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景気 - 日本経済研究センター

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景気 - 日本経済研究センター
「景気 J の計測について
諸国公正
客観的定義は不可能である。なぜなら景気を表す唯一の指標 (
r
e
f
e
r
排
出
c
ec
y
c
l
e
) がないため、多くの経済指標のやから経詩的重要性等を勘案していわ
ゆる最気指標を摺別に選定し、それらの指襟の変動から景気を逆に設定するという
J
t
l
紫気指標を所与とした特に禁気を把握す
方法をとらざるを得ないからである。イ隣J
る方法はいくつか考えられるが、本棋では、 3つの手法 (C1、話 T Vモデル、状
態空霞モデル)により景気を計測し、手法の優劣を比較検討することで、最長の客
観的把擢の翠ましい手法を探った。
「いくつかの個民景気指標の変動は共通
したトレンド成分と景気成分によって生み出されている」というフレームワークを
もっ状態控関モデルが、記述持統計モデルとしても、また実体経詳との対誌、欝保か
らも棺対的に望ましい手法である、という結論が得られた。
1
. はじめに
日付 J (鹿半期〉によると、日本経済は平成 3年 盟 期 ( 7- 9月期)
より景気後退島商に入っている(表1)。今や誰もが認める紫気後退であるが、
気後退の初期、すなわち平成 3年夏から款にかけて「賛気の定義をめぐる論議」が
活発化した。
「景気J ,注目常でもよく使われる生活者や企業家にとって身近な曾葉であるが、
まさに、身近であるがゆえに、
まない。結論からい
「景気の客観的把揮J 辻容易で i
うと、不可能である。
ここで不正確を承知で本質的な議論をする
みを認めると、
r
景 気j に b
i
n
a
r
yなi
主賓の存在の
b
i
n
a
r
yな)やi
軒に参画する人々の関で多数決をとれ
「景気」の (
i
f
f
u
s
i
o
nl
n
d
e
x
) は、このプロセスに対応、している。な
;まよい。まさに、 D 1 (D
ぜなら、
f景気」に深く関課していると広く認められた最気指標〈ある入にとって
は鉱工業生産指数、またある人にとっては有効求人倍率)を集め、その過半数がよ
日本経波研究 N
0
.
27,1
9
き4
.
3 17
表1
谷
5
存2
循環
│
第8
循環
第9循環
l
;
幾1
0
循環
築I
I
徳環
4
0
i
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:
I
V!
I
間
主
号
山
2
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年I
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2
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V1
1 I
3
2年I!I
3
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3
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V11
3
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i
f
:
I
V1
1 I
3
9年I
V
I
I
第3
第4循環
第5
穣環
:
第 5窃環
i第?緩環
j
自付(四半期)
3
4
I
4
5
年限 1
1
4
6
'
竿I
V1 I
48~手作 fI
I
5
0年 11
1 I
52~手 1 !
I
5
2年長!1
1 1
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5年11/
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年 11
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6
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I
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I
1
6
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f
:
I
V'
1 I
3年l
1
1
1
6
1
1
;
)
1
1
3
1
1
1
2
1
1
;い制景気
(
第1
1
循環徐行
してい紅ば(議蜜で i
まないが)、
「景試J はよいと自動的にやj断が下され、
(
民
主主義のルールが適用されると)その判断結果に誰も反対はできないからである。
しかしながら、野心の客観的な
i
n
a
r
yなもので誌ない。
にb
辻DIのよう
は
、 D 1ではない。
をもちつつ、ある程度清らかに変動している、
というのが広く認められる景筑観であろう。
とすると、
「景気」
かる全ての人に、様車自に時間をとり、説軸に自分にとっ
だと患われる絵を撞いてもらい、それを統合すればよい。
て
も悪い時もあり、昔に比べて
r
景気」はよ
この程度でみる等々、思い思いの絵が描ける
はずである。こうして全ての人が少なくとも
はしない
を手にすること
ができる可能性はある o これも不正確ではあるが、 C1 (
C
o
m
p
o
s
i
t
eI
n
d
e
x
) はま
さに、このプロセスに対応したものである。
められた景気指標
r
景気J に深く関棒、していると広く認
その標準化した変化率を統合したものが CIだからであ
るo
しかしなカまら、こうし
まずの
られた l
は、数現枕許理論家を
させ
f
寺ない。なぜなら、なぜA という指壊辻紫筑指標で、ちという指壊はそうではない
のか、殺註も反証もできないからである c すなわち、
「景気を表す唯一の詣標」
(
r
e
f
e
r
e
n
c
ec
y
c
l
e
) が無いゆえに、イ閤別景気指壊探用の適否の客説的判断基準法な
しあくまで総合的判断によるコンセンサスによって種々の景気指標を集め、そ
の変動の平均的な動きを
としているのである。したがって、
的把諜J 誌不可能といわざるを得ない。しかしながら、
規定する客観的与件
を予め設定し、その与イ牛の下での「禁気の客観的把擢 J は意義をもっ。
18 B本経済研究
Nn27,
1
9
9
4
.
3
「愛筑の客観
本稿では、橋別景気指標を所与とし、ぞれらの変動から「景気 j を計i
到するいく
つかの手法を比較検討することによって、
の望ましい設窓方法を採る。ア
ブローチの仕方法 2巡りある o 1つは基本的に b
i
n
a
r
yな情報を示す DIをより
K
a
n
o
h(
19
9
0
) 参照)であり、他の 1つは現宥の C
感に近い方向へ変える試み (
Iをモデル論的民捉え、問題点を検討し、より議哲なモデ、ルを震構していく方法で
M
u
t
i
v
a
r
i
a
t
e Time
ある。本稿では後者の方法をとり、 C1の他に、 MTV (
S
e
r
i
e
sV
a
r
i
a
n
tC
o
m
p
o
n
e
n
t
) モデルじよる
S
t
a
t
eS
p
a
c
e
) モデル
ユ訣諮空間 (
による景気をそれぞれ導畠し、比較検討する。
2
. r
景気J を把擢する 3つの手法
2
.
1 C It
こよる景気
C 1を構或する鵠別景気指標辻義 2のとおりであるが、 A二二トレンドの強い水準
を表す指標、 B口前年同期比の指標、 C 之上と率の指標の 3つに分けることができる o
EとCはトレンドの無い指標とみてよいであろう。
各援壌の相関関係をみるために、 Bや Cについてはそのまま、 Aについては自然
対数をとり、相模符列を求めると以下のことが顎らかとなった〈表討。
ヨ〉昌明であるが、 トレンドのある指標間二七の相関保数はほとんどが0
.
9
以上であ
り、相関は強い。ただし、 トレンドが弱く、かつ労働基準法改正などの制度的変更
I
!
6
. 量書室長主と詰H
苛f
語数
(除輸送機械}
7
. 百貨j
苔聖霊祭毒薬
3
主
主
義
}
ふ商業販発事費主語数{露1
争
1
3
.
経常'fi
J
謀
議 l
全産業〕
中小企重軽 t
お荷議室主{霊長造語業季謝儀〕
×中小食業卸ヲ宝物f
軍指霊堂{工業製品)
f
憲
司
ぎ
) 1
.r
類別」欄のfLi7
U
Iま次のとおり。
A トレンドの強い水浴をき援す指標、 Bニ言言五,,!潟英語よヒの指様、 c
=よb主撃のま護尊重
2
. rトレンド」織の有無 i
立、経済の綾主義の拡大に h
c
iじて趨勢約にま菌加している水準を語援す指標については
r
有」、一方、富百年同期比や比率をとることにより趨勢約蓄を動部分が除かれているま審擦は
i
二分類したもので、線系列分析上の「非;ig
J言後j の有無に i
潤するものではない。
f然 J
と便宜的
I
J
)
言
十i
艇について
19
3 個別景気指標の柑関行列
2
1 主
主
選E
指数(鉱工業}
2I
D
安材料f
毒費指数{雪量殺祭}
同
自
l
s
1
.
0
0
.0
0
0
.
9
5 1
0
.
2
0 0
.
3
5
0
.
9
9
m
立2
5
滋投入震指数{雪量造業}
5 労1
6I
~受章を湾出荷指数{除翰送機械}
71
E索活販売額
売業)
8 衛費量販売額指数(揖7
0
.
5
6 0
.
46 1
.
00
0
.
2
1 c6
1
.
JO 仏語?
0
.
9
8 6 1
.
00
0
.
5
2 0
.
3
7 -~. S
9 弘吉5 0
D
.
4
6
: 1
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.
0
3 ω
.
2
8 即 3
8i 0
.
8
1 1
.
00
0
.
4
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.
0
8 日
.
5
5 0‘4
3 0
0
.
5
3 0
0
.
9
7 0
0
.
6
2 0
.
9
7 .
4
1
.
9
2
1 0
.
9
6 日。
.
6
0 0
.
4
7
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.
9
8 0
.
9
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.
9
9
10
.
3
6 0
.
5
2 仏9
2 0
.
5
2
.
1
2
: 0
.
0
2
: 0
.
7
3 0
札0
7 0
.
6
2 0
.
1
3 ふ6
1
0 中小企業売上高(製造業1
1
1 有効求人倍率(除学率)
1
0
l
.
CO
0
.
9
6
3 号室カ俊男を霊
4 毛筆雪語率議室主 {重量造業}
日 経常利益(全産業)
9
間
0
.
6
4
1
.
00
0
.
6
0
格
間
間
時
により大きな影響を受ける労犠投入量指数について
1
.0
0
0
.
9
7
0
.
0
3
1
.0
0
品
J
.
0
8
地のトレンドのある
c
o
と
の樹関がやや襲い。
トレンドの無い指標関士の相関係数は 0.5-0.8となっている。
φトレンドの無い指標の中で、前年同期比の百貨版版宛額や商業販売額指数が高
度経済成長からの減速を反映して、 トレンドのある指標と弱い負の相関がみら紅る。
いずれにしても、鑑別禁委主指模様々の問題 i
まある。 i
潤えば、吉費1
吉競売額や経常
怠指壌であるのに対し、その他誌実震指壌となっている。しかしながら、
これらの開題泣抜わないっ
C 1は、これら 1
1
欄の指撲の前期比(トレンドの無い指標については前期差)を
とり、それぞれ標準化を行い、統合したものである。具体的には以下のとおり。
イ閉別指標 Xitの対称変化率をとる。
(
1
)
*
Yi
0
0
t-XJt-1)/ (Xit十 Xit-1) 2
t=(Xi
トレンド
については、
Yitニ
t
l指標の対称変化率に対し、 lつの景気循環の平時期間である 5年間の平均
偶Z
At
i及び諜準髄差 Bt
iにより、
(
2
)
At
i
(
3
)
Bit= 之 (Xi
2/20、 Bt
n-At
i)
i
n
.
“t 1
9
~
Z
i
tを求める。
Xi
n/20
調
(
4
)
ニ
ニ
(Xlt- At
i)/B!t
At
i、Bt
i,乞を k舗の植民景気指標はついて、平均し、合成平均変化率 AAt、
合成変化率標準協差 ABt、合成備室長器準化変化率 AZtを求め、これらを合成し、
20 日本絞告等研究
N.
o
27,
1994.3
合成変化率 Vtを
る
。
(
5
)
AAt 2
:Ait/k
{
6
i
ABt二2:Bit/k
(
7
)
AZt
(
8
)
A
t
ト ABt*AZt
Vt=A
ヱZit/k
合成変化率 Vt
を1
0
0とする指数の形をし
し
(
9
)
ネ
(
1
0
)
C
l
t I
t
/
I 1
0
0
現在、
C 1を作成する O
(
2
0
0十 Vt)/ (
2
0
0
-Vt)
*
されている
C1は1
9
8
5
年ニ 1
0
0として基準化されている。図 1のと
り
、 C 1はトレンドをもちつつ循環変動をしている (C1とトレンド成分を
較する必要があるため図 l、
2ともに(
2
)
-総 式
き諜準化してある。 また各
践では、 実線の緩繰が「最安元基準日 付 J の景気の山を示し、点練が景気の谷を示し
2年
ている。例えば、昭和 6
I期から王子成 3年 I
I期の関誌景気拡張期であることに対
応する)。
認
CI とトレンド成分の推移
{凡タt
l
: - C1、
ー
トレンド君主分)
2.00
i 75
咽
1.50
'.25
1.0告
0.75
1
嗣
。 50
0.25
0.00
-0.25
-0 50
司
0.75
1
.00
ω
1.25
1.50
市
2.00
2.25
(年)
「景気J の誇十測について 21
図 2
CIの紫気成分の撤移
1.5
1.0
0.5
0.0
0.5
-1.0
1.5
間
2.0
“
2‘ち
こうして得られた C1をみるニとにより、現在の不況局面が過去と辻べてどの粧
とされた C1により、ぜ…ク
ものであるかをみることがで、きる。関え{工、指数f
から l年後の落ち込み轄をみると、今次不況掲寵が1
3.0%であるのに対し、円高不
4.3%となっており、今自の不坑は第 l次 お
況時では 3.4%、第 1次石油危接では 1
油金機立をみの「景気の落ち込み J ~こなっていることがわかる。
しかしながら、このままではトレンドがあるので、今の景筑の状態はど
ものなのか、すなわち、
「繁筑の水準 J をみることはできない。そこで、 C1の動
きをトレンド成分と景気成分 i
二分ける。 (
8
)式で合成愛子ヒ率 Vt
のうち、 AAtがトレ
ンド成分を、 ABt*AZtが景気成分を生み出している部分であるので¥これらを (
9
)
制式に基づいて算出した。
トレンド成分は C1の趨勢を京すように、 C1の上を清らかに誰移しているのが
わかる{図1)。
紫気成分は「繁気基準日付J のLlJ谷に概ね一致している(関 2)。さらに
詳細に山谷における「景気の水準J についてみると、平成景気のピークはいざなぎ
ピークよりもかなり水準が悲しまた第 2次石油定機前後のピークよりも若
干電い。一方で高水準の持続期間が長いのが特徴で、あることがわかる。容について
は、円高不i
廷の水準が比較的高いこと、また、平或 5年I
I
I
期の水準は第 l次石諒恕
接持の谷よりも程くなっていることがわかる。
このように、 C1により景気の水準と変化の程度を計測することができ、過去の
景気高麗と辻較することにより現在の景気を定量的に把躍することが可能となる。
22 包本経済研究 N
o
2
7,1994.3
2
.
2 M γ Vモ デ ル に よ る 景 気
MTVモデルは、刈臆 (
1
9
8
6
) に訴しいので、ここでは披露各の説明にとどめる o
お、他の 2つのモデルとの比較からトレンドのある指標も食んだものにそのま
ま適現することとする。このモデル辻、空閥的(クロスセクション的〉な相関を
伴って時来列的に変動する護数の確率変数の背後には、比較的少数の共通変動要箆
があると想、定し、この共通変重主要国を過して、それらの個々の変数の空間的相関構
および時系列的組関構造が作られているとみる。すなわち、このモデルは形式
的i
こは主成分要随分析の時系列化であり、ぞれによって護雑な多変量時系弼データ
の変動構造を把握するものである。したがって、この場合、いくつかの欄別景気指
標の変動の背後には、景気を含めそれを引き超こした共通の変動要因が砕をすると
の想定の下でそれを抽出する作業を持う
o
定式化は以下のとおりの
今、戸爵の経済変量に対して、その確率的変動が次のモデル、
・+b
rXlt=al+bllF1
p
t
1
pF
t十 … ・
a
(
1
1
)
十b
LXpt=a
p
p
p
F
p
1Ft
p
t
l+一一一十 b
こf
追っているとする。ここで¥
l
a
j :Xitの平均龍
Fj
の第 j共通変動要罷
t :(X!t'" Xp
t)
b!j第 j変動要国 Fj
tが第 i変 数
(
j
ロ 1,…p
)
える影響の大きさを示す
定集数
l
j、共通変
である。観謎可能な確率変数辻左辺の Xt
1のみで、その平均弘、保数 b
動要因 Fjt はすべて蓋接には観~~~不龍である。このモデルは、 p 植の変数の変動の
Ft
jがあると定式化したそデルであるが、実欝には p
背後には p個の
イ闘の変動要因のうち
るものとして辻較的少数の q揺のものを 1
限定する。す
わち、 (
1
1
)のモデルを、
tニム +bllFl
iXl
t十・-… .+b1
司
O
l
t
(
1
2
)
」円け叫士十
十 叫t埼
ただし、必需品肝 l
F
←l
t
+…
t
(
i 1,…p
)
として挑める。ここで Fl
"
'
F
q
t
iまその分散が相対詩に大きな主たる変動撃を悶であ
t"・
ると考える。すなわち、砲のモデルで誌、 p担の変数の変動が、比較的少数の q掴
の共通変動要理 Ft
tで生哉されていることはなり、残りの変動は誤差項ぬ
l.,… Fq
r
1
緊
委
員J
r
J
)計裁について
23
の変動としてヨ替えるおそして各系列の変動の遠いとその相関講造{まこれらの共通要
因に怯存ずる大きさ bjjによって生ずるとみる。実擦には与えられた多変量時系列
データを用いて主成分分析によって
、b
、
j
! Fjtを推定し、そこからその少数の変
aj
動要因 Fitの意味付けを行う。
2
)
式から (
4
)式
実捺の誰定にあたっては、 (
(したがっておな 0) モデルを遠島した
制覇 l
ilJ指標の壊準イヒを行ってから
o
これらの指撲の動きを各変動要認でまとめると、第 1変動要匿で62%、第 2変動
要毘までで89%、第 3変動要因までで95%説明される。
悶 3 MTVモデルによる各変動要因の推移
(凡例:一主義 l変動要;:SJ、一一策 2変動婆悶、
警
高 3変動要因)
ら
3
2
-2
的
3
-4
ω
5
ぞ
-6
-7
4 倒別景気指標と各変動議悶との相関係数
第
1
2
3
4
生産指数
原材料治姿指数
電力使用議
稼働率指数
〈製造業)
投資財出荷指数(除輸送機械)
7 百貨信販売額
8 商業販売額指数
9 経常利益
3
自
1
0
1
1
24 お 木 経 済 研 究 泌2
7,1
9
9
4
.
3
1 I第
‘
。93
0
.
9
号
-0.35
0
.
5
7
‘
。98
-0.63
-0.54
O‘
9
7
G‘
9
9
-0.06
0
.
2
2
0
.
0
3
0
.
8
3
0
.
7
0
0
.
1
9
0
.
6
6
0
.
5
9
0
.
1
3
0
.
0
0
O
.号3
0
.
2
2
0
.
0
8
-0.30
-0.37
0
.
0
8
0
.
2
5
0
.
5
4
0
.
0
3
0
.
1
1
-0.06
図 3をみる限りで辻、最も説明カの高い第 1変動要菌辻トレンドが強い。一方、
第 2変動要霞辻鰭識変動をしている。説明方の小さい第 3変動要因は動きが不壊禁止
である。一方、各変動要悶と各指標の相関関係をみると、やはりトレンドのある指
標と第 1変動製図の栢関が非常に強く、一方トレンドの無い指揮と第 2変動要留と
の相関が強い〈表的 o したがって、第 1変動要患をトレンド成分、第 2変動要躍
を景気成分とすることができょう。
刈臆(19
8
6
) では各変動要器に石室主終的変動講逮(定常 ARMA送車税)を前提にし
ているが、実際の解析(主成分分析二あたっては確窓的変動となる。
2
.
3 状態空間モデルによる愛読
MTVモデルがトレンド成分や景気成分を確定的に記述ふ主成分分析を用いて
陸子規荷量などを手掛かりはそれらの成分を橘よちしたのに対 L、ここでは、各成分
を確率的に記述し、それらが個別禁気指標の変動を引き憩こすメカニズムを明示的
に定式化するものである。具体的には、
K
i
t
a
g
a
w
aa
n
dG
e
r
s
c
h(
19
8
4
) 以下 K
Gモデルとする)で京されたとおり、鵠別景気指標〈季節調整清値〉の変動はトレ
ンド成分、
AR成分〈コ景気成分)、不翼民変動に分解できるものとする。た f
ご
し
、
i
高論文では単一指標の分解であるむまた、状態空間モデルによる禁気分析は S
t
o
c
k
a
n
dWatson(
19
8
8一心、福田 (
1
9
9
1
)、大日 (
1
9
9
2
) で分析されているが、いずれ
も、モデルを適用する前に予め舘別指擦を定書化じている。これ辻、定常時系列、
J
I
指標
非定常時系列を交じえて計概することを避けているためである。錨}J
るトレンドの有無については、
S
t
o
c
ka
n
dWa
出o
n(
1
9
8
8
七)の検定があるがて
本棋の主目的がそもそも C 1や討す Vモデルとの比較のための詑述的統計モデルの
作戒であることから、各掻棋の定常笠の検定等についても謀略し、前出表 2に基づ
き、トレンドのある指標はトレンド成分からの野響を受けていると L、無い指標辻
影響を受けていないという前提で共通トレンド者推定する。
J
I
景気指擦は共通のトレンド成分、
倒}J
AR或分の l次式で表され、そ札らの謀数
;ま異なるものとする。この定式化の理由は、
KGモデノレが単一の時系列変数の分解
モデルを前提とした場合、トレンド成分と AR
成分の舘数がいずれも 1の和の静と
なるが、複数の時系列変数を説明するそデルとしては制約が強すぎて適切な誰定が
できない。
ら、例えば鉱工業生産指数と労散投入指数では前出表 3でみたと
おり、同じトレンドのある指標関士でも持関がそれほど強くないなど、それぞれ独
自の変動をしており、トレンド成分や AR成分から受ける影響辻各指標ごと
「景気J の音│測について
25
明
l
なっていると想定するのが自然であるからである。以上により、観測モデルは以下
のとおり定式化される。
Yn
t=αn 'β~Tt 十円At ート'^1m
告
書
Ym :揺 ]
]
I
J最安1
指標 n
tにおける
Tt :時点 tにおけるトレンド成分
At :時点 tにおける AR成分
Wnt:個別景紙指標 nの時点 tにお吟る観測ノイズ
α'
n
,s
n,Y
n
:倒別景気指壊れの定係数
KGモテつレでは βnニ
ニγ
ηニ
ニ lとしている o
トレンド成分誌次式で定式イとされる(2次の例入
(
1
毒
Tt 2*
Tt-1一
十
Vtt,Vtt- N(
0,τ
iZ)i
.i
.d
.
AI
ミ成分は次式で定式イヒされる(2次の例)。
(
1
5
)
At二 PalAtペ 十 Pa
Z十 Va
0,7
:
)
i•i
.d
.
2At
t- N (
t,Va
a2
(m次〉と AI
ミ成分担次〉を状態ベクトルとする状態空関
トレンド
モデルを作成すると、以下がシステムモデlレとなる。
l
I
…
Pt
m
At
Tt
-m
n
Pa
l
At-l
り
十
o1
.
V
a
t
1O
1 1 Jし
o0
これに概説モデルを加えると、以下の状態控関モテワレが得らtLる C
(
1
6
)
Xt二 FX
ト 1十 GV
t
(
m
十 Ut
Yt HX
t
つlili----J
ril--iiilllL
a
vtv
一
一
v
d
hunu
hliijnk
N
fiiiiiiiii
し
寸iiilili-1}
‘Y邑
v
rill--liiiiL
vu
︽
γ
υ
H︽口ひv
υ
兵
R向
n
26 B本級機研究!'ln27.
1
9
9
4
.
3
︽
戸
%
怯
υ
υ
ハ
ハり︽
υ
口 A U
﹁jjijil--L
一
一
H
muα
b
A州
ただし、
Tt
ヲ-
σユ
jliiijillJ
ラム句・
同町
一
⋮
R
﹁iiliiiliiL
。丸州
市町
At
﹁iiiiiiliiL
+1
W1
I
!
と
で
一
一
ハ
Xtニ
At
叶 十1
1
である。
斉構議変化をトレンドのキンクとして表すことが
このモデルの特徴の 1つに、経j
できる点がある o T
a
k
e
u
c
h
i(
19
91)によ札ば、実質 GDP等の経済時系列変数に
対するチャウテストの結果によると、講造変化は通常考えられている第 1次石油危
5
年嘆の可能 肢があることが指摘されている。
機前後より前の躍和 4
d
このモデルでは、具体的にはトレンドのシステムノイズの分数値のがを 2とお
り設け、気22故経清講造の変化により、トレンドのキンクを引き起こすぜで、あり、
それ以外の通期では τh2 (
<
τt
'
l
) であるとする ο
実際の推定にあたっては、 1
1
植の個別景荒指擦のうち、掠{髄率指数、百繋属競売
額、商業販売額指数、有効求人倍率の 4舗の指標については、定義上トレンドがな
いものとし、 β=0としてある。また、モデルめ解の安定のため、
l番目の鉱工業
.0と基準化しである o
生産指数については、 βエ γ =1
以上の状態空間モデルにおいて、 h
y
p
e
r
p
a
r
a
m
e
t
e
r(
= ぴ1
2,
τ
日
,τ ,
τ
'
a2,
Pa
1- Pan,
t
為
βJ,γ120 とだし、 i=l-11、jニ 1-11、k 2,
3,
5,
6,
9,1
0
、1
=21
1
) をヌラ
に
)ズム奇適用し、
ルマン・フィルターのアルゴ 1
AIC最適化の下で解くて ARの次
y
p
e
r
p
a
r
a
m
e
t
e
r土
,4
3
憾となる。
数が 2の時、 h
データは M T Vモデルと同様、 トレンドのある指標については自然対数、 トレン
ドの無い指標についてはそのまま(お-(引に基づいて棲準イとしたものを患いた。
レを解くためには、ヨ)Pa1- Panを除く h
y
p
e
r
p
a
r
a
m
e
t
e
rの初期盤、
ここで、モテ、y
恐トレンド、
ARの次数及び、 Pa1- Panの初期イ直、 C
I
Dトレンドのキンク欝所につい
て予め設定しなくてはならない。
解析方法としては、舎から舎のあらゆる組み合わせを考謹して最遠鏡を求めるこ
とがベストだと認、われるが、計算機の能力もあり、舎から嬬に構別に設定し求めて
「景気」の計測について
27
いくこととした(推定結果は表日。
具体的には、①については、
を参考にいくつか設定してみ
表 5 状態安調モデル(!)推定結果
AIC
号.
8
1
5
9
5
1
6
総1
0毛
トレンド(1)慾きをきぞ委主
2
き
襲
ラ
議
後
者
護 5(
1
)
究
室
委
主
A!
ミ
乙
芝
5
夜
s
Z
芝?
AR1
1
.5
4
1
AR2
トンンドの以テムノイズの分散イ韮:
τt1
2
0
.
6
6
8
家1
0
.
9
57
0
'
2
rt
z'2
0
.
9
6
0本10"も
ARの
シ7
,
'
i
Lノイズの分数儀
r.
嫌気f
語
草
壁 lの線側ノイズの分散f
直
σ"
0
.
1
0
0
*
1
0
"
0
.
8
1
9
*
1
0
'も
σ"
σ3'
0
.
8
4
3
本1
0
'•
0
.
8
0
9
*
1
0問金
σ.'
本1
0→
0
.
8
9
7
σ5'
司
。3
8
5
*
1
0
'
3
a"
a;2
0
.
6
1
9
*
1
0
"
仏6
8
7
ま1
0
'
<
σ"
a,
‘
(
J1
02
0
.
6
9
5
*
1
0
'
<
0
.
9
1
9
本1
0
'
<
"
2
バ
y
グ
?
告
告
1
0
1
1
三
議
ラ
筑
?
筆
者
撃 iめ
ま
を
童
文
a1
12
a,
"
0
.
8
1
1
*
1
0→
5
玄1
0
'金
ふ
き0
0
.
0
0
8
0
9
a,
き
a,
i
合
a1
0
α11
1
1
雪
量
ま
託
子
盤
機 2のトレン}の係数
。
1
0
。
景気指綴 2のA没の係数
0.10
0.08
Go06
0.04
。
.
0
2
。
.00
0.02
O.O'
-0.06
-0.08
o
.In
-0.!♀
28 日本経済研究 No.27.1994.3
0
.
6
7
2
2
6
0
.
8
5
1
6
0
O.869U
0
.
8
6
3
5
8
4
γ4
2
.
9
2
2
2
5
5
γ5
2
.5
9
5
0
6
?
γ?
意
r,
0
.
0
1
3
1
8
告
T
生0
0
4
2
9
1
0
.
11
0
r
.
0
.
0
0
7
8ょ
1
1
r1
1
関 4 状態空間モデルによる最気成分の推移
O.14
0
.
8
7
2
7
8
1
.6C53
備古宮}ま愛費支後者懇 1にかかるトレンド成分及びAR成分の係数は予め1.0としている。
0.12
0
.
0
1
5
1
5
。.
7
8
8
2
1
.
o79~48
2
乙
Q
.
00
4
0
1
0
.
1
1
0
4
4
5
γ3
γa
Q
0
.
0
0
7
0
1
D
.
0
07
4
5
0
.
0
07
6
1
γ2
,
IX
《
芝
‘
。 16
,
3
(
,
3
(
,
3
(
,
3
(
,
3
(
(
3
"
0
.
0
0
4
6
1
,
*3とおり行った。その際、
また、寄について辻、最高 3次までで¥合計 3
Pa
a
nについて辻、定常条イ牛舎満たす初期植を設け、また、解が安定するよう
1-P
に、パワースベクトルのピークが 1紫気稽環の王子均期間の 4-6年前後にくるよ
a
k
e
u
c
h
i(
19
91)のチャウテストによ
うに縦約金かけた。最後に φについては、てr
きまえ、昭和 4
5年 I期 -49
年I
V
懇の関を探索してみ
る検証結果を 2
)
捧られた A R成分は過去の景気の山谷に概ね一致している(図 4。
I期となり、キンクを入れない
トレンドのキンク筒所は AIC基準から昭和お年 I
モデルよりも AIC詰小さくなった。これは VARモデルはよる構議変化時点が昭
5年とした花坂(19
9
3
)
和4
とも概ね合致している O
3
. 3つの手法の比較
3
.
1 基本的考え方の相瀦
3つの手法はいずれも、 トレンド成分と景気成分を明らかにするモデルで i
まある
が、基本的考え方が異なっている o すなわち、そもそも経済f
本来を確定的に記述す
と、離率的に
る
る立場があり、 C 1や M T Vモデルは、前者の立場をと
り、確定的トレンド成分や紫雲ミ或分を仮定する一方、状態窓際モデルはそれらを確
率的に考えている。
また、このことと
るが、各成分抽出の方法を技術的にみると、 C1は繍 J
J
I
J
景気議擦の変動からそれらの平均的な変動としての景受完成分やトレン下成分を抽出
するモデルであるのに対し、状態空間モデルは景気成分やトレンド成分を予め確率
的要素を合んだ形で定式北し姻別嫌気指壌の変動自体を説明するモデルとなってい
る
。 M T Vモデルはその中間で、各成分の定式化を明示的にしていることから状態
空需モデルと近いものの、各成分
を含ま
また、実際の推定にあ
たっては、主成分分折という饗器抽出手法を用いている c
3
.
2 得られた景気或分と実体経済との盤合性
得られた「紫気の客機的把撮J の三菱ましさについて辻較するには、
「把撞された
景長J そのもののパフォーマンスをみることが必要である。ところが、その
気J ま
, fGDPO%上 昇j というような実体的な意味をもっていなし凡そこで、 3
つの手法を比較するために、鉱工議生産指数の変動を引き起こす禁委主成分をみてみ
ると
、概ね似た動きを恭している(関日。これは、
トレンド成分からの主主離率
「繁気」の雪1
おi
について 29
鑓5
3つの手法による景気成分の推移
(凡例: 一次,毛主空間二世ザケレ、----C 1、
0_175
MTVモデル)
・
、
-QVll
4
器
移9
,
伊
島
,
0.150
.
Q.125
々
、
,
号
o
.tOO
0
邑 _075
0.050
、
‘
'
‘
宅
,
包
望.
0.02ち
亀号
.
a
.
'
、ゐ守
,
,
,
‘
宅.
0.000
.
-0.025
-0.050
む .075
-0.100
ー0.125
・担“
150 i
俗語繍 175
(
若
手
)
表 6 愛気の水準のI
J
陵位
谷(低い 1
)
臨)
UJ(おい順)
A B CiD E
A BIC D!E
昭和必年 I
V
期
@
4 2 3I
昭和 4
5年:延期
1 3 2 1 2
2 1 l 2 1
6 6 6i 6
!
!
4
8年 I
V
期
1 5
φ 3
I
!
5
2年 I期 . 6 i 6 品 6 6
5
2年 I
V期
2 1
3 2
1
1
5
5若
手 I期
3 4i 4 3 4
5
8
年 I期
3 3CD 2 4
"6
0
年I
I期
5I
5 5i 5 5
平成 3年 I
I期
4 2 I3 4 i3
年I
V裏
話
"4
6
品
"5
0年 I類
!
!
!
!
"6
1年 I
V
鶏
官憲考) 1
.
5 i4
@
4
:
>
A=霊長遣を多量稼働率指数、 B間有効求人倍率(除く:学卒}、 C=C1による策気、
D=MTVモデんによる望号気、 E=主主慈空間モデルによる景気
2
. 0はAとB
(
/
)王子主今後からの治離が 2ポイント以上の順位
とみることができる。錦之ば、平成 5年目i
期の C1による
.
l
r
.17%
程度で
ある。 これは、 日本経読め実力に対}定、した誌工業生産指数のトレンドの水準に対し
まいことを
て17%もf
している c
このように、
に個別禁筑指標との関銀を明示的に取り入れることにより
意味を付与することになり、実体経済と
は
、 さら
それぞれの
示された景気の山谷の稿度の長
30 B本経済研究 No
.
2
7,
1
告9
4
.
3
を検討することができる。 ここで込
のどれが適号かの判断を下す材料として、題 5で
しの順番をつけ、 どのモデルが譲歩Jな順番をつ
けているか検討する。
0年以降、景気の山谷はそれぞ紅 6間ずつある
「景気基準日付j によると、昭和 4
が(前出表1)、景気力水準に序列をつけてみる(表 6)。どの指標をみても一致し
ていえることは、①令子で廿 S
喜和 4
6
年I
V
懇の水準が最も高い、争山では昭和 5
2年 I期
の山の水準か、最も鑑く、ついで昭和 6
0年 I
I鶏の山であることである。それ以外の l
臆
世については、かなり拭らつきがある。さらに詳しくみるために、ここで、は罷宜的
に、生産の基本要素である資本と労働の稼動率 l
こ近い製造業譲働率指数と有鶏求人
倍率による!眠f
立の平均からの議離が 2ポイント以上の時点を調べると、出について
は、いずれの手法もクリアーされているが、谷についてはかなり粟離がみられる。
0
年I
V
類
、 4
6
年I
V
期を除いて 1
)
震位がき民離している。一方、現 T V
まず、 C 1は昭和 4
モデルについては、昭和的年I
V
期と 5
0
年 I期が主主離している。状態空間モデルは昭
和4
0
年I
V
期のみ飛車整している。したがって、景気成分の実体経祷との関係を序数性
を中心としてみる操り、 C 1はやや実体経清と支障離しており、担 T Vモデルと状態
空間モデル:土器ぽ関等ということがいえる。
3
.
3 トレンド成分の比較
一方、間樺に鉱工業生産指数に対するトレンド成分の成長室経をみると(閲 6)、
5年江期を墳にそれ以前の 13.5%から 5%へ急速に低下し
状態空間モデルでは昭和 4
ている。一方、 C1によるトレンド成長率は景気錆績に概ね対応、して変動しており、
関 6 3つの手法によるトレンド成分の年率成長案の推移
(凡例:一状態空間モテ〉人一一 C 1、
…
‘ M T Vモデル〕
r
j
景気J の計測について
31
平成 5年 I
I
I期では企 3%程度まで低下している。一方M T Vモデルでは、
トレンド
成長率はノイズのように短期で大きな変動を示している。
こうしたことが生じたのは、そもそも各モデルにおけるトレンド成分の意味が異
なるからで、これのみをもって良し悪しを単純に比較することはできない。した
がって、ここでは、あくまで便宜的に、総体的経済活動のトレンドの一般的イメー
ジとの比較で済ませる。例えば GDPのトレンドを生産関数により計測した場合、
ある程度景気変動に対応しつつ緩やかに変動している、というのが一般的な姿であ
る
。
したがって、 M T Vモデルにおけるトレンド成分の動きはこのままでは、実体経
済とは事離している、とここでは判断せざるを得ない。
以上のように、 3つの手法による「景気の客観的把握」の望ましさについて比較
するには、
「把握された景気」そのもののパフォーマンスをみるのは当然であるが、
それと個々の景気指標との関係を検討することも必要である。 3つの手法の基本的
考え方が異なるので、厳密な意味での比較はできないが、最も理論的に明確な状態
空間モデルのフレームワーク、すなわち、
「個々の景気指標の変動は共通するトレ
ンド成分と景気成分によって生じている」という前提で比較することにより、一定
表7
トレンド成分及び景気成分の係数
トレンド成分の係数
景気成分の係数
個別指標名
C1
MTV
状態空間
C1
状態空間
1.生産指数(鉱工業)
8
4
0
3
1
.0
1
.0
0
0
0
0
0
.
1
9
5
7
3
2
. 原材料消費指数(製造業)
1
.0
0
8
4
7
0
.
7
8
8
2
1
0
.
2
0
1
3
1
1
.6
4
1
5
3
3
. 電力使用量
1
.0
2
8
1
3
0
.
8
7
2
7
8
0
.
0
7
4
4
7
0
.
7
9
1
4
8
0
.
9
2
4
0
5
2
.
9
2
2
2
5
5.労働投入量指数(製造業)
1
.0
0
3
2
6
0
.
6
7
2
2
6
0
.
8
2
2
3
3
2
.
5
9
5
0
6
6
. 投資財出荷指数(除輸送機械)
0
1
7
6
1
.1
0
.
8
5
1
6
0
0
.
2
5
0
8
2
1
.0
6
4
4
9
0
.
7
3
1
1
3
2
.
2
7
1
0
9
4.稼働率指数(製造業)
7.百貨庖販売額
8
. 商業販売額指数(餌7
売業)
1
.0
0
0
0
0
0
.
6
3
1
5
7
2
.
5
4
5
8
9
9
. 経常利益(全産業)
0
3
8
7
1
.1
0
.
8
6
9
2
4
0
.
2
7
3
5
8
0
.
9
6
6
4
5
1
0
. 中小企業売上高(製造業)
1
7
3
4
1
.0
0
.
8
6
3
5
8
0
.
0
7
8
1
4
1.有効求人倍率(除学卒)
1
0
.
6
4
0
3
6
0
.
9
4
4
1
6
0
.
5
4
1
4
5
3
.
1
5
2
6
2
備考) 1
. C Iについては、個別景気指標をトレンド成分、景気成分を説明変数とする回帰モデルで推計した。
2
. M T Vモデルについては、 n番目の景気指標のトレンド成分の係数は 式の bn1、景気成分については
bn2である。
3
. 状態空間モデルではトレンド成分の係数は (
1
3
)
式の A、景気成分は Y
nで与ある。ただし、鉱工業生産指数の
トレンド成分及ぴ景気成分の係数は予め1.0としている。
ω
32 日本経済研究 N
o
.
2
7,
1
9
9
4
.
3
の合意をみいだすことは可能である。
3つの手法のいずれも、構々の景気指壊はトレンド成分と景荒成分から影響を
げているわけであるが、まずその影響変を比較してみる(表7)。モデルが異なる
ので影響護車体を定量的に比較することはできないことの他に、 M T Vモデルがト
レンドの無い指標についてもトレンド成分の影響を受けているという定式化になっ
ているので、この点について割り引いて考議しなくてはならないが 、紫気成分の
中小企業売上高への影響度など一部を除いて、
トレンド完走分及び繁気成分いずれも、
立ている。
各モデルの簡で各個封景気指標期の保数のパタ…ンはf
さらに、 3つの手法の特設を検討するため、掴別措壌に対する説明カを比較する。
揺 7 鉱工業生産指数と 3つ(
J
)手法による推計値の推移
(凡例:一実緩、一一叩状態設問モデル、…
C 1,… -MTVモテツレ}
4.8
4.O
4.4
4.2
4.0
3 8
場
3 6
ぬ
3_4
3.2
3.0
2.8
(年)
認 8 鉱工業生産指数と 3つの手法によるトレンド成分の推移
〈凡例: 一実繍、…._~夫慾空間モラブ jレ、
一
C 1、“ャ-Y.T Vニモデノレ)
4.8
4.φ
4.4
4.2
4
自
3.8
3 6
場
3.4
3.2
3.0
2.8
f景気 J
の計測について 33
き
タイルの不一致係数
C1
個別指標名
1.生産指数(鉱工業)
2
. 原 材 料i
商事号指数
3
.
4
. 稼働率指数
5
. 労働投入量指数(製造業)
6
. 投資財出荷指数(徐輸送機械)
7‘百貨}定版発額
s
9
. 経常利主主(全産業)
1
0
. 中小企業売上高
1
1.有効求人倍率
備考)じ[~ (
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6
‘
A :実績値、 P:後A:鐙
1
1
個の指標のやから、最も代畿約な指標である誌工業生態指数についてみてみた。
呉{本的には、実護f
重に対する推計{裏付レンド成分十景気成分)
力及ぴトレ
ンド成分の特徴を比較してみた。
ITVモデルのフィットがよい(国7)0 また、
モデ/レの説明力自体は:Y
トレンド
誌概述の通り、状態空調モデルは語らかであるが、 C1では景気変動に近い変動を
し
、 M T Vモデルではノイズのように小刻みな変動が激しい(図的合説明力
度を定量約にみるために、タイノレの不一致藻数をみると、 M T Vモデルが最も一致
)。
震は潟く、 C1と状態空間モデルは間程度のものとなっている(表 8
しかしながら、フィットのよいことが、浦切なモデルの器準だと必ずしもいえな
いことは、算定述のとおりである。
4
. まとめ
以上、本稿は 3つの手法をトレンドのある指壊と無い指標が交じった問ーの指諜
群に適用し、 3つの手法の特設を整壊しつつ、得られたトレンド成分や景気成分の
比較検討をしてき
C 1や M T Vモデルがトレンド或分や紫執成分を確定豹変動
としてモデル化し、状態空襲モデルが確率的変動としてモデル犯しているという大
きな相違がみられ、また、いずれのモデルも長短訴を手ぎしている
9)ものの、
結論としては、記述治統計モデ、ルとしての的確性や実体経落との関様を総合的に
34 日 本 経 淡 研 究 恥 2
7,
1
9
9
4
.
3
表9
3つの手法の長経訴の比較
;
C1
長 所
(
な j体系が王子芸事。また、携計期
いし前期渓)を標準f
と・統│潤の変廷によっても過去に
合し、合成変叱主容を求め、 │遡って変獲されない。指標
1 の入替えによって過去の景
基準年において指数化。
気成分が大幅に変更される
ことは少ない。
特定の理論モデルが前提と 推計期穏の変更によっても
なっている。安定した推定 過去に還って変獲される。
結果が得られる。トレンド トレンド成分の変動が激し
成分と
く実体経済と議離している。
の変動がほとんど説明され
る
。
MTV
最も汎用的な漣諭そう刊しが モデルの体系が複雑で、推
し
、
それら
計期間の変更や佃別指標の
るト 前提となっている。
レンド成分、 A R成分から 造の変化をトレンドのキン 入替えで、それま
状態空間
なるとす
デル クとして扱うことがで祭る が変更される可能性がある。
を設定し、 AI
モデルの評価基準 (A1C
など)カ£ある。
適モデルを求める。
{践すると、法蓮空間モデルが龍の手法に比べて望ましい手法である。
本稿では f
色のモ
検討を省略して、
との比較から、揺 E
目指標の定常性の有都等についての離窃な
モデル(多変量の K Gモデル)を適用したが、状態空間
モデルは時系列分析に広く瀧用的なモデルであり、求められる実体経済との適合性
や統計的最密性の要請に対してその適用可能性が高いモデルといえ、また、そ
繍基準を AICなどにより暁雑化できることが大きな長所となっている。供之江、
本務で i
之、状態空欝ベクトルジコ中のトレンド成分のシステムノイズが、経事構造変
イとによる分散講造の変化により、
トレンドのキンクを
テフレを暁らかにし
また、本稿で辻、 G
a
u
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s
i
a
nn
o
i
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eを前提にしているが、 Kitagawa (
19
8
7
)の
ように、 nonG
a
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s
i
a
nn
o
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s
eへのモデルの拡張も可能である。
いずれにしても、状態空間モデルの最大の特徴は、得られたモデルが実体経済と
の対応関係等で改善余地が生じ
こより AIC等が改善
定式化を変えること i
されるかどうかを検討し、より
デルを作或していくという通寝が明確であ
ることであり、今後の進農が新持されるところである。
r
i
査
委
主J の計測について 35
注釈
本誌レブエリーより適切なコメントをいただき惑謝いたします。本格における誤り
のものであり、また本稿は個人詫見解であり、経済全盛庁等の見解ではありません。
なお、異なる 3つのモデルを統一的に記述したため、各モデルの説明が不充分と思われます。
各モデルの詳総については原典を参照して下ざい。
1)
ょこの辺りの議論はやや正確さを欠いている
に深く関わっている。すなわち、
r
過半数 J の理由は本来は、景気循環の
立、上界的運動が全般に行き渡っているが、な
「景気循環 i
お多くの活動は下降的な過程を示しており、また遂に、下降的運動が支配約ではあるが、な
お多くの活動は上昇的過程にある、というような事態から成り立っている J (問原 Q鉛 3
)
)
のであり、上昇的運動よりも下降民意義動カぎ穏対的にみて支配的(過半数}になった時点が繁
気の転換点(山)となるのである。
2) むろん、現在、景気動向指数に採用されている個別禁気指擦について、選定にあたっての
基準はある。それは、経済的重要性や統計的充足性等であるが、いずれも、客緩的・定義的
3)
単位根検定等の厳密な検定はしていない。表 2の備考参照。
4) 対稔変化さ容をとる理由は次のとおりである。例えば、ある変数が、 1
0
0、 5
0、 1
0
0、5むと推
.
.
5
0
%、200%、 "'50%となり委主体変動の動きと呉なっ
移したとすると、前期比をとると、 .
.
.
6
7
%と改善される。
たものとなる。これを対称変化率にすると、企 67%、軒先、 .
5
)
トレンドのある指標については、自然対数をとり、 トレンドの無い指標についてはそのま
ま標準化した。標準化して計測するので、 a
jは実際は Oになる。
6)
この検定では、共逸するトレンド成分を線型独立な共和分ベクトルとし、その数を検出す
る方法を提案しているが、通常の共和分検定と同様に、 トレンド成分そのものを抽出するモ
デノしとなっていない。
7)
力ノレマンフィノレターの適用例については、演松・浪花(19
9
0
) を参郷、されたい。
的
経済時系列の変動の状態窓関モデルによる分解の不安宏伎については、複田 (
1
9
9
3
)
照2
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2次の A Rモテデやルをを?考えると、 AI
及
之
(2)
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、 λ を周波数とすると、 f(λ)= O2
n
本
[1 十ム 2~φ2 2 - 2φ1
(
1 φ2)COSλ-2φ2COS2λ] }。したがって、周波数えの時にパワ叩スベクトノレがピークに
なる時、 C
O
S
λニ φ
1(φ2-1)/仏本め)となる。本穏では、解の安定牲を満たすため
成分の罵期が 4若
手 (
1
6四半期}から
s年
(
2
4白半期)という条件をつけている n したがって、
c
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2だ /16<cosλ<cos2π/24 という縦約式を設けている。
1
0
)
北坂(19
9
3
) では、実紫 GNP、 G N Pデフレー夕、 M 2十 C D、コールレートの 4変数
で VARモデルを作iJ, S
i
r
n
sの尤度比検定をもとに計測している。
1
1
)
説明が前後するが、この雪量気成分の求め方 i
立、共通の景気成分〈時系列データ)に表?の
36 B本まま詰等級究 N
o
.
2
7,1
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9
43
犠
係数合粂じたもので、鉱工業生産指数の水準を苦寄与度分解し
に対応
したものヤある。
1
2
)
MTVモデんの解法は本稿{ないしメ苦慮(19
8
6
))で取り上げた主成分分析法以外にも最
尤法などもあり、理論約には係、数量J
I
約条件 4
をつけて最尤法で解くことは可能と i
d
昔、われるが、
去のよう
直交する婆践を取りあす主成分分析i
した解を得るには他に条件をいかに合潔
的に付与するかが問題となる。
参考文敏
2
彩
大 E康史(19
9
2
) rお詩文における確率的景気指数の開発J問志社大学経済学会
4
5
巻第 1号
メIj屋武昭(19
8
6
)
え方と実際J
一一一一一 (
1
9
9
0
) rStock=Watsonのモデル論的景気分析法J
北川源四郎 (
1
9
8
6
)
の分解J
統計数理』
とサイク }V~ 景気循環学会
2号
一一一一一一一 (
1
9
9
3
)
北坂真一(19
9
3
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おける構造変花と
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J Vo1
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4,NO.2
経済全員!T(1鈴3
)
経済変動観減資料年報3 大蔵省印尉局
)
田原昭西(1錦 3
浪花貞夫(1閉め
と日本経済 J 東洋経済新報社
第 4巻第 4号
「経済時系列におけるトレンドの推定 J
!糞松毅・浪花貞夫 (
1
9
9
0
)
経済時系列分析』朝倉害届
福田公正(19
91
)
経済企画協会 WESPJ1
1月号
(
19
9
3
) r
状態安閉そう灼レによる実質 GDP
計量経済学コンブァラン
ス{一橋大学経済研究所)
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Jヱド拓 (
19
8
8
)
G
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童詩文字土
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.(1985)TimeSeriesModels,PhilipA1!en. (邦訳「時系列モデル入門』国友直入・
山本拓訳、東京大学出版会)
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