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物流EDI「Q&A」集 (第2版)

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物流EDI「Q&A」集 (第2版)
物流EDI「Q&A」集
(第2版)
年6月
2002年6月
社団法人 日本物流団体連合会
物流EDIセンター
目 次
1.物流EDIに関する共通疑問に答えます
〔物流EDI入門〕
Q1
物流EDIとは、どのようなものですか。
Q2
物流EDIに必要な取り決めとは、どのようなものですか。
Q3
トランスレータとは、どのようなものですか。
〔物流EDIのメリット〕
Q4
物流EDIを導入すると、どんなメリットがあるのですか。
Q5
物流EDI導入で大きなメリットを上げるためには、どのようにしたらよいので
すか。
Q6
物流EDIを導入するために、費用はどのくらいかかるのですか。
Q7
物流EDIは、固有フオーマットのオンライン方式に比べ、初期コストが高くな
るのではありませんか。
Q8
物流EDIのような標準を導入するのには、多大な労力とコストがかかるのでは
ないですか。
Q9
物流EDIの導入は、固有フォーマットのオンライン方式より期間が長くかかる
のではないですか。
Q10
物流EDIを導入すると、人手は従来より増えるのではないですか。
〔物流EDI導入〕
Q11
物流EDIの導入に際し、既存のシステムにどのような変更が必要になるのです
か。
Q12
物流EDIを導入するには、どんな手順で行えばよいのですか。
Q13
物流EDIの導入には、どのくらいの期間がかかるのですか。
Q14
物流EDIは難しくややこしいと言われた。どのように説明すればよいのですか。
Q15
物流EDIを初めて実施するが、どこに相談すればよいのでしょうか。
Q16
中小企業でも物流EDIを導入しなければならないのですか。
Q17
標準企業コードは、どのように取得すればよいのですか。
Q18
物流EDI標準JTRNに必要なデータ項目が無い場合は、どうすればよいので
すか。
Q19
物流EDI導入の技術的なサポートは、どこから受けられるのですか。
Q20
データ量が多い場合、トランスレータによる変換に時間がかかるのではないです
か。
〔その他の疑問〕
Q21
物流EDIにインターネットは利用できるのですか。
Q22
物流EDIの導入事例はどのくらい進んでいるのですか。
Q23
行政は物流EDIにどのように取り組んでいるのですか。
Q24
物流EDI導入の融資制度や助成制度はあるのですか。
Q25
物流EDIを推進している団体はどこですか。
2.物流EDIに関する荷主の質問に答えます
Q26
取引先からオンライン化を要請されました。どのように対応すればよいのですか。
Q27
取引先の固有フォーマットによるオンライン取引を要請されました。どのように
対処すればよいのですか。
Q28
取引先からUN/EDIFACTやANSI X.12によるEDIを要請され
ました。どのように対処すればよいのですか。
Q29
物流EDI標準JTRNには必要なデータ項目がなく使い物にならない、と取引
先から言われました。どのように対処すればよいのですか。
Q30
物流EDIによりメリットが出た分、運賃を安く出来るのではないかと言われま
した。どのように対処すればよいのですか。
3.物流EDIに関する物流事業者の疑問に答えます
Q31
取引先に物流EDIを提案したいのですが、どのように対応すればよいのですか。
Q32
今まで荷主の個別フォーマットに迅速に対応することを差別化の切り札に使っ
てきましたが、物流EDIだと他社と同じ土俵になるので抵抗があります。
Q33
現在の固有フオーマットによるオンライン取引を、物流EDIに切り替えたいの
ですが、取引先にどのように提案すればよいのですか。
Q34
一部の取引先と物流EDIを導入しても、残りの取引先が従来どおりだと、かえ
って手間がかかるのではないですか。
4.物流EDI用語集
用語集に記載した用語については、各A(Answer)ごとに、アンダーラインを引いて
あります。
1.物流EDIに関する共通疑問に答えます
〔物流EDI入門〕
Q1
物流EDIとは、どのようなものですか。
A.
物流EDIとは、物流業務に関わるEDIのことで、主として荷主と物流事
業者との間、あるいは物流事業者相互間で使用されます。
ここでEDI(電子データ交換;Electronic Data Interchange)とは、
複数の企業間において取引情報(例えば出荷指図や請求書など)を、標準的な
規約により通信回線を通してコンピュータ間で交換することをいいます。
物流事業者 荷主企業
ネットワーク
(通信回線)
この標準的な規約ということが重要なことで、各企業とも標準規約にのっと
ったEDIシステムを一度導入するだけで、どの企業とでも容易にEDI取引
を行えるようになります。また、EDIの導入により取引業務の効率化のみな
らず、社内業務全般の改善へ発展させることができます。
A社
A社
B社
F社
E社
B社
F社
EDI
E社
C社
C社
D社
D社
物流業界では、物流EDI推進委員会(LEDIC)において、物流業務に
関するEDI標準規約(取引情報のデータ形式、データ項目の種類など)の開
発を行っています。
物流EDI推進委員会(LEDIC)において開発された「物流EDI標準
JTRN(ジェイトラン)」は、全ての産業界の物流EDIに適用できるよう
に開発された国内統一の汎用標準です。
物流EDI標準JTRNでは、既に、運送依頼などの14のトラック運送業
務メッセージ、出荷依頼などの19の倉庫業務メッセージ、及び共通業務メッ
セージとしての着荷予定が開発されています。
-1-
Q2
物流EDIに必要な取り決めとは、どのようなものですか。
A.
EDIは、「異なる企業間で、商取引のためのデータを、通信回線を介して標
準的な規約(可能な限り広く合意された各種規約)を用いて、コンピュータ(端
末を含む)間で交換すること。」 と定義されています。
「可能な限り広く合意された各種規約」とは、少なくとも業界レベル以上で
合意された規約を意味しています。
EDI は多数の異なる企業でも、商談・取引を成立させるために必要な情報を
コンピュータと通信を使って自由に交換ができるところに大きな特徴があり
ます。企業間で各取り決めについての合意、つまり標準化が行われなければな
りません。
これらEDIに必要な取り決めは、次の4階層に整理されています。
4.取引に関する規約
EDI取引規約
A社
B社
3.業務運用に関する規約
運用ルール
2.情報表現方法の規約
シンタックスルール
標準メッセージ
コード
1.情報伝達方法の規約
通信手順
EDIに必要な取り決め
階層1の通信手順には、全銀協手順、JCA手順、TCP/IPなどいろい
ろな手順があります。物流EDI標準JTRNの規格書やCIIシンタックス
ルールが、階層2の情報表現方法の規約に当たります。階層4の取引規約には、
物流EDIセンターで定めたひな形(物流EDI取引協定書(モデル))があ
ります。当センター(03-3593-0139)へお問い合わせ下さい。
-2-
Q3
トランスレータとは、どのようなものですか。
A.
トランスレータ(EDIトランスレータ)とは、社内の業務プログラムで作
成された固有フォーマットのファイル(ユーザーファイル)を、標準フォーマ
ット(CII標準、UN/EDIFACT標準など)のファイルに変換するた
めのソフトウエアです。逆に、相手先から送られてきた標準形式のファイルを
自社の業務で扱えるファイル形式に逆変換することも行います。
EDIトランスレータは、多くのベンダーから販売されていますが、物流E
DIを導入するには、「クロストラン」(XTRAN)という製品があります。
「クロストラン」(XTRAN)は、(社)日本ロジスティクスシステム協会(J
ILS)が、高度物流情報化システム開発事業(ALIS)において、中小企業へ
の物流EDI普及を促進するため、低価格でユーザに提供していくために開発
を行ったものです。標準価格は5万円(税別)です。
固有形式のファイル(ユーザーファイル)を標準形式のファイルへ変換する
ためには、それぞれのファイルのデータ項目(データエレメント)を対応づけ
る必要があります。この対応づけを行うことを「マッピング」と呼んでいます。
通常、業務プログラムは、中間ファイルを介してEDIトランスレータと取
引データの受渡しをします。
従って、物流EDI標準JTRNを使用する前に、「中間ファイル」の各デー
タエレメントとJTRN標準メッセージ情報の各データエレメントとの対応
づけを行い、マッピング情報を作成する必要があります。
トランスレータは、このマッピング情報をもとにして、中間ファイルのユー
ザデータをJTRN標準メッセージに変換したり逆変換したりします。
以下にトランスレータの概要図を示します。
ユーザファイル
標準メッセージ情報
自社業務
プログラム
中間ファイル
マッピング情報
EDI
トランスレータ
変換
-3-
標準メッセージ
通信
プログラム
〔物流EDIのメリット〕
Q4
物流EDIを導入すると、どんなメリットがあるのですか。
A.
(1)荷主側のメリット
物流EDIを導入した場合の荷主企業のメリットとしては、
・物流の効率化
・物流コストの削減
・在庫の削減
・物流事業者との連携
などを挙げることができます。運送依頼作業の自動化や事務処理の省力化に
よって、リードタイムの短縮、正確性の向上などが期待できます。
事務処理の効率化では、1件当たりの事務処理費用が200円∼300円か
かっていたものが、1円に削減できたり、人手により1日に2時間を要してい
た事務作業が、1日数秒で済むようになった。という実例も報告されており、
導入効果はかなり大きいと言えます。
また、物流EDI標準JTRNを採用することによって、1社とのEDIを
実施すれば、他の物流事業者とEDIを実施する際にもJTRN標準で容易に
安価にEDI取引を始められるメリットが生まれます。
(2)物流事業者側のメリット
物流EDIを導入した場合の物流事業者側のメリットとしては
・運送業務・倉庫業務自体の効率化
・荷主サービスの向上
・新規荷主の獲得
などを挙げることができます。受注データの自動入力、配車の迅速化、荷受
作業や仕分作業等の自動化などによる業務の効率化、リードタイムの短縮、正
確性の向上、物流品質の向上効果による顧客満足の向上を通じた増収効果など
が期待できます。
上記の荷主側のメリットであげた事務処理の効率化や、EDI取引を安価に
他社に展開できることは、物流事業者でも同様です。
また、標準インターフェイスを用いて常にあらゆる企業との取引機会を確保
し、積極的に外部の経営資源を活用することにより、取引機会の拡大も期待で
き新規顧客の獲得といったメリットも考えられます。
運送事業者A社では、JTRN導入により、業務工数が次のように大幅に削
減できたということです。
対A荷主…運送26%、入庫10%、出庫77%
対B荷主…運送67%、入庫50%、出庫80%
-4-
Q5
物流EDI導入で大きなメリットを上げるためには、どのようにしたらよ
いのでしょうか。
A.
Q4で記述しましたメリットの全てが、物流EDIを導入して直ぐに現れる
ものではありません。また、物流EDIをただ導入するだけではなく、物流E
DIの導入に合わせて業務改善を行うと一層の効果をあげることができます。
ここでは、考え方の1つの例を紹介します。
EDIのアプローチには、「スタンドアロン型アプローチ」、「統合アプリケ
ーション型アプローチ」、「BPR型アプローチ」の3通りあり、このアプロー
チの順に、時間の経過に従って実現効果が大きくなります。
EDIの
メリット BPR型
統合アプリケーション型
スタンドアローン型
週 月 年
事務処理の効率化、リードタイムの短縮などの直接的効果は「スタンドアロ
ン型アプローチ」と考えられます。さらに関連する業務まで見直し、関連シス
テムと統合すれば効果はより大きくなります。これが「統合アプリケーション
型アプローチ」です。また、業務のあり方までを見直し、格段の効率化を実現
する。これが「BPR型アプローチ」であり、効果も一層大きくなると考えら
れます。
(財)日本情報処理開発協会 電子商取引推進センター発行「EDI導入に
かかわるQ&A」「EDICOM‘94 資料:The Analysis and Realization of EDI
Benefit」より引用し一部修正しました。
-5-
Q6
物流EDIを導入するために、費用はどのくらいかかるのですか。
A.
物流EDI標準JTRN導入においては、JTRN自体に版権のようなもの
がある訳ではなく、仕様も公開されており、誰もが自由に使用できるものです。
一般的なEDI導入のコストは、固有フォーマットによるオンライン取引の
導入の場合と同様に、ケースバイケースで大きく異なります。従って、一律に
費用を算出することは困難ですが、以下の費用が最低限必要となります。
・EDIトランスレータ購入費
・通信ソフトウエア購入費
・モデム購入費
・VANを経由する場合はVAN加入費
・自社内のデータからEDIで使用するのに必要なデータのみを抽出す
る、また、EDIで使用しているデータを自社内のデータに変換する
ソフトウエア開発費
パソコン用のEDIトランスレータの価格は、10万円∼20万円ですが、
(社)日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が「高度物流情報化シス
テム開発事業(ALIS)」で、中小企業への物流EDIの普及を促進するた
めに開発を行った、物流EDI汎用トランスレータ「クロストラン」(XTR
AN)が、標準価格5万円(税別)で販売されています。下記のホームページ
で申込みを受付けています。
http://www.transport.or.jp/jrs/xtran/
また、EDIトランスレータ、通信ソフト、業務アプリケーション・ソフト
ウエア全てを一つのパッケージに収めたパソコン用「オールインワン・パッケ
ージソフト」や、EDIトランスレータと通信ソフトを収めた「EDI通信パ
ッケージソフト」などが、30∼90万円位で販売されており、これらのパッ
ケージソフトを活用すれば簡単にEDI取引を実施することができます。
最近では、国内の大手企業がEDI導入のツールとして上記のパソコン用パ
ッケージソフトを導入し、EDI部分をこのパッケージソフトに任せることに
より、社内オンラインシステムを大きく変更することもなく、安価にEDI取
引を実現しているケースも出てきています。
-6-
Q7 物流EDIは、固有フォーマットのオンライン方式に比べ、初期コストが
高くなるのではありませんか。
A.
最初に、固有フォーマットのオンライン方式を導入する場合を考えてみます。
(1)自社を中心とした独自オンライン方式の利用を取引先に要望する側
要望する側は、企業間の競争を勝ち抜くために、顧客サービスの向上とコ
スト削減を実現できるなど、費用対効果の面だけ見ると、短期的には少なか
らぬメリットを期待することができます。しかし、長期的に考えると業界全
体の体質を弱化させ、国際競争あるいは国内でも類似の業界との競争などで
遅れをとることになります。また、新たに海外の企業との取引を行うなどの
拡張性を乏しくする恐れがあります。
また、最近では、オープンではないネットワークによる取引は、海外から
非関税障壁であると見なされ、批判を受ける恐れもあります。
(2)他社(取引先)からの要望に合わせて、その都度、独自方式オンライン方
式に対応する側
取引先に合わせて対応する側は、一つの取引先とだけオンラインを実施す
るのであれば、物流EDIの導入の初期コストより安くオンライン化できる
場合もあり得ます。しかし、取引先が増える度に、その都度個別に自社シス
テムの一部を変更して対応しなければならず、結局多くの費用を払うことに
なります。また、方式毎に端末が並んでしまったり(多端末現象)
、各社の
データの様式を自社様式に変換しなくてはならない(変換地獄)ことにもな
ります。また、その都度、システム以外にも導入の手間がかかる上に、導入
後も取引先毎にオペレーションが違うことによる効率の悪さが残ります。
一方、物流EDI標準JTRNを採用することによって、1社とのEDIを
実施するようになれば、他の取引先とEDIを実施する際にもJTRNででき
るため、EDIの実施の拡大も容易にできるメリットがあります。
(財)日本情報処理開発協会 電子商取引推進センター発行「EDI導入に
かかわるQ&A」より引用し一部修正しました。
-7-
Q8 物流EDIのような標準を導入するのには、多大の労力とコストがかかる
のではないですか。
A.
物流EDIの導入コストは、独自のオンライン取引の導入コストに比べ大差
ありません。2番目以降の取引先との物流EDI導入においては、基本検討か
ら導入までのトータルコストは、物流EDIの方が安くなります。
一見、オンライン取引の場合に比べ、EDIトランスレータソフトのような
余分なものが必要に思われますが、全体のコストからすると微々たるものです。
しかも、EDIトランスレータソフトは、物流EDI用に5万円のものが発売
されるなど年々価格が下がってきています。
物流EDI標準が分かりにくくて、導入に苦労すると思われる方もいるかも
しれません。また、自社で今まで手がけていた独自のオンライン方式の方が慣
れているために、新たに物流EDIを勉強するのは煩わしいという方もいるか
もしれません。
新たな取引先とオンライン化をする場合に、取引先とどのようなデータをや
りとりするかに相当時間を費やしています。また、各データ項目が、どのよう
な意味なのかを一々確認しながら進める必要もあります。物流EDIを導入す
る場合は、物流EDI標準に定められたデータ項目をベースに議論すれば済み
ますのでデータ項目の確認が短期間で済みます。
物流EDIは決して難しいものではありません。仕組みさえ覚えてしまえば
簡単です。最初は慣れるまで少し手間がかかるかもしれませんが、慣れてしま
えば 2 番目以降の取引先に物流EDIを導入するときには、大変簡単に短期間
で、しかも低コストで導入が可能になります。
標準化による社会的コスト削減効果を、独自オンラインとEDIオンライン
による場合で、以下のように試算をしている例があります。
各社が独自でオンラインシステムを構築 EDIでオンラインシステムを構築
約3兆円
約15.5兆円
+
約 60 億円
(標準の規約等を共同で
開発するためのコスト)
出典:電子商取引推進センター「EDI導入の効果に係わる一考察」
(平成6年6月)
-8-
Q9 物流EDIの導入は、固有フォーマットのオンライン方式より期間が長く
かかるのではないですか。
A.
物流EDIの導入に要する期間については、個々の会社のEDI化の対象業
務・規模などにより異なると考えられますが、一般的に物流EDIに限らず、
EDIの導入の方が、固有フォーマットのオンライン方式より短期間に構築で
きると言われています。
まず、物流EDI標準JTRNでは、標準メッセージ、データエレメント、
データコードなど取引先と交換する情報内容のリストが標準集として用意さ
れています。この標準集を使用することにより、取引先と交換するデータ項目
などを迅速に取り決めることが可能となります。
次に、JTRNには導入に必要なツールがそろっていることがあげられます。
コンピュータが理解できるようにするための決まりごとを定めた「CIIシン
タックスルール」があります。そして複数の取引先を結ぶための共通語に相当
する標準メッセージが開発されています。CIIシンタックスルールは、平成
11年4月にJIS化され、JIS X7012として制定されています。
また、EDIには、電話回線、VAN、インターネットなどの様々なネット
ワークが使用可能です。
これらの標準集やツールなどを活用することにより、固有フォーマットによ
るオンライン構築に比べて安価に短期間にて構築が可能となります。
-9-
Q10
物流EDIを導入すると、人手は従来より増えるのではないですか。
A.
EDIの利点の一つに、一度作成したデータを取引の最初から最後まで有効
に活用できることがあります。これによりデータ入力の省力化ができるだけで
なく、入力のミス等による間違いが激減します。また、EDIを導入していな
い状況では、売上げ処理などで取引先との違算が発生し、この解明にはいずれ
の企業も多くの時間を費やしています。特に月次などの締めの日には、普段の
数倍の伝票処理が必要となり、残業が増えたり、ミスが多くなったりするよう
ですが、EDIを導入すると毎日一日分の伝票を確実に処理することができま
す。
物流EDIを導入した一方で、紙の伝票による取引が残っていれば、取引の
ための業務負担が増えるようにも見えます。しかし、取引で使われるデータの
量が多いところからEDI化していけば、上記で述べた効果が十分得られます。
また、既に物流EDIを実施している企業では、納期短縮、在庫の削減、業
務処理の正確性の向上などの効果を上げており、これらは企業体質の強化に結
びついています。
(財)日本情報処理開発協会 電子商取引推進センター発行「EDI導入に
かかわるQ&A」より引用し一部修正しました。
- 10 -
〔物流EDI導入〕
Q11 物流EDIの導入に際し、既存のシステムにどのような変更が必要にな
るのですか。
A.
物流EDIの導入に際して、既存システムに変更が生じるかどうかは、ED
Iで交換されるデータを社内でどのように活用するかによって変更の度合い
が変わってきます。
現在、個別フォーマットによるオンライン取引を行っていて、業務を全く変
えずにインフラ部分を物流EDIに変更するだけであれば、自社内のデータか
らEDIのためのデータを生成する、あるいはその逆を行うためのソフトウエ
アが必要になるくらいでしょう。しかし、EDIで交換されるデータを社内で
有効に活用するために、業務の見直しを行い、それに伴うシステム改修が生じ
ることが一般的です。むしろ、物流EDI導入に合わせて業務改革を行い、そ
れにより大きな効果が期待できる場合は、既存のシステムを大幅に見直すチャ
ンスでもあります。
従来は、コンピュータの更新の時に業務を見直し、関連プログラムを改良す
ることが行われてきました。これからは物流EDIを導入する機会に、業務を
見直し、会社の経営に貢献できる改革を行っていくことが求められることでし
ょう。
業務の見直し
- 11 -
Q12
物流EDIを導入するには、どんな手順で行えばよいのですか。
A.
取引先とのEDI化が決定し、物流EDI標準JTRNの導入を進めて行く
場合の手順について説明します。
(1)事前準備(取引先との調整)
・EDI化対象業務の範囲を決定。
EDIで交換するJTRNメッセージなどを決定します。
・使用するJTRNメッセージが決定したら、メッセージ毎に実際に使用する
データ項目(JTRNではデータエレメントと呼びます。)を選び出します。
例えば、運送依頼情報のデータ項目は270ありますが、この中から実際
に使用する項目を選択します。選択の際には、標準集に掲載の「JTRN導
入企業メッセージ事例集」が、大変参考になると思います。
なお、メッセージの中に必要な項目が見当たらない場合に、勝手に追加し
てはEDI標準では無くなります。使用項目がない場合は、「Q18」を参照
下さい。
・EDIトランスレータの決定。
購入するEDIトランスレータを決定します。
・運用ルールの決定
運用時間、異常時の処置方、費用分担などの運用ルールについて決定します。
・VANを経由する場合は、VAN加入手続きを行います。
・CII標準企業コードの取得申請を物流EDIセンターに行います。(Q1
7を参照下さい。)
既に、流通システム開発センターの「共通取引先コード」を取得していれば
このコードを活用できますので取得は不要です。
(2)システム開発、環境設定
・送信するためにトランスレータに渡すデータを抜き出す処理プログラム、あ
るいは受信したデータをトランスレータから受取ったあと加工処理をする
プログラムなどを開発します。
・トランスレータのインストール、通信ソフトウエアやモデムの設定、通信回
線(VANを経由する場合はVAN加入など)などの環境を設定します。
・自社内システムのデータ項目とJTRNメッセージのデータ項目との対応
テーブル(マッピングテーブル)の設定をトランスレータに対して行います。
(3)動作確認
自社内でのシステム動作確認(データ検証含む)終了後、取引先との接続テ
ストを行います。
- 12 -
Q13
物流EDIの導入には、どのくらいの期間がかかるのですか。
A.
物流EDIを導入に要する期間については、個々の会社のEDI化の対象業
務・規模などにより異なると考えられますが、実際に物流EDI標準JTRN
を導入した企業の方から以下のような事例が報告されていますので、参考にさ
れるとよいでしょう。
また、Q9も参照してください。
事例1.運送事業者A社の場合
・データ項目の選択については、固有フォーマットによる独自オンライン化す
る時には最低3回は打ち合わせが必要であったが、JTRN導入時では、J
TRNの標準メッセージから選び出すところから直ぐに入れたので、1回の
打ち合わせで決まってしまった。
事例2.倉庫事業者B社の場合
・営業マンに、物流EDI標準JTRNの標準集を持たせている。
・顧客との交渉にJTRN標準集は効果をあげている。
・JTRNでは、メッセージやデータコードなどが定められており、必要なデ
ータ項目を選び出す作業もスムーズにできた。
・数字では表せないが、固有フォーマットによる独自オンライン化よりも導入
期間は確実に短縮できる。
事例3.外資系商社C社の場合
・業務を標準化し、情報を電子データ交換し、相互に合理化を図るため、物流
EDIを導入した。
・運用に関しては完全自動化しており、入力ミスの解消や出荷指示書等のペー
パーレス化が実現できた。
・JTRN標準集によりスムーズに導入ができた。
・今後、他の物流事業者への展開が容易になる。
- 13 -
Q14 物流EDIは難しくややこしいと言われた。どのように説明すればよい
ですか。
A.
物流EDIに限らず、EDIは取引先と安く簡単にオンライン接続を行う道
具であり、決して難しいものではありません。
包丁であれば物を切ることを覚えれば良いし、金槌であれば釘を打つことを
覚えれば良いのと同じで、EDIもその使い方を覚えてしまえば誰でも簡単に
使いこなすことができる道具です。携帯電話の技術や構造を知らなくても使え
るように、EDIを知らなくても大丈夫です。
EDIトランスレータの使い方と物流EDI標準JTRN規格書(JTRN
標準集)の見方を覚えることがポイントでしょう。
コンピュータがデータエレメント(データ項目)を認識できるようにするた
めの決まりごとを定めた「CIIシンタックスルール」と、複数の取引先とを
結ぶための共通語に相当する標準メッセージ(JTRN標準集に記載)により、
物流EDI取引が実現可能となります。これらの決まりごとや、標準メッセー
ジの取扱いは、EDIトランスレータが全て行ってくれます。
物流EDIに特別な知識は必要ありません。従来の専用線による固定フォー
マットによるオンライン取引を既に実施されているのであれば、EDIを始め
るのに十分な知識をお持ちです。EDIトランスレータを導入すれば、オンラ
インシステムの導入より簡単に短期間でEDIは構築できます。
EDIには、電話回線、VAN、インターネットなどの様々なネットワーク
が使用可能です。
物流EDI標準JTRNは、通産大臣と運輸大臣の連名告示(連携指針)に
よって国内唯一の物流EDI標準として認定されていますので、安心して採用
できます。
また、EDIトランスレータを含め、EDIに必要なソフトウエアが一つに
パッケージされた「オールインワン・パッケージソフトウエア」も製品として
販売されています。
Data
このように物流EDIは決して特別なものではありません。Electronic Interchange という横文字による難しいという先入観を、本「Q&A集」をお
読みいただくことで、拭い去ることができるでしょう。
- 14 -
Q15
物流EDIを初めて実施するが、どこに相談すればよいのですか。
A.
あなたが所属する業界にEDI推進組織があれば、まずその組織に相談され
るのがよいでしょう。下記に、CII標準のBPID(業界標準メッセージを
開発している機関を表す記号)を取得している業界一覧を示します。
http://www.jipdec.or.jp/cii/BPID.html
(2002.2.25 現在)
業 界 団 体 名
BPID
登録年
1.(社)電子情報技術産業協会 EDIセンター
EIAJ
1989
2.石油化学工業協会
JPCA
1991
3.電気事業連合会
FEPC
1991
4.(財)建設業振興基金 建設産業情報化推進センター
CINT
1992
5.(財)住宅産業情報サービス
HIIS
1992
6.(社)日本鉄鋼連盟 鉄鋼EDIセンター
JISI
1992
(旧(社)鋼材倶楽部)
7.(社)日本電機工業会
JEMA
1992
8.(社)日本電線工業会
JCMA
1992
9.食品業界企業間情報システム研究会
VMDI
1992
10.(社)日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会
JDIY
1994
(旧ホームセンターシステム研究会)
(HOME)
11. 物流EDI推進機構
TRPT
1994
12.(社)日本ガス協会
JGAS
1994
13. 中小企業総合事業団 商品コード情報センター
TIRA
1995
(旧繊維産業構造改善事業協会)
14.(社)日本新聞協会広告委員会
NEWS
1995
15. 物流EDI推進委員会((社)日本ロジスティクスシステム
JTRN
1995
協会/(社)日本物流団体連合会物流EDIセンター)
16.(社)日本自動車工業会
JAMA
1996
17. 通信資材EDI推進部会
CPSD
1996
18.(社)日本広告業協会
WAVE
1997
19. 小型コンピュータ業界EDI取引委員会
HWSW
1998
20.(社)日本アルミニューム協会
JALF
1998
(旧(社)日本アルミニウム連盟)
21. 石油連盟
PAJE
1999
22.(社)日本航空宇宙工業会
SJAC
1999
23.(社)電信電話工業協会
TFCA
1999
あなたが、物流事業者であれば、(社)日本物流団体連合会物流EDIセンタ
ー(電話 03−3593−0139)へご連絡下さい。
技術的サポートなどについては、適したコンサル会社を紹介します。
- 15 -
Q16
中小企業でも物流EDIを導入しなければならないのですか。
A.
物流EDI標準JTRNは、大手事業者用の標準ではありません。全産業、
全事業者向けに開発されたEDI取引のためのツールです。
物流EDI導入のメリットも大手でも中小でも変わりありません。
データ量の関係等で、初期投資、運用費用を出来るだけ抑えることを考える
でしょう。これら中小企業者の要望に応えて、安価なトランスレータや必要な
ソフトウエアを全て一つに納めたパソコン用パッケージソフトなどが販売さ
れているなど、JTRNを取り巻く環境も整いつつあります。
また、インターネットを利用したEDIの登場など、新しい技術によってE
DIに必要な通信コストも年々下がってきています。
EDI取引の普及している米国では、EDIでないと取引をしないという企
業も出てきています。日本でもすでにそのような企業が出てきています。今後、
情報インフラとしてEDIが行き渡ってくると、同じような状況が多く現れて
くると考えられます。EDIに対応しないでいると、競争力を弱めることにな
りかねません。
物流EDIを推進している団体の主催で、物流EDI標準JTRNに関して
のセミナーが毎年開催されています。JTRNの解説やJTRNを導入した企
業の事例紹介などを中心に行なわれていますので、これらに一度参加されると
理解を深められることでしょう。
仕事の効率悪く
て、残業残業・・・
EDIで効率
アップ
デートの時間
も増えました
EDI未導入会社 EDI導入会社
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Q17
標準企業コードは、どのように取得すればよいのですか。
A.
当物流EDIセンター内に登録管理センターを開設し、標準企業コードの登
録・割引サービスを開始しました。当センターに連絡ください。
(1)標準企業コードの体系
標準企業コードの体系は、下図のように6桁の企業識別コードと、最大6桁
の枝番で構成されています。
企業識別コードは、当物流EDIセンターから発番しますが、枝番6桁は、
各企業が、支店・営業所・部署等の単位で自由に設定することができます。
なお、標準企業コードは、(財) 流通システム開発センターが管理している流
通業界の「共通取引先コード」とは別のものです。ただし、共通取引先コード
も標準企業コードとしても使用できるように配慮されています。
(2)標準企業コード登録料
物流EDIセンター会員は、3年間5,000円(資本金1億円以下)の大
幅割引で標準企業コードが取得できます。(従来は20,000円)
会員区分
資本金
日本物流団体連合会/物
流EDIセンター会員
日本物流団体連合会会
員・賛助会員
日本物流団体連合会員で
ある各関連団体の会員
その他
資本金1億円以下
資本金1億円超
資本金1億円以下
資本金1億円超
資本金1億円以下
資本金1億円超
資本金1億円以下
資本金1億円超
登録(更新)料
円(消費税別)
5,000
10,000
8,000
15,000
8,000
20,000
20,000
40,000
(3)標準企業コードの登録・受付
標準企業コードを登録するには、物流EDIセンターのホームページ上から入
手できる申込書により申請するか、物流EDIセンターへ連絡し申請書を入手し
ます。詳細は、以下のホームページURLを参照してください。
http://www.transport.or.jp/edi/index.html
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Q18 物流EDI標準JTRNに必要なデータ項目が無い場合は、どうすれば
よいのですか。
A.
物流EDI標準JTRNの開発・維持管理団体である「物流EDI推進委員
会(LEDIC)」では、CII標準を管理している(財)日本情報処理開発
協会/電子商取引推進センターの「データタグ委員会」よりタグ番号枠の割当
を受け、JTRN標準メッセージを構成するデータエレメントに対し一元的に
タグ番号を付与して標準メッセージの開発・保守管理を行っています。
JTRN標準メッセージのデータエレメントを勝手に追加したり変更したり
しますと、EDI実施時にタグ番号の重複等が発生し、正常なデータ交換が行
えない事態が発生します。
JTRNの各標準メッセージは、現時点で必要と思われるデータエレメント
を全て網羅して作られています。従って、対応するデータエレメントが見当た
らないときは、再度、そのデータエレメントが本当に必要なのか、代用できる
データエレメントはないのかを検討して下さい。
但し、無理矢理に別の意味のデータエレメントを使用することはしないで下
さい。
どうしてもエレメントが不足する場合には、所属の業界団体等を通じて、下
記の物流EDI推進委員会事務局までデータエレメントの追加申請をして下
さい。届け出無しに勝手に、データエレメントを追加したり変更したりして使
用することはできません。
【物流EDI推進委員会(LEDIC)事務局】
社団法人 日本ロジスティクスシステム協会
〒105-0013 東京都港区浜松町1−10−14 住友東新橋ビル3号館
電話 03−3432−3291
FAX 03−3432−8681
社団法人 日本物流団体連合会 物流EDIセンター
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3−3−3 全日通霞が関ビル
電話 03−3593−0139
FAX 03−3593−0138
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Q19
物流EDI導入の技術的サポートは、どこから受けられるのですか。
A.
物流EDIに限らず、EDIの導入については、VAN事業者、トランスレ
ータを開発・販売しているベンダー、ソフト会社などがサポートをしています。
CIIが認定した推奨トランスレータ製品の一覧と問い合わせ先については、
物流EDI標準JTRNの規格書、または下記のホームページをご覧下さい。
http://www.jipdec.or.jp/cii/CII_Translator.html
また、(社)日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が「高度物流情報
化システム開発事業(ALIS)」において開発した「クロストラン」(XTRAN)
については、下記のホームページで申込みを受付けています。
http://www.transport.or.jp/jrs/xtran/
物流EDI標準JTRN(ジェイトラン)を導入する場合、メッセージやデ
ータコードなどの規格書(標準集)に関することは、下記にお問い合わせ下さ
い。
物流EDI推進委員会(LEDIC)事務局
(社)日本ロジスティクスシステム協会 TEL 03-3432-3291
(社)日本物流団体連合会/物流EDIセンター TEL 03-3593-0139
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Q20
データ量が多い場合、トランスレータによる変換に時間がかかるのでは
ないですか。
A.
トランスレータは、ユーザデータを標準メッセージに変換したり、逆変換し
たりするパッケージソフトです。
データを変換するに要する時間は、トランスレータの性能によって違いはあ
るものの、既に実用化している大手事業者で使用され、多量のデータ交換にも
耐えうる性能を有していることが証明されています。通常の取引でやり取りさ
れるデータ量であれば何ら問題はないと言えるでしょう。
むしろ、「変換後の取引先との通信においての伝送速度が遅くて、大量のデー
タ交換に時間がかかる。」といった話の方が多く聞かれます。
最近は高速伝送路も普及してきて、この問題も解決されてきています。
トランスレータを選択する際には、CIIが推奨しているトランスレータか
ら選ぶとよいでしょう。次のCIIのホームページに掲載されています。
http://www.jipdec.or.jp/cii/CII_Translator.html
また、(社)日本ロジスティクスシステム協会(JILS)が「高度物流情報
化システム開発事業(ALIS)」において開発した「クロストラン」(XTRAN)
については、下記のホームページで申込みを受付けています。
http://www.transport.or.jp/jrs/xtran/
トランスレータの仕組み
ユーザファイル
自社業務
プログラム
標準メッセージ情報
中間ファイル
マッピング情報
EDI
トランスレータ
変換
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標準メッセージ
通信
プログラム
Q21
物流EDIにインターネットは利用できるのですか。
A.
物流EDIに限らず、企業間のコンピュータを結ぶネットワークニーズは、
オープンな方向へと確実に変化してきています。
現在、コンピュータ通信の世界では、TCP/IPが標準となっていますが、
インターネットの普及によりWWWや電子メールのようにアプリケーション
の分野でも標準化が進み、ソフトウエアコストの低減、操作性の統一による利
便性の向上が図られています。
EDIでは、様々なネットワークが使用可能です。勿論インターネットも利
用可能ですが、その特徴を理解して利用することが必要です。
インターネットは、不特定多数のIPネットワークが、有機的に結合したネ
ットワークであり、最もオープン性が高いのですが、セキュリティやエンドユ
ーザ間の通信品質(スループット、遅延など)確保に対策が必要です。
インターネットでは、エンドユーザ間の通信は、複数のIPネットワークの
最適経路で行われ、その経路をエンドユーザがコントロールすることは不可能
で、その経路上でセキュリティが犯される危険性があります。
セキュリティ対策として、自社ネットワークへの不正侵入を防ぐためのファ
イアウォールの設置や盗聴・改ざんに対処するための暗号化などが必須になり
ますが、これらの対応費用も安価にできるようになってきています。
通信品質の問題は、インターネットを使用する以上避けられませんので、そ
の状況を理解した上で利用することが必要です。また、インターネットの弱点
を補った専用のルータやフレームリレーで構成された「セキュアードIPネッ
トワーク」と呼んでいるサービスを利用して通信品質を確保する方法もありま
すが、利用コストはインターネットより高くなります。
インターネットは大変注目されている通信インフラですが、現在のところは、
上記の状況を理解した上で利用することが必要です。
これらの課題も、今後、早急に改善されていくものと思われます。
また、注目されている技術の一つとして、XML(eXtensible Markup
Language)があります。これは、インターネット上で文書やデータを交換す
るためのマークアップ言語としての事実上の標準です。このXMLで記述した
データで交換するXML/EDIが実用化に向けて研究が進められています。
XML処理のための基本ツールも無料で入手することができますし、CII
標準をXMLに展開するガイドラインも(財)日本情報処理開発協会/電子商
取引推進センター(JIPDEC/ECPC)から発表されています。
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Q22
物流EDIの導入事例はどのくらい進んでいるのですか。
A.
CII標準企業コードを取得している企業は、下図の通り年々増加し、20
02年4月15日現在で12,700社になりました。
これらの企業は、主として受発注にEDIを活用していますが、物流EDI
の潜在ユーザと見なすことができます。
しかし、物流EDIを導入している企業数は、残念ながら正確には把握され
ていません。
物流EDI推進委員会や経済産業省などでアンケート調査を実施し、把握に
努めています。
また、個別企業においても、受発注EDIの普及に伴って取引先事業者との
間でJTRNの導入を検討している企業が増えてきており、今後ますます導入
企業数の増加が加速していくものと思われます。
物流EDI推進委員会が行った物流EDIの導入調査については、当物流E
DIセンターがとりまとめております報告書に詳細が報告されています。下記
に問い合わせ下さい。
(社)日本物流団体連合会/物流EDIセンター
電話 03−3593−0139
14000
12000
登録数
10000
8000
6000
4000
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
1996年
1995年
1994年
1993年
1992年
1991年
1990年
0
1989年
2000
(データ提供:JIPDEC/ECPC)
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Q23
行政は物流EDIにどのように取り組んでいるのですか。
A.
平成9年4月、「総合物流施策大綱」を政府が閣議決定したことを受けて平
成9年6月に、通商産業大臣と運輸大臣の連名で、「国内陸上貨物取扱及び輸
送・保管の分野における連携指針」が告示されました。この中での、
「物流E
DI標準JTRNを積極的に活用していくことが必要であり、EDIのより一
層の普及と電子商取引化に向けての環境整備を図っていく必要がある。」との
提言に基づいて、物流EDIの普及へ向けて各方面から積極的な取り組みが実
施されました。
この「総合物流施策大綱」の目標年の到来を迎えた平成13年7月には、こ
れまで実施されてきた施策の成果を評価し、新たな目標を定めた「新総合物流
施策大綱」がとりまとめられ閣議決定されました。この中で、物流EDIにつ
いては、「インターネットに対応可能な構造(拡張可能なマーク付け言語(X
ML)に対応可能な構造)である国内物流EDI標準(JTRN)の普及実態
を業種横断的に把握しつつ、その普及に努めるとともに、国際物流に関しても、
標準EDIの普及に努める。−以下省略−」との提言が記述されています。
総合物流施策大綱策定後に活動が行なわれている代表的なプロジェクトを
紹介します。
・高度物流情報化システム開発事業(ALIS)
本事業の中で、物流EDIに関連するものとしては、輸送ラベルの標準化、
JTRN対応UN/EDIFACTメッセージの開発、JTRN汎用トランス
レータ「クロストラン」(XTRAN)の開発などが行われました。
・先進的物流システム開発事業(LATS/LEDIS)
情報通信技術の活用により効率的な物流体制を構築し、ロジスティクスの最
適化を図るため、輸配送および物流EDIに関わるシステム開発と実地検証な
どの事業が行われました。
・物流総合情報の提供システムに関する調査・研究
トラック、鉄道、フェリー、RORO船、航空の各輸送分野において、種々
の共有情報を提供するシステムを想定し、行政上の諸課題を把握するとともに、
システムが保有する情報の種類や機能・システム化の推進/運用方法について
調査・検討が行われました。JTRNを基にデータエレメントの検討も行われ
ました。
この他にも、いくつものプロジェクトで様々な取り組みが行われています。
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Q24
物流EDI導入の融資制度や助成制度はあるのですか。
A.
物流EDI導入の融資制度では、平成5年に日本開発銀行が始めた「EDI
融資制度」があります。これは、高度情報化社会の基盤整備のために、EDI
構築プロジェクトなどに対して、日本開発銀行が対象工事費の40%程度を融
資する制度です。
平成11年10月1日、日本開発銀行と北海道東北開発公庫の業務を継承し
て、「日本政策投資銀行」が発足しました。日本政策投資銀行では上記融資制
度を改め、「電子商取引促進融資」制度を行っています。
本制度は、電子商取引を行うに当たって必要となる情報処理・通信システム
の整備、情報処理の高度化に資する基盤の整備に対して、対象事業費(通信制
御機器、サーバー、パソコンなどの設備資金やプログラムの開発費、ソフトウ
エアの購入費などの非設備資金)の40%(金額の上限なし)を低金利(政策
金利)にて融資するものです。融資例として、「サイバーモールの立ち上げ・
運営のための設備費用」、「EDIの導入費用」などが紹介されています。
対象事業者は、上記事業を行う企業であれば、事業者の業種の限定はありま
せん。日本政策投資銀行の東京の窓口は次の通りです。
日本政策投資銀行 本店情報通信部 電話 03−3244−1660
ホームページ http://www.dbj.go.jp
2つ目の助成制度として、経済産業省が平成11年4月から実施している
「EDIシステム導入促進税制」という制度があります。
本制度は、かねてから中小企業に対して行われてきました「中小企業等基盤
強化税制」に加えて、卸・小売業に属する大規模法人(資本金1億円以上)に
おいても適用期間内に取得したEDIシステム(高度販売・取引情報管理通信
設備)の取得価額の50%の7%の税額控除または、30%の特別償却(リー
ス費用総額の60%相当額の50%の7%の税額控除)といったことが認めら
れました。物流EDIについてもその対象範囲に含まれています。
なお、本制度の適用期間は、平成11年4月1日から平成13年3月31日
までの間となっていましたが、基礎となっている「中小企業等基盤強化税制」
が2年間延長されたことから、本制度も平成15年3月まで延長されています。
またこの他にも、各種補助金・融資・税制処置の制度が設置されるなど、多
方面で物流EDI導入に対する支援が行われています。
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Q25
物流EDIを推進している団体はどこですか。
A.
物流EDI標準「JTRN」(ジェイトラン)は、物流EDI推進委員会
(Logistics EDI Committee)
(略称LEDIC)が管理をしています。
物流EDI推進委員会(委員長;北澤博長野大学名誉教授)は、
(社)日本ロ
ジスティクスシステム協会と(社)日本物流団体連合会/物流EDIセンター
が共同で事務局を運営しています。
物流EDI推進委員会を中心に、
(社)全日本トラック協会、(社)日本倉庫
協会、(社)日本冷蔵倉庫協会などの物流事業者が所属している団体が、物流
EDIを推進しています。
また、(財)流通システム開発センターでは、流通EDI標準(JEDICO
S)の物流メッセージの開発を行っています。
更に、(社)電子情報技術産業協会、石油化学工業会がJTRNを早くから採
用しており、業界としてもJTRNを推進しています。
平成11年度には、(社)日本アパレル産業協会や(社)日本電線工業会など
の各業界で物流EDI標準JTRNの導入を進められました。今後、他の業界、
団体が物流EDIを導入していくことが期待できます。
運送事業者
物流EDI推進委員会
倉庫事業者
(LEDIC)
荷主企業
荷主企業
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