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「米国IT業界動向2006年12月」(PDF/178KB)
米国 IT 業界動向 2006 年 12 月 JETRO, New York 1.企業動向 (1)アップルコンピュータ 大手テレビ局 CBS 傘下の CBS レコードは、アップルのオンライン楽曲販売サービス「i チューンズ」を通じて楽曲および動画を販売する。TV 番組で使用した無名のミュージシャ ンの楽曲を活用するなどしてライセンス料などのコストを抑える。【12 月 18 日】 オンライン楽曲販売でトップを走る i チューンズ・ミュージック・ストアの売り上げが今 年上半期に大幅に減少していることが明らかになった。調査会社フォレスター・リサーチ が報告した。同社によると、今年の 1 月以降、毎月の販売件数が 58%減少した。一方、1 回 の販売額も 17%減少している。フォレスターは今回、04 年 4 月から 06 年 6 月までに米国の i チューンズで購入された 2791 件について分析したという。また、フォレスターは、2 曲 1.98 ドルのクレジットカード購入でどこまで利益をだせるのか疑問視している。しかし、 このフォレスターの調査結果については、疑問視する声も出ている。【12 月 15 日】 アップルは、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」運動の一環として、赤 い外観のデジタル楽曲プレーヤ「i ポッド・ナノ」の販売を始めた。購入代金のうち、1 台 当たり 10 ドルが同基金に寄付される。赤い i ポッドは、人気ロックバンド「U2」のボノさ んらが提唱して始まった慈善活動「RED(レッド)プロジェクト」の一環として製造された。 同プロジェクトでは、協賛企業が共通の「レッドブランド」で製品を売る仕組みとなって いる。【11 月 3 日】 (2)デル デルは、株式市場を運営するナスダックから上場義務に違反したとの通知を受け取った。 第 3 四半期の決算提出が遅れたのが理由。デルは先に、自社の会計および財務報告のミス で米証券取引委員会(SEC)の監査を受けていた。これに伴い、同社は決算の提出が遅れると 発表していた。同社はさらに、ソニー製リチウムイオン・バッテリをリコール(回収・無償 交換)したほか、HP に首位の座を奪われるなどかんばしくないニュースが続いた。【12 月 18 日】 (3)シスコシステムズ シスコ傘下のリンクシスは、IP 電話機「i フォン(iPhone)」シリーズを発表した。i フォン はこれまで、アップルが携帯電話と楽曲プレーヤを融合した新製品に使用すると見られて いた。しかし、この登録商標は、シスコが 2000 年にインフォギア・テクノロジーズの買収 に伴って取得したという。しかし、専門家は、アップルにとってさほど影響はないと見て いる。リンクシスはまた、スカイプやヤフーのサービスに対応した「Wi-Fi」向けの IP 電話 機を発表している。【12 月 19 日】 (4)IBM IBM は、人気仮想空間「セカンドライフ(SL)」に 12 の仮想アイランド(島)を建設した。 これらアイランドのほとんどの場所を一般ユーザー向けに開放するが、一部は、自社従業 員のためのプライベート地区として利用していく。当面は、SL で収益をあげる考えはなく、 営業や技術者を SL の会議室に集めて会議をしたり、子供向けの教育などへの利用を考えた りしていく。また、顧客サポートの場としても検討している。【12 月 15 日】 IBM は、ヤフーと提携して、無料の企業向け検索エンジン・プログラム「IBM オムニフ ァインド・ヤフー版」を開発した。ユーザーに無料で配布し、すでに市場に同様の検索プ ログラム「ミニ」を提供しているグーグルに対抗していく。同ソフトは、ヤフーの検索エ ンジン・プログラムと IBM の企業向けファイル検索プログラムの簡易版を組み合わせたも の。グーグルは、ミニを 2000〜1 万ドルで販売しているが、この無料ソフトが登場するこ とで苦戦を強いられるとの見方もある。【12 月 15 日】 IBM は、ネットワーク・パフォーマンスの管理ソフトを開発するバレント(Vallent)を買収 する。買収金額は、2 億 1000 万ドル前後になると見られている。買収後、バレントは IBM のチボリ・ソフトウェア・グループに吸収される。バレントは、かつてルーセント・テク ノロジーズ傘下にあったウォッチマークとコムニテルが合併し、その後、ネットワーク監 視ソフトを開発する ADC テレコミュニケーションズを買収してできあがった。同社を買収 することによって、これまで不足していたワイヤレス管理技術を補完したい考えだ。【11 月 30 日】 (5)ヒューレット・パッカード(HP) HP とカリフォルニア州司法省は、情報漏えいをめぐる不正調査問題に関する訴訟で和解 した。これにともない、HP が同州に総額 1450 万ドルを支払う。同州の司法省は、HP が内 部情報の漏洩を調査する際に、本人になりすまして違法に電話会社から情報を入手したと して、同社を提訴していた。また、HP は個人情報保護を目的とする基金をカリフォルニア 州に設立する。【12 月 11 日】 (6)マイクロソフト マイクロソフトが先月ビジネス顧客向けに出荷を開始したばかりの「ウィンドウズ・ビス タ」のセキュリティ機能に重大な欠陥が見つかったことが、ニューヨーク・タイムズの報 道で明らかになった。具体的な被害はまだ出ていないが、マイクロソフトが調査を進めて いる。セキュリティ機能が売り物だけに、信頼性が低下するとの懸念も出ている。同社は 推定 200 億ドルの巨費を投じてビスタを開発した。【12 日 24 日】 マイクロソフトと HP は、大企業の顧客獲得で密接に協力していく。これにともない、両 社は向こう 3 年間で少なくとも 3 億ドルを共同投資することでも合意した。具体的には、製 品の試験や認証、新製品の展開、販売や宣伝などで協力する。さらに、大企業の顧客によ るネット・ベースの通信やコラボレーションソフトなどの新技術採用を支援していく。こ れは、500 億ドルを超えるビジネス機会を生み出すと見ている。【12 日 16】 マイクロソフトとセイコーエプソンは、相互が保有する特許の使用で契約を交わした。契 約により、マイクロソフトはエプソンの画像処理技術などを利用できる。一方のエプソン 側はマイクロソフトのソフト特許をそれぞれ自由に使った自社製品開発が可能になる。両 社は今回のクロスライセンスにより大幅なコスト削減を期待している。マイクロソフトは これまでにもソフト開発を円滑にする狙いから、シスコ、独シーメンス、SAP、NEC、東芝 など世界中のハイテク大手とクロスライセンス契約を結んできた。【12 月 15 日】 マイクロソフトは、同社が発売したデジタル携帯音楽プレーヤ「ズーン(Zune)」が 2007 年6月末までに 100 万台を超えると見ている。一方、調査会社 NPD グループは、11 月 25 日までの1週間の米デジタル楽曲プレーヤ市場でズーンの市場占有率が 2%に低下し、 順位が 5 位に下がったと発表した。【12 月 8 日】 マイクロソフトとウェブアプリケーション作成言語 PHP を開発するゼンド・テクノロジ ーズ(Zend Technologies)は、長期パートナーシップの契約を結んだ。マイクロソフトは事実 上、オープンソースのソフト開発に距離を置いていた従来の姿勢を転換したことになる。 提携により、マイクロソフトのウェブサーバが PHP に対応することになる。これにより、 顧客離れに歯止めをかけたい考えだ。【12 月 1 日】 仏通信機器大手アルカテルは、マイクロソフトがデジタル映像処理など 7 件の特許を侵害 したとして、同社をテキサス州連邦地裁に提訴した。マイクロソフトによると、今回の提 訴はルーセントが家庭用ゲーム機「X ボックス 360」の特許侵害で訴えているのに関連して いるという。【11 月 23 日】 (7)グーグル サイト訪問者数で、グーグルが競合のヤフーを抜き 2 位に浮上した。米調査会社コムス コアが明らかにした。1位はマイクロソフトが維持した。11 月の世界全体のネット利用者 数 7 億 3600 万人強。このうち、グーグルのホームページを訪問したのは 4 億 7550 万人とな った。一方のヤフーでは、4 億 7520 万人強にとどまった。マイクロソフトは 5 億 107 万人 だった。ただし、グーグルの訪問者数には、同社が購入したユーチューブの訪問者数は含 まれていない。【12 月 23 日】 グーグルは、米航空宇宙局(NASA)と協力して、NASA が持つ気象予報画像、月や火星表 面の高精細度の立体映像、スペースシャトルの飛行位置に関する情報をグーグルのサイト 上で提供する。グーグルと NASA は昨年、宇宙の研究開発や大規模なデータ管理分野で協 力することですでに合意に達していた。【12 月 19 日】 グーグルは米国特許の検索サービス「グーグル・パテント・サーチ(Patent Search)」を試 験公開した。利用者は、700 万件以上の特許を検索し、全文を閲覧できる。必要に応じテキ ストやイラストを拡大表示できるほか、「アドバンスド・パテント・サーチ(Advanced Patent Search)」を使って特定の特許を迅速に検索できる。将来的には、結果の保存と印刷機 能も追加していく考え。 グーグルはまた、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)と「ディスプレイ 機器の取引記録システムのためのオペレータ・インターフェースの装飾的設計」について 米国特許を取得した。 グーグルはさらに、GoDaddy.com および eNom と提携し、「.com」「.net」「.biz」 「.info」のドメインネーム登録サービスを開始した。登録料は年間 10 ドル。【12 月 18 日】 グーグルは、オンライン決済サービス「グーグル・チェックアウト」をオンライン小売 業者に無料で提供していく。サービスは 6 月に導入されたが、無料化することで競合のペ イパルにさらに攻勢をかけていく。ペイパルが 1 回の取引につき 2.9%プラス 30 セントを課 金する(月額の売上高 3000 ドル以下)のに対して、グーグルは、2%プラス 20 セントを課 金。さらに、グーグルに広告を出している場合は、割引される仕組みだ。【12 月 11 日】 (8)オラクル ソフト大手オラクルの 9—11 月期決算は増収増益となった。一連の企業買収が奏功した。 同社はこれまで、ピープルソフトやシーベル・システムズなどを含む 20 社以上の業務用ソ フトメーカーを相次いで買収し、小売り、銀行、通信、公益事業における競争力の強化を 図ってきた。【12 月 19 日】 主な企業の決算報告: 企業名 四半期売上高 オラ ク ル 41.6 億ド ル 前年同期比 26.00% 四半期純益 9.67 億ド ル 前年同期比 21.00% 2. パーソナル・コンピュータ(PC)と OS (1)オンライン CRM(顧客管理)ソフト事業者 Salesforce.com は、自社のサイトで他社がサ ービスを販売し、売り上げを共有するサービスを開始する。サービスは、同社が提供して いる Web サービスのマーケットプレイス「アップエクスチェンジ」の一環として提供する。 アップエクスチェンジには、230 社以上が合計 430 種類のアプリケーションを提供している。 【12 月 12 日】 (2)人材管理(HCM)ソフトの需要が増加している。背景には、競争が激化する雇用市場から 有能な人材を適材適所に引き抜きたいというニーズがある。最新の HCM ソフトは、人的資 本を最大限まで活用する目的で、人材の雇用から、研修、従業員の業績評価までを管理で きるようになっている。HCM ソフトの有効活用によるコスト削減は馬鹿にならない。例え ば、洗濯屋サービス業者が、スケジュール調整を自動化しただけでトラックの台数や燃料 費など計 100 万ドルを削減できたという調査会社 AMR リサーチの報告もある。同社は、 HCM ソフト市場が今年、60 億ドルに達すると予測している。現在、HCM ソフトメーカー には、ケネクサ(Kenexa)、アルティメット・ソフトウェア(Ultimate Software)、タレオ(Taleo)、 サバ(Saba)のほか、サクセスファクターズ(SuccessFactors)などがある。【12 月 4 日】 (3)スウェーデンの新興企業、ポーラー・ローズは、パソコンに保存した写真とウェブ上の 写真の両方を検索できる無料ソフトを提供する計画だ。パターン認識技術を応用して、写 真の内容を分析し、特定の人物の顔を探し出せるのが特徴。まず、デジタル写真を分析し、 2 次元画像のデータを 3 次元モデル情報、「フェイスプリント」に変換する。後は、他のフ ェイスプリントとの比較に使用する仕組みだ。ポーラー・ローズでは、ソフトのテスト版 を来年 3 月にも公開するとしている。それに続いて第 2 四半期には携帯電話版を導入する。 【12 月 19 日】 3.インターネットとメディア・ビジネス (1)カナダの携帯サービス大手リサーチ・イン・モーション(RIM)は、韓国サムスン電子が 発表したスマートフォン「ブラックジャック」が、RIM 製「ブラックベリー」に類似して いるとして、同社をカリフォルニア中部連邦地裁に訴えた。RIM は、サムスンが自社製品 やサービスが RIM に関連があるように見せていると主張している。両社は、携帯電話大手 シンギュラー・ワイヤレスを通じて製品を販売している。【12 月 14 日】 (2)オペラ・ソフトウェアが、ワイヤレス・ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)機 能を盛り込んだ携帯電話向けブラウザの最新版「オペラ・ミニ 3.0」を発表した。ブラウザ には、写真交換機能、RSS ニュースフィード機能、モバイル・バンキングやモバイル・シ ョッピングの付加セキュリティなどが付いている。オペラ・ミニは、500 種以上の携帯電話 機をサポートしている。網羅するユーザー数は 5〜7 億件に上ると見積もっている。 携帯電話のソフトウェアでは、SNS 機能の導入が相次いでおり、例えば、オキシ・システ ムズも、音楽好きのユーザーをターゲットにした携帯電話用 SNS「フリング!(phling!)」を 立ち上げたばかり。【12 月 6 日】 (3)ボーイングが、採算が見込めないとして機内ネットサービス「コネクション (Connexion)」から撤退すると発表したのを受けて、航空会社、機器メーカー、衛星サービ ス会社などの間で、継続に向けて話し合いが進められている。しかし、実際に誰がコスト を負担するのかという点で意見がまとまらずにいるのが現状だ。例えば、コネクションを 提供していた独ルフトハンザ航空は、2007 年末までにシステムを再導入する計画。関係筋 によると、同社は現在、松下電器グループのパナソニック・アビオニクス、ルクセンブル グの衛星会社 SES グローバル、コネクションの下請会社ビアサットとプロジェクト・グル ープを形成して取り組んでいる。ボーイングは、コネクションを 12 月 31 日で終了する。 【12 月 22 日】 (4)ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のマイスペース(MySpace.com)は、 携帯事業者最大手シンギュラー・ワイヤレスと提携した。シンギュラーの電話機に写真や ブログなどのコンテンツを提供する。シンギュラーのサービスを利用するマイスペースの 会員は月額 2.99 ドルで写真、ブログの書き込みのほか、電子メールの送受信を行える。し かし、動画や広告は今回のサービスに含まれていない。提携は数ヶ月にわたり独占契約と なる。【12 月 18 日】 (5)e ベイ傘下の IP 電話サービス「スカイプ」は、来年から米国およびカナダ内の固定回線 および携帯電話への通話に、年間 30 ドルを課金する。同社は今年 5 月から、プロモーショ ンの一環としてパソコンから普通の電話や携帯電話向けに無料で米国内電話をかけられる 「スカイプアウト」を提供していた。今後は有料サービスを導入することによって、スカ イプの売り上げを拡大したい考えだ。スカイプは 06 年第 3 四半期に 5000 万ドルの売り上げ を計上した。しかし、e ベイ全体の売り上げに占める比率は 3%にとどまっている。【12 月 14 日】 (6)インテルを筆頭に、アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)、BP アメリカ、ピ ットニー・ボウズ(Pitney Bowes)、そしてウォルマート・ストアズら大手5社は、各社が 150 万ドルずつ出し合いオンライン医療情報管理サービス「メディカル・インターネット (medical Internet)」を構築した。同サービスでは、自分の治療歴や処方薬情報、コレステ ロール測定値記録、家族の医療履歴を安全に保存管理できる。また、それらに自由にアク セスすることで、医療記録の提出や治療歴を確認できる。これにより、診断の重複や医療 過誤、無駄な医療サービスを避けられ、莫大な医療費を節約できると期待されている。こ れまでは、個人が自身の医療情報を一元的に管理するのは非常に困難だった。同 5 社は、 来年中頃までにそれぞれの従業員の登録を受け付ける計画。従業員数や彼らの家族、退職 者を含めると、5 社合計で 250 万人以上が対象となる。システムを実際に運営するのは、オ レゴン州ポートランドの非営利団体オムニメディックス研究所(Omnimedix Institute)。 【12 月 11 日】 (7)動画配信サービスのクリックスター(ClickStar)は、新作映画やドキュメンタリーの有料 ダウンロードサービスを 12 月 15 日に開始した。同社は、俳優のモーガン・フリーマン氏が 設立して有名になった。同社では、レンタル、または購入が可能で、パソコンだけでなく テレビでも視聴できる。料金は旧作のレンタルが 1.99 ドルから。新作封切り映画の DVD 並 み高品質購入は約 24.99 ドル。【12 月 4 日】 (8)オーストラリア連邦裁判所は、違法ダウンロードが可能な楽曲へリンクを提供した検索 エンジンサイトの運用者、ステファン・クーパー氏と、同氏のサイトをホストする ISP のコ ムセン(Comcen)が、オーストラリアの著作権法に違反しているとの判断を下した。米国で は ISP が利用者の行動に対する責任を問われることがないが、オーストラリア裁判所の判断 は新たな世界的な論争を生み出しそうだ。訴えたのは、ワーナー・ミュージック・グルー プ、ユニバーサル・ミュージック・グループなどレコード会社が共同で所有する違法コピ ー調査団体(MIPI)。【12 月 22 日】 (9)電話事業者は、テレビ配信事業への参入で、規制緩和を連邦通信委員会(FCC)から勝ち 取った。しかし、逆に FCC の判断が地方自治体の態度を硬直化させる可能性もある。 FCC は、州および各自治体当局に対し、新規参入者にビデオ・フランチャイズ契約を 90 日以内に与えるよう規制の内容を修正。さらに、ベル系事業者に対し、サービス地域の居 住者に対して既存の事業者よりも多くのサービスを提供するよう求める項目を撤廃した。 しかし、これに対して民主党や地方自治体が反発を強めており、同問題が法廷に持ち込ま れる可能性が強くなった。【12 月 9 日】 (10)電話会社大手 AT&T は、ケーブルテレビ(CATV)会社に対抗するために、IP を利用 してテレビ放送を行なう IPTV サービス「U バース(U-Verse)」を展開している。これに伴い、 同社は、今後も引き続き既存の固定回線を利用していく方針を示した。電話会社第2位の ベライゾンは、光ファイバー網の拡張を進めているが、AT&T は、既存のネットワークでも 十分対応できるとしている。しかし、今後、高精細テレビ(HDTV)放送や映画を視聴する加 入者が増加すれば、帯域不足に陥りインフラを再度アップグレードする必要に迫られると の指摘もある。【12 月 6 日】 4.電子商取引 (1)オンライン百貨店大手 Amazon.com は、IBM が検索エンジンの検索結果の翻訳や絞り込 みに関連した同社の2つの技術特許を侵害しているとして訴えた。一方の IBM は今年 10 月、 Amazon.com が少なくとも 5 件の技術特許を侵害しているとして訴えを起こしていた。これ らは、データ保存、広告表示、電子カタログの利用などで、IBM は特許の使用料を要求し ていた。今回の Amazon.com の訴えは、IBM の提訴に対抗した格好だ。【12 月 19 日 (2)ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)と e コマースを組み合わせたサイト「バ ディ・ショッピング(Buddy Shopping)」が登場した。ユーザーは、同サイトでソフトをダウ ンロードするだけで一緒にチャットをしたり、買い物を楽しんだりする事ができる。最初 に購入を計画した人が、画面上の 1 つのウィンドウで小売りサイトと商品の品定めをする。 その隣のウィンドウには、選んだサイトと商品が表示され、仲間たちの間でどれを購入す るか決めるまで仮想クローゼットに収納できる。【12 月 15 日】 (3)11 月における米国オンライン販売の小売売上高が前年同月比 24.3%増の 117 億 5000 万 ドルだった。12 月末までの 2 カ月間でも前年同期比 24.0%増の 243 億ドルに達する見通しだ。 米調査会社コムスコアが報告した。 同社によると、11 月は売上高の伸びに対して、ネット 販売サイトの訪問者数は同 13%増にとどまっている。このことから、買い物 1 件当たりの 支出額が前年よりも増えていると見積もっている。【12 月 5 日】 (4)オンラインで洋服を購入する際の障害の 1 つ、試着ができないという欠点をなくそうと 試みるサービス、Zafu.comが登場した。利用者は約 12 の質問に回答する。後は、70 のブラ ンドから集めた 200 種類以上のジーンズの中から自分の趣味と体型に合うものを見つけら れる仕組み。同社はこれら商品を直接販売しておらず、検索結果にしたがってほかのウェ ブサイトへ誘導する。売り上げは、ジーンズの小売店から支払われる 5〜15%の手数料でま かなう。 近年 e コマースでは、消費者 1 人 1 人に合わせたマーケティング(ワン・ツー・ワ ン・マーケティング)を重要視するようになってきた。Zafu.com もこのマーケティングを狙 った1社だ。【11 月 22 日】 5.半導体 (1)シューズ大手ナイキとアップルが共同開発した技術「Nike+i ポッド・スポーツ・キット (Nike+iPod Sport Kit)」にセキュリティ欠陥があるとの指摘が出ている。Nike+i ポッド・スポ ーツ・キットは、ランナーのシューズに取り付けるセンサーと i ポッド・ナノに外付けする 受信機を無線接続し、i ポッド上に走行時間や距離を記録・表示する。セキュリティ専門家 は、このシステムに無線認証(RFID)技術が使われているため、第 3 者に個人の居場所が 追跡される恐れがあると指摘した。RFID の信号は、60 フィート離れた場所からも読み取れ るという。実際、ワシントン大学が行った調査では、独自の監視システムで集めた RFID 信 号と「グーグル・マップ」を統合し、個人の動きの自動追跡を試みた。その結果、かなり の精度で個人の動きを追跡できたという。【12 月 15 日】 (2)パソコンのメモリチップ価格操作で共謀していたと疑いがもたれていた韓国サムスン電 子だが、米国子会社サムスン・セミコンダクターのパーク社長は、司法省に対して有罪を 認めた。同氏は、25 万ドルの罰金とともに禁固 10 カ月の刑に服することになる。この事件 ではすでに、他にサムスンの 4 人の幹部が有罪を認めている。【12 月 21 日】 (3)米調査会社のガートナーが発表した、2006 年世界半導体市場の企業別シェア(速報値)に よると、上位 3 社は前年と同様、インテル、韓国サムスン電子、テキサス・インスツルメ ンツ(TI)が占めた。次いで、独インフィニオン・テクノロジーズが好調な DRAM 市場を 背景に 7 位から 4 位に浮上した。また、エルピーダメモリが 27 位から 20 位に躍進した。同 社の売上高は、前年比 86%増となった。一方、インテルを追随するアドバンスト・マイク ロ・デバイシズ(AMD)は 14 位から 9 位に上昇した。 ガートナーは、06 年の世界半導体市場 が前年比 11.3%増の 2614 億ドルになると見ている。【12 月 13 日】 一方、米半導体工業会(SIA)は、10 月の世界半導体売上高を発表。それによると、同月 は前年同月比 9.2%増の 219 億ドルに達した。これで、単月ベースの過去最高額を 4 カ月連 続で更新したことになる。前月比では 2.5%増となった。パソコン、携帯電話、デジタル楽 曲プレーヤの半導体販売が売り上げを牽引した格好だ。 地域別で見ると、日本を除くアジ ア太平洋が 10.4%増の 103 億ドル、日本が 11%増の 41 億ドル、米州が 9.9%増の 40 億ドル、 欧州が 3.1%増の 35 億ドルとなっている。【12 月 8 日】 (4)高性能の一眼レフ(SLR)デジタルカメラの購入が進んでいる。デジタル SLR カメラ の北米売り上げは 2006 年に 50%増の 18 億ドルに達し、デジカメ市場の 5 分の 1 を占める と見られている。業界は当初、消費者が 500 ドル以上のデジカメに興味を持たないだろう と踏んでいたが、それに反して高級デジカメのニーズが高まっている。その結果、今年は 各社とも、一般消費者向けに 500 ドル以上する新モデルを発売している。デジタル SLR の 平均販売価格は現在、942 ドル。【12 月 8 日】 (5)携帯用無線技術を開発するクアルコムは、「Wi-Fi」向けチップを開発するエアゴー・ ネットワークスとブルートゥース向けチップを開発する RF マイクロ・デバイシズの 2 社を 買収する。買収金額は公表されておらず、比較的小額と見られている。しかし、これら企 業の技術を統合することによって、様々なタイプのネットワークをサポートするモバイル 機器に対応できるようになる。【12 月 5 日】 (6)高速無線技術「Wi-Fi」を開発するラックス・ワイヤレス(Ruckus Wireless)は、現在策定 中の技術仕様「802.11n」を採用した高速 Wi-Fi システムを開発した。来年 1 月にラスベガ スで開催されるコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で実演する。802.11n は 通信速度を現在の標準規格「802.11g」の毎秒 54 メガビットから理論上で最大 600 メガビッ ト超へ高速化できる。現在は、2007 年 7 月を目処に最終化作業が行われている。ラックス の新システムでは、毎秒で約 70 メガビットの高速通信を実現できるという。これまでにも、 同規格の対応製品が発表されているが、長距離での通信がいまひとつとなっていた。同社 は、「スマートアンテナ」という独自の技術を使って、この問題を克服したという。【11 月 29 日】 6.その他 (1)パソコンや携帯電話の充電が必要な出張旅行者が増加したことによって、米国の空港に おける電源コンセントの不足が深刻な問題となっている。例えば、ジョージア州のアトラ ンタ空港は、現在コンセントを増設している空港の1つ。しかし、設置コストは非常に高 く、既存の場所では1つ増やすだけで数千ドルのコストがかかるという。また、テネシー 州のチャタヌーガ空港やユタ州のソルトレイクシティ国際空港は、電話を設置している場 所をパソコンの充電場所に変えるなどして対応している。【11 月 30 日】 (2) 訴訟に関連する電子証拠開示手続きに伴い、企業に電子保存文書の管理を義務付ける 新規制が 12 月 1 日から導入された。新規制では、企業に対して電子文書の所在の把握を促 していく。電子メールに加え、従業員の携帯に保存されている職場のデジタル写真や、メ モリ・カードに保存された情報など、より追跡が難しい文書まで把握が必要になる。企業 にとっては負担が大きくなるが、逆に専門ソフトを開発するニーズが高まり、新たな市場 となりそうだ。電子開示ソフトの製造業者は数百社に上り、2006 年の市場規模は約 16 億ド ルと見積もられている。ライト氏によると、額は 07 年に倍増に達する見通しだ。専門家に よれば、企業は電子文書の保存法を変える必要はないが、所在を明確にするため「IT シス テムを一覧表化」する必要があるという。【12 月 9 日】 (3)娯楽センターやアーケードのような店舗を開設する技術系企業が増えている。潜在顧客 に自社製品を体験してもらうのが目的だ。例えば、電話会社大手ベライゾン・コミュニケ ーションズは 11 月初め、テキサス州ダラスとフォートワース郊外のモールに 5000 平方フィ ートの店舗をオープンした。店内には、大型高品位プラズマテレビ 24 台、平面スクリーン 搭載コンピュータ 20 台、ビデオゲーム用ブース、そして最新の携帯電話機種を展示した同 社の光ファイバー網で配信されるテレビ番組も視聴できる。このほか、デル、AT&T、モト ローラといった技術系企業も同様の店舗を最近開設している。【12 月 1 日】 (4)連邦最高裁は、テレフレックスとカナダの KSR の特許訴訟に関連して、発明に特許を 与える際の「自明性(日本では進歩性)」の判断について審議する。これまでより基準を厳格 化した裁定を下す見通しで、さまざまな業界が注目している。 テレフレックスは、カナダの KSR の製品が、自社の自動車用ガスペダルの特許侵害に当 たるとして提訴した。一方の KSR は、同特許が 2 つの先行技術の組み合わせに過ぎないと 反論し、論争を巻き起こした。ここで問題になっている自明性は、新たに申請された特許 が、先行技術と比較した時に進歩性を伴っていなければならないとする概念。下級裁判所 はすでに、テレフレックスのいい分を認める判決を出していたが、ハイテク企業などが同 判決を不服としていた。これは、ハイテク大手が単なる「組み合わせ」の特許を盾に訴え られるのを危惧しているからだ。【11 月 28 日】