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講演資料 - 日本エネルギー学会

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講演資料 - 日本エネルギー学会
廃棄物焼却施設における
セシウムの挙動
日本エネルギー学会 リサイクル部会
― 災害廃棄物処理の現状と放射性セシウム処理の課題 ―
平成24年10月15日
於:(独)産業技術総合研究所 臨海副都心研究センター別館11階
京都大学大学院工学研究科
都市環境工学専攻 高岡昌輝
1
本日の内容
放射性物質を含む廃棄物(一般廃棄物,下水汚泥)
 焼却処理時のセシウムの挙動
 焼却残渣中セシウムの挙動/不溶化

2
3.11前に廃棄物の基準はあった?
廃棄物処理法では、「廃棄物は放射性物質及びこ
れにより汚染されたものを除く」
 産業廃棄物:チタン鉱石問題
 U:30-110Bq/kg, Th:17-192Bq/kg
 平成3年6月、科技庁、厚生省、通産省、労働省の4
省庁が処理方針をまとめ、関係自治体やメーカーに
通知(4省庁通知)を出し、「廃棄物の空間放射線量
率が1時間当たり0.14マイクログレイ以下に限り、
放射線を測定、記録したうえで工場外に搬出できる」
との基準

3
3.11前の焼却灰中の放射性核種
Cs137は土壌中の値と同
程度か比較的低い(170mBq/g)
 溶出は50%

岩鼻ら:第21回廃棄物学会研究発表会講演論文集、2008
永井ら:第20回廃棄物学会研究発表会講演論文集、2007
4
土壌へのCs-134
&Cs-137の沈着
3月11日~16日にか
けて770,000 テラBq
 航空機に高感度の大
型の放射線検出器を
搭載し、地上に蓄積し
た放射性物質からの
ガンマ線を広範囲か
つ迅速に測定
 近傍だけでなく、ホット
スポット.

August
Sourc
e:MEX
T
奥羽山脈、飯豊山地、越後山脈、
関東山地で堰き止められる
6
放射性物質を含む廃棄物等の問題の構造
放射性物質放出
(Cs134・137)
移流・拡散
焼却減量に伴う濃集(主灰)、
揮発・凝集による濃集(飛灰)
降雨
焼却主灰・飛灰
浄水汚泥
土壌等への沈着
焼却・溶融施設
草木類
最終処分場
Cs等沈着土壌粒子流出・濃集
Cs付着・吸収
下水汚泥
一般ごみ
By NIES 大迫先生
静脈系システム
廃棄物処理システム・下水道システムに意図的・非
意図的に収集・流入
 コントロールできないところでの処理が最も危険。
 災害廃棄物の自然発火等
 コントロール下での処理・
処分が必要(リスクの低下)
 廃棄物の性状に応じた
処理・処分が必要

国立環境研究所まとめ:仮置場の可燃 8
性廃棄物の火災予防(第二報)抜粋
放射性物質を含む廃棄物
福島第一原子力発電所内
 警戒区域・計画的避難地域
 上記以外汚染地域

災害廃棄物
 一般廃棄物
 産業廃棄物(下水汚泥など)
 特定・指定廃棄物
 除染廃棄物

リスク評価をもとにし
た汚染レベル
100Bq/kg
8,000Bq/kg
100,000Bq/kg
9
クリアランスレベル
IAEA安全指針の規制免除レベル
 原子力安全委員会の詳細評価では
 Cs134:500Bq/kg
 Cs137:800Bq/kg

廃棄物の再生利用した製品の放射性セシウム濃度の
クリアランスレベル:100Bq/kg
10
廃棄物処理の各シナリオにおける
許容放射能濃度の算出
追加被曝線量が1mSv/年
最終処分場の管理期間終了後、一般公衆の追加被曝線量が0.01mSv/年
11
出典:第11回災害廃棄物安全評価検討委員会資料12
郡山市
 合流式下水道
 脱水ケーキ

脱水ケーキ
26,400Bq/kg
スラグ
334,000Bq/kg
12
13
出典:第3 回 下水道における放射性物質対策に関する検討会資料
下水汚泥焼却灰・脱水ケーキ中
放射性物質濃度(Bq/kg)

10月28日現在
14
第12回災害廃棄物安全評
価検討会試料
一般・有害・放射性廃棄物
処理処分の基本
発生者責任
 放射性廃棄物最小化
 合理的な処理処分
 国民との相互理解に基づく実施

有害廃棄物の3C
 クリーン化
 コントロール(管理)
 サイクル

(出典:資源エネ庁ホームページ)
発生抑制
 リサイクル
 適正処理
 埋立処分

被曝管理しながら、でき
るかぎり放射性物質を
分離濃縮し、濃縮され
た廃棄物を管理(モニタ
リング)しつつ処分
15
平成22年度一般廃棄物総処理量
直接焼却
6,000
5,000
資源化等の中間処理
5,209
5,196
5,145
5,154
5,051
308
275
223
186
4,975
177
144
233
227
233
717
727
222
229
ごみ処理量(万トン)
629
658
648(Municipalities,
4,000
直接資源化
Permitted company)
254
728
4,900
(Can,PET,
4,773
Papers)118
120
257
717
264
690
直接最終処分
4,514
82
234
623
4,363
4,279
72
224
66
217
616
616
3,452
3,380
3,000
2,000
4,030
4,063
4,031
4,024
3,914
3,849
3,807
3,701
3,574
1,000
0
平成12年度 平成13年度 平成14年度
平成15年度 平成16年度
平成17年度 平成18年度 平成19年度
平成20年度 平成21年度 平成22年度
環境省:日本の廃棄物処理(2012)
PM2.5排出の研究
大気中微小粒子の健康影響指摘
微小粒子
SPM(浮遊粒子状物質):粒径
10mm以下の粒子
1年平均値が0.10mg/m3以下であ
り、かつ、1日平均値が0.20mg/m3
以下であること。(1973)
PM2.5(微小粒子状物質):
50%分離径2.5mm以下の粒子
1年平均値が15mg/m3以下であり、かつ、
1日平均値が35mg/m3以下であること
(2009)
PM2.5濃度の現状は時期や地域により様々
黄砂・自動車排ガスの研究などによるデータ蓄積
PM2.5
微小粒子固定発生源の排出実態情報不足
1,232
1,718
ボイラー
3,229
金属精錬・無機化学工業品製造用焙焼炉等
乾燥炉
廃棄物焼却炉
ガスタービン
3,282
窯業製品製造用焼成炉等
ディーゼル機関
金属精錬・鋳造用溶解炉
その他
3,391
5,327
21,235
3,913
4,334
廃棄物焼却炉の排出実態を調査
(施設別ばいじん排出量4位:平成20年度実績)
粒径別ダストのサンプリング方法
Inside of a cascade impactor
Flow
(Constant flux)
アンダーセンスタックサンプラー
(集塵機前)
9段階の粒径範囲(JIS K0302)
にダストを分級捕集
捕集されたダスト
水溶性と非水溶性
に分けて元素組成
を測定
捕集紙(サンプリング後)
18
PM2.5サンプリング





ダクト

カスケード イ
ンパクター
焼却炉集塵装置前:4-5分
焼却炉集塵装置後:2日~7日間
ダスト量に依存
2日~7日間、1日1回等速吸引を確
認。ドレインを回収、再設置
7日間の場合:100m3N程度吸引
水分20%程度とすると16kg程度
流量計
真空ポンプ
空
き
瓶
排ガスの流
れ方向
19
5%H2O 2溶液
乾式ガスメーター
ICP-MSおよびイオンクロマトグラフ
前処理フロー
捕集ばいじん
超純水約60ml添加
ガス成分はトラップ
された水分および
吸収液を分析
超音波抽出15min
孔径0.45mmメンブランフィルターでろ過
ろ液
排ガス中水分
5%H2O2水溶液
捕集ばいじんは水溶性・非水溶性
成分に分けて分析
超純水で100mlに定量
ろ過残さ
硝酸、塩酸、フッ酸
の混酸で分解後ホ
ウ酸によりフッ素を
マスキング
マイクロウェーブによる分解操作
孔径0.45μmメンブランフィルターでろ過
イオンクロマト分
析
ICP-MS分析
1mol/L硝酸で100mlに定
量
ICP-MS分析
PM2.5・SPM排出量と環境基準との比較
(µg/m3N)
250
200
200
165
150
104
100
50
0
116
100
60
2.9
2.5
1.6
1.7
1.1
0.61
0
0.6
煙突入口
10
15
29
50
22 30
施設A⑤
4.2 6.4
15
PM2.5
35
SPM
環境基準値
施設A、Bの煙突入口におけるPM2.5およびSPM濃度はすでに環境基準の長期
基準値を下回っている。
特に最新の排ガス処理設備を持つ施設AのPM2.5濃度は0~1.7µg/m3N
BF入口のダスト濃度が1.4g/m3Nで、BF出口でのPM2.5濃度29µg/m3Nであり、
一般大気中の濃度とほぼ変わらない。安定してPM2.5が排ガス処理設備で除去。
後段の活性炭吸着塔および触媒脱硝塔でもさらなる除去がなされている
安定セシウム挙動(都市ごみ焼却)
BF前:非水溶性の粒
子態が1.5μg/m3N、
水溶性の粒子態が
9.1μg/m3N、ガス態
が0.014μg/m3Nで、
3
Gas総濃度は11μg/m N
Water-soluble

粒径が小さくなるにつ
Water-insoluble
れて水溶性の割合が
高い。
 排ガス処理:
 BF+湿式ガス洗浄装
置+触媒脱硝

2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
非水溶性
水溶性
22
安定セシウム挙動(都市ごみ焼却)
BF前
stage1
stage2
stage3
stage4
stage5
stage6
stage7
stage8
backup filter
gas



粒径
(mm)
11.7<
7.2-11.1
4.9-7.2
3.3-4.9
2.1-3.3
1.0-2.1
0.58-1.0
0.42-0.58
<0.42
(mg/m3N)
粒子
気体
非水溶性 水溶性
0.69
0.72
0.4
0.46
0.17
0.17
<0.058
0.14
<0.058
0.17
<0.058
0.98
<0.058
2
<0.058
2.4
0.058
2.1
0.014
煙突
stage1
stage2
stage3
stage4
stage5
stage6
stage7
stage8
backup filter
gas
(mm)
11.7<
7.6-11.7
5.0-7.6
3.4-5.0
2.2-3.4
1.1-2.2
0.60-1.1
0.44-0.60
<0.44
非水溶性
<0.00012
<0.00012
<0.00012
<0.00012
<0.00012
<0.00012
<0.00012
<0.00012
<0.00012
(mg/m3N)
粒子
水溶性
<0.000058
<0.000058
<0.000058
<0.000058
<0.000058
<0.000058
<0.000058
<0.000058
<0.000058
気体
<0.0012
バグフィルタにおいては、ガス態のものがフィルタを通過し、後
段に抜けたとすると、99.87%の除去率。
煙突での濃度は定量下限以下の数値に関しては、定量下限値
の1/2が存在したと仮定して、0.0014μg/m3N
23
排ガス処理装置全体での総合除去効率は、99.99%
排ガス処理装置の
各成分除去性能
施設A:BF入口~煙突
ダスト全体のみならずPM2.5に関してもBF
通過により99.995%が除去されており、粒
子に関してBFが極めて高い除去効果
ほとんどの元素に関してもBF通過により
99.9%以上が除去。
Cl-, SO42-については、BF出口までにそ
れぞれ63.6%, 70.1%が除去され、続く湿
式ガス洗浄塔までにそれぞれ99.98%,
99.97%が除去。
Fe、Cr、Niなどの一部の元素はBF出口に
おいてサンプル装置由来(SUS)の汚染が
認められた。
粒径別に得られたダストの分析から、各成
分は粗大粒子側または微小粒子側に偏在
する成分の2つに大分できNa,K,Cu,Zn,
Cd,Sn,Sb,Cs,Pb,Cl-,Br-,SO42-など
は微小粒子側に分布を持つ傾向。
dust
SPM
PM2.5
Na
Mg
Al
K
Ca
Ti
Cr
BF出口
99.995
99.994
99.995
99.978
99.990
99.963
99.983
99.920
99.986
除去率(%)
施設A⑤
湿式ガス
活性炭
洗浄塔出口 吸着塔出口 煙突入口
99.998
99.9996
99.9999
99.997
99.999
99.9999
99.997
99.999 100.0000
99.988
99.996
99.998
99.997
99.997
99.997
99.992
99.989
99.991
99.997
99.997
99.997
99.985
99.980
99.983
99.997
99.996
99.997
99.938
99.837
99.961
※1
-
Mn
※1
-
99.196
98.519
99.991
Fe
※1
-
99.918
99.901
99.944
Co
※1
-
99.306
98.241
99.986
Ni
Cu
Zn
Sr
Cd
Sn
Sb
Cs
W
Pb
※1
Cl-
96.517
99.980
99.978
99.985
99.870
99.976
99.944
80.441
99.992
63.617
99.301
99.795
99.829
99.995
99.993
99.990
99.998
99.985
99.969
99.982
99.979
98.185
99.948
99.999
99.994
99.995
99.948
99.998
99.980
99.961
99.999
99.982
99.988
99.987
99.999
99.994
99.995
99.945
99.998
99.982
99.942
99.999
99.995
NO3-
91.000
97.626
97.532
95.200
70.143
99.967
SO42※1:BF入口より濃度値が大きい
99.981
99.983
放射性セシウムの焼却時の挙動
福島県下の電気集じん機(活性炭噴霧あり)を設置し
たごみ焼却施設ではCs-134:0.34~1.4Bq/m3N、
Cs-137 :0.35~1.5Bq/m3N 。
 「実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則の
規定に基づく線量限度等を定める告示」等で示され
た濃度限度Cs-134:20Bq/m3N、Cs-137 :
30Bq/m3N
 福島県内外の複数の焼却施設の排ガス測定結果で
は、上記以外は検出下限未満
 煙突からの環境放出は大きな影響を及ぼさない

出典:災害廃棄物安全評価検討委員会資料など
福島市あらかわクリーンセンター
消石灰
活性炭
噴霧あり
26
須賀川地方保健環境組合
消石灰
活性炭
噴霧あり
27
放射性セシウムのサンプリング・分析
Ca(OH)2
飛灰:68,900Bq/kg、
焼却灰:10,340Bq/kg
焼却炉 ボイラー
ガス冷却塔
活性炭
純水
①
円筒ろ紙
(粒子状物質捕集)



②
③
バグフィルタ
④
煙突
インピンジャ及び活性炭
(ガス状物質捕集)
⑤
冷却槽
ドライアイス浴または氷浴(5℃以下)
吸引ポンプ ガスメーター
バグフィルタ入口:1時間の等速吸引、バグフィルタ出口:4時間の等速吸引
同時に2本のサンプラーを準備、カスケードインパクタでも測定
分析はGe半導体検出器(SEIKO EG&G社製型式SEG-EMS)
28
バグフィルタ入口・出口での
排ガス中放射性セシウム濃度

バグフィルタ入口:770 と 900 Bq/m3N
(1)
(2)

方法
円筒ろ紙
インピンジャ(純水)
活性炭
円筒ろ紙
インピンジャ(純水)
活性炭
Cs134(Bq/m3N)
351
<0.6
<2.0
416
<0.9
<2.6
Cs137(Bq/m3N)
411
<0.7
<1.6
480
<0.6
<2.4
合計
762
<1.3
<3.6
896
<1.5
<5.0
バグフィルタ出口:不検出,<1.2 ,<1.3が放出されたして>99.84%
(1)
(2)
方法
円筒ろ紙
インピンジャ(純水)
活性炭
円筒ろ紙
インピンジャ(純水)
活性炭
Cs134(Bq/m3N)
<0.08
<0.13
<0.40
<0.10
<0.14
<0.50
Cs137(Bq/m3N)
<0.08
<0.12
<0.40
<0.08
<0.14
<0.32
合計
<0.16
<0.25
<0.80
<0.18
<0.28
<0.82 29
酸素12%換算はしていない(酸素濃度は9-10%程度)
排ガス中放射性セシウムの挙動
施設D
BF入口
施設D
煙突入口
stage1
stage2
stage3
stage4
stage5
stage6
stage7
stage8
backup
filter
H2O2水
stage1
stage2
stage3
stage4
stage5
stage6
stage7
stage8
backup
filter
凝縮水
H2O2水
排ガス中放射能(Bq/m3)
I-131
Cs-134
Cs-137
<DL
16
23
<DL
15
20
<DL
15
20
<DL
3
3
<DL
3
3
<DL
10
13
<DL
14
17
<DL
15
14
検出限界(Bq/m3)
I-131 Cs-134 Cs-137
12
9
6
12
11
8
8
4
4
6
3
3
3
2
2
8
5
4
13
8
8
16
10
8
<DL
29
28
14
7
6
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
21
0.03
0.03
0.03
0.03
0.02
0.03
0.02
0.03
10
0.02
0.02
0.02
0.02
0.02
0.02
0.02
0.02
10
0.02
0.02
0.02
0.01
0.02
0.02
0.02
0.02
<DL
<DL
<DL
0.03
0.02
0.01
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
<DL
0.09
0.03
0.04
0.02
0.06
0.02
<DLとは検出限界以下を意味する
BF入口では放射性セシウム
134および137の合計濃度261
Bq/m3N
煙突入口からは検出限界以下
BF出口より検出限界濃度まで
排出されていたとして、0.48
Bq/m3N
除去率では99.8%以上と推定
粒径の大きい分画と小さい分画
に分かれる。
いずれの試料からもヨウ素131
は検出限界以下
「実用発電用原子炉の設置、運
転等に関する規則の規定に基づく
線量限度等を定める告示」等で示
された濃度限度Cs-134:
20Bq/m3N、Cs-137:
30Bq/m3Nを十分下回ることがわ
かり、BFの能力を確認。
Csの物性
Cs
CsCl
CsI
Na
NaCl
NaI
22.99
58.442
149.894
原子量
(g/mol)
132.905 168.358 259.81
沸点
(K)
963.15
1573.15 1553.15 1156
1738.15
1577.15
融点
(K)
301.15
919.15
1073.95
924
イオン化エネ
ルギー(eV)
3.8939
894.15
370.98
5.13908
アルカリ金属のうち反応性が最大(理化学辞典)。
水と激しく反応
常温、空気中で酸化
31
国立環境研:放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第1版
焼却施設における濃度データ
32
第12回災害廃棄物安全評
価検討会試料
焼却灰・飛灰等に含まれる放射性セシウム
元素分離・濃縮装置として機能
施設数 測定結果
(Bq/kg)
8,000Bq/kgを超える施設数
主灰等
飛灰・溶融飛灰
岩手
19
ND-30,000
なし
2
福島
22
ND-95,300
7
16
茨城
30
42-31,000
なし
10
栃木
18
217-48,600
なし
3
群馬
24
20-8,940
なし
2
千葉
58
ND-70,800
なし
8
東京
54
ND-12,920
なし
1
7
42
都道府県
計
宮城、秋田、山形、埼玉、神奈川、新潟、山梨、長野、静岡については検出事例はあるが、8000Bq/kgを超
えていない(出典:第6回災害廃棄物安全評価検討会 別添資料1)
焼却飛灰の溶出性
34
飛灰処理物とは焼却飛灰にセメントを添加したもの
国立環境研究所データ
下水汚泥焼却灰の溶出性
溶出性は極めて低い
埋立条件の緩和:ばいじんの埋立処分を行う場合には当該ば
いじんに薄いが浸入しないように必要な措置を講じること
→ 適用しない
35
焼却灰・飛灰の管理

固形化(セメント固化)した上で、管理型処分場に①
隔離層設置による埋立、②耐久性容器による埋立、
もしくは③屋根付き処分場に埋め立てるなど、溶出
防止対策を施して処分

しかし、溶出防止対策を施した処分は進んでいない
。隔離層設置もしくは耐久性容器に収納した埋立方
法では、容積が従来の3倍必要

洗浄してから保管する(国立環境研究所でベンチテ
スト)
36
埋立処分
37
国立環境研:放射性物質の挙動からみた適正な廃棄物処理処分(技術資料)第1版
一方で、不溶化は?

福島第一原発における事故以降、8,000Bq/kgを超
える高濃度の放射性セシウム(Cs) が焼却残渣に含
まれ、埋立処分に問題が残る
セメント固化によってCsを不溶化する試みがあるが、
溶出率は60~90%とあまり不溶化できていない
Csを不溶化する技術が求められる
セメントと同様な物でより安定的に
本研究ではジオポリマーに着目
ジオポリマーとは
・アルミノケイ酸塩
(メタカオリン、石炭灰、スラグ、焼
却飛灰)
・アルカリ溶液(水酸化ナトリウム)
・ケイ酸水溶液(水ガラス)
が反応して生成される固化体である
都市ごみ焼却飛灰中のCsをジオポリマーを用いて
不溶化し、最適な条件を見出す
ジオポリマーの反応プロセス
NaOH
水ガラス水溶液
アルミノケイ酸塩
O +O
Na
3次元
O Si O Al O Si O
網目構造
O
O
O
O
Alイオン溶出
Mm+イオン溶出
ゲル化、再組織化、縮重合
溶解した金属イオン(Mm+)はAlの役割
を果たす
Csはゲル化、再組織化において、取り
込まれる(上図でNaの代り)
CsAlSi2O6:ポルックス石(天然鉱物)
ジオポリマー
実験方法 ジオポリマー作成とその評価
• BF灰(消石灰噴霧有 or 無)
• メタカオリン(2SiO₂・Al₂O₃)
• 14mol
• JIS規格1号
実験条件
飛灰/フィラー(FA)=30,40,50,60,100%に設定
フィラー/全体(Fi)=45,50,60,70%に設定
• メタカオリン
(2SiO₂,Al₂O₃)
100
飛灰の混合割合(%)
• アルカリ灰(消石灰
噴霧):1.8mg/kg
• 中性灰:7.1mg/kg
飛灰割合
Fi45
Fi50
50
0
Fi60
Fi70
溶出試験 環境庁告示46号試験
・土壌の汚染に係る環境基準
を定める試験
・安全側で評価をするために、
成型後のジオポリマーを粉
砕してから試験
固液比10(ml/g)で6時間振
とう
静置、遠心分離
ろ過
検液
ICP-MS分析
評価指標:固定化率
各条件で飛灰割合が異なる
固定化率
元素全量が異なる
溶出濃度の比較困難
• 洗浄による流出も考
慮し、作成から試験
後まで全体を通して
残っている割合
元素全量-(溶出量+洗浄流出量)
固定化率(%)=
元素全量
×100
結果(飛灰の場合)
Fi50FA50
Fi50FA70
Fi50FA90
Fi70FA50
中性灰 Fi70FA70
Fi70FA90
Fi90FA50
Fi90FA70
Fi90FA90
94.0
77.6
80.1
84.5
83.2
58.1
59.6
51.6
35.4
Fi:50-70(全体の中でアルカリ剤が少ないFi90で
もダメ。またフィラーが少なくてもダメ。)
FA:40-90(メタカオリンを入れず、飛灰だけだとだ
め。90でも80%を超えている場合があるが、適度
なメタカオリンが必要。飛灰が少なすぎてもだめ。)
Fi45FA30
Fi45FA40
Fi45FA50
Fi45FA60
Fi45FA100
Fi50FA30
Fi50FA40
Fi50FA50
Fi50FA60
Fi50FA70
Fi50FA90
アルカ
Fi50FA100
リ灰
Fi60FA30
Fi60FA40
Fi60FA50
Fi60FA60
Fi60FA100
Fi70FA30
Fi70FA40
Fi70FA50
Fi70FA60
Fi70FA90
Fi70FA100
60.0
68.1
78.4
81.7
25.7
70.3
75.4
81.1
83.2
81.2
80.1
15.4
76.1
82.1
85.1
87.0
0
79.5
84.6
86.9
89.0
40.7
0
標準添加ケースの結果
Fi50FA50のケースではいずれの飛灰、化合物でも95%以上
Fi70FA50のケースではいずれの飛灰、化合物でも84%以上
Fi50FA50 CsCl
Fi50FA90 CsCl
Fi70FA50 CsCl
Fi70FA90 CsCl
CaFA Fi50FA50 CsCl
CaFA Fi50FA90 CsCl
CaFA Fi70FA50 CsCl
Fi50FA50 Cs2CO3
Fi50FA90 Cs2CO3
Fi70FA50 Cs2CO3
Fi70FA90 Cs2CO3
CaFA Fi50FA50 Cs2CO3
CaFA Fi50FA90 Cs2CO3
CaFA Fi70FA50 Cs2CO3
CaFA Fi70FA90 Cs2CO3
中性灰
CsCl
アルカリ灰
中性灰
Cs2CO3
アルカリ灰
1000mg/kg
(CsCl or
Cs2CO3)の
飛灰をフィラー
に使用。
乳鉢で混合
96.1
65.5
84.9
78.2
95.8
94.2
87.0
98.6
88.0
94.8
80.7
96.4
88.3
88.0
85.3
X線吸収微細構造による化学状態分析
I0
I
X線を物質に照射するとX線の一部が物
質に吸収さ。入射X線のエネルギーを変
化させて、X線の吸収率を測定
EXAFS
XANES
XAFSは、以下の2つの部分に大別される
XANES・・・吸収端近傍の吸収スペクトル
EXAFS・・・吸収端から右側の波打ち部
分
これらの部分の解析から、測定対象原
子(元素)の周囲の構造に関する情報を
得る。
単体の銅
(銅薄膜)
8800
9000
9200
9400
エネルギー(eV)
9600
9800
Csの化学形態変化


CsのXANESスペクトルは変化
が小さいが確実に、処理前後で
はスペクトルが変化し、酸素が
周りに配位したものに変化して
いる。
ポルックス石CsAlSi2O6に近い
形
Normalized absorption (-)
SPring-8 BL01B1にて試
薬添加ケースを測定
蛍光XAFSにより測定
ジオポリマー
処理後
CsCl混合
中性灰
CsAlSi2O6
Cs2CO3
CsCl
36000
36050
Photon energy (eV)
36100
おわりに
環境中へ放出された物質の行く先は静脈系システム
 ダイオキシン類対策以後の焼却システムは安全性高
 モニタリングの重要性。高濃度時への対応。
 今後のメンテナンスなどにおける被ばくの管理。
 放射性物質含む残渣のためのスペースの確保(非汚
染の一般廃棄物のさらなる減量、処分量の削減)
 都市ごみ焼却飛灰への対応・管理の長期化への対応
 濃度レベル・性状に応じた処理・処分システムで如何
にリスクを減らせるかが重要。

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