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ユーザー・エクスペリエンススケール指標

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ユーザー・エクスペリエンススケール指標
ユーザー・エクスペリエンススケール指標
-マグニチュード推定法を応用したユーザビリティの数値化-
User Experience Index Scale
-Usability Quantification Applied with Magnitude Estimation-
あらまし
従来のユーザビリティ評価手法は,問題点の改善を主目的とした課題発見型の評価法が
多く,開発プロセスにおける評価での利用に限定されていた。また,対象製品のユーザビリ
ティ全体を定量的にとらえる効果的な手法が存在しないため,結果の全容については疑問が
残っていた。精神物理学のマグニチュード推定法を応用したMagnitude Usability(MU)
は,上記の問題を解決するのに非常にたけた手法である。富士通デザイン(株)では,この
手法を活用し様々なHuman Centered Design(HCD)プロセスのシーンで利用できるユー
ザー・エクスペリエンス(UX)スケール指標の開発を試みた。非専門家でも分かりやすく,
製品開発の様々な場面で課題発見や方針決定に有効活用できるものである。
Abstract
Conventional methods of evaluating usability focus mainly on finding problems and those
improvements, therefore usage of the methods are limited in the development evaluation
process. Moreover, efficient techniques to capture an overall usability of products have not
been established, and consequently the comparison of the levels of usability has been
difficult.
Magnitude Usability (MU), developed based on magnitude estimation in
psychophysics, is highly effective in providing insights to the issues above. Fujitsu Design
Limited has found it useful to create the User Experience (UX) Index Scale in order to utilize
scale in the various Human-Centered Design (HCD) processes. The UX index scale is easy
to understand even for non-specialists and very useful in finding new issues or making
policy throughout product development.
宇多村志伸
(うたむら しのぶ)
富士通デザイン(株) 第
二デザイン事業部ユー
ザー・エクスペリエンス
デザイン部 所属
現在,ユーザビリティ評
価手法の研究開発および
普及に従事。
654
村瀬周子
(むらせ ちかこ)
富士通デザイン(株) 第
一デザイン事業部デザイ
ン企画開発部 所属
現在,GUIなどのユーザ
ビリティ向上活動および
ユーザビリティ評価手法
の研究開発に従事。
永野行記
(ながの ゆきのり)
濱谷幸代
(はまたに ゆきよ)
富士通デザイン(株) 第
二デザイン事業部ユー
ザー・エクスペリエンス
デザイン部 所属
現在,GUIなどのユーザ
ビリティ向上活動および
ユーザビリティ評価手法
の研究開発に従事。
富士通デザイン(株) 第
二デザイン事業部ユー
ザー・エクスペリエンス
デザイン部 所属
現在,人間中心設計,ユ
ニバーサルデザインの推
進活動に従事。
FUJITSU. 59, 6, p.654-659 (11,2008)
ユーザー・エクスペリエンススケール指標-マグニチュード推定法を応用したユーザビリティの数値化-
ま え が き
Human Centered Design(HCD)こと人間中心
適宜,行っている。
本稿では,まずMUの有用性と課題点を明らかに
する。つぎに,その課題点を補う新たなUXスケー
設計の開発思想は,昨今,製品開発者の間でも注目
ル指標の開発とその作成意義について述べ,最後に,
を浴び始めてきた。様々なユーザー特性を知り,そ
社内での実践事例を通してUXスケール指標の有効
のユーザー特性に基づいて要求事項を整理し,設計,
性について考察し,今後の活用方法ついて示唆する。
評価,改善をスパイラルに繰り返すHCDは,ユー
ザーにとって満足度の高い製品を提供する上で必須
の開発プロセスと言える。
HCDに基づく,製品開発の1ステップに設計評価
Magnitude Usability
● Usability Magnitude Estimation
MUの原型となるUsability Magnitude Estimation
(evaluate designs against requirements)があり, (UME)(1) は,新しいユーザビリティの測定法とし
その代表的なものにユーザビリティ評価がある。こ
てMick McGeeにより2003年に開発された。精神物
れは,想定ユーザーにとって使いやすい製品に設計
理学の古典的な測定方法であるマグニチュード推定
されているかチェックする評価である。評価は主に,
法は,ある一系列の物理刺激に対して感覚的な大き
ユーザー参加型のユーザーテストと専門家が実施す
さを数値によって直接推定させる測定法である。当
るヒューリスティック評価が存在する。いずれも評
てはめる数値は単位を持たず,比率評定を用いて実
価後に改善すべき項目が明らかになり,開発中の製
施する。例えば,ある線の長さ(物理量)に対し,
品に反映できるものについては,修正を施し,品質
感じた長さ(感覚量)を適当な数値で当てはめる。
を上げていくプロセスを採るのが一般的である。し
それを基準に,つぎに提示される線の長さについて
かし,このような従来の製品評価で実施するユー
前の長さとの比率関係を用いて数値で表現する。例
ザーテストやヒューリスティック評価では,前述の
えば,2倍長く感じたら,2倍大きな数値を当ては
とおり,いずれも評価後に改善すべき項目が明らか
める。このように,標準刺激と比較したときの比較
になるという課題発見型のアプローチが多く,製品
刺激の感覚の強度を,被験者が数値で推定し回答す
自体の使い勝手の度合いや使いやすさ感などの「全
る方法がマグニチュード推定法である。
体的なユーザビリティ」を測ることは困難であった。
この測定法は,多方面で有効活用されており,と
例えば,アンケートなどを駆使して,使いやすさを
くにユーザーインタフェースデザインでのユーザビ
構成する様々な要素(効率性,一貫性,学習性な
リティのように複雑な物理刺激に伴う多面的な知覚
ど)を5~7段階評価し順位得点を求める方法もあ
の測定に非常に適しているとして,UMEが開発さ
るが,評価や集計に手間がかかり,結果についても
れる経緯となった。
全体像をとらえるのが困難な場合がある。また,改
● Master Usability Scaling
善前と改善後のバージョン間比較や競合製品とのベ
UME の 有 効 性 が 確 認 さ れ た 後 , Master
ンチマークで,順位付けすることがあるが,そのス
(2)という新たな概念が生
Usability Scaling(MUS)
ケール差を正確につかむことはできず漠然とした結
み出された。UMEを基本に,新たに標準参照タス
果になっていた。
クを介すことで,異なるユーザビリティ評価間の
Mick McGee が 開 発 し た Magnitude Usability
データすべてを一つのスケール上で表現しようとす
(MU)は上記の課題を簡易かつ迅速に解決する手
るものである。M.B.BerglundのMaster Scalingの
法であり,精神物理学のマグニチュード推定法を
(3) MUSでは標準
手続きが基本概念となっているが,
ユーザビリティに応用するという画期的な手法であ
参照タスクの実施を簡略化している。いずれも評価
る。富士通デザイン(株)では,その手法にいち早
対象製品を選ばないため,例えば,従来では不可能
く着目し,開発部門の中で,HCDの浸透を目的と
であった携帯電話とパソコンのユーザビリティを定
した試行を繰り返してきた。その中で,MUの発展
量 的 に 直 接 比 較 す る こ と が 可 能 に な る 。 Mick
形スケール指標「ユーザー・エクスペリエンス
McGee は こ の 比 較 軸 を Universal Usability
(UX)スケール指標」を開発し,実践と改善を,
FUJITSU. 59, 6, (11,2008)
Continuumと名付けている。
655
ユーザー・エクスペリエンススケール指標-マグニチュード推定法を応用したユーザビリティの数値化-
● Expected Usability Magnitude Estimation
ロットされる。この中から評価対象製品(以下,
つぎに,UMEを応用しExpected UMEという満
ターゲット)に対して,ユーザビリティが良い,も
足度を測る評価方法がAaron Richらによって開発
しくは悪いとされる相応の比較対照(以下,スケー
(4) 通常の評定の前に,ユーザーの予測(期
された。
ラ)を取捨選択すれば,そのスケールの適当な目盛
待)値をタスク実施前に収集し,タスク実施後の実
りが出来上がる。つまり,具体的な「モノ」によっ
測値と比較することで,各タスクに対するアクショ
。
て値を説明付けられるのである(図-1)
ンの優先度,対策を検討することができる。Albert
例えば,ある製品のユーザビリティに関して,生
とDixon(5) がその基本コンセプトを考案したが,
活家電などの一般製品に比べてどの程度使いやすい
UMEで予測値と実測値を収集することで,その差
のかが把握できると良い。生活家電でなくとも,駅
分による満足度や全体のユーザビリティに及ぼす影
の券売機や,コンビニエンスストアのコピー機など
響が厳密に測定され,より精度の高い改善の優先度
公共性の高い端末は不特定多数のユーザーが使用す
をつけることができるとした。
るため,ユーザビリティに配慮があってしかるべき
このように,MUはUMEを基本とした上記測定
製品群である。それらと比較したときに,ある製品
手法の総称である。
のあるタスクが同等もしくはそれ以上であれば,そ
● MUの強みと課題
の製品の該当するタスクが使いやすいと言えるであ
MUの最も大きな強みは,従来から課題となって
ろう。
いた「全体的なユーザビリティ」の定量化に成功し
また,最近では,インターネットを介したやり取
ていることにある。それに加え,様々な製品間を横
り,例えば,自治体のWebサイトの電子申請や,金
断して比較評価ができるため,この手法を応用した
融機関のWebサイトでのオンライン取引きなどが盛
HCD活動の幅が広がったと言える。また,実験手
んである。Webサイト上のバーチャルな世界を現実
続きにおいても,従来のユーザーテストに比率評定
のリアルな世界とどのように結びつけるかに注目が
の練習を加えるだけで実施可能で,分析は標準的な
集まる。「現実の買い物よりバーチャルなネット上
統計解析を使用するため,評価経験のあるユーザビ
の買い物の方が3倍自分の思いどおりに買い物がで
リティエンジニアにとって,計画,実施,分析は非
きる」などの結果が得られれば,評価結果の納得性
常に容易である。
が増すのではないだろうか。
しかし,実際試行してみると課題も残る。MUS
また別の事例として,ミドルウェア製品群などの
を実施することにより様々な製品のユーザビリティ
法人向けシステムは,他社製品とのベンチマークの
度合を一軸のスケールに並べることはできるが,数
機会が少ない上に,利用者がシステム開発者や運用
値自体に意味を持たないため,開発途中の製品評価
者に限られる。このため,システムの完成度がどの
では実際の良し悪しやその製品の完成度の判断がつ
程度なのか開発者自身が把握しにくいという問題が
き に く い の で あ る 。 つ ま り , Mick McGee の
ある。評価を実施し,前バージョンと比較して改善
Universal Usability Continuumは,その軸上に絶
されたと思っていても,例えば,操作性や使う楽し
対的な数値が存在しないのである。
ユーザー・エクスペリエンススケール指標
● スケール指標の開発意義
●評価結果のみのスケール
製品2
製品1
製品3
悪
良
180
190
200
210
富士通デザイン(株)では,上述した「スケール
にとらえどころがない」という問題を解決するため,
とらえどころ,つまり「ものさし」となる目盛りの
開発を試みた。
理論上,MUSは実施するユーザーテストすべて
の結果が一つの軸上に並ぶことになる。つまり,
データを蓄積すれば無数に数直線上にデータがプ
656
●スケーラの配置(目盛り)により分かりやすくなったスケール
製品2
悪
製品1
製品3
180
190
デジタルカメラ
掃除機
200
210
良
券売機
図-1 スケールの改善例
Fig.1-Example of improvement scale.
FUJITSU. 59, 6, (11,2008)
ユーザー・エクスペリエンススケール指標-マグニチュード推定法を応用したユーザビリティの数値化-
さなどの観点で近年進歩的なコンシューマ製品をス
ふかん
ることによって開発者間で,ユーザー像を正確に共
ケーラとして並べ俯瞰してみると,必ずしもその改
有できることが,強みの一つである。これと同じく,
善度合いが満足いくものであるとは限らないことが
スケール指標も,適切なスケーラの選定によりター
。
分かる(図-2)
ゲット(評価対象製品)のユーザビリティ度合いの
このように,同じ製品群の中だけでの評価では,
現状が位置付けられ,それを関係者間で共有できる
その製品のユーザビリティを理解する上で,必ずし
ことが強みと言える。また,スケーラは,目標値に
も十分とは言えない。スケール指標は,開発製品の
もなり得ることに着目したい。「“券売機で目的の
ユーザビリティの完成度を客観的,かつ,定量的に
切符を買うタスク”と,同じレベルのユーザビリ
把握でき,後の開発方針や課題を明確にする一助に
ティを目指す」など,定量化された数値だけに分か
なると言える。
りやすく,開発者間で明確な目標設定に利用できる
● コミュニケーションツールとしてのスケール指標
のである。
前述のとおり,スケール指標の作成意義は,評価
● UXスケール指標の作成
目的に則したスケーラの選定によってHCDの様々
UXスケール指標開発の最初の試みは,認知度の
な場面で,つぎのステップに向けた明確な方向性を
高い様々な一般製品を集め,ユーザビリティの良い
。
指し示すことにある(図-3)
ものから悪いものまで,スケール上に均等に配置で
このことは,開発関係者間のコミュニケーション
きるようにすることが第一の目的となった。30~
をスムーズにしているとも言え,昨今注目されてい
40代の男女12名に対し,ユーザーテスト形式で
るペルソナ法にも言えることである。ペルソナ法の
表-1に示す10製品17タスク(標準参照タスクを除
場合,具体的なペルソナ(ユーザー)像を作り上げ
く)を対象にMUの予測値および実測値の収集をし
た(ニフティ株式会社と共同で実施)。統計的なは
ずれ値(1サンプル)を除外した後のUMEの集計
システム1
改善前
良
悪
70
90
110
システム1
改善後
結果とそのグラフを図-4,図-5に示す。
結果は,公共性の高い「地下鉄の券売機」や「コ
ンビニエンスストアのコピー機」などのタスクが上
iPod touch
スケール指標
FAX
DVD/HDD
デジタルカメラ
券売機
図-2 スケール指標によるコンシューマ製品の評価
Fig.2-Consumer product evaluation with index scale.
表-1 テストでの対象製品・実施タスク
対象製品
DVD/
①
HDDレコーダ
② デジタルカメラ
③ 音楽プレーヤ
④ FAX
1
2
1
2
1
2
1
2
1
⑤ 掃除機
⑥ 料理のレシピ本
―
料理レシピを検索する
⑦ カップラーメン
―
カップラーメンを作る
⑧ ミニバン
―
3列シートを折りたたむ
1
2
1
カラーでコピーする
デジカメプリントをする
通常の切符を購入する
連絡線への乗継ぎ切符を購
入する
⑨
図-3
開発方針検討のためのスケール指標活用シーン
(ISO13407でのHCDプロセスに当てはめた場合)
Fig.3-Usage scenes of index scale for developmental
policy making. (described in defined HCD
process in ISO13407).
FUJITSU. 59, 6, (11,2008)
2
タスク
録画番組を再生する
番組表から録画予約する
フルオートで撮影する
手動で設定して撮影する
音楽を再生する
画像ビュアーを利用する
電話帳から送信する
拡大コピー,複数枚コピー
をする
掃除機をかける
ごみ捨てとティッシュペー
パをセットする
コンビニエンス
ストアのコピー機
⑩ 駅の切符券売機
Webサイトの
― ログイン
(参照タスク)
2
―
参照タスク用の独自作成
Webページへログインする
657
ユーザー・エクスペリエンススケール指標-マグニチュード推定法を応用したユーザビリティの数値化-
位を占めた。これは被験者にとっても予想どおりの
良かった製品は「音楽プレーヤ」である。被験者は,
結果だったと言える(図-5)。予想を超えて印象の
ほとんど未使用者で,予測ではあまり期待値は高く
なかったが,操作を始めてみるとユーザビリティの
範囲を超え,操作そのものに対する驚きや楽しさ,
1100
発見などがあり印象が飛躍的に上がったようだ。こ
れは,ユーザーが豊かな体験(エクスペリエンス)
⑩-1. 切符券売機(購入)
1000
をした結果,UMEの値を引き上げたと解釈できる。
⑤-1. 掃除機(通常使用)
「DVD/HDDレコーダ」の録画再生タスクでは,簡
⑩-2. 切符券売機(連絡切符購入)
900
単なタスクに思えるが,再生ボタンを単純に押すだ
⑨-1. コンビニエンスストアコピー機
(カラー)
800
けではない昨今のリモコン操作において,ユーザー
の予測に反して悪い結果となった。おおむねユーザ
③-1. 音楽プレーヤ(音楽再生)
③-2. 音楽プレーヤ(画像ビューア)
⑨-2. コンビニエンスストアコピー機
(デジカメプリント)
700
ビリティの良いものから悪いものまで,幅広く指標
値が配置され,UXスケール指標の代表的なスケー
②-1. デジタルカメラ(フルオート撮影)
⑦. カップラーメン(作る)
600
⑧.
ラが完成した。
このスケール指標に,別途実施した携帯電話の
ミニバン(3列シート)
④-1. FAX(送信)
⑥. 料理レシピ本(レシピ検索)
⑤-2. 掃除機(ごみ捨て,ティッシュセット)
②-2. デジタルカメラ(手動設定後撮影)
UMEを加えて統計処理し,より分かりやすい表現
500
400
①-1. DVD/HDD(再生)
の代表的なタスクも上位に位置し,この携帯電話は
①-2. DVD/HDD(録画予約)
公共性の高いコンビニエンスストアのコピー機と並
にして配置した結果が図-6になる。電話をかけるタ
スクは券売機の切符購入よりも値が高く,そのほか
300
ぶ使いやすさを備えていることが読み取れる。
④-2. FAX(拡大,複数枚コピー)
む
200
予測
す
び
実際
本稿では,精神物理学のマグニチュード推定法を
図-4 同タスク間におけるUMEの予測値と実測値の差
Fig.4-Difference between expected UME and actual
UME within the same task.
応用したMUを活用し,HCDに基づく製品開発に
実用的なUXスケール指標開発について紹介した。
1200
1006
1000
958
956
690
677
600
400
938
773
800
588
653
536
555 575
484
506
400
428
701
684
371
362
497
401
485
488
⑤-2.
掃除機
(ごみ捨
て,
ティッ
シュ
セット)
⑥.
料理
レシピ本
(レシピ
検索)
648
682
573
854
776
714
556
543
353
244
200
0
①-1.
DVD/
HDD
(再生)
①-2.
DVD/
HDD
(録画
予約)
②-1.
デジタル
カメラ
(フル
オート
撮影)
②-2.
デジタル
カメラ
(手動設
定後撮
影)
③-1.
音楽
プレーヤ
(音楽再
生)
④-1.
③-2.
FAX
音楽
プレーヤ (送信)
(画像
ビュー
ア)
④-2.
FAX
(拡大,
複数枚
コピー)
⑤-1.
掃除機
(通常
使用)
⑦.
カップ
ラーメン
(作る)
⑧.
ミニバン
(3列
シート)
⑨-1.
コンビニ
エンスス
トアの
コピー機
(カラー)
⑨-2.
コンビニ
エンスス
トアの
コピー機
⑩-1.
切符・
券売機
(購入)
(デジカメ
プリント)
⑩-2.
切符・
券売機
(連絡
切符購
入)
予測
536
362
677
371
506
353
588
401
958
555
575
701
543
714
556
938
776
実際
428
400
653
484
690
684
497
244
956
485
488
648
573
773
682
1006
854
①~⑩は表-1に対応
図-5 各タスクにおける予測値と実測値
Fig.5-Expected UME and actual UME for each task.
658
FUJITSU. 59, 6, (11,2008)
ユーザー・エクスペリエンススケール指標-マグニチュード推定法を応用したユーザビリティの数値化-
図-6 UXスケール指標に配置した携帯電話の結果
Fig.6-Mobile phone’s task result in UX Index Scale.
本スケールは,ユーザー自らが体験した経験心理に
Magnitude Estimation and Master Scaling Applied
基づき,使い勝手のみならず,操作の驚きや楽しさ
to Usability Measurement. Proc. SIGCHI conference
などを含む広義のユーザビリティ(ユーザー・エク
on Human factors in computing systems,Vienna,
スペリエンス)を定量的かつ客観的に表現すること
Austria,2004,p.335-342.
が可能であり,製品開発の様々な場面で課題発見や
(3) M.
B.
Berglund : Quality
assurance
in
environmental psychophysics.In S. J. Bolanowski,
方針決定に有効活用できるものである。
今後は,UXスケール指標を,ユーザビリティや
ちゅう
& G. A. Gescheider ,( Eds. ), Ratio scaling of
ユーザー・エクスペリエンスという範 疇 にとどめ
psychological magnitude: In honor of the memory
ることなく,製品の感性品質など,感性に訴える刺
of S. S. Stevens.Lawrence Erlbaum Associates,
激について測定可能かどうか,また指標として役立
Publishers,1991,p.140-162.
(4) A. Rich et al.:Expeceted Usability Magnitude
つかどうかを検討する必要がある。
Estimation. Proc. HFES, 48th Annual Meeting,
2004,p.912-916.
参 考 文 献
(1) M. McGee : Usability magnitude estimation.
(5) W. S. Albert et al.
:Is this what you expected?
Proc. HFES,47th Annual Meeting,Denver,2003,
The use of expectation measures in usability testing.
p.691-695.
Proc. Usability Professionals Association , 12th
(2) M.
McGee : Master
FUJITSU. 59, 6, (11,2008)
Usability
Scaling :
Annual Conference,Arizona,USA,2003.
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