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冠さぴ病擢病性からみたFestuca pratensis var.apenninaの分類上の帰属

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冠さぴ病擢病性からみたFestuca pratensis var.apenninaの分類上の帰属
北海道草地研究会報 24:1
4
9-151(
1
9
9
0
)
冠さび病援病性からみた Festucαpγα tenSlS
var.αpe九 九 lnaの 分 類 上 の 帰 属
但見明俊(北農試)
FestucαρTα tensis var.αρ enη印 αiss
usceptible t
ot
a
l
l fescue strain
o
f Puccinia coronαtαCorda.
Akitoshi Taji
m
i
(HokkaidoNatl Agric
. Exp. Stn., Sapporo, 0
0
4 Japan)
緒 員
1988年 1
0月,北海道農試(札幌市)に栽植されている Festucαpratensi‘S' Huds. var.αpennLna
(De Not.) Hackに冠さび病 (PucciniαcoγonatαCorda)の発生を認めた。本菌は接種により F.
a
r
.
αpennLnaのほか,
pratensげ v
卜ールフェスクを侵したがメドウフェスクは侵し難かった。
F. pratensis v
ar.αpennLna はメドウ.フェスクの自然倍数体とみなされており,野外で普通種と識別す
ることは難しいと言われる。自殖率が高かったり,分布が標高の高い地域に片寄るなど遺伝的あるいは生
態的特性には違いが認められている。また,外花えいに
4卿以下の琶を有することがあり 4),これはトー
ルフェスクと共通の形態的特性である。一方,フェスク類に発生する冠さび病でもトーノレフェスクとメド
a
r
.
ウフェスクでは寄生性を異にする病原菌によることが報告されているの。そこで, F. pratensis v
αpennLna に発生した冠さび病菌が,メドウフェスクよりはむしろトーノレフェスクに病原性を示すことを
追認する目的で以下の実験を行った。
結果と考察
1
. 成植物を用いた冠さび病菌接種試験
表 1に成植物を用いた接種試験結果を示した。供試植物は個体ごとに鉢植えとし,温室で 2ヶ月以上育
a
r
.
αpe丸 山 花α で増殖した冠さび病菌を接種し, 12-15日後に調査した。本病菌
成した。 F. pratensis v
・p
ratensis v
a
r
.
αpennLna のほか,
に感染したのは F、
トーノレフェスクとナギナタガヤ (F. myuros) で
,
メドウフェスク,フェストロリウムおよびライグラス類は感染しなかった。成植物を用いた接種試験での
擢病は,一般に圃場での発病の可能性を強く示唆することから,これら 3種の植物は本病原菌の主要な寄
主植物とみなされる。
2
. 幼植物を用いた接種試験
つぎに,幼植物を供試して行った接種試験の結果を表 2に示した。供試植物は育首ケースに播種し,第
lまたは第 2葉期に第 1回目の接種を行い, 1
2日後に調査したあとただちに第 2回目の接種を行い,さら
2日後に調査した。 F. prate則 、 LS var.αpennLna とトー jレフェスク 4品種とは高い擢病個体率を示し
に1
たが,メドウフェスク,フェストロリウムおよびライグラス類ではきわめてわずかな個体が感染したにす
ぎなかった。ただ,メドウフェスクの一品種 Grombali
aで 22.6%という高い 寵病個体率が観察された。 GrF
-149-
J
.Hokkaido Grassl
.S
c
i
.2
4
:1
4
9-151 (
1
9
9
0
)
表1. 成 植 物 を 用 い た 冠 さ び 病 菌 接 種 試 験 結 果
供試個体数
擢病個体率 (
0
/
0
)
Festuca 1.
F
. pratensis Huds.
12
Common
Trader
30
。
。
F
. prαtensis var ape九 πzπα(De Not.) Hack
30
96
.7
F
. αT叫 凡 diπaceα Schreb.
12
Hokur
y
o
Yamanami
100
.
0
10O
.0
F
. arundinαcea Schreb. v
a
r
. glaucescens Boiss.
100
.
0
30
Bn 574
12
F
. my也 ros 1
. (=V弘 lpiα my也 ros K
..Gme1)
12
Festuloli也 m s
p
.
Kemal
30
100
.
0
。
Lolium 1.
L
. pereπ托 e L
.
ReveiI
l
e
30
12
Manhattan
L
. X hyhridum Hausskn.
Tetrelite
30
。
。
。
omba1i
aはチュニジアで育成され, O E CD リスト 3
)にはメドウフェスクとして記載されている。しかし,
乙縁毛がありトーノレフェスクの特徴を備えていた。
著者がその後も栽培し観察を続けたところ,葉耳 l
Clarkら1
)の細胞遺伝学的研究によれば ,F. pratω szs v
ar.αpe九nl
.n
a はメドウフェスクとも,また,
トーノレフェスクとも容易に交雑し,それぞれ 3倍体と 5倍体の植物を作る。これらの際に形成される多価
染色体の頻度はメドウフェスクとの場合に多く,
トー jレフェスクとの場合に少ない。従ってメドウフェス
クとの類縁が近いとされている。
しかし,本実験の結果は F・ pratenszs var.αpe九nl
.n
a はメドウフェスクよりむしろトーノレフェスクと
関係が深いことを示唆している。今後,さらに種々の病原菌を供試してこの問題を追求したい。
引用文献
1
) Clark,J
.,P
.Chandrasekharan and H. Thomas (1976) studies inFestucα. 9. Cytologic
a
l studies o
f Fest町 αprαte凡 打 s v
a
r
. αpe九九 ina (De N01
.
) Hac
k
.Z
. Pf1
anzenzuchtg
77 :205-214.
2
) 中田栄一郎・松本邦彦・杉山正樹(1976) フェスク類冠さび病菌の寄生性について(講要).
日植病報 42 :75.
1989) List o
f cultivars eligible f
o
r certification,1988. OECD. 73p.
3) O E C D (
4
) Terrell,E. E. (1979) Taxonomy,morphology,and phylogeny. In“Buchner,R
. C.
L. P
. Bush (Eds.) Tall f
e
s
c
u
e
.p
p
. 31-39."
- 150-
北海道草地研究会報 2
4
:1
4
9
1
5
1(
19
9
0
)
表 2
. 幼植物を用いた冠さび病菌接種試験結果
供試個体数
Festuca
擢病個体率(~ら)
L
.
F.praleπsis Huds.
61
60
100
84
81
982
Ensign
Festina
First
Grombalia
Paltar
Trader
1
.6
1
.7
1
.0
22
.6
。
O
.1
F
. pratensis v
ar. ape九 九 ina (De Not.) Hack
411
99
.8
F
. arundinαceαSchreb.
Hokuryo
146
93
.8
73
41
.1
Mustang
Nanryo
822
83
.
1
Yamanami
101
10O
.0
Fes
t品 lolium Aschers e
t Graebn.
131
O
.8
596
1
.5
Waseyutaka
257
1
.2
St
. Tottori
74
KemaI
Loli“
m
L
.
1
. pere九 九 e L.
Revei11e
L.m也 ltiflorum Lam.
1
. X hyhridum Hausskn・
Tetre1ite
161
0
。
SUMMARY
Crown rust (Pucciniα coronata Corda) isolated from Festuca pratensis var.αpennina(De
h
e meadow fescue strain. lnoculation expeNot.) Hack was t
h
et
a
l
l fescue strain,but not t
αtenszs var.αpeπ
π,
zn
αwas closely related
rimentswit
ht
h
e rust strongly suggested thatF. pr
o meadow fescue (F・ pratensis Huds.) .
t
ot
a
l
l fescue (F. αrundinaceαShreb.),but not t
-1
5
1-
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