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ウィーンは、10月になってすっかり秋となり街路樹は落ち葉が見受け

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ウィーンは、10月になってすっかり秋となり街路樹は落ち葉が見受け
ウィーンは、10月になってすっかり秋となり街路樹は落ち葉が見受けられるようになりました。
これを書いているのはサマータイム中(10月末に冬時間に移行)ではありますが、現在は朝起き
る時も家に帰る時も暗くなってきており、徐々に日が短くなっているのを肌で感じます。
オーストリアは、2007年1月に国民党(中道左派)と社民党(保守派)との大連立政権が続い
ていましたが、今年の7月上旬に国民党側が一方的に連立を解消すると発表し、それを受けて議
会解散、そして9月末に総選挙が実施されました。今回の選挙は、連立を組んでいた両党だけで
なく、極右政党(自由党、オーストリア未来同盟)や左派政党である緑の党、そしていくつかの
小政党も出馬して国民党と社民党から票を奪うのではないかと事前予想されていましたが、実際
にその通りとなり、票を大きく伸ばしたのは極右政党のみでその議席数は2党合計で28議席から
56議席と倍増しました。特に、過去20年間「オーストリアの極右政党の顔」として、外国人排斥、
反EUを掲げるハイダー氏率いるオーストリア未来同盟は多くの得票率を得てその議席を3倍増
と伸ばしました。
なぜ、極右政党が票を伸ばしたかと言うと、ウィーン大学の教授の言葉を借りれば「今回の選
挙結果は、オーストリアが本格的に右派にシフトしたことを意味しておらず、従来の政府と政治
一般に対する国民の強い不満を反映しており、その中で極右政党は現政権に対する不満、反EU感
情、物価急騰に対する将来への不安を上手に利用して抗議票を大量に集めたため」だそうです。
オーストリアは、1995年にEUに加盟しましたが、小国オーストリアが競争を勝ち抜いていく
ためには他国と協力せざるを得ないと考えたことから、当時国民の66%が支持したそうです。し
かしながら、今年の6月時点ではEUに対する国民の不満は高まり28%にまで減少していたそう
です。その理由は、ドイツ国籍の学生に対するオーストリアの大学での入学制限の廃止を命じら
れた等、国民目線から見るとEUはオーストリアの意見を尊重していないと感じていたためのよ
うです(ただし、複数の調査によればオーストリアはEU加盟により大いに恩恵を受けている国
だそうです)。
(前段落から本段落までジェトロ通商広報参照)
話は戻りますが、今回の総選挙の結果を受けたオーストリアの新政権樹立はますます難航する
見通しで、前回は連立政権樹立までに3ヵ月を要しましたが、今回も長引くことが予想されてい
ます。新聞等では毎日政党間での連立交渉に関する記事が報道されています。そんな状況の中、
信じられないような事が発生したのです。
極右政党の党首であったハイダー氏が交通事故で突然この世を去ったのです。先にも書きまし
たが、彼の政党は総選挙で大きく議席を伸ばしており投票した国民は皆彼に期待していたと言っ
ても過言ではありません。その彼が突然いなくなってしまったのです。政治の世界は、
「一瞬先は
闇」と言いますが、本当に何が起こるかわかりません。今後のオーストリアの政権運営にどのよ
うな影響があるのかは分かりませんが、本当に驚きました。
日本の方も、
(これを書いている時は)未だねじれ国会が
続いており、いつ解散総選挙が行われるか分からない状態
であるため「一瞬先は闇」
と言えるのではないでしょうか。
この報告書が皆様の手元に届く頃には今からは想像もでき
ないような事態になっているかもしれません。
写真は、今月号の調査報告で訪問したドバイにてホテル
から見た夕焼けの様子です。建設中のビル群を見ることが
できるかと思いますが、中でも一番高いタワーが「ブルジ
ュドバイ」です。
ジェトロ・ウィーン・センター
産業機械部 玉井 伸哉
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