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安 全 報 告 書
安 全 報 告 書 (2008 年度) ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 全日本空輸株式会社 エアーニッポン株式会社 株式会社エアージャパン エアーネクスト株式会社 株式会社エアーニッポンネットワーク エアーセントラル株式会社 株式会社 ANA&JP エクスプレス 本安全報告書は、航空法第111条の6に基づき作成したものです。 ANA グループ安全報告書 目 次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 1.輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針に関する事項・・ 4 2.輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の体制に関する事項 5 はじめに (1)ANA グループとしての安全推進について ・・・・・・・・・ 5 (2)グループ各社の安全確保に関する組織 ・・・・・・・・・ 7 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21 (3)各組織の人員数 (4)航空機乗組員、客室乗務員、 ・・・・・ 22 ・・・・・・・・・・・・・ 23 整備従事者、有資格整備士、運航管理者の数 (5)業務の管理の委託に関する情報 (6)航空機乗組員に対する定期訓練および審査の内容 ・・・・・ 26 (7)客室乗務員に対する定期訓練および審査の内容 ・・・・・ 26 (8)整備従事者に対する定期訓練および審査の内容 ・・・・・ 27 (9)運航管理者に対する定期訓練および審査の内容 ・・・・・ 30 (10)日常運航における問題点の把握方法およびフィードバック方法 31 (11)安全に関する社内啓発活動等の取り組み ・・・・・・・・・ 40 (12)使用している航空機の情報 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44 (13)機種別・グループ航空会社別輸送実績・・・・・・・・・・・・・ 45 (14)路線別輸送実績 47 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3.航空法第 111 条の 4 に基づく「航空機の正常な運航に安全上の支障 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 を及ぼす事態」の発生状況 (1)事故 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54 ・・・・・・・・・・・・・ 55 4.輸送の安全を確保するために講じた措置 ・・・・・・・・・・・・・ 59 (1)国から受けた事業改善命令等 ・・・・・・・・・・・・・ 59 (2)重大インシデント (3)その他の安全上のトラブル (2)輸送の安全を確保するために講じたその他の措置 ・・・・・ 61 (3)2008 年度における安全に関する目標とその実施状況、 達成度及びその評価 ・・・・・・・・・・・・・・・・ (4)2009 年度の安全に関する目標 《巻末》用語集 1 63 ・・・・・・・・・・・・・ 68 ・・・・・・・・・・・・・ 73 ANA グループ安全報告書 はじめに 「2008 年度 ANA グループ安全報告書」発行にあたって 平素より、ANA グループをご利用いただき、厚く御礼申し上げます。 「2008 年度 ANA グループ安全報告書」を作成いたしましたので、ぜひ、ご一読いただき、ANA グ ループの安全に関する取り組みついてご理解頂けますよう、お願い申し上げます。 ANA グループでは、「安全」は経営の基盤であり社会への責務であるとした『ANA グループ安全 理念』を掲げ、事業運営を進めております。この理念は『お客様の安心と信頼なくして、ANA グルー プの繁栄はありえない』という ANA グループにとって不変の価値観に基づくものであり、ANA グ ループを挙げて安全運航の堅持に取り組んでまいりました。 一方、昨年度を振り返りますと、年度末には伊丹空港で滑走路誤進入が発生するなど、不安全な事 象が完全になくなっているわけではありません。今後も更なる機材・運航品質向上を目指し、お客様 に安心してご搭乗いただくための取り組みを行なっていくとともに、ANA グループ各組織が高い専 門性を持って安全を守るしくみを更に確かなものとし、ANA グループ一人ひとりが安全を追求する 責任ある誠実な行動を愚直に実践する必要があると考えます。 2009 年度には、これまで取り組んできた ANA グループの安全文化の浸透度を測る目的で、社外安 全コンサルタントの協力を得て、2007 年度に引き続き第 2 回目のアンケート方式による「安全文化 評価」を行いますが、これらの結果を踏まえ更なる安全文化の構築を図ってまいります。 公共交通機関を担う私たち ANA グループにとって安全運航は社会への最大の責務であるという認 識のもと、このような地道な活動を日々続けることにより、お客様に安心してご利用いただけるグル ープ航空会社を目指してまいりますので、何卒変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。 全日本空輸株式会社 エアーニッポン株式会社 株式会社エアージャパン エアーネクスト株式会社 株式会社エアーニッポンネットワーク エアーセントラル株式会社 安全統括管理者 代表取締役副社長 森本 光雄 安全統括管理者 代表取締役副社長 忍田 俊史 安全統括管理者 代表取締役社長 太田 光彦 安全統括管理者 代表取締役社長 岩谷 求 安全統括管理者 代表取締役社長 川内 秀光 安全統括管理者 代表取締役社長 美土路純一 株式会社 ANA&JP エクスプレス 安全統括管理者 代表取締役社長 2 清野 瑞一 ANA グループ安全報告書 ≪本安全報告書で使用する ANA グループ航空会社の名称及び略称≫ ・ 全日本空輸株式会社 ・ エアーニッポン株式会社 ・ 株式会社エアージャパン ・ エアーネクスト株式会社 ・ 株式会社エアーニッポンネットワーク ・ エアーセントラル株式会社 ・ 株式会社 ANA&JP エクスプレス :ANA :ANK :AJX :NXA :AKX :CRF :AJV ≪各々の事業領域、使用機材及び主要な空港事業所≫(図 0-1)。 旅客運送事業 国内線 短距離 国際線 長距離 短距離 中距離 全日本空輸 (株) ANA エアーニッポン(株) ANK 国内線 国際線 A320, B737 主要な 空港事業所 長距離 羽田・伊丹 成田 B747, B777, B767, A320 羽田・関西 福岡 B737 (株) エアージャパン AJX エアーネクスト (株) NXA 貨物運送事業 成田 B767 福岡 B737 (株) エアーニッポンネットワーク AKX DHC8 丘珠・羽田 伊丹 エアーセントラル (株) CRF DHC8 *F50 中部 (株)ANA & JP エクスプレス AJV B767 *2009.01.31 定期便退役 3 成田 ANA グループ安全報告書 1.輸送の安全を確保するための事業の運営の基本的な方針に関する事項 ANA グループはグループ共通の「ANA グループ経営理念」及び「ANA グループ安全理念」 を掲げて安全推進を行っています。 また2006年の航空法改正により、航空会社には*SMS(セイフティー・マネジメント・ システム)を構築し、その内容を「安全管理規程」に定めて、国土交通大臣に届け出ること が義務付けられましたが、ANA グループでは安全管理規程に以下の方針を定めています。 (1) 安全は、定時・快適など他の品質要素に優先すること。 (2) 安全は、航空輸送事業の原点であること。 (3) 会社は、日本国および運航する国の関連法令等を遵守すること。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 4 ANA グループ安全報告書 2.輸送の安全を確保するための事業の実施及びその管理の体制に関する事項 (1)ANA グループとしての安全推進について グループ総合安全推進委員会 ANA ANK AJX NXA AKX CRF AJV 委員長 委員長 委員長 委員長 委員長 委員長 委員長 総合安全 安全推進 安全推進 安全推進 安全推進 安全推進 安全推進 推進委員会 委員会 委員会 委員会 委員会 委員会 委員会 図 2-1 グループ総合安全推進委員会は、各 ANA グループ航空会社の*安全推進委員会(ANA の み総合安全推進委員会という名称)の委員長がグループ内の安全に関わる重要事案につい ての情報を共有し認識の一致を図る場であるとともに、ANA グループの安全に関する方 針を定め、各グループ会社に対して提言・勧告および指示を行う ANA グループの安全に 関する最高の審議・決定機関です。 *安全推進委員会については、2-(2) 「グループ各社の安全確保に関する組織」のページを参照願います。 また、航空法第 103 条の 2 に基づき、各航空会社は「安全統括管理者」を選任し、経営の 立場から*SMSの継続的改善を推進するとともに、安全施策・安全投資の決定など安全 に関する重要な経営判断に直接関与することで、会社の安全の取り組みを継続的に管理す ることになっています。 ANA グループにおいては、各社の安全推進委員会委員長を「安全統括管理者」としてい ます。 *グループ各社の安全統括管理者については、「はじめに」のページを参照願います。 グループ総合安全推進委員会 指導・勧告、指示 ANA ANK AKX AJX CRF NXA AJV 安全推進委員会 総合安全推進委員会 社内展開 社内展開 安全推進部門 安全推進部長会 参加 安全推進連絡会 グループ安全推進部 安全推進担当者 参加 生産部門 生産部門 図 2-2 5 ANA グループ安全報告書 企業活動と安全文化・航空輸送の提供の関係(概念図 図 2-3) ANA グループ航空会社は、 「ANA グループ安全理念」に基づき、事業年度グループ共通の *安全目標を策定することで重要な課題を解決し、安全の維持向上を図っています。加えて、 各社は必要に応じ独自の*安全目標を設定する場合もあります。 *安全目標の詳細は、4-(3)(4)「2008、2009 グループ各社の安全目標」のページを参照願います。 この安全目標は、グループ総合安全推進委員会での審議・承認のもと、経営計画や事業計画 の中で明確化しています。 グループ航空会社各社は、この安全目標を実現するために、各社や部門毎に安全目標とその 達成度ならびに期限を定め、その達成のための施策を実施し、各職場の業務に反映していま す。 安全運航の堅持を支えるものは、 「グループ社員の高い安全意識による責任ある誠実な行動」 と「不安全事象防止のPDCA(PLAN/DO/CHECK/ACTION)が実践できる確かな仕組み」であ るという認識のもと、これらの目標の達成に向けた取り組みが実施されています。 6 ANA グループ安全報告書 (2)グループ各社の安全確保に関する組織(グループ航空会社毎) ANA(2009 年1月 1 日現在) ANA の全体組織概要図 貨物本部 営業推進本部 企画室 オペレーション統括本部 総務部 人事部 CS 推進室 運航本部 法務部 人事部 社長 取締役会 株主総会 関連事業室 客室本部 勤労部 広報室 整備本部 財務部 秘書室 コンプライアンス委員会 総合安全推進委員会 グループ経営戦略会議 グループ総合 安全推進室 各空港支店 本社部門 生産部門 図 2-4-1 ANA の安全推進部門の機能図 社 長 全社的な安全推進組織 全社的な安全推進機能 事故調査会 事務局 安全統括管理者 グループ総合安全推進室 総合安全推進委員会 グループ安全推進部 専門部会 安全推進部長会 インシデント調査会 グループ安全監査部 内部監査 生産本部の安全推進機能/組織 情報交換 各部門内安全推進会議/委員会 各部門内安全推進担当部所 オペレーション統括本部・運航本部・客室本部・整備本部 7 図 2-4-2 ANA グループ安全報告書 ANA の各組織の機能・役割の概要 (1) ANA の組織は、本社部門と現業部門である生産部門に大別されます。 生産部門には、運航乗務員が属する運航本部、客室乗務員が属する客室本部、整備士 が属する整備本部、空港全般を担当するオペレーション統括本部、貨物を担当する貨 物本部があります。 (2) 「総合安全推進委員会」は、安全上重要な課題の審議、方針の決定、安全対策の実施 状況の確認、監視、提言・勧告、指示を行う、会社の安全に関わる最高の審議・決定 機関です。 (3) 総合安全推進委員会の下部組織に相当する「安全推進部長会」は、各生産部門の部室 長と本社部門の関連部所の部室長から構成されており、具体的な安全推進活動を行い ます。 (4) 本社部門である「グループ総合安全推進室」は、グループ安全企画部・グループ安全推 進部・グループ安全監査部で構成され、常設組織として社内の安全状況を全般的に把握 し、全社的な安全推進を担当しています。 ●「グループ安全企画部」は、 「総合安全推進委員会」や「安全推進部長会」の事務局を 担当するとともに、安全目標の設定等、ANA グループ全体の安全推進機能の方針設 定を主に担当しています。 ●「グループ安全推進部」は、会社全体としての安全推進活動や安全啓発活動について 具体的な施策を立案し、実行・推進する役割を担っています。また、ANA グループ 航空会社への支援も行っています。 ●「グループ安全監査部」は、各組織の安全管理体制が、国や会社が定める安全上の基 準および国際的な安全標準に適応して有効に機能し、さらに仕組み自体を含め継続的 に改善しているかを監査により客観的に評価し、是正を求める役割を担っています。 また、ANA グループ航空会社の内部安全監査への支援も行なっています。 (5) 各生産部門は、それぞれ部門内の安全の状況を把握し安全課題の審議や方針を決定する 「委員会(会議体)機能」と部門内の安全推進を担当する部所を有しており、各生産部 門の安全推進を担当する部所とグループ安全推進部は情報交換を行なっています。 8 ANA グループ安全報告書 ANK(2009 年1月 1 日現在) ANK の全体組織概念図 運航本部 人事部 客室本部 社長 取締役会 株主総会 事業推進部 整備本部 安全推進室 安全推進委員会 安全監査室 空港オペレーション統括部 本社部門 生産部門 図 2-5-1 ANK の安全推進部門の機能図 社 長 全社的な安全推進組織 安全監査の報告 安全監査室 全社的な安全推進機能 安全統括管理者 安全推進委員会 航空事故・ 重大インシデント調査会 図 2-5-1 図 2-5-2 安全推進室 情報交換 生産部門の安全推進機能/組織 生産部門内の安全推進担当 図 2-5-2 9 ANA グループ安全報告書 ANK の各組織の機能・役割の概要 (1) ANK の組織は、本社部門と現業部門である生産部門に大別されます。 本社部門には事業推進部、人事部、ならびに安全推進室、安全監査室があります。生 産部門には、運航乗務員が属する運航本部、客室乗務員が属する客室本部、整備士が 属する整備本部等があります。 (2)「安全推進委員会」は、安全に関わる重要事項の最高決議機関です。方針の決定、安 全対策の実施状況の確認、監視、提言・勧告、指示を行う、会社の安全に関わる最高 の審議・決定機関です。 (3)「安全推進室」は、安全推進委員会の事務局として、全社的な方針、安全目標、安全 施策、安全に関する課題の提案を行います。安全に関する情報の収集、社内への提供、 安全教育等安全に関する啓発活動を実施します。 (4)「安全監査室」は、各組織の安全を維持する仕組みが正しく機能し、組織間の横断的業 務が連続性を保持していることおよび国際的な安全標準に適応しているか、状況を客観 的に評価し、是正を求める役割を担っています。 (5) 各生産部門は、安全および品質に関わる基本方針に基づき、自部門内での安全・品質の 方針を設定し、周知するとともに、これらの方針を部門の業務として具現化します。 ANK 運航の B737-700 型機 10 ANA グループ安全報告書 AJX(2009 年1月 1 日現在) AJXの全体組織概念図 オペレーションディレクター 総務部 企画部 運航サポート室 社長 取締役会 株主総会 整備監理室 運送部 監査役 運航部 安全推進委員会 客室部 内部安全監査室 各空港所 図 2-6-1 AJX の安全推進部門の機能図 社長 (安全推進委員会委員長) 安全統括管理者 安全推進委員会 内部安全監査室 安全推進委員会事務局 各部室 情報提供 安全監査実施 11 図 2-6-2 ANA グループ安全報告書 AJX の各組織の機能・役割の概要 (1) AJX の組織は、本社部門と生産部門に大別されます。 生産部門には、運航業務の円滑実施の為の支援を行う「運航サポート室」、委託管理部 門である「整備監理室」、「運送部」そして現業部門である「運航部」、「客室部」があ ります。 整備および運送業務については、ANA に委託しており、整備監理室および運送部が、 委託先に対する指示・品質の監視を行っています。 (2) 「安全推進委員会」は、安全上重要な課題の審議、方針の決定、安全対策の実施状況 の確認、監視、提言・勧告、指示を行う、会社の安全にかかわる最高の審議・決定機 関です。 (3) 「安全推進委員会事務局」は、安全推進機能の事務局を担当し、社内の安全状況を把 握し、安全推進を担当しています。 (4)「内部安全監査室」は、各組織の品質保証の仕組みが、国や会社が定める安全上の基準 および国際的な安全基準に適応しているか、状況を客観的に評価し、是正を求める役 割を担っています。 エアージャパン運航の B767-300ER 型機 12 ANA グループ安全報告書 NXA(2009 年1月 1 日現在) NXA の全体組織概念図 安全推進委員会 安全推進委員会事務局 安全評価室 株 主 総 会 取 締 役 会 社 長 業務部 査察室 乗員部 整備監理室 オペレーションディレクター オペレーション部 各空港所 図 2-7-1 NXA の安全推進部門の機能図 社長 安全統括管理者 航空事故・重大 インシデント 調査会 安全推進委員会 (必要に応じて設置) 指示 指示 安全評価室 報告 報告 指示 報告 報告 安全推進委員会事務局 指示 安全評価実施 報告 各部室 安全推進担当者 図 2-7-2 13 ANA グループ安全報告書 NXA の各組織の機能・役割の概要 (1)NXAの組織は、本社部門と生産部門に大別されます。 生産部門には、運航乗務員が属する乗員部と、客室乗務員が属するオペレーション部が あります。整備業務および運送業務については、グループ各社に委託しており、整備監 理室およびオペレーション部が委託先に対する指示・品質の監視を行っています。 (2)「安全推進委員会」は、安全に関わる重要事項の審議、方針の決定、安全対策の実施 状況の確認、監視、提言・勧告、指示を行う、会社の安全に関わる最高の審議・決定機 関であり、組織横断的に安全を推進します。 (3)「安全推進委員会事務局」は、安全推進委員会の円滑かつ効果的な運営を行い、社内 における安全運航についての意識高揚を図るとともに、安全に係る問題点および課題 を抽出し、関係する社外諸機関および社内各部所との調整を実施しながら、解決に向 けた諸施策の策定を行います。 (4)「安全監査室」は、安全推進委員会事務局および各生産部門に対して、各組織の安全 を維持する仕組みが正しく機能していること、また組織横断的業務が適切に処理され ていることを客観的に評価します。改善策が必要な場合には当該部門に指示すると共 に、進捗を確認しています。 (5)各生産部門は、安全および品質に関わる基本方針に基づき、自部門内での安全・品質の 方針を設定し、周知するとともに、これらの方針を部門の業務として具現化します。 エアーネクスト運航の B737-500 型機 14 ANA グループ安全報告書 AKX(2009 年1月 1 日現在) AKX の全体組織概念図 FOQA 室 事務局 運航部 安全推進委員会 代表取締役社長 大阪事業支店 北海道事業支店 安全監査室 総務部 運送部 整備部 図 2-8-1 AKX の安全推進部門の機能図 社 長 全社的な安全推進組織 安全監査の報告 安全監査室 全社的な安全推進機能 安全統括管理者 安全推進委員会 航空事故調査会 安全推進委員会事務局 情報交換 生産部門の安全推進機能/組織 生産部門内の安全推進担当部所 図 2-8-2 15 ANA グループ安全報告書 AKX の各組織の機能・役割の概要 (1) AKX の組織は、本社部門と生産部門に大別されます。 生産部門には、運航管理業務・運航乗務員の諸要件に係る総括管理を実施する運航部、 客室業務・旅客業務および運送取扱業務に係わる管理業務を実施する運送部、航空機整 備業務に関する整備管理業務等を実施する整備部等があります。 (2)「安全推進委員会」は、各関連部門との密接な連絡のもと、安全に関する理念、基本 方針、安全施策・安全投資などの重要事項の方針決定等を行う機関です。 (3)「安全推進委員会事務局」は、安全推進委員会の円滑かつ効果的な運営を行い、社内 における安全運航についての意識高揚を図る組織であり、安全に係わる問題点および 課題を抽出し、関係する社外諸機関および社内各部所との調整を実施しながら、解決 に向けた諸施策の策定を行います。 (4) 「安全監査室」は安全推進委員会事務局および各生産部門に対して、各組織の安全を 維持する仕組みが正しく機能し、組織間の横断的業務が連続性を保持していることを 客観的に評価する組織であり、改善策が必要な場合には是正の促進を行います。 (5) 各生産部門には、それぞれ部門内の安全推進を担当する部署を有しており、安全推進委 員会と情報交換を行なっています。 エアーニッポンネットワーク運航のボンバルディア社製 DHC-8-400 型機(福江空港) 16 ANA グループ安全報告書 CRF(2009 年1月 1 日現在) CRF 全体組織概念図 業務部 客室部 安全推進委員会 運航サポート部 社長 取締役会 株主総会 安全監査室 先任機長室 乗員サポート室 乗員部 査察室 訓練室 乗員室 整備部 図図 2-9-1 2-13 CRF の安全推進部門の機能図 社 長 全社的な安全推進機能/組織 航空事故調査委員会 安全監査の報告 安全統括管理者 安全監査室 安全推進委員会 安全推進ワーキング・グループ 情報交換 生産部門の安全推進機能/組織 生産部門内の安全推進担当 図 2-9-2 17 ANA グループ安全報告書 CRF の各組織の機能・役割の概要 (1) CRF の組織は、本社部門と現業部門である生産部門に大別されます。 生産部門には、運航乗務員が属する乗員部、客室乗務員が属する客室部、整備士が属 する整備部等があります。 (2) 本社部門である「安全推進委員会」は、各関連部門との密接な連絡のもと、安全に関 する理念、基本方針、安全施策・安全投資などの重要事項の方針決定等を行う機関で す。 (3) 「安全推進委員会事務局」は、安全推進委員会の円滑かつ効果的な運営を行い、社内 における安全運航についての意識高揚を図る組織であり、安全に係わる問題点およ び課題を抽出し、関係する社外諸機関および社内各部所との調整を実施しながら、 解決に向けた諸施策の策定を行います。 (4) 安全推進委員会の下部組織である「安全推進ワーキンググループ」は、各部門から選出 した担当者で構成されており、安全推進委員会の年間活動計画に基づき、企画、調整、 実施を担います。また、組織横断的安全問題で早急な対応が必要な場合に対応策を検討 し、委員会に提言します。 (5) 「安全監査室」は安全推進委員会事務局および各生産部門に対して、各組織の安全を 維持する仕組みが正しく機能し、組織間の横断的業務が連続性を保持していることを 客観的に評価する組織であり、改善策が必要な場合にはその作成も行います。 (6) 各生産部門には、それぞれ部門内の安全推進を担当する部署を有しており、安全推進委 員会と情報交換を行なっています。 エアーセントラル運航のボンバルディア社製 DHC-8-400 型機 18 ANA グループ安全報告書 AJV(2009 年1月 1 日現在) AJV 全体組織概念図 安全推進委員会 株主総会 内部安全監査室 取締役会 総務部 代表取締役社長 営業部 取締役 運航サポート室 監査室 査察室 整備監理室 運送部 乗員室 運航部 訓練室 運航業務室 各空港所及び営業所 図 2-10-1 AJV の安全推進部門の機能図 社長 報告 報告 指示 報告 事故・重大インシデント 調査会 安全統括管理者 (必要に応じて設置) 内部安全監査室 指示 安全推進委員会 安全監査実施 報告 指示 安全推進委員会 事務局連絡会 報告 指示 生産部室 安全推進担当 19 図 2-10-2 ANA グループ安全報告書 AJV の各組織の機能・役割の概要 (1) AJV の運航に係わる組織は、運航乗務員が属する「運航部」とその他の部室に大別さ れます。運航管理業務は ANA に委託し、主に委託管理業務を行います。 「運航部」には、 「査察室」、 「乗員室」、 「訓練室」があり、その他の部室には、 「運航サ ポート室」、 「運送部」、 「整備監理室」等があります。 (2) 「安全推進委員会」は、安全上重要な課題の審議、方針の決定、安全対策の実施状況 の確認、監視、提言・勧告、指示を行う会社の安全に関わる最高の審議・決定機関で す。 (3) 「安全推進委員会事務局連絡会」は、安全推進委員会の下部組織に相当し各部室の担当 者で構成され、具体的な安全推進活動を行います。 (4) 「内部安全監査室」は、各部室の品質保証の仕組みが、安全上の基準等に適応している か客観的に評価し、是正を求める役割を担っています。 ANA&JP エクスプレス運航の B767-300F(Freighter 貨物輸送)型機 20 ANA グループ安全報告書 (3)各組織の人員数(2009 年 1 月 1 日現在) ANA (表 2-1-1) グループ総合 オペレーション 安全推進室 統括本部 34 名 351 名 ANK (表 2-1-2) 安全推進室 安全監査室 5名 運航本部 整備本部 客室本部 2,130 名 2,328 名 5,153 名 運航本部 整備本部 客室本部 616 名 211 名 707 名 1名 空港オペレーション統括部 (ANA 兼務) 166 名(80 名) *空港部門は ANA に委託しています。整備部門は航空法第 113 条の 2 の基づき、ANA に委託していま す。また、航空法第 20 条の定めによる認定事業場として ANA より整備作業を受託しています。 AJX (表 2-1-3) 内部安全 安全推進 監査室 委員会 事務局 1名 1名 運航部 客室部 運航サポート室 運送部 整備監理室 69 名 252 名 2名 1名 1名 *空港部門と整備部門は ANA に委託しています。 NXA (表 2-1-4) 安全推進 安全監査室 委員会事務局 8 名(社内兼務 8 名) 2 名(社内兼務 乗員部 オペレーション部 客室課 68 名 104 名 オペレーション部 運航運送課 2名 整備監理室 2名 1 名) *空港部門と整備部門は ANA に委託しています。 AKX (表 2-1-5) 安全推進 安全監査室 委員会事務局 8名 2名 (社内兼務 7 名) 乗員室 61 名 運航部 整備部 55 名 (社内兼務 2 名) (ANA 兼務 10 名、ANK 兼務 3 名、社内兼務 4 名) 大阪事業支店 客室課 63 名 (社内兼務 1 名) 整備室 53 名 (社内兼務 1 名) 乗員室 38 名 運送部 36 名 6名 (ANA 兼務 13 名、 社内兼務 2 名) (社内兼務 2 名) 北海道事業支店 旅客客室課 68 名 整備室 35 名 (社内兼務 1 名) (社内兼務 2 名) (社内兼務 1 名) *空港部門は ANA に委託しています(丘珠空港は自社体制) 。 CRF (表 2-1-6) 安全推進 安全監査室 委員会事務局 1名 1名 (社内兼務 1 名) 乗員部 77 名 整備部 (ANA 兼務) 【A-net 兼務】 56 名(11 名) 【3 名】 運送客室 部 47 名 運航サポート部 (ANA 兼務) 【A-net 兼務】 24 名(9 名) 【8 名】 *空港部門は ANA に委託しています。 AJV (表 2-1-7) 安全推進 内部安全 委員会事務局 監査室 1名 1名 運航部 運送部 整備監理室 運航サポート部 86 名 3名 1名 2名 *空港部門・整備部門は ANA に委託しています。 21 ANA グループ安全報告書 (4)航空機乗組員、客室乗務員、整備従事者数、有資格整備士、運航管理者の数 (2009 年1月1日現在) ANA (表 2-2-1) 航空機乗組員 客室乗務員 整備従事者(確認主任者) 運航管理者 機長 1,047 名 副操縦士 531 名 5,013 名 1,582 名( 1,079 名) 62 名 総計 1,578 名 ANK (表 2-2-2) 航空機乗組員 客室乗務員 整備従事者(有資格整備士) 運航管理者 機長 270 名 64 名 副操縦士 180 名 647 名 169 名( 147 名 ) *1 総計 450 名 *1:この内 ANA の運航管理者 56 名に共用運航管理者として嘱託発令しています。 AJX (表 2-2-3) 航空機乗組員 客室乗務員 整備従事者(確認主任者) 運航管理者 機長 42 名 副操縦士 15 名 237 名 0 ( 0 ) *2 総計 57 名 *2:ANA の運航管理者 30 名に共用運航管理者として嘱託発令しています。 NXA (表 2-2-4) 航空機乗組員 客室乗務員 整備従事者(確認主任者) 運航管理者 機長 33 名 副操縦士 23 名 63 名 0 ( 0 ) *3 総計 56 名 *3:ANA の運航管理者 52 名に共用運航管理者として嘱託発令しています。 AKX (表 2-2-5) 航空機乗組員 機長 54 名 副操縦士 48 名 総計 102 名 客室乗務員 整備従事者(確認主任者) 108 名 86 名 ( 49 名 ) 運航管理者 国内担当:13 名 CRF (表 2-2-6) 航空機乗組員 客室乗務員 整備従事者(確認主任者) 運航管理者 機長 30 名 副操縦士 39 名 44 名 36 名 ( 28 名 ) *4 総計 69 名 *4:AKX の運航管理者 7 名に共用運航管理者として嘱託発令しています。 AJV (表 2-2-7) 航空機乗組員 客室乗務員 整備従事者(確認主任者) 運航管理者 機長 51 名 副操縦士 14 名 0名 0名 ( 0名 ) *5 総計 65 名 *5:ANA の運航管理者 30 名に共用運航管理者として嘱託発令しています。 22 ANA グループ安全報告書 (5)業務の管理の委託に関する情報 以下に、ANA グループにおける、運航/整備の管理および業務の受・委託の状況を示します。 【運航および整備の管理の受・委託】 (表 2-3-1) ① グループ内航空会社 (表 2-3-1) 航空会社名 管理の委託業務内容 ANA 運航管理 ANK AJX NXA CRF AJV 委託先 AJX 運航管理 ANK 運航管理 AJV 整備管理 整備管理 整備管理 整備管理 整備管理 ANA ANA ANA AKX ANA *B767-300F および-300BCF 補足 B767-300 型式機による 成田⇔香港線、成田⇔広州線、成田⇔大連線、 成田⇔シンガポール線、成田⇔上海線、羽田⇔ 香港線、成田⇔台北線 B737-700 型式機による 関西⇔厦門、関西⇔青島、中部⇔天津、中部⇔ 広州、成田⇔ムンバイ、中部⇔台北、 関西⇔杭州、成田⇔厦門、成田⇔広州、 関西⇔北京 B767-300F および-300BCF*型式機による 関西⇔青島、関西→青島→成田、成田→天津→ 関西、成田⇔天津、成田⇔厦門、成田→厦門→ 関西、成田→アンカレッジ→シカゴ→ アンカレッジ→成田、成田⇔香港、成田⇔大連、成 田⇔台北、成田=仁川、成田→関西→バンコク→ 成田、関西→バンコク→成田、関西→香港→成田、 関西→大連→成田、成田→関西→上海→成田 B737 および A320 による運航 B767-300 による運航 B737-500 による運航 DHC8-400 による運航 B767-300F による運航 は、Freighter 貨物輸送機です。 ② グループ外航空会社 (表 2-3-2) 航空会社名 管理の委託業務内容 ANA 運航管理、整備管理 委託先 ABX* 補足 B767-200F による関西⇒香港⇒成田線、関西 ⇔香港線、関西⇔バンコク線、成田⇒大連⇒関 西線、関西⇔大連線、関西⇔北京線、関西⇔青 島線、成田⇒アモイ⇒関西線、関西⇔アモイ線 *ABX 社(エアボーン・エクスプレス株式会社)への委託は、2009.03.29 にて終了しました。 ANA グループでは、業務の管理の受・委託において、その選定段階で品質や能力水準につ いて必要な水準をクリアしていることを確認することと合わせて、領収検査体制や日常業 務状況のフィードバック体制等を構築することや、定期的な監査を実施することで、委託 業務の品質の維持向上を図っています。 23 ANA グループ安全報告書 【運航および整備の業務の受・委託】 ≪ANA グループの空港部門業務の体制≫ ANA グループ航空会社では、空港における旅客、貨物・手荷物等の取り扱い等を、一部の 空港を除いて ANA が受託し、その業務を実施または ANA グループ各社・総代理店等へ委 託する形態をとっており、点検・検査・監査等を通じ ANA が適切に委託先の管理を行って いるかを監査する体制となっています。 みんなで支える ANA グループの安全運航 24 ANA グループ安全報告書 ≪ANA グループにおける整備体制の基本的な枠組み≫ 航空機材の整備の種類は、機体整備・エンジン整備・装備品整備に大別されます。 ANA グループにおける機体整備は、下記の通り機種毎に主担当航空会社を定めており、主担当航空 会社以外の ANA グループ航空会社は、当該機種の主担当航空会社に自社が運航する機材の整備業務 を委託する構造になっています。 ・ B747-400、B777、B767、B737、A320 ⇒ ANA ・ DHC8 ⇒ AKX ・ *F50 ⇒ CRF *2009.01.31 定期便より退役 また、ANA グループには整備専門のグループ会社があり、これらの整備専門会社は ANA グループ の各航空会社から、機体整備・エンジン整備・装備品整備の業務を受託しています。 ANA グループの整備専門会社(図 2-18) AAV ANK FTC TAC ANAM AES WORKS ANA AKX CRF ATC NECO AAT AAS このうち、機体整備を受け持つ整備専門会社の整備従事者数は以下の通りです。 ・ANA エアクラフトテクニクス 整備従事者 466 名 そのうち確認主任者 ・ANA フライトラインテクニクス 整備従事者 195 名 そのうち確認主任者 ・全日空整備 整備従事者 170 名 そのうち確認主任者 ・ANA テクノアビエーション 整備従事者 284 名 そのうち確認主任者 65 名 137 名 40 名 102 名 なお、一部の機体の重整備については、国土交通省の認定事業場の資格を有する、当該機種の主担当 航空会社の整備能力審査に合格した、以下の海外整備専門会社に委託しています。 ・ SASCO(ST Aviation Service Co,.LTD) :シンガポールの整備専門会社で、人員規模約 3,000 人、 ANA グループが所有する機種では、B747-400,B767,B777 の受託能力を有しており、ANA グル ープでは 1997 年から委託しています。 ・ TAECO(TAIKO Aircraft Engineering Co,.LTD):中国の整備専門会社で、人員規模約 5,500 人、ANA グループが所有する機種では、B747-400,B767,B777,B737 の受託能力を有しており、 ANA グループでは 1997 年から委託しています。 ・ STAECO (TAIKOO(SHANDONG)Aircraft Engineering Co,.LTD):中国山東省にある整備専門会 社で、人員規模約 1,300 人、ANA グループが所有する機種では B737 の受託能力を有しており、 ANA グループでは 2006 年から委託しています。 ・ TG (THAI Airways International Public Co.,LTD): タイ王国バンコクに本社を置く航空会社で、 DONMUANG 空港にある重整備部門の人員規模約 1,175 人、ANA グループが所有する機種では、 B747-400 の受託能力を有しており、ANA グループでは 2007 年から委託しています。 ・ STARCO(Shanghai Technologies Aerospace Co,.LTD): 2005 年に ST Aerospace グループとして中国東方航空の機体重整備部門を母体として設立され中 国上海虹橋空港内に施設を有する人員規模約 800 人の整備専門会社です。JCAB/FAA/ CAAC の 認定を取得、ANA グループの所有する A320 を 2007 年から委託しています。 25 ANA グループ安全報告書 (6)航空機乗組員に対する定期訓練および審査の内容 ANA 運航乗務員は、乗務資格を維持するために定期的に訓練(年1回)と審査(年2回)を 受けなければならないため、学科訓練、模擬飛行訓練、緊急訓練、LOFT を実施してい ます。 また、訓練とは別に、シミュレーター(模擬飛行装置)での技能審査と運航便での路線 審査を受け、これらに合格することが求められます。 ※ LOFT(Line Oriented Flight Training) シミュレーターを使用して、実運用に近い環境でクルーコーディネーション能力 の向上を目的とした訓練方法 ANK、AJX、NXA、AKX、CRF、AJV ANA と同様です。 ※ AKX では 2009 年度より LOFT を実施することといたしました。CRF では 2008 年 2 月 より DHC-8-400 型機の LOFT を開始いたしました。 (7)客室乗務員に対する定期訓練および審査の内容 ANA ≪定期緊急総合訓練≫ 客室乗務員資格を維持するために行うもので、定期的(年 1 回)に訓練と審査を実施し ています。 シラバス:客室乗務員として必要な知識・技量の維持を再確認するとともに、緊急保安 の意識向上を図ります(各種緊急事態・緊急着陸水・緊急脱出・緊急総合訓 練・非常口操作・非常用装備品取扱い等) 。 ANK、AJX、NXA、AKX、CRF ANA と同様です。 運航乗務員の訓練の様子 客室乗務員の緊急脱出訓練の様子 26 ANA グループ安全報告書 (8)整備従事者に対する定期訓練および審査の内容 ANA ≪定期訓練≫ 以下の訓練を 2 年毎に実施しています。 1)AE(Authorized Engineer)定期訓練 選任時の技量を維持するため、2年毎に航空法関連規則、品質管理制度の変更内容、及 び事例分析を活用したヒューマンファクターズの知識を習得します。 2) 検査員訓練 検査員が確実な検査を継続的に行うために2年毎に知識の再確認、新しい知識の周知を 行っています。 3) 領収検査員定期訓練 領収検査員が確実な領収検査を継続的に行うために、2年毎に新しい知識の付与並びに 特別周知事項の徹底を行っています。なお、部品に係わる領収検査員は、1 年毎に行っ ています。 4)認定作業者定期訓練 認定作業者が確実な整備作業を継続的に行うために、2年毎に必要な知識・技量の再周 知を図っています。 5)ヒューマンファクター定期訓練 AE及び認定作業者に対して2年毎に事例分析を活用したヒューマンファクターズの知 識を習得します。 6)航空輸送危険物取り扱い定期訓練 初回訓練又は定期訓練を行った月から起算して24ヶ月以内に、危険物取扱いに係る知識 の再確認・新しい知識、および特別周知事項を習得します。 ≪定期審査≫ 作業者の技量を維持することを確認する為、2 年毎に「認定作業者定期審査」を実施し ています。 ANA グループ整備部門の訓練用メンテナンス・トレーング・モックアップと訓練の様子 27 ANA グループ安全報告書 ANK ≪定期訓練≫ 以下の訓練を 2 年毎に実施しています。 1) AE(Authorized Engineer)・検査員定期訓練 選任時の技量を維持するため、2年毎に航空法関連規則、品質管理制度の変更内容、及び 事例分析を活用したヒューマンファクターズの知識を習得します。 2)検査員定期訓練(航空機検査員・電装検査員・構造検査員・資材領収検査員) 検査員が確実な検査を継続的に行うために 2 年毎に知識の再確認、新しい知識の周知を 行っています。 3)認定作業者定期訓練 認定作業者が確実な整備作業を継続的に行うために、2 年毎に必要な知識・技量の再周 知を図っています 4)ヒューマンファクター定期訓練 AE定期訓練時に実施しています。内容はANAと同様です。 5)航空輸送危険物取り扱い定期訓練 ANA と同様です。 ≪定期審査≫ 作業者の技量を維持することを確認する為、2 年毎に「認定作業者定期審査」を実施し ています。 AKX ≪定期訓練≫ 以下の訓練を 2 年以内に1回以上実施しています。 1) 確認主任者リカレント訓練 品質管理制度の充実、技量の維持管理、ヒューマンファクターズに係わる不具合の防止 等を目的とし、航空法規、品質管理制度の運用、ヒューマンファクターズに係わる最新 の情報を習得します。 2) 検査員リカレント訓練 品質管理制度の充実、技量の維持管理、ヒューマンファクターズに係わる不具合の防止 等を目的とし、これらに係わる最新の情報を習得します。 3) 領収検査員リカレント訓練 品質管理制度の充実、技量の維持管理、ヒューマンファクターズに係わる不具合の防止 等を目的とし、これらに係わる最新の情報を習得します。 4)一般作業者リカレント訓練 品質管理制度の充実、技量の維持管理、ヒューマンファクターズに係わる不具合の防止 等を目的とし、これらに係わる最新の情報を習得します。 5)航空輸送危険物取り扱い定期訓練 ANA と同様です。 28 ANA グループ安全報告書 CRF ≪定期訓練≫ 確認主任者、検査従事者、監査委員、一般作業者(間接業務従事者を含む)に対し、最 新知識の付与、技量の維持、ヒューマンファクターに係る不具合の防止等を目的とし、 2年に 1 回以上実施しています。 ≪定期審査≫ 訓練終了時には、成果を評価・判定する為の審査を実施しています。 AJX、NXA、AJV 整備業務は ANA に委託しています。 ANA グループ整備部門の実技訓練の様子 29 ANA グループ安全報告書 (9)運航管理者に対する定期訓練および審査の内容 ANA ≪定期訓練≫ 原則として 1 年毎に実施しています。 ・訓練内容 :知識のリフレッシュ、運航関係の新知識、事例紹介 ・標準訓練時間:7時間 ・対象者 :運航管理者として実務に携わっており発令後1年以上を経過した者 ≪定期審査≫ 運航管理者の知識・技量を確認する為、発令後 1 年毎に行い、原則として実務審査と書面 審査を隔年毎に実施しています。 発令 実務審査 1年目 書面審査 実務審査 2 年目 3 年目 ANK、CRF ANA と同様です。 AJX、NXA、AJV ANA の運航管理者を嘱託発令しています。 AKX ≪定期訓練≫ 1 年に1回、運航管理者の職務に必要な知識および技量の維持向上を図ります。 ・訓練内容 :新しい運航関連知識または運航業務に必要な知識のリフレッシュ ・標準訓練時間:7時間 ・対象者 :運航管理業務に携わっており、発令後1年以上を経過している者 運航乗務員のブリーフィングの様子 30 ANA グループ安全報告書 (10)日常運航における問題点の把握方法およびフィードバック方法 ANA グループ全体 ANA グループでの日常運航における問題点は、主に安全や品質を扱う会議体で検討さ れ、対策が実施に移されます。また、そこで決定された内容を社内の業務ルートを通じ て周知しています。 ≪ANA グループ全体の会議体≫ 1) グループ総合安全推進委員会 ANA グループ全体の安全に関わる重要な事案について審議し、方針ならびに実行の 決定をします。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:各社の安全推進委員長 2) ANA グループ航空会社 品質推進担当者会議(オペレーション部門) ANA グループでのオペレーション品質の向上のため、品質マネジメントシステムの 構築を図り、安全・品質に関わる活動や情報の共有化、指標モニター、品質推進会 議との連携により、グループ航空会社におけるオペレーションの品質の向上と改善 を図るとともに、委託管理体制を確実なものとしています。 ・開催頻度 :月1回 ・メンバー :ANA、ANK、AJX、NXA、AKX、CRF、AJV のオペレーション統括 部門担当者 3)e. Team ANA グループ品質管理会議(整備部門) ANA グループ航空会社の整備部門全体で、機材品質、作業安全、作業品質等の整備 に関わる品質要素の重要な事項について情報を共有し、部門としての方向性を確認 しています。 ・ 開催頻度:月1回 ・ メンバー:本部長、副本部長、本部部室長、センター長、グループ会社整備部門長 4) グループ安全連絡会(運航部門) ANA グループ航空会社の運航の安全に関連する事項について、情報の共有と課題の 整理等を行います。 ・開催頻度:隔月 1 回 ・メンバー:ANA、ANK、AJX、AJV、CRF の運航部門安全担当者 5)グループ安全担当者会議(客室部門) ANA グループ航空会社全体の客室の安全品質向上に繋がる安全啓発のナレッジ化 を図るとともに、横断的な課題抽出および解決の為の施策を検討しています。 ・開催頻度:年 4 回 ・メンバー:ANA、ANK、AJX、NXA、AKX、CRF の客室部門安全担当者 31 ANA グループ安全報告書 ≪グループ全体の会議体以外での日常運航の問題点の把握手段≫ 1)安全報告制度 会社が報告すべき事象を具体的に定めている報告制度には、機長に対して報告を求 める機長報告制度/ASR(Captain Report、Air Safety Report)、客室乗務員の Irregularity Report、CA Report 等、運航管理者の Dispatcher Report、等があり、 グループ航空会社毎に運用しております。 航空法や航空局の通達により報告が義務付けられた事象は、全て会社が定めた報告 事象として設定されており、漏れがない体制になっています。 また、ANA グループの安全報告制度は、グループ航空会社毎・各生産部門で独立し た形態で運用しております。ヒヤリハット報告は、 ヒヤリとした、ハットした が、 事象として現れなかったものを自発的に報告し経験を共有するものであり、代表的 なものは客室乗務員を対象とした制度である STEP(Safety Tip From Experience) があります。運航乗務員を対象とした制度であるグループ ECHO(Experience Can Help Others)は、グループ横断的に行っています。 2)運航リスクマネジメント 2006 年度の改正航空法の施行により、航空会社に安全管理体制(*SMS)の構築が求 められています。SMS においては、運航において発生する様々な不安全情報を収集 し、リスク(事象の重大性と発生頻度)評価を行い、リスクの大きさに応じた対策を 講じる仕組みである「リスクマネジメント(課題解決の PDCA:PLAN・DO・CHECK・ ACTION を実行すること)」が中心的な役割を担っております。 ANA グループでは、リスクマネジメントの概念や海外の航空会社のリスクマネジメ ントの運用実態等について理解を深め、ANA グループに適合する体制を検討してき ました。その結果、一部の部門でのリスクマネジメントの試行を経て、2007 年 11 月 からはグループ全体での試行に拡大し、それらの経験を積んで 2008 年 4 月から ANA グループ全体での正式運用を開始しました。今後も、改善を加えながら、定着を図っ ていきます。 3) FOQA FOQA(Flight Operational Quality Assurance)は、安全運航の維持促進と運航品 質の向上を図ることを目的とするプログラムであり、すべての運航便の飛行記録デー タを分析・評価し、その結果を運航乗務員にフィードバックするとともに、組織的な 改善措置を講じています。ANA では 1970 年代に FOQA の前身となるプログラムを 導入し、その後の調査・検討を経て 1997 年に現在の FOQA の運用を開始しました。 現時点では、全ての ANA グループ会社がこのプログラムを導入しています。 4)内部安全監査 ANA グループでは、ANA グループ航空会社全社が同じ基準、同じ運用で実施する内 部安全監査制度(Group Safety Evaluation and Review program)を設定しており、 この制度に基づき、各社の独立した安全監査部門が、自社の安全管理体制を対象に航 空法令、社内規定や IATA の安全に関する要求事項等を満足しているかを確認してい ます。2008 年度は、52 回の内部安全監査を実施しました。 32 ANA グループ安全報告書 ANA ≪会社全体の会議体≫ 1) 総合安全推進委員会 ANA における安全マネジメントシステムの中心的機能として、会社全体の安全に関 わる重要な事案について審議を実施し、方針ならびに実行の決定を行います。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:各本部長と本社の主要な部門の役員 2) OR(Operation Report)会および OR2会 社長・副社長および各本部長間で、日常での ANA グループの運航に関する情報の 共有化をタイムリーに図り、不具合事象に対する早期対策を行うことを目的として います。 ・開催頻度:毎週1回 ・メンバー:社長、副社長、広報担当役員、CS担当役員、各本部長、オペレーシ ョン統括本部副本部長、東京空港支店長および ANK 社長 また毎月最終週の OR 会後に、OR2会(Operation Report&Review)として毎月 の課題をフォローする会議を開催しています。 オペレーションコントロールセンターでの業務 33 ANA グループ安全報告書 ≪オペレーション統括本部内の会議体≫ 1) 品質推進会議 オペレーションの品質(安全を含む)マネジメントを確実に実施するため、環境変 化に対応した品質方針と品質目標の更新を行い、そのマネジメントが適切かつ効果 的に行われているかを評価するとともに、不備の是正・改善を継続することを目的 としています。品質マネジメントを効果的に実施するための方針、実施事項の決議 機能を有しています。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:オペレーション統括本部長、副本部長および各部長、および ANK 空港 オペレーション統括部長 ≪運航本部の会議体≫ 1) 安全推進会議 運航本部における安全マネジメントシステムの中心的機能として、運航の安全にかか わる状況の把握、安全課題の審議、方針の決定などを行います。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:運航本部長、副本部長、各室長、関連部門部長 ≪客室本部の会議体≫ 1) 部門安全委員会 客室本部における安全マネジメントシステムの中心的機能として、客室部門全体の 安全品質にかかわる諸課題の把握や対応策の検討を行い、部門方針の機能的な推進 を行っています。SMS の実施状況についてレビューを行い、必要に応じ改善のため の提言・勧告および指示を実施し、SMS のレビューに必要な事項を総合安全推進委 員会に報告します。 ・ 開催頻度:月1回 ・ メンバー:客室本部長、副本部長、各部長、担当部長及び担当主席部員 2) ANA 安全担当者会議 安全情報の共有化を図り、部門内の安全管理を徹底するとともに、安全性向上への 具体策を検討します。必要に応じて客室部門安全委員会への報告・提言を行います。 ・ 開催頻度:月 1 回 ・ メンバー:客室本部各部安全担当管理職および担当者 ≪整備本部の会議体≫ 1)品質管理会議 整備本部における安全マネジメントシステムの中心的機能として、整備部門全体で、 機材品質・作業安全・作業品質等の整備に関わる品質要素の重要な事項について情 報を共有し、部門としての方向性を確認しています。 ・ 開催頻度:月1回 ・ メンバー:整備本部長、副本部長、本部部室長、各センター長、グループ会社整備部門 2)機材品質委員会 長時間遅発や欠航・イレギュラー運航等の重要事項に対し、対策の妥当性・適切性 の確認を行い、ANA グループ事業機の機材品質向上を図ります。 ・ 開催頻度:月1回 ・ メンバー:副本部長、整備本部部室長、グループ航空会社整備部長および担当者 34 ANA グループ安全報告書 ANK ≪会社全体の会議体≫ 1) 安全推進委員会 ANK における安全マネジメントシステムの中心的機能として、安全および運航品質 に関する重要課題の審議、方針の決定、安全意識の啓発策、高揚策の決定並びに実 施状況の確認等を行います。 ・開催頻度:年4回 ・メンバー:社長、安全統括管理者、各本部長、生産部部門長 ≪運航本部の会議体≫ 1) 運営会議 運航本部に係る主要事項を審議し決定するための会議として、運航をモニターする ための手段である機長報告等により運航の現状を把握するとともに、安全推進のた めの方針・活動等について、運航本部の意志決定を行います。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:本部長・副本部長・室長および各組織長(部長) ≪客室本部の会議体≫ 1) 客室部門 Safety 会議 客室部門の各組織長が部門の安全品質向上への施策の進捗確認・課題共有を通じた SMS の定期的なレビューを行います。 ・開催頻度:毎月 ・メンバー:客室本部長、客室部長、各乗務室長、客室部各課課長、客室部担当管 理職 2) Safety 担当管理職会議 客室の保安全品質全般の維持向上に向け、レポートや社外品質調査等の課題につい て施策を検討します。 ・ 開催頻度:年4回 ・ メンバー:客室部担当管理職、客室部キャビンサポーター、および各乗務室安全 担当管理職 ≪整備本部の会議体≫ 1)拡大部室長会議 作業安全等自社及び関連会社の安全に関する情報を共有し、再発の防止を図ります。 ・開催頻度:月1回 2)品質管理会議 作業品質、機材品質の向上を目的としています。 ・開催頻度:月1回開催 3)リスクマネジメント運営会議 エラーを誘発した要因ハザードの絞り込み情報の共有化、当該要因とリスクレベル の管理、対策部署の選定の実施および活動の進捗管理を組織的に実施することによ り、安全および品質の向上を図ります。 ・開催頻度:月 1 回 (拡大部室長会議と同時実施) 35 ANA グループ安全報告書 AJX ≪会社全体の会議体≫ 1)安全推進委員会 AJX における安全マネジメントシステムの中心的機能として、会社全体の安全に関 わる重要な事案について審議を実施し、方針ならびに実行の決定します。 ・開催頻度:月 1 回 ・メンバー:社長(安全統括管理者)、取締役、各部長・室長 その他、会社全体の会議体については ANA と同様です。 NXA ≪会社全体の会議体≫ 1)安全推進委員会 NXA における安全マネジメントシステムの中心的機能として、会社全体の安全に関 わる重要な事案について審議を実施し、方針ならびに実行の決定します。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:常勤役員、乗員部長、オペレーション部長、整備監理室長、安全監査室長 2)定例会議 主に各部門の報告/連絡事項を中心とした会議体であり、情報の共有化を図っています。 ・開催頻度:週1回 ・メンバー:役員および各部所の課長以上 ≪乗員部門の会議体≫ 1)運営会議 乗員部に係る主要事項を審議し決定するための会議として、運航をモニターするため の手段である機長報告等により運航の現状を把握するとともに、安全推進のための方 針・活動等について、乗員部の意志決定を行います。 ・開催頻度:月2回 ・メンバー:部長、副部長、室長、課長及びその他管理職制 ≪客室部門の会議体≫ 1)安全推進リーダー会議 客室安全品質全般の維持・向上に向けて課内の施策や啓発活動を立案、実施します。 開催頻度:月1回 メンバー:担当管理職および安全推進リーダー。 ≪整備部門の会議体≫ 1)機材品質リーダー会議 毎月、期間中の機材不具合の情報交換、方針の決定をします。 ・開催頻度:月1回 2)品質連絡会 毎月、期間中の品質関連の情報交換、方針の決定をします。 ・開催頻度:月1回 3)監査部門会議:監査実施状況報告、共通の課題について議論します。 ・開催頻度:2 ヶ月に一回 36 ANA グループ安全報告書 AKX ≪会社全体の会議体≫ 1)安全推進委員会 AKX における安全マネジメントシステムの中心的機能として、会社全体の安全に関わ る重要な事案について審議を実施し、方針ならびに実行の決定します。 ・開催頻度:3 ヶ月に1回 ・メンバー:常勤役員、各部門長、事務局長 2)推進会議 安全情報と安全課題の遂行状況について、情報の共有・討議を行い、対策の効果・再 発防止・技術対策について検討します。 ・開催頻度:月 1 回 ・メンバー:役員および各部所の課長以上、事業所支店長 3)モーニング 週間の運航状況・レポート・対応等を確認し、問題点やリスクを把握し、課題につい ては解決方法や期限を指示します。 ・開催頻度:週 1 回 ・メンバー:常任役員、各部門長、事務局長、事業支店事業支店長の課長以上 4)リスク評価準備会 各部門での安全情報の収集・分析から抽出された運航リスク及び対策を評価し、必要 な対策を検討・指示し、結果をグループリスク評価会議へ報告します。 ・開催頻度:月 1 回 ・メンバー:常勤役員、各部門長、事務局長 ≪客室部門の会議体≫ 1)客室運営会議 客室部門に係わる主要事項を審議し、決定するための会議です。安全に係わる内容に ついては、客室乗務員レポートから課題を抽出した上で、発生原因とそれに対する改 善策の立案を行ないます。 ・開催頻度:月 1 回 ・メンバー:客室乗務員役職者(リードフライトアテンダント:丘珠、大阪)、 運送部運送課(課長、マネージャー、客室業務担当者) ≪乗員部門の会議体≫ 1)乗員部門運営会議 乗員部門に係る主要事項を審議し決定するための会議です。運航をモニターするため の手段である機長報告等により運航の現状を把握するとともに、安全推進のための方 針・活動等について、運航部の意志決定を行います。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:運航部長、運航部副部長、査察室長、乗員訓練室長、乗員管理課長、 乗員室長(丘珠、大阪) ≪整備部門の会議体≫ 1)整備部門会議 整備部全体で、機材品質、AKX 作業品質、ボンバルディア製造品質、作業安全等の 重要な事項について情報を共有し、部門としての方向性を確認します。 ・開催頻度:月1回 ・ メンバー:取締役、整備部長、整備監査委員長、計画課長、技術課長、 品質管理課長、整備室長(北海道、大阪) 37 ANA グループ安全報告書 ≪運航部門の会議体≫ 1)運航担当者会議 本社・支店間における運航部門の業務遂行状況の共有及び課題を定期的に整理し、 スムースに課題掛けいつを図ることを目的としています。 ・開催頻度:月 1 回 ・メンバー:運航業務課長、運航業務マネージャー(運航管理者)、ステーションコントロール課長 CRF ≪会社全体の会議体≫ 1) 安全推進委員会 CRF における安全マネジメントシステムの中心的機能として、会社全体の安全に関 わる重要な事案について審議を実施し、方針ならびに実行の決定します。具体的に は、ワーキンググループを活用しながら、安全管理体制の管理、重要事項の方針決 定、安全に関する組織横断的課題解決と啓発活動を推進します。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:全常勤取締役、運航サポート部長、事務局長、各部門安全推進担当者 2) 安全推進委員会ワーキンググループ 安全推進委員会の年間活動計画に基づき、企画・調整・実施を担います。 また、組織横断的安全問題で早急な対応が必要な場合に対応策を検討し、委員会に 提言します。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:各部担当者(地上勤務客室乗務員2名、運航乗務員2名、整備士2名、 運航サポート室員 1名、業務部員 1名) 3) OR 会 オペレーションに関する特記事項の報告や情報共有を行います。 (特記事項;イレギュラー運航、機材不具合、乗務員稼働状況、スポット・地上ハ ンドリングの変更など) ・開催頻度:毎週1回 ・メンバー:全常勤取締役、全部長(担当部長含む)、各組織長(課長) ≪客室部門の会議体≫ 運営会議 客室部門に係わる運営上の主要事項を審議し決定するための会議です。安全に係わ る内容については、客室乗務員からの各種レポートから、原因や改善策の立案を行 ないます。 ・開催頻度:月2回 ・メンバー:客室部長、客室部管理職、客室乗務員役職者 ≪乗員部門の会議体≫ 乗員部会 乗員部門に係る運営上の主要事項を審議し決定するための会議です。安全に係わる 内容については、機長からの報告等により運航の現状を把握するとともに、安全推 進のための方針・活動等について、乗員部の意志決定を行います。 ・開催頻度:年6回 ・メンバー:乗員部長、運航サポート部長、乗員部、運航サポート部管理職及びス タッフ 38 ANA グループ安全報告書 ≪整備部門の会議体≫ 1)整備部会 整備部門に係る運営上の主要事項を審議し決定するための会議です。運航・機材品 質、作業安全、委託先の品質等の重要な事項について情報を共有し、部門としての 方向性を確認します。また、安全に係わる内容については、原因や改善策の立案を 行ないます。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:整備部長、整備部管理職 ≪乗員・整備部門の会議体≫ 2)PM(Pilot/Mechanic)会議 運航、整備に係る技術情報の交換及び共有を行うことにより、相互の連携を深め、 運航および整備業務の円滑化を図ることによって運航・機材の品質及び信頼性を向 上させ、定期航空運送事業会社としての使命を果たすことを目的とする。 ・開催頻度:月1回 ・メンバー:乗員部長、運航技術課長、乗員部長の指名するもの 整備部長、整備課長、整備部長の指名するもの AJV ≪会社全体の会議体≫ 1)安全推進委員会 AJV における安全マネジメントシステムの中心的機能として、会社全体の安全に関 わる重要な事案について審議を実施し、方針ならびに実行の決定します。 ・開催頻度:月 1 回 ・メンバー:社長(安全統括管理者)、取締役、各部長・室長 その他、会社全体の会議体については ANA と同様です。 39 ANA グループ安全報告書 (11)安全に関する社内啓発活動等の取り組み ANA および ANA グループ全体 ANA グループの更なる発展には安全を基盤とした成長が鍵であり、運航安全に関する対 話や参加型の活動など、航空安全の啓発および活動促進が非常に効果的であると考え、 各種の安全推進活動を ANA グループ全体で展開しました。 ≪航空安全推進・航空保安強化月間≫ ANA グループでは、1971(昭和 46)年 7 月の雫石事故、1999(平成 11)年 7 月に発生 した 61 便ハイジャック事件という痛ましい経験をした 7 月を「航空安全推進・航空保安 強化」の月間と位置付け、各種の取り組みを行っています。 その一環として「TALK SAFE(トークセーフ) 」と称し、毎年 7 月上旬に羽田空港にお いて、社外講師による講演、各生産部門の安全発表、その年度に安全確保・推進に功績 のあった個人やグループの表彰等の行事を実施しています。2008 年度の TALK SAFE で は、2007 年に起きた NH1603 高知空港事故について「事故から学ぶ」をテーマに、パネ ルディスカッション等を実施し、グループ航空会社のトップをはじめ過去最高の 425 名 が参加しました。 その他の安全月間での行事としては、客室安全の知識付与及び緊急脱出訓練の実施、コ ックピット搭乗研修も実施しています。また、TALKSAFE やその他の安全月間行事に参 加できないローカルの社員向けに「安全キャラバン」と称する安全のメッセージを直接 伝える取り組みも実施しています。2008 年度は海外(ニューヨーク、シカゴ、ワシント ン)を含む合計 18 事業所で実施し、関係会社や市内支店の社員等を含め、約 787 名が参 加しました。 「2008 年度航空安全推進・航空保安強化月間 TALK SAFE(トークセーフ) 」 NH1603 高知空港事故パネルディスカッションの様子 40 ANA グループ安全報告書 ≪秋期安全啓発活動≫ 9 月下旬から 11 月末にかけての期間で『秋期安全推進活動』として、テーマとして『自 分の行動が安全に及ぼす影響を考える』を設定し、 安全意識の低下を防ぐ活動 および 仕組みのほころびを防ぐ活動 を ANA グループ全体で展開しました。 以下に具体的な取り組みを紹介いたします。 ・運航安全推進ミーティング:ANA グループの各組織の安全推進担当者とグループ総 合安全推進室とのミーティングを各地(主要空港・事業所)で開催した。 ・安全創発のための対話:他者との間で、適切なコミュニケーションにより、各人の 能力の相乗効果を引き出し、創造的な成果を生み出す創発を、安全推進において促 すことを対話の目的とした会を各地(主要空港・事業所)で開催した。 ・運航安全の意思確認アンケート:安全について、ANA グループ社員に能動的に考え させることを主たる目的としたアンケートを実施し、結果を共有した。 ・特別点検:運航リスク評価会議で、求めた対策が既に講じられているが、それらの 効果が劣化せずに維持されていることを、ANA グループ総合安全推進室の点検によ り確認し、必要に応じ是正を促した。 「2008 年度 秋期安全啓発活動」 職場でのミーティング・対話活動の様子 41 ANA グループ安全報告書 ≪安全に関する情報提供環境の整備≫ ANA グループの 安全から安心できる航空輸送 を具現化するのは、職場一人ひとりの 「責任ある誠実な行動」であり、その実現のため、全国に散らばる ANA グループ社員に 対し、場所や時間を問わず、わかりやすく・使いやすい教材・情報発信の環境を整備し、 安全に関わる意識・認識・知識・姿勢を高いレベルで維持・向上させる働きかけを効果 的・恒常的に推進する。 以下に具体的な取り組みを紹介いたします。 1) ANA グループ内安全啓発誌「グループ安全飛行」安全情報誌「SIGN」について、 英語版の発行 2) 社内イントラネットの 安全のホームページ のコンテンツ充実 3) 安全学習教材の e-learning 化・自主学習教材の作成の推進 4) 既存の形態にこだわらない安全啓発活動の推進(マンガで学ぶ「SMS」等) 社内イントラネット上の 安全のホームページ に掲載される マンガで学ぶ「SMS」 42 ANA グループ安全報告書 ANK ANA と同様の活動のほか、安全啓発情報(運航乗務員に対する ANK Flight Safety News、客室乗務員に対する Safety Leader 通信など)を発信しています。 AJX ANA と同様の活動のほか、安全啓発情報(客室乗務員に対する Cabin Safety Promotion 誌の発行、運航乗務員に対する Flight Safety Information)を発信しています。 NXA ANA と同様の活動のほか、安全関連セミナーへの参加および新入社員に対する安全講 話を実施しました。 AKX ANA と同様の活動のほか、以下の施策を実施しました。 ・社内安全ミーティング ・FSN(Flight Safety News)の配布 CRF ANA と同様の活動のほか、3 月期に CRF SAFETY 週間を設定や、CRF SAFETY 通信をし、 啓発活動を実施しています。 AJV ANA と同様です。 ANA グループ内安全啓発誌「グループ安全飛行」 ・安全情報誌「SIGN」 (日本語版と英語版) 43 ANA グループ安全報告書 (12)使用している航空機の情報 (表 2-4-1:2009 年 1 月 1 日現在、飛行時間と飛行回数は 2008 年 4 月 1 日-2009 年 3 月 31 日の平均) 年間 平均飛行 時間 年間 平均飛行 回数 ANA 2,233 1,486 ANA 3,422 950 ANA 2,779 1,224 ANA/AJX 2,538 1,574 ANA/AJV 3,571 1,291 2,020 1,627 12.36 ANA/ANK ANA ANK/NXA 2,131 2,228 1.18 ANA/ANK 2,236 1,685 ANK AKX AKX/CRF CRF 1,462 1,686 1,333 2,027 945 980 代表的座席数 導入開始時期 B777-200 405 席 306 席 223 席 514 席 247 席 323 席 287 席 569 席 270 席 216 席 214 席 ― ― 166 席 110 席 133 席 126 席 120 席 44 席 38 席 167 席 56 席 74 席 56 席 50 席 1995.08 16 9.85 1997.09 7 6.00 1997.11 2004.08 7 13 8.88 2.19 1990.07 5 16.88 1991.11 1987.06 10 34 *1 15.37 17.17 1989.05 20 *2 7.40 2008.06 2002.08 *3 19.33 3.60 1995.08 2 4 26 5 21 2005.12 16 2007.01 2 2008.05 2001.03 2003.11 1991.04 3 5 14 2 B777-200ER B777-300 B777-300ER B747-400 B747-400D B767-300 B767-300ER B767-300BCF B767-300F A320 B737-500 B737-700 B737-700ER B737-800 DHC8-300 DHC8-400 F50 (表 2-4-2) 使用者 ANA ANK AJX NXA AKX CRF(F50*8) AJV 1990.01 使用機全体の平均機齢 9.72 年 7.39 年 8.82 年 12.36 年 4.66 年 15.17 年 7.58 年 機数 使用者 機種 *4 *5 *6 *7 *8 平均機齢 12.31 1.88 0.42 6.84 3.88 15.17 (注)*1:この内 4 機は ANA、AJX の共通の事業機 *2:20 機全てが ANA、AJX の共通の事業機 *3: 6 機全てが ANA、AJV の共通の事業機 *4:26 機全てが ANA、ANK の共通の事業機 *5:21 機全てが ANK、NXA の共通の事業機 *6:18 機全てが ANA、ANK の共通の事業機 *7:14 機全てが AKX、CRF の共通の事業機 *8:2 機全てが 1/31 に定期路線より退役 ≪機齢について≫ ANA グループで使用する全ての航空機は、航空機製造国の監督官庁が設定し、国土交通省航 空局が承認した整備要目に従って整備されており、それにより耐空性が保証されています。 例えば、機体構造に対しては一定期間毎や一定飛行時間毎に点検や保守が整備要目に設定さ れており、それに従って整備を実施しています。従って、機齢が高い機体であっても、信頼 性や安全性は十分確保されています。 44 ANA グループ安全報告書 (13)機種別・グループ航空会社別輸送実績 ① 機種別輸送実績(表 2-5-1) 機種 便数 旅客 (旅客キロ) 18,810,389,884 24,239,869,016 21,739,471,976 32,445,960,290 ― 9,169,752,710 9,654,233,144 1,505,638,730 82,206,374 ― 前年比 (%) B777-200/ER 34,181 96.5 B777-300/ER 18,989 104.7 B747-400/D 18,364 78.8 B767-300/ER 85,036 96.4 B767-300F 7,735 138.0 A320 50,406 87.5 B737-500/700/800 77,604 111.6 DHC8-300/400 38,694 105.7 *1 F50 2,784 55.9 *2 B767-200F 1413 61.4 *1 1/31 に定期路線より退役 *2 ABX 運航による ANA 便 前年比 (%) 99.8 102.6 80.8 92.8 86.3 110.7 122.8 53.9 貨物・郵便 (有償トンキロ) 213,139,265 824,063,049 333,934,586 356,258,435 303,874,423 17,501,422 17,640,588 310,045 ― 59,976,991 *ABX 社(エアボーン・エクスプレス株式会社)への委託は、2009.03.29 にて終了しました。 ②グループ航空会社別輸送実績(表 2-5-2) 【国内・国際計】 便数 ANA ANK AJX NXA AKX CRF AJV ABX 198,832 72,099 4,484 11,677 27,175 14,307 3,815 1413 前年比 (%) 94.1 98.7 163.6 130.5 103.9 89.7 154.5 74.6 旅客キロ 101,244,529,692 9,629,306,736 4,021,459,782 1,164,380,810 934,516,152 653,328,952 ― ― 前年比 (%) 91.5 97.5 115.4 122.1 118.7 110.7 ― ― 有償トンキロ 1736,560,080 17,005,181 171,504 2,847,856 76,217,935 138,353 262,186,313 59,976,991 【国内線】 ANA ANK NXA AKX CRF 【国際線】 ANA ANK AJX AJV ABX 便数 170,992 68,449 11,677 27,175 14,307 旅客キロ 65,327,833,896 8,748,736,012 1,164,380,810 934,516,152 653,328,952 有償トンキロ 472,117,863 152,182,217 2,847,856 76,217,935 138,353 便数 27,840 3,650 4,484 3,815 1413 旅客キロ 35,916,695,796 880,570,724 4,021,459,782 ― ― 有償トンキロ 1,253,917,641 1,789,470 171,504 262,186,313 59,976,991 45 ANA グループ安全報告書 (グラフ 2-1-1) グループ航空会社別輸送実績(運航便数) AJV CRF ABX AKX AJX NXA ANK 国際 ANA 国内 ANK 国内 ANA 国際 ANA 国内 ANA 国際 ANK 国内 ANK 国際 AJX NXA AKX CRF AJV ABX (グラフ 2-1-2) グループ航空会社別輸送実績(旅客キロ) ANA 国内 ANA 国際 ANK 国内 ANK 国際 AJX NXA AKX CRF AJV ABX (グラフ 2-1-3) グループ航空会社別 輸送実績(有償トンキロ) ANA 国内 ANA 国際 ANK 国内 ANK 国際 AJX NXA AKX CRF AJV ABX 46 ANA グループ安全報告書 (14)路線別輸送実績(ANA グループ全体) 【国内線】(表 2-6-1) ―幹線― 便数 座席キロ 旅客キロ (百万 SK) 千歳 伊丹 神戸 関西 福岡 沖縄 羽田計 千歳 福岡 沖縄 伊丹計 千歳 沖縄 神戸計 千歳 福岡 沖縄 関西計 千歳 沖縄 福岡計 幹線計 (回) 前年比 18,046 105.3 10,196 99.8 2,212 100.9 5,719 103.7 12,609 102.0 6,924 101.1 55,706 102.6 843 97.9 5,095 121.6 855 99.1 6,793 114.8 2,167 100.3 2,188 100.2 4,355 100.3 3,345 91.9 2,907 95.9 3,354 91.8 9,606 93.1 721 69.3 5,823 99.7 6,544 95.1 83,004 101.6 利用率 有償トンキロ (百万 PK) 5,292 2,308 368 842 5,611 5,494 19,916 276 472 535 1,283 488 685 1,173 1,087 119 1,215 2,422 467 1,287 1,754 前年比 97.2 92.0 96.3 88.6 99.6 99.9 97.5 57.0 76.3 111.9 81.1 87.2 101.3 94.9 88.6 49.4 101.8 91.0 73.0 84.8 81.3 26,548 94.6 ANAグループ 47 3,479 1,505 228 480 3,602 3,823 13,117 219 356 380 955 338 402 740 736 76 663 1,475 304 816 1,120 前年比 96.8 93.6 103.9 90.5 100.3 101.2 98.5 61.6 101.2 108.5 90.2 99.5 95.2 97.1 92.4 65.5 100.1 93.7 73.9 89.6 84.7 (%) 66% 65% 62% 57% 64% 70% 66% 79% 76% 71% 74% 69% 59% 63% 68% 64% 55% 61% 65% 63% 64% 76,948,111 16,377,125 1,165,256 8,360,601 66,466,469 71,216,729 222,991,910 2,846,308 4,810,924 6,796,341 14,453,573 2,446,905 4,851,426 7,298,331 12,758,409 15,209 1,3161,177 25,934,795 7,133,419 17,051,045 24,184,464 17,406 96.5 66% 294,863,073 国内線就航都市 ANA グループ安全報告書 ―ローカル路線― 稚内 紋別 女満別 中標津 旭川 釧路 函館 秋田 大館 庄内 八丈島 大島 三宅島 富山 小松 能登 鳥取 米子 岡山 広島 高松 松山 高知 石見 宇部 北九州 大分 佐賀 長崎 熊本 宮崎 鹿児島 941 726 1,727 721 2,181 1,449 2,899 2,918 1,434 2,898 2,054 1,068 332 4,347 3,648 1,456 2,883 3,634 3,643 5,833 3,643 4,377 2,918 728 3,643 6,888 3,650 2,489 5,722 6,413 8,496 6,547 102,306 千歳 大阪 福岡 名古屋 仙台 小松 広島 沖縄 1,438 1,378 1,458 1,459 1,448 714 722 730 9,347 羽田計 成田計 98.3 99.2 104.9 98.9 106.2 99.2 99.5 100.0 99.2 100.5 96.2 77.2 --99.6 99.9 99.7 99.9 99.9 99.8 100.4 99.9 99.9 100.1 100.6 99.9 115.7 113.7 113.9 89.4 90.3 101.6 115.4 101.4 100.6 108.2 99.9 99.9 99.8 100.8 101.3 100.1 101.3 202 113 61 165 99 259 501 442 114 330 109 18 4 728 752 128 323 471 653 1,897 715 1,286 650 84 895 185 709 467 1,289 1,211 1,115 1,960 17,936 139 125 205 67 39 23 32 298 928 78.3 99.2 86.8 101.8 94.5 85.3 99.3 104.0 99.3 107.2 96.5 74.1 --91.2 98.9 99.7 100.3 97.6 106.6 95.5 95.2 100.9 103.5 101.6 98.8 120.6 101.0 113.7 104.6 96.5 98.5 94.1 98.5 100.0 102.4 97.2 75.1 119.4 100.8 101.3 100.3 98.2 48 127 55 38 97 61 164 335 270 58 180 64 6 2 495 459 83 196 299 440 1,138 479 841 398 40 565 127 424 261 834 800 703 1,190 11,227 74 91 114 39 19 13 23 207 582 80.2 97.7 94.1 98.7 86.0 83.7 96.6 94.7 90.6 96.4 92.2 62.2 --91.5 93.9 101.4 93.0 96.1 94.0 95.2 93.3 95.0 97.1 98.5 94.6 120.6 92.9 106.8 98.3 97.0 92.7 94.5 95.0 92.5 93.1 92.1 72.3 91.8 88.3 98.4 105.5 95.0 63% 49% 63% 59% 62% 63% 67% 61% 51% 54% 58% 31% 54% 68% 61% 64% 61% 64% 67% 60% 67% 65% 61% 48% 63% 69% 60% 56% 65% 66% 63% 61% 63% 53% 73% 56% 58% 49% 58% 74% 70% 63% 348,643 1,538,396 0 382,505 0 1,538,396 4,583,852 1,045,176 58,350 582,546 650,699 97,732 81 1,579,364 833,725 1,437 751,299 1,540,202 3,496,807 12,478,750 5,199,851 5,888,090 3,426,115 6,975 3,271,801 0 2,822,102 12,785,444 9,998,888 9,829,519 8,985,510 19,631,155 113,353,410 93,292 613,678 133,974 32,194 0 0 0 2,493,540 3,366,678 ANA グループ安全報告書 釧路 大館 仙台 福島 新潟 松山 高知 石見 大分 佐賀 長崎 熊本 宮崎 鹿児島 伊丹計 仙台 神戸計 稚内 女満別 函館 松山 高知 福江 佐賀 鹿児島 石垣 関西計 稚内 女満別 旭川 函館 千歳 仙台 秋田 新潟 徳島 松山 米子 福岡 大分 長崎 熊本 宮崎 鹿児島 沖縄 名古屋計 90 730 4,354 2,147 2,905 5,129 4,362 722 2,189 1,451 2,238 2,987 3,079 3,746 36,129 725 725 243 428 878 2,192 2,177 32 91.8 101.1 110.2 101.0 100.1 100.8 58.6 99.4 100.3 100.6 74.8 101.9 115.8 99.7 92.6 100.4 100.4 100.4 58.7 98.7 150.9 116.2 94.1 1,453 99.9 10 --7,413 111.0 184 724 729 1,029 5,450 3,631 1,152 1,452 1,458 2,074 1,455 9,439 1,451 1,456 1,453 2,210 2,935 2,224 40,506 101.1 99.7 99.9 99.9 101.3 130.4 159.8 77.4 100.3 95.1 100.4 104.6 99.9 100.0 100.3 100.4 100.5 100.6 103.3 20 46 720 71 195 216 137 25 156 71 294 387 383 641 3,362 106 106 49 97 135 85 43 3 91.8 98.2 88.8 112.0 93.9 77.9 83.0 99.4 95.4 100.6 63.5 95.5 110.7 99.3 90.6 100.4 100.4 99.2 63.2 55.2 131.2 76.3 87.2 116 92.8 2 --530 76.0 34 124 118 140 977 239 62 102 31 81 42 871 114 159 141 273 298 1,175 4,979 101.5 97.6 90.3 97.1 93.7 110.3 110.7 91.8 108.8 97.5 94.7 96.0 93.4 101.8 96.2 97.7 97.6 99.0 97.2 49 11 19 476 48 117 144 83 10 79 32 177 242 221 381 2,039 36 36 34 60 107 32 15 2 46,690 1,686 5,377,129 66.8 75.9 89.9 117.2 97.2 83.9 85.2 90.5 79.3 99.4 80.4 89.7 98.8 94.0 90.1 85.4 85.4 99.3 58.6 63.9 102.0 91.7 92.1 54% 41% 66% 68% 60% 67% 61% 40% 51% 44% 60% 62% 58% 59% 61% 34% 34% 68% 61% 79% 37% 35% 53% 59 96.1 1 --308 74.6 51% 62% 58% 192,893 98,383 46,948 2,279 408,340 19,923 853,774 2,854,371 1,507,214 3,369,800 14,779,430 26,922 26,922 1,442 113,015 147,341 8,664 1,005 0 2,391,412 106,408 0 2,769,287 60% 64% 62% 76% 70% 60% 51% 41% 35% 54% 48% 66% 54% 59% 62% 50% 68% 69% 65% 3,574 79,850 91,038 341,630 4,339,247 450,697 11,940 167,700 0 1571 0 3,101,958 255,713 265,957 69,862 433,928 603,304 11,145,691 21,363,660 20 80 73 106 680 143 31 42 11 44 20 573 62 94 87 136 203 813 3,219 104.3 96.9 78.5 93.3 93.4 99.3 89.1 81.9 86.3 102.4 94.9 96.5 86.7 93.8 94.8 92.9 97.4 94.8 94.3 ANA グループ安全報告書 千歳 千歳 仙台 千歳 小松 富山 新潟 広島 岡山 福岡 福岡 福岡 福岡 仙台 新潟 広島 沖縄 沖縄 熊本 沖縄 鹿児島 沖縄 沖縄 丘珠 丘珠 丘珠 丘珠 丘珠 仙台 仙台 八丈島 その他計 ローカル計 利尻 稚内 千歳 福島 千歳 千歳 千歳 千歳 千歳 新潟 小松 福江 対馬 沖縄 沖縄 沖縄 高松 長崎 沖縄 宮崎 沖縄 石垣 宮古 稚内 女満別 中標津 釧路 函館 小松 広島 大島 664 665 4,619 1,435 722 720 1,683 721 719 728 1,458 2,149 2,856 729 479 729 728 730 729 733 2,182 7,889 3,624 680 1,408 2,103 1,686 2,885 723 728 661 48,565 99.7 96.9 105.4 100.5 99.3 98.9 99.4 99.2 98.6 50.0 80.1 87.6 77.9 100.3 99.0 100.4 133.1 100.6 100.3 101.2 100.6 100.1 100.8 99.7 98.6 99.6 80.9 93.7 99.7 101.3 95.9 95.2 31 30 489 153 190 169 211 318 251 108 166 72 70 404 154 229 240 84 179 105 207 477 162 12 26 45 27 42 59 121 23 4,851 100.2 81.2 85.2 106.2 97.5 95.4 99.4 77.4 97.0 40.2 83.7 115.6 93.8 99.0 99.0 98.8 126.9 98.1 99.0 101.5 98.8 99.7 96.7 99.7 98.6 99.6 80.9 93.7 104.6 101.3 96.0 93.1 11 9 290 76 94 84 122 165 148 71 112 28 39 273 82 179 134 47 91 59 131 287 90 6 15 31 13 25 24 64 3 2,801 109.2 104.1 85.3 94.3 94.7 92.1 96.1 81.6 96.8 46.2 91.3 95.0 96.5 100.3 87.9 92.4 120.0 91.2 98.9 103.2 95.9 96.7 98.5 98.8 94.7 111.4 71.7 81.8 93.4 93.3 47.5 91.8 34% 30% 59% 49% 50% 49% 58% 52% 59% 66% 67% 39% 56% 68% 53% 78% 56% 57% 51% 57% 63% 60% 56% 50% 56% 69% 47% 59% 41% 53% 11% 58% 1,147 2,586 1,832,993 222,045 1,224,601 1,137,311 751,803 3,080,717 1,721,138 81,310 426,387 83,140 113,381 2,069,033 87,295 2,008,636 1,668,381 60,271 1,689,650 215,157 968,855 2,486,765 1,218,391 0 0 449 0 1,266 24,116 101,061 150,318 23,428,203 235,644 99.2 31,764 96.1 19,630 93.5 62% 17,572,091,200 50 ANA グループ安全報告書 【国際線】 (表 2-6-2) 便数 (回) ニューヨーク ワシントン シカゴ ロサンゼルス サンフランシスコ ホノルル 米国計 ロンドン パリ フランクフルト 欧州計 瀋陽 大連 青島 北京 天津 上海 杭州 厦門 香港 広州 中国計 仁川 シンガポール バンコク ホーチミンシティ ムンバイ 台北 アジア計 成田計 瀋陽 大連 青島 北京 天津 上海 杭州 厦門 香港 中国計 仁川 台北 バンコク グアム アジア計 関西計 座席キロ 旅客キロ 利用率 有償トンキロ (%) (万 TK) 前年比 (百万 SK) 前年比 (百万 PK) 前年比 728 728 727 728 728 736 4,375 732 732 730 2,194 314 728 730 1,458 100.0 99.6 99.3 99.5 99.5 99.7 99.5 100.0 99.7 99.7 99.8 100.6 99.7 99.7 99.7 1,946 1,949 1,808 1,577 1,479 963 9,721 1,733 2,278 1,959 5,970 108 266 148 671 100.0 99.5 99.3 99.2 100.1 99.4 99.5 92.5 100.1 99.6 97.6 100.6 91.1 100.0 97.9 1,415 1,330 1,191 1,144 1,066 739 6,886 1,242 1,851 1,587 4,680 46 156 80 390 100.0 91.2 89.7 87.9 90.3 88.8 90.3 84.1 95.0 93.8 91.5 82.5 99.1 95.0 84.8 72.7 68.3 65.9 72.6 72.1 76.7 70.8 71.6 81.3 81.0 78.4 43.1 58.6 54.0 58.2 2,080 416 728 1,456 1,458 9,368 730 1,459 1,433 521 750 1,453 6,346 22,283 364 398 729 728 95.0 99.5 99.5 99.5 103.9 99.2 99.7 99.7 97.9 111.3 169.3 99.7 105.3 101.0 87.9 189.5 230.7 99.5 822 174 232 1,014 832 4,267 152 1,672 1,884 488 167 680 5,043 25,001 65 113 109 274 88.6 99.5 98.3 88.0 94.2 92.6 99.6 99.7 100.8 111.3 199.5 99.6 102.8 98.4 87.7 189.5 213.2 99.1 432 58 139 737 338 2,377 113 1,042 1,316 327 61 518 3,378 17,320 27 27 54 109 80.5 59.7 92.1 79.0 86.3 82.9 101.2 88.9 92.6 108.3 160.1 105.1 95.4 90.4 79.9 133.8 168.9 66.8 52.6 33.3 60.2 72.7 40.6 55.7 74.2 62.4 69.9 66.9 36.6 76.2 67.0 69.3 41.5 23.6 49.7 39.7 1,458 314 416 728 5,135 746 100.0 100.0 99.5 98.4 111.6 101.6 408 63 99 385 1,516 107 100.0 62.9 99.6 98.3 103.8 104.3 185 32 45 276 756 87 83.6 61.9 80.3 89.2 85.1 100.8 45.4 51.9 45.6 71.6 49.8 81.4 577 1,323 6,458 78.4 90.0 106.4 314 421 1,937 78.4 83.7 98.7 201 288 1,044 65.0 72.9 81.3 64.0 68.4 53.9 51 15261.5 12240.2 14604.6 11354.8 9494.4 1135.6 64091.1 13325.2 9626.6 11004.6 33956.4 212.7 1127.2 1324 2044.5 4628.7 4677.9 486.2 711.5 5627.9 2616 23456.6 383.9 6332 8232.3 1224.4 0 1960.1 18132.7 139636.8 157.6 774.6 497.7 537.3 960.9 2020.6 80.1 1173 3699.8 9901.6 138.1.9 704.7 2714.7 262.9 3682.3 13583.9 ANA グループ安全報告書 シカゴ 米国計 上海 天津 広州 中国計 仁川 台北 アジア計 名古屋 計 虹橋 香港 金浦 羽田計 旅客便計 13853.1 13853.1 42.6 42.1 84.7 169.4 32.2 1.2 33.4 730 721 723 2,174 730 410 1,140 100.3 99.6 99.0 99.6 99.7 56.1 77.9 117 154 219 490 118 91 209 91.6 100.6 131.5 109.6 101.8 55.9 75.0 68 52 73 193 91 64 155 82.7 81.6 147.4 98.7 117.8 56.6 81.5 58.2 33.8 33.3 39.4 77.2 69.8 74.0 3,314 728 724 1,462 2,914 34,969 90.9 196.8 --99.9 159.0 104.0 700 289 428 448 1,166 28,803 96.3 193.1 --107.8 206.1 100.5 348 120 306 350 775 19,487 90.2 157.5 --107.0 192.4 91.8 49.7 14055.9 41.4 115.9 71.4 522.9 78.0 305 66.5 943.8 67.7 168320.4 ANAグループ 国際線就航都市(2009 年 6 月現在) 52 ANA グループ安全報告書 3、航空法第 111 条の 4 に基づく「航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態」の発生状況 ANA グループにおける、2008 年度に発生した航空機事故やトラブルの発生状況について ご報告します。 航空局への*義務報告事象の発生件数と発生率(1,000 便あたり) (表 3-1) 種類 航空事故 重大インシデント イレギュラー運航 安全上のトラブル 運航便数 2006年度 1 (0.003) 2 (0.006) 42 (0.123) *112 (0.694) 340,162 2007年度 1 (0.003) 2 (0.006) 41 (0.121) 236 (0.694) 340,109 2008年度 0 (0.000) 1 (0.003) 43 (0.129) 306 (0.916) 334,100 * 2006 年度の「安全上のトラブル」はデータを取り始めた下期からのものです。 * データは、*義務報告基準が明確化された 2006 年度からのものとしております。 航空事故とは? 航空機の運航によって発生した人の死傷(重傷以上)、航空機の墜落、衝突火災、 航行中の航空機の損傷等の事態が該当し、国土交通省が認定します。 重大インシデントとは? 航空事故には至らないものの、事故が発生する可能性があったと認められるもので、 滑走路からの逸脱、非常脱出等が該当し、国土交通省が認定します。 イレギュラー運航とは? イレギュラー運航とは、航空機の多重システムの一部のみの不具合が発生した場合 等に、乗員がマニュアルに従い措置した上で、万全を期して引き返し等を行った結 果、目的地等の予定が変更されるものです。一般的には、直ちに運航の安全に影響 を及ぼすような異常事態ではありません。 安全上のトラブル(義務報告)とは? 安全上のトラブルの項(P.55)をご参照ください。 53 ANA グループ安全報告書 (1)事故 ANA グループでは、2008 年度は事故の発生はありませんでした。 (2)重大インシデント ≪ANA 運航の NH18 の重大インシデント≫ 1)重大インシデントの概要 2009 年 3 月 20 日、大阪伊丹空港発羽田空港行き ANA18 便(JA8969、B777-200 型機)は、伊丹空港の滑走路 32L を離陸する際、滑走路 32R を離陸する ANA181 便 への管制指示を自機への指示と誤聴取し滑走路 32L に進入しました。ANA18 便が進 入した滑走路には、ジャル・エクスプレス社の JEX2200 便が管制官から指示を受け 着陸進入中であり、当該機は管制官の指示により着陸復航を行いました。 本事象は「閉鎖中の又は他の航空機が使用中の滑走路への着陸又はその試み」に 該当する重大インシデントと認定されました。 2)推定原因 現在、国土交通省運輸安全委員会が原因調査中です。 3)対策 社内においては、以下の対策を講じました。 ① 全運航乗務員に対し、下記内容の注意喚起を行いました。 ・ 管制指示・許可の聴取と復唱には、類似便名にも十分注意を払うこと ・ 他の航空機に対する管制指示も積極的に聴取し、状況確認に努めること ・ 疑問があれば相互確認するとともに、管制官に確認すること ② *ECHO 誌(運航乗務員からの自発報告をフィードバックをする社内情報)に より、全国主要空港の類似便を紹介し、注意を喚起する措置を講じました。 ③ 類似便名問題を改善するため社内に「類似便名プロジェクト」を設置し、検討 を開始しました。 運輸安全委員会による調査結果が公表され、さらに対応すべきものがあれば、適切に 対応していきます。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 54 ANA グループ安全報告書 (3)その他、安全上のトラブル (2008 年 4 月 1 日∼2009 年 3 月 31 日の発生状況) 2006 年10月1 日の改正航空法により、航空事故等を防止する手段として、航空事故や重大イ ンシデントに至らなかった事案に関する情報についても航空関係者で共有し、予防安全対策 に活用していくことを目的に、本邦航空運送事業者及び航空機使用事業者は、従来の航空輸 送の安全に関わる情報(①航空事故、②重大インシデント)に加え、新たに「その他の航空 機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事態」を国に報告することが義務付けられました。 「安全上のトラブル」とは、上記「その他の航空機の正常な運航に安全上の支障を及ぼす事 態」のことで、これらのトラブルが積み重なった場合には事故を誘発することにもなりかね ないものの、それ自体は航空機の安全な運航にはほとんど影響はなく、直ちに航空事故につ ながるものではありません。 昨年度ANAグループでは、「安全上のトラブル」が全体で306件(2007年度236件)発生しま した。 ※個別の概要は、ANA ホームページ(ANA Sky Web)「安全・運航情報」に掲載しています。 (グラフ 3-1) 2008年度 安全上のトラブル(月別推移) 40 31 35 30 25 26 27 23 34 28 17 23 22 20 25 17 23 20 37 15 10 5 0 07平均 08平均 4月 5月 6月 7月 55 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 ANA グループ安全報告書 ≪安全上のトラブルの概要≫ 2008 年度、ANA グループにおきましては、『安全上のトラブル』としての報告事象が 236 件から 306 件へ増加しておりますが、これは国の定める報告事象の社内解釈を変更 し、より安全なサイドへ報告対象項目を増やしたため(B767 系統・B747-400 系統に使 われるエンジンのスラストリバーサーが着陸正常作動した後に元の位置に戻らない事 例等 計 66 件)であり、それらを除くとほぼ昨年と同等水準でした。 全体の傾向としては、「航空機の緊急操作を要した事態」の報告件数が多くなっており ますが、当該報告事象は、TCAS RA(航空機衝突防止装置の警告)により回避した事 象と GPWS(対地接近警報装置の警告)により回避した事例が、ほぼ半数を占めてい ます。 TCAS (航空機衝突防止装置)は、航空機同士の空中での衝突を防止するために、周 囲を飛行する航空機の情報を感知し、必要により運航乗務員に危険を知らせるとともに 回避指示を自動的に発する装置で、管制機関の指示に従って運航している場合であって も、TCAS RA は相手機の上昇率等や位置関係によって作動することがあります。 また、GPWS(対地接近警報装置)は、航空機が地表や海面に接近した場合に運航乗 務員に警報を発する装置ですが、地形等により作動することがあります。 いずれのケースも、予め設定されたシステム上の基準に従って装備機器から警報が発せ られ、航空機はその指示に従うことで適切な回避ができており、深刻な事態につながる ものはありませんでした。 これらの事例と鳥衝突や被雷等の外的要因による運航中の航空機の損傷(約 9%)を除 いた、残りの事例約 170 件(全体の約 45%)につきましては、航空機の機器・システ ムの不具合等に関する事象ですが、各部門にて要因分析の上、必要な改善・再発防止の 課題解決を進めております。 次項以降に、グループ航空会社別・事象別・機種別の発生状況の概況をお知らせします。 56 ANA グループ安全報告書 【グループ航空会社別発生状況】 (表 3-2) ANA ANK 国内線 国際線 鳥衝突・被雷等の航空機損傷 19 システムの不具合 72 AJX NXA AKX CRF 国内線 国際線 3 3 1 1 0 1 0 9 15 0 6 4 14 3 AJV 計 07 年度 0 28 14 3 126 58 エンジン・プロペラ等 50 5 5 0 2 0 2 1 2 66 - 与圧系統 3 0 2 0 0 0 0 0 1 6 - 通信系統 2 0 3 0 1 0 0 0 0 5 - 表示警告 12 3 1 0 3 1 2 0 0 22 - 着陸装置 2 0 2 0 0 1 8 0 0 13 - その他 3 1 2 0 0 2 2 2 0 11 - 非常用機器等の不具合の発生 4 0 0 0 0 0 1 0 0 5 7 制限・規程値を超えた運航 2 1 0 0 0 0 1 1 2 7 20 運航中の急激な操作 58 13 22 2 3 2 5 4 0 109 100 航空機衝突防止装置作動 50 12 19 2 2 2 5 3 0 97 - 対地接近防止装置作動 6 0 3 0 0 0 0 0 0 9 - その他 2 1 0 0 1 0 0 1 0 5 - その他 19 4 3 3 0 0 1 0 1 31 37 計 174 30 43 6 10 6 23 8 6 306 236 発生率(1000 便あたり) 1.02 1.11 0.63 0.17 2.2 0.51 0.84 0.56 1.57 0.916 0.694 ※ 事故・重大インシデントに認定された事象は含んでいません。 ※ ABX運航便は含んでいません。 (グラフ 3-2) 2008年度 安全上のトラブル(グループ航空会社計 事象別) 31 鳥衝突・被雷等による航空 機損傷 システムの不具合 28 非常用機器の不具合 制限・規定値を超えた運航 126 109 7 5 機器の指示による急操作 その他 【参考】 2007年度データ 37 14 58 7 100 57 20 ANA グループ安全報告書 【機種別発生状況】 (表 3-3) B777 B747-400 B767 B737 A320 DHC-300 DHC-400 F50 他 その他 5 6 4 0 0 2 0 0 0 1 22 20 1 1 6 2 17 12 0 0 4 0 1 1 1 4 4 0 0 4 16 57 43 1 1 7 1 4 2 2 28 25 1 2 11 3 18 5 2 2 2 3 4 0 0 23 21 2 0 6 1 15 1 3 2 5 1 3 1 1 23 16 5 2 0 0 4 0 0 0 2 1 1 0 0 2 2 0 0 0 1 12 2 0 0 0 7 3 1 2 6 6 0 0 1 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 計 40 29 114 50 41 6 23 2 1 0.77 1.53 1.23 0.64 0.81 0.71 ー 鳥衝突・被雷等の航空機損傷 システムの不具合 エンジン・プロペラ等 与圧系統 通信系統 表示警告 着陸装置 その他 非常用機器等の不具合の発生 制限・規程値を超えた運航 運航中の急激な操作 航空機衝突防止装置作動 対地接近防止装置作動 その他 発生率(1000 便あたり) 0.75 ※ 事故・重大インシデントに認定された事象は含んでいません。 ※ ABX運航便は含んでいません。 ※ 他とは、装備品整備中に発見された不具合です。 (グラフ 3-3) 2008年度 安全上のトラブル(機種別) DHC‐8‐300, 6 DHC‐8‐400 ,23 F50, 2 その他, 1 A320系列, 41 B737系列, 50 B747系列, 29 B777系列, 40 B767系列, 114 【参考】 2007年度 データ DHC‐8‐300, 10 DHC‐8‐400 , 25 F50, 2 その他, 0 B777系列, 51 A320系列, 26 B747系列, 26 B737系列, 39 B767系列, 84 58 ANA グループ安全報告書 4.輸送の安全を確保するために講じた措置 (1)国から受けた事業改善命令等 ANA グループ 2008 年度、ANA グループにおきましては、航空法に基づく国土交通大臣による事業改善命 令等の行政処分は受けておりません。しかしながら、グループ航空会社において航空局から 文書による厳重注意を受けるに至る事象が起きておりますので、再発防止対策を含め下記の 通り報告いたします。 ANK ≪耐空性改善通報による整備の確実な実施について≫ (内容) B737-500 型機において、耐空性改善通報(TCD)により胴体外板の結合部およびドア周辺部 の傷の点検について、指示された繰り返し点検の実施期限を超過した事象が発生しました。 (再発防止対策) 該当機に対し、点検を実施するとともに、当社 B737 に関わる全ての TCD に対し適切に処理 されていることを確認しました。また、TCD の確実な実施を図るべく、下記の対応を実施し ました。 1) TCD に関わる、実施要件が複雑なメーカー技術情報ついての検討体制強化(処理に関 わる業務量に応じた検討体制の構築) 2) チェックシートの運用を含めた TCD の実施段階における組織チェック機能強化 3) TCD の重要性及び処理要領の周知徹底等の整備技術課員に対する再教育の実施 AKX ≪乗務員の不適切な行為について≫ (内容) 2008 年 12 月 6 日の運航便において、乗務員(機長)が運航中に操縦室においてデジタルカ メラによる撮影を行い、会員制インターネットに掲載していた事例がお客様からの問い合わ せをきっかけに判明しました。 (再発防止対策) 当該事象について、当該運航乗務員(機長、副操縦士)からのヒアリング等を踏まえ、社員 のコンプライアンス意識・コックピット内でのコミニュケーションの観点から、再発防止に 向け下記の対応を図りました。なお、合わせて関係者への懲戒・厳重注意等の措置を行いま した。 1) 事例を周知し注意喚起を行う水平展開(社長名注意喚起文書、運航乗務員を対象とした 緊急ミーティング、コックピット内でコミニュケーションの重要性の啓蒙 等)の実施。 2) 運航乗務員に対するコンプライアンス教育の充実(外国乗務員への対象拡張、リカレン ト教育の実施)。 59 ANA グループ安全報告書 CRF ≪社内・外関係者を操縦席に着席させた件について≫ (概要) 過去の運航便・空輸便において、運航乗務員以外の社内外関係者を操縦士席に着席させた事 例が、以下の通り判明しました。 1)2005 年 3 月 9 日 ANA1813 便(名古屋発新潟行)、同 30 日 ANA1817 便(名古屋発徳島行) 2)2007 年 12 月 14 日 NV581 便(名古屋発仙台行の空輸便) 3)2008 年 2 月 1 日 ANA3201(成田発名古屋行) (再発防止対策) 運航乗務員・客室乗務員としての行動・姿勢、法令規定遵守の社内風土の醸成等の各面から 下記の対応を図りました。なお、併せて関係者への厳重注意等の措置を行いました。 1)事例を周知し注意喚起を行う水平展開を実施しました。 2)類似事例発生の有無に関する調査を行いました。 3)全ての社員に対し、日常業務全般での法令・規程遵守の状況について「規程に関わる緊 急点検」を実施しました。 4)操縦室内の行動(運航乗務員およびジャンプシート許可時の運用)についての規定の徹 底を図りました。 5)社内コミュニケーションの強化を実施いたしました。 60 ANA グループ安全報告書 (2)輸送の安全を確保するために講じたその他の措置 2008 年度の ANA グループでのイレギュラー運航は、43 件となっています。 イレギュラー運航の発生原因については機種・事象等に集中傾向はなく、また 2005 年度の 64 件(内 23 件はボンバルディア社製 DHC-8-400 型機)を除き、2004 年以降(04 年度 45 件、 05 年度 64 件、06 年度 42 件、07 年度 41 件)と、全体として安定傾向にあります。 また DHC-8-400 型機の事例も、2006 年度 14 件、2007 年度 5 件、2008 年度 7 件と減少傾向に あり、メーカーとの連携等の品質向上の取り組み等の結果、他の機種と遜色のない水準とな ってきております。 ANA グループでは、今後も更なる機材品質向上を目指し、お客様に安心してご搭乗いただ くための取り組みを行なっていきます。 ≪NH1603 高知空港事故報告書の概要について≫ 昨年 5 月、国土交通省 航空・鉄道事故調査委員会(以下、事故調)から、2007 年 3 月に前 脚が出ないまま高知竜馬空港に着陸した NH603 便 JA849A(ボンバルディア社製 DHC-8-400 型機)の航空事故調査報告書が公表されましたので、その概要と ANA グループの取り組み をご報告いたします。 1)概要 今回の事故は、国際民間航空機関(ICAO )条約の定めに基づき、事故発生国である日本の 事故調が主管し、事故機であるボンバルディア社製 DHC-8-400 型機の製造国であるカナダの 事故調が協力する体制で調査が行われました。 調査結果から推定原因は、前脚ドア開閉機構のトグル・リンクおよびブッシング(管継手) に取り付くボルトとナットが、同機が ANA に引き渡される前から取り付けられていなかった ため、繰り返し飛行中にブッシングが抜け出し、前脚ドア開閉機構との干渉により事故に至 ったものと*推定されました。原因がボンバルディア社の作業に因るものであることから、 カナダ国運輸省に対して品質管理体制を強化するよう、同社を指導する旨の安全勧告が出さ れました。 *事故調の報告書で使用される「推定される」は、「断定できないが、ほぼ間違いない」 ことを、「考えられる」は「可能性が高い」ことを意味します。 2)ANA グループの取り組み ANA グループにとっても今回の事故は近年にない大きな事故であることから平行して調査 を実施し、ボンバルディア社に対して品質管理体制の改善・当事故の再発防止対策などを求 めました。また、事故直後より、今回の事故に関係する部位のみならず、重要な機構に関す る品質確認のための点検強化等の取り組みを、グループ整備部門の総力をあげて推進してき ました。以下に主な取り組みについて紹介します。 ① ② ③ ④ ⑤ ANA グループおよびボンバルディア社共同での DHC-8-400 型機の設計品質向上 自社及び他社で経験したイレギュラー運航・不具合事例を踏まえた特別点検の実施 改修プログラムの積極的実施 新造機領収検査体制強化 ライン整備体制強化 61 ANA グループ安全報告書 ≪ヒューマンエラーに関わる安全報告の取り扱いについて≫ 業務上発生する不安全事象の多くは、誰でも起こす可能性のあるヒューマンエラーに起因し たものです。しかしこういった事象は、直接的な関係者の責任を追及する(処罰する)こと で再発防止が図られるものではなく、 「なぜエラーが起きたのか?」という真の原因究明を行 い、再発のリスクを排除することの方が大切だと考えます。 その基軸となるのは不安全事象に至るリスクを適切に把握、評価し管理していくこと(すな わち*リスクマネジメント)、そして、これを適切に運用していくためには、より多くの安全 情報の収集が不可欠であり、しっかりと報告される制度が根付いていることが必要です。 図 3-1 そこで、ANAグループ航空会社では、安全運航に携わる従業員が日々の業務の中で経験し、 あるいは見聞きし気付いた出来事を、精神的な負担なく、より積極的かつ正確に報告できる 環境を整備することを目的とし、安全報告の取り扱いを決定いたしました。 運航の安全に関わる報告事象を対象として、ヒヤリハット(ヒヤリとした、またはハットし たが、何も起こらずに済んだ事象)を中心とした自発的に報告される事象については、これ までも「不利益な取り扱いは行わない」との運用を徹底してきており、今後も継続します。 そして今般、国や会社が定めた*義務報告事象となるような、発生してしまった不安全事象 についても、ヒューマンエラーに起因し避けることができなかったと判断される場合は、社 内規程上の懲戒処分、その他の不利益な取り扱いは一切行わないことを明確化し、2009年度 からANAグループ航空会社において運用することといたしました(尚、故意による不安全 行為や虚偽・隠蔽行為、また意図的な無謀行為や、甚だしい怠慢行為が認められた場合を除 きます)。 この取り扱いをきっかけとして、グループ内のあらゆる場面での信頼関係、一人ひとりの安 全に対する意識の高まり、安全優先の職場風土の定着が更に図られ、 「報告することを当たり 前とする風土」への変革を促していきます。 62 ANA グループ安全報告書 (3)2008 年度における安全に関する目標とその実施状況、達成度及びその評価 ≪ANA グループ全体の 2008 年度の安全目標と評価について≫ 安全の構築を基盤とした 2006 年の航空法改正以降、ANA グループでは安全管理規程の設定や 安全管理体制の充実を図ってまいりましたが、今後、更にグループとしての安全性を高めるた めには、安全優先の企業文化を浸透させるための啓発・教育の取り組みを継続するとともに、 運航リスクマネジメントや内部安全監査における運用面等の課題解決に積極的に取り組み、そ の成果をさらに有効なものにしていく必要があると考え、2008 年度においては、安全運航を支 える、「グループ社員の高い安全意識による責任ある誠実な行動」と「不安全事象防止の PDCA が実践できる確かな仕組み」を強化すべく、グループ一体となり取り組んで参りました。 以下に、グループ航空会社別・各部門別の実施項目・達成度及びその評価の概況を紹介いたし ます。 これらの目標に基づいた施策・活動により、昨年度に引き続き、ANA グループの安全管理体 制の充実は着実に図られております。 ANA グループ安全教育センター(東京下丸子) グループ社員3年間3万人受講計画実施中(2009 年度末まで) 出張ASEC:下丸子での受講が物理的に困難な事業所社員への受講手段として、 ASEC 教官が事業所(海外含む)に出張して ASEC 安全教育教務を実施する受講環境を整えました。 63 ANA グループ安全報告書 ≪2008 年度 ANA グループ全体としての安全目標の実施状況≫ (1) 「グループ社員の高い安全意識による責任ある誠実な行動」の強化に向けて 安全に関する情報の発信・展開のためのインフラを充実させ、情報の広範かつ均質な提供に 取り組むと共に、今後の事業規模の拡大により予想される雇用リソースの多様化等に対応した 教育・啓発体制を幅広く整備する。 ≪実施状況≫ 安全意識の教育・啓発の推進については、「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」と して進めてきた *ASEC の受講を計画的に進め、ANA グループ社員の全体での受講実績は約 26,200 名(全体の約 76%)が受講完了しました。 合わせて、教育・訓練の設定や情報の入手について時間や場所的制約がある地方基地やフロ ントライン部門のグループ社員を対象とした e-learning や自主学習教材の作成を進めるとと もに、ANA グループ内イントラネットでの情報提供環境の充実を図り、安全に関する情報を適 切なタイミングで効果的に提供する体制を整えました。 また、安全の大切さを従業員に「直接伝える」取り組みとして、過去の ANA グループの事 故経験者の体験談等を含め、全国に向けた安全キャラバンや航空安全月間での座談会の開催等、 直接伝える啓発活動を拡大しました。 (2) 「不安全事象防止のPDCAが実践できる確かな仕組み」の強化に向けて これまでに整備してきた「安全管理体制」及び「安全に関するグループ運営体制」の仕組み の下、仕組みそのもののレベルアップをすすめ、不安全事象の防止に関わるPDCAサイクル の確実な遂行を図る。 ≪実施状況≫ 日常運航での不安全要素を把握するための「*運航安全に関するリスクマネジメント」の仕組 みの精度を向上させるべく、部門横断的なリスク評価員の育成・教育の積極的な展開や他社の 活用事例の調査・研究等を進め、確実な不安全事象防止策の実行と管理を推進しました。 また、安全報告の活性化に向けた環境整備の一環として、不安全要素のより広範な抽出を目 指し、ヒューマンエラーに関わる安全報告における非懲罰の取り扱いを 09 年度からグループ航 空会社で運用することを決定し、環境整備を整えました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 64 ANA グループ安全報告書 ≪2008 年度 ① ANA の各部門における安全目標の実施状況≫ オペレーション統括本部 実施項目 実施状況 1 「グループ社員の高 い安全意識による責 任ある誠実な行動」 の強化 2 「不安全事象を防止 ・ ANA 便が就航する国内50空港の業務監査を計画通り実施す るとともに、監査不適合事項を水平展開するためイントラネ する PDCA を実践する ット等の情報共有環境を整備しました。 ための確かな仕組み」 ・ 2009 年度から、空港および本部にて部門内の*自発報告制度 の強化 運用開始に向け、規程および運用要領を設定しました。 ・ 部門内での*自発報告制度のリスク評価を確実に行うため、 *ヒヤリハットリスク評価員を各空港に養成しました。 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 336 名(部門内 95.7%)が受講しました。 ・ スタッフ部門ヒューマンファクターズ訓練を新たに設定し、 本部スタッフに対する訓練を実施しました。 ・ グランド・ハンドリング部門の安全に関わる教育体系を明確 にするため、グラハン・アカデミー(グランド・ハンドリン グ部門の教育・訓練組織)で実施している安全教育の規程化 を図りました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 ② 客室本部 実施項目 実施状況 1 日常保安安全業務の 徹底 ・四半期毎に安全テーマを掲げ、部門全体で取り組みました。 ・定期緊急総合訓練で、日常保安安全業務のリカレントを実施 しました。 2 ASEC 教育を始めとし た安全教育の充実に よる安全意識の啓蒙 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 4223 名(部門内 95.6%)が受講しました。 ・Safety Leader 教育を実施し、Leader としての安全意識の高 揚を図りました。 3 *SMS の実施状況の定期 的な点検と見直し ・ *SMS(安全マネジメントシステム)に基づき、部門内のリス ク評価体制を構築、適宜実施方法の改善を図りました。 部門安全課題への組 織的な対応力強化 ・ 部門内での解決が困難な課題の解決に向け、他部門との連携 し取り組みました(機内持ち込み手荷物削減など)。 4 *用語の説明は最終ページを参照願います。 65 ANA グループ安全報告書 ③ 運航本部 実施項目 実施状況 1 安全管理体制(*SMS) に則った安全推進活 動の展開 ・*SMS(安全マネジメントシステム)に基づき、部門での運航リ スクマネジメントの実施体制や「機長報告書取り扱い要領」 を改善し、運航リスクマネジメント評価基準に基づく評価を 2009 年度から開始することとした。 2 個別安全プログラム の運用 ・機長報告書への対応とヒューマンファクター分析を積極的に 実施しました。 ・*LOSA データから判明した留意点をフィードバックしました。 ・*FOQA 義務化への対応と過去データの有効活用を推進しました。 ・グループ*ECHO 制度の活性化に向けて、運航乗務員の理解促進 ヒヤリハット報告 と投稿環境の整備を進め投稿促進を図ると共に、非懲罰制度導 (グループ*ECHO 制度) 入に関する啓発活動を行いました。 の活性化 3 4 グループ運航部門の 安全管理活動の連携 ・ANA グループ航空会社での*LOSA 実施を企画し運営委員会の開 催をはじめとする諸準備や関係者の訓練、オブザーブ(デー タ収集)調整などを支援し、LOSA の円滑な実施を図りました。 また、グループ運航部門共通の安全ニュースや啓発ポスター を発行し、安全意識の高揚を図りました。 5 安全教育の充実 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」 の一環として*ASEC の受講を計画的に実施しました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 ④ 整備本部 実施項目 実施状況 1 安全教育の確実な履 修・参加に向けた促進 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 1953 名(部門内 78.6%)が受講しました。 ・ ASEC を活用した安全教育については、既存の整備士定期訓練 の一部として受講の促進を図りました。 2 安全管理体制の定着 を含めた安全文化の 更なる醸成 ・ *SMS(安全マネジメントシステム)に基づき、部門内各セン ターおよび本部にて、*ヒヤリハット情報に基づく*リスクマ ネジメント活動を実施する体制を構築しました。 3 リスクマネジメント の実践と定着による 不安全事象を防止す る PDCA サイクルの確 実な遂行 ・ グループ整備部門全体で運用を開始した整備品質情報(MQI) を活用した情報展開が定着し、タイムリーな情報共有の促進 を図りました。 ・ ANA グループの機材不具合事例に加え、他社事例やメーカー 情報に基づき、ANA グループ使用機材においても同様のリス クがあると判断された場合は、リスク管理化に置き、迅速な 対応を図りました。 ・ 部門に関わる事象について、お客様の実質的な迷惑度合いを 考慮した指標の設定を行い、不具合の分析評価深度を深め、 プロアクティブに対応することで運航品質の質的向上に努 めました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 66 ANA グループ安全報告書 ≪2008 年度 グループ航空会社の実施状況≫ ANK 実施項目 「グループ社員の高い 安全意識による責任あ 1 る誠実な行動」の強化 2 「不安全事象を防止す る PDCA を実践するため の確かな仕組み」の強化 実施状況 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 1426 名(社内 94.2%)が受講しました。 ・イントラネットを充実し、安全に関する情報発信機能の強化 を図り、タイムリーな周知を実施しました。 ・ 社長・副社長によるトップキャラバンならびに各地での安全 キャラバンを実施し、安全の大切さを従業員に直接伝えまし た。 ・ 新入社員教育・新任機長研修における安全教育を継続して実 施しました ・ 安全に関わる報告制度の充実を図りました。 ・ *運航リスクマネジメントの評価員養成訓練を実施し、本格運 用の定着と向上を図りました。 ・ 内部安全監査を計画通り実施するとともに、内部安全監査の 品質向上を図るべく意見交換を実施しました。また*IOSA 更新 手続きを終了しました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 AJX 実施項目 実施状況 1 安全教育の実施 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 280 名(社内 96.0%)が受講しました。 ・ 新入社員を対象とした安全管理教育体制の構築のため、訓練 資料および規定を作成しました。 ・ 安全推進事務局新入構成員に対する訓練を計画的に実施し ました。 2 社員に対する安全推進 啓発活動 ・ 経営トップ層と運航乗務員・客室乗務員とのミーティングを 通じ、安全意識の高揚を図りました。 ・ 客室に係わる安全啓発誌を定期的に発行しました。 3 再発防止体制の充実 ・ 再発防止に係わる手法の構築に向けた調査・研究や*ヒヤ リ・ハットおよび提案・事例報告促進を図りました。 4 安全管理規程の充実 ・ 安全管理に係わる規程体系を整理し、GOM を改定しました。 ・ 安全管理規程実施のための要領・細則を策定しました。 5 内部安全監査制度の充 実 ・ ANA グループ安全監査部と協力し、監査標準チェックリスト を策定しました。 ・ 現監査員を対象に定期訓練を実施しました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 67 ANA グループ安全報告書 NXA 実施項目 実施状況 1 体系的な安全教育の実 施 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 152 名(社内 79.6%)が受講しました。 ・ 新入社員教育資料の内容を充実させた上で、新入社員安全教 育を 40 名に実施しました。 2 リスクマネジメントの 定着 ・ 不安全事象に関わる運航乗務員及び客室乗務員からのレポ ートを、安全推進委員会事務局に配信する情報共有ルートの 整理を実施しました。 3 社内コミュニケーショ ンの更なる充実 ・ 日常運航における情報共有を進め、課題解決を図りつつ、連 携を強化するために運航乗務員と客室乗務員による定例会 議を設定し、運用を開始しました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 AKX 実施項目 1 *ASEC を活用した階層 教育と職種別安全教育 の実施 実施状況 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 250 名(社内 90.7%)が受講しました。 ・ASEC 外国人用の手順書を作成し、グループへ展開しました。 ・新任機長・副操に対する安全教育を設定し実施しました。 2 安全管理規程の充実 ・「安全管理規程実施要領」を設定しました。 ・「安全管理規程」に安全報告に係わる取扱い方針(グループ共 通)を設定しました。 3 安全に係わる報告制度 の再整理・充実 ・ 運航乗務員の*ECHO、客室乗務員の*STEP に加え、整備部門 で*自発報告の運用を開始しました。 ・ 「安全管理規程実施要領」に自発報告制度の運用について定 めました。 4 社内コミュニケーショ ンの充実 ・安全ミーティング、ダイレクトトークなどの安全啓発活動を 各部署で 15 回実施しました。 5 安全品質管理の充実 ・ *リスクマネジメントの運用を「安全管理規程実施要領」に定め 実施しました。 ・ *IOSA 認定を取得しました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 68 ANA グループ安全報告書 CRF 実施項目 実施状況 1 安全教育・啓発の実施 と社員一人ひとりの双 方向コミュニケーショ ンの充実 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 139 名(社内 75.1%)が受講しました。 ・ グループとしての安全教育体系再整備に伴い、安全管理規程実 施要領集の改訂を実施しました。 ・ 経営トップ・役員による「安全対話」(32 回)や乗員によるテーマ 別「安全ディスカッション」を継続的に取り組みました。 2 安全に関する情報分析 /フィードバックの強 化と、*SMS の推進/定着 ・安全情報を適切なタイミングで共有する場の充実(安全ディスカッション 事例集及び整備ヒヤリハット集等の配置)を図りました。 ・各部門の安全推進体制を再整備し、安全情報の発信・共有と分 析、対策立案、フィードバックの実践に取り組みました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 AJV 実施項目 実施状況 1 安全優先の企業文化浸 透に向けた人材育成 ・ 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の一環として *ASEC の受講を計画的に実施し、部門員累計 73 名(社内 84.9%)が受講しました。 ・ 「TALK SAFE 2008 座談会」と「CRF 事故説明会」の CD 映像 を使い報告会を開催し、安全啓蒙を図りました 2 安全意識の向上につな がるコミュニケーショ ンの強化 ・ 「*自発報告制度の促進」 、「運航開始 2 周年」、 「操縦室内か らの写真撮影に係わる乗員の不適切行為」等、安全統括管理 者のメッセージを発信しました。 ・ 派遣外国人乗員へも*安全文化評価アンケートを実施しまし た。 3 リスク評価を実施と、 不具合の未然防止の推 進 ・運航不具合についてリスク評価を継続実施し、運用要領を設 定しました。 4 安全管理体制の定着 ・ 「*FOQA 義務化」と「ヒューマンエラーに関わる安全報告の 取扱明確化」に対し「安全管理規程」を変更しました。 ・ 「安全推進委員会事務局連絡会実施要領」、 「航空局への義務 報告要領」、「安全推進委員会事務局連絡会メンバー教育要 領」等、「安全管理規程実施要領」を設定しました。 *用語の説明は最終ページを参照願います。 69 ANA グループ安全報告書 (4)2009 年度における安全に関する目標 ≪ANA グループ全体の 2009 年度の安全目標について≫ ANA グループでは、2010 年度以降の羽田・成田の空港発着枠増等を見据え、2009-12 年度 ANA グループ中期計画を策定いたしました。 安全の推進活動についてもその成果をさらに有効なものにしていく必要があると考え、2008 年 度までの取り組みを踏まえ、中期安全目標として、以下を定めました。 グループ総合的な安全管理体制の下、安全優先の企業文化の更なる浸透を図り、グループの総 力を結集して安全管理機能の強化・拡充を行うことにより、世界最高水準の安全性を確保する 2009 年度は、その初年度として「安全優先の企業文化の更なる浸透」と「安全管理機能の弱点 の解消と強化」を重点課題として取り組みます。 具体的には、 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」として進めてきた*ASEC の受講推 進も最終年度として完遂を目指すとともに、加えて、これまで取り組んできた ANA グループ の安全文化の浸透度を測る目的で、社外安全コンサルタントの協力を得て、2007 年度に引き続 き第 2 回目のアンケート方式による「*安全文化評価」を行いますが、これらの結果を踏まえ更 なる安全文化の構築を図ってまいります。 ANA グループ全体での 2009 年度の安全目標推進体制 (図 3-2) 70 ANA グループ安全報告書 ≪ANA 2009 年度の安全目標≫ 大項目 安全の理解を深めるための教育・啓 発活動の実施 1 中項目 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の 最終年度として全社員の*ASEC 受講完遂と安全教 育体系に則った教育の実施 各種安全啓発活動の実施 *第2回安全文化評価実施 安全管理機能の弱点の解消と強化 *運航リスクマネジメントの強化 内部安全監査の監査能力強化と是正機能向上に向 けた取り組みの強化 「運航リスクマネジメント」と「グループ内部安 全監査」機能連携 *IOSA 更新監査受審に向けた情報収集と対応 2 *用語の説明は最終ページを参照願います。 ≪ANK 2009 年度の安全目標≫ 大項目 安全の理解を深めるための教育・啓 発活動の実施 1 中項目 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の 最終年度として全社員の*ASEC 受講完遂と安全教 育体系に則った教育の実施 各種安全啓発活動の実施 *第2回安全文化評価実施 安全管理機能の弱点の解消と強化 運航リスクマネジメントの強化 内部安全監査の監査能力強化と是正機能向上に向 けた取り組みの強化 「*運航リスクマネジメント」と「グループ内部安 全監査」機能連携 *IOSA 更新監査受審に向けた情報収集と対応 2 *用語の説明は最終ページを参照願います。 ≪AJX 2009 年度の安全目標≫ 大項目 「グループ社員の高い安全意識によ 1 る責任ある誠実な行動」の強化 2 「不安全事象を防止する PDCA を実践 するための確かな仕組み」の強化 中項目 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の 最終年度として全社員の*ASEC 受講完遂と安全教 育体系に則った教育の実施 社員に対する安全推進啓発活動 再発防止体制の充実 内部安全監査の充実 71 ANA グループ安全報告書 ≪NXA 1 2 ≪AKX 2009 年度の安全目標≫ 大項目 「グループ社員の高い安全意識によ る責任ある誠実な行動」の強化 不安全事象を防止する PDCA の充実 2009 年度の安全目標≫ 大項目 安全の理解を深めるための教育・啓 発活動の実施 1 中項目 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の 最終年度として全社員の*ASEC 受講完遂と安全教 育体系に則った教育の実施 スタッフへのヒューマンファクター教育の実施 *運航リスクマネジメント機能の強化 中項目 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の 最終年度として全社員の*ASEC 受講完遂と安全教 育体系に則った教育の実施 各種安全啓発活動の実施 *第2回安全文化評価実施 安全管理機能の弱点の解消と強化 2 *運航リスクマネジメント運用の強化 安全指標の検討と継続モニターの実施 *IOSA 更新監査受審に向けた情報収集と対応 ≪CRF 2008 年度の安全目標≫ 大項目 「グループ社員の高い安全意識によ る責任ある誠実な行動」の強化 1 「不安全事象を防止する PDCA を実践 するための確かな仕組み」の強化 2 中項目 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の 最終年度として全社員の*ASEC 受講完遂と安全教 育体系に則った教育の実施 社員一人ひとりの双方向コミュニケーションの充 実 ANA グループ安全評価プログラムに基づいた安全 監査活動の実施 *SMS の推進と定着 IOSA 更新監査への準備と対応 安全な職場環境の確保 ≪AJV 1 2009 年度の安全目標≫ 大項目 中項目 安全優先の企業文化の更なる浸透。 「ANA グループ社員全員 3 年 3 万人受講計画」の 最終年度として全社員の*ASEC 受講完遂と安全教 育体系に則った教育の実施。 ANA グループの安全文化を評価する取り組みの 実施。 2 グループとしての安全管理機能の 安全管理機能の弱点の解消と強化。 強化・拡充 以上 72 ANA グループ安全報告書 《巻末》 用語集 (アルファベット順・アイウエオ順) ・ ATEC: 航空輸送技術研究センター(Association of Air Transport Engineering and Research) 航空輸送における運航の安全性及び耐空性の維持・向上、運航技術及び整備技術の改善等に関す る調査・研究、国際交流の促進及び安全思想の普及啓蒙を通じて、安全かつ効率的な航空輸送の 発展を図ることを目的として活動を行う、国土交通省・エアライン各社・航空機/部品製造会社・ 有識者等をメンバーとした財団法人。 ・ ASEC:ANA グループ安全教育センター 2007 年1月に大田区下丸子にある ANA グループ研修施設内に設立した ANA グループの安全教育 施設。過去の事故を学ぶことで事故を風化させない教育を実施し、グループ社員一人ひとりが安 全維持向上の「仕組みと行動」を学ぶ。2009 年度までにグループ社員3万人の受講を目標とし ている。 ・ FOQA:(Flight Operational Quality Assurance) FOQA は、安全運航の維持促進と運航品質の向上を図ることを目的とするプログラム。すべての 運航便の飛行記録データを分析・評価し、その結果を運航乗務員にフィードバックするとともに、 組織的な改善措置を講じる。ANA では 1970 年代に FOQA の前身となるプログラムを導入し、そ の後の調査・検討を経て 1997 年に現在の FOQA の運用を開始した。現時点では、全ての ANA グ ループ会社がこのプログラムを導入している。 ・ IOSA: (IATA Operational Safety Audit) 国際的に認知された IATA(国際航空運送協会)の安全監査の基準。 ・ LOSA:(Line Operations Safety Audit) LOSA は、訓練を受けた観察者(オブザーバー)が操縦室に同乗して日常運航をオブザーブし、運 航の中に潜む不安全要素を見つけ出し、分析・改善を図るプログラム。 ・ SMS(安全マネジメントシステム) 航空会社の経営トップから現業部門まで一体となって、系統的に未然防止活動などを行うことに より、安全を維持・向上していくためのマネージメント(PDCA を廻す)の仕組みを言う。2006 年の改正航空法の施行にて、航空会社各社は、SMS(安全マネージメントシステム)を構 築し、その内容を「安全管理規程」に定め、国土交通大臣に届け出ることが義務付けられた。 ・ 安全文化評価: 直接測定することのできない安全文化という組織風土の指標を、組織統率・責任関与・相互理解・ 危機認識等の安全に深く関わる要素を対するグループ社員の意識をアンケート形式で集めるこ とで測定したもの。2007 年度の ANA グループの安全に関する活動として、外部の専門機関であ る社会安全研究所(以下、研究所)と協同で取り組んだ。2009 年度に第 2 回の安全文化評価を 実施する。 ・ 運航リスクマネジメント 航空会社に求められる SMS の仕組みの中で、運航において発生する様々な不安全情報を収集し、 リスク(事象の重大性と発生頻度)評価を行い、リスクの大きさに応じた対策を講じる「リスク マネジメント(課題解決の PDCA:PLAN・DO・CHECK・ACTION を実行すること)」の仕組みを 言う。 73 ANA グループ安全報告書 ・ 義務報告制度 運航の安全性を阻害するおそれのあるあらゆる事象について、報告が速やかに実施されるよう、 社員に報告の義務を課し、報告対象事象、報告内容、報告手順等を定めています。 ・ 自発報告制度 ANA グループの安全報告制度のひとつで自発的に報告をされるもので、事象として現れなかった ものを自発的に報告し経験を共有することができます。代表的なものは客室乗務員を対象とした 制度である STEP(Safety Tip From Experience)や整備本部・オペレーション統括本部等で展 開されているヒヤリ・ハット報告(ヒヤリとした、またはハットしたが、何も起こらずに済んだ 事象)があります。また、運航乗務員を対象とした制度であるグループ ECHO(Experience Can Help Others)は、グループ横断的に行っています。 74 ANA グループ安全報告書 ANAグループ 2008年度 安全報告書 (平成20年度) 2009年6月発行 全日本空輸株式会社 グループ総合安全推進室 75