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JCOMM2014 帯広 企画セッション:ММと健康 交通行動・身体活動と健康 25 July 2014 東京医科大学公衆衛生学分野 井上 茂 内容 • 身体活動の健康効果・現状 • 協働の重要性 身体活動の効果 • Strong evidence of reduced rates of – – – – – – – – – – All-cause mortality: 死亡率 Coronary heart disease : 冠動脈疾患 High blood pressure : 高血圧 Stroke : 脳卒中 Metabolic syndrome : メタボリック症候群 Type 2 diabetes : 2型糖尿病 Breast cancer : 乳癌 Colon cancer : 結腸癌 Depression : うつ病 Falling : 転倒 • Strong evidence of – – – – – Increased cardiorespiratory and muscular fitness : 体力 Healthier body mass and composition : 体組成(肥満) Improved bone health : 骨の健康 Increased functional health : 身体機能 Improved cognitive function : 認知機能 Lee IM, et al. Lancet. 2012;380(9838):219-29, 井上茂. 新潟市医師会報, No152, 2-9, 2013 身体活動量と死亡のリスク (ハーバード大学卒業生16,936人を対象としたコホート研究) Relative Risk of All Cause Mortality 1.2 1.0 0.8 0.6 0.4 0.2 0.0 -500 500- 1,000- 1,500- 2,000- 2,500- 3,000- 3,500- Physical Activity (kcal/wk) Paffenbarger RS et al, N Eng J Med 314:605-613,1986 死亡の相対危険度は? • Lancet:MVPA 150min/wk – 調整前:1.47、調整後:1.28 • Physical Activity Guidelines Advisory Committee Report 2008 – 非活動的な者は活動的な者( MVPA 150min/wk )と比較 して約30%死亡率が高い • 健康づくりための身体活動基準2013 – 6.6METs*hr/wk≒ 120min/wk: 0.861 – 22.4METs*hr/wk≒ 400min/wk: 0.833 – 46.4METs*hr/wk≒ 850min/wk: 0.787 • 健康日本21/Paffenbarger et al. N Engl J Med 986;314:605613 – 2000kcal/wk未満 (vs 2000kcal/wk以上): 1.31 身体活動のガイドライン • 日本:健康づくりのための身体活動基準2013 – 23METs・時/週 =毎日60分の中強度以上の身体活動 =毎日8000から10000歩程度 • WHO、アメリカなど – 毎日30分以上の中強度以上の身体活動 ≒週150分以上の中強度以上の身体活動 死亡の原因 Physical inactivity is the forth leading cause of death 1. High blood pressure 2. Tobacco use 3. High blood glucose 4. Physical inactivity 5. Overweight and obesity 6. High cholesterol 7. Unsafe sex 8. Alcohol use 9. Childhood underweight 10. Indoor smoke from solid fuels Global health risks. Geneva: WHO, 2009 喫煙と身体的不活動のBurden 集団としての効果=不活動の危険性×不活動な人の割合(人数) =相対危険度×曝露者の割合(人数) CP Wen, et al. Lancet. 2012;380(9838):192-3 通勤手段と生活習慣病 Lindström (2008): スウェーデン公衆衛生調査2004 OR of being overweight or obese (95%CI) Men (n=7,955) Women (n=8,750) Driving 1.00 1.00 Walking/bicycling 0.69 (0.60, 0.79) 0.80 (0.70, 0.91) Public transport 0.72 (0.61, 0.86) 1.01 (0.87, 1.17) 調整要因:年齢、出身国、教育、片道通勤時間 Hamer & Chida (2008): 8つの前向き調査のメタ分析 (N total=173,146) 活動的な通勤手段の者で生活習慣病のリスクが9%軽減 Lindström M. Prev Med. 2008;46:22–28; Hamer M, Chida Y. Prev Med.2008;46:9–13 車に乗る時間が長いと・・ Frank et al. (2004): Travel survey data in Atlanta (N=10,878) 1時間運転時間が延びると肥満のリスクが6%上昇する 1km余計に歩く人では、肥満のリスクが5%軽減する Bell et al. (2002): Cohort data of Chinese adults (N=4,741) 自動車を購入した家庭では、そうでない家庭と比較して、 男性で1.82 kg 女性で0.02 kg 体重増加幅が大きかった。(1989-1997年) Frank LD, et al. Am J Prev Med. 2004;27:87–96; Bell AC, et al. Obes Res. 2002;10:277–283 生活習慣病対策の主要な政策 • 健康日本21 – 健康増進法第7条に基づいて、国民の健康を増進するた めに厚生労働大臣が策定する基本方針 – 基本方針に基づいて、都道府県は都道府県健康増進計 画を定める – 基本方針に基づいて、市町村は市町村健康増進計画を 定めるように努める • 第一次健康日本21(2000-2013)、第二次健康日本21(20132023) 1日平均歩数の推移(20歳以上) 歩/日 10,000 健康日本21スタート 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 男性 女性 4000歩/日未満と1万歩/日以上の割合(20歳以上) % 35 30 25 20 15 10 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 男性 4000歩未満 男性 10000歩以上 女性 4000歩未満 女性 10000歩以上 原因として注目されている社会環境の変化 近年、肥満が急激に増加している。その大きな原因は環境、 すなわち、過食と身体的不活動を促進する環境によっている 写真 歩いて買い物に出かける 商店街の風景 写真 大型商業施設が並ぶ バイパスと自動車の風景 Hill O, Peters J, SCIENCE : VOL. 280 : 29 MAY 1998 Heart Foundation of Australiaの都市計画ガイドライン The built environment and walking 移動歩行は一貫して以下の要因と関連している ・商店や公共交通等の目的地への近接性 ・混合土地利用度の高い都市計画 ・道路ネットワーク ・人口密度 ・Walkability(通常上記の要因の関数) 余暇歩行は一貫して以下の要因と関連している ・海岸、運動施設、公園へのアクセス ・歩行者インフラ ・景観 小児の歩行は以下の要因と関連している ・公園への近接性 ・歩行者インフラ ・交通安全 ・両親の影響 歩行を推進する町づくりと関連すること ・都市計画、土地利用政策(土地利用区分の規制、道路の接続性、住居およ び雇用密度) ・街路レベルのデザイン・土地利用政策(街灯、安全な横断歩道など) ・国、地方自治体レベルでの政策と都市計画ガイドライン Heart Foundation position statement 2009, 井上茂: 保健の科学, 54(10):666-671, 2012 特集:買い物難民(読売新聞) 読売新聞特集 買い物難民 読売新聞特集 買い物難民 大型店も撤退 高齢者悲鳴 スーパーへ「タクシー使うしか」 生鮮食品 入手しづらく 缶詰、冷凍食品でしのぐ高齢者 (茨城県水戸市) (群馬県渋川市) 2009年6月読売新聞 協 働 • 「健康」の問題は保健部門の課題に限らない • 多分野の協働が必要 – 保健 – 都市計画 – 都市交通 – 教育 – 農政 – ・・・ 長野県東御市建設課都市計画係との意見交換 WHOの新たな施策:Health in all policies, 2010 ・健康の社会的決定要因を重視 ・あらゆる政策に健康を ・協働の重要性 都市計画、交通、経済、教育、 安全、農業など http://www.who.int/social_determinants/en/ 協働の障壁は? • どうすれば、お互いにメリットの感じられる「協働」が できるのか? • 研究手法の違い? <健康から> – population全体で評価することの重要性 – 対照群の必要性、対照群を作れない場合の評価 方法、報告の透明性 <交通から?> – 費用対効果の分析、問題意識