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改訂版ヒト感作試験
目的
この改訂版ヒト感作試験は、試験製品における、刺激かつ、またはアレルギー性接触皮膚炎を誘発する可
能性を調査するために行われた。
概要
試験番号:
C11-J180I
試験名:
改訂版ヒトパッチ試験
試験製品:
KIBIKI Soap
試験責任者:
Ronald L. Rizer, Ph.D.(ロナルド・L・ライザー博士)
試験副責任者:
矢野正一郎医師
品質管理担当マネジャー:
Monae Miller(モネー・ミラー), MHA, CCRC
試験実施場所:
S&A 研究所
〒113-0022
東京都文京区千駄木 4-1-16
グランドメゾン千駄木一番館 2F
試験運営管理場所:
Thomas J. Stephens & Associates, Inc.
3310 Keller Springs Road, Suite 130
Carrollton, Texas 75006
試験依頼会社:
川研ファインケミカル
〒289-3181
千葉県匝瑳市野手17146
試験依頼責任者:
Arihito Suganami
試験開始日:
2011 年 9 月 26 日
試験終了日:
2011 年 11 月 4 日
3310 Keller Springs Rd. Suite 130 Carrollton, Texas 75006-4969
T 972.392.1529 F 972.392.2347 w www.stephens-associates.com
Thomas J. Stephens & Associates, Inc.
Stephens Study Number: C11-J180I
Final Report 12/13/2011
要旨
この改訂版ヒト感作試験は、試験製品における、刺激かつ、またはアレルギー性接触皮膚炎を誘発する可
能性を調査するために行われた。54人の日本人がこの試験を終了した。依頼会社は以下の試験製品を試験
に提出した。
KIBIKI Soap
感作誘導期間中、被験者は 50 マイクロリットルの試験製品をのせた閉塞パッチを 48 時間から 72 時間毎
に 9 回に渡り貼付された。空パッチがネガティブコントロールとして貼付された。被験者は貼付後約 48
時間後、または各訪問の 2 時間前にパッチをはがし、パッチ貼付部位は毎貼付後約 48 時間から 72 時間後
に判定された。最終の感作誘導パッチ貼付から最低 12 日後、惹起パッチが元のパッチ部位と新たな部位
(未貼付部位)に貼付された(試験製品のみ:コントロールパッチは惹起貼付を行ってない)。被験者は
貼付後約 48 時間後(判定を受ける約 2 時間前)にパッチをはがし、パッチ部位は貼付後約 48 時間と 96
時間後に判定された。
累積性刺激
今試験の状況下で、試験製品とネガティブコントロール(空パッチ)の累積性刺激判定値(生データは
50 人、9 回訪問で標準化された)は「肌にやさしい―実験的刺激なし」と分類された。
平均累積刺激値によると、試験製品 KIBIKI Soap とネガティブコントロール(空パッチ)との間には刺激
の程度に統計的有意差(p<0.05)がみられなかった。
アレルギー予想
本試験の暴露条件下、試験依頼会社の試験製品は試験を完了したどの被験者においても接触感作(アレル
ギー性接触皮膚炎)を誘発しなかった。
試験製品の保管、管理、記録
受領した試験製品はスティーブンス&アソシエイツ社の記録帳に記録される。この記録帳は永久的な記録
であり全ての試験製品の受領、保管、返却、処分について記載されている。すべての試験製品は関係者の
みが立ち入れる鍵付きの倉庫に保管された。試験依頼会社の意向で、試験製品は Stephens の SOP に従
い処分される。
試験製品の性状
表 1 は試験製品の性状を記載してある。試験製品には試験製品認識番号(TMIN)と依頼会社製品識別名
が貼られた。
TABLE 1: 試験製品の性状
試験製品
識別番号
TMIN
依頼会社
製品識別名
0687-11C
KIBIKI Soap
物理的特長
試験濃度
パッチの種類
Forest green, opaque solid
0.1%
蒸留水で希釈
閉塞
同意書
試験開始前に各試験者から 21 CFR 50.25 に基づいて作成された同意書を受領した。被験者が署名した同
意書の原本は他の試験書類と共に保管される。各被験者は署名入りの同意書の写しを受け取った。同意書
見本は添付書類 III に別添。
試験依頼会社訪問記録
試験期間中、試験依頼会社は試験施設の訪問を許可され、試験に直接関係のある書類や判定表の監査を行
うことができるが試験依頼会社は訪問を実施しなかった。
被験者情報
計 56 名の日本人が試験参加を開始した。そのうち 2 名が試験参加を中断し残りの 54 名が試験参加を完了
2
Thomas J. Stephens & Associates, Inc.
Stephens Study Number: C11-J180I
Final Report 12/13/2011
した。表 2 は被験者の傾向のまとめが記載されている。表 3 には試験参加を完了した全被験者それぞれの
情報(年齢や性別)が記載されている。これらの情報は各被験者の適正診断および健康状態アンケートよ
り得られた。(添付書類 IV の被験者情報の写し参照)
表 2: 被験者の傾向
n
試験参加開始被験者数
56
試験参加完了被験者数
54
参加中断被験者数
2
中断理由
自分の意思による中断
2
表 3: 被験者情報のまとめ
数
年齢
平均年齢
逸脱水準
最低年齢
最高年齢
54
39.85
6.81
26
60
性別
女性
男性
n
(%)
52
2
(96.3)
(3.7)
試験製品による悪影響
悪影響とは試験製品との関係を問わぬ、予期されなかった医療的事象である。一般的に、改訂版パッチ試
験において最も起こりえる副作用は試験部位の紅斑、皮むけ/乾燥、ほてり/ちくちくなどである。
上記された反応は悪影響として取り扱われない。持続性のある中度から重度、又は盛り上がりを見せる反
応 (例:浮腫、丘疹、小水疱、反応の拡散) が悪影響として判断される。 試験期間中、被験者に対しいか
なる悪影響も見られなかった。
プロトコールの改定
試験実施、被験者の参加、データ管理、又は報告書に関するいかなる変更はプロトコールの改定に記載さ
れる。プロトコールの一部分をより詳しく説明したり、手順を明確にする必要がある場合はプロトコール
の明確化が追加情報を含めて書かれ、解釈の間違いを最小限に抑えられるようにする。.今試験において、
試験手順や解析に関してプロトコールへの計画的変更は行われなかった。
プロトコールへの逸脱
試験実施におけるいかなる逸脱(適正条件を満たさない被験者の参加、データ損失、プロトコールに記載
された試験手順への逸脱など)はプロトコールへの逸脱として記載される。承認を受けたプロトコールへ
の被験者の適正や試験実施やデザイン、又は試験結果に影響しないマイナーな変更や手続きに関する詳細
(例:誤字、管理上の変更)は試験施設のための参照としてファイルメモに記録される。今試験において、
試験手順や解析に関してプロトコールの詳細への逸脱はなかった。
3
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Stephens Study Number: C11-J180I
Final Report 12/13/2011
試験手順と方法
試験開始前に試験参加候補者は電話による適正条件のスクリーニングを受けた。参加条件に見合った参加
候補者は試験施設を訪問する予約を取り付けた。
第 1 回訪問において、 試験参加見込みのある被験者は適正診断書及び健康状態に関するアンケートを読
み、同意書と HIPPA 同意書と写真公開/秘密保持同意書に署名した。試験参加条件に合格した被験者は、
パッチ貼付に備え、パッチ貼付部位をアルコールで清拭され、空気乾燥された。
感作誘導期間中、被験者は 50 マイクロリットルの試験製品をのせた閉塞パッチを 48 時間から 72 時間毎
に 9 回に渡り貼付された。空パッチがネガティブコントロールとして貼付された。
被験者は貼付後約 48 時間または 72 時間後、または各訪問の 2 時間前にパッチをはがすよう指示をされた。
パッチ貼付部位は毎貼付後約 48 時間から 72 時間後に訓練を受けたスタッフにより判定された。
以下に挙げる判定値と記号が感作誘導期間中、試験部位を判定するのに用いられた:
感作誘導判定基準
紅斑と隆起反応
0
1
2
3
4
5
6
7
刺激なし
わずかに確認出来る程度の最小限の紅斑
はっきりとした明瞭な紅斑、または最小限の浮腫、 または最小限の丘疹反応
紅斑と丘疹
はっきりとした浮腫
紅斑と浮腫と丘疹
小水疱
パッチ貼付部位の外側まで広がった強い反応
肌表面の状態
A
B
C
D
E
F
0
1
2
3
3
3
多少のてかり
はっきりとしたてかり
皮膚がてかり、剥けてひび割れた状態
皮膚がてかり、大きくひび割れた状態
水疱から出た液体がパッチ貼付部位全体、又は一部で乾いた状態
少し点状出血したびらん状態、または痂皮
その他/記録用記号
W
水疱が破れ、中の液体が漏れ出したことが確認できる状態
T
パッチの粘着部分に反応(パッチ移動)
X
パッチ貼付は行なわれず、判定のみ行なわれる
R
被験者が決められた時間にパッチをはがさなかった
L-1
パッチ貼付後 12 時間以内にパッチがはがれたと被験者から報告を受けた
L-2
パッチ貼付後 12 時間から 48 時間にパッチがはがれたと被験者から報告を受けた
(-)
被験者休み
アルファベットと同等の数値が(例: A = 0; B = 1; C = 2; と D, E, と F = 3)判定数値に加算された (例: 2C
= 2 + 2 = 4)。単独、もしくは合計の判定値が 3 以上の場合、その後の各訪問時でもその部位の判定値は 3
とみなされ、その試験部位は新たな部位に移される。
感作誘導期間最終のパッチ貼付から最低 12 日後に、惹起パッチ(試験製品のみ。コントロールパッチは
なし)が元の試験部位と新たな試験部位(未貼付部位)に貼付された。被験者は添付から 48 時間後、ま
たは 48 時間後の惹起訪問の 2 時間前にパッチをはがすように指示された。
元の試験部位と新たな試験部位(未貼付部位)の反応は貼付から約 48 時間後と 96 時間後に、訓練をうけ
たスタッフによって判定を受けた。
4
Thomas J. Stephens & Associates, Inc.
Stephens Study Number: C11-J180I
Final Report 12/13/2011
以下に挙げる判定値と記号は惹起期間中、試験部位を判定するのに用いられた:
惹起期間判定基準
紅斑: 紅斑(赤み)の度合いについてのみ判定
0
1
2
3
紅斑なし
わずかな紅斑(薄いピンク色からはっきりとしたピンク色)
多少の紅斑(はっきりとした赤色)
かなりの紅斑(極度の赤色)
隆起反応: 浮腫、丘疹、大小の水疱等の反応がある場合は、それぞれの反応を記録
E
浮腫―はっきりとした腫れ
P
丘疹― 小さく、赤みを持った単体の盛り上がり、触るとざらざらする
V
小水疱―小さく、ある一定の透明な表面を持った盛り上がった部位の皮膚表面から中の液
体が見える水脹れのような状態;直径 0.5cm 未満
B
大水疱―直径 0.5 cm 以上の水疱;数個の水疱が合体してパッチ部位を埋めている状態もあ
る
その他の反応
S
W
拡散―パッチ部位の外側まで反応が拡散している(ただし、製品がパッチ部位から漏れ
たために反応が起こったと明らかに分かる場合は除く)
液漏れ―大小の水泡が破れ、中の液体が漏れ出したことが確認できる状態
その他/記録用記号
T
R
L-1
L-2
(-)
X
パッチの粘着部分に反応
被験者が決められた時間にパッチをはがさなかった
パッチ貼付後、12 時間以内にパッチがはがれたと被験者から報告を受けた
パッチ貼付後、12 時間から 48 時間以内にパッチがはがれたと被験者から報告を受けた
被験者休み
感作誘導期間の反応が残っているためパッチ貼付なし
データ解析方法と取り扱い
パッチ部位はページ 6 に記載されている表を元に数字による判定値が与えられた。必要に応じて数字の判
定値は前記のアルファベットにより判定値もつけられた。各部位における数字+アルファベットの判定地
が表にまとめられた。惹起期間の判定値もこの表に併せて表記された。
試験製品を分類するために、各部位毎に感作誘導期間の判定値の合計が算出された。パッチを移動した部
位に関しては、移動前のオリジナル部位の判定値「3」のみを加算した。Berger and Bowman(バーガー
&ボーマン)により標準化された評価基準を 50 人の被験者を基準とした 9 回訪問の評価合計値で分類す
るよう比例調整した。以下の表はこれらの調節を反映している。
5
Thomas J. Stephens & Associates, Inc.
Stephens Study Number: C11-J180I
Final Report 12/13/2011
以下の分類システムが累積刺激の解説として使用されている(50 人の被験者による 9 回の感作誘導期間
中の最大評価値が「3」であるということに基づいて区分されている。)
分類
I
II
III
IV
V
判定値
Cumulative Irritation Classification System
試験による感作誘導
見られた反応
肌にやさしい―実験的刺激 基本的に試験条件下では累積刺激なし (i.e.,
なし
特定の希釈にて続行)
通常使用ではおそらく肌に 試験条件下において非常に軽度の累積刺激が
>106.07 から 427.5
やさしい
起こり得るわずかな可能性がある
通常使用では肌にやさしい 試験条件下において軽度の累積刺激が起こり
>427.5 から 961.07
可能性がある
うる中程度の可能性がある
>961.07 から
試験条件下において軽度から中度の累積刺激
実験的累積刺激
1243.93
が起こりうる高い可能性がある
試験条件下において主要な一次性刺激が起こ
>1243.93 から 1350
実験的一次性刺激
る可能性がある
0 から 106.07
分散分析法(ANOVA)の Fisher's LSD と呼ばれる 1 対 1 比較方式を用いて、各部位の累積判定値の平均
値が比較された。p  0.05 のときに、解析上有意差があると認められる。各試験部位にて判定を受けたタ
イムポイント毎に判定値を変換した判定頻度の表が作成された。
データは独立したデータ部門が検査、解析を行った。S&A のデータ部門はクリニカル部門より選別された
メンバー、品質管理部門、統計部門により編成されている。
データ解説
感作誘導期間もしくは惹起パッチ両部位に持続性の浮腫、大小水泡、丘疹、拡散を伴う反応が発生した場
合、アレルギー性接触皮膚炎であると考えられる。アレルギー反応は通常、72~96 時間ではあまり改善
しない。急激に悪化したり、増加したりする浮腫または浸透はアレルギー性接触皮膚炎であると考えられ
る。その他の症状としては、感作誘導期間と惹起期間の間に、以前パッチを貼付した部位に「突然反応」
が現れたりするのもアレルギー性接触皮膚炎であると考えられる。
上記の典型的な反応以外の症状が起こることもありえる。例えば、試験開始前から被験者の肌が感作され
ている場合には、感作誘導期間の比較的早い時期に反応が現れる。このような反応は、試験開始前に試験
製品に含まれる成分と同成分を含む製品と接触し、その製品に対し、何らかの反応があったということを
示唆している。このような反応を起こした被験者の判定値は最終的な解析には含まれない。
書類の管理
すべての書類の原本(プロトコール、判定表、医療記録、同意書、試験中断者一覧表やその他の記録や試
験に使用された書類を含む)とこの最終報告書の写しは、この報告書の作成日から 2 年間、スティーブン
ス&アソシエイツ社の倉庫に保管される。保管期間終了後、書類一式は試験依頼会社に着払いで送付され
るか、破棄される。
6
Thomas J. Stephens & Associates, Inc.
Stephens Study Number: C11-J180I
Final Report 12/13/2011
結果
以下の表は、試験製品とコントロールの感作誘導期間および惹起期間のそれぞれの判定日の判定値分布を
表している。 (注釈: G=判定、O=感作誘導期間と同じ部位、 A=新部位、 48=48 時間後判定、96=96 時間
後判定)
表 4: 試験部位 13 の判定頻度: KIBIKI SOAP
0
1
合計
G1
50
4
54
G2
54
0
54
G3
54
0
54
感作誘導期間
G4
G5
G6
54
54
53
0
0
1
54
54
54
G7
54
0
54
G8
54
0
54
惹起期間
48 O 96 O 48 A
54
54
54
0
0
0
54
54
54
G9
54
0
54
96 A
54
0
54
表 5: 試験部位 19 の判定頻度: ネガティブコントロール(空パッチ)
0
1
合計
G1
53
1
54
G2
54
0
54
G3
54
0
54
感作誘導期間
G4
G5
G6
54
54
54
0
0
0
54
54
54
G7
54
0
54
G8
54
0
54
G9
54
0
54
表 6 は試験製品とネガティブコントロール製品の感作誘導期間中の累積刺激可能性を最低判定値から最高
判定値の順に位置づけしたものであり、バーガー&ボーマン方式による標準化された累積判定値と分類に
基づく。生データは 50 人の被験者と感作誘導期間の訪問回数 9 回で標準化される。
表 6: 標準化された累積感作誘導期間中の刺激判定値と分類
試験製品
標準化された
累積判定値
カテゴリー
n=50、9 回訪問
を基準
部位 19: ネガティブコントロール
(空パッチ)
0.9
I
部位 13: KIBIKI Soap
4.6
I
分類
肌にやさしい―
実験的刺激なし
肌にやさしい―
実験的刺激なし
試験製品とコントロール製品の比較
平均累積刺激値によると、試験製品とネガティブコントロール(空パッチ)との間には刺激の程度に統計
的有意差(p<0.05)がみられなかった。
データ解析資料(添付 I)と判定表写し(添付 VI)参照
考察と結論
累積性刺激
今試験の状況下で、試験依頼会社の試験製品とネガティブコントロール(空パッチ)の累積性刺激判定値
は「肌にやさしい―実験的刺激なし」と分類された。
アレルギー予想
本試験の暴露条件下、試験依頼会社の試験製品は試験を完了したどの被験者においても接触感作(アレル
ギー性接触皮膚炎)を誘発しなかった。
参考文献
1
R.S. Berger and J. P. Bowman, A reappraisal of the 21-day cumulative irritation test in man, J.
Toxicol.- Cut. & Ocular Toxicol. 1(2): 109-115, 1982.
7
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