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流通実態(PDF:349KB)

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流通実態(PDF:349KB)
2. 流通実態 (1) 概況 a 流通チェーンの構造 流通チェーンの川上に位置する生産者の多くは、中国かドイツ国内の生産者だが、オ
ランダ、ポーランド、フランスやその他からの供給もある( 図1 )。 図1 ドイツの乾しいたけの流通経路 乾しいたけの
生産者
中国、オランダ、ポー
ドイツ
ランド
(安価だが信頼性があ
医薬品
料理用
加工業者/カプセ
卸売業者
食品材料
輸入物と同じ
加工食品
ル業者
健康食品の添
加物業者
健康食品店
ホメオパシー
小売店
レストラン
医
アジア系/チェー
アジアン/ドイツ
乾しいたけのサプライヤーは、最終的な用途によって決まってくる。 料理用の乾しいたけについては、一般的に卸売業者が中間に入り、顧客の要望に基づ
いて商品を調達し、小売チェーンやスーパーマーケットに販売する。彼らはより小規模
なアジア系の食材店やスーパーにも販売する。 こうした流通機構は強固であり、サプライヤーの部分が変わっても構造そのものの変
化は望めないであろう。ここでは、価格が何より重要な要素である。 「この14年間で流通構造はほとんど変わっていない。今後もそうだろう。供給者では、
243
将来的にベトナムの地位は向上するだろう。」
(輸入業者) 医薬品用途においては、乾しいたけは、まず原材料として加工業者に行く。加工業者
が、それを粉末やカプセルにする。 カプセル化されたしいたけ粉末が、中国やオランダから輸入される可能性はあるが、
われわれがチェックしたサンプルの中では発見できなかった。カプセルにする場合、価
格よりも品質が重要となってくる。 加工食品材料としてしいたけを用いる場合、大部分はヨーロッパ全土から 2 つの大加
工業者(ユニリーバとネスレ)向けに集められ、特にソース製造用に使用される。加工
向けでは、しいたけに限らず、必要な品質水準をクリアした中で最も安価なものが購入
される。 流通チェーンの今後 b
料理用及び加工食品原料に関しては、今後もドイツの乾しいたけの流通チェーンに大
きな変化は無いものと思われる。ここでは、重視されるのは価格である。 輸入業者は、取引形態や輸出国により競争力に大きな影響が出るほどの差が無ければ、
最安値をつけるところで求めるということである。 われわれの調査でも、今のところ競争は「栽培の質」によって決まっており、生産国
による差は小さいといえる。ヒアリング先で、日本産しいたけは品質が異なるとすると
ころあったが、この見方は必ずしも肯定的に受けとられている訳ではない。 「味という面での差はある。日本産は日本人に好まれる濃厚な味がする。しかし、これ
がヨーロッパ人の味覚に馴染むというわけではない。中国産はよりマイルドな味で、ヨ
ーロッパの味に近い。」
(スペシャリティ食品輸入業者) しかし、将来的に医薬品需要が伸びれば、日本産乾しいたけとって好材料になるとい
える。 現在のところ、乾しいたけはドイツか中国産のものを使ったほうが安価ですむと思わ
れている。しかし、健康食品へ添加する場合、価格はそれほど重要ではない。中国産の
ものよりも日本産の薬効が高いと証明されれば、健康志向の強い消費者は、より高くて
も日本産を求めるだろう。また、医薬品関連の業者も、より利潤が見込める日本産を選
244
ぶとみられる。 しかし、現状では、健康効果の面から、日本産の乾しいたけが中国やヨーロッパ産と
比べて明確な優位性があるとは思われていない。 (2)
関税と輸入制度 a 関税と諸コスト ドイツは EU 共通市場の一部であるため、EU 外の先進国(日本を含む)からの輸入に
は共通関税が適用される。一方、途上国からの一部の輸入品と農産物には特別措置がと
られている。 ドイツのほとんどの関税は従価制(%)で、GATT の評価規定(CIF 価格に近い)に基
づいている。EU 圏内の国からの製品は関税がかからないが、日本の製品には関税と、
高い輸送運賃が必要となってくる。 ヨーロッパへの輸出を行なう際にはまず、輸出先での税関手続きに必要な、拘束的関
税分類情報(BTI:Binding Tariff Information)を取得しなければならない。BTI の取得は無
料で、それによって税関手続きや消費税についての双方に対立がないことを証明するも
のである。 積荷がドイツに到着してからも様々なコストが発生する。その大部分は輸入及び輸送
業者が負担するが、輸出価格の算定の際に考慮する必要がある。諸コストに含まれるも
のとしては、以下のようなものがある。
・輸入関税については、乾しいたけには EU の関税カテゴリーCN07123100 が適用される。
「乾燥野菜で丸ごと、カット、スライス、細かく砕かれるか粉末状のもの(これ以上
の加工は含まれない)、きのこ、きくらげ、膠質菌(Jelly fungi)、トリュフ」がこれに
該当し、日本からの輸出には 12.8%の関税が課される。 ・最近の輸入・卸売取引では、直接取引による流通費用の削減が可能である。 ・ディスカウト店の利幅は最大 10%まで。 ・スーパーマーケットの利幅は最大 30%まで。 ・スーパーマーケットや小売チェーン店で新たに販売する際の販売促進費。 245
・基礎的な食料品には 7%の付加価値税がかかる。ドイツの税関手続きは EU とドイツ
連邦共和国の法律により管理されている。細かな手続きの規定を除き、EU の関税
法は EU 加盟国を法的に拘束する関税規定の形で、完全に一致している。EU 圏内で
の財の取引には、関税は一切かからない。 EU は季節的に輸入関税を増減させることによって域内市場を保護している。10 月か
ら 4 月にかけては 0.5%~6%の増税となる。生鮮品の輸入関税は種類、保存方法、包装
方法、輸入先によって変わる。 ドイツ連邦共和国に輸入される製品には付加価値税が課せられる。農産物の場合は
(きのこを含む)7%、ほとんどの工業製品の場合は 16%の税率が課税される。ただし、
VAT には免除ルールがあり、サンプルや標本製品、広告材料、そして一時的に輸入され
る商品(たとえば催事の展示品)は課税されない。 輸入制度等 b
植物や植物に由来するものの輸入には、EU の植物検疫の規制があり、ヨーロッパや
ドイツが輸入を受け入れるためには、植物検疫証明書が必要になる。全ての積荷に、検
査証明書の添付が必要となる。 輸出業者は、出荷前にドイツの代理人・輸入業者にまず確認すべきであろう。 ドイツの青果物の製品規格は、EU の輸入規制により管理されている。 EU による市場統一政策により、
(日本のような EU 圏外の)第三国からの輸入で通関
手続きが必要となるのは、最初の EU 圏内への通関(ブレーマーハーフェン港や、ハン
ブルグ空港、フランクフルト空港等)だけである。 EU の非遺伝子組み換え(GM)食品に関する指令は、1998 年 10 月に施行された。
「非
GM」ラベルは、原材料が全て遺伝子組み換え生物を含まない製品であることを証明す
るものである。ドイツの小売業者は、売り場から GM 食品を排除し始めている。 ラベリング、包装、品質やその他の要素に関する仕様は、製品の種類や状態、最終消
費、
輸入業者や消費者の個別の要求により様々である。EU では、できれば標準的な EURO‐ pallets サイズに合わせたパッケージが好ましい。小売店向けの典型的なトラックの場合、
1 台で 24~26 パレットを運ぶことができる。 246
ドイツの輸入業者は正確な仕様を変更したがらないし、EU・ドイツの標準に従うよう
に要求してくるだろう。正確な仕様を、輸入業者から直接手に入れるべきである。 (3)
貿易と輸入障壁・規制 日本産乾しいたけに対する輸入関税や規制は、他国産からの輸入と同じであるが、輸
入規制そのものは強いといえる。 「ヨーロッパの規制はとても強力である。多くの規則や規制がある。遺伝子組み換え、
アレルゲンのリスト、サルモネラ菌検査にはとてもお金がかかる。
」 「地区の獣医局は、とても要求が厳しく厳格だ。金額の制限もあり、毎回全ての輸入品
は獣医局に管理される。それに通関手数料も払わなくてはいけない。
」
(アジア・スペシ
ャリティ食品輸入業者) 漢方薬に関してはさらに管理が強くなされている。そのため、しいたけカプセルの加
工業者が扱うことが多い。 「これらの商品は、カプセル加工業者が扱っているものだ。しいたけの生産から粉末の
パック詰めまで業者が管理を行っている。
」 「これは全ての商品にいえることだが、特に医薬品用に関しては認可を受けた研究所で
分析を行わなければならない。
」(代替医薬品カタログ販売業者) さらに、当局はときどき抜打ちで残留農薬に対するチェックやサンプル採取を行って
いる。この調査は、流通チェーン内のどの分野でも行われる。ドイツ国内では、加工前
であっても、倉庫内や加工工程内であっても行なわれる。生のものも加工品も、分析の
ために採取される。 残留農薬検査は、認可を受けた研究所で行われ、合格したものには証明書が発行され
る。医薬品用に関しては、加工業者と品質だけでなく残留農薬に関する契約も結ぶのが
通常である。契約は加工業者と小売業者、もしくは加工業者とカタログ販売業者との間
で主に結ばれる。 247
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