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年明けましておめでとうございます。

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年明けましておめでとうございます。
巻 頭 言
年明けましておめでとうございます。
今年で 21 世紀の6年目を迎えるが、これまでの5年間は 20 世紀の清
算を行い、新たな出発をするための準備の5年間であった。
日本社会は、失われた 10 年とも、15 年とも言われた低迷の時期を漸く抜け
出し、いよいよ新たなフェーズに突入する。
“創造の 10 年の始まり”である。
2006 年は、その出発の年として、憲法論議、税制、年金等といった国の骨
格の議論が本格化する。また、今年はトリノオリンピック、FIFA ワールドカッ
プという大規模な国際スポーツイベントが開催される年でもあり、世界の中
の日本を考える良い機会でもある。スポーツを楽しむと同時に、東アジア政
策をはじめとした外交政策のあり方も議論される年でありたい。
4 月には、第 3 期科学技術基本計画も発表される。科学技術創造立国を目指
す日本としては、科学技術社会のあり方の議論でも大いに盛り上がってもら
いたいところである。
また、21 世紀は、改めて人間を考える世紀でもある。個人の集合体である
社会のあるべき姿を考える際に、社会構築の前提となる個人の豊かさや幸せ
の本質をしっかりと考える年としなくてはならない。
企業経営においても、企業を取りまく環境が変わると共にその経営方針に
変化がでてきている。今年は、あらためて企業と社会との関係が問い直され、
デフレ期を乗り切るための利益獲得重視の経営から、企業を支える顧客、社員、
地域といった多様なステークホルダーを重視した中長期的視点にたった社会
から信頼される経営へと変わっていくのは間違いない。社会とは決して強靭
なものではなく、企業が無茶な行動をとれば社会も壊れると言うことを我々
はしっかりと認識する必要がある。企業は、製品、サービスごとの信用を得る
だけでは十分ではなく、企業自体への信用を獲得することの重要性を認識す
べきである。このことは、企業のみならず行政等の組織においても同様である。
かつての先輩たちが信用の象徴として大切にしてきた「暖簾の大切さ」を
復権させる。ここから、新たな日本企業の No.1 伝説がスタートする。
社会も未来に向かう潮流がよりはっきりとしてくる。近い将来訪れるユビ
キタス社会は、基本的な生活様式を大きく変えていく。今年は、団塊の世代が、
定年後の生活を身近に迎え、自分のライフスタイルの変化を模索し始める 1
年でもある。若者中心に浸透してきたブログ、音楽配信、等がいよいよ熟年
世代にも浸透してくる。
ロハス(LOHAS:Lifestyles of Health and Sustainability)が定着し、利便
性より健康や環境に優しいというライフスタイルへの傾倒もさらに高まるで
あろう。
縦の格差を横の多様性に変えていく。新たな日本の挑戦が始まる。
株式会社三菱総合研究所 研究理事 野口和彦
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