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教職インターンシップ
教職インターンシップ ○「ちば!教職たまごプロジェクト」 ( 「千葉県・千葉市教職インターンシップ」) 東上総教育事務所管轄小学校 江口,吉野 ○東金市立東金中学校 尾崎 ○東金市・成東市の学校における学習サポート 郭,潘 教職インターンシップレポート(小学校) 国際文化学科 吉野 広将 私は「ちば教職たまごプロジェクト」を一年間通して行ってきました。現在も週に一度のペースで すが,実習先の学校にお世話になっております。この「たまごプロジェクト」は,教員のたまごとし て,およそ一年千葉県内の小学校で実践研修するというものです。小学校というと易しいイメージを 持つ人もいるかもしれませんが,実際はこの学齢特有の難しさがあります。小学校は幼稚園や保育園 から上がって間もない子や,中学校へ上がる前段階になって大人びるようになった子など,学年に応 じて子どもたちの雰囲気が大きく異なります。今回,私の研修での活動内容を踏まえつつ,私がこの 研修で経験し学んだこと,自分から見て成長できたと思うこと,今後の課題や目標を述べていきたい と思います。 私が研修先としてお世話になっている小学校は,私の地元から程近い場所にあります。周りを山に 囲まれ,田んぼや畑が広がる,絵に描いたような片田舎です。ここに位置する小学校は複数あります が,どこも児童の人数は少ない。私の参加させていただいている小学校も例に漏れず,児童の総数が 100人弱です。一番多くて一学年に15人程です。 研修初日は,各学年の授業を見学に行きました。授業を聞きながら懐かしいと思いつつ,児童にど う接したらよいのかを考えていました。各教室に入るとき軽く挨拶はしますが,それ以外は具体的に どう接していいのかわかりませんでした。初対面ですから,変に馴れ馴れしく接するわけにはいきま せんし,かといって固い感じになるのもよくはない。また,学年によって児童の精神面も大きく異な りますから,接し方をどのように変えたらいいのか,まったくわかりませんでした。ただ,1日目で 何をどうしたらいいのかわかったら,それは逆におかしなことです。ですから,子どもたちに接しな がら考えることにしました。が,あくまで教員としての研修であるため,教員としての仕事を行わな くてはなりません。 そのときの私は,1日目はあくまでも見学だけと思っていました。しかし,教員としての職務を学 ぶこともこの研修の目的であり,実際にそれを経験しなければなりません。私はそのとき4年生の教 ─ 31 ─ 室で授業を参観していました。その授業は算数で,二等辺三角形と正三角形を組み合わせて,その組 み合わせた角度が何度なのかを答えるものでした。担当の先生は答えを見せに来るように児童たちに 指示されました。そして,私も児童の答えをチェックするように言われました。動揺して一瞬頭が混 乱してしまいましたが,すぐに持ち直して,児童たちの答えに合否をつけていきました。 授業が終わり,昼休みになると,私は校庭にでて子どもたちの輪に入っていこうとしました。児童 に接するための間合いを決めるには,やはり児童たちと直接接しなければならないと考えました。先 の授業での答えあわせのときも,児童ごとにまちまちな対応をしてしまった。そのことから,実際に 子どもたちに接し,どうすればいいのかを考えるようにしました。普段,自分から行動することはあ まりしない私ですが,臆していてはいけません。早く子どもたちと打ち解けなければ,この研修が何 の意味も持たなくなってしまうからです。とにかく行動あるのみ。この実習1日目にして最初に学ん だことです。授業見学のときから感じていましたが,やはり学年ごとに児童の姿はまるで違います。 しかし,遊んでいてわかってきたことがひとつありました。それは,子どもたちは意外にも上下関 係をしっかり持っていることです。下級生は上級生を敬い,上級生は下級生をまとめる,この関係を もう確立していたのです。この関係は中学生ごろに出来上がるものだと思っていたので,子どもたち が自分たちでそういった関係を築いていくことに,私は驚きました。 この日以降,私は週ごとに違う学年を回っていくことになりました。あるときは,半日の間,ひと つの学年を一人で指導と自習の監督,読み聞かせなど,ほぼ臨時教師といえることをしました。また あるときは,部活動の指導に参加し,児童たちと一緒に走り回ったりもしました。 毎回,学ぶことが多く,それらは現在の活動にも十分生かしているつもりです。ただ,意識してい ても実行できないときもあります。時に児童の行動に苛立ってしまったり,先生方に対する礼儀を疎 かにしてしまったりすることもありました。これらの失敗は,実習後帰宅したときにノートに活動内 容と一緒にまとめ,次回からそのようなことがないように自分に言い聞かせています。 このように活動し,学んでいく中で,私にとって一番衝撃的なことが起こりました。ある日のこと, 理科室で授業をしているときに児童が騒いでいることがありました。私や授業担当の先生が再三注意 しても, まったく意に介さなかったのです。 どうしようかと私が悩んでいると,授業担当の先生が突然, 教科書を机に叩きつけました。あまりに大きな音に児童はもちろん,私も驚きました。児童たちは先 生が非常に怒っていることに気づき,誰一人としてしゃべろうとはしませんでした。先生は「こんな にうるさければ授業なんかできない,今日はもう授業は終わりだ」と言い放ちました。そして,授業 がそこで終了となり,私は授業担当の先生に謝りにいきました。このとき私は,自分がもっとうまく 対応できたら授業は中断することはなかった,と考えていました。しかし,先生は「こんな風なアク ションも必要なんだ。子どもたちは本当はわかっている。だけど,それを自覚させるためには,たま にこんなことをしなくちゃいけないんだ」と言いました。実際,先生と話しているときに,さっきま で騒いでいた児童たちが自分から謝りにきたのです。私は,子どもたちと接し,注意するとき,あま り強く言うことができませんでした。しかし,そのときの先生の対応を見て,いかに自分が甘く,そ れでいて児童を深く見ていなかったのか,私はこれまでの自分の活動を見直すことにしました。これ ─ 32 ─ まで積み重ねてきたものを踏まえて,これからの残り少ない実習期間の中で,厳しさを加えた指導を 行っていくことを考えました。 私はこの実習中に自分がどのように成長できたか,できているのか,まだはっきりとはわかりませ ん。最初のころよりも, 児童にうまく接することができているかもしれません。先生方とコミュニケー ションをとりながら連携できるようになってきたのかもしれません。自分から行動することの大切さ を再認識したのかもしれません。これらは,あくまで私自身が成長できていると漠然と感じているこ とです。これまで,自分はこれらのことが苦手とすることがありました。しかし,この経験から,こ れまでこれらのうまくできていなかったことが,少しずつではありますが,できるようになってきた 気がします。 今後の課題と目標は,これまで培ってきたことを教育実習の場で活用することです。教育実習は, 小学生より年齢が上の中学生が対象になりす。しかし,相手が違っても,これまで学んできたことは 何ひとつ無駄ということはないはずです。また, 私はいずれ小学校の教員を目指そうと思っています。 厳しいものですが,彼らとの生活も楽しいものです。それだけでも目指す価値はあります。 まだ,すべて終わったわけではありませんが,残りの研修期間で私がいかに成長できたかを見返し, 今後の教育実習に活用していきます。 学校生活と学習のサポートを経験して 国際文化学科 郭 冰雁 去年から私は東金市立東金東中学校と千葉県立成東高校へ学校生活や学習活動の支援という形でイ ンターシップに行かせていただきました。インターンシップをするにあたって学校関係者の方々には 大変お世話になりまして心からお礼を申し上げます。 3年生の前期,東金中学校で研修の説明を受けた時に,日本に来たばかりの中国人生徒の通訳とし て学校生活をサポートするとのことでした。日本の中学校教育を直接に体験することができて,現場 で起こることによって様々なことを学べて, 貴重な経験になったのではないだろうかと思っています。 いろいろな先生の教え方や各科目の授業内容などを見学できることはとても勉強になり,学ぶこと も多くあると思います。一方で,授業の過程で出てくる各科目の専門用語に,改めて日本語の難しさ を肌で痛切に感じています。 初めてチューターをすることは,あまり経験のない私にとって,不安も多いと感じましたが,その 不安を解消するためには, お互いを理解しようという気持ちが重要です。ですから,今度のチューター を通じて,すごく貴く,大切だと感じたことがもう一つあります。それは,外国人生徒に対して,他 の日本人生徒たちが良い人間関係をつくることです。教員の方々もさることながら,クラスの皆さん も中国人生徒に対していろんなことで助け合ってくれて,とても感心しました。 ─ 33 ─ 前期のインターンシップの成果として,留学生の私にとって,様々な視点から日本の中等学校教育 を知ることができました。教科についての内容はもちろん,教師と生徒間のインタラクションも大変 勉強になりました。 後期は,千葉県立成東高校での中国語講座に参加しています。成東高校では,放課後を利用して, 中国語に興味を持つ生徒たちに教育を行っています。 中国語講座を担当する山本先生は,語学にすごく堪能な方です。私は山本先生と一緒に中国語を勉 強している高校生に単語の発音,語彙の意味,挨拶の基本を指導して,誤った部分を直してあげます。 ネイティブスピーカーとしての私がこの講座で初めて中国語の習得方法を認識しました。いつも当 たり前だと考えていたことが,実際は外国人にとってはすごく難しい。山本先生の指導の下で,みん な発音の練習を繰り返して,実際のコミュニケーション会話に取り組んでいます。 そのほか,山本先生は国語科の教師なので,日本の高校の国語教育の内容と構成をいろいろ詳しく 紹介してくれました。いつも中国の教育の厳しさを痛感している私にとって,日本の国語教育の大変 さは初耳でした。私が今,日本語の古典文法を独学していることを知ってから,先生はたくさんの関 連テキストを贈ってくださいました。誠にありがとうございます。 この講座に参加して約四ヶ月が経ちましたが,一番印象に残っているのは,中国水餃子パーティー です。高校生と一緒に餃子を包んで,先生が茹でてくださいました。みんな揃って,手作りの餃子を 食べたり,話したり,とても嬉しく思ったことを今でも鮮明に覚えています。 今度の前期と後期のインターンシップを通して,自分自身が中学生,高校生の時を思い起こすこと が何度かありました。授業中にふざける生徒,居眠りする生徒,積極的に質問を出す生徒,真面目に 勉強している生徒,いろいろな生徒がいましたが,それに対する教師の態度や接し方,指摘の仕方な どを考えている中で,教師は大変なんだと改めて感じました。また,先生同士の会話をうかがってい ると,きちんと生徒一人ひとりを理解されていました。担任のクラスだけなく,授業を担当するクラ スの生徒も理解できていることが理想だと思います。教育には,生徒同士と教師の人間関係が大切だ と思います。将来,日本語教師の道で活かすことが出来る貴重な体験をさせていただきました。今回 学んだことを活かして,自分自身の将来に繋げ,いつかよい教師になりたいと思います。 ─ 34 ─