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EZ-TAXIScanTMを用いたケールのマスト細胞の脱顆粒抑制作用の評価

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EZ-TAXIScanTMを用いたケールのマスト細胞の脱顆粒抑制作用の評価
ApplicationNote Vol.8
EZ-TAXIScan
EZ-TAXIScanTMを用いたケールのマスト細胞の脱顆粒抑制作用
の評価
データ提供:株式会社ファンケル
はじめに
日本人の国民病ともいわれる花粉症は、5~6人に1人が罹患しているとも言われている。花粉が鼻や喉の粘膜から
侵入するとアレルギー誘引因子であるインターロイキン4(IL-4)、IgEが産生されて、肥満細胞にIgEが結合する。肥満
細胞からヒスタミン・ロイコトリエンなどが放出されて、アレルギー症状が現れる(図1)。したがって、肥満細胞の活性
を抑制することは、花粉症をはじめとするアレルギー性疾患の予防につながる。そこで、肥満細胞の破裂によりヒス
タミンなどのアレルギー関連物質を内包する顆粒が放出される様子をEZ-TAXIScanにて観察する実験系を確立した。
今回これを用いて、アブラナ科の植物であるケール(Brassica oleracea L. var. acephala DC.)青汁の抗アレルギー効
果の有効性評価を行った。
実験内容
被検物質であるケールは、株式会社ファンケル社製の青汁粉末 1 g に対して精製水 4 mL を加え、20 %(w/w)とし、95℃で 10 分
間熱水抽出した。不純物を遠心分離後、抽出液を HEPES buffered Tyrode solution(HTB)にて希釈した。ラット腹腔肥満細胞は、
2.5×106 個/mL となるよう調製した。肥満細胞を EZ-TAXIScan のウェルにアプライし、反対側のウェルよりケール青汁抽出液を 1
uL 添加した(図 1)。5~80 倍に希釈した抽出液を用いて、各濃度における脱顆粒抑制効果を検討した。37℃で 5 分間インキュベ
ートした後、脱顆粒刺激剤(400 ug/mL Concanavalin A, 100 uM 1-oleoyl-lysophosphatidylserine)1 uL を加えた。画像の撮影は、
1 分おきに 45 分間行った。
結果
ケール青汁抽出液を添加していない場合には、脱顆粒刺激剤によって脱顆粒を起こすが、ケール抽出液を添加した場合には、
その希釈倍率に依存して脱顆粒抑制作用が見られた(図 2~4)。視野内に設定した領域内(ROI; Region Of Interest)の細胞数を
測定し、各希釈倍率における脱顆粒阻害効果を算出した。5 倍希釈で 80.1 %、10 倍希釈で 73.5 %と高い阻害率を示したのに対し、
20 倍以上の希釈倍率ではコントロールと同様に脱顆粒を起こしている細胞の割合が多く見られた(図 2B、図 4)。
図 1. 花粉症のメカニズム
花粉(抗原)が鼻や喉に進入
リンパ球が花粉を異物と認識し、IgE 抗体を産生する
IgE 抗体が、肥満細胞表面に結合する
ケール青汁で抑制
過剰量の花粉摂取により、肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出される(脱顆粒)
ヒスタミンやロイコトリエンが神経系・血管に作用し、
くしゃみ、鼻水、目のかゆみなどのアレルギー症状を誘発する
図2:ケール青汁抽出液による肥満細胞の脱顆粒抑制効果(チャンバー内映像)
A. 5 倍希釈液
B. 20 倍希釈液
C. コントロール(ケール無添加)
図3:ケール青汁抽出液による肥満細胞の脱顆粒抑制効果(高解像度画像*)
A. ケール青汁抽出液添加
B. コントロール(ケール無添加)
← 脱顆粒したマスト細胞
*高解像度画像は他のシステムにより撮影した。
図4:肥満細胞の脱顆粒抑制活性
100
80
60
40
20
0
5
10
20
40
80
参考文献
1) 松熊 祥子, 他: アレルギーの臨床 343: 65-71, 2006
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