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大山ダム - 独立行政法人 水資源機構
Ⅴ ダムの特徴 ①ゲートレスダムです 【ダム天端(ダム頂上)にゲートが無いこと】 大山ダムは、流域面積が小さいため降雨があればすぐにダムに増水した水が流入します。素早く 確実に洪水調節を行うため、ゲート操作を無くした自然調節方式を採用しています。 ※表紙の写真が、常用洪水吐(からの放流状況です。 ②水質保全対策を行っています 選択取水設備 流入水バイパス 1)流入水バイパス施設 流入した水を直接、ダムよりも下流まで 導水して放流する施設です。ダムの環境負 荷の軽減になります。(温水放流対策等で 運用しています。) 2)曝気循環設備 プランクトン増殖を抑制することにより 水質障害対策を目的とした施設です。(主 に夏から秋に運用しています) 曝気循環設備 洪水時最高水位 (EL.259.0m) 平常時最高貯水位 平常時最高水位 (EL.245.0m) 最低水位 (EL.206.2m) 3)選択取水設備 ダムの底部は、年間をとおして10℃以下 の水が溜まっています。放流するための取 水口を上下して、水温や水質の良い深さに 調節して運用しています。 取水堰(流入水バイパス施設) 運転模式図(曝気循環設備) フロート 15m 赤石川 夜景(烏宿山) ダム全景 ダムと太陽 散気管 重り ③自家用の水力発電をしています 大山ダムは、常時毎秒0.8立方メートルを下流に流しています。水位の高低差を利用して水力発 電を行っています。ダム管理に必要な電気を使用して余った電気は、売電しています。 ●最大発電能力:520kw ※約1200世帯の使用電力に相当 Ⅵ 建設事業経緯 昭和59年(1984年) 3/11 平成元年(1989年) 11/24 平成10年(1998年) 11/24 水資源開発公団赤石川ダム調査所発足 「赤石川ダム」から「大山ダム」に名称変更 大山ダム建設事業に伴う損失補償基準の妥結 平成11年(1999年) 平成16年(2004年) 平成17年(2005年) 平成18年(2006年) 平成19年(2007年) 水源地域対策特別措置法の「整備計画決定」 水没地内家屋移転完了 日田市郡(1市2町3村)合併 転流工工事に着手 ダム本体工事に着手 33/24 99/30 33/22 44/25 44/21 平成22年(2010年) 12/20 平成23年(2011年) 5/10 平成24年(2012年) 11/21 平成25年(2013年) 4/11 本体コンクリート打設完了 試験湛水開始 試験湛水終了 管理開始 独立行政法人水資源機構 筑後川局大山ダム管理室 〒877-0201 大分県日田市大山町西大山2008-1 tel.(0973)52-2445 fax.(0973)52-2446 HP:http://www.water.go.jp/chikugo/oyama/index.html E-mail:oyama-d2@hita-net.jp Ⅰ 筑後川流域の概要 Ⅳ 大山ダムの目的 筑後川は熊本、大分、福岡、佐賀県の4県にまたがる九州第一の河川で筑紫次郎の愛称で呼び 親しまれてきました。古くから、かんがい、舟運、発電などにより地域経済に寄与してきまし た。反面、一度豪雨に見舞われると、川はその様相を一変して暴れ狂い、数々の水害をもたら してきました。 筑後川は流域面積2,860K㎡、幹線流路延長143Kmの一級河川です。熊本県阿蘇郡南小国 町を源として阿蘇外輪山や小国盆地の降雨を集め、日田市において玖珠川と合流し、その後、 多くの支川を集めながら筑後・佐賀両平野を貫流して有明海に注いでいます。 ①洪水調節 大山ダムの建設される地点においては、100年に1回発生する規模の 洪水を対象に計画高水流量を毎秒690立方メートルとしています。この うち、ダムにより毎秒570立方メートルの洪水調整を行い、ダム下流の 赤石川及び筑後川本川沿岸の洪水被害の軽減を図ります。 Ⅱ 筑後川の洪水と渇水 ①筑後川の洪水 古くから、筑後川の洪水は発生していますが、明治以降、筑後川の大洪水は明治22年7月、 大正10年6月、昭和28年6月と起こり、筑後川の堤防が決壊しています。これらの洪水を筑後 川の三大洪水と呼んでいます。 特に、昭和28年6月の大洪水では、堤防の決壊などが起こり被災者約540,000人、死亡者 147名の大災害となりました。 ②既得取水の安定化・河川環境の保全 良好な河川環境を維持し、歴史的に利用されてきた取水を安定させるために、必要に応じて 大山ダムで貯めた水を放流します。 ②筑後川の渇水 筑後川流域の年間平均降水量は約2,050㎜となっていますが、年によって降雨量が少ないと 河川流量は減少することとなります。昭和42年、53年、57年、平成4年、平成6年と渇水が 発生しました。 特に昭和53年には小雨傾向が続き、福岡市では昭和53年5月20日から昭和54年3月24日 までの287日間の給水制限を行いました。平成6年には、昭和53年の渇水を上回る規模の渇水 に見舞われ、平成6年8月4日から平成7年5月31日までの295日間の給水制限を行っています。 このような背景の中で、治水・利水にわたる筑後川の総合開発を促進することになり、その 一環として大山ダムが建設されています。 Ⅲ 大山ダムの諸元 集水面積 33.6k㎡ 湛水面積 0.6k㎡ 総事業費 約1,045億円 堤頂:EL.264.0m 重力式コンクリートダム 洪水時最高水位:EL.259.0m 堤体積=58万㎥ ダム天端:EL264.0m 堤高=94m ダム湖名: 利水容量 11,000,000 ㎥ 既得取水の安定化・河川環境の保全 4,700,000 ㎥ 水道用水 6,300,000 ㎥ 烏宿湖 有効貯水容量 18,000,000 ㎥ 総貯水容量 19,600,000 ㎥ 最低水位:EL.206.2m うしゅくこ 基礎岩盤:EL170.0m 大山ダムは久留米市瀬ノ下地点において、 水道用水として新たに毎秒1.31立方メート ルを開発し、福岡県南広域水道企業団で毎 秒0.707立方メートル、福岡地区水道企業 団で毎秒0.603立方メートルの取水を可能 とします。 洪水調節容量 7,000,000 ㎥ 平常時最高貯水位:EL.245.0m 堤頂長=370m 堆砂容量 基礎岩盤:EL.170.0m 1,600,000 ㎥ ③新規利水 毎秒1.31立方メートルの 水量は、1人1日の水使用量 を350リットルとすると、約32 万人分に相当します。