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1 2002 年 小児科卒試 小児科は比較的簡単な気がします。去年は全員
2002 年 小児科卒試 小児科は比較的簡単な気がします。去年は全員一発合格でした。 傾向としては、過去問とかぶっている問題もちらほらと見かけられるので、過去門は是 非やっておきましょう! 1.軟骨異栄養症(achondroplasia)は常染色体優性遺伝疾患である。正しいのはどれか。 (1) 両親のいずれかがこの病気の場合、子が同病に罹患する確率は 1/2 である。 (2) 正常な両親から生まれた子が軟骨異栄養症であった場合に、次子が同病である 確立は 1/2 である。 (3) 軟骨異栄養症の家族歴がある血族婚の夫婦の子が軟骨異栄養症に生まれる確率 が高い。 (4) 両親が軟骨異栄養症の場合、生まれるこどもは 100%の確率で軟骨異栄養症で ある。 (5) 両親のいずれかがこの病気である夫婦から生まれた正常な子に、将来生まれる 子が同病であるリスクは一般頻度より高くない。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 答え:b 原因遺伝子を A、正常遺伝子を a とすると、Aa が患者、aa が正常人となる。 (1)○;Aa と aa の子供は、Aa、aa が 50%ずつ生まれる。 (2)×;aa 同士から、Aa が生まれるのは突然変異によるもの。1/2 よりずっと低い 確率。 (3)×;家族歴があっても aa 同士なら正常人と一緒。 (4)×;Aa と Aa の両親からも aa は 25%生まれる。 (5)○;両親が病気でも、正常な子は aa。一般人と同じ確率。 2.小児における誤飲でもっとも多いものはどれか。 a.玩具 b.ピーナッツ c.たばこ d.医薬品 e.ボタン電池 答え:c 小児の誤飲事故の原因製品としては、「タバコ」が385件(48.8%)で最も多い。 次いで「医薬品・医薬部外品」が108件(13.7%)、 「玩具」が51件(6.5%)、 「洗 1 剤・洗浄剤」が34件(4.3%)、 「金属製品」が27件(3.4%)、 「硬貨」が24件(3. 0%)、 「プラスチック製品」と「化粧品」が各23件(2.9%)、 「食品類」が16件(2. 0%)、「電池」が14件(1.8%)である。 3. 乳幼児突然死症候群で正しいのはどれか。 (1) 窒息が原因として多い。 (2) 仰向け寝は危険因子である。 (3) 乳児死亡に占める割合は大きい。 (4) 日本は諸外国に比べ発症率が低い。 (5) 1 歳前後に多い。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 答え:d SIDS とは、「それまでの健康状態および既往歴からその死亡が予想できず、死亡状況お よび剖検によってもその原因が不詳である乳幼児に突然の死をもたらした症候群」のこと。 SIDS のリスクは①男児、②月齢(2~4ヶ月)、③うつぶせ寝、④人工栄養児、⑤母親の 喫煙、⑥寒い季節や気候、⑦未熟児など。 (1)×;原因が分かっているものは除外する。 (2)×;うつ伏せ寝が危険。 (3)○;日本では出生した赤ちゃん2000人の内1人がSIDSで亡くなっており、 乳児の死亡原因の第 3 位となっている。特に4か月の乳児の死亡原因のうち、 実に60%近くをSIDSが占めている。欧米では死亡原因の第1位。 (4)○;欧米諸国に比べて低い。 (5)×;生後 3~5 ヶ月に最も多く、6 ヶ月までに 80%が発生。 4. 乳児期に突然死をきたす可能性の高いのはどれか。 (1) メープルシロップ尿症 (2) プロピオンサン血症 (3) フェニルケトン尿症 (4) 先天性甲状腺機能低下症 (5) 先天性副腎皮質過形成症 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 答え:b (1) ○;本症では生後 1 週間目から哺乳力低下、嘔吐、意識障害、呼吸困難、けいれん 2 が始まり、治療しなければ、数週から数ヶ月で死亡する。 (2) ○; (3) ×;生後 6 ヵ月頃から精神運動発達遅滞、けいれん、赤毛、白い皮膚。湿疹。生後 1 年までに治療しないと IQ60 以下になる。 (4) ×;特異な身体発育不全、皮膚粘液水腫、精神遅滞。早期に十分な T4 をあたえれ ば、不可逆的な脳障害を防ぐ事ができる。 (5) ○;重篤なストレス下で急性副腎クリ―ゼ(嘔吐、哺乳力低下、体重減少、下痢 脱水、心不全、ショック)に陥る。 5. 健康な 3 歳児の検査で異常なのはどれか。 (1) 心電図で V1 の T 波陽性 (2) 白血球百分比でリンパ球が 20% (3) 血色素が 14g/dl (4) LDH が 380 単位 (5) IgA が 120mg/ml a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 答え:a (1)×;小児心電図では一般に陰性 T 波が見られる。V4(4~5 歳)、V3、V2、V1(16 歳以上)の順に陽性化していく。 (2)×;生後5日から 5 歳までは末梢白血球分画でリンパ球が優位(50%以上)。 (3)○;出生時 18g/dl、生後 1 ヶ月以降 12g/dl 位、1 歳以降 13~14g/dl が平均。 6 ヶ月~6 歳時 11g/dl 以下、6~14 歳時 12g/dl 以下で貧血と判定する。 (4)○; 【基準値】成人 227~416 IU/l。年齢による変化は、出産直後が最も高く成人の約 2 倍の値を示すが、14~15 才で成人とほぼ等しくなる。 (5)○;正常値--- 成人 110~410mg/dl。小児では成人より低値となる。 6. 小児の鉄欠乏性貧血の原因はどれか。 (1) 牛乳多飲 (2) メッケル憩室 (3) ビタミン B12 欠乏 (4) 異食症 (5) スポーツ活動過多 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) 答え:b 3 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1) ○;牛乳貧血(3 歳以下で牛乳ばかり飲んでいると、他の食品を摂らなくなり鉄が 不足しやすい。加えて牛乳アレルギーなどによる腸管機能障害で、鉄欠乏性貧血と 低蛋白血漿の共存する病態となる。 ) (2) ○;消化管出血により生じる。 (3) ×;Vit.B12 欠乏は巨赤芽球性貧血を呈する。 (4) ×;異食症は鉄欠乏性貧血の症状。栄養不足とのひっかけ? (5) ○;スポーツ貧血(近年、スポーツ選手の一部に健常人に比べ潜在性鉄欠乏状態が 存在するといわれている。) 7. 疾患と症状の組み合わせで誤っているのはどれか。 (1) 神経芽腫―――――――――血中 HVA 測定 (2) 溶血性貧血――――――――血清ハプトグロビン測定 (3) 再生不良性貧血――――――骨髄生検 (4) 悪性リンパ腫―――――――Positron Emission Tomography (5) 血友病 B―――――――――凝固第ⅩⅢ因子測定 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 答え:b (1)×;尿中 HVA、VMA を測定する。腫瘍の分泌するカテコラミンの代謝産物なので尿 中に出現する。 (2)○;ハプトグロビンはヘモグロビンの担体で、溶血性貧血では消費され低下する。 (3)○;骨髄の低形成がみられ、異型細胞の増加はなし。 (4)○;PET で病変の広がりがわかる。ガリウムシンチも有用。 (5)×;血友病 B は第Ⅸ因子が活性低下。血友病 A は第Ⅷ因子低下。共に伴性劣性遺伝。 8. 神経芽腫について正しいものはどれか。 (1) 腎臓内に発症することが多い。 (2) 尿中 VMA・HVA が上昇する事がある。 (3) 5 歳以上で発症した場合、予後不良である。 (4) 血中 NSE は低値をとる。 (5) 脳転移が多い。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 答え:c (1)×;副腎髄質原発が多く、交感神経節細胞からも生じる。 (2)○;カテコラミン代謝産物である。マススクリーニングにも使われる。 4 (3)○;1 歳以下に発生するものは予後良、1 歳以降は予後不良の事が多い。 (4)×;NSE(neuron specific enolase)も腫瘍マーカーとして有用。 (5)×;主な転移先は、骨髄、肝臓。(頭蓋骨への転移→眼球突出が有名) 9. 正しくない検査値はどれか。 (a)生後 1 ヶ月男児;ヘモグロビン 14g/dl (b)生後 6 ヶ月男児;白血球数 12,000/μl、好中球比率は 16% (c) 生後 6 ヶ月男児;白血球数 15,000/μl、リンパ球比率は 70% (d)1 歳男児;ヘモグロビン F が 2% (e)正常満期産で出生した新生児;血小板数 80,000/μl 答え:e (a)○;出生時 18g/dl、生後 1 ヶ月以降 12g/dl 位、1 歳以降 13~14g/dl が平均。 6 ヶ月~6 歳時 11g/dl 以下、6~14 歳時 12g/dl 以下で貧血と判定する。 (b)、(c)○;生後5日から 5 歳までは末梢白血球分画でリンパ球が優位(50%以上)。 (d)○;正常。 (e)×;血小板は出生時よりほぼ一定で、15~40 万/μl が正常値。 10. 急性リンパ性白血病で正しいものはどれか。 (1) 小児がんの中で最も頻度が高い。 (2) 治療中の白血病患児が水痘、麻疹感染を合併すると重症になる。 (3) 初診時には脾腫大は少ない。 (4) 末梢血液検査で白血病細胞を認めなければ診断から除外できる。 (5) 中枢神経浸潤が少ない。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 答え:b (1)○;小児がんは白血病、神経芽腫、脳腫瘍の順に多い。白血病の中でALLが 80%で 最多。 (2)○;化学療法により、免疫力低下。 (3)×;脾腫を認めることが多い。巨脾はない。 (4)×;末梢血への浸潤もあるが必発ではない。 (5)○;初診時に 5%、再発時に 20%の患児に認める。 11 Willms 腫瘍で正しくない文章を選べ。 (1)小児の泌尿器生殖悪性腫瘍で最も頻度が高い。 5 (2)先天性半身肥大を合併する症例を認める。 (3)近年の治療成績では、5 年生存率 60%以上である。 (4)2 歳未満で発見された症例は 2 歳以上の症例よりも予後が悪い。 (5)血尿は 70%以上の症例で認められる。 a(1), (2) b(1), (5) c(2), (3) d(3), (4) e(4), (5) ○(1)主に 3 歳以下の乳幼児に発生する、小児でも最も一般的な腎腫瘍(約 90%)。 ○(2)無虹彩症や半身肥大症、巨舌、巨大児、臍異常、尿道下裂、半陰陽等の先 天奇形合併や家族内発生のあることが古くから知られている。 ×(3)完全寛解率高い。長期生存 90%以上。 ×(4)2 歳未満で第Ⅰ期の約 90%は生存。2 歳以上で第Ⅰ期、どの年齢でもⅡ、 Ⅲ期なら 80%。 ×(5)血尿による発見は少ない(約 10%)。 正解は、a です。 12 新生児の黄疸で正しいものはどれか。 (1)黄疸による中枢神経障害の危険がある。 (2)新生児は肝機能が未熟なので直接ビリルビン優位の黄疸が多い (3)胆道閉鎖症の黄疸は新生児期から発症するので早期診断できる。 (4)溶血性黄疸は新生児の自己免疫疾患が多い。 (5)多血症は黄疸の原因である。 a(1), (2) b(1), (5) c(2), (3) d(3), (4) e(4), (5) ○(1)大脳基底核に沈着すると、核黄疸という脳障害を引き起こす。 ×(2)ビリルビン抱合の機能が未熟でるあことは間接ビリルビン増加の原因のひ とつ。 ×(3)一般に黄疸は新生児から持続し、生後 1 ヶ月頃に目立つようになる。 ×(4)溶血性黄疸は母児間血液型不適合が多い。 ○(5)赤血球の破壊が亢進した状態や多血の状態では黄疸になりやすくなる。 正解は、b です。 13 羊水過多を来すものはどれか。 6 (1)無脳児 (2)食道閉鎖 (3)母体糖尿病 (4)腎無形成 (5)空腸閉鎖 a(1), (2), (3) b(1), (2), (5) c(1), (4), (5) d(2), (3), (4) e(3), (4), (5) ○(1)無脳児:嚥下障害のため羊水過多となる。 ○(2)食道閉鎖:消化管通過障害のため羊水過多となる。 ○(3)母体糖尿病:胎児高血糖から幼児尿量が増加し、羊水過多となる。 ×(4)腎無形成:尿量減少により羊水過少となる。 ×(5)空腸閉鎖:小腸閉鎖は羊水過多とチャートには書いてある。閉肛は羊水過 多にも過少にもならないが。 正解は a です。 14 胎児循環ではどれが正しいか。 (1)心房レベルでは右左シャントである。 (2)胎児の肺に流れ込む血液の酸素飽和度は大動脈に流れ込む血液の酸素飽和度 より高い。 (3)胎児の肺に流れ込む血液の量は大動脈に流れ込む血液の量より多い。 (4)臍帯静脈の酸素飽和度は臍帯動脈の酸素飽和度より高い。 (5)肺動脈圧は大静脈圧より高い。 a(1), (2), (3) b(1), (2), (5) c(1), (4), (5) d(2), (3), (4) e(3), (4), (5) 臍動脈に静脈血、臍静脈に動脈血。 (4) 一本の細静脈は、まず門脈に分枝し、静脈管を経て下大静脈へ入り、下大静脈血 の大部分は卵円孔を通り左房へ入り(1)左室、大動脈へと至り、まず脳へ。脳か ら帰ってくる下行大静脈は右心へと入り、大部分は動脈管を経て(肺にはわずか しか循環しない)大動脈へと至り(2)(3)(5)、下行大動脈を通り、内腸骨動脈 から 2 本の臍動脈は胎盤に向かう。 7 正解は c です。 15 先天性風疹症候群で正しくないものはどれか。 (a)白内障 (b)先天性心疾患 (c)視神経の低形成 (d)糖尿病 (e)聴力障害 妊娠早期にい妊婦が風疹に罹患すると茸に障害をきたします。出生時、必ずしも 症状を認めず、後に明確になります。難聴、先天性心疾患、知能障害、白内障、 小眼球症、網膜症、小頭症、水頭症などを伴います。 正解は、(c)です 16 リウマチ熱について Jones の大症状ではないのはどれか。 (a)発熱 (b)心炎 (c)舞踏病 (d)皮下結節 (e)多発性関節炎 Jones の大症状は、 1.心炎(50%) 2.多発関節炎(60~85%、成人に多い) 3.舞踏病(5%以下) 4.輪状紅斑(10%以下) 5.皮下結節(10%) 正解は、(a)です。 17 免疫グロブリン G(IgG)で正しいのはどれか。 (a)胎盤を通過することができない。 (b)外部分泌する主な免疫グロブリンである。 (c)マクロファージによって分泌される。 (d)圧倒的に多い血清免疫グロブリンである。 8 (e)Mycobacterium tuberculosis に対する免疫につかさどる。 ×(a)胎盤を通過することができる。 ×(b)IgA は、粘膜上皮の分泌成分と結合した分泌方 IgA として存在する。 ×(c)形質細胞によって分泌される。 ○(d)圧倒的に多い血清免疫グロブリンである。 ×(e)Mycobacterium tuberculosis に対する免疫につかさどるのは、細胞性免疫 である。 正解は、(d)です。 18 血液培養が通常陽性になるのはどれか。 (1)上喉頭部クループ。 (2)キャンピロバクター腸炎 (3)百日咳 (4)気管支炎 (5)細菌性髄膜炎 a(1), (2) b(1), (5) c(2), (3) d(3), (4) e(4), (5) ○(1)上喉頭部クループ:上部は細菌感染(インフルエンザ菌)、下部はウイル ス感染(パラインフルエンザウイルス)が多い。 ×(2)キャンピロバクター腸炎:血液培養で、菌の培養が 5~14 日まで肉眼的に 確認できないことがしばしばある。? ×(3)百日咳。喀痰より菌証明(グリセリン馬鈴薯血液寒天培地=Bordet-Gengou 培地) ×(4)気管支炎:上気道炎の2次感染として起こるので、病原体は同一のことが ほとんど。上気道感染症では 80%以上がウイルス。 ○(5)細菌性髄膜炎:髄膜炎を疑った、血液・髄液培養のための検体を採取した 後に治療を開始すること。感染経路としては、血行性、直接性、開放性頭 部外傷がある。 正解は b です。 19 細菌感染が主な原因となるのはどれか。 (1)伝染性濃痂疹 9 (2)脂漏性皮膚炎 (3)乾癬症 (4)伝染性軟属腫 (5)中毒性上皮壊死症(熱傷性皮膚症候群) a(1), (2) b(1), (5) c(2), (3) d(3), (4) e(4), (5) ○(1)伝染性濃痂疹: とびひ、黄色ブドウ球菌感染水胞性化膿疹と、A 群β溶 連菌感染の嚢胞性化膿疹がある。 ×(2)脂漏性皮膚炎:脂漏部分に生じる紅斑と鱗屑。皮脂分泌機能異常、ビタミ ン B2、B6 代謝異常、細菌感染などが関与。 ×(3)乾癬症:炎症性角化症で、HLA-C の関与などが考えられている。 ×(4)伝染性軟属腫:みずいぼ、poxvirus 感染。みずいぽっくす。 ○(5)中毒性上皮壊死症(熱傷性皮膚症候群):?ブドウ球菌性熱傷用皮膚症候 群 SSSS のことだろうか。 正解は、b です。 20 麻疹と風疹を比較した際に、麻疹に特徴的な所見はどれか。 (1)潜伏期が長い。 (2)発熱期間が長い。 (3)発疹出現前に見られる症状の期間が長い。 (4)コプリック斑がみられる。 (5)後頭蓋窩リンパ節が著明にみられる。 a(1), (2), (3) b(1), (2), (5) c(1), (4), (5) d(2), (3), (4) e(3), (4), (5) 風疹:約2~3週間の潜伏期を経て発疹が出現します。発疹は3~5日で進行消退 します。発熱は微熱程度で発疹と同時期に見られます(無熱のこともあります)。 風疹:11 日の潜伏期の後に発熱、倦怠感、上気道炎症上、結膜症状(充血・眼脂) で発症する。その後、口腔粘膜に小さな白斑(Koplic 斑)が出現する。その後も 発熱は続き、頸の周囲から発疹が始まり数日にして全身に広がっていく。(発熱期 間は 8 日ほど)。 正解は d です。 10 21.マイコプラズマ呼吸器感染症にあてはまる記述は次のうちどれか。 (1)血液にて寒冷凝集を呈することにから診断される。 (2)病原体は容易に喀痰培養で得られる。 (3)学童期によく見られる肺炎である。 (4)中耳疾患とその感染は関連がある。 (5)エリスロマイシンで治療される。 a(1)(2)(3) 解説 b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) マイコプラズマ肺炎は風疹・ムンプス・伝染性紅斑と並んで学童期によく見られ る感染症で、飛沫感染するが感染力が弱いため濃厚密接に感染者と接触しないと感染しな い。典型的には間質性肺炎を呈し、白血球はそれほど上昇しないのが特徴である。 (1)× 本症では寒冷凝集を呈するが特異的でなく、悪性リンパ腫・CLL・EBV でも見ら れるので、診断の手助けとなるに過ぎない。 (2)× 培養は PPLO 培地を用いなければならない。 (3)○ 風疹・ムンプス・伝染性紅斑と並んで学童期によく見られる。乳児期には少ない。 (4)○ (5)○ 細胞壁を持たないため、マクロライド系であるエリスロマイシンが First choice。 解答 e 22.正しいのはどれか。 (1)大きな心室中隔欠損で肺血流が増えるのは生後 2 週過ぎからである。 (2)Fallot 四徴症の低酸素発作は生後 2,3 ヶ月から起こる。 (3)完全大血管転位症は出生後数時間で発症する。 (4)心房中隔欠損症は乳児期に発症することが多い。 (5)心室中隔欠損症に合併する大動脈弁閉鎖不全症は生後すぐに発症する。 a(1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) 解説 (1)○ 重症の VSD では乳児期に心不全をきたす。重症を示唆する所見としては、Ⅱ音亢 進・拡張期ランブル。4LSB の収縮期雑音は軽症と比べ、むしろ小さくなる。 (2)○ Fallot 四徴症は成長するにつれ漏斗部狭窄が進行するため、チアノーゼは生後 2,3 ヶ月してから見られるようになる。低酸素発作も 6 ヶ月以上に見られるようになる。(?) (3)○ 右房→右室→大動脈→体循環と左房→左室→肺動脈→肺の並列循環であり当然、 11 新生児期からチアノーゼを呈する。生存には VSD や PDA などが必要で、姑息的治療法も これに準じ、PGE1 の点滴静注や Balloon atrial septostomy(BAS)を行う。根治術は Jatene 術など。 (4)× ASD は自覚症状が見られないことがほとんどで、健診で発見されることが多い。 Ⅱ音の固定性分裂が有名。 (5)× VSD に AR が合併するとそれだけ左室の容量負荷が増大するが、その負荷によっ て心不全を呈するには時間がかかり、出生すぐに発症することはない。 解答 a 23.日齢 5 の新生児。妊娠分娩に異常なく、Apgar score も 9 点(1 分)。出生体重 2755g。 多呼吸があり、2 日前から乏尿が出現し、ぐったりしてきた。体温 37.7℃、脈拍 170/分、 整、心音ではⅡ音が亢進、上下肢動脈の触知に差がある。診断はどれか。 (a)肺高血圧を伴う心室中隔欠損症 (b)総肺静脈還流異常症 (c)完全大血管転位症 (d)大動脈縮窄症 (e)三尖弁閉鎖症 解説 (a)× 肺高血圧によりⅡp成分の亢進は起きるが、上下肢動脈の触知に差は見られない。 Eisenmenger 化が危惧される病態である。 (b)× 肺静脈が全て右心系に還流してしまうため、卵円孔や ASD の合併が必要。生後 1 ヶ月以内にチアノーゼを呈し、右心系の容量負荷のため右心不全をきたす。聴診上は収縮 期雑音を認めるのみで、上下肢動脈の触知に差は見られない。 (c)× 病態・症状は問題 22(3)参照。TGA 自体は雑音なく、PDA/VSD の雑音が聞かれる。 上下肢動脈の触知に差は見られない。 (d)○ 縮窄部位と動脈管付着部位との位置関係で管前/後型に分けられる。管前型では縮 窄後血流は動脈管よりまかなわれる。乳児期より心不全・肺高血圧を呈し、予後不良。管 後型では幼少期は無症状で経過し、肋間動脈を通しての血流でまかなわれる。いずれの型 でも、上下肢動脈の触知に差が見られ、大動脈縮窄によりⅡa 成分の亢進を認める。Turner 症候群に合併することが多い。 (e)× 生存には ASD が必需であり、さらに合併奇形が小 VSD+PS のⅠ型と TGA+大 VSD のⅡ型がある。Ⅰ型では肺血流減少のため生下時よりチアノーゼを呈し、Ⅱ型では肺 血流増加により呼吸困難・心不全となる。聴診上はそれぞれの奇形による雑音を認めるが、 上下肢動脈の触知に差は見られない。 解答 12 d 24.上記患児で、治療として正しいのはどれか。 (1)直ちに 100%酸素を投与する。 (2)利尿剤を静注する。 (3)プロスタグランディン E1 を点滴静注する。 (4)頻脈に対し DC shock を行う。 (5)Balloon atrial septostomy を行う。 a(1)(2) 解説 b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 上肢の血圧左右差の記載がないことと、発症年齢から本問は管前型と思われる。 乏尿により心不全・肺高血圧が悪化するので利尿剤を投与し、縮窄後の血圧を保つために動 脈管を開存させておく必要があるので PGE1 を投与する。 (1)× 酸素化は良好なので無意味である。 (2)(3)○ (4)× 本症で見られる頻脈は代償性のものなので DC shock は行わない。 (5)× BAS は右左シャントを人工的に作る術で、心内に異常のない本症には行わない。 解答 c 25.しばしばチアノーゼを伴う先天性心疾患はどれか。 (1)完全大血管転位症 (2)大動脈縮窄症 (3)他に奇形のない心室中隔欠損症 (4)総肺静脈還流異常症 (5)Fallot 四徴症 a(1)(2)(3) 解説 b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) チアノーゼは右左シャントなど、肺を通過しない血液が体循環へ流れる心疾患で 起きるので、それらを選択すればよい。 (1)○ 右心系→大動脈→体循環によってチアノーゼをきたす。 (2)△ 肺動脈→動脈管→下降大動脈の血流を持つ管前型では下肢のみのチアノーゼを きたしうる。 (3)× 左右シャントなのでチアノーゼは呈さない。 (4)○ TAPVR では生存に卵円孔開存や ASD が必需なので、それによる右左シャント が存在する。 13 (5)○ VSD が存在するため右左シャントである。 解答 c 26.2歳女児。前日夜から発熱・経口摂取不良をみた。明け方に頻回嘔吐と不機嫌、午前 に数分間の痙攣が 2 回現れて救急受診した。理学所見は体温 39℃、呼吸は整で 50 回/分、 血圧 100/60、意識半昏睡。瞳孔は散瞳し、項部硬直あり。皮膚に若干の出血傾向、四肢末 端の冷感・循環不全あり。咽頭は発赤。心肺に異常なし。肝臓の軽度腫大を認めた。正し いのはどれか。 (1)最初に血液検査と髄液検査を行い、直ちに診断を確定する。 (2)髄液からは肺炎球菌が検出されることが多い。 (3)初期の輸液量は少なめにすることがよい。 (4)散瞳は副交感神経麻痺が疑われる。 (5)髄液所見は細胞数増多、蛋白上昇、糖上昇をみた。 a(1)(2) 解説 b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 急性に出現した発熱・嘔吐・不機嫌→何らかの感染症か? 39℃の発熱・痙攣・半昏睡・項部硬直→脳髄膜炎が疑われる 出血傾向・低血圧・末梢冷感・循環不全→敗血症性ショック+DIC か? 以上から乳幼児に髄膜炎+敗血症が起こり、敗血症性ショックは末梢虚脱により Hypodynamic state まで進行し MOF(→肝腫大、DIC)となっていると考えられる。細菌性 髄膜炎が疑われた際は起因菌が判明する前に抗菌薬の投与により菌除去しなければならな い。ウイルス性髄膜炎では予後良好であり、対症療法で十分である。 (1)× 血液・髄液検査ともに行い、起因菌の特定を急ぐべきだが、最初に行うべきは 抗菌剤の投与である。 (2)○ 乳幼児に多いのは G(+)の肺炎球菌と G(-)の髄膜炎菌である。新生児では G(+) の GBS と G(-)の大腸菌が多い。 (3)○ Hypovolmic shock ではなく、蘇生後の肺水腫・心容量負荷を避けるため、初期 輸液量は少なめにするのが良い。 (4)× (5)× 本問ではショックをきたすほどの髄膜炎なので細菌性が疑われる。よって髄液 所見は細胞数・蛋白の上昇、糖低下となる。ウイルス性でも上昇はしない。 解答 27.疾患と症状の組み合わせで誤っているのはどれか。 (a)亜急性硬化性全脳炎__________ミオクローヌス 14 c (b)もやもや病______________片麻痺 (c)Rett 症候群______________筋緊張低下 (d)Emery-Drelfuss 型筋ジストロフィー___房室ブロック (e)先天性筋緊張ジストロフィー______呼吸障害 解説 (a)○ SSPE は麻疹様ウイルスによって、主に 6~9 歳の小児に見られる。2 歳以下で 麻疹に罹患してから数年かけて発症すると言われている。症状は性格変化・知能低下・行 動異常・言語障害などで始まり、数週後に痙攣・錐体路徴候・視神経障害・ミオクローヌ スが出現する。これらの症状が亜急性に進行し、一年後には植物状態となる。 (b)○ もやもや病は 10 歳以下の小児では脳梗塞で発症するのに対し、成人では脳出血 で発症する。よって小児の分野では、もやもや病は片麻痺をきたすと考えてよい。 (c)× Rett 症候群:Xq に責任遺伝子があり、女児のみに発生。病理的には、脳全体の 萎縮、黒質神経細胞の色素量減少が見られるため、ドーパミン分泌の減少が関連している 可能性が考えられている。症状は乳児期後半の発達退行・知能障害・自閉傾向・痙攣・錐 体路症状・体幹失調のほか、持続的な手もみ運動が特徴的で、次第に小頭症も明瞭になる。 6~18 ヶ月から徐々に症状が現れるが、それまでの成長は順調。 (d)○ Emery-Drelfuss 型筋ジストロフィー:伴性劣性遺伝の形式を取る先天性筋ジス トロフィーの一種。発症は 4~5 歳と早期であるが、経過は緩徐である。症状は①関節拘縮が早 期に肘・足関節・脊柱などに出現、②心筋障害があり、AV ブロックや SSS などの不整脈の ため成人になってからペースメーカーを必要とする場合が多い、③仮性肥大は見られない、④CPK は中程度の上昇にとどまる。①②④が Becker 型との相違点であり、③④が Duchennu 型と の鑑別点である。 (e)○ 先天性筋緊張性ジストロフィー:常染色体優性遺伝をとる筋緊張性ジストロフィーに罹患し た親から生まれた子に見られる筋緊張性ジストロフィーのこと。生下時には筋緊張低下を呈する 点が特徴的である。すなわち呼吸困難や哺乳障害といった症状が主体で、高率に死亡する。 乳幼児期を乗り越えると筋緊張亢進となる。また精神発育遅滞も伴う。 解答 c 28.3歳男児が高熱、不機嫌、進行する意識障害を示している。理学所見は左第 6 脳神経 の麻痺、両側視神経乳頭浮腫、右片麻痺。正しいのはどれか。 (1)直ちに腰椎穿刺が必要である。 (2)脳波異常が示唆される。 (3)血液培養の適応がある。 (4)CT 検査の適応がある。 (5)頭部超音波検査が診断的である。 15 a(1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) 解説 両側視神経乳頭浮腫=頭蓋内圧亢進 →頭蓋内に占拠性病変 or 炎症性浮腫? 左Ⅵ麻痺・右片麻痺→局所性病変を示唆(右大脳半球 or 右脳幹部) 以上より右大脳半球に急速に増大する占拠性病変があるために、頭蓋内圧亢進症状や発熱 をきたしていると考えられる。このため脳波に異常が見られることが予想され、また精査 のため頭部 CT が必要と考えられるので(2)○(4)○であろう。 発熱からの鑑別 1.感染症・膠原病:髄膜脳炎を含め、局所的な症状となるとは考えられず除外 2.腫瘍:白血病が有名だが、本問では上記理由により脳腫瘍を疑う。小児に発生し、 かつ進行が急速であること、症状から右大脳半球に発生した髄芽腫/PNET が 考えやすい。 3.中枢性発熱(脳腫瘍除く):頭蓋内出血・脳性麻痺などの際に見られる発熱 4. 脱水 5. 内分泌異常:甲状腺機能亢進 6.その他:薬物、心因性発熱、無汗性外胚葉異形成症… 解答 d 29.2ヶ月のフロッピーと発達遅滞を示す乳児において、spinal muscular atrophy (Werdnig-Hoffman disease)の診断を支持する所見はどれか。 (1)腱反射消失 (2)強い把握反射 (3)外眼筋運動の低下 (4)腹式呼吸(横隔膜呼吸)優位 (5)両親がいとこ同士 a(1)(2)(3) 解説 b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) Werdnig-Hoffman disease は常染色体劣性遺伝を示し、脊髄前角細胞と脳幹の外 眼筋支配以外の体性運動運動核の変性消失が起こる疾患である。症状は前角細胞障害によ るものが中心と考えればよく、筋緊張低下(→Floppy infant)・運動発達遅滞・腱反射消失・ 舌線維束攣縮などである。 (1)○ 16 (2)× 把握反射は原始反射の一つであり、前角細胞を介した反射弓なので消失する。 (3)× 外眼筋は外転神経支配であり、脊髄前角細胞は関与しないため、その運動は保 たれる。 (4)○ 脊髄前角細胞支配である肋間筋の運動は障害されるため陥没呼吸を呈し、腹式 呼吸優位となる。 (5)○ AR の遺伝形式をとるので、近親婚の子にみられる可能性がある。 c 解答 30.喘鳴性疾患で正しいのはどれか。 (a)声門下狭窄では呼気性喘鳴がある。 (b)喉頭気管軟化症では吸気性喘鳴がある。 (c)急性細気管支炎では吸気性高調喘鳴がある。 (d)喘息の喘鳴は吸気性低調性である。 (e)血管輪の喘鳴は呼気性である。 解説 気管分岐部より上部の狭窄では吸気性喘鳴となり、それ以下の狭窄で呼気性喘鳴 となるのが基本である。 (a)× 声門下狭窄は気管分岐部より上部の狭窄なので吸気性喘鳴である。 (b)○ 喉頭気管軟化症は喉頭~気管の狭窄なので吸気性喘鳴である。 (c)× 急性細気管支炎は細気管支の狭窄なので呼気性喘鳴である。 (d)× 喘息は気管支の狭窄なので呼気性喘鳴である。 (e)× 血管輪は気管の狭窄なので呼気性喘鳴である。 解答 31 下気道疾患で正しいのはどれか。 (1)マイコプラズマ肺炎は乳児に多い。 (2)ウイルス性肺炎の胸部レントゲン写真は顆粒状陰影を示す。 (3)オウム病にはマクロライド系抗生物質が有効である。 (4)肺分画症は反復性肺炎の原因の一つである。 (5)Kartagener 症候群では気道狭窄がみられる。 a(1),(2) 正解 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) d 17 e(4),(5) b ×(1)マイコプラズマ肺炎の好発年齢は学童期なので誤り。乳児に多い肺炎の起炎菌はブド ウ球菌と肺炎球菌である。 因みに新生児に多いのは B 群溶連菌、大腸菌、ブドウ球菌。幼児期に多いのは肺炎球菌、 インフルエンザ菌。 ×(2)ウイルス性肺炎は間質パターンなので顆粒状ではなく、線状・網状影となる。 ○(3)Chlamydia psittaci による疾患。感冒様症状が主に見られ、時に肺炎化することもあ る。治療はテトラサイクリン系が第一選択、この他マクロライド系も効果がある。一方、 βラクタム系は効果が全くない。 ○(4)肺分画症はガス交換を行わない異常な肺組織塊が出来上がった疾患である。気道感染 を繰り返しやすい。また肺動脈の分布がなく、大動脈から直接動脈が分布している。この ため血管造影で確定できる。 ×(5) Kartagener 症候群は、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位症を 3 徴とする疾患。 32 肺水腫は以下のどれによって起こりうるか。 (1)火事の際の煙の吸引 (2)輸血の副作用 (3)海水での溺水 (4)肺動脈弁狭窄症(PS)による心不全 (5)肺炎(Pneumonia) a(1),(2),(3) 正解 b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) a ARDS の原因として、肺性のものは胃内容物誤嚥、重症肺炎、肺梗塞、肺挫傷、刺激性ガ ス吸入、酸素中毒、溺水などがある。肺外性のものとしては DIC、敗血症、過剰な輸血・ 輸液、重症の外傷・火傷、心肺バイパス、膵炎などがある。 ○(1)前述の通り。 ○(2)前述の通り。 ○(3)前述の通り。 ×(4)PS により右心不全となったとしても、左心不全の症状である肺水腫は来たさない。 ×(5)重症肺炎では起こりうるが、この場合は普通の肺炎のことを指していると思われるの で可能性は低い。 33 終末気管支より末梢の気道で正しいものはどれか。 18 (1)軟骨は含まない。 (2)総気道抵抗に大きく関与する。 (3)閉塞により喘鳴を来す。 (4)胸膜圧の変化に影響を受ける。 (5)弾性繊維組織により支持されている。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) c 正解 終末気管支より末梢では軟骨がなくなり、平滑筋も減少する。また杯細胞もほとんど見ら れなくなり、Clara 細胞が見られるようになる。 ○(1)前述の通り。 ×(2) 平滑筋がほとんどないため、気道抵抗にはあまり関与していない。 ×(3)喘鳴はより中枢側の太い気管支で生じる。 ○(4) 末梢には軟骨、平滑筋がないため、中枢側の気管支ほど強固でなく胸膜圧の影響を受 ける。 ○(5) 軟骨、平滑筋がないため、その代わりに支持している。 34 小児で骨成熟が遅延する疾患はどれか。 (1)思春期早発症 (2)Cushing 症候群 (3)成長ホルモン分泌障害 (4)後天性甲状腺機能低下症 (5)末端肥大症 a(1),(2),(3) 正解 b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) d 骨端核出現が遅延する疾患として、栄養障害、体質的な成長・思春期遅延、性腺機能不全 症、下垂体機能不全症、ネフローゼ症候群・他の慢性腎疾患、くる病、甲状腺機能低下症 などがある。 骨年齢が促進する疾患として、副腎性器症候群、体質的高身長、性腺機能亢進症、下垂体 性巨人症などがある。 19 ×(1)促進する。 ○(2) コルチゾール過剰により、骨形成の低下した低回転型の骨粗鬆症となる。このため成 長期であれば骨成熟は遅延する。 ○(3)遅延する。 ○(4)遅延する。 ×(5) 骨端線の閉鎖後に GH 分泌が亢進し末端肥大となるため、骨成熟自体は遅延しない。 35 先天性副腎皮質過形成のうち、21-水酸化酵素欠損症で正しくないのはどれか。 (1)17-hydroxyprogesterone の上昇がある。 (2)新生児女児の外性器異常の原因である。 (3)塩喪失を伴うことが多い。 (4)血清 cortisol の上昇がある。 (5)不妊症の原因になる。 正解 d(4) コレステロールからコルチゾールを合成する経路の酵素欠損のため、コルチゾールが低値 となり、ACTH は分泌亢進となり副腎皮質は過形成となる疾患。コルチゾール欠乏症状、 アルドステロン欠乏症状(塩喪失) 、アンドロゲン過剰症状(男性化)が出現する。 ○(1)本症のスクリーニング検査で測定されている。 ○(2)陰核肥大を引き起こす。 ○(3)60%が塩喪失を伴う。 ×(4)低下する。 ○(5)外性器の男性化が認められるため、外科的外陰部形成術を行う。 36 インスリン治療中の男子が午前 11 時に意識障害に気付かれた。母親は朝 8 時に元気に 学校へ行ったと言っている。この男子に認められるのはどれか。 (1)過呼吸 (2)尿ケトン体陽性 (3)血糖 50mg/dl 以下 (4)グルカゴン注射に反応する (5)多量の発汗 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) 20 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 正解 e 低血糖性昏睡による意識障害と考えられる。若年発症、インスリン使用などから 1 型糖尿 病と考え、糖尿病性ケトアシドーシスという推測もありうるが、その場合は感染の合併な どが見られるはずであり否定的である。 症状としては交感神経系の亢進による動悸、血圧上昇、発汗などの症状を生じる。治療は まず第一にブドウ糖の静注である。そして意識が急速に回復してくるのを確認後、さらに 静注を続けるか、糖質を含んだ食事をとらせるか、グルカゴンを筋注する。 ×(1)糖尿病性ケトアシドーシスでは深く大きい Kussmaul 呼吸を認める。 ×(2)糖尿病性ケトアシドーシスではない。 ○(3)低血糖なので血糖値は低下している。 ○(4)グルカゴンにより血糖が上昇してくる。 ○(5)交感神経優位となり発汗する。 37 10 歳未満で発症した糖尿病で正しいのはどれか。 (1)通常は肥満児に発症する。 (2)競争するスポーツは避ける。 (3)インスリン必要量は思春期に増加する。 (4)経口血糖下降剤は使用しない。 (5)インフルエンザなどの急性疾患に罹患し食欲低下時にはインスリンの必要量も減る。 a(1),(2) 正解 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) d 若年発症の糖尿病なので 1 型糖尿病(IDDM)と思われる。特徴としては、肥満体のことは少 なく、家族集積も 2 型より少なく、膵島細胞抗体・インスリン自己抗体が陽性、インスリ ンが不可欠である。 ×(1)前述の通り。 ×(2)運動療法は重要である。しかし、血糖コントロール不良、ケトアシドーシス、腎症、 網膜症、末梢神経障害などでは行ってはならない。 ○(3)インスリンは細胞にブドウ糖を取り込ませることにより、間接的にタンパク質の同化 も促している。このため成長期にはより多く必要になると思われる。 ○(4)1型糖尿病では基本は運動療法とインスリンである。経口血糖下降剤のうちスルフォ ニル尿素薬は B 細胞からのインスリン分泌を亢進させるため全く効果がないので使用しな 21 いし、ビグアナイド薬もほとんど効果がない。 ×(5)食事量自体は減少するが、感染症罹患時にはインスリン抵抗性が強まるためインスリ ン必要量は増える。これを知らないと糖尿病性ケトアシドーシスをきたすことがある。 38 Hirschsprung’s disease で正しくないものはどれか。 (1)母乳哺育中は症状は軽い。 (2)直腸は拡大している。 (3)腸管の拡張部は腸壁内神経叢を欠く。 (4)胎便栓症状のある児に多い。 (5)未熟児には少ない。 a(1),(2) 正解 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) c ○(1)母乳は液体であるため狭窄化した直腸をまだ通過しやすいが、食事が流動食、固形食 になるとより一層通過しにくくなる。 ×(2)直腸が細く、その上の結腸は拡大している。これを caliver change と言う。 ×(3)拡張部は正常である。下部の狭窄部の神経叢が消失している。 ○(4)普通は 24 時間以内に胎便の排泄が見られるが、この疾患では遅延する。 ○(5)未熟児に多いのは、先天性十二指腸閉鎖・狭窄症、壊死性腸炎などである。 39 2 ヶ月の母乳栄養児が出生時より持続する黄疸を主訴に来院した。児の便の色は灰白色 で、尿は濃黄色でビリルビン陽性、ウロビリノーゲン陰性。可能性のある疾患はどれか。 (1)甲状腺機能低下症 (2)先天性ウイルス感染 (3)先天性胆道閉鎖症 (4)遺伝性球状赤血球症 (5)母乳性黄疸 a(1),(2) 正解 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) c 便が灰白色であることよりビリルビンの腸管への排泄障害がある閉塞性黄疸と思われる。 22 このような排泄障害を来たす疾患としては、先天性胆道閉鎖症、先天性総胆管拡張症、新 生児肝炎がある。 ×(1)代謝機能の低下により黄疸の遷延化はみられるが、便の色が灰白色になることはない。 ○(2)ウイルス感染による肝炎では閉塞性黄疸を起こしうる。 ○(3)前述の通り。生後 60 日以内に手術する必要があるため、1 ヶ月健診で絶対に見逃して はならない。 ×(4)血管外溶血であり貧血、黄疸、脾腫を認め、胆石症も合併しやすい。しかし便が灰白 色になることはない。 ×(5) 便が灰白色になることはない。母乳中のプレグナンジオールにより肝臓でのグルクロ ン酸抱合が阻害されるため、生後 2 週間を越えても可視黄疸が継続する状態。母乳を中止 する事により改善しますが、治療を必要としないことが多い。 40 クローン病で正しいものはどれか。 (1)胃、十二指腸も病変部となる。 (2)粘血便は早期に特徴的である。 (3)腸管の外科的切除は有効である。 (4)成長障害は特徴的所見である。 (5)不明熱は特徴的所見である。 a(1),(2),(3) 正解 b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) c ○(1)クローン病では全ての消化管が病変となりうる。 ×(2)潰瘍性大腸炎に特徴的である。 ×(3) 外科手術により根治させる不可能であるため、保存的治療が基本となる。成分栄養と 完全中心静脈栄養による栄養療法に、補助的に副腎皮質ステロイド、サリチル酸誘導体な どの薬物療法を加える。 ○(4)クローン病では小腸も侵されるため栄養吸収障害が起こる。 ○(5)腹痛、腹部腫瘤、腹膜炎症状、瘻孔を来たすこともあれば、発熱、体重減少、貧血な どの慢性炎症に起因する症状のみを呈することもある。このため膠原病などと診断される ことがある。 41 先天性肥厚性幽門狭窄症で正しくないものはどれか。 (1)内腔の狭窄は主として輪状筋の肥厚による。 (2)生後 1 週間以内の発症はまれ。 (3)哺乳力は良好。 23 (4)通常吐物は胆汁を含む。 (5)アシドーシスになる。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)○ (2)○ 生後 2~3 週頃に嘔吐で発症。 (3)○ 嘔吐直後でもミルクを欲しがり、与えればよく飲む。 (4)× 幽門の狭窄なので胆汁は逆流しない。 (5)× 大量の HClを含む胃液が失われるので低 Cl 性代謝性アルカローシスを認める。 答え:e 42 繰り返す腹痛で正しくないものはどれか。 (a)蟯虫症 (b)クローン病 (c)嚢胞性線維症 (d)便秘症 (e)心因性ストレス (a)× 症状は肛門部のかゆみ。 (b)○ (c)○ 全身の外分泌腺から分泌される粘液の粘稠性が著しく高くなる疾患。便が粘稠 になるためイレウスとなり腹痛を来す。 (d)○ (e)○ 答え:a 43 乳児期に便秘を来すのはどれか。 (1)Hirschsprung 病 (2)Werdnig-Hoffmann 病 (3)ボツリヌス中毒 (4)先天性横隔膜ヘルニア (5)ガラクトース血症 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) 24 d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)○ (2)○ (3)○ 頑固な便秘、吸乳力の低下、運動麻痺症状が出現。 (4)× 横隔膜ヘルニアの 80%を占める Bochdalek 孔ヘルニアでは出生直後からの呼 吸困難が見られる。 (5)× 嘔吐、下痢のほか、肝機能障害、黄疸、白内障、精神発達遅滞が見られる。 答え:a 44 腸重積症で正しいものはどれか。 (a)1 歳未満では少ない。 (b)重積部分は自然に解除されることが多い。 (c)栄養不良児に多い。 (d)臍ヘルニアと関連することがある。 (e)アレルギー性紫斑病に伴うことがある。 (a)× 好発年齢は 6 ヶ月~1 歳 (b)× 高圧浣腸が第 1 選択でそれでも整復できないときは開腹して整復する。 (c)× (d)× (e)○ 答え:e 45 溶連菌感染後急性糸球体腎炎で見られない症状はどれか。 (1)乏尿 (2)血清中の補体 C3 の低下 (3)血清中 IgA の上昇 (4)低アルブミン血症 (5)尿中の顆粒円柱、赤血球円柱 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)○ (2)○ (3)× IgA が上昇するのは IgA 腎症。 (4)× 蛋白尿はほとんどのケースで見られるが、量はそれほど多くない。浮腫も顔面、 とくに眼瞼部にとどまることが多い。 25 (5)○ 顆粒円柱は硝子円柱に崩れた上皮細胞が結合して変性したもの。 答え:d 46 予後不良の可能性が高いネフローゼ症候群はどれか。 (a)年長児例 (b)ステロイド治療抵抗性例 (c)1 年間に 4 回以上の再発例 (d)低 Na 尿症例 (e)強い浮腫例 (b)○ (a) ,(c), (d),(e)× 答え:b 47 5 歳の男児。主訴は痙攣と昏睡。1 週間前に咽頭痛と発熱があった。それ以外は既往歴 に特記すべきことはなし。来院時所見は血圧 200/120mmHg、顔面および眼瞼に軽度 の浮腫を認め、両肺に湿性ラ音を聴取した。両眼底にうっ血乳頭。尿は赤褐色で蛋白 尿と血尿を認めた。BUN100mg/dl、Hb8.5g/dl、Ht25%。次のうち正しいのはどれか。 (1)痙攣と昏睡の原因は尿毒症が考えられる。 (2)肺の湿性ラ音は肺水腫によると考えられる。 (3)急性糸球体腎炎が考えられる。 (4)貧血は腎臓からの出血が考えられる。 (5)重症のネフローゼ症候群の急性増悪が考えられる。 a(1),(2) (1)× b(1),(5) c(2),(3) 溶連菌感染後急性糸球体腎炎だと考えられる。 (4)× (5)× 答え:c 48 e(4),(5) 痙攣と昏睡の原因は高血圧脳症、および頭蓋内出血が考えられる。 (2)○ (3)○ d(3),(4) 上記の男児の治療で正しいのはどれか。 (1)ステロイド剤を投与する。 26 (2)透析が必要である。 (3)降圧剤を投与する。 (4)貧血に対して輸血を行う。 (5)低蛋白血症に対してアルブミン輸液が必要である。 a(1),(2) (2),(3)○ b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 透析で循環血液量を減少させ降圧を図る。 答え:c 49 過換気症候群で正しいのはどれか。 (1)女児に多い。 (2)呼吸困難感がある。 (3)自我が著しく発達している。 (4)呼吸性アシドーシスを呈する。 (5)ペーパーバック法により症状の消退が可能である。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) (1),(2),(5)○ c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 女児に多い。 答え:b 50 10 歳女児。給食後マラソンの練習中に喘鳴と呼吸困難、顔色不良で救急車で来院した。 来院時、顔面蒼白、冷や汗、意識もやや低下、収縮期血圧 78mmHg であった。直ちに 1000 倍のアドレナリンを皮下注射、輸液、酸素吸入で回復した。この疾患で正しいの はどれか。 (1)疾患は食事と関係がある。 (2)幼児から学童に少ない。 (3)管理上、体育を禁止する。 (4)十分なウォーミングアップが予防に有効である。 (5)小麦に対する IgE 抗体を測定する。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) (1),(2),(5)○ c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 給食中に含まれる小麦に対してアレルギーを起こしたと考えられる。 27 また小麦アレルギーは離乳食で発覚することが多い。 (3),(4)× 運動誘発性気管支喘息は運動終了後に発症する。 答え:b 28 2004 年 小児科学 卒業試験 1.食物アレルギーの診断で最も重要なものはどれか。 (a)総 IgE 値 (b) 特異的 IgE 値 (c)末梢血好酸球数 (d)除去試験 (e)食物日誌 過剰診断・過小診断を避けるかが食物アレルギーの診断で重要なこと。 (a)総 IgE 値が正常レベルの患者も多い。最も重要とは言えず、あくまで補助的である。(×) (b)特異的 IgE 値が高くても食物アレルギーを発症しない場合も多い。同じく除去試験に至るまでの 補助である。 (×) (c)上昇することが多いが、特異性は低い。(×) (d)確定診断は除去試験で行う。ただし、無用な除去は児の成長に弊害を来たす恐れがある。(△) (e)効率的な除去試験を行うために、最も重要。詳細な食物日誌無しには有効な除去試験が行え ないとの意味合いで正解だと思われる。(○) 正解 e 2.4 歳男児。二分脊椎のためカテーテルにて自己導尿を行っている。生来、アトピー性皮膚炎の 治療も受けていた。バナナで蕁麻疹出現の既往がある。う歯の治療のため歯科医にて口腔内 の処置中、突然口唇浮腫、吸気性喘鳴、呼吸困難が出現し意識レベルも低下してきた。正しい 組み合わせを選びなさい。 (1)血圧が低下している可能性が高い。 (2)抗ヒスタミン薬は無効である。 (3)マスク&バッグで酸素投与を行う場合、天然ゴム製のマスクを使用するほうが密着性があ って良い。 (4)直ちにエピネフリンの筋肉注射を行う。 (5)ラテックス特異的 IgE 抗体の測定が必要である。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) ラテックスアレルギーに伴うアナフィラキシーショック。 (1)アナフィラキシーショックなので、血圧低下、頻脈となる。(○) (2)有効である。(×) (3)ラテックスアレルギーが最も疑われるので天然ゴムは避ける。 (×) (4)(○) (5)カテーテルを継続使用しており、バナナで蕁麻疹出現の既往(交差反応)もあり、ラテックスアレ ルギーが強く疑われる(○) 正解 c 3.気管支喘息の予防治療に関し、正しい組み合わせを選びなさい。 (1)テオフィリン徐放剤を連用中、マクロライド系抗菌薬を併用するときにはテオフィリンの血中 濃度低下に気をつけなければならない。 (2)寛解に向け、患者・家族に対し疾病・治療に関する教育が重要である。 (3)抗アレルギー薬の中には運動誘発喘息に対し予防効果があるものがある。 (4)乳児期の RS ウイルス感染は気管支喘息発症に関与する。 (5)β2 刺激薬は、主に予防的に連用薬として使用する。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)マクロライド系との併用で血中濃度が上昇する。(×) (2)(○) (3)クロモグリク酸吸入で予防できる。(○) (4)(○) (5)頓用で使用する。(×) 正解 d 4.食物アレルギーに関し、正しい組み合わせを選びなさい。 (1)乳児のミルクアレルギーの場合、カゼイン加水分解乳使用も有用である。 (2)食物アレルギー児では、原因と考えられる食物に対する特異的 IgE 抗体価のみで診断は 容易である。 (3)食物で即時型アレルギー反応を示す児でも抗原量が極微量であれば症状を誘発しない。 (4)卵白摂取で即時型反応を示す児の場合、塩化リゾチーム系の薬剤に注意が必要である。 (5)食物アレルギーが乳幼児に多い理由に消化能力の未熟性も一因である。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)カゼイン加水分解乳は有用である。(○?) (2)特異的 IgE のみでは診断できない。(×) (3)症状誘発には一定のアレルゲンの量は必要である。(○) (4)塩化リゾチームはニワトリの卵白由来なので、アナフィラキシーを起こす可能性がある。(○) (5)(○) 正解 e 5.小児アレルギー疾患について正しいのはどれか。 (1)血液検査で牛乳特異的 IgE が強陽性でも、乳製品除去が不要の場合もある。 (2)小児喘息においては 、ステロイド吸入は発作時にとどめるべきである。 (3)鶏卵アレルギーの児にはインフルエンザ予防接種は禁忌である。 (4)乳児期の RS ウイルスによる細気管支炎の罹患は、その後の喘息発症のリスクを高める。 (5)乳児期の食物アレルギーの原因で一番の頻度は鶏卵である。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)特異的 IgE 強陽性でも、食物アレルギーを発症しないことはある。(○) (2)継続的にステロイド吸入を行う。(×) (3)禁忌ではない。規定において、鶏卵アレルギーは接種要注意者であり、禁忌となるのは過去に 鶏卵によるアナフィラキシーを呈したもの。(×) (4)RS ウイルス感染で、気道過敏性が亢進する。(○) (5)卵、牛乳、大豆などが原因となりやすい。(○) 正解 c 6.ビタミン K について正しいものはどれか。 (a)臍帯血中の濃度は母体血よりも低い。 (b)過剰により血栓症を引き起こす。 (c)出生時の経口投与は後期出血性疾患予防に有用である。 (d)母乳中に至適量含まれる (e)筋肉内注射により小児悪性腫瘍の頻度が高まる。 (a)(○) (b)過剰により溶血性貧血をおこす。(×) (c)早期出血性疾患予防に有用である。(×) (d)母乳中には不足している。(×) (e)関連はない。(×) 正解 a 7.3 歳 2 ヶ月の女児。成長・発達は正常。食欲は良好。来春から保育園入園の予定である。聞き 分けの良い子だが毎晩のように夜尿を認め、生後一度も夜間のオムツが取れないことを母親が 心配して来院した。現在は昼間の遺尿は認めていない。検尿では異常所見はない。正しい対応は どれか。 (a)生理的なもので、まだ心配する必要はないと説明する。 (b)三環系抗うつ薬が有効なので、内服を始める。 (c)夜間起こして排尿させる。 (d)夕方から水分摂取を制限する。 (e)罰としてパンツを洗う手伝いをさせて自覚を持たせる。 (a)3 歳であり夜尿症とは言えず、生理的な夜尿と考える。自然に消失するのを待つ。(○) (b)夜尿症の治療。(×) (c)睡眠リズムを乱すので行わない。(×) (d)夜尿症の治療。 (×) (e)無用のストレスを与えるので行わない。(×) 正解 a 8.小児の慢性糸球体腎炎について正しい記述を選べ。 (1)学校検尿で見つかる場合が多い。 (2)厳しい運動制限が必要である。 (3)ステロイド剤は効かない場合が多い。 (4)成人と異なり1次性の場合が多い。 (5)感冒時に激しい肉眼的血尿を認めて見つかることがある。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)多くは顕微鏡的血尿、蛋白尿で発見される。(○) (2)急性増悪時、腎機能低下をみる場合を除いて厳しい運動制限は必要ない。(×) (3)ステロイド剤に反応する場合が多い。(×) (4)(○) (5)特に IgA 腎症などでみられる。(○) 正解 c 9.溶連菌感染後急性糸球体腎炎で見られない症状はどれか。 (1)乏尿 (2)血清中の補体 C3 の低下 (3)血清中 IgA の上昇 (4)低アルブミン血症 (5)尿中の顆粒円柱、赤血球円柱 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)急性期にみられる。数日で回復する。他に浮腫、高血圧、血尿、蛋白尿がある。(○) (2)免疫応答で消費され、C3、CH50 は低下する。(○) (3)みられない。(×) (4)みられない。(×) (5)糸球体由来なので、みられる。(○) 正解 d 10.10 歳女児。主訴は蛋白尿、血尿、低補体血症。3 ヶ月前に蛋白尿、血尿、軽度の顔面浮腫と 下腿の浮腫を指摘され、その時の血液検査では BUN 40mg/dl、Cr 1.2mg/dl、C3 15mg/dl、 C4 7mg/dl、CH50 10U/ml であった。経過観察をし腎機能は正常化したが、低補体血症と血 尿、蛋白尿が持続している。確定診断に必要な検査はどれか。 (1)抗核抗体 (2)抗 DNA 抗体 (3)咽頭培養 (4)ASO (5)腎生検 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)2 ヶ月以上持続する低補体血症があるので、ループス腎炎・膜性増殖性糸球体腎炎を疑う。 (○) (2)同上。(○) (3) 溶連菌感染後急性糸球体腎炎の低補体血症は通常 1~2 ヶ月以内に正常化する。(×) (4)同上。(×) (5)膜性増殖性腎炎の確定診断のために必要である。(○) 正解 b 11.蛋白尿が多量に出ている時のネフローゼ症候群の患児の管理について正しいものを選べ。 (1)入院させ絶対安静とする。 (2)アルブミンが 2.5g/dl 未満となったらアルブミン製剤を投与する。 (3)食事の基本は低食塩、高蛋白食である。 (4)抗血小板剤、または抗凝固剤を併用する。 (5)浮腫が無ければ水分制限は必要ない。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)その必要は無い。(×) (2)アルブミン製剤の投与は通常行われない。ショックや浮腫が著明なとき用いる。(×) (3)低食塩とするが、蛋白は通常もしくはある程度制限する。高蛋白食とすると糸球体に負荷がか かり、腎機能が低下する。(×) (4)ネフローゼ症候群では凝固能が亢進・線溶系が低下するため、行う。(○) (5)水分制限は浮腫がある時に行う。(○) 正解 e 12.溶血性尿毒症症候群(HUS)について正しいものを選べ。 (1)赤血球輸血は貧血があっても極力控える。 (2)下痢は必ず合併する。 (3)病原性大腸菌によるものを疑う時には 72 時間以内の食事歴が重要である。 (4)成人のほうが小児より致死率が高い。 (5)HUS の死亡例の多くは中枢神経病変による。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)血栓形成を増悪させるから。(○) (2)腸管出血性大腸菌によるものが多いが、薬物投与などに起因する場合もある。(×) (3)もっと前の食事歴が重要。通常、下痢から 4~10 日後くらいに発症することが多い。(×) (4)(○) (5)意識障害、痙攣などがある。(○) 正解 c 13.胎児循環ではどれが正しいか。 (1)心房レベルでは右左シャントである。 (2)胎児の肺に流れ込む血液の酸素飽和度は大動脈に流れ込む血液の酸素飽和度より高 い。 (3)胎児の肺に流れ込む血液の量は大動脈に流れ込む血液の量より多い。 (4)臍帯静脈の血液の酸素飽和度は臍帯動脈の血液の酸素飽和度より高い。 (5)肺動脈圧は大動脈圧より高い。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)卵円孔を通じた右左シャント。(○) (2)酸素飽和度の高い下大静脈よりの血液は大部分が右房→左房→左室→大動脈と流れ、酸素 飽和度の低い上大静脈よりの血流は主に右房→右室→肺動脈と流れる。よって大動脈に流れ 込む血流の方が酸素飽和度が高い。(×) (3)胎児の肺に流れ込む血流量は、右室流出路の血流の 10%以下である。右室流出路の血流の 大部分が動脈管を通じ大動脈に流れる。(×) (4)(○) (5)胎児期には肺血管抵抗が大きく、肺動脈圧は大動脈圧より高い。(○) 正解 c 14.正しいのはどれか。 (1)大きな心室中隔欠損で肺血流が増えるのは生後 2 週過ぎからである。 (2)Fallot 四徴症の低酸素発作は生後 2,3 ヶ月から起こる。 (3)完全大血管転換症は出生後数時間で発症する。 (4)心房中隔欠損症は乳児期に発症することが多い。 (5)心室中隔欠損症に合併する大動脈弁閉鎖不全症は生後すぐに現れる。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)(○) (2)(○) (3)出生直後~新生児期にチアノーゼを発症する。(○) (4)幼児期まで無症状である。(×) (5)生後数年たってから大動脈弁右冠尖の VSD への逸脱により発症することが多い。(×) 正解 a 15.動脈管開存症(PDA)について正しいのはどれか。 (1)PDA の心雑音は生後 2 週の正常児のおよそ半数以上で聞かれる。 (2)生後 6 ヶ月時に PDA が存在する場合の自然閉鎖は 3%未満である。 (3)小さい動脈管開存は感染性心内膜炎を合併することがある。 (4)うっ血性心不全はよく知られた合併症である。 (5)動脈管結紮術は子供が 3 歳以上になるまで待機する方がよい。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)動脈管は通常 1~2 日で閉鎖する。(×) (2)(○) (3)小さい開存でも閉鎖した方が望ましい。(○) (4)生後 2~3 ヶ月後におこる。(○) (5)待機する必要は無い。発見したらすぐに行う。(×) 正解 d 16.心房中隔欠損症(ASD)の聴診所見について正しいのはどれか。 (1)肺動脈領域の収縮中期雑音。 (2)2 音の非固定性分裂。 (3)収縮期のスリル(thrill)。 (4)ASD の心雑音は欠損部を通過する血流量を反映している。 (5)胸骨左縁の第 4 肋間の拡張期雑音。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)左‐右シャントによる右心系血流増加による相対的肺動脈狭窄による雑音。(○) (2)固定性分裂。(×) (3) thrill は VSD でみられる。(×) (4)相対的肺動脈狭窄による雑音である。(×) (5)重症化し左‐右シャントが増えると、相対的三尖弁狭窄に伴う拡張期雑音を聴取する。(○) 正解 b 17. Fallot 四徴症と関連するものはどれか。 (1)頭蓋内出血 (2)蹲踞 (3)チアノーゼ発作 (4)脳膿瘍 (5)Ⅱ音亢進 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)乳児期に代償性多血症による血栓形成→脳血栓を起こすことがある。(×) (2)体血管抵抗増大により、肺血流増加がおきる。(○) (3)漏斗部の spasm により、右室流出路狭窄が強まり肺動脈血流減少が生じておこる。(○) (4)VSD の奇異性血栓形成による。(○) (5)肺動脈圧低下→Ⅱp 消失による単一Ⅱ音が見られる。亢進はない。(×) 正解 d 18.次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。 (1)免疫グロブリン G(IgG) は胎盤を通過しない。 (2)抗体を産生するリンパ球は T 細胞である。 (3)感染の早期に上昇する特異的抗体は IgM である。 (4)局所の免疫に関与している免疫グロブリンは IgA である。 (5)IgG の生物学的半減期は約 14 日間である。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)通過する。(×) (2)B 細胞。(×) (3)(○) (4)腸管、気道粘膜などに分布する。(○) (5)約 3 週間である。(×) 正解 d 19.麻疹と風疹を比較した際に、麻疹に特徴的な所見はどれか。 (1)潜伏期間が長い。 (2)発熱期間が長い。 (3)発疹出現前に見られる症状の期間が長い。 (4)コプリック斑が見られる。 (5)後頭下リンパ節が著明に見られる。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)麻疹は 11 日、風疹は 14~21 日である。(×) (2)風疹が 2~3 日で解熱するのに対し、麻疹は 1 週間近く続くことが多い。(○) (3)発疹出現前に、発熱・犬吠様咳そう・コプリック斑などをみるカタル期が 3~4 日ある。(○) (4)(○) (5)後頭下リンパ節・耳介後部リンパ節などの腫脹は風疹で著明である。(×) 正解 d 20.以下のウイルス感染症のうち、垂直感染が見られるのはどれか。 (1)A 型肝炎ウイルス (2)ロタウイルス (3)RS ウイルス (4)B 型肝炎ウイルス (5)サイトメガロウイルス a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)見られない。B で見られる。(×) (2)見られない。(×) (3)見られない。(×) (4)産道感染が多い。(○) (5)経産道・経胎盤・経母乳感染する。(○) 正解 e 21.次のワクチンで、その後最短 1 週間に異なるワクチンを受けても構わないものはどれか。 (1)BCG (2)麻疹 (3)日本脳炎 (4)インフルエンザ (5)ポリオ a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 1 週間でワクチンを受けて良いのは不活化ワクチン。生ワクチンは 4 週間空ける必要がある。 正解 d 22.次の発疹性感染症のうち、発熱消失後に発疹が認められる疾患はどれか。 (a)風疹 (b)突発性発疹 (c)麻疹 (d)手足口病 (e)帯状疱疹 (a)発疹とともに発熱がおこる。(×) (b)ヒトヘルペスウイルス 6 によるもので、発熱の速やかな消失に続いて発疹をみる。(○) (c)カタル期と発疹期の間に解熱傾向が見られるが再度上昇する二峰性の発熱をみる。(×) (d)発疹とともに発熱がおこる。(×) (e)通常、発熱は伴わない。(×) 正解 b 23.次の記載のうち、誤っているものはどれか。 (a)慢性肉芽腫症は一般に白血球数が正常もしくは増加している。 (b)Chediak-東症候群の一つの特徴に皮膚の色素脱出(白皮症)がある。 (c)高 IgM 症候群は免疫グロブリンのクラススイッチに異常がある疾患である。 (d)選択的 IgA 欠損症ではガンマグロブリン製剤投与時のアナフィラキシーに留意する。 (e)高 IgE 症候群では真菌と溶血連鎖球菌の感染が重症化しやすい。 (a)NADPH オキシダーゼ欠損にともなう好中球殺菌能低下による易感染性を示す。白血球数は正 常もしくは感染により増加している。(○) (b)CHS 遺伝子変異による好中球遊走能低下を来たす。白皮症をともなうことが多い。(○) (c)X 連鎖伴性劣性遺伝疾患で、CD40 リガンド(gp39)変異により IgM からの IgA、IgG、IgE へのクラ ススイッチが誘導されない。(○) (d)血中に存在する抗 IgA 抗体によるアナフィラキシーに注意する。(○) (e)カンジダなどの真菌症と、黄色ブドウ球菌による感染(冷膿瘍形成)が主である。(×) 24.特発性血小板減少性紫斑病で正しいものはどれか。 (a)ウイルス感染症後に発症することがある。 (b)高度の脾腫大を伴うのが特徴である。 (c)骨髄検査では巨核球が減少している。 (d)血小板輸血が必要なことが多い。 (e)多くは軽快-再発を繰り返し、慢性の経過を取る。 (a)風疹などのウイルス感染症に続発することがある。(○) (b)脾腫をともなうことは稀である。巨脾はない。(×) (c)巨核球は増加または正常である。(×) (d)少ない。緊急時のみ。出血傾向が強い時は、ステロイドを使用する。(×) (e)小児では急性型が 70%を占める。(×) 正解 a 25.次の疾患と検査の組み合わせで正しいものはどれか。 (1)神経芽腫----------血中ホモバニリン酸 (2)悪性リンパ腫--------ガリウムシンチ (3)溶血性貧血-------- 血中ビリルビン (4)卵黄嚢癌--------- 血中αフェトプロテイン (5)血友病 A--------- 凝固第ⅩⅢ因子 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)6 ヶ月児に尿中 HVA、VMA 測定によりマススクリーニングが行われる。(×) (2)ガリウムシンチで集積を示す。(○) (3)上昇する。(○) (4)同上。(○) (5)第Ⅷ因子活性低下。(×) 正解 d 26.小児の白血病に関する次の記述のうち誤っているものはどれか。 (a)急性白血病の初発症状として骨・関節痛は重要である。 (b)急性単球性白血病では歯肉腫脹を伴うことがある。 (c)慢性骨髄性白血病の慢性期には血小板減少が認められる。 (d)急性リンパ性白血病の芽球はペルオキシダーゼ染色が陰性である。 (e)アントラサイクリン系薬剤を使用する場合には心機能障害に注意する。 (a)白血球の骨膜下浸潤による。(○) (b)歯肉への浸潤による。(○) (c)血小板は→or↑。ただし急性転化したときは↓。(×) (d)ペルオキシダーゼ染色で芽球の3%以上が陽性で骨髄性、3%未満でリンパ性。(○) (e)副作用として心筋障害、脱毛、骨髄抑制。(○) 正解:c 27.臍帯血幹細胞移植について誤っているのはどれか。 (1)臍帯血には骨髄液より大量の造血肝細胞が含まれている。 (2)兄弟からの移植が最も頻繁に行われる。 (3)移植の成功には HLA(ヒト白血球抗原)が完全に一致していることが大前提である。 (4)骨髄移植に比べて GVHD(移植片対宿主反応)が起こりにくい。 (5)遺伝性疾患が移行する可能性がある。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)骨髄幹細胞や末梢血幹細胞と比較してより未分化な幹細胞を豊富に含む。(○) (2)HLA 不一致移植であっても同種骨髄移植や末梢血肝細胞移植に比べ GVHD の頻度や重症度 が低い。→兄弟でなくてもいいことが多い。おそらく臍帯血バンクを通した移植が中心か(×) (3) HLA 不一致移植であっても同種骨髄移植や末梢血肝細胞移植に比べ GVHD の頻度や重症度 が低い。(×) (4)重症 GVHD の発生は稀である。(○) (5)ある。(○) 正解:c 28.小児において腫瘍発生のリスクとなる病態と腫瘍の関係について正しいものはどれか。 (1)半身肥大---------------------肝芽腫 (2)両側性網膜芽細胞腫----------------骨肉腫 (3)無虹彩症---------------------ウィルムス腫瘍 (4)急性リンパ性白血病に対する頭蓋放射線照射-----脳腫瘍 a(1),(3),(4) b(1),(2) c(2),(3) d(4) e(1)~(4)のすべて (1)先天奇形の合併として半身肥大がある。(○) (2)mismatch repair gene の異常により、二次癌が高率に発症する。(○) (3)ウィルムス腫瘍には、無虹彩症、半身肥大症、尿道下裂、半陰陽、Beckwith-Wiedemann 症候 群(巨舌、巨大児、臍異常)などの先天奇形の合併がある。(○) (4)二次悪性腫瘍の発生がおきることがある。(○) 正解:e 29.小児の急性細気管支炎について正しいものはどれか。 (1)RS ウイルスが原因となる。 (2)胸部 X 線写真で両肺の透過性低下を認める。 (3)吸気性呼吸困難がみられる。 (4)6ヵ月以内の乳児に多い。 (5)加湿酸素吸入が有効である。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)RS(50%を占める)、パラインフルエンザ、アデノ、マイコプラズマが原因。(○) (2)肺の過膨張により、肺野は明るく、横隔膜は低いという肺気腫像。(×) (3)細気管支が閉塞されて呼気性呼吸困難。(×) (4)6 ヵ月前後の児に好発。(○) (5)対症的に酸素吸入や輸液をおこなう。抗生物質は原則として不用。(○) 正解:c 30.成長ホルモン分泌不全(下垂体性小人症)の特徴として正しいのはどれか。 (a)骨盤位分娩、仮死などの分娩障害を認めることが少なくない。 (b)血漿ソマトメジン-C 値は高い。 (c)骨年齢は暦年齢に一致していることが多い。 (d)出生時より低身長である。 (e)膠原病を合併することが多い。 (a)周産期の仮死、低酸素症を通じて視床下部・下垂体障害をおこす。(○) (b)GH がソマトメジン-C を増産させるので GH↓でソマトメジン-C↓。(×) (c)骨成熟は身長年齢に相応になる。(×) (d)生下時は正常。(×) (e)特発性が 80%、続発性の原因疾患としては、頭蓋咽頭腫、生殖細胞腫、下垂体嫌色素性細胞 腫、頭部外傷などである。(×) 正解:a 31.先天性副腎皮質過形成症(21 水酸化酵素欠損症)の新生児に認められるのはどれか。 (a)浮腫 (b)多毛 (c)皮膚色素沈着 (d)低カリウム血症 (e)代謝性アルカローシス (a)浮腫はない。(×) (b)晩発性先天性副腎皮質過形成では多毛になる。(×) (c)コルチゾール↓→ACTH 過剰による。(○) (d)高カリウム血症となる(塩喪失型)。11β欠損や 17α欠損では低カリウム血症がみられる。(×) (e) 代謝性アシドーシスとなる(塩喪失型)。11β欠損や 17α欠損ではみられる。(×) 正解:c 32.生後 2 週の乳児。正期産、出生体重 3250g。生来、哺乳が緩慢で、不活発であった。マススク リーニング検査で TSH が高値と報告された。この児で予想されるのはどれか。 (1)よく舌を出す。 (2)下痢が続く。 (3)早期に小泉門が閉鎖する。 (4)黄疸が遷延する。 (5)無治療では知能低下をきたす。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) TSH が高値なのでクレチン症である。 (1)巨大舌になる。(○) (2)便秘になる。(×) (3)閉鎖は遅延する。(×) (4)腸管の運動が低下し、それによりビリルビンの停滞、グルクロニルトランスフェラーゼ活性の低 下がおこり、黄疸が遷延する。(○) (5)甲状腺ホルモンは脳の発達に重要。(○) 正解:c 33.8 歳、男児。学校の音楽の授業で笛を吹いていた時に手の脱力と痺れを訴えて保健室に行っ た。症状は数分で軽快した。以前にも突然に右手に力が入らなくなった事が時々あったため、 心配した母親に連れられて受診した。診察時に神経学的所見に異常はない。診断はどれ か。 (a)てんかん (b)低血糖 (c)特発性ウイリス動脈輪閉塞症(モヤモヤ病) (d)脳腫瘍 (e)急性散在性脳脊髄炎 (a)過呼吸により誘発されやすいものとして欠神発作があるが、欠神発作であれば意識消失を伴う。 (×) (b)振戦、痙攣などがみられる。(×) (c)過呼吸によって一過性の運動麻痺が誘発される。(○) (d)痙攣が初発症状であることが多い。(×) (e)発熱、頭痛、嘔吐などがみられる。(×) 正解:c 34.福山型先天性筋ジストロフィーについて正しいものはどれか。 (1)重度知能障害をもつ。 (2)点頭てんかんに罹患しやすい。 (3)滑脳症をもつ。 (4)平均寿命は 2-3 歳である。 (5)両親が保因者であることが多い。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)高度の知能障害、中枢神経障害を伴う。(○) (2)点頭てんかんの原因疾患ではない。(×) (3)脳奇形としては大脳・小脳の多小脳回がある。(×) (4)平均寿命は 10 歳前後である。(×) (5)常・劣遺伝である。(○) 正解:b 35.点頭てんかんを合併しやすい疾患はどれか。 (1)結節性硬化症 (2)神経線維腫症 (3)Prader-Willi 症候群 (4)ダウン症 (5)フェニルケトン尿症 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)点頭てんかんの原因疾患である。(○) (2)結節性硬化症に比べ、頻度は非常に稀。(×) (3)筋緊張低下、性腺発育不全、知能低下、肥満がみられる。(×) (4)点頭てんかんの原因疾患である。(○) (5)点頭てんかんの原因疾患である。(○) 正解:c 36.精神遅滞に関して正しくないものはどれか。 (a)精神遅滞は人口の 1%にみられる。 (b)軽度精神遅滞をもつ者の多くは社会的経済的に恵まれない階層に属す。 (c)食事療法がある種の精神遅滞を改善させる。 (d)虐待された児では身体の発育には障害があるが精神遅滞はない。 (e)先天性甲状腺機能低下症の早期治療は精神遅滞を予防できない事がある。 (a)(○) (b)(○) (c)フェニルケトン尿症、ガラクトース血症など。(○) (d)精神遅滞も起こりうる。(×) (e)(○) 正解:d 37.3 歳男子。1 歳から 3 歳までに発熱の際、全般強直発作(持続時間約 2 分)を 5 回示している。 父に熱性痙攣の既往がある。既往歴では出生時仮死があるがその後の発達は正常で、神 経学的理学所見も正常である。脳波では頭頂部に棘波の散発をみた。正しいのはどれか。 (1)診断は 2 次性全般化部分てんかんで、抗てんかん薬の治療が必要である。 (2)診断は非定型熱性痙攣であるが、てんかん発作発症の予防のため抗てんかん薬の内服 治療が開始されるべきである。 (3)診断は非定型熱性痙攣である。抗てんかん薬治療は必要としない。 (4)体調のよいときに予防接種は可能である。 (5)予防接種は当面制限されなければならない。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)Jackson てんかんは病巣に一致して spike、spike & wave がみられる。焦点は大脳運動領野。 (×) (2)再発予防には発熱時に diazepam 座薬の間欠投与を行う。(×) (3)再発予防には発熱時に diazepam 座薬の間欠投与を行う。(○) (4)発熱時の diazepam を中心とした痙攣対策を行えば健常児と同様に可能である。(○) (5)発熱時の diazepam を中心とした痙攣対策を行えば健常児と同様に可能である。(×) 正解:d 38.新生児について誤っているのはどれか。 (1)出生時体重は約 3kg である。 (2)出生時標準身長は約 50cm である。 (3)臍脱は生後まもなくである。 (4)大泉門の開大は水頭症を疑う。 (5)黄疸は生後 5 日前後が一番強い。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)(○) (2)(○) (3)臍帯は 7 日以内に脱落する。(×) (4)大泉門の開大は生理的である。(×) (5)生理的黄疸のピークは生後 5 日目。(○) 正解:d 39.先天性風疹症候群で高率に認められるのはどれか。 (1)白内障 (2)先天性心疾患 (3)聴力障害 (4)不整脈 (5)視神経の低形成 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)眼症状としては、白内障、網脈絡膜炎、緑内障、角膜混濁、小眼症。(○) (2)心奇形としては、動脈管開存症、心室中隔欠損症、肺動脈狭窄症。(○) (3)感音性難聴になる。(○) (4)心奇形としては、動脈管開存症、心室中隔欠損症、肺動脈狭窄症。(×) (5)眼症状としては、白内障、網脈絡膜炎、緑内障、角膜混濁、小眼症。(×) 正解:a 40.日齢1に左頭頂部に腫瘤が触知された。この腫瘤は骨縫合を超えることなく、波動を触れた。 この腫瘤は何か。 (a)産瘤 (b)頭血腫 (c)僧帽腱膜下血腫 (d)頭皮下血腫 (e)血管腫 (a)皮下もしくは帽状腱膜下なので縫合線をこえる。23-24 時間で消失する。(×) (b)骨膜下なので縫合線をこえない。(○) (c)帽状腱膜下なので縫合線をこえる。(×) (d)皮下なので縫合線をこえる。(×) (e)波動を触れない。(×) 正解:b 41.高間接ビリルビン血症をきたすものはどれか。 (1)新生児肝炎 (2)母乳性黄疸 (3)先天性甲状腺機能低下症 (4)溶血性貧血 (5)胆道閉鎖症 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)直接ビリルビン↑。(×) (2)母乳中のプレグナンジオールがビリルビン抱合を抑制し、間接ビリルビン↑。(○) (3)間接ビリルビン↑。(○) (4)間接ビリルビン↑。(○) (5)直接ビリルビン↑。(×) 正解:d 42.生後6ヵ月の乳児。意識障害を主訴に来院した。母親は「朝は元気であったが、父親があやし て抱いていたところ急に元気がなくなり、痙攣を起こした」と説明した。診察したところ痛み刺 激に反応がなく、四肢に紫斑およびやけど痕を多数認めた。間違っているのはどれか。 (a)頭蓋内出血の可能性があり、頭部 CT 検査を施行した。 (b)ゆさぶり症候群(shaking baby syndrome)が疑われる。 (c)神経学的な予後は不良であることが多い。 (d)身体的虐待が疑われたので、全身の写真を撮影した。 (e)守秘義務が優先する為、児童相談所への通告は行わなかった。 (a)(○) (b)(○) (c)(○) (d)(○) (e)守秘義務より通告が優先する。(×) 正解:e 43.小児における誤飲でもっとも多いものはどれか。 (a)玩具 (b)ピーナッツ (c)たばこ (d)医薬品 (e)ボタン電池 誤飲は多い順にたばこ、医薬品、おもちゃ、電池。 (b)ピーナッツは気管・気管支異物。(×) 正解:c 44.新生児マス・スクリーニング検査(ガスリー検査)にないものはどれか。 (a)フェニルケトン尿症 (b)21-ハイドロキシレース欠損症 (c)クレチン症 (d)ガラクトース血症 (e)ウイルソン病 あるのは、クレチン症(c)、先天性副腎皮質過形成(b)、フェニルケトン尿症(a)、ヒスチジン血症、 ガラクトース血症(d)、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症である。 正解:e 45.乳児期に便秘をきたすのはどれか。 (1)Hirschsprung 病 (2)Werdnig-Hoffmann 病 (3)ボツリヌス中毒 (4)先天性横隔膜ヘルニア (5)ガラクトース血症 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) (1)先天性の Auerbach 神経叢欠如による胎便排泄遅延、新生児期の頑固な便秘。(○) (2)全身の筋緊張低下がある。(○) (3)初発症状が便秘のことも、罹患後半年以上頑固な便秘があることもある。(○) (4)肺の低形成がおきる。(×) (5)下痢がある。(×) 正解:a 46.先天性肥厚性幽門狭窄症について正しいのはどれか。 (1)胎便排泄が遅延する。 (2)double bubble sign がみられる。 (3)哺乳力が低下する。 (4)低クロール性アルカローシスを呈する。 (5)超音波検査で診断する。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)先天性十二指腸閉鎖症・狭窄症で遅れる。(×) (2)先天性十二指腸閉鎖症・狭窄症でみられる。(×) (3)吐いた直後でもミルクをほしがる。(×) (4)HCl を含む胃液を嘔吐する。(○) (5)幽門筋の肥厚が 4mm 以上で診断。(○) 正解:e 47.フェニルケトン尿症について正しいのはどれか。 (a)無治療では精神遅滞を起こす。 (b)心奇形の合併が多い。 (c)皮膚の色素沈着が認められる。 (d)高フェニルアラニン・低チロシン食事療法が必須である。 (e)妊娠中のフェニルケトン尿症母体では食事制限を行うと、児の小頭症の発生が高まる。 (a)低フェニルアラニン食にする。(○) (b)ない。(×) (c)メラニン色素欠乏がある。(×) (d)低フェニルアラニン食。(×) (e)フェニルアラニン制限なしに妊娠すると高い流産率、胎児の高率な知脳障害が起こる。(×) 正解:a 48.正しい組み合わせはどれか。 (a)Wilson 病-----------亜鉛代謝異常症 (b)ホモシスチン尿症-------ムコ多糖症 (c)Niemann-Pick 病-------脂質代謝異常症 (d)Gaucher 病----------糖質代謝異常症 (e)フェニルケトン尿症------有機酸代謝異常症 (a)銅代謝異常症。(×) (b)アミノ酸代謝異常症。(×) (c)脂質代謝異常症。(○) (d)脂質代謝異常症。(×) (e)アミノ酸代謝異常症。(×)? 正解:c 49.2 歳の男児。低身長を主訴に来院した。在胎 40 週、正常分娩で出生。精神運動発達は正常で ある。身長 84cm(-1.9SD)、体重 12.2kg(-0.5SD)。人形様顔貌で腹部は膨満し、肝を右季 肋下に 8cm 触知した。血液生化学検査では AST245IU/l、ALT364IU/l であった。考えられる 疾患はどれか。 (a)Wilson 病 (b)Gaucher 病 (c)Niemann-Pick 病 (d)遺伝性酸性ムコ多糖症 (e)糖原病 (a)Wilson 病は人形様顔貌はない。(×) (b)Gaucher 病は 6 ヵ月以内に発症し、知脳障害がある。(×) (c)Niemann-Pick 病は 6 ヵ月くらいの間に色素沈着、知能発育の低下、筋緊張の低下がある。 (×) (d)遺伝性酸性ムコ多糖症は特異な顔貌、知能低下がある。(×) (e)人形様顔貌、低身長、知能はほぼ正常であることから、糖原病Ⅰ型(von Gierke 病)が考えられ る。(○) 正解:e 50.前記の児の治療で適当でないのはどれか。 (1)血糖を 70mg/dl 以上に保つ。 (2)頻回の食事を与える。 (3)適度な運動をする。 (4)炭水化物の摂取制限を行う。 (5)高蛋白食を与える。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) (1)成長障害の改善の目的で低血糖を予防する。(○) (2)6-8 回/日にする。(○) (3)低血糖発作を起こす。(×) (4)炭水化物の割合は高めにする。(×) (5)高蛋白食は有効である。(○) 正解:d 【小児】2005 1.小児の食物アレルギーの原因食物として頻度の高いものを選べ。 (1) 鶏卵 (2) 小麦 (3) ソバ (4) 魚 (5) 牛乳 a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) 解答: b 解説: 小児においては鶏卵、乳製品が圧倒的に多い。(アレルギー情報センターHP http://www.allergy.go.jp/allergy/guideline/05/index.html 参照) 2.鶏卵アレルギーの子どもで注意すべき予防接種はどれか。 (1) 麻疹 (2) 風疹 (3) 流行性耳下腺炎 (4) ポリオ (5) インフルエンザ a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) 解答: b 解説: 鶏卵アレルギーの子どもは、(1)麻疹、(5)インフルエンザのワクチンでアナ フィラキシーを起こす恐れがあるので注意が必要である。 3.13歳女児。学校で給食後のテニスの最中に眼瞼浮腫、顔面腫脹、喘鳴で気分不良に なり、救急車で来院した。来院時、血圧触知せず入院。給食はナポリタンスパゲッテ ィーとかき玉スープだった。正しいのはどれか。 (1) 原因として小麦が考えられる。 (2) 直ちにエピネフリン注射を行う。 (3) 症状が反復することは少ない。 (4) 抗アレルギー薬の定期内服が必要である。 (5) 運動関係のクラブ活動は禁止する。 a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) 解答: a 解説:食物依存性運動誘発アナフィラキシーであると考えられる。 (1) ○ 学童期に新規発症する食物アレルギーとしては甲殻類、小麦が多い。 (2) ○ アナフィラキシー状態にあり、直ちにエピネフリン注射を行う。 (3) × 一部の食物(ピーナッツなど)によるアナフィラキシーでは、経過中に二相性 反応が見られることがある。このため、症状出現後4時間までは診療所・病院内 にて経過観察することが望ましい。 (4) × 原因食物の摂取に注意し、アナフィラキシーを起こした時に迅速に対応する ことがたいせつである。 (5) × 原因食物を摂取しなければ運動は可能である。 4.乳児の栄養について正しいのはどれか。 (a) 初乳には IgM が豊富である。 (b) 母乳は人工乳に比べてカゼインの含量が多い。 (c) 母乳哺育児では Vitamin K の投与は不要である。 (d) 成人に比べて乳児では体重あたりの必要カロリー量は少ない。 (e) 離乳期の乳児では鉄の不足を来しやすい。 解答: (e) 解説: (a)× 初乳には分泌型 IgA が含まれる。 (b)× カゼイン含量 (c)× 母乳は Vitamin K が少ない。 (d)× 乳幼児は成人の 2~3 倍のカロリーが必要である。 (e)○ このため離乳食には鉄分の多く含まれたものが必要である。 母乳 0.5g < 人工乳 2.8g (100g あたり) 5.Down 症候群の臨床像について正しい文を選べ。 (1) 筋緊張亢進を認める。 (2) 白血病を合併することがある。 (3) 先天性心疾患を伴うことが多い。 (4) 腎奇形の合併が多い。 (5) 知能障害は進行性である。 a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) 解答: c 解説:半数の児に何らかの心奇形合併(3)、約1%に急性白血病(2)が見られる。 6.染色体異常について正しい文を選べ。 (1) 自然流産の約95%は染色体異常が原因である。 (2) 児において染色体の不均衡な転座を認めた場合には、両親の染色体分析の適応 がある。 (3) 18Torisomy 症候群は、重度の合併症を伴い、生命予後は一般に不良である。 (4) 染色体均衡型転座保因者の次世代において染色体不均衡型の児が出生する可能 性は50%に及ぶ。 (5) 染色体均衡型転座保因者では、約50%で症状を認めるために精密検査が必要 となる。 a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) 解答: c 解説: (1)× 自然流産の 80%が早期流産、そのうち 2/3 に染色体異常が検出された という報告もある(STEP 産科 p108~109) (2)○ 両親のいずれかが均衡型転座保因者である可能性がある。 (3)○ その通り。 (4)× 4/6 の確率で受精時に異常を生じるが、多くは流産してしまう。 (5)× 相互転座だけでは原則として異常を生じない。 7.3歳男児、2日前から激しい下痢と腹痛があり、本日から血便となったため受診した。 眼球結膜は軽度貧血があり、激しく泣いた後に目の周りに出血班を認めた。血液検査では、 Hb 9.2mg/dl、Ht 29.6%、WBC 12000/μl、Plt 33000/μl、Na 129mEq/l、K 3.3mEq/l、 Cl 95mEq/l、BUN 49mg/dl、Cr 1.5mg/dl、AST 156IU、ALT 96IU、LDH 1600IU であ った。患児について正しいことを選べ。 (1) 下痢の原因菌は発症してから48時間以内に食べたものに限られる。 (2) 黄疸を認めることがある。 (3) 腎不全になるかもしれないが、透析療法を的確に行えば予後は良好である。 (4) 痙攣を起こす疾患ではない。 (5) 原因になる食物ははちみつが多い。 a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) 解答: c 解説:溶血性尿毒症症候群(HUS) (STEP 小児科 P525, year note G-83) 消化器症状(下痢)後の出血、血小板減少、貧血、AST・ALT・LDH 上昇(溶血 性貧血?)、腎不全症状、から、小児に好発する血栓性血小板減少性紫斑病の亜型 である HUS と考えられる。 溶血性貧血による黄疸を認め(2) 、透析療法の導入により予後は改善した(3)。 8.微小変化型ネフローゼ症候群について正しくないものはどれか。 (a) 適正なステロイド投与により多くは2週間以内に蛋白尿が消失する。 (b) シクロホファミドやシクロスポリンAの投与は頻回再発例に対して再発抑制効 果を持つ。 (c) 赤血球円柱が尿に見られることは少ない。 (d) 浮腫に対しては利尿剤の投与が最も効果的である。 (e) 高血圧が持続する例は予後不良のことがある。 解答: (d) 解説: (a)○ 本症の多くはステロイドによく反応し、1~2週で蛋白尿は減少する。 (b)○ ステロイド抵抗性の頻回再発例に対して免疫抑制剤が用いられる。 (c)○ 血尿は原則として見られない。 (d)× ステロイドで浮腫はとれる。 (e)○ 通例、高血圧は問題とならないが。 9.小児の急性糸球体腎炎について誤っている記述を選べ。 (1) 一般的に予後は良好である。 (2) 原因菌はインフルエンザ菌が一番多い。 (3) 血清の補体値の低下が見られれば、急性腎炎と診断してよい。 (4) 利尿がついても、しばらくは厳しい塩分制限が必要である。 (5) 高血圧によって皮質盲、痙攣などの後頭葉症状を認めることができる。 a.(1),(2),(3) 解答: b.(1),(2),(5) c.(1),(4),(5) d.(2),(3),(4) e.(3),(4),(5) d 解説:(1)○ (2)× A 群β溶連菌が多い。 (3)× 血清補体価の低下は膜性増殖性腎炎とループス腎炎でも見られ、急性糸球 体腎炎の場合この値はほぼ全例で二ヶ月以内に回復する。 (4)× 利尿がついたら塩分制限の必要はない。 (5)○ 高血圧による高血圧脳症に注意が必要である。 10.次の中で誤っているものを1つ選べ。 (a) 乳児期の尿路感染症は男児に多い。 (b) 乳児期以降の尿路感染症は女児に多い。 (c) 尿路感染症を合併する乳幼児は、尿路奇形、腎奇形の検索が必要である。 (d) 膀胱尿管逆流症は、自然治癒の可能性が低いので外科的治療を行う。 (e) 膀胱尿管逆流症により尿路感染症を繰り返す児には、抗菌薬も予防投与を行う。 解答: (e) 解説:(a)(c)○ 乳児期に見られる尿路感染は男児に多く、かつこのような場合は膀胱 尿管逆流症(VUR)や腎盂尿管移行部狭窄といった尿路奇形をしばし ば有している。 (b)○ 幼児期以降は女児に多く、尿道が短いことが関係している。 (d)× 小児では自然治癒することが多い。 (year note E-72) (e)○ その通り。 11.下記の中で正しいのはどれか。 (1) WPW症候群では偽性心室頻拍という致死的不整脈を起こすことがある。 (2) 発疹、眼球結膜充血は川崎病の主要症状に含まれる。 (3) 川崎病の合併症で最も多いのは心臓弁膜症である。 (4) リウマチ熱の合併症で最も多いのは冠動脈瘤である。 (5) 先天性心疾患の発症率は出生の 0.1%である。 a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) 解答: a 解説:(1)○ WPW 症候群に発作性心房細動が合併すると、偽性心室頻拍という心電図 像を呈する。高度の頻拍を呈して Vf に移行して急死する可能性もある。 (2)○ その通り (3)× 川崎病における心血管障害の主病変は冠動脈炎である。 (4)× リウマチ熱の合併症で多いのは心内膜炎で、約 50%に存在する。 (5)× 約1%である。 12.小児の高血圧の原因とはなりにくい疾患はどれか。 (a) 大動脈縮窄症 (b) 完全房室ブロック (c) 急性尿路感染 (d) 急性糸球体腎炎 (e) 神経芽細胞腫 解答:c(+e?) 解説: (a)○ 単純性大動脈縮窄症では、上肢(特に右)の血圧が高く、下肢は低くなる。 (b)○ 小児において、心内膜症欠損症や先天性心疾患の開心術後などで房室ブロ ックが見られることがある。高度ブロックでは、著明な除脈となり代償性 に1回拍出料が増加して収縮期高血圧となる。 (c)× 小児の尿路感染症では尿路奇形を有していることが多く、将来、高血圧・腎 不全が起こりうる(year note E-79)が、急性尿路感染では高血圧は起こり にくい。 (d)○ 約 50%に中等度の高血圧を認める。 (e)× 高血圧はない。(STEP 小児科 p440) 13.バチ状指(clubbing finger)をきたす疾患を選べ。 (1) 大動脈縮窄症 (2) 三尖弁閉鎖 (3) ファロー四徴症 (4) 気管支喘息 (5) 心房中隔一次口欠損 a.(1),(2) b.(1), (5) c.(2),(3) d.(3),(4) e.(4) ,(5) c 解答: 解説:うっ血性心不全、亜急性感染性心内膜炎、チアノーゼ性先天性心疾患(2)(3)、 原発性肺癌、肝硬変などがバチ状指を呈する代表的なものである。 14.小児期の正常心電図について正しいのはどれか。 (a) 幼児期まで通常は右軸変位を認める。 (b) 小児では呼吸性洞性不整脈が著明である。 (c) 1歳以降では心拍数は成人と変わらない。 (d) 中学1年生頃にはT波形態は成人と変わらなくなる。 (e) T波は加齢とともにV1・V2・V5・V6の順で陽転する。 解答: (b) 解説: (a)× 胎児循環の名残として新生児期・乳児期において生理的肺高血圧、右軸変位、右 室肥大所見を示す。 (b)○ 呼吸性不整脈が若年で著明。 (c)× 成人になるまでに徐々に心拍数は低下していく。 (d)× 15 歳頃まで V1T は陰性を示す。 (e)× 生後 7 日で V5V6 が陽転、その後 V4→V1に向かって徐々に陽転する。 15.右左シャントを呈する先天性心疾患を選べ。 (1) ファロー四徴症 (2) 総肺静脈還流異常症 (3) エブスタイン奇形 (4) 左心低形成 (5) 三尖弁閉鎖 a.(1),(2),(3) 解答: b.(1),(2),(5) c.(1),(4),(5) d.(2),(3),(4) e.(3),(4),(5) c 解説: (1)○ 強い右室流出路狭窄と大きい心室中隔欠損があるため、右室の血液が大動脈に 流れる(右左シャント)。 (2)△ 全ての肺静脈と左房との交通がなく、肺静脈が右房または体静脈のどこかと交 通している疾患である。体静脈、肺静脈全ての血液が右房に戻り、右心系の量負荷、圧負 荷が生じる(左右シャント様)が、右房血が卵円孔または心房中隔欠損(ASD)を介し左房・ 左室に流れれば(右左シャント様) 、生命は維持される。 (3)△ 三尖弁が変形し、右室内にずれて付着しているため、右室は右房化した部分と 本来の右室機能をもつ部分から成る。右室からの有効拍出量が減少し、卵円孔または心房 中隔欠損を通しての右左シャント、チアノーゼが生じる。しかし、生理的な肺血管抵抗が 減弱し肺血流量が増加すると、右左シャント、チアノーゼが軽快する。 (4)○ 大動脈弁、僧帽弁の閉鎖もしくは強い狭窄により、機能しない狭小の左室をも つ疾患群である。肺静脈血は卵円孔またはASDを通して右房に流入し、体静脈と混合し、 肺動脈へ送られ、その一部が動脈管を介して体循環へと供給される(右左シャント)。 (5)○ 体静脈血は卵円孔またはASDを通して左房に入り、左房で肺静脈血と混合し、 左室から大動脈へと流れる(右左シャント)。 16.次の記述のうち、誤ったものはどれか。 (a) 溶血連鎖球菌による感染症として、猩紅熱が代表的である。 (b) 風疹ウイルスは妊娠初期に罹患すると、奇形児が生まれる恐れがある。 (c) 結核は、第二次大戦後から急速に減少したが、最近になって増加傾向に転じた、 いわゆる再興感染症の一つである。 (d) HIV感染症では、CD8陽性細胞が減少するため日和見感染症が合併しやすい。 (e) 水痘と帯状疱疹の起因ウイルスは同じものである。 解答: (d) 解説:(a)○ (b)○ その通り。 そのため、予防接種が行われている。 (c) ○ その通り。 (d) HIV感染症では、CD4陽性細胞が減少する。 × (e)○ ヘルペスウイルス科の水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が起因。 17.次のうちステロイド薬の副作用としてみられない症状はどれか。 (a) 高血圧 (b) 耐糖能低下 (c) 満月様顔貌 (d) 白内障 (e) 蛋白尿 解答: (e) 解説: 通常、蛋白尿を呈することはない。 18.小児期の細菌性髄膜炎について正しいのはどれか。 (1)治癒しても後遺症として聴力障害や下垂体性内分泌障害を残す場合がある。 (2)新生児期の細菌性髄膜炎の起因菌として肺炎桿菌・インフルエンザ菌が多い。 (3)生後 6 ケ月~2 歳までの細菌性髄膜炎の起因菌としてB群溶連菌が多い。 (4)髄膜炎の疑われる症例で乳頭浮腫のある場合、直ちに髄液検査で起因菌検査を行う。 (5)迅速診断検査診断には髄液のグラム染色と特異抗体による凝集法を実施すると良い。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 解答 b 解説: (2) 新生児期の細菌性髄膜炎の起因菌としては腸内細菌群・B群溶連菌が多い。 (3) 生後 6 ケ月~2 歳までの細菌性髄膜炎の起因菌としては肺炎球菌・インフルエンザ菌が 多い。 (4) 髄膜炎の疑われる症例で乳頭浮腫のある場合、脳浮腫・脳ヘルニアが疑われるので減 圧療法をまず行い、脳浮腫・脳ヘルニアの改善が確認できれば髄液検査で起因菌検査を行 う。 19.治療薬の選択肢として適切な組合せを選べ (1)A群溶連菌による化膿性扁桃腺炎‥・ペニシリン系薬 (2)キャンピロバクター腸炎・・・・・・・アンピシリン (3)尿路感染症・・・・・・・・・・・・・クラリスロマイシン (4)インフルエンザ菌性髄膜炎・・・・・・セフトリアキソンナトリウム (5)伝染性膿痂疹・・・・・・・・・・・・経ロセフェム系薬 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解答 c 解説: (2) キャンピロバクター腸炎にはホスホマイシンあるいはマクロライド薬を投与する。 (3)尿路感染症には経ロセフェム系薬を投与する。 20.小児結核の特徴について正しいのはどれか (1)乳幼児結核は家族内感染が多い。 (2)粟粒結核の診断には胸部CT検査が有用である。 (3)小児結核患児から分離された結核菌のうち 40%は多剤耐性菌である。 (4)予防接種法により生後 6 ヶ月から 12 ヶ月の間でツベルクリン検査を全員受ける。 (5)肺結核を疑い喀痰の採取が困難な場合、早朝空腹時の胃液を採取し、培養検査検体とす る。 a(1),(2),(3) 解答 b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) b 解説: (4)結核の予防接種に対しては予防接種法でなく結核予防法である。ツベルクリン検査は 2005 年 4 月の結核予防法改正により廃止され、ツ反検査陰性児のみ対象のBCG接種から BCG直接接種(生後 3 ヶ月から 6 ヶ月の間が対象)に変わった。 21.以下のウイルス感染症と合併症の組み合わせで誤っているものはどれか。 (a)麻疹・・・・・・・・脳炎 (b)風疹・・・・・・・・紫斑病 (c)ムンプス・・・・・・無菌性髄膜炎 (d)パルボB19‥‥・骨髄無形成発作 (e)単純ヘルペス・・・・亜急性硬化性全脳炎(SSPE) e 解答 解説: (e)亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹後約 6、7 年で発症する。 22.次のワクチンのうち、不活化ワクチンを選べ。 (a)BCG (b)ムンプス (c)ポリオ (d)日本脳炎 (e)風疹 解答 d 23.インフルエンザ・ウイルス感染症について、正しいものを一つ選べ。 (a)インフルエンザ関連脳症での死亡者数は年間 100-200 人で、ほとんどが年長児である。 (b)インフルエンザ脳症は、ワクチンを接種していても発症する。 (c)効果がみられる抗ウイルス薬はないので、罹患した際には対症療法で対応する。 (d)現在東南アジアを中心に流行が起こっている鳥インフルエンザウイルスは、H7N1で ある。 (e)ヒトに感染するインフルエンザウイルスは、A型、B型、C型のいずれかである。 解答 b 解説: (a) インフルエンザ関連脳症での死亡者はほとんどが 5 歳以下の乳幼児である。 (c)有効な抗ウイルス薬としてオセルタミビル(タミフル)などがある。 (d) 現在東南アジアを中心に流行が起こっている鳥インフルエンザウイルスは、H5N1で ある。 (e)流行的な広がりをみせるのはA型とB型である。 24.次のうち正しいものを一つ選べ。 (1)感染早期に上昇する免疫グロプリンは IgA である。 (2)麻疹は別名「三日ばしか」ともいわれる。 (3)伝染性紅斑(りんご病)は胎児に貧血を引き起こす。 (4)乳児白色便性下痢症(白痢)はウイルスによって起こる。 (5)風疹の潜伏期間は、麻疹のそれより一般的に短い。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) d 解答 解説: (1)感染早期に上昇する免疫グロプリンは IgM である。 (2)麻疹の別名は「はしか」で、「三日ばしか」は風疹を指す。 (5)風疹の潜伏期間は、麻疹のそれより一般的に長い。 25.川崎病について正しいのはどれか。 (1)血小板の減少を示す例は軽症である。 (2)川崎病罹患児では、接種時期に関わらずBCG部位の発赤が認められる。 (3)治療の有無は関係なく、5日以上の発熱が診断基準である。 (4)腋窩動脈瘤は冠動脈瘤がある例でみられることが多い。 (5)γグロブリン大量療法を行うことで冠動脈瘤併発を約 10%に抑えられる。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) e 解答 解説: (1)血小板減少は播種性血管内凝固症候群(DIC)を疑わせ、決して軽症でない。 (2)川崎病によるBCG部位の発赤は、BCG接種後 4~6 ヶ月のもので最大となる。 (3)治療により 5 日未満で解熱した場合も診断基準に含まれる。 26.次の疾患と検査値の組合せで正しいものはどれか (1)鉄欠乏性貧血・・・・・・・・・・平均赤血球容積低下 (2)溶血性貧血・・・・・・・・・・・直接ビリルビン上昇 (3)再生不良性貧血・・・・・・・・・骨髄造血細胞比率上昇 (4)急性特発性血小板減少性紫斑病・・骨髄巨核芽球増加 (5)播種性血管内凝固症候群・・・・・プロトロンビン時間延長 a(1),(2),(3) 解答 b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) c 解説: (2)溶血性貧血では間接ビリルビン上昇がみられる。 (3)再生不良性貧血では骨髄造血細胞比率低下がみられる。 27.神経芽腫に関する次の記述のうち正しいものはどれか。 (a)胸部では前縦隔に発生する。 (b)画像上,石灰化を伴うことはまれである。 (c)治療には主に 5-フルオロウラシルが使用される。 (d)腫瘍マーカーとしてαフェトプロテインの測定が重要である。 (e)初発時に全身転移を伴っている場合は造血幹細胞移植の適応である。 解答 e 解説: (a)神経芽腫は副腎・交感神経節から発生するので、胸部では後縦隔に発生する。 (c)抗癌剤として、乳児例では、ビンクリスチン、シクロフォスファミド、ピラルビシン、 シスプラチン、一方、幼児例ではシクロフォスファミド、ピラルビシン、エトポシド、シ スプラチン、カルボプラチンなどの多剤併用療法を用いる。 (d)腫瘍由来カテコラミンの尿中代謝産物であるVMA(バニリルマンデル酸) ・HVA(ホ モバニリン酸)が診断と臨床経過の評価に役立つ。 28.小児白血病について正しいのはどれか。 (1)成人に比べて緩徐に発症することが多く、慢性型の頻度が高い。 (2)急性白血病では骨髄性が 70%を占める。 (3)急性リンパ性白血病ではCD10 陽性白血病が多い。 (4)t(9;22)型染色体異常は急性リンパ性白血病にも見られ、予後不良と考えられる。 (5)小児白血病では一般的に発症年齢が高いほど、予後が良好である。 a(1),(2) 解答 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) d 解説: (1)慢性白血病は、成人で 10%であるのに対し、小児では 1%未満である。 (2)急性白血病ではリンパ性が 70%を占める。 (5)小児白血病では一般的に発症年齢が低いほど、予後が良好である。 29.小児がんについて述べた次の文章のうち、誤っているのはどれか。 (1)小児がんでは画像診断や血液検査などから診断できることが多く、腫瘍生検など侵襲的 検査は行うべきではない。 (2)成人の悪性腫瘍に比べて遠隔転移をすることが少ないので、治癒率が高い。 (3)神経芽腫では尿中カテコールアミン(VMA、HVA)が高値を示すことが多い。 (4)横紋筋肉腫は頭頚部に発症することが多い。 (5)Wilms 腫瘍は網膜芽細胞腫の別称である。 a(1),(2),(3) 解答 b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) b 解説: (1)例えば小児白血病では、骨髄穿刺により白血病と確定診断し、さらにALL、AML、 その他のどれに属するかといった病型診断(病型診断は治療方針の決定に必要)も骨髄穿 刺に依存する。 (2)例えば小児白血病のALLの生存率は約 70%であり、治癒率が高いとは言い難い。 (5)Wilms 腫瘍は小児の腎腫瘍である。 30.正常小児の末梢血白血球分画で好中球が 50%を超えている時期はどれか。 (1)出生時 (2)生後 3 日 (3)生後 3 ケ月 (4)3 歳 (5)8 歳 a(1),(2),(3) 解答 b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) b 31.抗腫瘍剤の副作用で正しいものを選べ。 (1)シクロフォスファミドは出血性膀胱炎をおこす。 (2)ビンクリスチンはミオパチーを生じる。 (3)副腎皮質ホルモンは末梢神経障害をおこす。 (4)アントラサイクリン系抗生物質は心筋毒性がある。 (5)メソトレキセートは消化管粘膜障害の副作用がある。 a(1),(2),(3) 解答 c b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解説: (2)ビンクリスチンは神経毒性、特に筋力低下、神経性疼痛、麻痺性イレウスなどの末梢神 経障害をおこしやすい。 (3)副腎皮質ホルモンのおもな副作用は感染症の併発、消化性潰瘍、高血糖、骨粗鬆症であ る。 32.小児気管支喘息について正しいものを選べ。 (1)罹患率に性差はない。 (2)寛解率は約 80%である。 (3)喘鳴の程度は、発作の重症度と一致しない。 (4)ステロイド吸入が第一選択薬である。 (5)運動誘発喘息は運動中がピークである。 a(1),(2) 解答 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) c 解説: (1) 男児は女児に比して罹患しやすい。 (3)「発作程度が呼吸不全になると喘鳴は減少・消失する。」を追加 (4) 間欠型の発作型では抗アレルギー薬を考慮する。 (5) 運動誘発喘息は運動後に発作が起こる。 33.呼吸器感染症について正しいものを選べ。 (1)百日咳では山口株の対する抗体が上昇する。 (2)乳幼児の結核は感染源が不明なことが多い。 (3)新生児クラミジア肺炎はオウムなどから感染する。 (4)乳幼児の肺炎球菌感染症では耐性菌が少ない。 (5)急性喉頭蓋炎は急激に呼吸困難が進行しやすい。 a(1),(2) 解答 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) b 解説: (2)乳幼児結核は家族内感染が 60~80%といわれ、家族内感染者の有無を問診すれば、多く の場合感染源が分かることになる。 (3)新生児クラミジア肺炎は産道感染(母児感染)による。 (4)ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)などがある。 34.先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の治療で適切なものはどれか。 (a)副作用を軽減する為に甲状腺ホルモンの補充は少量より開始する。 (b)原因を特定した後にそれぞれに対応した治療を開始する。 (c)血中甲状腺ホルモン値が正常下限になるように甲状腺ホルモン剤の投与量を調節する。 (d)血中TSH(甲状腺刺激ホルモン)の正常化を治療の指標とする。 (e)症状が出現するまでは、無治療で慎重に経過観察する。 解答 d 解説: (b)どんな原因であろうと、多くの場合は治療は甲状腺ホルモン剤投与である。また、診断 のために治療開始が遅れることは避けるべきである。 (c)血中TSH(甲状腺刺激ホルモン)が正常域に低下するまで甲状腺ホルモン剤の投与量を 増やす。 (e)成長障害と精神運動発達障害(知能障害)を未然に防ぐために早期に治療を開始すべき である。 35.下垂体性尿崩症について正しいのはどれか。 (a)小児では二次性のものは極めて少ない。 (b)浮腫が認められる。 (c)尿浸透圧は血漿浸透圧より高い。 (d)低ナトリウム血症になる。 (e)水制限試験で尿浸透圧は上昇しない。 解答:e 解説: (a)小児期器質性尿崩症(脳腫瘍・外傷後に見られる尿崩症)が多い。 (b)(c)(d)ADH の分泌不全より低調整の大量製の排尿(尿量 3~15l、尿浸透圧は 200mmOsm/l 以下)が見られるようになります。高調整脱水をおこし、口 渇多飲が見られる。 (e)ADH が出ないので尿量は相変わらず多く、しかも尿浸透圧は血漿浸透圧よりも低い ままです。 36. 11 歳の女児。朝から元気が無かったが、夕方になり意味不明の発言が出現し意識障害も 認められたため、救急車にて来院した。2 ヶ月前より口渇を訴え、夜中によく水を飲むよ うになった。この 1 ヶ月で 4kg 体重が減少した。来院時アセトン臭が認められた。まず 行う検査は以下のうちどれか。 (a)血算 (b)血糖 (c)腎機能 (d)眼底 (e)頭部 CT 解答:b 解説:2 ヶ月前より口渇、多飲を認め、体重減少がみられたという症状と来院時のアセト ン臭から糖尿病性ケトアシドーシスが疑われる。糖尿病性ケトアシドーシスはイ ンスリンの極度の欠乏により生じる昏睡で主に1型糖尿病に生じます。インスリ ン欠乏によりブドウ糖がエネルギーとして利用できなくなり、脂肪酸をエネルギ ー源として燃やした結果ケトン体が増えケトアシドーシスを来たした意識障害を 起こす。呼吸症状としてアセトン臭と Kussmaul の大呼吸がみられる。小児の糖 尿病はほとんど 1 型糖尿病で、典型的な糖尿病性ケトアシドーシスや昏睡で発症 する例が多い。 37.先天性副腎皮質過形成症のうち、21 水酸化酵素欠損症で正しいのはどれか。 (a)17-hydroxyprogesterone が異常低値である。 (b)新生児女児の外性器異常の原因では、染色体異常についで多い。 (c)糖喪失症状を認めなければ、治療は不要である。 (d)男児より女児に多い。 (e)不妊症を併発することがある。 解答:e 解説:21-OHlase 欠損症ではコレステロールからコルチゾール、アルドステロンを合成 することができません。フィードバックのため ACTH が増加し、かつ副腎アンド ロゲンの産生経路には障害無いため血中の DHEA 値および尿中の 17-KS 排泄量 は増加します。女児では生下時に女性仮性半陰陽を呈し、男児と間違われること があります。そして幼児期には恥毛が発現し、思春期には原発性無月経となりま す。男女とも、小児のうちは骨成熟が暦年齢を上まりますが、骨端線が早期閉鎖 するので最終的には低身長となります。治療は不足しているホルモンを補うため に、両方に有効なコルチゾールやヒドロコルチゾンなどの薬剤を投与します。 38.フェニルケトン尿症で誤っているのはどれか。 (a)フェニルアラニンをチロシンに転化する酵素が欠損している。 (b)色白である。 (c)新生児の尿でのスクリーニングが行われている。 (d)早期発見と適切な早期治療で正常な発達が可能である。 (e)尿に独特な臭がある。 解答:c 解説: (a)その通り (b)メラニンはチロシンから合成される。本症はチロシンを産生できないため色白になる。 (c)新生児マススクリーニングはされているが、血液を用いる。 (d)終生にわたり低 Phe 食にする。 (e)ネズミ様の体臭と尿臭がある。 39.乳児型脊髄性筋萎縮症(脊髄性筋萎縮症Ⅰ型)について正しいのはどれか。 (a)男児に多い。 (b)舌に線維束性攣縮を認める。 (c)知能障害を伴う。 (d)遠位筋優位に障害される。 (e)伴性劣性遺伝形式である。 解答:b 解説:Werdnig-Hoffmann 病のこと脊髄前角細胞の変性・消失を主病変とする。 Ⅰ型は乳児期までに発症する重症型。 (a)男女比1:1 (b)下位運動ニューロン障害なので線維束性攣縮を認める。 (c)無い (d)神経原性の筋萎縮だがこれは例外的に近位筋優位に障害される。 (e)常染色体劣性遺伝疾患 40.7 歳男子。8 ヶ月時にヘルペス脳炎の既往を持つ。幼児期から難治てんかんに罹患、全 般強直発作、非定型失神発作、脱力発作、ミオクローヌス、睡眠中に頻発する短い全般 強直発作など多彩な発作を示している。以下の項目の正しいものを選べ。 (1)ACTH 療法に良く反応する。 (2)知能の退行や荒廃が予想される。 (3)非発作時脳波に diffuse slow spike & waves をみる。 (4)非発作時脳波に rapid rhythm をみる。 (5)発作はシリーズを形成する。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解答:d 解説:ヘルペス脳炎は意識障害が見られた症例や、治療開始が遅れた症例では予後不良 (致死率 70%)。救命できても後遺症を半以上に残す。 (a)急性期では、単純ヘルペス脳炎が疑われれば培養の結果を待たずに早期にア シクロビルを投与する。 (b)後遺症を残す。 (c)(d)2~3Hz の周期性同期性高振幅徐波(PSD)が見られる 41.熱性痙攣について、正しいのはどれか。 (1)1 歳~5 歳で初発することが多い。 (2)熱性痙攣の発症には遺伝的な要素が関わっている。 (3)前例に脳波検査が必要である。 (4)熱性痙攣の既往のある児は、予防接種をしてはいけない。 (5)てんかんに移行する例が多い。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解答:a 解説:乳幼児に、体温の上昇(38℃以上)に伴って出現する痙攣です。てんかん、髄膜 炎、脳炎、脳症でないことを眼底検査、CT、髄液検査、脳波などで確認する。痙 攣の型は全身の強直性間代性痙攣(いわゆる大発作)が多くみられます。発作性 の異常脳波がみられることもある。 治療はジアゼパム座薬が適しています。ちなみに解熱薬の投与は熱性痙攣の予 防とはならないと考えられています。 (1)(2)(3)正しい (4)特に関係ない (5)予後は二つに分けて考える。 ・単純型 熱性痙攣の大多数を占めます。7 歳以後になると自然に発作は起こらなくなり、 後遺症が残ることも無く予後は良好。 ・複雑型 熱性痙攣の数%で、てんかんに移行しやすいものです。痙攣発作の持続時間 の長いもの、重積状態となるもの、非対称性のもの、24 時間以内に反復する ものや回数の多いもの、発作後に一過性運動麻痺をみとめるものもあります。 発症年齢不定であったり、脳波異常のあるものも複雑型が疑われます。 42.2 歳女児。前夜から発熱・経口摂取不良をみた。明け方に頻回嘔吐と不機嫌、午前に数 分間の痙攣が 2 回現れ受診した。体温 39℃、呼吸は整 50 回/分、血圧 100/60、意識半昏 睡。瞳孔は散瞳。頂部硬直あり。中等度皮膚ツルゴール低下。皮膚に若干の出血傾向。 四肢末端の冷感・循環不全を認めた。咽頭は発赤。心肺に異常所見なし。肝臓の軽度腫 大を認めた。 (1)最初に血液検査と髄液検査を行い、ただちに診断を確定する。 (2)散瞳は副交感神経麻痺性が疑われる。 (3)初期の維持輸液量は 80%程度に制限することがよい。 (4)DIC や脳梗塞の合併症に注意しなければならない。 (5)髄液からは髄膜炎菌が検出されることが多い。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 解答:d 解説: (1)発熱やその他の症状から感染が疑われ、また項部硬直もあり髄膜炎が疑われる。 血液検査、髄液検査を行い培養するが、病原菌の判明を待たずに抗生剤を投与 する。 また今回の症例では、意識障害、瞳孔散瞳をしており、脳圧亢進が疑われ、減 圧療法をしてから腰椎穿刺を行うべきである。 (2)散瞳は脳圧亢進による動眼神経麻痺が疑われる。 (3)過剰な輸液によって脳圧亢進を進行させてはならない。 (4)すでに若干出血傾向がみられ、DIC に注意。また結核性髄膜炎などでは脳底部 髄膜炎を来たしやすく、血管炎を介して脳梗塞を合併することがある。 (5)幼児~小児の髄膜炎の原因菌最多はインフルエンザ桿菌 43.発達障害で正しいものを選べ。 (1)未熟児出生による脳室周囲白質軟化症が原因の脳性麻痺では下肢よりも上肢の障害 が強い。 (2)自閉症は、会話の乏しい小家族など特殊な環境が主な原因である。 (3)言語発達遅帯の 3 歳児は、利き手の未決定を示すことが多い。 (4)学習障害では知能指数の低下を見ない。 (5)脳性麻痺では知的障害の合併が多く見られる。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解答:e 解説:(1)脳性麻痺の原因。低出生体重児に良く見られる病理的変化です。脳の血流量 が減少したとき、虚血による影響をもっとも受けやすいのが脳室周囲白質。 後発部位が錐体路の内側、下肢への神経経路なので、多くは痙性対麻痺を呈 します。 (2)自閉症はなんらかの脳障害を基盤とした発達障害であり母子関係のゆがみや 家庭環境が原因との説は完全に否定されている。 (3)正しい (4)学習障害とは特定の学習能力(例えば読字障害など)のみがその患児の年齢や 知能レベル、教育レベルから期待されるものより著しく低いことを必要としま す。 (5)脳性麻痺とは受胎から新生児(生後 4 週間未満)までに生じた脳の非進行性病 変に基づく永続的な、しかし、変化し得る運動及び姿勢の異常である。 出生時仮死、分娩外傷、重症黄疸が三大原因。知能障害(60~70%)やてん かん発作(30%)などを合併する例がふえている。 44.新生児呼吸窮迫症候群で正しいのはどれか。 (1)未熟児であるほど発症しやすい。 (2)生後数日が好発時期である。 (3)人工肺サーファクタントを静脈注射する。 (4)成熟児では見られない。 (5)肺胞の拡張不全がある。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 解答:b 解説:肺の成熟が十分に進行していない時、Ⅱ型肺胞上皮細胞で合成分泌されるべき 肺表面活性物質(サーファクタント)の不足のために肺がつぶれてしまってい る状態。 (1)出世維持体重が 1500g 以下、在胎 32 週依然の未熟児に多いほか、母体が糖尿 病あるいは帝王切開により出生した児にもしばしばみられます。 (2)出生後 2~3 時間で発症する。 (3)サーファクタントの気管支内注入、CPAP による呼吸管理を行う。 (4)みられる。 (5)正しい。 45.次のうち正しい組み合わせはどれか。 (1)新生児の多呼吸は呼吸数が 60 回/分以上のものを言う。 (2)新生児期の痙攣の原因のひとつに脳出血がある。 (3)新生児の腎機能は濃縮能が未熟なので、湯冷ましや麦茶などの補充が必要である。 (4)新生児期は人間の一生のうち免疫力がもっとも強い時期である。 (5)母体糖尿病の児では、新生児期の罹病率は正常の母の児と同じである。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 解答:a 解説: (1)正常 50 回/分 (2)硬膜下出血は成熟児に多く、脳室内出血は未熟児に多い。 (3)必要ない (4)んなことはない。白血球数は出生直後高値を示し、生後1~2 週間で著減。以 後成人値となる。 (5)胎児奇形や巨大児の頻度が増加。出生後は新生児に低血糖が生じることがあり ます。また RDS、低 Ca 血症による新生児痙攣、高ビリルビン血症のリスクも あがる。 46.高直接型ビリルビン血症になるものはどれか。 (a)特発性黄疸 (b)母乳性黄疸 (c)先天性甲状腺機能低下症 (d)血液型不適合性黄疸 (e)胆道閉鎖症 解答:e 解説:新生児の黄疸で直接ビリルビンが上昇するものとして、新生児肝炎と先天性胆道 閉鎖症が重要。どちらも黄疸は生後1週間ごろより出現する。 他の新生児期の黄疸はすべて関節ビリルビンが上昇する。 (b)母乳黄疸とは母乳中のプレグナンジオールが児の肝におけるビリルビン抱合 を抑制することにより生後 1 週間ごろに黄疸が出現する。 (c)クレチン症のこと代謝の低下を反映して遅延性黄疸が生じる。 (d)溶血して間接ビリルビン上昇 47.1 歳 3 ヶ月。昨日昼より白色の下痢が 8 回、嘔吐が 4 回。朝ぐったりしているため母が 病院に連れてきた。尿は昨日夕方から出ていない。体重は普段は 10kg だが現在は 9.2kg である。顔面蒼白で末梢冷感あり、口唇、口腔内は乾燥している。入院させ輸液をしよ うと点滴の針を刺したが少し顔をしかめるだけで泣かなかった。正しいと思われる記述 を選べ。 (1)患児の普段の 1 日の必要水分量は約 1000-1200ml である。 (2)電解質が喪失しているのでカリウムの入った輸液を急速初期輸液に使用する。 (3)熱が無ければ痙攣を起こす心配はない。 (4)急速初期輸液の Na 濃度は細胞外液に近いほうがよい。 (5)この状態で飲食をしても体液を失うだけなので、しばらく絶飲食とする。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解答:c 解説:白色便よりロタウイルスによる下痢症だと考えられる。 (1)正しい 新生児期 100ml/kg/day 乳児 150ml/kg/day 幼児 100ml/kg/day 成人 50ml/kg/day (2)下痢で K が失われてると予想されるが、排尿がないので K を含まない液を用 いる (3)脱水による電解質異常(低 Na や高 Na)で痙攣は見られる。また低血糖、テ タニー、輸液後は水中毒にも注意。 (4)急速初期輸液は循環障害の改善が目的。脱水症の型に関係なく、1 号液のよう な細胞外液型輸液を用いる。Na 濃度が 90mEq/l ほどで、排尿がなければ K を 含まない液を用いる。(生食だと NaCl が高濃度で自由水がふくまれていない、 低張液や 5%ブドウ糖液では水中毒の危険が生じる。) (5)その通り 48.被虐待児症候群について誤ったものはどれか。 (a)表情の変化が乏しい。 (b)発育障害を伴うことがある。 (c)皮膚に新旧の傷跡がある。 (d)矛盾する病歴から気づかれる。 (e)学童に多い。 解答:e 解説: (a)患児は自発性に乏しく、無表情で喜びを表現しません。 (b)栄養失調、低身長 (c)その通り (d)そのとおり (e)学童期以前 49.わが国において新生児に行政レベルでマススクリーニングされている疾患はどれか。 (1)神経芽細胞腫 (2)ダウン症候群 (3)ガラクトース血症 (4)先天性副腎皮質過形成 a(1),(3),(4) b(1),(2) c(2),(3) d(4) e(1)~(4)全て 解答:a 50.乳幼児突然死症候群で正しいのはどれか。 (1)タバコは危険因子である。 (2)仰向け寝は危険因子である。 (3)発達の未熟性のため生後 1 ヶ月以内に多い。 (4)日本は諸外国に比べ発症率が低い。 (5)母乳で育った子に少ない。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) 解答:c 解説:(2)うつ伏せ寝が危険因子 (3)生後 2~7 ヶ月に多い d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 2006 年小児科卒業試験 1、4から 6 ヶ月で消失する反射はどれか (1)モロー反射 (2)吸啜反射 (3)口唇探索反射 (4)パラシュート反射 (5)視性立直り反射 a(1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) 解答 a 解説(1)モロー反射は生後から3-4ヶ月まで見られる。○ (2)吸啜反射は生後から4-7ヶ月まで見られる。○ (3)口唇探索反射は生後から3-4ヶ月まで見られる。○ (4)パラシュート反射は生後 8 ヶ月頃から出現し一生見られる。× (5)視性立直り反射は生後 5-6 ヶ月頃から出現し一生見られる。× 2、8 ヶ月乳児の月齢相当の発達はどれか。 (a)Moro 反射がみられる。 (b)パラシュート反射が見られる。 (c)把握反射が見られる。 (d)つたい歩きをする。 (e)「ママ」などの意味のある言葉を言う 解答 b 解説(a)Moro 反射は生後3-4ヶ月で消失する。× (b)パラシュート反射は生後 8 ヶ月頃より見られる。○ (c)把握反射は生後 6 ヶ月で消失する。× (d)つたい歩きが出来るようになるのは 10-11 ヶ月頃である。× (e)意味のある言葉を言うのは 1 歳半頃である。× 3、乳児の栄養に関する文章のうち、正しいのはどれか。 (1)乳児の栄養状態の評価には Kaup 指数が用いられる。 (2)乳児における、体重あたりの必要カロリー量は成人よりも多い。 (3)母乳は人工乳に比べカゼインの含量が多い。 (4)母乳は人工乳に比べて Vitamin K の含量が多い。 (5)離乳期の乳児は鉄の不足をきたしやすい。 a(1)(2)(3) b(1)(2)(5) c(1)(4)(5) d(2)(3)(4) e(3)(4)(5) 解答 b 解説(1)乳児の栄養状態の評価は Kaup 指数={(体重 g)÷(身長 cm)2}×10、で 15-19 が正常。 ○ (2)乳児における体重あたりの必要カロリー量 0-2 ヶ月:120kcal/kg -6 ヶ月: 110kcal/kg -1 歳:100kcal/kg 学童:80-70kcal/kg 成人:25-30kcal/kg ○ (3)カゼインは蛋白の一種。母乳には蛋白質は少ない。× (4)母乳は Vitamin K の含量がむしろ少ない。母乳栄養児は一ヶ月健診時に Vitamin K の投与を行う。× (5)6 ヶ月頃より成長のため、鉄の需要量は増大し、不足しがち。○ 4、母乳栄養で不足しやすいのはどれか。 (1)鉄 (2)蛋白質 (3)必須脂肪酸 (4)カルシウム (5)ビタミン K a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 解答 b 解説(1)母乳の鉄含有量は 0.1mg/dl。1 日の乳児の鉄必要量は 6mg。 ○ (2)牛乳に比べ母乳は蛋白含有量が少ないが、母乳栄養児が低蛋白になる事はない。× (3)必須脂肪酸含有量は牛乳と母乳で大差なく、不足することはない。× (4)牛乳に比べ母乳はカルシウム含有量が少ないが、母乳栄養児が低カルシウムになる ことはない。× (5)母乳栄養児ではビタミン K 不足が最も問題となる。一ヶ月健診時にビタミン K 投与 を行うことが定められている。○ 5、正しいものを選べ (1)出生直後の新生児では視覚、嗅覚は非常に弱く殆ど何もわからない。 (2)新生児のヘモグロビンはヘモグロビン F が主体である。 (3)先天性代謝異常症のスクリーニングは血液で行う。 (4)新生児期は人間の一生のうち免疫力が最も強い時期である。 (5)HIV は母乳を介しては感染しないので母乳は禁止すべきではない。 a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 解答 c 解説(1)嗅覚は非常に鋭敏(成人よりも)。視覚は 20-30cm の距離は見ることが出来るが、 その他は殆ど見えない。× (2)出生児では 70%が Hb-F(胎児ヘモグロビン)。○ (3)先天性代謝異常のスクリーニング検査はガスリー法。児の足裏より血液を少量採取 する。○ (4)新生児は免疫能は未熟である。生まれるまでは無菌的であり賦活されていない事、 また妊娠に伴う母体の免疫抑制物質の影響による。× (5) HIV は母乳感染するので母乳による保育は禁止する。× 6、正しいものを選べ。 (1)新生児は肝機能が未熟なので直接ビリルビン優位の黄疸が多い。 (2)新生児の熱産生は主に筋で行われる。 (3)母乳性黄疸は治療の必要がない。 (4)新生児の不感蒸泄は在胎週数が早いほど大きく、日齢が小さいほど大きい。 (5)多血症の児は元気で貧血を起こしにくいので好ましい。 a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 解答 d 解説(1)新生児は肝臓でのグルクロン酸抱合が未熟のため間接ビリルビン優位の黄疸が多 い。× (2)新生児の熱産生は non-shivering thermognesis である。これは主に肩・脊柱・腎 周囲の褐色脂肪と呼ばれる所で行われる。× (3)ビリルビン値が 20mg/dl までは経過観察でよい。○ (4)皮膚が未成熟であればあるほど不感蒸泄量は増す。在胎週数が短いほど、日齢が若 いほど皮膚は未成熟。○ (5)血液の粘稠度が増し、血栓が出来やすい他、黄疸の遷延、抹消チアノーゼを起こす。 × 7、正しい組み合わせはどれか。 (1)新生児の腎機能は濃縮能が未熟なので、湯冷ましの補充が必要である。 (2)新生児期は血清カルシウムの値の低下が生後 1 週間以上持続する。 (3)呼吸窮迫症候群とは肺サーファクタントの欠乏や不足による。 (4)新生児の敗血症/髄膜炎の起炎菌は B 群溶連菌、大腸菌が多い。 (5)新生児先天性代謝異常スクリーニングは、早く結果を知るために生後できるだけ早 期に行う。 a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 解答 d 解説(1)濃縮能が未熟のため水分も Na も失いやすい。水分・電解質の補正は慎重に行う。 × (2)血清カルシウムの量はほぼ一定している。出生後はカルシウム・リンの代謝がうま くいかず、一時的に生理的な低カルシウムとなるが、それが刺激となり、上皮小体が 活性化されカルシトニン分泌が抑制される。× (3)正しい。肺サーファクタントの分泌は在胎 28 週頃から起こる。 ○ (4)新生児の敗血症/髄膜炎は日齢 4 以内に発生するものとそれ以降のものに分けられ、 前者は経産道感染であり、B 群溶連菌、大腸菌によるものが最も多い。○ (5)蛋白の摂取量がある一定量を越えてから異常アミノ酸が高値となるので栄養摂取 がある程度行われてから生後 1 週間以内に行う。× 8、間接ビリルビンが優位に増加するのはどれか。 (1)母乳性黄疸 (2)新生児肝炎 (3)胆道閉鎖症 (4)ガラクトース血症 (5)ABO式血液型不適合妊娠 a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 解答 b 解説(1)発症機序は色々あるが、何れも間接ビリルビン高値を示す。○ (2)、(3)抱合型ビリルビンの排泄障害なので直接ビリルビン高値を示す。× (4)軽度の黄疸が見られる。この時増加するのは直接ビリルビン(機序は良く解りませ ん。肝障害による?) × (5)溶血性黄疸のため、間接ビリルビン高値を示す。○ 9、日齢 0 の新生児。出生後 30 分頃から多呼吸を認めた。在胎 28 週、出生体重 1280g。体 温 37.3℃。呼吸数 64 回/分。心拍数 160/分、整。チアノーゼ、陥没呼吸、呻吟もある。 新雑音はない。重要な検査はどれか。 (1)CRP (2)胸部レントゲン写真 (3)胃液マイクロバブルテスト (4)頭部超音波検査 (5)血清 IgM a(1)(2) b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 解答 c 解説 在胎28週、出生後間も無くの呼吸不全で何を疑うか。心雑音(-)から先天性の心 奇形は否定的。また体温からも感染を起こしたとは考えにくい。在胎28週からも呼 吸窮迫症候群が疑われる(此の頃から肺サーファクタントは分泌される)。此れを診断 するのに必要な検査は胸部レントゲン写真と胃液マイクロバブルテスト。胸部レント ゲン写真では網様顆粒状陰影 reticulogranular pattern(虚脱した肺胞と広がってい る肺胞が交じり合ってみえる)が見られる。胃液マイクロバブルテストは陰性となる。 CRP と血清 IgM は感染を疑った時に測る。 頭部超音波検査は何を疑う時に施行するか良く解りません。骨で全て真白くうつる と思うのだが。頭部の頭蓋外の腫瘍? 10、この患者(問題 9)で有効な治療はどれか。 (1)抗生物質投与 (2)胸腔穿刺 (3)高圧酸素療法 (4)持続的気道陽圧法(CPAP) (5)肺サーファクタント補充療法 a(1)(2) 解答 e b(1)(5) c(2)(3) d(3)(4) e(4)(5) 解説 呼吸窮迫症候群の本態は肺サーファクタント不足による肺の虚脱。治療は肺サーフ ァクタントの補充と、肺の虚脱防止に努める。よって(4)(5)が正解。 平井 【問 11 】小児の食物アレルギーの原因食物として頻度の高いものを選べ。 (1)鶏卵 (2)小麦 (3)そば (4)魚 (5)牛乳 解答 (1)、 (5) 解説 (1)小児の食物アレルギーの原因食物として多いのは鶏卵、乳製品、小麦。その中 で鶏卵と乳製品が特に多い。 (2) (3)そばは小児の食物アレルギーの原因物質としては少ない。 (4)成人発症の食物アレルギーの原因食物としては多い。 (5) 【問 12 】食物アレルギーについて正しいのはどれか。 (1)母乳栄養児に食物アレルギーは存在しない。 (2)乳児期にショック症状を起こした食物アレルゲンは生涯摂取できない。 (3)ショック症状を起こしたアレルゲンの確定診断には負荷試験を行わない。 (4)食物アレルギーのショック症状の治療にはエピネフリンの筋注は禁忌である。 (5)原因食物の診断には特異的 IgE 抗体検査で十分である。 解答 (3) 解説 (1)母乳栄養児にも食物アレルギーは存在する。 (2)乳児期にショック症状を起こした食物アレルゲンは加齢とともに耐性を獲得し ていくことが多い。 (3) (4)食物アレルギーのショック症状の治療にはエピネフリンの筋注は有効である。 (5)原因食物の診断には特異的 IgE 抗体検査で十分ではない。抗体値が低くてもア レルギーを起こすことがある。 【問 13 】次のうち正しいものはどれか。 (1)小児気管支喘息の羅患率は増加している。 (2)気管支喘息の死亡者数は減少している。 (3)小児気管支喘息にはアスピリン喘息はない。 (4)小児気管支喘息の寛解率は 50%である。 (5)気管支喘息アトピー型は特異的 IgE 抗体陰性である。 解答 (1)、 (2) 解説 (1)気管支喘息は,小児成人を問わずその罹患率が上昇し続けている。 (2)治療法の確立による小児における死亡者数は減少している。 (3)小児ではそれほど多い頻度ではないがアスピリン喘息は起こしうる。 (4)小児気管支喘息の寛解率は 70%程度である。 (5)気管支喘息アトピー型は特異的 IgE 抗体陽性である。 【問 14 】正常小児の末梢血白血球分画で好中球が 50%を超えている時期はどれか。 (1)出生時 (2)生後 3 日 (3)生後 3 ヶ月 (4)3 歳 (5)8 歳 解答 (1)、 (2)、(5) 解説 正常小児の末梢血白血球分画で好中球が優位なのは出世時から生後 5 日目まで と 5 歳以降である。 【問 15 】神経芽腫で誤っているものはどれか。 (1)乳児期に発見された症例は予後不良である。 (2)下肢麻痺の原因となることがある。 (3)難治性下痢症の原因となることがある。 (4)進行例には造血幹細胞移植を行うことが多い。 (5)治療効果の指標としてシンチグラムが有用である。 解答 (1) 解説 (1)一歳以下で見つかる例はほとんどが助かり予後良好。 (2)神経の圧迫による症状として下肢麻痺となることがある。 (3)難治性下痢症の原因となることがある。 (4) (5) 【問 16 】特発性血小板減少性紫斑病で正しいものはどれか。 (1)ウイルス感染症後に発症することがある。 (2)典型例は軽快-再発を繰り返し慢性の経過をとる。 (3)中等度の脾腫大を伴うのが特徴である。 (4)骨髄検査では巨核球数が減少している。 (5)20%以上の症例が脾臓摘出の絶対的適応となる。 解答 (1) 解説 (1) (2)小児に多く見られるのは急性型で慢性型に移行するのは 10%程度である。 (3) (4) (5) 【問 17 】急性リンパ性白血病で正しいのはどれか。 (1)小児がんの中で最も頻度が高い。 (2)治療中の白血病患児が水痘、麻疹感染を合併すると重症になる。 (3)初診時には脾腫大は少ない。 (4)末梢血液検査で白血病細胞を認めなければ診療から除外できる。 (5)中枢神経浸潤が少ない。 解答 (1)、 (2)、(5) 解説 (1)急性リンパ性白血病は小児がんの中で最も頻度が高い。 (2) (3) (4)末梢血液検査で白血病細胞を認めなくとも骨髄中に白血病細胞が残っている可 能性がある。 (5) 【問 18 】チアノーゼについて正しいのはどれか。 (1)末梢性チアノーゼでは常に四肢末梢が暖かい。 (2)中心性チアノーゼでは舌にチアノーゼを認めない。 (3)心内での右左短絡によるチアノーゼでは 100%酸素吸入でチアノーゼが消失する。 (4)チアノーゼの強さとヘモグロビン濃度は関連しない。 (5)毛細血管中の還元ヘモグロビンが 5g/dl 以上でチアノーゼが出現する。 解答 (5) 解説 (1)四肢末梢は冷たくなる (2)認める。 (3)右左短絡によるチアノーゼは 100%酸素吸入で消失しない (4)関連する。 (5) 【問 19 】右室の後負荷を呈する疾患の組み合わせを選びなさい。 (1)心房中隔欠損 (2)肺高血圧症 (3)肺動脈狭窄 (4)肺動脈閉鎖不全 (5)大動脈弁狭窄 解答 (2)、 (3) 解説 右室の後負荷ということは肺動脈、肺での血管抵抗の上昇を呈する疾患ということ で肺高血圧症と肺動脈狭窄があげられる。 【問 20 】正しいのはどれか。 (1)WPW 症候群では偽性心室頻拍という致死的不整脈を起こすことがある。 (2)発疹、眼球結膜充血は川崎病の主要症状に含まれる。 (3)先天性心疾患の発症率は出生の 0.1%である。 (4)リウマチ熱の合併症で最も多いのは冠動脈瘤である。 (5)川崎病の合併症で最も多いのは心臓弁膜症である。 解答 (1)、 (2) 解説 (1)正しい (2)主要 6 症状として 5 日以上つづく発熱、発疹、眼球結膜充血、口唇紅潮・苺舌、 頚部リンパ節腫脹、手指硬性浮腫 (3)先天性心疾患の発症率は出生の 1%程度である。 (4)リウマチ熱の合併症で最も多いのは心臓弁膜症である。 (5)川崎病の合併症で最も多いのは冠動脈瘤である。 早川 21.小児の心電図の特徴について誤っているものはどれか。(類題:2005.14) (a)RR 間隔の呼吸性変動が大きい。 (b)乳幼児では V1 誘導の T 波陽性は右室肥大の所見である。 (c)新生児期の心拍数は 60-80/分が通常である。 (d)V1 の T 波陽性の限界年齢は高校生以降である。 (e)低年齢ほど右軸偏位・右室負荷の傾向がある。 答え c 解説(a)〇 呼吸性不整脈が若年では著明。 (b)〇 小児では V1~3 で陰性 T 波を認めるのが正常(生後7日目までは V1T 波は陽 性)。よって V1T 波が陽性のときは右室肥大。 (c)× 新生児期の心拍数は 120~140/分。 (d)〇 15 歳頃まで V1 の T 波は陰性を示す。V4(4~5 歳)、V3、V2、V1(16 歳 以上)の順に陽性化していく。 (e) 〇 胎児循環の名残として新生児期・乳児期において生理的肺高血圧、右軸変 位、右室肥大所見を示す。 (STEP 小児 p15~18) 22.左室の後負荷を呈する疾患の組み合わせを選びなさい。 (1)心房中隔欠損 (2)僧帽弁狭窄 (3)大動脈弁下狭窄 (4)高血圧 (5)大動脈閉鎖不全 a(1) (2) b(1) (5) c(2) (3) d(3) (4) e(4) (5) 答え d 解説 左室の後負荷=大動脈圧(血圧) 左室後負荷が上がるのは左室から血液を駆出するのにより高い圧力に打ち勝つ必要 がある大動脈弁下狭窄と高血圧。(STEP 循環器) 23.乳幼児の細気管支炎の原因となる病原体で頻度の高いものはどれか。 (類題:2004.29) (1)コクサッキーウイルス (2)メタニューモウイルス (3)RS ウイルス (4)マイコプラズマ (5)肺炎球菌 a(1) (2) b(1) (5) c(2) (3) d(3) (4) e(4) (5) 答え c 解説(1)~(4)はどれも急性細気管支炎を起こす可能性があるが頻度が高いのは RS ウイルスとメタニューモウイルス。 (1)× A 群コクサッキーウイルス→手足口病、ヘルパンギーナ B 群コクサッキーウイルス→心筋炎(STEP 感染症 p116~117) (2)〇 2001 年に発見されたウイルス。臨床症状は RS ウイルスに類似し、細気管支 炎を起こす。特に 1 歳未満の小児における気道感染症の重要な原因の一つ とされている。小児の急性細気管支炎の 4~20%を占める。 (3)〇 乳幼児の細気管支炎の原因としては RS ウイルスが 50~90%を占める。 (4)× 肺炎の起炎菌。学童期~20 歳、秋~冬に好発。間質性肺炎像を呈する。 (STEP 小児 p337) (5)× 肺炎球菌は大葉性肺炎を起こす。乳幼児の細菌性肺炎の起炎菌は肺炎球菌と ブドウ球菌。 (STEP 小児 p334~335) 24.喘鳴性疾患で正しいのはどれか。(2002.30 と同一問題) (a)声門下狭窄では呼気性喘鳴がある。 (b)喉頭気管軟化症では吸気性喘鳴がある。 (c)急性細気管支炎では吸気性高調性喘鳴がある。 (d)喘息の喘鳴は吸気性低調性である。 (e)血管輪の喘鳴は呼気性である。 答え b 解説 気管分岐部より上部の狭窄では吸気性喘鳴となり、それ以下の狭窄で呼気性喘鳴と なるのが基本である。 (a)× 声門下狭窄は気管分岐部より上部の狭窄なので吸気性喘鳴である。 (b)○ 喉頭気管軟化症は喉頭~気管の狭窄なので吸気性喘鳴である。 (c)× 急性細気管支炎は細気管支の狭窄なので呼気性喘鳴である。 (d)× 喘息は気管支の狭窄なので呼気性喘鳴である。 (e)× 血管輪は気管の狭窄なので呼気性喘鳴である。 25.1 歳8ヶ月の女児。3日前からかぜ症状があったが、夕方から発熱し、嗄声と犬吠様咳 嗽とが出現したので来院。体温 38.5℃、脈拍 120/分、整。ラ音は聴取しない。咽頭は発赤 あるが偽膜はない。診断はどれか。 (a)急性扁桃炎 (b)先天性喘鳴 (c)クループ症候群 (d)急性細気管支炎 (e)気管支異物 答え c 解説 問題文はクループの典型症例。 (a)× ワルダイエル扁桃輪の炎症。原因はウイルスでは EBV・アデノ、細菌では A 群溶連菌が多い。小児~青年に好発。症状は 39~40℃の高熱、頭痛、全身 倦怠感、咽頭痛。(STEP 小児 p325) (b)× 出生直後~4週に吸気性喘鳴を起こす疾患の総称。最も多いのは喉頭軟化症。 その他血管輪、Pierre-Robin 症候群(小顎症)など。(STEP 小児 p329~) (c)〇 種々の原因により喉頭、声門に狭窄や閉塞を生じ、陥没呼吸と吸気性呼吸困 難、吸気性喘鳴、咳嗽(犬吠様)、嗄声を認める。放置すると呼吸・心停止 に至る!! クループは以下の4つに分類される。 ・急性喉頭蓋炎:声門上部の炎症 ・ウイルス性クループ:声門下部の炎症 ・痙性クループ:ウイルス感染+アレルギーなどによる喉頭痙攣、浮腫 ・真性クループ:ジフテリアによる。喉頭に偽膜形成。 (STEP 小児 p328~) (d)× 急性細気管支炎は下気道の炎症。 (e)× 原因はピーナッツが多い。無症状で経過して肺炎、無気肺、肺気腫で発症す ることもある。(STEP 小児 p58~) 26.以下の中で接種後4週間は他のワクチンを接種してはならないものはどれか。 (1)日本脳炎 (2)B 型肝炎 (3)BCG (4)風疹 (5)ポリオ a(1) (2)(3) b(1) (2)(5) c(1) (4)(5) d(2)(3) (4) e(3)(4) (5) 答え e 解説 生ワクチンは 4 週間空ける必要がある。不活化ワクチンは1週間で他のワクチンを 接種可能。 (1)(2)不活化ワクチン。 (3)(4)(5)生ワクチン。 27.4ヶ月検診で「生後間もなくから軟便で便の回数も1日5回以上あり、それは心配な いか」と相談をうけた。便の色は黄色である。母乳哺育で、機嫌は良い。出生体重が 3010g で、検診では 6300g であった。身体所見に異常はない。適切なのはどれか。 (a)人工栄養に変更する。 (b)離乳食を開始する。 (c)止痢剤や整腸剤を内服する。 (d)抗生物質を内服する。 (e)特別な処置はいらないと説明する。 答え e 解説 母乳哺育児の便の色は卵黄色~緑色で軟膏様の軟便で、排便回数は多め(2~3回/ 日。5回以上と書いてある本も)。ちなみに人工乳では淡黄色で有形の便。3~4ヶ 月児の体重は正常では出生時の約2倍。この症例では出生時から体重が約2倍に増 加していて機嫌も良好なので栄養は十分だと考えられる。以上特に問題ないので特 別な処置は必要ない。離乳食開始は生後 5 ヶ月ぐらいから。 28.ムンプスの合併症として注意すべきものはどれか。 (1)無菌性髄膜炎 (2)膵炎 (3)感音性難聴 (4)肺炎 (5)血小板減性紫斑病 a(1) (2)(3) b(1) (2)(5) c(1) (4)(5) d(2)(3) (4) e(3)(4) (5) 答え a 解説 ムンプス…飛沫感染。潜伏期間 2~3 週間で発熱、頭痛、全身倦怠感などの前駆症状 の後に両側耳下腺腫脹。合併症は膵炎、精巣炎(睾丸炎) 、髄膜炎、甲状腺炎、卵巣 炎、内耳性難聴。(STEP 感染症 p120~121) 29.7ヶ月の男児が3日間 39℃の発熱と刺激過敏性を呈した。抗生物質を処方され、4日 目に解熱し、全身的に斑状発疹が出現、刺激過敏性も消失した。次の記載のうちあてはま るものはどれか。 (a)これは典型的な麻疹と考えられる。 (b)診断は咽頭擦過によるウイルス培養によってなされる。 (c)診断は脳脊髄液の検索によってなされる。 (d)これは突発性発疹の典型例である。 (e)これは薬剤性アレルギーの典型例である。 答え d 解説(a)× 麻疹では発疹の融合傾向がある。 (b)(c)× 突発性発疹の診断は特有の発疹で診断可能。 咽頭擦過はインフルエンザの迅速診断。 (d)〇 突発性発疹…HHV-6 による。生後 6 ヶ月~1歳にかけて数日間の発熱で発症。 解熱とともに全身に発疹が生じる。発疹は体幹に出現し、斑状丘状性紅斑 である。熱性痙攣を起こすことがある。これはウイルスが直接中枢神経系 に進入するためだと考えられている。 30.口腔の所見と疾患の組み合わせで正しいものはどれか。 (1)水疱――――――鷲口瘡 (2)Koplik 斑――――麻疹 (3)巨大舌―――――クレチン症 (4)イチゴ舌――――猩紅熱 (5)地図状舌――――川崎病 a(1) (2)(3) b(1) (2)(5) c(1) (4)(5) d(2)(3) (4) e(3)(4) (5) 答え d 解説(1)× 鷲口瘡…口腔カンジダ症。口腔・舌・口唇の粘膜にミルク残渣状の白苔とし て認められる。 (2)〇 Koplik 斑…麻疹に特異的な粘膜疹。→診断に重要!! カタル期に頬粘膜にみられる周囲が発赤した灰色の砂粒大の斑点。 (3)〇 クレチン症では巨大舌がみられる。その他 Down 症でも巨大舌。 (STEP 小児科 p267) (4)〇 猩紅熱…A 群溶連菌の急性感染症。発熱毒によるもの。口囲蒼白、イチゴ舌 が特徴。 (STEP 感染症 p44) (5)× 川崎病…全身の中小動脈にみられる血管炎症候群。1 歳ごろに多い。症状は 5日以上続く原因不明の熱、四肢末端の硬性浮腫→膜様落屑、体幹の発疹 (水泡を伴わない)、眼球結膜充血、イチゴ舌、口唇紅潮、非化膿性リンパ 節腫脹など。 BCG 接種部位にみられる発赤がポイント!!冠動脈障害が問題。 (STEP 小児科p267~) 原田 【問 31】9 ヶ月男児。7 日前から 38~39℃の発熱が持続し、抗生物質を投与されたが解熱 しないため来院した。両側眼球結膜が充血し、口唇の紅潮、イチゴ舌および口腔粘膜の発 赤を認める。右側頭部に 2cm 大のリンパ節を触知する。体幹に紅斑、四肢末端には硬性浮 腫がある。この疾患で正しいのはどれか。 (1)患者発症は、晩秋から早春にかけて多い。 (2)4 歳以下に多い。 (3)血小板が増加する。 (4)冠動脈病変の合併がある。 (5)副腎皮質ステロイド薬が第一選択である。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解答 d(掲示では) 解説 (1)△季節性があるとされ、この時期に多いとされている(小児科の先生より) (2)○主として4歳以下に好発 (3)○血小板増多は比較的特徴である (4)○数%の患児で冠動脈瘤がみられる。 (5)×アスピリン、γグロブリン大量投与が第一選択である。 【問 32】先天性肥厚性幽門狭窄症について正しいのはどれか。 (1)胎便排泄が遅延する。 (2)double bubble sign がみられる。 (3)哺乳力が低下する。 (4)低クロール性アルカローシスを呈する。 (5)超音波検査で診断する。 a(1),(2) 解答 b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) e 解説 (1)×先天性十二指腸閉鎖症・狭窄症で遅れる。 (2)×先天性十二指腸閉鎖症・狭窄症でみられる。 (3)×吐いた直後でもミルクをほしがる。 (4)○HCl を含む胃液を嘔吐する。 (5)○幽門筋の肥厚が 4mm 以上で診断。 【問 33 】10 歳の男児。発熱、悪心、嘔吐のために来院した。春休みに 5 日間東南アジア を家族と旅行し、帰国後も通常生活を送っていた。帰国後、1カ月ころから 37~38℃の発 熱が 4 日続き、同時に全身倦怠、食欲不振、悪心、嘔吐があり、褐色の濃い尿が出た。眼 球結膜は黄染し、腹部は肝臓を 3cm 触知する。最も考えられるのはどれか。 (a)デング熱 (b)A 型肝炎 (c)コレラ (d)病原性大腸菌感染症 (e)フィラリア症 解答 b 解説 (a)数日の潜伏期間の後、発熱・全身の疼痛・発疹が出現する。 (b)潜伏期間 2~6 週で、上記の症状を呈する。小児では一般的に軽症である。 (c)米のとぎ汁様の激しい下痢で、脱水とアシドーシスを起こす。 (d)毒素原性大腸菌→水様性下痢、組織侵入性大腸菌→粘血便、 腸管出血性大腸菌→数日後に血便と激しい腹痛 (e)急性リンパ管炎→象皮病、乳糜尿、陰嚢水腫、下腿部の腫脹 【問 34】1 歳の女児。朝から機嫌が悪く、激しく泣くことを繰り返す。機嫌が直り、泣か ない時もある。上腹部に腫瘤を触れ、浣腸で粘血便を認めた。嘔吐や発熱はない。処置や 検査として正しいものはどれか。 (a)便培養 (b)上部消化管造影 (c)止血剤投与 (d)注腸造影 (e)大腸内視鏡 解答 d 解説 腸重積症:3歳未満が 90%以上を占める。主要症候は、 ①腹痛(必発)→突然激しく泣き出し、泣き止むことを 10~30 分ごとに繰り返す ②血便(90%) ③嘔吐(数 10%) 苺ゼリー状の血便を呈し、腹部触診で重積した腸管を触れ、回盲部に空虚に感じる (Dance’s sign)。検査は、注腸造影で確定診断されることが多く、造影剤が重積部で止 まり、蟹爪状の陰影欠損がみられれば診断は確定する。診断がついた場合、そのまま透視 下に一定の圧をかけて造影剤を入れ続け(高圧浣腸)、嵌入している腸管を押し戻す。最近 では、非侵襲的な超音波で診断されることが多くなった。 【問 35】次の中で正しいのはどれか。 (1)乳児期の尿路感染症は男児より女児に多くみられる。 (2)乳幼児に尿路感染症を繰り返す症例には尿路奇形が合併していることが多い。 (3)乳幼児の尿路感染症はしばし敗血症を合併し重症化する。 (4)乳幼児の尿路感染症の最も多い起因菌は黄色ブドウ球菌である。 (5)乳幼児の膀胱尿管逆流症は、その殆どが外科的治療を要する。 a(1),(2) 解答: b(1),(5) c,(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) c 解説: (1)× 乳児期は男児に多く(尿路奇形が多い)、それ以降は女児に多い(尿道が (2)○ 短い)。 (3)○ (4)× 三大起因菌は、大腸菌、プロテウス、クレブシェラ (5)× 小児では自然治癒することが多い。 【問 36】小児のネフローゼ症候群について誤っているものはどれか。 (1)ステロイドが減量できない場合は免疫抑制剤の使用を考慮する。 (2)低補体血症を認めるものはステロイド剤が効かないことが多い。 (3)蛋白が尿から喪失するので高蛋白食とする。 (4)急性期は絶対安静にする。 (5)再発することが多い。 a(1),(2) 解答 解説 b(1),(5) c,(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) d (1)○頻回再発のためステロイドの副作用が著明な場合、ステロイド抵抗性ネフ ローゼ症候群に対して用いられる。 (2)○膜性増殖性糸球体腎炎:低補体性腎炎とも呼ばれステロイド抵抗性である。 (3)×かつては高蛋白食が奨励されていたが、結局尿中に失われ、多量の蛋白尿 が腎機能の悪化と作用すると考えられ、通常蛋白摂取量とすることが多 くなっている (4)×安静で蛋白尿は減少するが経過・予後自体は変わらないため、浮腫や蛋白 尿消失後の厳重な安静は不要。患児の管理は年齢的にも困難である。 (5)○再発が多い。 【問 37】起立性蛋白尿の時にみられる尿所見の組み合わせのうち、正しいのはどれか。 (a)早朝第一尿 蛋白陽性 来院時尿 蛋白陽性 (b)早朝第一尿 蛋白強陽性 来院時尿 蛋白陽性 (c)早朝第一尿 蛋白強陽性 来院時尿 蛋白陰性 (d)早朝第一尿 蛋白陰性 来院時尿 蛋白陽性 (e)早朝第一尿 蛋白陰性 来院時尿 蛋白陰性 解答 d 解説 安静臥位時、夜間睡眠時で尿蛋白、立位や臥位で腰部を前彎させたとき陽性を示す ものを起立性蛋白尿と呼ぶ。学童~思春期に多くみられる。器質的な変化は正常か、あっ ても軽度である。 【問 38】未治療の常染色体劣性遠位尿細管性アシドーシスの検査所見の組み合わせのうち 正しいのはどれか (a)血清 K2.5mEq/L 血漿 HCO3-15mEq/L 尿β2-microglobulin35,000μg/L (b)血清 K2.5mEq/L 血漿 HCO3-35mEq/L 尿β2-microglobulin35,000μg/L (c)血清 K2.5mEq/L 血漿 HCO3-35mEq/L 尿β2-microglobulin200μg/L (d)血清 K6.5mEq/L 血漿 HCO3-15mEq/L 尿β2-microglobulin200μg/L (e)血清 K6.5mEq/L 血漿 HCO3-15mEq/L 尿β2-microglobulin35,000μg/L 解答 a 解説 遠位尿細管上皮細胞のH+分泌が低下 ・H++HCO3- ⇔H2O+CO2 は右に傾き、血中 HCO3-は低下(正常値 24±2mEq/L) ・ 遠位尿細管でも 10%程度は HCO3-の再吸収を行っており、それはH+分泌によるので、 HCO3-の再吸収が低下する→尿中の HCO3-濃度が高くなるため、陰イオンに引き寄せら れ Na+、K+は管腔側に行く→続発的にアルドステロン分泌↑ →低K血症(正常値 3.7~4.8 mEq/L) よって、ここまでで、a が正解 (β2-microglobulin 上昇する理由はよくわかりませんでした) 【問 39】小学校1年生の女児が、幼稚園入園直後に認めなくなった夜尿が再び出現したた め来院した。母は、「最近水をよく飲むようになったのがいけないのか?寝てからも夜中に 起きて水を飲んでいる」と話をされた。全身状態は良好で元気である。正しいのはどれか。 (a)飲みすぎが原因と思われるので、夜8時以降の飲水を禁止する。 (b)この年齢では、7~8人に1人は夜尿があること、夜尿は自然に治るものであること などを説明し、経過を見守る。 (c)夜尿症の治療薬を処方して経過をみる (d)尿路奇形の可能性が高いので、尿路の造影検査を実施する (e)夜尿症以外の可能性を説明し、直ちに尿・血液検査を実施する。 解答 e 解説 夜尿は新生児・乳児には生理的にみられ、2~3歳で急激に減少するが、小学校入 学時でも 10 人に1人程度の子どもにみられる。まず、問診(家族歴、発達既往歴、検尿な ど)や、現症(口渇、心因症状、排尿状態など)を行い、該当する場合、早い時期に血液、 尿検査、超音波、X線等で基礎疾患があるかどうかスクリーニングする必要がある。これ らの検査に異常があれば精密検査を行い、確定診断を行う。異常がみられず、基礎疾患が 考えにくい場合は機能的夜尿症として生活指導、治療にはいる。 【問 40】小児で骨成熟が遅延する疾患はどれか。 (1)思春期早発症 (2)Cushing 症候群 (3)成長ホルモン分泌障害 (4)後天性甲状腺機能低下症 (5)末端肥大症 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 正解 d 骨端核出現が遅延する疾患として、栄養障害、体質的な成長・思春期遅延、性腺機能不全 症、下垂体機能不全症、ネフローゼ症候群・他の慢性腎疾患、くる病、甲状腺機能低下症 などがある。 骨年齢が促進する疾患として、副腎性器症候群、体質的高身長、性腺機能亢進症、下垂体 性巨人症などがある。 ×(1)促進する。 ○(2) コルチゾール過剰により、骨形成の低下した低回転型の骨粗鬆症となる。このため 成長期であれば骨成熟は遅延する。 ○(3)遅延する。 ○(4)遅延する。 ×(5) 骨端線の閉鎖後に GH 分泌が亢進し末端肥大となるため、骨成熟自体は遅延しない。 保坂 【問 41】次の先天性疾患のうち、生後まもなくからの食事療法により著名な予後の改善を みられる疾患の組み合わせで正しいのはどれか? (1)クレチン症 (2)フェニルケトン尿症 (3)ガラクトース血症 (4)ヒスチジン血症 (5)ゴーシェ病 a(1),(2) b(1),(5) 解答 c c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 解説 (1)×先天性甲状腺機能低下症のこと。甲状腺欠損など著しく重症例の平均 IQ は 低いという報告がある。 (2)○直ちに低フェニルアラニン食で治療すれば知的障害の発生を予防できる。 (3)○乳糖除去ミルク投与で症状の改善をみる。 (4)×大部分の患者は無症状であることから新生児マススクリーニングから削除さ れた。 (5)×神経症状に対しては明らかな効果はない。 【問 42】Down 症候群について正しい文を選べ。 (1)転座型とトリソミー型では、トリソミー型の方が重症である。 (2)肝硬変の合併が多い。 (3)先天性心疾患を伴うことが多い。 (4)白血病を合併することがある。 (5)筋緊張亢進を認める。 a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) 解答 d 解説 (1)× 転座型の一部は遺伝性である。 (2)× (3)○ 消化系の器合併症は十二指腸狭窄症、食道狭窄症、鎖肛が多い。 ECD,VSD,ASD,PDA が多い。 (4)○ (5)× 筋緊張低下を認める。 【問 43】疾患と遺伝形式の組み合わせで正しいのはどれか? (a)血友病------------------------------------X 連鎖優性遺伝 (b)口唇口蓋裂------------------------------多因子遺伝 (c)フェニルケトン尿症------------------常染色体優性遺伝 (d)Hurler 症--------------------------------X 連鎖劣性遺伝 (e)Marfan 症候群-------------------------常染色体劣性遺伝 解答 b 解説 (a)× X 連鎖劣性遺伝 (b)○ (c)× 常染色体劣性遺伝 (d)× 常染色体劣性遺伝 (e)× 常染色体優性遺伝 【問 44】8 歳、男児。学校の音楽の授業で笛を吹いていた時に手の脱力と痺れを訴えて保 健室に行った。症状は数分で軽快した。以前にも突然に右手に力が入らなくなった事が時々 あったため、心配した母親に連れられて受診した。診察時に神経学的所見に異常はない。 診断はどれか。 (a)てんかん (b)低血糖 (c)特発性ウイリス動脈輪閉塞症(モヤモヤ病) (d)脳腫瘍 (e)急性散在性脳脊髄炎 解答 c 解説 (a) ×過呼吸により誘発されやすいものとして欠神発作があるが、欠神発作であれ ば意識消失を伴う。 (b) ×振戦、痙攣などがみられる。 (c) ○過呼吸によって一過性の運動麻痺が誘発される。 (d) ×痙攣が初発症状であることが多い。 (e) ×発熱、頭痛、嘔吐などがみられる。 【問 45】Duchenne 型筋ジストロフィー症の8歳児について正しいのはどれか。 (a)上手にスプーンを使うことができる。 (b)上手にボールを投げることができる。 (c)上手にしゃがんだ姿勢から立ち上がることができる。 (d)上手に階段を昇ることができる。 (e)上手に片足で跳ぶことができる。 解答 a 解説 (a)○ 乳幼児期に発症し、学童期前半には Gowers 徴候(登攀性起立)がみられ る。 (b)× (c)× (d)× (e)× 【問 46】下記の文章で間違っているのはどれか。 (a)小中学生年齢の摂食障害は、神経性無食欲症(拒食症)の方が、神経性大食症(過食 症)より多い。 (b)摂食障害は女性の方が男性より多い。 (c)神経性無食欲症では、やせが顕著となっても活動性が亢進しているため、身体的危機 を看過することがある。 (d)摂食障害は、うつ病や不安障害など他の精神障害を合併することはまれである。 (e)摂食障害の治療は、栄養障害に対する身体的治療、個人精神療法など患者自身に対す る治療だけでなく、患者同士のグループ療法や家族への治療的アプローチも行われる ことがある。 解答 d 解説 (a)○ (b)○ 約 95%が女性である。 (c)○ 過度に活動する傾向がある。 (d)× (e)○ 【問 47】過換気症候群で正しいのはどれか。 (1)女児に多い。 (2)呼吸困難感がある。 (3)自我が著しく発達している。 (4)呼吸性アシドーシスを呈する。 (5)ペーパーバック法により症状の消退が可能である。 a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) 解答 b 解説 (1)○ 男女比はおよそ1:6である。 (2)○ 症状は頻呼吸、呼吸困難、動悸など多彩である。 (3)× ストレス、不安などの心因性因子による機能的疾患である。 (4)× 呼吸性アルカローシスがみられる。 (5)○ 紙袋やビニール袋による再呼吸法(ペーパーバック法)で改善する。 【問 48】1 歳 3 ヶ月の男児。朝ぐったりしているため母が病院につれてきた。昨日昼より 白色の下痢が 8 回、嘔吐が 4 回あり、尿は昨日夕方から出ていない。体重は普段は 10kg だ が現在は 9.2kg である。顔面蒼白で末梢冷感あり、口唇、口腔内は乾燥している。入院さ せ輸液をしようと点滴の針を刺したが少し顔をしかめただけでなかなかった。正しいと思 われる記述を選べ。 (a)患児の普段の 1 日の必要水分量は約 500ml である。 (b)電解質が喪失しているのでカリウムの入った輸液を急速初期輸液に使用する。 (c)熱がなければ痙攣を起こす心配はない。 (d)急速初期輸液の Na 濃度は細胞外液に近いほうがよい。 (e)意識障害の原因検索のために頭部 CT 検査を行う。 解答 d 解説 (a)× 100~120ml/kg/日なので約1l 必要。 (b)× 腎前性腎不全でないことを否定するまでは K を含まないものを使用するの が原則。 (c)× 輸液によって急速に血清 Na を下げてもけいれんは起こる。 (d)○ (e)× 輸液の開始は循環血液量の拡張を目的とするから。 頻回の下痢、嘔吐による脱水が意識障害の原因と考えられるので、まずは 輸液。 【問 49】生後6ヵ月の乳児。意識障害を主訴に来院した。母親は「朝は元気であったが、 父親があやして抱いていたところ急に元気がなくなり、痙攣を起こした」と説明した。 診察したところ痛み刺激に反応がなく、四肢に紫斑およびやけど痕を多数認めた。間 違っているのはどれか。 (a)頭蓋内出血の可能性があり、頭部 CT 検査を施行した。 (b)ゆさぶり症候群(shaking baby syndrome)が疑われる。 (c)神経学的な予後は不良であることが多い。 (d)身体的虐待が疑われたので、全身の写真を撮影した。 (e)守秘義務が優先する為、児童相談所への通告は行わなかった。 解答 e (a)○ (b)○ ゆさぶり症候群では硬膜下血腫になりやすい。 (c)○ (d)○ (e)× 守秘義務より通告が優先する。 【問 50】小児における誤飲でもっとも多いものはどれか。 (a)玩具 (b)ピーナッツ (c)たばこ (d)医薬品 (e)ボタン電池 解答 c 解説 小児の誤飲事故の原因製品としては、「タバコ」が385件(48.8%)で最も多 い。次いで「医薬品・医薬部外品」が108件(13.7%)、 「玩具」が51件(6.5%)、 「洗剤・洗浄剤」が34件(4.3%)、「金属製品」が27件(3.4%)、「硬貨」が24 件(3.0%)、「プラスチック製品」と「化粧品」が各23件(2.9%)、「食品類」が1 6件(2.0%)、「電池」が14件(1.8%)である。 林