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「米国IT業界動向2006年9月」(PDF/180KB)
米国 IT 業界動向 2006 年 9 月
JETRO, New York
1.企業動向
(1)アップルコンピュータ
アップルは 9 月 12 日、オンライン配信サービス「i チューンズ・ミュージック・スト
ア」を通じた映画のダウンロード販売を開始した。作品は 75 本で、メディア・娯楽大手
ウォルト・ディズニーが提供。値段は旧作が1本 9.99 ドル、新作は事前予約をすれば
12.99 ドル。ディズニーのアイガー最高経営責任者( CEO)によると、映画の販売は開始
から1週間で 12 万 5000 本に達し、配信料が総額 100 万ドル相当となった。アイガーCEO
は、開始後 1 年間の映画ダウンロード販売が総額 5000 万ドルに達すると予測している。
今のところ、ダウンロード販売が従来の DVD 販売に打撃を与えていないという。
アップルはまた、パソコンとテレビを無線でつなぐ端末「iTV」(開発コード名)を来年 1
〜3 月に 299 ドルで発売する予定だ。ユーザーは、専用リモコンを使って同端末を操作し、
パソコン内に保存する映画や写真データをテレビで再生できる。
同社はさらに、デジタル楽曲プレーヤ「i ポッド」3 機種をすべて刷新した。このうち
画面サイズ 2.5 インチの大型機種では、音楽や録画したテレビ番組に加え、映画やゲーム
を楽しめるようにしている。一方、小型の「シャッフル」は 79 ドルで 10 月に発売する。
また、i チューンズでは、i ポッド向けのゲーム販売も始めた。「パックマン」や「テト
リス」など人気ゲームを、1 本 4.99 ドルで販売している。【9 月 14 日、20 日】
シンガポールのデジタル音響機器大手クリエイティブ・テクノロジーがアップルをデジ
タル携帯楽曲プレーヤの特許の侵害で訴えていた件で、両社は最終的に和解にした。合意
の結果、アップルがクリエイティブに 1 億ドルを支払う。これにより、これまで係争して
きた 5 件がすべて解決することになる。
クリエイティブはこれまで、自社の MP3 プレーヤ「ゼン (ZEN)」に搭載する選曲技術の
特許を i ポッドに無断で使われたとしてアップルを米連邦裁判所や米国際貿易委員会(ITC)
に提訴していた。【8 月 25 日】
ソニー製リチウム・イオン・バッテリの欠陥が見つかったことを受けて、アップルは、
180 万台に上る同社製ノートブックに搭載するバッテリをリコール(回収・無償交換)する。
回収するのは、2003 年 10 月〜2006 年 8 月に米国内外で販売した「アイブック G4」および
「パワーブック G4」。米消費者製品安全委員会(CPSC)には、すでに過熱事故に関する9
件の報告が寄せられている。そのうち 2 件では、利用者が軽いやけどを負ったという。
【8 月 25 日】
(2)デル
デルは、米証券取引委員会(SEC)が進めて来た非公式の財務調査の結果、同社が過去に提
出した会計・財務報告に虚偽表示があった可能性があると発表した。【9 月 12 日】
同社は、アップルに先駆けてソニー製リチウム・イオン・バッテリのリコールを行った。
対象となったのは、全世界で 410 万台に上るノート型パソコン。同社は、発火の原因が
「電池の製造過程」との認識を示している。これに対して、ソニーは、デル側にも責任が
あることを言及している。【8 月 29 日】
(3)IBM
IBMが中心となっている技術系コンソーシアム「インターナショナル・テクノロジー・
アライアンス(ITA)」は、米軍から1億 3500 万ドルの大型案件を受注した。防衛用のネ
ットワーク技術を開発していく。主な研究分野としては、(1)ネットワーク理論、(2)システ
ム間のセキュリティ、(3)情報伝達のセンサー、(4)意思決定および情報の統合計画−がある。
【9 月 10 日】
IBMは、任天堂の新家庭用ゲーム機「Wii(ウィー)」向けに、プロセッサの出荷を開始し
た。同プロセッサは、IBM の「パワー・アーキテクチャ」規格に基づき、ニューヨーク州
内の工場で生産する。IBM はこのほか、マイクロソフトの「Xボックス 360」にもチップを
提供。さらに、ソニーの「プレイステーション 3」には、同社がソニー、東芝と共同開発し
た「セル」が使われる。セルは、エネルギー省核安全保障局が IBMに発注したスーパーコ
ンピュータ「ロードランナー」にも採用されている。同スパコンは、最大演算速度が「世
界最高」の 1 ペタフロップスに達し、核兵器の模擬実験などに使われる。【9 月 7 日】
ソフトおよびサービス事業を強化する IBM は、セキュリティ技術会社インターネット・
セキュリティ・システムズ(ISS)を 13 億ドルで買収する。買収手続きは年内に終える見通し。
買収後、ISSは IBMグローバルサービス部門のセキュリティ事業の一部となる。【8 月 24
日】
(4)ヒューレット・パッカード(HP)
HP が同社取締役会の機密漏えいに関する内部調査で不正手段を使ったことが問題になっ
ている。カリフォルニア州検察当局はすでに、個人情報の不正取得とプライバシー侵害の
容疑で起訴の準備を行っている(9 月 20 日現在)。同州のロッキャー司法長官は、米公共
放送(PBS)のニュース番組で、 HP が内部調査のために依頼した社内の人物および社外の契約
者らを起訴するための十分な証拠を握っていることを明らかにしている。
同事件で問題となったのは、HP が社内調査のために雇った探偵が、情報を漏らした取締
役と記者間の通話記録などの個人情報を、本人になりすまして入手した「プリテキスト」
という行為。カーリー・フィオリーナ会長兼 CEO の解任をめぐる内紛で情報リークがあっ
たことがきっかけとなった。また、記者への社内情報提供を認めたキーワース取締役は9
月 12 日付で辞任した。
今回の事件は、業績が回復しつつあった同社にとって打撃になる可能性が出て来た。【9
月 15 日、13 日】
(5)インテル
インテルとカリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究チームは、レーザー光線を発す
るシリコン・チップを開発した。実用化されれば、有線の代わりにレーザー光線を使って
チップ間で大容量のデータ送信ができるようになる。研究チームは、チップの表面に発光
するインジウム・リン化物の層を装着することで、ビームによる通信を可能にした。【 9 月
19 日】
インテルは、全世界の従業員(約 10 万人)の 1 割に相当する 1 万 500 人を 2007 年半ばまで
に削減する計画だ。同社はここに来て、競合のアドバンスト・マイクロ・デバイシズ
(AMD)にシェアを奪われ、事業の成長が頭打ちになっていた。同社は、今回のリストラ
計画によって 2008 年に 30 億ドルコスト削減効果を期待している。【9 月 7 日】
(6)
マイクロソフト
マイクロソフトは、一部のユーザーを対象に動画共有サービス「ソープボックス」の試験
サービスを実施する。半年以内に、同社の「MSN ビデオ」の一環としてサービスを提供開
始する予定だ。【9 月 20 日】
マイクロソフトは、同社が開発したデジタル楽曲プレーヤ「ズーン(Zune)」を、年末商戦
期に合わせ市場で発売する計画だ。生産は東芝が請け負う。ズーンでは、所有者同士がズ
ーン内に保存するデジタル写真や楽曲を無線通信で交換できる。入手した楽曲は 3 日以内
に 3 回まで再生できる。その楽曲を気に入れば、マイクロソフトの楽曲配信サイトから購
入できる。同機器はさらに、FMチューナー、30 ギガバイトのハードディスクを搭載する。
【9 月 18 日】
マイクロソフトは、次期 OS として販売間近の「ウィンドウズ・ビスタ」対応の周辺機器
セット「ワイヤレス・エンタテインメント・デスクトップ 8000」を発表した。セットには、
ワイヤレスキーボードやマウスが含まれ、価格は 250 ドル。来年 2 月に発売される予定。低
価格版のセットは来年1月に 150 ドルで発売する予定。キーボードには、ワンタッチでウ
ィンドウズのスタートメニューを起動できるボタンなど、ビスタを使う上で便利な機能を
搭載する。【9 月 15 日】
マイクロソフトは、新検索エンジン「ライブ・サーチ」を正式に提供開始した。今後は、
世界各地の MSN サイトでも、新検索エンジンへの切り替えを進めていく。新検索エンジン
は、利用者が欲しい情報を探し出す精度を大幅に向上させたのが特徴。グーグルやヤフー
に大きく後れを取っていたマイクロソフトは、同検索エンジンの導入で市場シェアを拡大
したい考えだ。【9 月 14 日】
欧州委員会は、ウィンドウズ・ビスタのセキュリティ機能追加に関して、セキュリティ分
野での競争を阻害するとの警告を出した。マイクロソフトは現在、同委員会へセキュリテ
ィ機能除去を求めないよう訴えていた。しかし、委員会側は、ビスタを欧州連合(EU)競争
法に順守させるかどうかは、マイクロソフト次第としている。同委員会は、マイクロソフ
トが自社独自のセキュリティ技術を OSに組み込むことによって競争が閉め出され、技術革
新がリスクにさらされると見ている。こうした中、欧州におけるビスタの販売が遅れる可
能性がある。【9 月 8 日】
(7)グーグル
グーグルは、8 月における米国内検索エンジン市場シェアで、 50.2%のシェアを確保した。
同社を使った検索件数は前年同月比 30%増の 30 億 321 万件に達した。米調査会社ニールセ
ン・ネットレーティングズが報告した。グーグルの 4-6 月期の売上高は 24 億 6000 万ドルと、
前年同月比 77%急増している。【9 月 18 日】
グーグルは、約 10 億ドルの資本金を投じて、世界の貧困、病気、地球温暖化問題などに
取り組む慈善事業グーグル・オーグの活動を開始した。ほとんどのプロジェクトを営利組
織として展開するのが特徴。これにより、活動をより柔軟にしたい考えだ。最初のプロジ
ェクトでは、地球温暖化の緩和などを目的に、燃費 100 マイル以上のプラグイン式ハイブ
リッド自動車エンジンを開発する。責任者には、医師で公共衛生活動家でもあるラリー・
ブリリアント博士(61)が就任。同博士は、病気の流行を早期発見できるシステムの開発を進
めていたが、オーグでも引き続き行う予定。【9 月 18 日】
グーグルは、会計ソフト大手インテュイット(Intuit)と提携し、インテュイットの「クイッ
クブックス」を融合したサービスを中小企業向けに提供していく。クイックブックスの顧
客企業は、自社をグーグル・マップスに登録できる。また、検索者を自社のウェブサイト
へ導く広告プログラム「アドワーズ」を利用できる。これらのサービスは、今秋発売予定
のクイックブックス 2007 年版に組み込まれる予定。【9 月 15 日】
グーグルは、過去数十年間に及ぶ過去記事を検索できる新サービスを開始した。対象とな
るのは、ワシントン・ポスト紙や英ガーディアン紙、タイムズ誌など。ニューヨーク・タ
イムズも創刊した 1850 年代までさかのぼった記事を一部有料で提供する計画。グーグルは
世界中の情報をデジタル化して体系化することを目指して、大学図書館の蔵書などのデジ
タル化に取り組んで来た。しかし、AFP のように同社を訴える機関もあり、著作権をめぐ
る課題が未解決のままだ。
一方、グーグルのシュミット最高経営責任者(CEO)は、アップルの取締役に就任した。
【9 月 7 日】
(8)オラクル
企業向けソフト大手オラクルの 6-8 月期決算は増益となった。企業向け応用ソフトのライ
センスの収入増が奏功した。同社の社長は、応用ソフト市場で独 SAP から急速にシェアを
奪っていると自信を見せている。
主な企業の決算報告:
企業名
四半期売上高
オラ ク ル
35. 9 億ド ル
前年同期比
30.00%
四半期純益
6. 7 億ド ル
前年同期比
29. 00%
2. パーソナル・コンピュータ(PC)と OS
(1)セキュリティ大手シマンテックは、ネットワーク機器大手ジュピター・ネットワークス
と提携した。両社は今後、ジュピターのネットワーク機器にシマンテックのセキュリティ
技術を搭載していく。これにより、ジュピターはセキュリティ関連製品を拡充でき、その
一方でシマンテックは、ネットワーク技術にも市場を拡大できる。
具体的には、シマンテックのスパム防止、 ID 認証、侵入防止技術などを、ジュピターの
「ユニファイド・スレット・マネジメント」および侵入防止製品などに組み込む。共同ブ
ランド製品は、90〜120 日以内に発売される見通しだ。【9 月 15 日】
(2)デジタル録画機(DVR)サービス大手のティーボ(Tivo)は、高品位(HD)テレビ番組の録
画と視聴に対応した新製品「シリーズ 3HD デジタル・メディア・レコーダ(Series3 HD
Digital Media Recorder)」を発売した。チューナー2 基を搭載し、録画済番組を視聴しながら
同時に 2 番組の録画ができる。録画時間は、高品位番組で最大 32 時間、標準解像度の番組
で最大 300 時間まで。【9 月 14 日】
(3)ブラックベリーの製造元リサーチ・イン・モーション(RIM)は、カメラと楽曲プレーヤ
を搭載した初の携帯電話機「パール(Pearl)」を発売した。これにともない、RIM は米携帯電
話サービス4位の Tモバイル USA と提携している。他の携帯電話会社社も 9 月から 10 月に
かけて同製品の採用を開始する見通しだ。新製品は電子メール機能に加え、ダウンロード、
130 万画素のカメラ、保存容量も拡大している。【9 月 11 日】
(4)サン・マイクロシステムズは、法人向けサーバ市場で第 2 四半期、売上高シェアを大き
く奪取した。調査会社 IDC が報告した。一方でデルが苦戦していることも明らかになった。
サーバ市場全体の第 2 四半期の成長率はわずか 0.6%で、総売上高は 122 億 8000 万ドルにと
どまった。これに対して、サンのサーバ総売上高は 15.5%増の 15 億 8000 万ドルに達し、市
場シェアは第 1 四半期の 10.8%から 12.9%に伸びた。サンは第 1 四半期にも業績を伸ばして
いる。同社は事実上、Unix サーバ市場ではトップに立ったことになる。
しかし、サーバ市場全体の売上高シェアでは、サンは 3 位となっている。トップは IBM
でシェア 31%、2 位はヒューレット・パッカード(HP)で 27.8%だった。【8 月 25 日】
(5)ディッシュ・ネットワークと5大ネットワーク放送局が電波配信をめぐって争っていた
件で、連邦最高裁判決はネットワーク側の言い分を認め、ティーボに対してサービスの停
止を命じた。早ければ、すぐに一部利用者に対して提供していたサービスを停止する。同
社は約 80 万人の遠隔地利用者に対して、地上波ネットワーク放送の番組を提供していたが、
これに対して、ネットワーク大手 5 社が違法行為だと訴えていた。
エコスターはこれまで 8 年以上にわたって、地元視聴者のパイを違法に奪っていると訴え
る地方局に反発してきた。しかし、今回の最高裁判決により、この争いに最終的な決着が
ついたと見られている。【8 月 23 日】
(6)オン・デマンド型顧客関係管理(CRM)サービスを提供する Salesforce.com は、新興企業
キーデン(Kieden)を買収した。同社は、グーグルのウェブ広告キャンペーンの購入と管理用
ホスティング・サービス向けアドオンを開発している。買収により、Salesforce.com は、新
サービス「セールスフォース・フォー・グーグル・アドワーズ(Salesforce for Google
AdWords)」を提供する。新サービスは、Salesforce.com のアプリケーションからグーグル・
アドワーズ広告キャンペーンを開始し、キーワードをクリックしたユーザーの中から、見
込み客は誰かなどの分析ができるようにする仕組みだ。料金は1社あたり月額 300 ドル。
【8 月 23 日】
3.インターネットとメディア・ビジネス
(1)リアル・ネットワークスはハードディスク製造のサンディスクと携帯楽曲プレーヤ「サ
ンサ・ラプソディ(Sansa Rhapsody)」を共同開発する。製品はサンディスクの楽曲プレーヤ
「e200」をベースに開発し、リアル社の携帯端末向けサービス「ラプソディ・ツー・ゴー
(Rhapsody To Go)」の試用サービスの一環として数百曲を内蔵する。年末商戦に向けて発売
する。価格は未定。
また、ラプソディ以外の楽曲サービスも利用できるようにするため、マイクロソフトのデ
ジタル権利管理技術も引き続き搭載する。【9 月 19 日】
(2)携帯電話サービス最大手シンギュラー・ワイヤレスは、動画共有サイト、ユーチューブ
(YouTube)で行われるバンド・グループの音楽賞のスポンサーになる。両社は 10 月2日
から 18 日の間、レコード会社との契約を目指すバンドを対象に公募する。最終選考は、ユ
ーザーの投票によって決められる。部門としては、ベストソング、ベスト音楽ビデオ、ベ
ストライブパフォーマンス、ベストクリエイティブワークの4部門がある。【9 月 20 日】
ユーチューブは、ワーナー・ミュージック・グループが提供する音楽ビデオクリップに表
示される広告の収入を共有することで合意に達した。契約は年内に執行される予定。【9 月
19 日】
(3)AOLは、保険会社大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)と提携して、
有料会員向けに、ID 盗難とコンピュータの破損に対する保険を提供していく。保険は、ID
盗難に関する被害補償は最高 1 万ドル、コンピュータ破損で最高 1000 ドルとなる。ID 盗難
に関しては、個人情報の盗難によって却下された融資の再申込費用、弁護士料、信用報告
関連費用、および 2000 ドルまでの逸失賃金を補償する。詐欺被害額などは補償対象外だ。
また、コンピュータの物理的破損については、修理・交換費用を補償する。
ただし、補償額は、購入時の価格ではなく、その時点でのコンピュータの市価に基づく。
また、補償は、家財保険など他の保険が下りた後の残額に適用される。また、保険を利用
するには、AOLが無料提供しているファイヤーウォールとコンピュータ機能のチェックツ
ールを利用しなければならない。【9 月 13 日】
AOL は、動画ポータルの提供に伴い、ハリウッドの映画スタジオ各社と提携した。サイ
トでは、1 作品につき 9 ドル 99 セントから 19 ドル 99 セントで販売する。ダウンロードは
自由だが、当面は DVD への複製を禁止する見込みだ。利用者は購入から 1 日∼2 日は作品
を視聴できる一方で、ウィンドウズ系の一部のパソコンか、「ウィンドウズ・メディア・
プレーヤ」を搭載した携帯機器での利用に限られる。【8 月 28 日】
(4)ソーシャル検索エンジンのチャチャ(ChaCha.com)は、検索者の質問に回答するユーザー
(ガイド)に対し、1 時間当たり最高 10 ドルのガイド料を支払う。また、他のガイドを紹
介した既存会員に対しても、新ガイドの報酬の 10%を支払う。ガイドは、見習い、プロ、
マスター、エリートの 4 種類に分かれ、利用者やシステムの独自の格付け方式によって評
価されている。質問が出ると、ガイドがライブ・チャットで応答し、答えが書かれたペー
ジのリンクや、参照ページの情報の断片を示す仕組みだ。【9 月 6 日】
(5)映画レンタルチェーン大手ブロックバスターが、オンライン DVD レンタル大手ネット
フリックスを特許の不正取得で訴えていた件で、サンフランシスコ連邦地裁は同社の言い
分を認める判決を下した。ネットフリックスはブロックバスターを特許侵害で訴えていた
経緯がある。【8 月 24 日】
(6)ソニーの米国子会社で映画製作・配給を手掛けるソニー・ピクチャーズエンタテインメ
ント(SPE)は、動画配信サービス Grouper.com を 6500 万ドルで買収する。 Grouper.com は投
稿者も含め数百万人のユーザーを擁している。【8 月 23 日】
4.電子商取引
(1)新興企業ララ・メディアは、中古 CD を交換できるウェブサイト「lala.com」を開設し
た。同サイトでは、利用者が聴かなくなった CD のリストを登録する。ほかの利用者が欲し
い CD を同サイトで見つけた場合、サイトから所有者本人に電子メールが届く。取引成立後
は、サイトが用意する料金別納封筒とプラスチックの CD ケースで希望者に直接郵送する仕
組みだ。ただし、取り寄せることのできる CD は、自らが登録している CD の枚数による。
受け取り側の住所と名前はすべて明かされるが、姓は頭文字だけとなっている。1 回の取引
料は 1 ドル(切手代 75 セントは別)のみ。同社は、CD の取引額の 20%を、当該アーチス
トか各種非営利団体に寄付する。【9 月 18 日】
(2)ソーシャル・ネットワーキング・サイト(SNS)の人気に乗じて、オンライン・ショッピ
ングと SNS を組み合わせた e コマースサイト「ソーシャル・ショッピング」が登場してい
る。主なサイトとして、ThisNext.com や Kaboodle.com、Wists.com、StyleHive.com などがあ
る。これらのサイトは、利用者が集まって買い物情報を交換する場を提供しており、SNS
のように検索やブログ(書き込み)ができる。登録利用者は自分が見つけた商品の情報や販売
店のウェブ・アドレスを載せたウェブページを作成するだけでなく、ソフトをダウンロー
ドすれば商品の画像も掲示できる。【9 月 15 日】
(3)オンライン小売り大手 Amazon.com は、映画配信サービス「アマゾン・アンボックス
(Unbox)」を開始した。提供するのは、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、20 世紀
フォックス、ワーナー・ブラザース、パラマウント・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピク
チャーズなど 30 社以上の制作会社やテレビ局の作品。ユーザーは、パソコンにダウンロー
ドして視聴する仕組みだ。画質は DVD 並みの高画質で、「ウィンドウズ XP」に対応する。
ほとんどの作品は 7.99〜14.99 ドルで、テレビ番組は 1 本 1.99 ドルで販売する。映画のレン
タルは 1 本あたり 3.99 ドル。【9 月 11 日】
(4)マイスペース(MySpace)は今秋、楽曲配信技術を提供するスノキャップ(Snocap)と提携し
て、オンライン楽曲販売ストアを開設する。ストアでは、音楽会社やアーチストの著名度
やサイズにかかわらず、様々な楽曲を売り手の希望価格で販売するのが特徴。独立系バン
ドや音楽会社と未契約のアーチストにとって重要な販売チャネルとなりそうだ。音楽会社
やアーチストは、スノキャップが構築する楽曲カタログのデータベースに販売したい楽曲
をアップロードし、販売契約を結ぶ。【9 月 6 日】
(5)ネット競売最大手の e ベイは、グーグルとオンライン広告の分野で提携すると発表した。
提携により、グーグルは米国外で e ベイの文章広告を独占的に手掛ける。さらに、広告に表
示されたリンクをクリックするだけでコールセンターと電話で話せる「クリック・ツー・
コール」も共同開発していく。
e ベイは今年 5 月、オンライン広告や決済などの分野でヤフーと戦略的提携関係を結んで
いるが、広告を 1 社に全面依存することを懸念していた。【8 月 28 日】
5.半導体
(1)米通信機器大手モトローラは、バーコード読み取り機器メーカーのシンボル・テクノロ
ジーを約 39 億ドルで買収する。シンボルは、無線認証(RFID)タグの関連技術も保有して
いる。買収手続きは来年初頭に完了する見込みだ。【9 月 20 日】
(2)サムスン電子は、デジタル機器がデータをより迅速に保存できる相変化メモリ(PRAM)
チップを発表した。同チップは、電子機器の電源が入っていない状態でもデータを保持し、
記憶容量は通常のフラッシュメモリの約 30 倍に相当する。公開されたのは 512 メガバイト
の PRAM機器の原型で、サムスンは、2008 年の発売を計画している。
同社はまた、40 ナノメートル加工技術を使った 32 ギガバイト NAND 型フラッシュメモリ
も公開した。これまでの 70 ナノ製品に比べてより小型化が可能になる。【9 月 13 日】
(3)ユニバーサル・ディスプレイ(Universal Display)は、有機発光ダイオード(OLED)を使う
室内照明を開発している。OLED は発光プラスチックの薄膜(シート)。シートのサイズを拡
大して輝度を高めることで、白熱電球の代替品を実現できると期待されている。【9 月 12
日】
(4)半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)は、携帯電話でテレビ番組を録画できるビ
デオチップ「ハリウッド」を開発した。同チップは、オープン規格「デジタル・ビデオ・
ブロードキャスト・ハンドヘルド(DVB-H)」を採用。ビデオクリップを録画して、場所を問
わずに再生できる。同チップは、ラジオ波受信機とデコーダを 1 つのシリコンウエハー上
に統合。これにより、スペースの削減に成功している。同チップを搭載した携帯電話機は
来年にも登場する見込みだ。ただし、今のところ、米国内の携帯電話会社で同チップの採
用を発表した会社はない。【9 月 7 日】
(5)仏通信機器メーカー大手アルカテルは、カナダのノーテルネットワークスのユニバーサ
ル・モバイル・テレコミュニケーションズ・システム(UMTS)ラジオ接続機器部門を総額 3
億 2000 万ドルで買収する。これにより、欧州・アジアにおける第 3 世代(3G)携帯電話事業
を強化する考えだ。買収には、基地局の機器、ラジオネットワーク・コントローラ、運営
管理ソフトが含まれる。
UMTSは、3G 携帯電話技術の 1 つで、データ通信アプリケーション向けに高速通信を提
供できる。標準規格として W-CDMA を採用している。【9 月 6 日】
(6)半導体メーカーのブロードコム(Broadcom)がクアルコム(Qualcomm)を相手取り起こした
独禁法違反訴訟で、ニュージャージー州地裁がこれを却下した。ブロードコムは、差別的
なロイヤルティの徴収や排他的な特許の供与行為など、クアルコムが複数の独禁法違反を
犯していると訴えていた。
ブロードコムは欧州委員会にも同様の申し立てを行っており、正式な調査の実施有無につ
いて、今年末の決定を見込んでいる。【9 月 3 日】
6.その他
(1)ブロードバンド接続サービスを提供するコバド・コミュニケーションズは、零細企業向
けに廉価な IP 電話(VoIP)サービス「コバド・クリアエッジ・オフィス(Covad ClearEdge
Office)」の提供を開始した。対象となるのは、従業員 20 人までの企業。無制限の米国内通
話プランは月額 40 ドルと割安だが、同社のブロードバンド接続サービスを利用しているの
が条件となる。
零細企業向け IP 電話サービスではこのほか、8X8 が無制限通話の「パケット 8・バーチャ
ル・オフィス・サービス」を月額 40 ドルで提供している。同社のアナログ式デスクトップ
電話(99 ドル)か既存の電話線と連動する。【9 月 14 日】
(2)新興企業のネザーコム(Nethercomm)は、一般家庭に引かれている天然ガス用の管をイン
フラとして利用する無線ブロードバンド技術を開発した。ガス管は米国世帯の 62%に敷設
されている。(米国ガス協会調べ)このためネザーコムは、電話会社やケーブルテレビ
(CATV)会社のブロードバンド接続サービスが行き届かない地域に安価なサービスを提供で
きると期待している。
ガス会社は、同社から賃貸料収入を得られる他、ブロードバンド接続サービスを利用し、
ガス管線やガス計量器の遠隔監視や測定が可能になるというメリットがある。
ガス管を利用するブロードバンド接続サービスは「 BIG(Broadband in Gas)」として知られ
る。これまでは、ガス管の物理的特徴から通信に利用すると無線信号の強度が失われると
いう問題があった。しかし、ネザーコムは独自の技術を利用することで、データパケット
の損失を補うことを可能にしたという。【9 月 12 日】
(3)ゲーム開発会社ブレイクアウェイ・ゲームズ (BreakAway Games)はこのほど、テロや天
災など緊急時における危機管理能力を身に付けるコンピュータ・ゲーム「インシデント・
コマンダー」を地方自治体に無料で提供した。
このゲームは、司法省がゲーム開発に 35 万ドルを投じることを合意した契約の一環。残
りの開発費 150 万ドルはブレイクアウェイが負担した。
このゲームが実際に役立ったケースもある。たとえば、イリノイ州に住むジョー・バーロ
ー救急医療士はちょうと 1 年前、同ゲームを 1 週間試した。数日後にハリケーン「カトリー
ナ」が襲来し、ルイジアナ州バトンルージュにある 800 床規模の病院で指揮を取ることに
なったが、現場における決断の多くをゲームから学んだという。ゲームでは資源や通信手
段の確保といった、混乱する状況の中でも優先順位を判断できるような訓練も含まれてい
る。【9 月 6 日】
(4)次世代の高速無線規格「Wi-Fi(802.11n)」の標準規格策定が長引く中、業界団体の Wi-Fi
アライアンスは、電気電子学会(IEEE)が規格を策定する前に、互換性を示すための認定プロ
グラムを来年にも開始する。
今のところ、標準規格の最終版の決定は 2008 年第 1 四半期にずれ込むと見られている。
しかし、すでに一部のネットワーク機器メーカーは、今年の春から未策定の規格(ドラフト
N)を使い独自に開発した製品を市場に投入し始めている。その結果、各社の製品間で非互
換性が生じ、製品の性能自体にもばらつきが出ているのが現状だ。同団体によると、なん
ら対策を講じない限り、来年上半期だけでドラフト N を採用した何百万個の機器が出回る
ようになってしまうという。
現在、ドラフト Nを利用した機器を製造する大手としてエアーゴー・ネットワークス
(Airgo Networks)とアセロス・コミュニケーションズ(Atheros Communications)の 2 社がある。
【9 月 29 日】
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