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ヘアスプレー - 日本中毒情報センター

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ヘアスプレー - 日本中毒情報センター
公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
【ヘアスプレー】Ver.1.00
公益財団法人 日本中毒情報センター
保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
ヘアスプレー
1.概要
ヘアスプレー製品には、ドライヤーの熱やブラッシングの摩擦から髪の保護を目
的とするもの(ヘアブロー)や、髪の乱れを防止するために用いるもの(ヘアスプレー、
ヘアミスト、セットローション)がある。エアゾールやディスペンサーによって微
細な霧状にした高分子化合物を噴霧し、乾燥させて被膜をつくり、頭髪を固定する。
毛髪固定用の被膜形成剤としては、アクリル樹脂、ビニール樹脂、シリコン樹脂
など、被膜に適度な柔軟性を与えるための可塑剤としては、グリコール脂肪酸エス
テル、高級アルコール、ラノリン誘導体などが使われている。また、つや出し剤と
しては、シリコン油、ミリスチン酸イソプロピルなど、さらにそれらの溶剤として
エタノールなどが含有されており、ブロー製品の中には、被膜形成剤として陽イオ
ン界面活性剤を数%含有するものもある。
2.毒性
製品としての毒性は低い。
大量摂取の場合、ヘアスプレーの中毒は主にエタノールに起因する
エタノール(1):ヒト経口推定致死量 成人 5~6g/kg、
幼児 3g/kg(ただし個人差大)
幼小児が 100%エタノール 6~30mL を 30 分以内に服用すると危険
である (2)
3.症状
1 スプレーを完全吸入したときも軽い酩酊程度であるという報告が
ある(2)
大量摂取の場合
エタノールの中毒症状(詳細は化粧水の項参照)
4.処置
家庭で可能な処置
吸入:新鮮な空気を吸わせる
眼 :流水で 15 分以上洗浄
皮膚:大量の水と石鹸で洗浄
医療機関での処置
大量に服用した場合:急性中毒に対する一般的な処置、対症療法
5.確認事項
1) 摂取状況、摂取量:液体の経口摂取か、ガスの吸入か(高濃度に吸っ
た可能性があるのか)。顔に噴霧した場合は眼に入っていないかなど
を確認
2) 患者の状態:吸入の場合、咳や呼吸困難になっていないか。眼に充血、
痛みなどないか。その他変化の有無
6.情報提供時の要点
1) これらの製品は通常の使用量ではほとんど問題とならない。故意に大量
摂取した場合は、エタノールを 50%以上含むものもあるので商品名や
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公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
【ヘアスプレー】Ver.1.00
含有量を確認する必要がある
2) 経口の場合は少量なら水か牛乳をとらせて経過を観察し,症状があるときに
受診を指示
3) 吸入、眼、皮膚曝露の場合、家庭での処置後も症状があるなら受診を指示
7.体内動態
エタノール(1)(7):主に胃・小腸粘膜から吸収され、経皮吸収はわずか。
経口時の最高血中濃度到達時間は 30 分~3 時間。90%以上が、肝臓で
アルコール脱水素酵素の働きをうけてアセトアルデヒドから酢酸に、最
終的には水と二酸化炭素に分解。2~10%が腎・肺から未変化体で排泄
噴射剤(8):吸入の場合、ほとんどはそのまま気道から排出される
8.中毒学的薬理作用
(1)(3)(6)(7)
エタノール:中枢神経、とくに大脳に対する抑制麻酔作用。体温調節中枢、
血管運動中枢に対する抑制作用
噴射剤による酸素欠乏、中枢神経抑制作用
10.参考文献
(1) Poisindex(1997)
(2) 家庭用化学薬品の知識(1982)
(3) 急性中毒情報ファイル(1996)
(4) 臨床中毒(1994)
(5) Clinical Toxicology of Commercial Products(1984)
(6) 危険物ハンドブック(1991)
(7) 救急中毒ケースブック(1986)
(8) 産業中毒便覧(1981)
(9) 12695 の化学商品(1995)
(10) エアゾール製品の安全性に関する調査(1995)
(11) RTECS(1997)
11.作成日
19900215 Ver.1.00
ID M70233_0100_2
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