油
需要も早期に回復する
石油需給の現状から、悲観論に説得力
在庫を差し引いた2008年の石油需要は2007年に比べ約
4%程度下落しているとの情報もあり、2009年も需要の早
期回復は難しいと思われる。
中国国有石油企業の企業規模
石油天然ガス
確認埋蔵量
百万バレル(石
油換算)
PetroChina
Sinopec Corp.
CNOOC Ltd.
石油天然ガス
生産量
日量千バレル
(石油換算)
純利益
(百万ドル、在
庫評価調整後)
21,379
3,042
19,185
4,079
928
7,739
2,601
465
4,118
PetroChina 探鉱開発投資額推移
百万ドル
25,000
ドル/バレル
120
100
20,000
80
15,000
60
10,000
40
5,000
20
0
0
2005年
2006年
出所:PetroChina年報
2007年
探鉱開発
2008年原油販売価格は
1-9月期
2008年(予算)
天然ガス
原油平均販売価格
(ドル/バレル)
CNOOC Ltd.探鉱投資額推移
1,200
百万ドル
1,000
800
600
400
200
Sinopec Corp.探鉱開発投資額推移
0
2005年
CNOOC年報に
もとづき作成
2006年
探鉱 渤海
探鉱 南シナ海東部
2007年
探鉱 南シナ海西部
探鉱 その他国内
2008年(予算)
探鉱 東シナ海
探鉱 国外
百万ドル
7,000
CNOOC Ltd.開発投資額推移
6,000
8,000
6,000
百万ドル
5,000
4,000
5,000
3,000
2,000
4,000
1,000
3,000
0
2005年
2006年
2,000
探鉱開発
1,000
0
CNOOC年報に 2005年
もとづき作成
渤海
2006年
南シナ海西部
東シナ海
2007年
南シナ海東部
2008年(予算)
その他国内
国外
2007年
2.中国国有石油企業の国外投資における
今後の見通し
(2)中国政府の支援
z 2008年3月に国家能源(エネルギー)局が設立さ
れ、中国政府はエネルギーのマクロ調整能力を
強化しつつある。
z 政府は、国家戦略、エネルギー安定供給、社会
安定(雇用対策?)に資するのであれば、国有石
油企業の上流投資について引き続き支援すると
思われる。
z
外貨の効率的な運用として資源国・企業への投
資を検討している模様
-対ロシア、ブラジル向け融資:CNPC/国家開発銀行
2.中国国有石油企業の国外投資における
今後の見通し
(3)国有石油企業の国外投資に対する姿勢
PetroChina :世界的な景気後退の影響は限定的、株価低迷
により財務が悪化した国外企業買収の好機と見ている(
2008年10月報道)
CNOOC:国外上流投資案件は引き続き行うが、投資判断は
慎重に行う。油価が50ドル/バレルを下回った場合、一
部新規案件(具体的な案件の言及はなし)を見直す可能
性あり(2008年11月報道)
Sinopec:上場子会社Sinopec Corp.ではなく親会社Sinopec傘
下のSinopec International が実施しており詳細は不明だ
が、PetroChina同様資産買収に意欲を示している。
国有石油企業の中核事業は国内。政治的な飛び込み
案件は別として、年間の国外投資規模は投資全体の
2~3割程度にとどまると思われる。
2.中国国有石油企業の国外投資における
今後の見通し
CNPC(PetroChina)の活発な国外投資交渉
・カザフスタンMangistaumunaigas (MMG)社の株式
49%取得→カザフスタン油田資産
・豪Santosの買収→CBM-LNG資産・事業への関心
か?
・ブラジルPetrobrasに対し、プレソルト開発向けに100
億ドルの融資申し出→プレソルト開発への参加を志
向
・ロシアに総額250億ドル(対ロスネフチ150億ドル、対
トランスネフチ100億ドル)に融資申し出→原油長期
売買契約締結を模索
一見派手な動きに見えるが、ブラジル、ロシア向け巨額融資の
実体は国家開発銀行(国家外貨管理局)による外貨運用か?
3.まとめ (1)
z
z
z
z
約1年の停滞期を経て、国有石油企業各社は再び
国外上流投資を積極的に展開。停滞について、資
産買収価格高騰による買い控えに加え、オリンピッ
ク開催に向け、国外からの批判をかわすべく行政
指導が働いたのではないかという見方がある。
2008年の特徴は、大型資産(企業)買収復活や中
南米への傾注など。国内外企業との提携も継続。
中国経済減速、石油需要低迷で国有石油企業の
収益が伸び悩み、投資規模が縮小するという見方
がある一方、影響は限定的という見方もある。
政府は、国家戦略、エネルギー安定供給に資する
のであれば、国有石油企業の国際展開を引き続き
支援する見通し。
3.まとめ (2)
z
z
z
z
また、中国政府は外貨の効率的な運用先として資源国・
企業への投資を検討している模様。最近CNPC
(PetroChina)と国家開発銀行が多額の融資をオファーし、
ロシアとは原油の長期売買契約を、ブラジルとはプレソ
ルト開発向け融資について交渉を行っているがそれには
外貨が使われる模様。
PetroChinaは積極的に国外資産買収を行う姿勢を表明し
ており、現在も複数案件について交渉中である。
Sinopecの国外事業は非上場のSinopec Internationalが
行っており詳細は不明であるが、PetroChina同様、現在も
交渉中の案件があり、国外資産買収に意欲が感じられる。
CNOOC Ltd.は油価高騰を受け、新規投資見直しの可
能性を示唆、国内投資に優先的に振り向ける可能性が
ある。
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