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北東アジア地域 - Ericsson

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北東アジア地域 - Ericsson
北東アジア地域
エリクソン・モビリティレポート
2015
11月
市場の現況
数字で見た北東アジア
CAGR:年平均成長率
2015
2021
CAGR 2015-2021
モバイル加入契約数(単位:100万)
1,560
1,850
3%
スマートフォン加入(単位:100万)
1,260
1,750
5%
スマートフォン1台あたりのデータトラフィック
(単位:GB/月)
0.8
6
40%
モバイルトラフィック総計(単位:EB/月)
1.4
11
40%
北東アジア地域は、中国本土、日本、韓国、台湾、香港で構成されています。この
地域には世界人口の22%1が集中しています。現時点では、中国本土が米国に
次いで世界第2位、日本が第3位の規模を持つ消費者市場です。モバイル加入
契約に関しては、現在、中国本土、日本、韓国が世界のLTE市場のトップ4に入っ
ています。
北東アジア地域は5Gなどの新しい通信技術を試す上で絶好の
場所です。これはデータ量と加入契約者の両方の点で「超過密」
と言える地域で展開が行われるためです。
スの拡充はこの目標達成の鍵を握る重要な要素であると考えら
れています。
中国本土ではLTE ネットワークが急速に拡大しており、数多く
のLTEデバイスが登場しています。2015年に米国を抜き、現在
では世界最大の LTE 市場となりました。モバイルデバイスの利
用者の増加に伴い、LTE加入契約数は2021年末までに約12億
件に達すると予想されており、世界全体のLTE加入契約数の約
25%を占めることになります。
日本では、LTE加入契約数が2015年末までに9,000万件に達す
ると予想されています。ユーザーエクスペリエンスの向上のた
め、すべての事業者がLTE-Aのキャリアアグリゲーションを開始
しており、2020年までの5G技術導入を目指しています。
韓国では、2015年末までにLTEが加入契約全体の80%を占め
るようになると予想されています。モバイル接続の速度は向上し
続けており、標準的なLTE の 4 倍の速度を誇る世界最高速のモ
バイルネットワークサービスである、LTE-Aの3バンドキャリアア
グリゲーションのサービスが開始されています。現在は、2018年
の平昌冬季オリンピックまでに標準化前の5G技術を導入する計
画を進めています。
台湾は、長期的な視野による新技術展開政策を推進しています。
政府による4Gモバイルブロードバンド・スマートシティ計画によ
り、LTEの導入が促進されています。この3か年プロジェクトの目
標のひとつは、GDPを23億米ドル増やすことであり、LTEサービ
1
国際連合『 World Population Prospects: The 2015 Revision 』
2 エリクソン・モビリティレポート 北東アジア地域編 2015年11月
北東アジア地域は新しい通信技術を試す絶好の
場所
動画のモバイル化
多くの市場では、動画がモバイルデータトラフィックの大部分を占め
ています。世 界全体では2021年末までに14倍に増加するものと考え
られています。同様の傾向は、北東アジア市場でも見られます。
新しいテレビ・メディアサービスの登場や動画対応デバイスの増
加が、動画の急増の主な要因となっています。ユーザーの行動も
変化しており、動画が
(外出時も含めて)
大量に、
しかもあらゆる種
類のデバイスで消費されるようになりました。世界全体でみると、
週に1回はストリーミングオンデマンド動画/テレビを視聴している
と回答したブロードバンドユーザーの数が、
スケジュール設定され
たリニアTVを視聴していると回答した人とほぼ同数となっていま
す。中国本土では視聴の41%がオンデマンドで、
ストリーミングオ
ンデマンド動画/テレビの1週間あたりの視聴時間は、2011年より
も5時間以上多くなっています。台湾などの市場では、
この傾向は
より顕著です。2014年には、
インターネットユーザーのうちオンデ
マンドコンテンツをストリーミングした人の割合が、すでにテレビ
放送の視聴者を超えています。1日あたりのストリーミングコンテ
ンツの利用量は、
2015年も引き続き増加しています。2
スマートフォン、
タブレット、
ラップトップなどのモバイルデバイスか
らのテレビ・動画コンテンツへのアクセスが増加しています。この
ため、
テレビ・動画の視聴方法について、従来型の方式での視聴と
モバイルデバイスによる視聴の比率は直近の5年間で70:30から
50:50に変化しました。中国本土と台湾では、スマートフォンユー
ザーの80%以上が携帯電話で動画を視聴しており、1週間あたり
の視聴時間の半分以上がモバイルデバイスによるものです。2
1日に1回以上視聴するメディアの種類
(視聴頻度は自己申告)、台湾
スケジュール設定されたリニア
テレビ
録画されたリニアテレビ
スマートフォンでの視聴は短時間の動画で多く、長時間の動画
コンテンツについてはタブレットの方が好まれています。テレビ
やビデオのデータトラフィックの大部分はWi-Fiによるものです
が、韓国などではスマートフォンでのビデオ視聴の20%をモバ
イルデータが占めています。4Gユーザーがテレビとビデオの視
聴により消費するデータ量は3Gユーザーの4倍です。2
数年以内に、インターネットテレビの時代が確実に定着します。
ネットワーク社会により、テレビのエクスペリエンスが劇的に細
分化されることになり、その結果事業者、サービスプロバイダー、
コンテンツ所有者、放送会社、投資家にとって課題と機会が生
じることになるでしょう。消費者の需要は急速に変化しています
が、
これに対応するには、
コンテンツや配信に合理化を進めたエ
クスペリエンスと多様性が必要です。
デバイスごとの1年間での週あたりテレビ/ビデオ視聴時間
の予測値の割合
タブレット画面
デスクトップ画面
スマートフォン画面
テレビ画面
ラップトップ画面
ストリーミングオンデマンド
(YouTube、
ショートクリップ、映画、
テレビシリーズ、
プログラム)
100%
90%
80%
75%
70%
60%
50%
スマートフォン、
タブレット、
ラップトップ
50%
40%
25%
30%
0%
20%
2010
2011
2013
2014
2015
(2015年)
出典: Ericsson ConsumerLab『 TV and Media 』
調査対象: 台湾の、自宅で週に1回以上ブロードバンドでテレビ/ビデオを視聴
している人(傾向を明確にするため3年移動平均を使用)
2
Ericsson ConsumerLab エリクソン・コンシューマラボ、
『 TV and Media 』
(2015年)
10%
0%
テレビ画面と
デスクトップ
全世界
中国本土
台湾
出典: Ericsson ConsumerLab『 TV and Media 』
(2015年)
調査対象: 自宅で週に1回以上ブロードバンドでテレビ/ビデオを視聴している人
北東アジア地域編 2015年11月 エリクソン・モビリティレポート 3
モバイル加入数
北東アジア地域のモバイル加入契約数は増加しています。この地域のモバイル加入契約数は2015
年末には世界全体の約20%に相当する約16億件に達すると予測されます。その後もモバイル加入
件数は年平均成長率(CAGR)3%で増加し、2021年には約18億件に達すると見込まれています。
爆発的に増加するLTE加入契約数
北東アジアでは、LTEの加入契約数が2015年末に5億件近くに
達すると予測されています。日本、中国本土、韓国では3G から
4Gへの移行が加速しており、世界全体でもこれらの国はLTE市
場の上位4か国の中に入っています。中国本土では、同年末まで
にLTE加入契約数が約3億5,000件に達するものと予測されて
います。これは世界全体のLTE加入契約数のほぼ35%に相当し
ます。
台湾はこの地域でLTEの導入が比較的遅かったものの、普及は
極めて急速に進みました。LTE加入契約数は、最初の商用ネット
ワークの運用開始から16か月後の9月末に900万件を超えてい
ます。NCC(国家通信放送委員会)
によれば、
これはモバイル加
入件数全体のおよそ30%に相当します。LTE加入契約数の増加
は今後も続き、2015年末までに1,100万件に達するものとみら
れています。3
この地域でのスマートフォン加入契約数は2015年から2021年
までの間に5%のCAGRで増加し、17億件に達するものと予測
されています。その結果、2021 年にはハンドセットの 95%がス
マートフォンになるものと考えられています。
北東アジアのモバイル加入件数(単位:100万)
中国の LTE 加入契約数は、2015 年末
までに世界全体のほぼ35%に
北東アジアのLTE/5G加入件数(単位:100万)
LTE/5G加入契約
中国本土
日本
その他
韓国
その他北東アジア地域
1,600
2,000
1,400
1,200
1,500
1,000
800
1,000
中国本土、日本、韓国は
世界で最も LTE の利用
が多い 4か国の中に名を
連ねる
600
500
400
200
0
2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021
3
国家通信放送委員会(台湾)
4 エリクソン・モビリティレポート 北東アジア地域編 2015年11月
0
2011
2013
2015
2017
2019
2021
モバイルトラフィック
2015年末時点での北東アジア地域におけるデータトラフィッ
クの総量は1か月あたり約1.3エクサバイトで、そのうち1エク
サバイトはスマートフォンによるものになる見込みです。
この地域のモバイルトラフィックの総量は、2015年から2021年
にかけて毎年平均で40%増加しており、合計で8倍になっていま
す。2021年には、北東アジア地域のモバイルデータトラフィック
が1か月あたり11エクサバイトに達する見込みです。音声通話は
今後6年間で毎年平均2%増加すると予測され、2021年にはこ
の地域のモバイルトラフィックの99%がデータ通信によるもの
となるでしょう。
99%
中国でデータトラフィックが増加
北東アジア地域のモバイルトラフィック
(ペタバイト/月)
中国本土では2G 加入契約数が多いため、北東アジア地域の中
ではデータ消費量が最も少なくなっています。
しかし、LTEの導
入に伴い、データトラフィックは増加傾向にあります。現在、消費
者は急速に4Gに移行しつつあり、販売されているデバイスの約
90%が4G対応のものとなっています。4 中国本土のデータトラ
フィックは2015年から2021年までの間に毎年55%増加するも
のと考えられています。
スマートフォンとLTEの高い普及率がデータトラフィックの増加を牽引
データトラフィックの増加を牽引するのは、
スマートフォンとLTE
の高い普及率です。これらの技術が成熟している日本や韓国な
どでは、モバイル動画の伸びに伴ってデータトラフィックも増加
を続けるでしょう。
音声
2021 年にはモバイルトラフィック
の99%がデータ通信に
データ
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
2011
2013
2015
2017
2019
2021
北東アジア地域のデバイス別モバイルデータトラフィック
(ペタバイト/月)
モバイルPC、
タブレット、モバイルルーター
スマートフォン
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
データトラフィックの増
加を牽引するのは、ス
マートフォンとLTE の
高い普及率
2,000
4
CAICTのレポート、およびGSMA Intelligence(2015年)
0
2011
2013
2015
2017
2019
2021
北東アジア地域編 2015年11月 エリクソン・モビリティレポート 5
ネットワーク性能
北東アジア地域における動画ストリーミング需要の高まりは、ネットワークにおけるス
マートデバイスあたりの高いモバイルトラフィック使用量に示されています。
したがって、
高い顧客満足度を達成するには動画ストリーミングサービスの品質が重要になります。
ユーザーの下りリンク速度が20Mbps以上となる確率
39%
31%
複数のモバイルブロードバンドネットワークでユーザーが
体験する速度の確立
下りリンクスループットが20Mbps以上
100%
港
香
国
韓
湾
台
25%
24%
出典: Speedtest.netから入手したOoklaの速度テスト情報データに基づき
エリクソンが分析、2015年第2四半期
事業者が引き続きLTE-A、キャリアアグリゲーション、性能最適化
などの技術を通じてモバイルブロードバンドネットワークを進化
させる努力を続けることにより、ユーザーエクスペリエンスは今
後も向上してゆくでしょう。先進的なLTE事業者は、高ビットレー
トネットワークへの需要とデータ利用量の増加に対応するには
ネットワークの容量と性能が重要であることを認識しています。
左側の図は、北東アジア、東南アジア、米国における複数のモバ
イルブロードバンドネットワークのユーザーエクスペリエンス速
度を基にしたもので、サービス要件を満たすためのアプリカバ
レッジ構築に関する事業者の位置付けを示しています。結果は、
5Mbpsおよび20Mbpsより大きい下りリンクスループットを基
準に評価されています。
80%
60%
40%
20%
0%
中
右側のグラフは、20Mbps以上の下りリンクスループットを実現
できる確率を判別するため、北東アジア地域のネットワークを分
析したものです。ユーザーエクスペリエンスは国ごとに大きく異
なります。中国本土では、分析対象期間中にこの速度を達成でき
る確率は53%でしたが、日本ではわずか25%でした。この差は
主に、LTEサービスの開始時期によるものです。
国
スムーズな4Kストリーミング動画コンテンツを視聴するには高
速なネットワークが必要となり、最大20Mbpsの下りリンク速度
が必要です。
国
44%
米
53%
日
本
優れた視聴体験を求めるユーザーの声が、スマートデバイスの
動画圧縮、ディスプレイ、アプリケーションプロセッサの技術革
新を促しています。4Kデバイスの市場への導入が進んでおり、
その人気も高まっています。これらのデバイスは4K超高解像度
( UHD )動画をキャプチャでき、ユーザーは近い将来、モバイル
ネットワーク経由で4Kコンテンツを送受信したいと考えることで
しょう。
0%
20%
40%
60%
80%
100%
下りリンクスループットが5Mbps以上
出典: Speedtest.netから入手したOoklaの速度テスト情報データに基づき
エリクソンが分析、2015年第2四半期
6 エリクソン・モビリティレポート 北東アジア地域編 2015年11月
この分析によれば、北東アジアのある大手ネットワークが、評価
対象の事業者の中で最高と位置付けられています。下りリンクス
ループットが5Mbps以上となったユーザーは85%、20Mbps以
上となったユーザーはほぼ60%に達しています。結果における
差異は、使用可能な全帯域、LTE-Aの展開の程度、および最適化
のための取り組みによって説明可能です。
人口カバレッジ
北東アジア地域のモバイルネットワークカバレッジは増加し続けています。
WCDMA/HSPA のカバレッジは非常に高く、地域の総人口の約 95%に
及んでいます。ただし日本と韓国には GSM/EDGE がないので、GSM/
EDGEのカバレッジ増加はごくわずかです。
LTEサービスの開始以来、特に中国本土の事業者は、LTEの人
口カバレッジに重点を移しています。
LTEの人口カバレッジは、2021年までにWCDMA/HSPAと同
程度になると予測されています。
北東アジアの人口カバレッジ
∼85%
2014
より高い速度の実現を目指してLTE-Aを拡張する韓国と日本
韓国と日本の事業者は、LTE の人口カバレッジの拡充と並行し
て、より高い通信速度の実現に向けてキャリアアグリゲーション
を含めたLTE-Aのサービスの拡張に取り組んでいます。スマート
フォンユーザー数の増加と様々なアプリ使用の伸びに伴って、重
点は人口カバレッジからアプリカバレッジに移りつつあります。あ
るひとつのアプリに関するアプリカバレッジとは、モバイルブロー
ドバンドネットワークの性能が、良好なユーザーエクスペリエン
スの提供に十分である地域のことです。満足できるアプリカバ
レッジの達成には、
インドアネットワーク性能の向上も重要です。
2021
GSM/EDGE
>85%
∼95%
2014
2021
∼75%
2014
2021
>95%
WCDMA/HSPA
LTE
>95%
2021年にはLTEの人口カバレッジが
WCDMA/HSPAと同程度に
北東アジア地域編 2015年11月 エリクソン・モビリティレポート 7
エリクソンは通 信 技 術とサ ービスを提 供する世 界 有 数 の 企 業として、ネットワーク化 社 会
(Networked Society)の実現を目指して邁進しています。エリクソンは世界中の大手通信事業
者との長期的な関係を通じて、人々、
ビジネス、社会がそれぞれの可能性を追求し、持続可能な未
来を創成しようとする取り組みを支援していきます。
エリクソンのサービス、
ソフトウェア、インフラストラクチャ、特にモバイル、
ブロードバンド、
クラウ
ド分野におけるそれらの技術は、通信とその他の分野における事業の改善、効率の向上、
より良い
ユーザー体験の提供、新しいビジネス機会の創造を実現します。
180カ国で事業を展開し、11.5万人を超える社員を擁するエリクソンは、グローバルな事業規模
と、テクノロジーおよびサービスにおけるリーダーシップを備えています。エリクソンは今日、25
億人を超えるエンドユーザーへのサービスをサポートしています。世界のモバイルトラフィックの
40%以上がエリクソンの提供するネットワークを利用しています。エリクソンは、我々のソリュー
ションとそれらを活用するお客様が常に時代の最先端にいられるよう、研究開発への投資を行っ
ています。
Ericsson
SE-126 25 Stockholm, Sweden
Telephone +46 10 719 0000
www.ericsson.com
EAB-15:038461 Uen
© Ericsson AB 2015
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