...

受益および最終支配者の開示

by user

on
Category: Documents
16

views

Report

Comments

Transcript

受益および最終支配者の開示
受益および最終支配者の開示
概観
2016年4月6日から、英国の全ての会社および有限責任
パートナーシップ(「LLP」)は(免除対象でない限りー下
記参照)、重要支配者(「PSC」)の名簿を新たに作成、維
持管理し、(2016年6月30日以降は)公に開示しなけれ
ばなりません。この名簿はつまるところ、英国の企業に対
し(直接または間接に)重要な影響力または支配力を行
使する人物を明確にするものです。新たに定められたこ
の要件の遵守は義務であり、不遵守は刑事犯罪で罰金
や最高2年の禁固刑の対象となります。
適用対象
名簿
これらのルールは幅広く適用されます。構造上英国の会社
またはLLPを擁するグループは全て、英国(またはそれに匹
敵する取引所)での上場による免除対象でない限り、対応
措置をとる必要があります。たとえ親会社が英国(またはそ
れに匹敵する取引所)で上場していて既に開示義務を負っ
ていても、英国子会社は全て対応措置をとらなければなりま
せん。
英国の会社およびLLPは2016年4月6日以降、各々PSC名
簿を作成しなければなりません。

各PSC名簿には、PSCについての情報を一定の個人デ
ータ(例えば氏名、住所、生年月日、国籍など、企業の
場合もそれに相当する詳細情報)も含めて記し、その支
配の性質と程度に関する情報も含めます。

PSCに関する情報が見つからない場合でも、名簿を空
欄のままにしておくことはできません。開示の際は名簿
の表に、妥当な手段を講じたにもかかわらず条件を満
たす者を特定できなかった旨を表示しなければなりませ
ん。

規則ではPSC名簿に記載すべき文言を指定しており、
英国の会社やLLPは開示内容を裏付ける分析結果を
保持しておかなければなりません。
対応期限
2016年4月(英国)

PSC名簿を作成
2016年6月30日から
(英国)

PSCの情報をカンパニー
ハウスに登記
2017年6月(EU)

加盟国が最終受益所有者
(UBO)の集中管理名簿を
作成
必要な対応
 必要な対応英国の会社およびLLPは、重要な影響力ま
たは支配力を有するとわかっているか思われる人を全
て特定するために、「妥当な手段」を講じなければなりま
せん。PSCが特定できなければ、特定するために妥当
な手段を講じたことを証明しなければなりません。
 講じるべき「妥当な手段」は必要な情報を入手するため
にPSCその他へ通知するなどの対応が必要になりま
す。場合によっては英国での投資に対して自己の権益
に関する制限を科す必要があるかもしれません。
 PSC自身は英国の会社またはLLPに対し、受け取った
通知に応えるか該当情報を伝える形で、関連情報を提
供する積極的義務があります。
公開
2016年6月30日以降、英国の会社およびLLPは自社PSCの
詳細を、新たに導入される年次確認書(現行の年次報告書
に取って代わります)に記載し、カンパニーハウスへ提出し
なければなりません。
UBOないしPSCに関する情報の特定と登記に関しては、英
国法によるのと同様の義務が、第四次マネーロンダリング指
令の国内法化の際に他のEU加盟国の規則にも含められま
す。この国内法化は2017年6月までに行われなければなり
ません。
英国の会社およびLLPにとってこれらのルールの遵守は任意で
はなく、不遵守は深刻な結果を招きます。
保有が「間接」かどうかを理解するには、個人が法人の「過半権
益」を保有するか否かの分析が必要です。保有は一連の企業を
経由する場合もあります。後ほどいくつかの例を図示しますの
で、ご参照ください。
全ての英国の会社およびLLPが対応措置をとる必要があり、
PSCが特定されなかったとしても、措置の証拠を残す必要があり
ます。
個人や関係する法人は、次のいずれかが該当すれば、この目
的上の「過半権益」を有すると考えられます。
潜在的な結果
この新ルールを遵守しなければ当該英国企業の取締役および
PSCの刑事犯罪となり、無制限の罰金や最高2年の禁固刑に処
される恐れがあります。

中間支配者における議決権の過半数を保有している

中間支配者の構成員で、その取締役の過半数を任免でき
る
さらに、PSCが英国の会社またはLLPからの通知に応じなけれ
ば、自己の権益に関する制限(例えば配当や利益配分の受領
阻止など)を受ける場合もあります。

中間支配者の構成員で、他の株主ないし構成員との合意
により、議決権の過半数を単独で支配している

中間支配者に対して支配的な影響力または支配力を行使
する権利を有するか、実際に行使している
PSCの条件
個人または企業がPSCになるには、5つある主な基準のうち少な
くとも1つを満たさなければなりません。
PSCとは– 条件
PSCは、次の条件の1つ以上を満たす個人です。
1
直接または間接に株式の25%超を保有している
2
直接または間接に議決権の25%超を保有している
3
直接または間接に取締役の過半数の任免権を保有して
いる
4
その他によって重要な影響力または支配力を行使する権
利を有するか、実際に行使している
5
法人でないトラストまたは会社で仮に個人であれば最初の
4条件のいずれかを満たすであろうものの活動に対して、
重要な影響力または支配力を行使する権利を有するか、
実際に行使している
「重要な影響力または支配力」は制定法指針書で定義していま
すが、同書に挙げられた例は網羅的なリストではありません。そ
こで、誰が「重要な影響力または支配力」を行使している、もしく
は行使する権利を有しているかを理解するには、ケースバイケ
ースで詳細な検討と分析が必要になります。
ポイント

英国の会社やLLPは、すでに最終受益所有者に関する情
報開示を義務づけられていますが、今回の開示義務は対
象者の範囲が広くなる制度になっています。

受益所有者の開示は、企業に対して重要な影響力または
支配力を有する人物も含むと定義されています。

「重要な影響力または支配力」は指針書で定義されていま
すが、網羅的なリストはなく、誰がこれにあたるかは個々の
事実関係によります。

今すぐ行動しなければならず、英国法人はPSC名簿の作成
と維持管理に必要な社内プロセスを整備すべきです。

新しい開示ルールを遵守しなければ、その英国企業の取
締役とPSC自身の犯罪になるという深刻な結果を招きかね
ません。
当社でお手伝いできること
当社には、クライアントが新要件を理解し遵守できるよう支援す
るための知識、経験、ツールがあります。非公開企業へのサー
ビスを専門とする当社の税・法務専門家グローバルネットワーク
は、クライアントのPSC特定に役立つ独自のPSCツールを開発し
ました。
クライアントが今すぐとられる以下のような対応措置を、お手伝い
することができます。

PSCと該当法人を特定するための分析と、開示する情報の
収集と確認

PSC名簿の作成・記載

確認書の作成とカンパニーハウスへの登記

PSC名簿、他の法定名簿、他の会社帳簿・記録の維持管理
のため、継続的な統治・コンプライアンスサービスを提供

継続遵守のために、内部統治・統制を整備
PSCの例
以下に、PSC名簿で開示すべき人物の特定に関して実際的なシナリオをいくつか挙げます。
シナリオ1
シナリオ2
UK plc
日系企業
(listed)
(日本上場企業)
Individual
個人 H H
PSC
PSC
PSC名簿に記載
On
the PSC register
Conditions
条件(i)から(v)
On the PSC register
A社のPSC名簿に記載
of Company A
Majority stake
過半権益条件
conditions
(i) to (iv)
(i)から(v)
(i) to (v)
Company A
A社(英国)
(UK)
Company
B社(日本)B
(non-UK)
Conditions
条件(i)から(v)
(i) to (v)
Company
A
A社(英国)
(UK)
シナリオ3
シナリオ4
Trustees
on the PSC register
受託者をB社の
of Company B
PSC名簿に記載
Trusts non-uk
非英国トラスト
Company B
B社(英国)
(UK)
Conditions
(i) to (v)
Individuals
個人
Conditions
(i) to (v)
条件(i)から(v)
・保護者
• Protector
・委託者
・受益者
• Settlor
• Beneficiaries
A社のPSC名簿に
On
the PSC register
of Company
記載 A
PSC登録
Potential PSC
の可能性
registration
Company A
30%
Company
C社 C
(non-UK)
(日本)
Conditions
条件(i)から(v)
(i) to (v)
51%
B社 B
Company
(UK)
(英国)
(i) to (v)
A社(英国)
(UK)
Individual
D on the PSC
個人DをB社のPSC
register
of Company B
名簿に記載
Majority stake
過半権益条件
conditions
(i) to (iv)
(i)から(v)
Conditions
条件(i)から(v)
条件(i)から(v)
Individual
個人B
B
70%
Company C
C社(日本)
(non-UK)
Individual
個人D
D
40%
A社 A
Company
(UK)
(英国)
Company
B on the PSC
B社をA社のPSC名
register
of Company A
簿に記載
お問い合わせ
PwC法務
John Amberton
Matthew Timmons
企業統治・コンプライアンス
ディレクター
コーポレート
パートナー
電話:+44(0)20 7804 6561
電話:+44(0)20 7212 1111
メール:[email protected]
メール:[email protected]
Georgina Milis
Catherine Davey
企業統治・コンプライアンス
シニアマネージャー&事務弁護士
企業統治・コンプライアンス
シニアマネージャー&事務弁護士
電話:+44(0)20 7212 1635
電話:+44(0)20 7212 2731
メール:[email protected]
メール:[email protected]
本文書は専ら関心事項に関する一般的なガイダンスとして作成されたものであり、専門的なアドバイスには該当しません。本文書中の情報を基に、具体的な
専門的アドバイスを得ることなく行為すべきではありません。本文書中の情報の正確性や完全性については何らの表示または保証(明示または黙示)もして
おらず、法律で認められる限り、PricewaterhouseCoopers Legal LLPおよびそのメンバー、従業員、代理人は、御社や他の何者かが本書中の情報に依存して
行った作為または不作為のいかなる結果についても同情報に基づいて下したいかなる決定についても、一切の賠償責任、責任、注意義務を受け入れず、負い
ません。
© 2016年 PricewaterhouseCoopers Legal LLP 全権留保 PricewaterhouseCoopers Legal LLPはPricewaterhouseCoopers International Limitedのメンバー
です。PricewaterhouseCoopers International Limitedの各メンバーファームは別法人です。
160405-112612-JK-OS
Fly UP