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「光干渉利用高機能断層画像測定システム」事業原簿

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「光干渉利用高機能断層画像測定システム」事業原簿
第1回「低侵襲超高度選択的/局所診
断・治療一元化システム」「光干渉利用
高機能断層画像測定システム」
(事後評価)分科会
資料 7-1
事後評価分科会資料
「光干渉利用高機能断層画像測定システム」
事業原簿
「光干渉利用高機能断層画像測定システム」
事業原簿
担当部
独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
バイオテクノロジー・医療技術開発部
1
―目次―
概
要................................................................................. 3
プログラム基本計画..................................................................... 5
プロジェクト基本計画.................................................................. 10
プロジェクト用語集.................................................................... 15
Ⅰ.事業の位置付け・必要性について
1.
NEDOの関与の必要性・制度への適合性 ............................................ 17
1.1 NEDOが関与することの意義.................................................. 17
1.2 実施の効果(費用対効果)...................................................... 17
2.
事業の背景・目的・位置づけ........................................................ 17
Ⅱ.研究開発マネジメントについて
1.
事業の目標........................................................................ 18
2.
事業の計画内容.................................................................... 20
2.1 研究開発の内容................................................................ 20
2.2 研究開発の実施体制 ........................................................... 25
2.3 研究の運営管理 ............................................................... 27
3.
情勢変化への対応.................................................................. 29
4.
中間評価結果への対応.............................................................. 29
Ⅲ.研究開発成果について
1.
事業全体の成果.................................................................... 30
2.
研究開発項目毎の成果.............................................................. 31
Ⅳ.実用化、事業化の見通しについて .................................................... 59
2
概
要
作成日
平成 16 年9月7日
制度・施策
(プログラム)名
健康寿命延伸のための医療福祉機器高度化プログラム
事業(プロジェクト)名
光干渉利用高機能断層画像
測定システム
担当推進部/担当者
バイオテクノロジー・医療技術開発部 主査 石川 謙
0.事業の概要
本事業では、医療の無侵襲化・高度化に適用可能な新たな技術の応用可能性や再生医療な
ど細胞レベルでの診断・治療に必要な要素技術についての研究を行うとともに、健康増
進、疾病予防をより重視していく観点から、迅速で無侵襲的に検査を可能とする技術など
次世代の医療機器開発のために必要な基盤研究を行う。
Ⅰ.事業の位置付け・必
要性について
従来の高波コヒーレンス断層画像測定法(OCT)技術をベースに高空間分解能化、小型化、
多機能化の点から改善して、幅広い臨床応用に対応するための基盤研究を推進し、さら
に、次世代の基礎技術のための研究を行うことを目的とする。医学と工学(光学)の学際領
域に位置する OCT において、新しい要素技術の創出よる OCT の基本性能向上や臨床応用の
拡大化は、新しい医療技術さらには新しい産業の創出に非常に重要である。
プロジェクト
番号
P00031
Ⅱ.研究開発マネジメントについて
事業の目標
全体の目標は、平成15年度までに診断技術に関しては光学的診断技術の研究等を行
い、これらの成果を踏まえて継続的に研究開発を行い、速やかに機器開発につなげること
である。
主な実施事項
H12fy
H13fy
H14fy
H15fy
H12fy
H13fy
H14fy
H15fy
総額
58
54
46
42
200
0
0
0
0
0
58
54
46
42
200
小型集積型光学素子(小型 OCT 試作)
小型集積型光学素子(合成光源試作)
内視鏡融合 OCT の試作
生化学的情報抽出分光型 OCT 試作
事業の計画内容
高精度吸収スペクトル測定
動画測定(画像高速処理の検討)
動画測定(時間ゲート OCT 試作)
血流等の断層画像の測定
高機能新光学系(新規干渉計型 OCT)
高機能新光学系(GRIN レンズ型 OCT)
会計・勘定
開発予算
(会計・勘定別に事業
費の実績額を記載)
(単位:百万円)
開発体制
情勢変化への対応
一般会計
特別会計
(電多・高度化・石油の別)
総予算額
経産省担当原課
経済産業省 商務情報政策局
医療・福祉機器産業室
プロジェクトリーダー
なし
サービス産業課
委託先(*委託先が管理
法人の場合は参加企業数
国立大学法人 山形大学
も記載)
研究の進展・ニーズに対応して、研究計画を重点化した。
3
全体:4年間の本事業を通して OCT に関する貴重な知見、新しい提案が得られた。これよ
り、今後、これらの研究テーマの継続的な推進及び新たな技術の創出において、本事業
で得られた成果は大きな研究基盤になることから、本事業は非常に有意義であった。
1
2
3
4
5
6
Ⅲ.研究開発成果につい
て
7
8
9
10
デスクトップ型の小型 OCT 装置を試作し、空間分解能 18μm を確認し、深さ 1mm の玉
ねぎの断層画像を測定した。
高空間分解能化を目的に、2つの LED からなる合成光源を試作し、光軸方向分解能
1.2μm を測定した。
気管支用内視鏡融合型 OCT を試作した。空間分解能は 20μm で測定時間は 0.5s で幅
2mm,深さ 2mm の玉ねぎの断層画像を測定した。
分光型 OCT を試作して、原理動作を確認した。空間分解能 20μm、波長分解能 3nm、
波長領域 20nm を確認した。
グルコースの吸光度スペクトルの濃度依存性を詳細に検討して、波長の依存性変化を
検討した。
新しい測定光学系の提案により、71μs の露光時間、10Hz の繰り返しで生体の断層画
像を測定できるシステムを試作した。高速の生体現象を断層画像で測定できる可能性
があり、脳神経系の機能解明への応用が大いに期待される。また、2枚の画像データ
から断層画像を算出する方法を数値解析して、SN 比が従来の方法の 0.7 倍であるこ
とがわかった。
断層画像と流れのベクトルを同時に測定する方法を提案し、原理動作を確認した。
空間分解能 20μm、測定速度 数 mm/s を確認した。
OCT の小型化に有効な同軸型ミロー干渉計を提案し、動作確認を行い、粗面形状の測
定を行った。さらに、長い動作距離が特徴の改良型ミロー画像干渉計を提案し OCT へ
の有効性を実験的に確認した。
OCT の小型化に有効な部分遅延フィゾー干渉計を提案し、動作確認を行い、OCT とし
ての基本特性を明らかにした。さらに玉ねぎの断層画像を測定し、二次元干渉画像光
学系への拡張も可能なことを確認した。空間分解能 20μm、測定深さ 0.1mm を確認し
た。
体表に設けた穴から体深部臓器表面付近の断層画像を測定することが特徴である GRIN
レンズ型 OCT を提案して、原理動作確認を行った。さらに玉ねぎの断層画像を測定し
て OCT として有効なことを確認した。空間分解能 20μm、測定深さ 0.14mm を確認し
た。
投稿論文
「査読付き」19件、
「国際会議」18件
特
「出願済」17件
許
・気管支用内視鏡融合型 OCT 実用化まで、約6年
小型光プローブの研究:2年、安全性・殺菌処理等の研究:2年、臨床試験:2年
・GRIN レンズ型 OCT 実用化まで、約7年
高速化・高感度化の研究:3年、安全性・殺菌処理等の研究:2年、臨床試験:2年
Ⅳ.実用化、事業化の見
通しについて
・時間ゲート OCT 実用化まで、約9年
新機能確認・高感度化:5年、安全性・殺菌処理等の研究:2年、臨床試験:2年
・汎用小型 OCT 実用化まで、約9年
差別化技術の実用化研究:5年、安全性・殺菌処理等の研究:2年、臨床試験:2年
(*期間は、全て十分な予算、研究協力者を想定)
Ⅴ.評価に関する事項
Ⅵ.基本計画に関する事
項
事前評価
なし
中間評価以降
H16 年度
作成時期
H11 年 3 月
作成
変更履歴
H15 年 3 月
改訂
事後評価実施
4
プログラム基本計画
・健康寿命延伸のための医療福祉機器高度化プログラム基本計画
1.目的
高齢社会における安心・安全で質の高い生活を実現するとともに、高齢者等の要介護期間を低減し、国
民の健康寿命の延伸に資するため、高度医療機器や高齢者等の健康で積極的な社会参加を支援する機器等
を開発する。また、重点的な研究投資や研究開発のための環境整備を行うことで医療福祉機器産業の国際
競争力強化をする。
2.政策的位置付け
科学技術基本計画(2001年3月閣議決定)における国家的・社会的課題に対応した研究開発の
重点化分野であるライフサイエンス分野、分野別推進戦略(2001年9月総合科学技術会議)にお
ける重点分野であるライフサイエンス分野に位置づけられるものである。
そして、「産業発掘戦略−技術革新」(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002 」
(2002年6月閣議決定)に基づき2002年12月取りまとめ)の健康・バイオテクノロジー分
野における戦略目標(研究開発の圧倒的充実、産業化プロセスの抜本的強化及び国民理解の徹底的浸
透)に対応するものである。また、産業技術戦略(2000年4月工業技術院)における社会的ニー
ズ(高齢社会における安心・安全で質の高い生活の実現)への対応、革新的、基盤的技術(バイオテ
クノロジー)の涵養、知的な基盤の整備への対応を図るものである。さらに、バイオテクノロジー戦
略大綱(2002年12月閣議決定)において実現が期待される健康と長寿の達成(よりよく生き
る)に対応するものである。
3.目標
2010年までに、高齢者に多い疾病の早期発見、治療技術の高度化、社会参加支援機器の開発等
により、高齢社会における安心・安全で質の高い生活を実現するとともに、高齢者等の要介護期間を
短縮し、男女平均73.8才(2001年WHO 発表)である国民の「健康寿命」を「平均寿命」
により近づける「健康寿命の延伸」を実現する。また、医療福祉機器産業の国際競争力強化を実現す
るため、我が国の医療福祉機器技術の水準を世界最高レベルにまで向上させる。
4 .研究開発内容【プロジェクト】
(1)早期診断・短期回復のための高度診断・治療システムの開発
① 概要
近年、急増している、ガン、脳卒中、高血圧、糖尿病、循環器系疾患といった生活習慣病や痴呆
等の寝たきりの原因となりやすい疾病・障害について、予防や早期の診断・治療を可能とする高度
な診断・治療機器等の開発を行う。
② 技術目標及び達成時期
(ア)超音波利用循環器系疾患診断システム
2002年度までに、動脈硬化や心疾患等の循環器系疾患を主な対象として、対象疾患部位の
特徴に適した画像形成方式による高度な超音波診断技術を確立する。
(イ)低侵襲高度手術支援システム
2004年度までに、内視鏡やMRI、X 線(DVT)等による患部への正確な術者誘導技
術とマニピュレーター技術を応用することによって、患者の負担を軽減し、回復期間を短縮化す
る低侵襲高度手術支援システムを開発し、同時に医療プロセスにおける安全性向上のための技術
を確立する。
(ウ)精密診断・標的治療システム
2005年度までに、疾病の早期発見や患者個人に最適な治療方策の選択支援を可能とする精
密診断システム、並びに最適な薬剤投与や患部に限定した治療を可能にする標的治療システムを
確立する。
③ 研究開発期間 1998年度∼2005年度
④ 中間・事後評価の実施時期
5
中間評価を2003年度に、事後評価を2006年度に実施。
⑤ 実施形態
民間企業、大学、公的研究機関等から最適な研究体制を構築し実施。
(2)身体機能代替・修復システムの開発
① 概要
従来の医療技術では回復が期待できない失われた身体機能を、人工的に代替・修復することで患
者の日常生活や社会復帰を支援し、生活の質の著しい改善に寄与する身体機能代替・修復技術の開
発を行う。
② 技術目標及び達成時期
(ア)身体機能代替技術
2005年度までに、自己修復が困難な疾患部位や病態に対して、身体臓器の機能を人工的
手段で代替する機器技術を確立する。
(イ)身体機能代替・修復支援技術
2006年度までに、生体親和性の高いインプラント材料の性能評価技術等の技術を確立す
る。
③ 研究開発期間 2000年度∼2006年度
④ 中間・事後評価の実施時期
中間評価を2004年度に、事後評価を2007年度に実施。
⑤ 実施形態
民間企業、大学、公的研究機関等から最適な研究体制を構築し実施。
(3)高齢者等社会参加支援のためのシステムの開発
① 概要
高齢者等の自立した生活の実現を支援し、また、積極的な社会参加を促すために、四肢の機能回
復を図るシステムや高齢者等の日常生活を支援するシステムなど、加齢や疾病等によって衰えた身
体機能の補助や回復を促す機器等を開発する。
② 技術目標及び達成時期
2003年度までに、訓練者の状態に沿った適切な動作訓練を安全に実施し、回復度の評価に必
要なデータ計測ができるとともに、評価結果に基づいて、医師や療法士の治療ノウハウに基づいた
訓練メニューを提示できるシステムを確立する。また、高齢者が親しみやすく利用しやすい日常生
活支援システムを確立する。
③ 研究開発期間 1999年度∼2003年度
④中間・事後評価の実施時期 事後評価を2004年度に実施。なお、中間評価は要素技術開発毎
に実施。
⑤実施形態 民間企業、大学、公的研究機関等から最適な研究体制を構築し実施。
(4)ナノカプセル型人工酸素運搬体製造プロジェクト(フォーカス21 )
① 概要
ナノテクノロジーを用いることにより、鮮度との関係で2割近くが期限切れにより処分されて
いる血液の有効成分を活用し、長期間保存可能で、誤った血液型の輸血や、輸血によるウィルス
感染の心配のない人工酸素運搬体(人工赤血球)の製造技術を開発する。
② 技術目標及び達成時期 2005年度までに、人工酸素運搬体の製造技術を確立する。
③ 研究開発期間 2003年度∼2005年度
④ 事後評価の実施時期 事後評価を2006年度に実施。
⑤ 実施形態 民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を構築し実施。
(5)微細加工技術利用細胞組織製造プロジェクト(フォーカス21)
① 概要
6
近年、重要性の増している再生医療の実用化に向け、移植用細胞・組織を臨床現場へ安定的に
供給するため、ナノテクノロジーを活用し、ヒト幹細胞の増殖・分化過程を遺伝子レベルで人為
的に制御・培養する技術及び装置等の基盤技術を確立する。
② 技術目標及び達成時期
2005年度までに、心筋細胞及び中枢神経細胞を対象に、再生医療を支援するために必要と
なる技術を確立する。
③ 研究開発期間 2003年度∼2005年度
④ 事後評価の実施時期 事後評価を2006年度に実施。
⑤ 実施形態 民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を構築し実施。
(6)バイオ・IT 融合機器開発プロジェクト(フォーカス21)
① 概要
DNA 、タンパク質等の解析に用いられる超高速DNA シーケンサーやタンパク質自動解析
装置、次世代生体情報計測機器等、超高速・高精度な機器やソフトウエアを含んだシステムを構
築し、膨大かつ複雑な生命・臨床情報を解析・活用するシステム等を開発する。
② 技術目標及び達成時期
2005年度までに、我が国が得意とする情報・機器技術やバイオ技術を結集して、従来型の
機器のダウンサイジング、PCR(DNA の増幅手法)や電気泳動、MS(質量分析器)の連動等によ
る自動化、生体情報計測の無侵襲化等を達成し、画期的なバイオ研究用機器、試薬、診断機器等
を開発する。併せてそれらの機器から得られるデータ処理のためのソフトウエア等の開発を行う。
③ 研究開発期間
2002年度∼2005年度
④ 事後評価の実施時期
事後評価を2006年度に実施。
⑤ 実施形態
民間企業、大学、公的研究機関等から、最適な研究体制を構築し実施。
【実用化開発】
(1)国民の健康寿命延伸に資する医療機器・生活支援機器等の実用化開発補助事業
① 概要
健康寿命を延伸するために、ガン・心疾患・骨折・痴呆・脳卒中に加え、新たに糖尿病等、近
年急増している疾患の予防や早期の診断・治療を可能とする医療機器、並びに高齢者の活力ある
生活の実現に寄与するため、積極的な社会参加を支援する機器の実用化段階の開発のうち、臨床
面と一体となって行う開発について支援する。
② 技術目標及び達成時期
研究開発終了後3年以内に治験実施または薬事法承認申請を行う。
③ 研究開発期間
3年以内(テーマ毎に設定)
④ 中間・事後評価の実施時期
採択テーマ毎に年度終了後提出される実績報告書をもとに進捗状況のモニタリングを実施。さ
らに補助期間終了後5カ年間にわたり、毎年度1回提出される企業化状況報告書をもとにモニタ
リングを実施。
⑤ 実施形態
臨床面と密接に連携が図られる民間企業等を選定し実施。また、必要に応じて厚生労働省が臨
床側に、経済産業省が企業等に各々助成を行うマッチングファンド方式を取り入れる。
(2)エネルギー使用合理化在宅福祉機器システム開発補助事業
① 概要
我が国の高齢化の進展に伴い、今後、一般家庭において福祉機器等の導入により民生エネル
ギー消費の増大が予想される。エネルギー使用の合理化を着実に実施するためには、エネルギー
を効率的に使用する在宅福祉機器システムの開発が必要である。このため、高齢者配慮住宅の構
造特性、福祉機器の使用特性等を踏まえながら、エネルギー有効利用型の在宅福祉機器システム
7
の研究開発を行う。
② 技術目標及び達成時期
2002年度までに、高齢者の快適性と安全性に配慮したオンディマンド省電力型快適トイレ
空間や利便性と省エネの両立を可能とする電力管理機能を持つ次世代環境制御装置等、エネル
ギー有効利用型の在宅福祉機器システムを確立する。
③ 研究開発期間
1999年度∼2002年度(1テーマあたり3年以内)
④ 中間・事後評価の実施時期
事後評価を2003年度に実施。
なお、採択テーマ毎に年度終了後提出される実績報告書をもとに進捗状況のモニタリングを実
施。さらに補助期間終了後5カ年間にわたり、毎年度1回提出される企業化状況報告書をもとに
モニタリングを実施。
⑤ 実施形態
適切な研究課題、大学、公的機関等を選定し実施。
【技術シーズの発掘】
(1) 健康寿命延伸に資する医療福祉機器開発のための基礎研究
① 概要
医療の低侵襲化・高度化に適用可能な新たな技術の応用可能性や再生医療など細胞レベルでの
診断・治療に必要な要素技術についての研究を行うとともに、健康増進、疾病予防をより重視し
ていく観点から、在宅で非侵襲的に検査を可能とする技術の研究など医療の日常化に資する医療
機器開発のために必要な研究を行う。
② 技術目標及び達成時期
2003年度までに、診断技術に関しては、高感度遺伝子診断技術や電気化学的遺伝子情報読
み取り技術、形態情報と細胞レベルの機能情報のリアルタイム統合表示技術、および光学的診断
技術の研究等を行う。治療技術に関しては、高機能カテーテルや体動に同期した放射線治療技術
など患部局所に対する治療技術の研究等を行い、研究開発終了後速やかにこれらの成果を機器開
発につなげる 。
③ 研究開発期間
1999年度∼2003年度
④ 中間・事後評価の実施時期
事後評価を2004年度に実施。
なお、中間評価は要素技術開発毎に実施。
⑤ 実施形態
大学の医学部・工学部等から最適な研究体制を構築し実施。
5 .研究開発の実施に当たっての留意事項
【フォーカス21の成果の実用化の推進】
フォーカス21は、研究開発成果を迅速に事業に結び付け、産業競争力強化に直結させるため、
次の要件の下で実施する。
・技術的革新性により競争力を強化できること。
・研究開発成果を新たな製品・サービスに結び付ける目途があること。
・比較的短期間で新たな市場が想定され、大きな成長と経済波及効果が期待できること。
・産業界も資金等の負担を行うことにより、市場化に向けた産業界の具体的な取組が示されてい
ること。
具体的には、成果の実用化に向けた、実施者による以下のような取組を求める。
・ナノカプセル型人工酸素運搬体プロジェクト
事業費の2分の1負担により、人工酸素運搬体の製造技術を確立する。また、事業終了後、
早期に人工酸素運搬体の実用レベルでの供給を図る。
・微細加工技術利用細胞組織製造プロジェクト
心筋細胞及び中枢神経細胞を対象に、臨床応用可能なレベルまで大量に目的の細胞や組織を
ウイルスフリーで安全に安定供給できる自動培養装置等を同時並行的に開発し、早期実用化を
8
図る。
・バイオ・IT 融合機器開発プロジェクト
事業費の2分の1負担により、従来型の機器のダウンサイジング、PCR や電気泳動、MS の
連動等による自動化、生体情報計測の無侵襲化等を達成し、画期的なバイオ研究用機器、試薬、
診断機器等の実用化開発を行い、併せてそれらの機器から得られるデータ処理のためのソフト
ウエア等の実用化開発を行う。
なお、適切な時期に、実用化・市場化状況等について検証する。
6 .プログラムの期間、評価
プログラムの期間は、2000年度から2006年度までとし、プログラムの中間評価を200
4年度、事後評価を2007年度に行う。また、研究開発以外のものについては2011年度に検
証する。
7 .研究開発成果の政策上の活用
各プロジェクトの終了後5年以内に学会等の医学専門家により評価され疾患の診療指針に位置づ
けられるなど、臨床現場への普及。
8 .政策目標の実現に向けた環境整備
研究開発成果を社会に迅速に受容・還元して医療現場に導入していくため、厚生労働省と連携し、
以下の施策について検討・推進を行う。
・先端的な臨床研究を行う研究拠点において機器開発・評価が可能な実施主体に対して優先的に
資金を配分するなど、医学側研究者と工学側研究者の適切な連携体制の構築を促進する。
・国民の健康維持・増進といった「セルフケア」を促進する環境づくりと「治療」から「予防」
への転換を目的とした、健康・医療・福祉に関連する産業界等との連携による「健康市場」の
創出の推進。
・開発された医療機器の円滑な実用化のため、医療機器のリスクや効果に応じた規制のあり方に
ついて、産学官での検討を開始する。
・技術力が高い中小ベンチャー企業の資金負担を軽減するために臨床試験時に必要となる研究費
の助成等を行うなど新規参入を促進し、医療福祉機器産業の市場を活性化させる方策について
検討を行う。
・高齢者等社会参加支援機器については、関係省庁との緊密な連携のもとで、調達や標準化(J
IS化)等の手法による実用化及び普及促進の方策を検討する。
・インプラント材料については、性能評価技術の標準化(JIS化)を推進する。
9 .改訂履歴
(1) 平成12年12月28日付け制定。
(2) 平成14年2月28日付け制定。がん・心疾患等対応高度医療機器プログラム(平成12・
12・27工総第13号)は、廃止。
(3) 平成15年3月10日付け制定。健康寿命延伸のための医療福祉機器高度化プログラム基本
計画(平成14・02・05産局第2号)は、廃止。
9
プロジェクト基本計画
・
「健康寿命延伸に資する医療福祉機器開発のための基礎研究」基本計画
1
研究開発の目的・目標・内容
(1) 研究開発の目的
高齢社会における安心・安全で質の高い生活の実現及び国民の健康寿命の延伸に資
すると
ともに、医療福祉機器産業の国際競争力強化を実現するため、2010年まで
に高齢者に多
い疾病の早期発見、治療技術の高度化、社会参加支援機器の開発等によ
り、我が国の医療福
祉機器技術の水準を世界最高レベルにまで向上させることを目標
とする健康寿命延伸のため
の医療福祉機器高度化プログラムの一環として実施する。
近年、我が国の疾病構造は、感染症などの急性疾患が減少した反面、がんや循環器
病、糖
尿病などの生活習慣病が増加し、さらに最近では「寝たきり」や「痴呆」など
の高齢化に伴
う障害も増加している。これらの疾患・障害は療養に長期を要し、身体
機能や Quality of
Life (QOL)を著しく低下させるとともに、少子高齢社会の到
来による我が国の労働人
口は現在の6,766万人の労働人口から2030年までに
約1,000万人減少する状況
にあり、労働者の医療費負担や家族の介護負担の増加
といった国民生活にとって重要な課題
を生じさせている。また、我が国では、少子・
高齢社会の到来とともに高齢者の一人世帯が
増加する傾向にある。このため、高齢者
等の自立した生活の実現を支援し、また、積極的な
社会参加を促すため、四肢の機能
回復を図るシステムや高齢者等の日常生活を支援するシス
テムなど加齢や疾病等によ
って衰えた身体機能の補助や回復を促す機器等を開発する必要が
ある。
本研究開発では、医療の低侵襲化・高度化に適用可能な新たな技術の応用可能性や再生医療な
ど細胞レベルでの診断・治療に必要な要素技術についての研究を行うとともに、健康増進、疾病
予防をより重視していく観点から、在宅で非侵襲的に検査を可能とする技術の研究など医療の日
常化に資する医療機器開発のために必要な研究を行う。
本研究開発の成果を基に産学官を結集し国のプロジェクトとして医療機器等の開発
を一体
的に推進することで、「健康寿命の延伸」に資するとともに、今後の健康に対
するニーズの
増大に伴い新市場や雇用を創出し得る成長分野として期待されながら、
現状は大幅な輸入超
過の状況(輸出約3千億円、輸入約8千億円)にあり、特に治療
機器については、国内市場
の大半が輸入製品で占められている医療機器産業分野にお
いて、産業競争力の強化に資する。
(2) 研究開発の目標
平成15年度までに、診断技術に関しては、高感度遺伝子診断技術や電気化学的遺伝子情報読
み取り技術、形態情報と細胞レベルの機能情報のリアルタイム統合表示技術及び光学的診断技術
の研究等を行う。治療技術に関しては、高機能カテーテルや体動に同期した放射線治療技術など
患部局所に対する治療技術の研究等を行う。これらの成果は、研究開発終了後速やかに機器開発
につなげる。
(3) 研究開発の内容
上記の目標を達成するため、次に掲げる要素技術開発について、別紙の研究開発計画に基づき
研究開発を実施する。
① 循環器系疾患に対する予後診断を含む低侵襲診断治療システム(平成14年度終
了)
② 低侵襲超高度選択的/局所診断・治療一元化システム
③ 高次生体情報の画像化による診断・治療システム
④ 微小電極利用遺伝子情報計測システム(平成14年度終了)
⑤ 光干渉利用高機能断層画像測定システム
2
研究開発の実施方式
(1) 研究開発の実施体制
研究開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」という。)が公募に
よって選定する企業、民間研究機関、独立行政法人、大学等に委託して実施する。
研究開発の実施に当たっては、必要に応じ、プロジェクトリーダーを置くことができる。この
場合において、プロジェクトリーダーは、NEDOが指名する。
10
(2) 研究開発の運営管理
研究開発の管理・執行に責任を有するNEDOは、経済産業省と密接な関係を維持しつつ、プ
ログラムの目的及び目標並びに本プロジェクトの研究開発の目的及び目標に照らして適切な運営
管理を実施する。このため、NEDOは、必要に応じ、
NEDOに置かれる技術審議委員
会を通じて外部専門家の意見を運営管理に反映さ せ、研究開発の進捗状況について報告を受け
る等の措置を講ずる。プロジェクトリーダーが置かれる場合には、NEDOは、プロジェクト
リーダーとも密接な関係を維持するものとする。
3
研究開発の実施期間
平成10年度から平成15年度まで(6年間)
要素技術開発ごとの実施期間は、次のとおりとする。
① 循環器系疾患に対する予後診断を含む低侵襲診断治療システム
平成14年度終了
② 低侵襲超高度選択的/局所診断・治療一元化システム
平成11年度から平成15年度まで(5年間)
③ 高次生体情報の画像化による診断・治療システム
平成11年度から平成15年度まで(5年間)
④ 微小電極利用遺伝子情報計測システム
平成14年度終了
⑤ 光干渉利用高機能断層画像測定システム
平成12年度から平成15年度まで(4年間)
4
評価に関する事項
国の研究開発評価に関する大綱的指針及び経済産業省技術評価指針並びにNEDOの 技術評価
実施要領に基づき、中間・事後評価を実施する。
要素技術開発に関する評価の類型及び実施時期は、次のとおりとする。
① 循環器系疾患に対する予後診断を含む低侵襲診断治療システム
中間評価 平成13年度
事後評価 平成15年度
② 低侵襲超高度選択的/局所診断・治療一元化システム
中間評価 平成13年度
事後評価 平成16年度
③ 高次生体情報の画像化による診断・治療システム
中間評価 平成13年度
事後評価 平成15年度又は平成16年度
④ 微小電極利用遺伝子情報計測システム
事後評価 平成15年度
⑤ 光干渉利用高機能断層画像測定システム
事後評価 平成16年度
研究開発事業に関する中間・事後評価は、要素技術開発に関する中間・事後評価を踏 まえ、経
済産業政策上の位置付けを明確にすることを主眼に実施することとし、その評 価の類型及び実施
時期は、次のとおりとする。
事後評価 平成16年度
5
その他重要事項
(1) 研究開発成果の取扱い
得られた研究開発成果については、NEDO、受託者とも普及に努めるものとす る。
委託研究開発の成果に係る知的所有権については、新エネルギー・産業技術総合開発機構産業
技術研究開発等業務方法書第19条の規定等に基づき、原則として、すべて受託者に帰属させる
こととする。
(2) 基本計画の変更
NEDOは、研究開発内容の妥当性を確保するため、社会・経済的状況、内外の研究開発動向、
11
産業技術政策動向、プログラム基本計画の変更、第三者の視点からの評価結果、研究開発費の確
保状況、当該研究開発の進捗状況等を総合的に勘案し、達成目標、実施期間、研究開発体制等に
ついて、基本計画の見直しを弾力的に行うものとする。
(3) 根拠法
本プロジェクトは、産業技術に関する研究開発体制の整備等に関する法律第4条第1号に基づ
き実施する。
6
基本計画の改訂履歴
(1) 平成14年3月、健康寿命延伸のための医療福祉機器高度化プログラムの創設
による
研究開発事業の再編成に伴い制定。
(2) 平成15年3月、平成14年度に終了する要素技術開発について、所要の規定
の整備
を行うとともに、その他の要素技術開発について、今後の研究開発に向けた提
言の規定を付
する改訂。
12
(別紙)
研究開発項目「健康寿命延伸に資する医療福祉機器開発のための基礎研究」
E
光干渉利用高機能断層画像測定システム
1 研究開発の必要性
近年、臨床医学から基礎生理学などの幅広い分野において、各種の断層画像撮影が行われる中、
より一層の解像度及び実用化向上が検討されている。このうち、生体に殆ど無害な微弱光を用い、
光干渉を利用した断層画像測定システム(OCT:
Optical Coherence Tomography)は眼科用に利用されているが、原理的に数μm∼数十μmの高
い空間分解能を有することから、今後の研究により組織診断をはじめ幅広い応用が期待されてい
る。
このため、OCT技術を用いた高機能断層画像測定システムの研究を行うことにより、眼科用
のみならず、皮膚系、消化器官系、血管組織系などを対象として、がん等の疾病の診断、治療等
の実現に資することを目的とする。
2 具体的研究内容
医学的知見及び工学的知見を活用する医学・工学連携型により、従来のOCTか ら、皮膚系、
消化器官系、血管組織系等に対応するため、高空間分解能を有し、か つ、小型の臨床診断にむ
けたOCTシステムの研究を行う。また、OCTにより得られる光学的に測定されたデータから、
血流、組織の微少振動等の動画測定を可能とする研究を行う。
具体的には、光波が照射可能な皮膚や眼の体表組織及び内視鏡との融合による消化器系、呼吸
器系等の体内組織診断を可能とし、がん等の疾病により生体組織、組織内部に生じた血流の異常
などの診断対応をめざして、以下の研究を行う。
(1) 臨床診断にむけたOCTシステムの研究
① 皮膚癌、網膜剥離、白内障などの診断応用を可能とする小型集積型光学素子
体表面からの診断を目的に、数μmの空間分解能を実現するためバルク集積型光学素子を開
発し、これを用い軽量、低価格の小型OCTシステムを構成させる。
生体の表面から数mmの深さの組織診断を目的とした医学的な研究を行う。
② 胃がん、直腸がん、大腸がん等の組織診断を目的とした内視鏡融合型OCTシステム
高効率広帯域インコヒーレント光源及び高効率集積光学素子を開発し、内視鏡一体型O
CTシステムの開発を行う。体内臓器の検体試料を用い、表面から3∼5mm深度の断層
像測定法について研究するとともに、各種測定法と比較する等の医学的な研究もあわせて
実施する。
③ 生化学的情報抽出を目的とした断層像測定システム
の研究
必要となる生化学的情報及び精度についての研究を行い、断層画像の測定と同時に、生
体からの後方散乱光及びスペクトル特性が直接計測可能な測定法について研究を行う。
④ 生体組織の高精度吸収スペクトル測定技術
光の多重散乱の影響を回避できる全反射を用いて、高精度の生体データの測定技術につ
いて研究を行う。
(2) 次世代医療にむけた高機能・高空間分解能・断層画像測定技術の研究
① 断層画像の動画測定を対象とした画像高速処理技術の研究
鉛直方向の断層像の動画測定のため、鉛直断層画像ごとに連続的な画像測定を行い、こ
れを高速処理するための技術を研究する。また、精度、処理能力について医学的な評価を
行う。
② 血流、組織の微少振動等の動きを持つ被写体を対象とした三次元断層画像測定処理技術の
研究
三次元の速度ベクトル成分と断層画像を同時に測定する。これから正確な動画像測定を
可能とする処理技術を研究する。また、精度、処理能力について医学的な評価を行う。
③ 高機能・同軸型干渉光学系システム技術
温度分布、温度変化などの外乱に対し安定な、単一光ファイバーを用いた小
13
型・軽量OCTへの応用を研究する。
3 今後の研究開発に向けた提言
対象となる疾患を明確に定めた上、当該疾患の予防、診断又は治療に用いられるこ
ととな
る機器に関し、次に掲げる事項について、実現可能性に関する検討を踏まえ
て、明確な提
言を行う。
(1) 今後早期に開発すべき機器に係る技術
(2) 当該機器(又は当該機器に係る技術)が具備すべき主要な諸元
14
プロジェクト用語集
【OCT】
OCT(Optical coherence tomography)は、光波コヒーレンス断層画像測定法とも呼ばれており、一般
的な超音波エコー法の“光版”と理解することができる。特徴は、数十μmから数μmの高い空間分
解能であり、これは X 線 CT や MRI などの従来の断層画像測定法に比較して一桁以上高いと言われて
いる。また、微弱な近赤外光を用いるので人体に害はなく、さらに、光通信用の光学素子を用いて主
に構成されるので、巨大な磁石などの特別な装置を必要としないことなどが挙げられる。欠点は、測
定領域が、表面の数ミリに限られることであるが、内視鏡などとの融合がアプローチされている。
【OCT の原理】
まず、OCT で使用する光は、低コヒーレンス光である。光は電磁であり、光源からはある連続した長
さの波がいくつも出射される。この連続した波の長さがコヒーレンス長であり、低コヒーレンス光と
は、コヒーレンス長の比較的短い光である。OCT の場合、一般に、光の山と山の距離(波長)が1μ
m程度で、コヒーレンス長が 40μm程度である。
この光源からの光は、干渉計に入射する。干渉計では、光は2つに分離され、一方はただミラーで反
射される。他方は対物レンズで絞られて生体試料に照射される。ミラーからの光と試料内部からの後
方散乱光(反射光)は光検出器に入射される。このとき、2つの経路の長さ(光路長)がコヒーレン
ス長内で等しいときのみ、2つの光は干渉する。生体試料は3次元的な構造を有しており、屈折率も
3次元的に分布している。また、近赤外光は生体中で比較的減衰が少ないために組織内部に侵入する。
光の伝播に伴い、屈折率変化のあるいたる所で反射光が発生する。干渉信号の測定により、ミラーの
位置を変えることで、測定する反射光の位置を、コヒーレンス長内の精度で選ぶことができる。よっ
て、OCT は奥行き方向の分解能を有する。横方向分解能は対物レンズの絞ったビームの径となる。以
上より、ミラーの走査による奥行き方向の走査と照射ビームの横方向走査を同期させて、干渉信号を
測定することにより断層画像が測定できる。
【CCD を用いた OCT】
上で述べた方式では、組織表面に垂直に光ビームを照射し、光ビームを含む組織表面に垂直な断層画
像が得られる。この場合、断層画像の各画素を一点ごとに計測する。一方、イメージセンサとして一
般的な CCD を用いて、断層画像を測定する方式もある。この場合の画像は、鉛直断層画像と呼ばれ、
鉛直断層画像ごとに測定される。これは、組織の表面に平行な内部の断層画像である。
【位相シフト法】
CCD を用いた OCT では、基本的に位相シフト法が用いられる。CCD は通常、光の強度(強さ)が輝度
信号に対応している。物体から光が強く発しているときは、CCD の画素信号は大きい値となる。しか
し、OCT では干渉画像の“振幅の分布”が断層画像になるので、干渉画像からその振幅分布を得るプ
ロセスが必要となる。この一連のプロセスが位相シフト法である。位相シフト法は、条件を変えて3
枚から4枚の干渉画像を取り込んで画像処理により断層画像を得る方法である。
【空間分解能】
組織内の異なる2点が、分離されて識別される最小の距離である。
【ダイナミックレンジ】
生体組織からの後方散乱光は非常に微弱であるので、検出系の感度は非常に高いことが必要である。
どのくらいの大小の信号までを検出できるかを示すのが、ダイナミックレンジである。
【コヒーレンス関数】
光源からの光が2つの異なる光路を伝播した際、その光路差と2つの光の干渉性を表すのがコヒーレ
ンス関数である。一般に、光路差に対して干渉性は単調に減少する。コヒーレンス関数の広がりの目
安が、コヒーレンス長である。
15
【干渉計】
光を分割して、異なる光路を伝播させた後、合波させる光学系である。合波させた光の検出信号は干
渉信号となる。干渉信号は、2つの光の大きさや位相の違いで変化する。
【ヘテロダインビート信号】
生体からの散乱光は非常に微弱であるので、この検出にヘテロダイン検出が用いられる。ヘテロダイ
ン検出は、微弱な光1と僅かに周波数のずれた強い光2を同時に光検出器に入射させる。このとき得
られる干渉信号は、光1x 光2となるので光2倍だけ大きくなる。また、干渉信号の周波数は、光1
と光2の差周波数となり、光の周波数の直接検出は不可能であるが、この差周波数は数百 MHz から数
kHz と十分取り扱える領域となる。
【アクロマティックレンズ】
OCT は、いろいろな波長を含むスペクトルの広い光源を使用する。ガラスは通常、波長により屈折率
が僅かに異なる(分散)ので、スペクトルが広い場合、対物レンズの集光特性等が劣化する。これを
補正するために、特性の異なる材料を張り合わせてレンズを構成して、特性改善を行ったものアクロ
マティックレンズである。
【ビデオレート】
テレビは、毎秒30コマの速さで、画像を表示しており、一般的に、30フレーム/秒をビデオレー
トと呼ぶ。
16
E 光干渉利用高機能断層画像測定システム
実施者名:国立大学法人 山形大学
Ⅰ.事業の位置付け・必要性について
1.NEDOの関与の必要性・制度への適合性
1.1NEDOが関与することの意義
本事業では、光干渉を利用した高機能断層画像測定システムの基礎研究を行い、次世代医療技術の
新しい技術基盤を構築する。
近年、臨床医学から基礎生理学などの幅広い分野において、X 線 CT、MRI、超音波エコーなどの
断層画像測定が臨床で行われる中、より一層の解像度及び実用化向上が求められている。このような
状況で、生体に殆ど無害な微弱光を用い、光干渉を利用した断層画像測定システム(OCT:
Optical Coherence Tomography)が研究開発され、眼科用にすでに市販されている。この OCT は、
原理的に数μm∼数十μmの高い空間分解能を有することから、組織診断をはじめ幅広い臨床応用が
期待されている。
この OCT の技術は、世界に先駆けて本研究グループが特許を取得したが、米国 MIT の研究グルー
プが世界をリードして研究を進め、約5年で眼科臨床において実用化を行った。この実用化の速さか
らも OCT のポテンシャルの高さと各国の研究者の高い注目度が伺える。このように極めて公共性が
高い医療機器の分野で、幅広い臨床応用から生物学・医学分野への多大な貢献および大きな経済活
性・市場創出が期待される研究開発に NEDO が関与することは極めて妥当である。
1.2
実施の効果(費用対効果)
現在、医療機器の分野は大幅な輸入超過の状況(輸出約3千億円、輸入約8千億円)にあり、特に
治療機器については、国内市場の大半が輸入製品で占められている。本事業の成果を基に医療機器等
の開発をさらに推進することで、「健康寿命の延伸」に資するとともに、今後の健康に対するニーズ
の増大に伴い、新市場や雇用の創出、並びに医療機器産業分野の国際的産業競争力の強化が期待され
る。
2.
事業の背景・目的・位置づけ
<社会・経済的背景>
近年、我が国の疾病構造は、感染症などの急性疾患が減少した反面、がんや循環器病、糖尿病など
の生活習慣病が増加し、さらに最近では「寝たきり」や「痴呆」などの高齢化に伴う障害も増加して
いる。これらの疾患・障害は療養に長期を要し、身体機能や Quality of Life (QOL)を著しく低
下させるとともに、少子高齢社会の到来による我が国の労働人口は現在の6,766万人の労働人口
から2030年までに約1,000万人減少する状況にあり、労働者の医療費負担や家族の介護負担
の増加といった国民生活にとって重要な課題を生じさせている。また、我が国では、少子・高齢社会
の到来とともに高齢者の一人世帯が増加する傾向にある。
このため、高齢者等の自立した生活の実現を支援し、また、積極的な社会参加を促すため、四肢の
機能回復を図るシステムや高齢者等の日常生活を支援するシステムなど加齢や疾病等によって衰えた
身体機能の補助や回復を促す機器等を開発する必要がある。さらに、疾病の早期発見や人にやさしい
無侵襲性の診断を実現する新しい臨床診断技術が強く求められている。
一方、経済的背景としては、日本は科学技術で世界をリードしてきた経緯がありながら、現状では
医療機器関係において大幅な輸入超過の状況にある。よって、医療機器の分野においては特に国際的
な産業競争力の強化、国内の新しい産業の創出、産業の活性化が強く求められている。
17
<技術的背景>
近年、臨床医学から基礎生理学などの分野において、超音波やX線を用いた断層画像測定装置が実用化
されているが、さらに個々の細胞レベルの識別へ向けたより高い空間分解能や新しい診断方法のための高
機能化が求められている。これに対して、OCT は、生体に無害な微弱光を用いることと従来の測定技術よ
り一桁以上高い数十μm の空間分解能を有することが大きな特長で、すでに眼科臨床で実用化されており、
幅広い臨床応用が期待されている。
OCT は、1990 年に我々のグループから世界に先駆けて特許出願が行われ、その翌年マサチューセッ
ツ工科大学(MIT)から特許が出願された。その後 MIT を中心に研究開発が精力的に行われ、1995 年に
カールツアイスから眼科用の OCT 装置が発売された。OCT は、最先端のレーザ光学技術を臨床医学に
応用したことと特許出願から約5年で実用機が販売された実用化の速さが特徴的である。その速さか
らも世界の注目する技術であり、そのすそ野は医学分野に限らず産業界に広く波及することがわかる。
このような状況からしても、日本において医学と工学の学際領域に位置する OCT に関する研究開発
を国の事業として推進することは急務である。
<国内外の動向>
国内外の OCT の研究分野におけるここ数年の進展は目覚しいものである。国外の研究動向について
は、従来 MIT がリードしていたが、近年、欧州でもオーストリア、イギリス、ドイツなどでも活発に
OCT が研究されている。例えば、1μm以下の空間分解能を in-vivo で実現し、また信号処理により断
層画像からスペクトル情報を抽出するなどの報告がなされている。また、断層画像と血流も測定でき
るドップラー型 OCT、試料の複屈折性も測定できる機能性 OCT、マイクロマシン技術を用いた内視鏡
融合型 OCT、高時間分解能型 OCT などが挙げられ、臨床応用では眼科、消化器系、循環器系などへの
機能性 OCT が数多く報告されている。
国内では本事業の開始時に、大阪大学の研究グループがすでに OCT の研究を進めていた。最近、大
阪大学では OCT の高空間分解能化、高速化を活発に進展させており、筑波大学の研究グループもフー
リエ変換を用いた高速型 OCT の研究を精力的に行っている。
<事業の目的>
本事業では、医学的・工学的知見を活用する医学・工学連携型研究により、従来の OCT 技術を高空間
分解能化、小型化、多機能化の点から大幅に改善して、診断・治療などの幅広い臨床応用に対応するため
の基盤研究を推進する。さらに、次世代への基礎技術として、微小血管内の血流分布などの 3 次元の流れ
や動きをも測定可能とする断層画像測定技術の確立と共に断層画像の動画測定のための高速断層画像測定
に関する基盤研究を行うことを目的とする。
<事業の位置付け>
本事業の核となるアイデアでは、OCT 用合成光源の提案、断層画像用高速信号処理の提案、断層画像と
流れベクトルの同時測定法の提案、OCT 用新規光学系の提案、臨床特化型 GRIN レンズ型 OCT の提案な
どが挙げられ、これらはOCTの新しい側面・応用領域を切り開き、本事業後もさらに続くOCT研究の
研究基盤になる。
<事業の必要性>
本事業での研究対象は、新しいイメージセンサなどのデバイスレベルから新しい光学素子、光学干
渉計、光学特性測定方法、信号処理技術と幅広い。研究の進展に伴って新しい提案が生まれるので、
OCTの各要素技術の創出、権利化を積極的に行っている。本事業のようなOCTの可能性を広げる基
盤研究の推進は、学際分野の活性化、新しい医療技術さらには新しい産業の創出に必要不可欠である。
Ⅱ.研究開発マネジメントについて
1.
事業の目標
全体の目標は、平成15年度までに診断技術に関しては光学的診断技術の研究等を行うことである。こ
れらの成果は、研究開発終了後速やかに機器開発につなげる。主要な研究テーマが2つあり、さらに小研
究テーマがある。各研究テーマごとの目標は以下の通りである。
18
<各研究テーマと初年度・中間・最終目標>
A 臨床診断に向けたOCT
臨床診断に向けたOCTシステムの研究
OCTシステムの研究
1:皮膚癌、網膜剥離、白内障などの診断応用を可能とする小型集積型光学素子の研究
最終目標仕様(平成 16年 3月末)
研究目標
初年度目標
中間目標
皮膚科、眼科臨床などへの小型汎 予備検討、設計終了
用OCTシステムの実用化
生体試料測定着手
空間分解能:∼10μm
(平成 14年 4月末) 深さ測定領域:0∼3mm
2:胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断を目的とした内視鏡融合型OCTシステムの研究
内科臨床などへの内視鏡と融合可 予備検討、設計終了
能な小型OCTシステムの実用化
生体試料測定着手
(平成14年4月末)
空間分解能:∼10μm
深さ測定領域:0∼4mm
内視鏡埋め込みタイプ
3:生化学的情報抽出を目的とした断層像測定システムの研究
生体組織のスペクトル情報を含ん 予備検討、設計終了
だ断層画像を in vivo で測定し、
そこに含まれる物質の生化学的情
報を抽出する測定技術の確立
生体試料測定着手
(平成14年4月末)
空間分解能:∼3μm
深さ測定領域:0∼4mm
スペクトル測定:700nm∼900nm
断層画像測定と分光測定の併用
4:生体組織の高精度吸収スペクトル測定技術の研究
生体試料の分子生物学、薬理学、 1次試作終了
生化学的情報抽出のための高精度
吸収スペクトル測定法の確立
生体試料測定着手
(平成13年10月末)
散乱による減衰が極めて少ないない吸
収スペクトルの測定:0.7μm∼1.5μm
−>
生化学的スペクトル情報が得られる
B 次世代医療に向けた高機能・高空間分解能・断層画像測定技術の研究
5:断層画像の動画測定を対象とした画像高速処理技術の研究
断層像の動画測定のための新しい 予備検討、設計終了
3次元OCT技術の確立
生体試料測定着手
(平成14年4月末)
空間分解能:∼10μm
深さ測定領域:0∼4mm
テレビレート:30フレーム
6:血流、組織の微少振動など、動きを持つ被写体を対象とした3次元断層画像測定処理技術の研究
組織内3次元血流、組織の微少振 予備検討、設計終了 生体試料測定着手
断層画像と(空間分解能:∼10μm、
動など、”動き”の断層画像測定
(平成14年4月末)
深さ測定領域:0∼4mm)
法の確立
と血流などの”動き”の3次元画像化
(血流速度:数mm/s)
7:高機能・同軸型干渉光学系システム技術の研究
次世代の小型軽量・高機能化に有 予備検討、設計終了
効な新しいOCT干渉光学系の基礎
技術の確立
生体試料測定着手
(平成13年10月末)
新規の同軸型干渉光学系と活性イオン
を含む機能性光ファイバなどとの融合
により将来の基盤となる超小型軽量OCT
装置を実現する
<最終目標の設定理由>
研究項目
設 定 理 由
1
小型化OCTシステムでは、空間分解能と深さ測定領域について、それぞれ光源のスペクトル幅と出力
パワーから上記仕様が限界
2
内視鏡融合型OCTシステムでは、空間分解能と深さ測定領域について、それぞれ光源のスペクトル幅
と光ファイバー導入型照射パワーより上記仕様が限界
3
光源のスペクトル幅、生体の減衰係数の波長依存性、検出系感度の波長依存性から上記スペクトル測
定範囲が限界、光源として広いスペクトルを有する光源を用いるので、空間分解能が向上される
4
分光器のスペクトル幅と生体の減衰係数の波長依存性から上記範囲が限界
6
空間分解能、深さ測定領域については2に同じ、テレビレートについては、市販のテレビカメラチッ
プをベースに試作を起こすために現在のテレビレートが限界となる
6
空間分解能、深さ測定領域については2に同じ、周波数シフター、周波数分析装置の特性から速度測
定範囲が数mm/sに制限される
7
−
19
2.事業の計画内容
2.1 研究開発の内容
<研究内容の概要>
本事業では、光干渉を利用した高機能断層画像測定システムの基礎研究を行い、次世代医療技術の
新しい技術基盤を構築する目的から、平成 12 年度から平成 15 年度までの4年間を計画しており、全体
的にはA、Bの2つのテーマからなり、各テーマの実施細目は以下の通りである。また、研究開発計画を
次ページに示す。
A 臨床診断に向けたOCTシステムの研究
1:皮膚癌、網膜剥離、白内障などの診断応用を可能とする小型集積型光学素子の研究
2:胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断を目的とした内視鏡融合型OCTシステムの研究
3:生化学的情報抽出を目的とした断層像測定システムの研究
4:生体組織の高精度吸収スペクトル測定技術の研究
B 次世代医療に向けた高機能・高空間分解能・断層画像測定技術の研究
5:断層画像の動画測定を対象とした画像高速処理技術の研究
6:血流、組織の微少振動など、動きを持つ被写体を対象とした3次元断層画像測定処理技術の研究
7:高機能・同軸型干渉光学系システム技術の研究
<研究テーマ毎の研究内容>
各研究テーマの目標及びその理由については、1.事業の目標をご参考頂きたい。また、各テーマの相互
関係(要素技術の流れ)は、次表に示した。
A 臨床診断に向けたOCTシステムの研究
1:皮膚癌、網膜剥離、白内障などの診断応用を可能とする小型集積型光学素子の研究
現在、眼科ではすでに OCT が実用化されているが、システム全体の大きさ・価格に問題がある。そこ
で、まず眼科・皮膚科での臨床応用へ向けて、空間分解能・測定時間などの基本性能の改善と共に、デス
クトップ型の小型・軽量な OCT 測定システムの実現を目指す。
平成 12 年度は、デスクトップ型 OCT 装置の試作を行いヘテロダインビート信号やコヒーレンス関数な
どの基礎干渉特性、XY スキャナによる2次元ビーム走査、干渉信号データ取り込みなどを確認した。平
成 13 年度は、試作機に対して、空間分解能・測定深さ領域などにおいて、より詳細な検討を行い全体的
に小型 OCT としての性能を向上させた。特に応用領域の拡大のために奥行き方向の走査領域を拡大し、
25mm 以上の走査領域を実現した。平成 14 年度は、バックグランドノイズの低減による断層画像の質の
向上と、画像処理技術を駆使して三次元断層画像観察などの機能化を検討した。
汎用OCT等に有効な高空間分解能用光源については、平成12年度に波長の僅かに異なる複数の光源を組
み合わせた合成光源を提案してその原理確認を行った。3個の半導体発光素子を用い、空間分解能は理論
的に57%、実験的に67%に減少して、光パワーは40μWであった。平成13年度は波長の僅かに異なる複数
の光源を組み合わせた合成光源を改善した。3個の半導体発光素子を用い、光軸方向空間分解能は理論的
に57%、実験的に67%に減少して、光パワーは40μWから440μWに増大させることができた。さらに、
サランラップの断層プロファイルの測定から空間分解能の向上を確認した。平成14年度は2つのLEDを
用いた合成光源と二次元干渉光学系を融合させ、光軸方向分解能として約1μmを実現し、サンプルとし
てテストパターンの断層画像を測定した。平成15年度は、時間分解能と空間分解能の向上から、合成光源
を用いた二次元結像光学系と高速干渉画像測定システムを融合させて、汎用型コンパクトOCTを試作した。
高速干渉画像測定システムの実現には、コンピュータ(PC)内で高速に画像データを処理する画像演算処
理プログラム、カメラの電子シャッターやデータ出力を高速に行うカメラ高速制御プログラム、カメラコ
ントローラとPC間で高速にデータを転送する高速データ転送プログラムを新たに開発して、従来購入した
既存のカメラシステムに導入し、画像測定システムの高速性と高感度を両立させた。
20
研究開発の年度別計画
単位:百万円
研 究 開 発 項 目
12 年 度
13 年 度
14 年 度
15 年 度
計
1:皮膚癌、網膜剥離、白内
障などの診断応用を可能とす
る小型集積型光学素子の研究
設計・予備実験
臨床予備検討
13
試作・特性評価
5
改良1
臨床応用1
8
改良2
臨床応用2
3
29
設計・予備実験
臨床予備検討
試作・特性評価
改良1
臨床応用1
改良2
臨床応用2
8
8
4
4
設計・予備実験
臨床予備検討
7
試作・特性評価
10
改良1
臨床応用1
4
改良2
臨床応用2
6
27
設計・試作
臨床予備検討
5
特性評価
臨床応用1
6
改良1
臨床応用2
5
改良2
臨床応用3
6
22
設計・予備実験
臨床予備検討
6
試作・特性評価
10
改良1
臨床応用1
13
改良2
臨床応用2
4
33
設計・予備実験
臨床予備検討
4
試作・特性評価
7
改良1
臨床応用1
6
改良2
臨床応用2
7
24
設計・予備実験
臨床予備検討
15
試作・特性評価
8
改良1
臨床応用1
6
改良2
臨床応用2
12
41
60
58
0
60
54
0
58
46
0
58
42
0
236
200
0
58
54
46
42
200
2:胃癌、直腸癌、大腸癌な
どの組織診断を目的とした内
視鏡融合型 OCT システムの研
究
3:生化学的情報抽出を目的
とした断層像測定システムの
研究
4:生体組織の高精度吸収ス
ペクトル測定技術の研究
5:断層画像の動画測定を対
象とした画像高速処理技術の
研究
6:血流、組織の微少振動な
ど、動きを持つ被写体を対象
とした3次元断層画像測定処
理技術の研究
7:高機能・同軸型干渉光学
系システム技術の研究
当初年度計画額
年度別予算額(一般会計)
年度別予算額(特別会計)
合
計
21
24
各研究テーマの相互関係(要素技術の流れ)
研究テーマ
1-1
小型 OCT の試作研究
1-2
高空間分解能化に関する研究
2
胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断
を目的とした内視鏡融合型 OCT システ
ムの研究
3
生化学的情報抽出を目的とした断層像
測定システムの研究
4
生体組織の高精度吸収スペクトル測定
技術
5
断層画像の動画測定を対象とした画像
高速処理技術の研究
研究の進展
6 血流、組織の微少振動などの動きを持
つ被写体を対象とした3次元断層画像測定
7
高機能・同軸型干渉光学系システム
技術
1) 同軸型ミロー干渉計を用いた OCT の
研究
2) 部分遅延型フィゾー干渉計を用いた OCT
の研究
3) GRIN レンズを用いた OCT の研究
22
2:胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断を目的とした内視鏡融合型OCTシステムの研究
胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断に関しては、組織表面、組織表面付近の断層構造、さらに生体組
織内部への癌組織の深達度などが、医学的に注目される点であり、組織診断のリアルタイム化・簡易化、
患者の負担の軽減などから内視鏡一体型OCTへの要求は非常に高い。
平成12年度は、干渉光学系に血管内視鏡用のバンドルファイバを入れて干渉画像伝送を行い、複雑な2
次元走査光学系を先端プローブから外部装置に移設することにより、プローブ先端の簡素化と走査速度の
高速化を計る。平成13年度も干渉画像伝送実験を行ったが、良好な結果は得られなかった。
平成 14 年度は、従来の肺の気管支用内視鏡と融合させた形の OCT 光プローブを発案し、OCT 光プローブ、
OCT 本体、測定システムの試作を推進した。これは、従来の内視鏡の光学系と OCT の光学系を融合させて、
従来の内視鏡による表面画像と OCT による断層画像が対応するシステムである。平成 15年度は、1次試
作の問題に対処して、2次試作を行い試作機の完成度を上げた。
3:生化学的情報抽出を目的とした断層像測定システムの研究
生体組織からの蛍光・吸収・透過スペクトルは、生体の代謝に関する情報や基礎的な生化学的情報をモ
ニターするのに極めて有用である。また、特定の疾病と組織の構造・スペクトルとの関係が明確になれば、
臨床上新しい診断技術を生み出す可能性もある。よって、臨床の先生方からニーズが非常に高い。
平成12年度は、OCTと分光計測との具体的な融合を検討した。空間干渉を用いる方法ではすでに我々の別
のグループが基礎実験を終えて技術の蓄積があり、バイプリズムによる2光波空間干渉と回折格子を組み
合わせる方式で準備を進めたが、装置が大型になるなどの問題が残った。そこで、平成13年度は、回折格
子を用いた分光手法により分光型OCTの基礎検討を行った。断層画像と波長ごとの断層画像を測定するなど
の基本的な動作確認を行った。平成14年度は、さらに波長分解能の向上と感度向上などの基礎特性の改善
を検討した。
4:生体組織の高精度吸収スペクトル測定技術の研究
生体組織は、高吸収で多重散乱体であり、多重散乱と高吸収との複合が、生体組織の精密な光学スペク
トルの測定を妨げてきた。ここでは、波長情報抽出型の断層画像測定と異なり、生体組織の吸収スペクト
ルを精度よく測定する新しい方法について研究を行う。
平成 12 年度は、まず、光波を用いた過去の糖濃度測定の文献を調査して、新しい可能性を探った。そ
の結果、光波を用いた光学的糖濃度測定は、従来、スペクトル測定と偏光角変化の測定に大別されるが、
反射型の場合は、往復で偏光角が相殺されて糖濃度による偏光角変化が生じないと報告されてきた。が、
生体のような散乱体の場合は、反射型の場合でも、偏光角が完全に相殺されずに偏光角変化が生じること
が最近報告された。すでに、眼球の前眼房水の糖濃度と血糖濃度との関係は明らかにされており、前眼房
水に光波を透過させてその偏光角変化から血糖値を測定する方法は報告されているが、装置が複雑で実用
性が厳しい。そこで、眼球の前眼房水に光波を入射させてその反射光から血糖値の測定を行う新しい方法
を提案して、すでに特許として申請した。平成 14 年度は、まず、グルコースにおいて吸収スペクトル特
性などの基礎光学特性全般を実測して、基礎研究を行い、新しい濃度評価法の検討を行った。
B 次世代医療に向けた高機能・高空間分解能・断層画像測定技術の研究
5:断層画像の動画測定を対象とした画像高速処理技術の研究
現在の OCT は、基本的に各画素ごとの測定を高速に行っているものであり、従来のテレビカメラで見
るようなビデオレートの時間分解能には及んでいない。通常の画像測定は光の強度の2次元分布を測定し
ているが、OCT では画像信号が強度の時間変化の振幅であるために通常の画像測定では情報が得られない。
すでに、パリ大学のグループからは1台のカメラを用いて4枚の画像データから断層画像データを求め
る方式が報告されており、別の研究グループからは2台のカメラで高速に断層画像を測定する方法が報告
されている。平成 12 年度、2枚の画像データから断層画像を得る方式を新たに考案し、この原理に基づ
きハード寄りの測定システムの試作を進めてきた。平成 13 年度、2枚の画像データから断層画像を得る
方式を継続的に検討して、新たに連続的に断層画像を求める画像処理アルゴリズムを考案し、現在特許申
請準備中である。さらに、数値的に実験の最適条件や従来の位相シフト法との相違点を明らかにできる
シュミレーションプログラムを作成した。平成 14 年度は、従来の3枚の画像を用いる方法に対して、
我々が提案する2枚の画像を用いる方法をシミュレーションで SN 比等を定量的に比較検討した。平成 1
5年度は、本プロジェクトの試作機に使用可能な小型で高速な断層画像処理カメラシステムを試作した。
23
また、脳神経組織の機能解明を目的に従来の測定時間より桁違いに短い時間で断層画像を測定できる実用
的な方法を考案し、生体試料の測定を行った。
6:血流、組織の微少振動など、動きを持つ被写体を対象とした3次元断層画像測定処理技術の研究
組織内の血管構造と血流分布の同時測定を行うことは、臨床的にも基礎生理的にも非常に重要なことで
ある。例えば、眼底の網膜内を流れる血流の精密な測定は、関連する疾患の把握には大変有用である。
このようなことから、ドップラー効果を用いたOCTでの断層画像と速度分布の同時測定はすでに報告さ
れている。しかし、従来の方法では、実際の血流が3次元成分を有するにも関わらず、一つの方向の血流
成分のみの測定であり、十分な流れの測定とは言えない。平成12年度は、共焦点光学系を構成し、速度ベ
クトルの3成分同時測定の原理確認を行った。散乱体の移動速度とヘテロダインビート周波数のシフト周
波数との直線性が、3成分について確認された。実際の血流に近い数十mm/sでの散乱体移動速度の3成分
が測定され、約28μmの空間分解能も確認された。ダイナミックレンジが十分でないなどの問題が残るが
測定原理は確認された。医学部とのグループミーティングで、眼科の先生から網膜の構造と血流の同時測
定は臨床的に非常に重要であるが、具体的な測定方法が十分確立されていないとの意見を頂いた。これを
踏まえ、平成13年度は、共焦点光学系を構成し、速度ベクトルの3成分同時測定の原理確認と改善を行っ
た。速度ベクトルの3成分とも、測定分解能の高い差動型ドップラー測定を行うことにより、速度測定精
度を改善した。平成14年度は、高空間分解能が期待できる低コヒーレンス光源を用いた光学系を検討した。
7:高機能・同軸型干渉光学系システム技術の研究
小型・軽量化は、応用領域の拡大・汎用性・低価格の点で重要である。小型・軽量化の最終目標の一つ
は、内視鏡との融合である。ここでは、高機能・同軸型干渉光学系として、同軸型ミロー干渉計(CMI)と部
分遅延型フィゾー干渉計(PFI)を提案し、研究を行った。また、臨床応用を特化した GRIN レンズ型 OCT に
ついても新規に研究を行った。
<同軸型ミロー干渉計(CMI)>
平成 12 年度、CMI では、コヒーレンス関数などの干渉基礎特性を明らかにした。まだダイナミックレン
ジが十分でなく、生体試料の測定には及ばないが、租面の測定として、五円硬貨の表面測定を行った。凹
凸のある租面においてある高さの範囲内だけからの反射光が選択的に測定されて、奥行き方向分解能が約
20μmであることが確認された。また、ビームの直径から横分解能は、数μmであった。平成 13 年度は、
ハーフミラーの反射率の最適化を理論的・実験的に行って、26dB の感度向上を実現した。平成 14 年度は、
作動距離(レンズと試料表面間の距離)を長くとれる新しい CMI を提案し、その干渉確認を行った。作動
距離が長いことは、凹凸のある組織でも測定することができるので実用的に重要である。平成 15 年度は、
内視鏡の先端部に作りつけを想定した小型二次元 CMI を検討した。
<部分遅延型フィゾー干渉計(PFI)>
平成 12 年度、PFI については、基本特性として、空間分解能が約 20μmで、サンプルとしてスリガラス
を用いた場合、ダイナミックレンジが 45dB であることから、玉ねぎの断層画像を測定した。玉ねぎの表面
から 100μmの深さの鉛直断面画像が測定され、光学顕微鏡写真との対応からも内部組織構造が測定され
ていることが確認できた。平成 13 年度は基本性能向上として最適化の理論的・実験的検討と干渉画像光
学系の二次元化を実験的に検討した。その結果、測定パラメータであるビーム強度分割比や結晶反射率が
ほぼ理論値に一致することが確認された。また、干渉画像が測定され、テストパターンの観察より 11μm
の横方向空間分解能を有することが確認された。
<GRIN レンズ型OCT>
平成 12 年度の医学部とのグループミーティングでは、腹部内臓器表面での断層画像測定は臨床上重要で
あるとのと意見を頂き、これに対して、新規に GRIN レンズを用いた OCT について検討を続けてきた。これ
は、直径2mm 長さ 30cm の GRIN レンズを2つのアームに有する二次元マイケルソン干渉計をベースとして
おり、平成 13 年度は、光学系の構築を行い、基本特性として光軸方向 20μm、横方向約 20μm の空間分解
能の確認した。平成 14 年度は、散乱体試料として硬貨表面の画像や生体試料として玉ねぎの表面画像の測
定を行った。平成 15 年度は、検出感度を上げて生体組織の断層画像の測定を試みる。さらに光学系のコン
パクト化を検討した。
24
2.2 研究開発の実施体制
<具体的な研究開発体制>
工学部長
大学院
理工学研究科
丹野研究室、山口研究室
工学部
応用生命システム工学科
事務長
研究協力部門
中村研究室
学 長
久保田研究室
医学部長
事務局
<研究者の紹介>
氏名
丹野 直弘
(工学博士)
医学部
医学科・付属病院
総務部
河田研究室
山下研究室
企画室
所属・役職(職名)
担当及び参加理由
大学院理工学研究科 生体セン 本事業の核となる OCT の発案者であり、非線形光学から生体
光計測の分野にわたる幅広い研究経験から、主に小型 OCT・
シング機能工学専攻・教授
内視鏡融合型 OCT を担当し、全体の研究統括を担当する。
山口 峻司
(医学博士)
中村 孝夫
(工学博士)
野村保友
(博士(工学)
)
同上
生体の運動生理、神経情報伝達のメカニズムに関する長年の
研究経験より、特に生きた状態での動物実験や擬似生体実験
に関しての知識が豊富なことから3次元ドップラーOCT に関
した研究を担当する。
工学部応用生命
システム工学科・教授
人工臓器やすい臓関連の糖代謝に関して、幅広い知識と豊富
な実験経験を有することから生体組織の波長情報を抽出する
OCT 関連の研究を担当する。
同上・助教授
生きた状態や抽出した状態での蛋白質の状態を蛍光を用いて
測定する研究経験が豊富であることから生体組織の波長情報
を抽出する OCT 関連の研究を担当する。
佐藤 学
(博士(工学)
)
大学院理工学研究科
微細加工技術から非線形光学・生体光計測に関する幅広い研
生体センシング機能工学専 究経験を有していることから、時間分解能の高い動画像測定
ができる OCT、小型化・高機能化ための同軸型干渉計 OCT、
攻・助教授
渡部 裕輝
(博士(工学)
)
大学院理工学研究科
生体センシング機能工学専
攻・助手
大学院理工学研究科
生体センシング機能工学専
攻・教務補佐員
光 CT や光計測に関した幅広い研究経験を有しており、生体組
織の波長情報抽出型 OCT に関した研究を担当する。
大学院理工学研究科
生体センシング機能工学専
攻・教務補佐員
ルーマニアの国立・原子物理研究所にて、本研究プロジェク
トに重要な光干渉計に関した研究を長年行い、研究の推進に
必要な豊富な研究経験と知識を有していることから、同軸型
干渉計 OCT を担当する。
OCT のための高空間分解能用光源などの研究を担当する。
中村 広隆
(博士(工学))
Adrian Dobroiu
(Ph.D)
学位論文は、機械システムの振動解析に関する研究であり、
数値解析・信号処理について知識が豊富である。また、本研
究プロジェクトに参入する前に、未来工学研究所にて生体か
ら発する光計測の研究などの経験を有することから、生体組
織からの波長情報を抽出するOCT関連の研究を担当する。
25
久保田功
(医学博士)
医学部 医学科
内科学第一・教授
専門は内科であり、主に呼吸器系と循環器系が専門であり、
気管支系・循環器系への内視鏡融合型 OCT の研究に関する適
切なアドバイスと組織提供などから参加が必要である。
福井昭男
(医学博士)
医学部 付属病院
第一内科・講師
専門は内科であり、特に循環器系に詳しく、血管用内視鏡融
合型 OCT の研究に関する臨床的立場からのアドバイスと組織
測定実験から参加が必要である。
河田純男
(医学博士)
医学部 医学科
内科学第二・教授
専門は内科であり、特に肝臓疾患に関した研究経験が豊富で
あり、肝臓表面付近の組織測定を目的とする GRIN レンズを用
いた OCT などの研究についてのアドバイスや組織実験の進め
方等から参加が必要である。
三澤裕之
(医学博士)
医学部 付属病院
第二内科・助教授
専門は内科であり、特に胆道疾患に関した研究経験が豊富で
ある。胆道疾患に応用可能な内視鏡融合型 OCT の研究へのア
ドバイスなどから参加が必要である。
長嶋隆一
(医学博士)
同上・助手
専門は内科であり、胃疾患に関した研究経験が豊富である。
胃など消化器系の内視鏡融合型 OCT の研究に関するアドバイ
スから参加が必要である。
武田弘明
(医学博士)
医学部 医学科
内科学第二・講師
専門は内科であり、大腸疾患に関した研究経験が豊富であ
る。大腸など消化器系の内視鏡融合型 OCT の研究に関するア
ドバイスから参加が必要である。
山下英俊
(医学博士)
医学部 付属病院
眼科・教授
専門は眼科であり、眼科に関した研究に幅広い知識を有して
いる。最初、OCT が眼科に応用されたことから、次世代型の
汎用眼科 OCT の研究や組織測定実験などへのアドバイスから
参加が必要である。
高村 浩
(医学博士)
同上・助教授
専門は眼科であり、特に網膜疾患に関した研究に幅広い知識
を有している。汎用型眼科用 OCT の研究や組織測定実験など
へのアドバイスから参加が必要である。
大沼郁子
(医学博士)
医学部 医学科
眼科学・講師
専門は眼科であり、特に脈絡膜疾患に関した研究に幅広い知
識を有している。汎用型眼科用 OCT の研究や組織測定実験な
どへのアドバイスから参加が必要である。
川崎 良
(医学博士)
医学部 付属病院
眼科・助手
専門は眼科であり、特に網膜光凝固に関した研究に幅広い知
識を有している。汎用型眼科用 OCT の研究や組織測定実験な
どへのアドバイスから参加が必要である。
佐藤浩章
同上・医員
生体組織の取り扱い、及び測定実験を支援いただくことから
参加が必要である。
佐藤武雄
同上・技官
生体組織の取り扱い、及び測定実験を支援いただくことから
参加が必要である。
26
2.3
研究の運営管理
<事業運営(実施者、管理者)の現状>
<<当初の研究開発担当者>>
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------所 属・
氏 名
役 職
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------山形大学
大学院 理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
同上
同上
同上
同上
丹野直弘
佐藤 学
船場忠幸
張 岩
雇用研究員 1
雇用研究員 2
教授
助教授
助手
特別研究員
研究員
研究員
医学部医学科 内科学第二
医学部付属病院 第二内科
医学部医学科 内科学第二
医学部付属病院 第二内科
医学部医学科 内科学第二
新澤陽英
三澤裕之
武田弘明
長嶋隆一
松山英治
助教授
講師
助手
助手
大学院生
医学部付属病院 眼科
医学部医学科 眼科学
医学部付属病院 眼科
同上
同上
山下英俊
大沼郁子
川崎 良
佐藤浩章
佐藤武雄
教授
講師
助手
医員
技官
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
計 16 名
<<平成 12 年度 研究開発担当者>>
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------所 属・
氏 名
役 職
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------山形大学
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
工学部応用生命システム工学部
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
同上
同上
丹野直弘
山口峻司
中村孝夫
佐藤 学
船場忠幸
伊豆田 義人
張 岩
教授
教授
教授
助教授
助手
助手
海外特別研究員
医学部 医学科 内科学第二
医学部 付属病院第二内科
同上
医学部 医学科 内科学第二
医学部 付属病院眼科
医学部 医学科 眼科学
医学部 付属病院眼科
同上
同上
新澤陽英
三澤裕之
長嶋隆一
武田弘明
山下英俊
大沼郁子
川崎 良
佐藤浩章
佐藤武雄
助教授
講師
助手
助手
教授
講師
助手
医員
技官
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
計 16 名
27
<<平成 13 年度 研究開発担当者>>
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------所 属・
氏 名
役 職
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------山形大学
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
工学部応用生命システム工学部
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
同上
同上
同上
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学科 内科学第一
付属病院第一内科
医学科 内科学第二
付属病院第二内科
同上
医学科 内科学第二
付属病院眼科
医学科 眼科学
付属病院眼科
同上
同上
丹野直弘
山口峻司
中村孝夫
佐藤 学
伊豆田 義人
中村広隆
張 岩
A.Dobroiu
教授
教授
教授
助教授
助手
研究員
海外特別研究員
研究員
友池仁暢
福井昭男
河田純男
三澤裕之
長嶋隆一
武田弘明
山下英俊
大沼郁子
川崎 良
佐藤浩章
佐藤武雄
教授
助手
教授
講師
助手
助手
教授
講師
助手
医員
技官
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
計 19 名
<<平成 14 年度 研究開発担当者>>
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------所 属・
氏 名
役 職
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------山形大学
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
工学部応用生命システム工学部
同上
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
同上
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学科 内科学第一
付属病院第一内科
医学科 内科学第二
付属病院第二内科
同上
医学科 内科学第二
付属病院眼科
同上
医学科 眼科学
付属病院眼科
同上
同上
丹野直弘
山口峻司
中村孝夫
野村保友
佐藤 学
中村広隆
A.Dobroiu
教授
教授
教授
助教授
助教授
研究員
研究員
久保田功
福井昭男
河田純男
三澤裕之
長嶋隆一
武田弘明
山下英俊
高村 浩
大沼郁子
川崎 良
佐藤浩章
佐藤武雄
教授
講師
教授
助教授
助手
講師
教授
助教授
講師
助手
医員
技官
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
計 19 名
28
<<平成 15 年度 研究開発担当者>>
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------所 属・
氏 名
役 職
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------山形大学
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
工学部応用生命システム工学部
同上
大学院理工学研究科生体センシング機能工学専攻
同上
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学部
医学科 内科学第一
付属病院第一内科
医学科 内科学第二
付属病院第二内科
同上
医学科 内科学第二
付属病院眼科
同上
医学科 眼科学
付属病院眼科
同上
同上
丹野直弘
山口峻司
中村孝夫
野村保友
佐藤 学
渡部裕輝
教授
教授
教授
助教授
助教授
助手
久保田功
福井昭男
河田純男
三澤裕之
長嶋隆一
武田弘明
山下英俊
高村 浩
大沼郁子
川崎 良
佐藤浩章
佐藤武雄
教授
講師
教授
助教授
助手
講師
教授
助教授
講師
助手
医員
技官
-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
計 18 名
<運営方針、方法>
個々には電子メール、電話、FAX 等で担当者間の情報交換を随時図り、進捗状況に関する情報の共有に勤
めた。
<他からの指導・協力者名及び指導・協力事項>
氏
名
古川 博康
所属・役職
協力事項
(株)クリニカル・サプライ
研究開発部 室長
内視鏡型血管カテーテルの供給・
特許出願
3. 情勢変化への対応
医学部とのミーティング等で生じた新しいニーズ、新しいアイデア、研究の進展を慎重に検討し、新しい
研究テーマの着手や研究の重点化を行った。
4.
中間評価結果への対応
本事業では、中間評価は行っていない。
29
Ⅲ.研究開発成果について (公開用)
1.
事業全体の成果
本事業では、光干渉を利用した高機能断層画像測定システムの基礎研究を行い、次世代医療技術の
新しい技術基盤を構築する目的から、平成 12 年度から平成 15 年度までの4年間の実施期間を設けてお
り、全体的にはA、Bの2つのテーマからなり、各テーマの実施細目は以下の通りである。
A 臨床診断に向けたOCTシステムの研究
1:皮膚癌、網膜剥離、白内障などの診断応用を可能とする小型集積型光学素子の研究
2:胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断を目的とした内視鏡融合型OCTシステムの研究
3:生化学的情報抽出を目的とした断層像測定システムの研究
4:生体組織の高精度吸収スペクトル測定技術の研究
B 次世代医療に向けた高機能・高空間分解能・断層画像測定技術の研究
5:断層画像の動画測定を対象とした画像高速処理技術の研究
6:血流、組織の微少振動など、動きを持つ被写体を対象とした3次元断層画像測定処理技術の研究
7:高機能・同軸型干渉光学系システム技術の研究
これらの研究テーマについて4年間研究を実施した成果の総括を以下に述べる。
(1)臨床診断にむけたOCTシステムの研究
汎用型OCTの試作では、デスクトップ型 OCT の試作と動作確認を行い、生体試料として玉ねぎ
の断層画像測定を行った。高空間分解能化のために合成光源を用いた OCT の試作を行い、合成光源
の高空間分解能への有効性を確認した。また、市販の肺用内視鏡の機能を温存した融合型OCTの試
作を行い、基礎特性評価・生体試料の断層画像測定を行って基本動作を確認した。この技術は、消化
器系の内視鏡型 OCT にも有効な技術である。また、血管用OCTについては試作の検討を行った。
さらに、生化学的情報を抽出する機能型OCT の試作を行い、基本動作を確認した。生体試料から
の新しい高精度吸収スペクトル測定技術の検討のために、グルコースの濃度測定の新しい方法を検討
した。
(2)次世代医療にむけた高機能・高空間分解能・断層画像測定技術の研究
小型高感度カメラを用いた断層画像高速処理システムの試作及び特性評価を行った。ここで試作さ
れた断層画像測定システムは、本プロジェクトの他のテーマで実際に測定で用いられた。生体の断層
構造とそこを流れる血液などの三次元ベクトルを同時に測定するシステムについては、原理の提案、
測定システムの構築を行い、原理的に可能なことを確認した。また、脳神経機能の解明を目的として
従来の測定時間よりも桁違いに短い測定時間で断層画像を測定する実用的な方法を考案し、原理確認
実験を行い、特許申請と共に生体試料の測定を行った。
消化器系内視鏡と OCT との融合では、長い作動距離を有する改良型同軸ミロー干渉光学系や部分
遅延型フィゾー干渉光学系などを提案し、そのOCTの試作及び特性評価を行った。さらに、体深部
に位置する臓器表面の断層画像測定のための GRIN レンズ型OCTを提案し、その試作により基本特
性測定、生体の断層画像測定を行って、良好な結果を得た。
以上、4年間の本事業を通して OCT に関する貴重な知見、新しい提案が得られた。これより、今後継続
的なこれらの研究テーマの推進、及び新たな要素技術の創出において、本事業で得られた成果は大きな研
究基盤になることから、本事業は非常に有意義であったと言える。
30
2.
研究開発項目毎の成果
2.1 成果概要一覧
1 皮膚癌、網膜剥離、白内障などの診断応用を可能とする小型集積型光学素子の研究
1) 小型OCTの試作研究
図1に示すようなデスクトップ型 OCT 装置の試作を行った。光学系の構成を図2に、回転プリズムによ
る光軸方向走査部を図3に示す。図4が玉ねぎのOCT画像である。横方向に 1.2mm にわたって 200 本の
走査をした。本断層画像は、横が 200 ピクセル、縦が 180 ピクセルの画像である。本装置の深さ方向分解
能は 18μm であるため、細胞形状がはっきりと観測された。最終目標仕様の空間分解能 10μm に対して、
18μm であったが、深さ走査領域は、3.6mm を確認した。
2) 高空間分解能化に関する研究
OCTの高空間分解能化のために図5に示すような2個のLEDを用いたコンパクトな合成光源を構成し
た。OCTの奥行き方向分解能は光源のコヒーレンス関数の広がり幅の1/2であり、合成光源のコヒーレ
ンス関数の計算値と実測値が図6のように一致することが確認された。さらに設計上重要なコヒーレ
ンス関数のエンベローブを表す関数、サイドローブ強度とコヒーレンス長の強度比依存性を確認した。
最終的に図7のように約1μmの光軸方向分解能と図8のように横方向空間分解能4.4μmを画像として
確認した。サンプルとして硬貨(図9)の粗面形状測定を行い、1μmステップで120枚の断層画像を測
定して、本合成光源の高空間分解能化への有効性を確認した(図10-12)。このようなOCTに対する合成
光源の定量的なアプローチは、世界的にユニークである。
2 胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断を目的とした内視鏡融合型OCTシステムの研究
図 13 は使用した気管支用内視鏡の先端部である。図 14 は、試作した OCT 用光プローブの構造図及
び概観写真である。図 15 は光プローブからの出射ビーム形状の測定結果で、これより横方向分解能
が 20μm であることがわかる。図 16 は内視鏡画像と OCT 画像の位置関係を示す図であり、内視鏡画
像内で OCT 画像位置が確認できることがわかる。図 17 は OCT 装置全体の干渉光学系である。図 18 は
試料による減衰を想定した干渉信号強度である。空間分解能は光軸方向 20μm、横方向約 22μm で、
ダイナミックレンジが 83dB であった。OCT 画像の領域については、画素領域 W440xD1110(横 2.2mmx
奥行き 2mm)であり、測定時間は 0.5s である。表示領域は、深さ 2mm x 幅 2.2mm で、それぞれの 1 画
素あたりの大きさは深さ方向 1.9μm/dot, 幅方向 5μm/dot が実現できた。図 19 に試料にミラーを
用いた場合の測定した断層画像を示す。生体試料として玉ねぎを用いた場合の断層画像を図 20 に示
す。玉ねぎの構造が確認されるのがわかる。
3 生化学的情報抽出を目的とした断層像測定システムの研究
並列光検出分光型 OCT の構成を図 21 に示す。広帯域光源を用いたマイケルソン干渉計において、干渉
光を二分し、一方は単一光検出器でフルスペクトルの干渉光を検出することで高分解能 OCT 計測を行なう
と同時に、他方を回折格子で分光する。実験結果の 1 例として図 22 の(a)と(b)に厚さ∼150µm のカ
バーガラスのフルスペクトル検出による光断層画像と分光光断層画像を示す。光源には SLD (λ0=840nm,
∆λ=20nm)を使用した。次にサンプルとして図 23 にように光源の中心波長(840nm)付近に吸収特性もつ
ネオジウムガラスを用いた。分光画像測定の結果例を図 24 に示す。8 チャンネルのヘテロダイン検出器ア
レイによる分光測定のスペクトル分解能は∼3nm である。ガラスの波長依存性を表すために、図 24 の画像
において各波長における反射光強度分布はガラス表面からの反射光強度で正規化している。この結果から、
ネオジウムガラスは光波長が短くなるほど減衰することが確認できる。一方、図 23 で示した分光光度計に
よる同ガラスサンプルの透過測定の結果と図 24 の結果を比較すると、吸収率の波長分布が一致しており、
試作した OCT 装置が分光測定の機能を果たしていることがわかる。
4 生体組織の高精度吸収スペクトル測定技術の研究
図 25 は水の吸光度スペクトルを示し、スペクトルは測定5回の平均値である。グルコース水溶液
(100−1000mg/dl)の吸光度スペクトルは、吸光度変化が小さいため、図 25 のスケールでは、水の
スペクトルとほぼ同じである。図 26 は各波長(1200−1650nm)におけるグルコース濃度と吸光度の
関係を示している。図 26 から、1200, 1300, 1450nm ではグルコース濃度の吸光度依存性は見られな
い。これは、グルコース濃度変化による吸光度の変化は測定エラーよりも小さいため、ノイズに埋も
れていると考えられる。しかし、1500, 1600, 1650nm では、グルコース濃度増加に伴う吸光度の増加
傾向が見られることがわかった。
31
5 断層画像の動画測定を対象とした画像高速処理技術の研究
2枚の画像データから断層画像を算出する方法は、2 ステップ法(TSM : Two step method)として知られ
ているが、直流成分画像を2枚の画像データの測定前ごとに測定する方法で、時間分解能に適していない。
そこで我々は、新たに連続2ステップ法(Continuous two step method : CTSM)を提案して、検討を行って
いる。H14 年度は、主要なアルゴリズムの構築とシミュレーションを行い、画像2枚にもかかわらず、SN
比が 0.7 倍しか低下しないことがわかった。
脳神経機能の解明を目的として従来の測定時間よりも桁違いに短い測定時間で断層画像を測定する
実用的な方法を考案し、原理確認実験、特許申請と共に生体試料の測定を行った。この方法は上記の
方法とは全く別であり、図 55 に示す光学システムにより CCD に位相が 90°異なる2つの干渉画像
を”同時に”露光し、その画像演算より断層画像を求める方法である。この光学系での測定は非常に
シンプルで世界初である。試料に玉ねぎを用いて、一枚の露光時間 71μs、領域 160μmx160μm、
5μm 間隔で表面から深さ方向に 73 枚の断層画像を測定した。結果の一部を図 56 を示す。
6 血流、組織の微少振動など、動きを持つ被写体を対象とした3次元断層画像測定処理技術の研究
共焦点レーザ走査型断層画像測定法とマルチ入射ビームによるドップラー法との組み合わせによっ
て、断層面内での三次元速度ベクトルと断層画像の同時測定を行う光学システム(図 27)の基礎検討を
行った。ダイナミックレンジは、画像測定時・速度測定時それぞれ 55dB 以上を確認した。空間分解能は、
図 28 で示すように断面方向が6μm、光軸方向が 28μm と得られた。実際の血流に近い数十 mm/s での
散乱体移動速度の3成分が図 29 のように測定され、速度ベクトル成分の測定が可能であることが確
認された。測定誤差の要因として、RF スペクトラムアナライザーのスイ−プタイムなどの測定条件にお
ける最適化が必要なことがわかった。
7 高機能・同軸型干渉光学系システム技術の研究
1) 同軸型ミロー干渉計(CMI)を用いた OCT の研究
図 30 のような同軸型 Mirau 干渉計を提案した。光源に LD を用い干渉基礎特性を測定して、干渉動
作を確認した。光源に SLD を用いて租面測定を行った。空間分解能は光軸方向 19μm、断面方向では
鉛直方向に 1.3μm,水平方向に 5.1μm であった。サンプルに五円硬貨を用いて粗面形状測定を行い、
図 31、32 のように散乱面の形状測定に有効なことを示した。長い作動距離が特徴の改良型ミロー干
渉計(図 33)を提案し、図 34 のような光学系を構築してその結像特性を明らかにした。図 35 の干渉信
号を用いた図 36 の RF スペクトルより、ダイナミックレンジが 54dB であることがわかる。次に,テ
ストターゲットをサンプルに用いた画像測定(図 37)を行い,位相シフト法を用いて取得した画像から
空間分解能を図 38 のプロファイルより評価した.プロファイルより横方向空間分解能は 15.6[μm]で
あることが確認できた.光軸方向の空間分解能は光源のコヒーレンス長で決まり約 20μm である。ま
た,画像測定においてレンズの収差による画像の歪みを解消するため,アクロマティックレンズと組
み合わせ両凸レンズの結像特性を比較(図 39,40)して、本光学系の対物レンズにアクロマティックレ
ンズがより適切であることを実験的に確認した。
2) 部分遅延フィゾー干渉計(PDFI)を用いた OCT の研究
PDFI を用いた OCT 光学系は、図 41、42 に示すように大きさ(PDE+対物レンズ)が約 20mm と小型で
ある。サンプルに全反射ミラーを用いて測定したダイナミックレンジは、位相変調信号の 2 次高調波で約
70dB を確認した。また、空間分解能は光軸方向で 20µm、光軸に垂直な平面方向では、7.4µm、5.4µm と
確認された。生体試料として、玉ねぎを用いて表面から 100µm 深層の鉛直断面画像を図 43,44,45 のよ
うに測定することができた。
3) GRIN レンズを用いた OCT の研究
GRIN レンズを用いた OCT システムを図 46 に示す。ここで用いる GRIN レンズは、長さ 30cm、直径
2mm と細長い棒状のレンズである。GRIN レンズを用いた 2 次元検出 OCT の特性を明らかにし,玉葱の
断層画像の測定を行った。図 47,48 より光軸方向空間分解能 9µm、図 51 より横方向空間分解能 12µm、
減衰させた干渉信号を用いた図 50 の RF スペクトルより最小検出感度-87dB で、図 52 に示した玉ねぎ
の断層画像(600µmx810µm )を測定し、図 53 のように玉ねぎの奥行き方向に 7µm ステップで 20 枚の断
層画像(深さ 140µm)を測定した。さらにそれらの断層画像から図 54 に示すように垂直断面の断層画像
(810µm x 140µm)を合成した。
32
図1
小型OCT試作機
図2
干渉光学系全体
図3
光軸方向走査部
スキャナー部
カメラ部
C
光軸方向走査部
高速遅延
ビーム出射口
光源(SLD)
試料台
試
干渉光学系全体
光 学 系
防振台
除
リトロリフレクター
回転テーブル
光軸方向走査部
33
横方向走査
表皮
500μm
深
さ
方
向
走
査
(n=1.4と仮定)
Log Reflectance
図4 玉ねぎの断層画像
Sample
L3
L1
L2
サンプル照射
パワー:4
47.6µW
(LED1:LED2=1:0.5)
PZT
CCD
74mm
Camera
controller
LED2
λ=882nm
∆λ=76nm
Reference
mirror
LED1
λ=691nm
∆λ=99nm
SLS
PC
Signal generator
図5合成光源の実験光学系
34
HV amp
1.0
measured
Signal Intesity(a.u.)
Signal Intensity(a.u.)
1.0
2.3μ m
0.5
0.0
-0.5
measured
0.0
-0.5
-1.0
-1.0
0
10
20
30
40
50
0
Optical Path Difference(µ m)
10
30
40
50
(b)
1.0
simulated
2.1μ m
Signal Intesity(a.u.)
Signal Intensity(a.u.)
20
Optical Path Difference( µ m)
(a)
1.0
2.3μ m
0.5
0.5
0.0
-0.5
simulated
2.1μ m
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.0
-30
-20
-10
0
10
20
30
-30
Optical Path Difference( µ m)
-20
-10
0
10
20
30
Optical Path Difference( µ m)
(c)
(d)
図6 合成光源のコヒーレンス関数(SLS-CF). (a) 強度比 LED1:LED2=1:1 で測定した SLS-CF. (b)強
度比 LED1:LED2=1:0.5 で測定した SLS-CF. (c) 強度比 LED1:LED2=1:1 で計算した SLS-CF. (d) 強
度比 LED1:LED2=1:0.5 で計算した SLS-CF.
Lc=2.3µm
0.5
Signal Intensity(a.u.)
0.0
-0.5
Lc=2.3µm
0.5
0.0
-0.5
0
10
20
30
40
0
50
10
20
(a)
Signal Intensity(a.u.)
Signal Intensity(a.u.)
0.0
-0.5
40
10
20
30
Optical Path Difference(µm)
(d)
0
50
10
20
40
50
40
50
(c)
simulated
measured
1.0
Lc=2.9µm
0.5
30
Optical Path Difference(µm)
0.0
-0.5
Lc=3.8µm
0.5
0.0
-0.5
-1.0
-1.0
-1.0
図7
30
simulated
measured
1.0
Lc=2.4µm
0
-0.5
(b)
simulated
measured
0.5
0.0
Optical Path Difference(µm)
Optical Path Difference (µm)
1.0
Lc=2.3µm
0.5
-1.0
-1.0
-1.0
simulated
measured
1.0
Signal Intensity(a.u.)
Signal Intensity (a.u.)
simulated
measured
1.0
Signal Intesity(a.u.)
simulated
measured
1.0
0
10
20
30
40
50
0
10
20
30
Optical Path Difference(µm)
Optical Path Difference(µm)
(e)
(f)
40
50
強度比を変えた場合の合成光源のコヒーレンス関数. (a) LED1:LED2=1:1. (b) 1:0.8. (c)
1:0.5. (d) 1:0.4. (e) 1:0.2. (f) 1:0.1.
35
120
Signal Intensity (a.u.)
120
4.4µm
80
40
200
300
Lateral Position
光強度比LED1:LED2=1:0.5
図8 横方向空間分解能評価のためのテストパターンの測定と強度プロファイル.
120µ
m
90µ
µm
図9 粗面形状測定のサンプル(50 円硬貨)と測定部位
Fig.7
Fig.8
80µm
LED1
SLS
図 10 LED1 のみと合成光源(強度比 LED1:LED2=1:0.2)の場合の測定画像
36
Signal Intensity (a.u.)
SLS
LED1
1.0
0.8
0.6
0.4
80µm
0.2
0.0
275
300
325
350
Lateral Position
図 11 (a) LED1と合成光源を用いた場合の測定画像の強度プロファイル.
(b) 2つの画像の差分画像
0.25m
m
頂部
500µm
傾斜部
底部
120µm
(a)
(b)
図 12 (a) 顕微鏡での表面写真 (b) 1μm 間隔で深さ方向に 120 枚測定した断層画像の合成画像
37
・
Olympus
Light guide
BF 1T260
性能・仕様
視野角:120°(直視)
観察深度:3~100mm
照明:ライトガイド方式
先端部外径:6.0mm
歪曲部外径:6.0mm
湾曲角:P180°/DOWN130°
有効長:550mm
全長:820mm
チャンネル内径:2.6mm
最小可視距離:3mm
Endoscope
OCT Channel
Light guide
図13 気管支内視鏡(オリンパス社カタログより引用)
Samp
le
Obj. lens Illumination
6.8mmφ
Head of Endoscope
Objective lens
Al mirror
Prism
Fibe
Channel
Wire
Fiber
Channel
Lateral scanning
Wire
13mm
Lens, f:2mm, 2mmφ
(a)
(b)
(c)
図14 光プローブの構造
38
m esured
Lens
calcurated
Fiber
50
45
Beam diameter (FWHM) [µm]
40
35
1.5mm
2.6mm
(6.8mm)
W.D.
30
25
20
パラメータ
15
波長: 1.3µm
20µm
10
端面・レンズ間距離:2.6mm
5
0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3.0
レンズ焦点距離:2mm
レンズ・出射口間距離:(4.6mm)
Working distance [mm]
図15 ビーム直径、焦点深度の測定
1mm
内視鏡画像(サンプル:皮膚)
走査方向
出射方向
(a)
OCT画像
深さ走査(光軸走査)
横走査
横走査方向
照射ビーム位置
(b)
内視鏡画像
(c)
図16 内視鏡画像とOCT画像の位置関係
39
OI
POL WP
SM fiber (SMF-28)
GRIN L RM
SLD
λ:1.3µm
⊿λ:40nm
10mW
PC1
3dB coupler
PC : Polarization
controller
Depth scanner (PZT)
10dB coupler
Optical probe(6.8mmφ)
Repetition: 600Hz
Circulator Stroke : >2.0mm
Detector
PC2
Lateral scanner
Endoscope
Wire
Stroke : <5mm
図17
ファイバー干渉光学系
42dB
図18 ダイナミックレンジの測定結果
40
Optical Probe
(max power >2.2mW)
Width 2.2 mm
分解能 5 µm/data
Depth 2 mm
分解能 1.9µm/data
図19 試料にミラーを用いた際の測定断層画像
Width 2.2 mm
分解能 5 µm/data
700 µm
(a) 実体顕微鏡画像
Depth 2 mm
分解能 1.9 µm /data
(b) OCT画像
図20 測定した玉ねぎの顕微鏡画像とOCT画像
41
Z-scan
Mirror
BS1
1
Sample
Broadband
light source
Grating
BS2
2
Heterodyne
detector array
Single detector
Envelope detectors
断層画像
図 21
分光断層画像
図1
並列光ヘテロダイン検出法を用いた分光型 OCT 装置の構成図
200µm
Depth
Log Reflectance
(a )
(b )
図 22 厚み 150µm のカバーガラスの OCT 画像、(a):全スペクトル検出
(∆λ=20nm)による計測結果、(a):分光検出(∆λ=2nm)による計測結果
図2
42
1
100
2
5
6
50
0
800
820
860
840
Wavelength[µm]
8
3nm
0
図4
5000
2500
Scanning position[µm]
分光光度計で測定したネオジウム
ガラスの透過特性
図 24
C
Absorbance
1.2
1.0
D
0.8
0.6
0.4
E
0.2
F
B
A
0.0
1000
1100
1200
1300
1400
1500
1600
1700
Wavelength[nm]
Fig.25. Spectrum of water from 950nm to 1700nm.
D
0.006
E
F
0.004
0.002
B
A
0.000
C
-0.002
0
200
400
600
800
1000
Glucose concentration [mg/dl]
Fig. 26. Dependence of the absorbance on the
glucose concentration.
43
図3
8チャンネル光ヘテロダイン検出器アレイで
検出されたネオジウムガラスの
反射光強度プロフィル
1.4
Absorbance relative to water
図 23
λ
7
Normalized intensity
Transmittance[%]
3
4
Single mode
Nd:YAG Laser
1.064μm , 800mW
BS1
BS2
M1
λ 2
Optical
Plate Isolator
M2
BS3
AOM
AOM
AOM
(80.05MHz) (80.00MHz) (79.90MHz)
Y方向
Beam1
Photo
Detector
Spatial Filter
(2μmφ)
Beam2
Beam
M3
Expander
RF Spectrum
Analyzer
Sample
M4
Objective
Lens
(NA=0.45)
照射ビーム
1
0.8
28[μ
μ m]
0.6
0.4
0.2
0
-80 -60 -40 -20
0
20 40 60 80
Z Position [μm]
Signal Intensity[a.u.]
サンプルからの
散乱光
Signal Intensity[a.u.]
X方向
M5
BS4
Fourier
Transform Lens
(NA=0.4)
Z方向
Beam3
図 27 光学測定システム
1
0.8
0.6
6[μ
μ m]
0.4
0.2
0
0
20
40
60
80
100
2
1.5
1
Experimental
Theoretical
0.5
0
-0.5
-1
-1.5
-2
-3
-2
-1
0
1
2
3
Doppler shift frequency(kHz)
Speed of sample(mm/s)
Speed of sample(mm/s)
(a) Z 軸方向
(b) X 軸方向
図 28 サンプルに直径 63μmφのワイヤを用いた場合の信号強度プロファイル
15
10
Experimental
Theoretical
5
0
-5
-10
-15
-8
-4
0
4
8
Doppler shift frequency(kHz)
(a)VZ 速度成分
(b)VX' 速度成分
図 29 試料速度とドップラーシフト周波数
44
Sample
OJ (x20)
HM(T:30%)
SLD(Anritsu, AS2C211,
840nm, 17nm, 2mW)
3D stage
L1=L2~13.5cm
L1
PZT
LD driver
600Hz, sin wave
RF Spectrum
Analyzer
Computer
図 30 CMI の干渉計システム
図 31(a)
図 32
CMI を用いた OCT 画像
図 31(b)
光学顕微鏡を用いた写真
図 31(b)を図 31(b)と同倍率に拡大して重ね合わせた画像
・
45
IS
IR
RS
RM
I0
R BS
TBS
RHM
THM
図 33 干渉光学系
SLD
CL
He-Ne
Mirror(0.5mmφ)
PD
BS
Lens(f=50mm)
PZT
Objective
Lens
Half
Mirror(R=32%)
Sample
図 34 干渉光学系
CH1
54[dB]
CH2
GND(CH2)
図 36 ビート信号の RF スペクトル
図 35 ヘテロダインビート信号
46
15.6μ
15.6μm
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
0
図 37 演算画像
図 39 両凸レンズでの結像
50
100
150
200
250
300
350
図 38 強度プロファイル
図 40 アクロマティックレンズでの結像
47
Photo
RFDetector Spectrum
Analyzer
λ0:840nm
L1
∆λ:17nm
P0:2mW
Sig.
SLD
Ref.
E
c
BS LiNbO3
PC
Sample
L2
x
z
y
GRIN
Lens
3D Stage
Sine wave,2.5kV,6kHz
図 41 断層画像用測定システム
y
z
x
1.5mm
17mm
Sample
Input BeamLiNbO3
図 42
x
Scanning
Objective
実験光学系の写真
y i)
OHP Sheet
500µm
Glass
Coherence
gate
Ground
surface
ii)
x
x
y
100µm
y
(b)
(a)
図 43 テストサンプルとたまねぎの鉛直断面画像
48
プローブ光
a
測定部位
図 5-9
図 5-8
b
d
c
a
b
d
c
Surface
Depth of
100µm
Surface
Cross sectional
photograph of
the onion.
Y
Z
Y
Z
(a) 光学顕微鏡像
(b) OCT 像
図 44
500µm
図 45
タマネギの光学顕微鏡像とマイクロレンズを用いた PDFI による OCT 像
49
・
図 46 GRIN レンズを用いた 2 次元検出システムの実験系構成図
図 47 光源のスペクトル分布図
図 48 コヒーレンス関数
50
図 49 ヘテロダインビート信号
図 50 測定ダイナミックレンジと検出感度
図 51 テストターゲットの干渉成分画像と
ラインプロファイル
51
図 52 サンプルに用いた玉葱
(a) 玉葱表面の顕微鏡写真
(b) 玉葱断面の顕微鏡写真
Log Reflection
図 53 玉葱の OCT 画像.参照ミラー140µm
移動させたときの OCT 画像
図 54 20 枚の x-y OCT 画像から抽出した
y-z OCT 画像
52
図 55 時間ゲート OCT の測定システム
(a)
(b)
生体試料:玉ねぎ
1画像の露光時間:71μs
測定画像領域:160μmx160μm
3次元画像:5μm間隔で73枚
図 56 時間ゲート OCT による生体試料の断層画像
53
2.2 総表
総 表
目的・意義
本事業では、医学的・工学的知見を活用する医学・工学連携型研究により、従来の OCT 技術を高空間分解能
化、小型化、多機能化の点から大幅に改善して、診断・治療などの幅広い臨床応用に対応するための基盤研究
を推進する。さらに、次世代への基礎技術として、微小血管内の血流分布などの 3 次元の流れや動きをも測定
可能とする断層画像測定技術の確立と共に断層画像の動画測定のための高速断層画像測定に関する基盤研究を
行うことを目的とする。
平成 14
年度
研究テーマ
平成 12 年度
平成 13 年度
1-1 小型 OCT
の試作研究
デスクトップ型 OCT 装置の試作
を行い、積層カバーガラスをテス
トサンプルに用いて、断層画像の
測定を試みた。最終目標の一つで
ある深さ測定領域 3mm に対して
は、積層のカバーガラスをサンプ
ルに用いて 3.6mm 以上の走査領域
が確認できた。
複数の光源を組み合わせた合成
光源を提案してその原理確認を
行った。3個の半導体発光素子を
用い、空間分解能は理論的に57%、
実験的に65%に減少することを示し
た。強度の最適化のアプローチ
は、ユニークであり、世界で始め
てである。
プリズム走査系の改
善により、測定領
域:25mm を実現し、
玉ねぎの断層画像を
測定した。
感度の検討を
行った。
感度の検討を行った。
光源の発光デバイス
を交換して得られた
合成光源の光パワー
440μW は、昨年度の
11 倍である。
2つの LED を
用いて得られ
た光軸方向分
解能は 1.2μ
m であった。
2つの LED で構成される合成光
源と小型の干渉画像光学系を構
築して、光軸方向分解能 1.2μ
m、横方向空間分解能 4.4μm を
測定した。さらに粗面形状試料
として硬貨の断層画像を、1μm
ステップで 120 枚測定し、表面
の細かな凹凸を高精度で測定し
た。空間分解能においては初期
目標を達成し、今後の課題を明
らかにした。
内視鏡融合型 OCT を試作し、空
間分解能 20μm、深さ 2mm、幅
2.2mm、測定時間 0.5s で、試料
として玉ねぎの断層画像を測定
した。臨床上有効な特徴を有す
る気管支用内視鏡融合型 OCT の
試作と基礎特性の実現は達成し
た。ここでの技術は、消化器用
内視鏡にも有効な技術である。
組織診断には分解能が及んでい
ないが、初期目標は達成した。
1-2 高空間分
解能化に関す
る研究
平成 15 年度
2 胃癌 、 直
腸癌、大腸癌
などの組織診
断を目的とし
た内視鏡融合
型 OCT システ
ムの研究
フィゾー・マイケルソン干渉計の
直結二重干渉計において、干渉信
号の安定性を向上させる位相揺ら
ぎ抑制法が有効なことを確認し
た。
血管内視鏡用バンド
ルファイバ(BF)を用
いて、フィゾー・マ
イケルソン二重干渉
結像光学系を構成
し、SLD を光源に用
いて、干渉を確認し
たが、十分な干渉信
号強度ではなかっ
た。
従来の肺用内
視鏡と OCT と
を融合させる
形で,肺用内
視鏡の機能を
温存させて,
気管支の内壁
と断層画像と
を測定可能と
する OCT の光
プローブの設
計および光学
系の構築を進
めた。
3 生化 学 的
情報抽出を目
的とした断層
像測定システ
ムの研究
OCT と分光計測との具体的な融合
を検討した。バイプリズムによる
2光波空間干渉と回折格子を組み
合わせる方式について、原理検討
と具体的例の検討を行った。
波長 840nm の SLD と
回折格子を用いた分
光型 OCT を試作し、
サンプルに Nd ガラ
スを用いて、24nm に
わたる分光原理動作
を確認し、初期目標
を達成した。
空間分解能と
波長分解能と
を両立する新
たな方法を検
討した。
空間分解能と波長分解能とを両
立する新たな方法を検討した。
4 生体 組 織
の高精度吸収
スペクトル測
定技術
光波を用いた新しい血糖濃度測
定法を検討した。眼球の前眼房水
に光波を入射させて、その反射光
から血糖値の測定を行う新しい方
法を提案して、すでに特許として
申請した。
前眼房水内のグル
コース濃度によるス
ペクトル変化と OCT
を組み合わせた OCT
式グルコースの測定
法を検討した。
特定波長ごと
の吸収度のグ
ルコース濃度
依存性に差異
が見られる傾
向がわかり、
新たな測定方
法への可能性
が確認され
た。
より精度の高い測定方法を継続
的に検討した。
5 断層 画 像
の動画測定を
対象とした画
像高速処理技
術の研究
2枚の画像データから断層画像
を得る高速画像同期測定法 ( Fast
Image Lock-in Method :FILM)を考
案した。
高速度化を目的に連
続 2 ステップ法を提
案し、シミュレー
ションによりノイズ
特性等を検討した。
アルゴリズム
の構築とシ
ミュレーショ
ンを行い、画
像2枚でも、
SN 比 が 0.7
倍しか低下し
ないことがわ
高速の CCD カメラと高速画像演
算処理システムの構築により、
20 フレーム/秒の速度で断層画
像が得られるシステムの構築を
行った。
飛躍的な高時間分解能の向上が
期待できる時間ゲート OCT を考
案し、原理確認を行った。
54
6 血流 、 組
織の微少振動
などの動きを
持つ被写体を
対象とした3
次元断層画像
測定
かった。
十分な SN 比
を得るための
新しい方法を
継続的に検討
した。
共焦点レーザ走査型断層画像測
定法とマルチ入射ビームによる
ドップラー法との組み合わせに
よって、断層面内での三次元速度
ベクトルと断層画像の同時測定を
行う光学システムの基礎検討を
行った。その結果、空間分解能の
評価では交叉ビーム間のビート信
号が分解能の向上に有効であり、
実際の血流に近い数十 mm/s での散
乱体移動速度の3成分が測定さ
れ、速度ベクトル成分の測定が可
能であることが確認された。28μ
mの空間分解能も確認された。
原理確認は出来た
が、光学系の複雑さ
のためか SN 比が不
十分、空間分解能が
十分でない、DR 向上
のための改善が必要
なことがわかった。
十分な SN 比を得るための新しい
方法を継続的に検討した。
同 軸 型 Mirau 干 渉 計 を 提 案 し
た。空間分解能では光軸方向 19μ
m、断面方向では鉛直方向に 1.3μ
m,水平方向に 5.1μm であった。ダ
イナミックレンジは約 60dB で、サ
ンプルに五円硬貨を用いて粗面形
状測定を行い、散乱面の形状測定
に有効なことを示した。CMI は、
OCT の小型化に対して極めて有効
であり、世界的に見てもユニーク
なものである。
Fizeau 干渉計を基礎とした分
割遅延型 Fizeau 干渉計を提案
し、自己相関関数の測定から干
渉動作を確認した。さらに、生
体試料としてたまねぎの鉛直断
面画像が測定できた。PFI は OCT
の小型化に有効であり、世界的
にユニークである。
高感度化、散乱面と
して五円硬貨の表面
形状測定などを行っ
た。
ダイナミック
レンジの向
上、生体試料
測定のために
同軸ミロー干
渉系の改良を
提案し、その
動作原理を確
認した。
ダイナミックレンジの向上、作
動距離の増大のために改良型ミ
ロー干渉系を提案し、位相シフ
ト法を用いて OCT としての動作
原理を実験的に確認した。さら
にアクロマティックレンズでの
性能の向上を実験的に検証し
た。改良型ミロー干渉系の長所
を実験的に確認できた。初期目
標は達成した。
生体試料として玉ね
ぎの断層画像測定お
よび、二次元拡張を
確認した。
高感度化の検
討をした。
高感度化の検討をした。
GRIN レンズを用いた
OCT の提案をし、画
像測定範囲・空間分
解能の測定など原理
確認した。
GRIN レンズは、長さ
30cm、直径 2mm と細
長い棒状のレンズで
ある。
租面形状サン
プルとして、
十円硬貨の断
層画像測定を
行った。光軸
方向空間分解
能 9µm、横方
向空間分解能
12µm、最小検
出 感 度 -87dB
であった。
GRIN レンズを用いた 2 次元検出
OCT の特性を明らかにし,玉葱
の断層画像の測定を行った。玉
ねぎの断層画像(600µmx810µm )
を測定し、玉ねぎの奥行き方向
に 7µm ステップで 20 枚の断層画
像(深さ 140µm)を測定した。さ
らにそれらの断層画像から垂直
断面の断層画像(810µm x 140µm)
を合成した。
58
54
46
42
16
19
19
18
9
4
0
15
8
3
8
0
11
9
2
4
2
15
0
5
2
1
12
0
7 高機 能 ・
同軸型干渉光
学系システム
技術
1) 同 軸 型 ミ
ロー干渉計を
用いた OCT の
研究
2) 部 分 遅 延
型フィゾー干
渉計を用いた
OCT の研究
3) GRIN レン
ズを用いた
OCT の研究
研究予算
(百万円)
研究担当
人員数
学術論文
国際会議
著書・雑誌
学会発表
特許出願
55
2.3 研究テーマごとの成果
1 皮膚癌、網膜剥離、白内障などの診断応用を可能とする小型集積型光学素子の研究
1) 小型OCTの試作研究
図1に示すようなデスクトップ型 OCT 装置の試作を行った。光学系の構成を図2に、回転プリズムによ
る光軸方向走査部を図3に示す。最終目標の一つである深さ測定領域 3mm に対しては、積層のカバーガラ
スをサンプルに用いて 3.6mm 以上の測定領域が確認できた。生体サンプルとして玉ねぎを使用した。画像
ノイズに対しては、深さ方向10回のサンプリングを行い、平均化してデータを取得した。図4が玉ねぎ
のOCT画像である。横方向に 1.2mm にわたって 200 本の走査をした。本断層画像は、横が 200 ピクセル、
縦が 180 ピクセルの画像である。本装置の深さ方向分解能は 18μm であるため、細胞形状がはっきりと観
測された。最終目標仕様の空間分解能 10μm に対して、18μm であったが、深さ走査領域は、3.6mm を確認
した。
2) 高空間分解能化に関する研究
OCTにとって高空間分解能化は重要な研究テーマである。従来、数μmオーダーの高空間分解能OCT
にはフェムト秒レーザシステムが主流であるが、価格・小型・軽量さに問題があった。そこで、ここ
では、図5に示すような2個のLEDを用いたコンパクトな合成光源を構成し、小型な二次元干渉画像
光学系を用いて、合成光源による高空間分解能化を確認するために実験を行った。奥行き方向分解能
は光源のコヒーレンス関数の広がり幅の1/2であり、合成光源のコヒーレンス関数の計算値と実測値
が図6のように一致することが確認された。さらに設計上重要なコヒーレンス関数のエンベローブを
表す関数、サイドローブ強度とコヒーレンス長の強度比依存性を確認した。最終的に図7のように約
1μmの光軸方向分解能と図8のように横方向空間分解能4.4μmを画像として確認した。サンプルとし
て硬貨(図9)の粗面形状測定を行い、1μmステップで120枚の断層画像を測定して、本合成光源の高
空間分解能化への有効性を確認した(図10-12)。このようなOCTに対する合成光源の定量的なアプローチ
は、世界的にユニークである。実用化に対する技術的課題としては、まず出力パワーの増大である。
2 胃癌、直腸癌、大腸癌などの組織診断を目的とした内視鏡融合型OCTシステムの研究
H14 年度から、市販されている気管支用内視鏡画像をベースに、従来の気管支用内視鏡画像と OCT
画像とが同一画像内で対応できる OCT システムを試作しており、H15 年度は基本特性を明らかにして、
生体試料として玉ねぎの断層画像を測定した。
図 13 は使用した気管支用内視鏡の先端部である。図 14 は、試作した OCT 用光プローブの構造図及
び概観写真である。図 15 は光プローブからの出射ビーム形状の測定結果で、これより横方向分解能
が 20μm であることがわかる。図 16 は内視鏡画像と OCT 画像の位置関係を示す図であり、内視鏡画
像内で OCT 画像位置が確認できることがわかる。図 17 は OCT 装置全体の干渉光学系である。光源は
波長 1.3μm、スペクトル幅 40nm、光出力 10mW の SLD を用いた。図 18 は試料による減衰を想定した
干渉信号強度である。空間分解能は光軸方向 20μm、横方向約 22μm で、ダイナミックレンジが 83dB
であった。OCT 画像の領域については、画素領域 W440xD1110(横 2.2mmx 奥行き 2mm)であり、測定時間
は 0.5s である。表示領域は、深さ 2mm x 幅 2.2mm で、それぞれの 1 画素あたりの大きさは深さ方向
1.9μm/dot, 幅方向 5μm/dot が実現できた。図 19 に試料にミラーを用いた場合の測定した断層画
像を示す。生体試料として玉ねぎを用いた場合の断層画像を図 20 に示す。玉ねぎの構造が確認され
るのがわかる。内視鏡融合型 OCT の試作を行い、初期目標は達成したが、最終目標仕様には及ばな
かった。
3 生化学的情報抽出を目的とした断層像測定システムの研究
現在、OCT の応用技術として、サンプルからの反射光波のスペクトルを分析することによって形態学的
情報のみならず、機能や成分情報も同時に取得する分光型 OCT がある。並列光検出分光型 OCT の構成を図
21 に示す。広帯域光源を用いたマイケルソン干渉計において、干渉光を二分し、一方は単一光検出器でフ
ルスペクトルの干渉光を検出することで高分解能 OCT 計測を行なうと同時に、他方を回折格子で分光する。
分光された干渉光は、光ヘテロダイン検出器アレイで並列検出され、各波長における反射光強度分布を同
時に取得する。その際、アレイの各素子で検出される反射光の強度は干渉に寄与する光の波長に依存し、
反射光強度分布の傾きからそれぞれの波長における光減衰係数の分布を求めることができる。この光減衰
係数の分布について特定の波長から他の波長の差分をとった差分減衰度分布を用いて分光断層画像を構成
56
する。
実験結果の 1 例として図 22 の(a)と(b)に厚さ∼150m のカバーガラスのフルスペクトル検出によ
る光断層画像と分光光断層画像を示す。光源には SLD (中心波長:840nm, スペクトル幅:20nm)を使用し
た。図の結果より、本方法は従来の OCT 法と同様に高い深さ方向分解能が得られる一方、分光チャンネル
数を適切に設けることでスペクトル分解能を高めることもできることがわかる。次にサンプルとして図 23
にように光源の中心波長(840nm)付近に吸収特性もつネオジウムガラスを用いた。分光画像測定の結果例
を図 24 に示す。8 チャンネルのヘテロダイン検出器アレイによる分光測定のスペクトル分解能は∼3nm で
ある。ガラスの波長依存性を表すために、図 24 の画像において各波長における反射光強度分布はガラス表
面からの反射光強度で正規化している。この結果から、ネオジウムガラスは光波長が短くなるほど減衰す
ることが確認できる。一方、図 23 で示した分光光度計による同ガラスサンプルの透過測定の結果と図 24
の結果を比較すると、吸収率の波長分布が一致しており、試作した OCT 装置が分光測定の機能を果たして
いることがわかる。分光機能付き OCT の試作を行って原理動作を確認し、初期目標は達成したが、最終目
標仕様には及んいでいない。
4 生体組織の高精度吸収スペクトル測定技術の研究
H12 年度は、光波を用いた新しい血糖濃度測定法を検討した。眼球の前眼房水に光波を入射させて、そ
の反射光から血糖値の測定を行う新しい方法を提案して、すでに特許として申請した。H14 年度は、OCT を
用いて空間分解能を有する分光法で前眼房水内のグルコース濃度を測定する方法を開発する目的から、グ
ルコース濃度と吸収スペクトルとの関係を検討した。グルコースの吸光度特性を調べるため、フーリエ
変換赤外分光光度計(FT-IR, Bomem, MB160D, 光源:ハロゲンランプ)を用いてグルコース水溶液の
吸洸度測定を行った。検出器は InGaAs(検出波長 0.83μm−1.67μm)を使用した。サンプルはグル
コース水溶液、100mg/dl、250mg/dl、500mg/dl、1000mg/dl の各濃度を用いた。溶媒は純水を使用し
た。各濃度のグルコース水溶液の吸光度測定は、それぞれ5回の測定を行い、1回の測定は 32 回の
スキャンを行った。
図 25 は水の吸光度スペクトルを示し、スペクトルは測定5回の平均値である。グルコース水溶液
(100−1000mg/dl)の吸光度スペクトルは、吸光度変化が小さいため、図 25 のスケールでは、水の
スペクトルとほぼ同じである。図 26 は各波長(1200−1650nm)におけるグルコース濃度と吸光度の
関係を示している。縦軸の吸光度は、水の吸光度を基準(ゼロ)としており、水よりも吸光度が高い
場合はプラス、低い場合はマイナスの値を示す。図 25 のように測定された各濃度のグルコース水溶
液の吸光度スペクトルデータから、図 25 に示された A, B, C, D, E, F の 6 波長を選択し、グルコー
ス濃度と吸光度の相関を解析した。その結果が図 26 にプロットされている。プロットデータは測定
5回の平均値である。また、標準偏差を計算したが、図中のエラーバーの表示を見やすくするため、
波長 1650nm ついてのみエラーバーを表示した。図 26 から、1200, 1300, 1450nm ではグルコース濃度
の吸光度依存性は見られない。これは、グルコース濃度変化による吸光度の変化は測定エラーよりも
小さいため、ノイズに埋もれていると考えられる。しかし、1500, 1600, 1650nm では、グルコース濃
度増加に伴う吸光度の増加傾向が見られる。この波長帯でのグルコース濃度と吸光度の相関関係を利
用したグルコース濃度測定の可能性が示唆された。
5 断層画像の動画測定を対象とした画像高速処理技術の研究
OCT の高時間分解能化の研究では、1 画素ごと逐次測定する方法から画面ごとに断層画像を測定する方法
が用いられている。この方法は、干渉画像から断層画像を取り出すための画像処理が必要となる。従来、
3枚・4枚の参照光と信号光の位相の異なる画像データから断層画像を算出する方法が用いられてきた。
ここでは、さらに高速化を図るために2枚の画像データをベースに画像処理を行う方法を検討している。
2枚の画像データを用いる方法は、2 ステップ法(TSM : Two step method)として知られているが、直流成
分画像を2枚の画像データの測定前ごとに測定する方法で、時間分解能に適していない。そこで我々は、
新たに連続2ステップ法(Continuous two step method : CTSM)を提案して、検討を行っている。H14 年度
は、主要なアルゴリズムの構築とシミュレーションを行い、画像2枚にもかかわらず、SN 比が 0.7 倍しか
低下しないことがわかった。新しい画像処理法の提案を行ったが、最終目標仕様には及ばなかった。
脳神経機能の解明を目的として従来の測定時間よりも桁違いに短い測定時間で断層画像を測定する
実用的な方法(時間ゲートOCT)を考案し、原理確認実験、特許申請と共に生体試料の測定を行った。
この方法は上記の方法とは全く別であり、図55に示す光学システムによりCCDに位相が90°異なる
2つの干渉画像を”同時に”露光し、その画像演算より断層画像を求める方法である。この光学系は
二次元ヒルベルト変換を用いており、非常にシンプルで実用に耐えうるシステムである。原理的に測
57
定時間は、露光時間で決まるので、レーザの高速制御技術を用いればnsオーダーでの測定が可能とな
り、従来のOCTで測定が不可能であった生体内の高速現象の測定が期待できる。現状のOCTの時間
分解能はmsオーダーであり、msオーダーの神経細胞の応答でも測定が困難である。我々は、時間
ゲートOCTの主な応用を神経機能解明と考え、今後の研究開発を行う予定である。
試料に玉ねぎを用いて、一枚の露光時間71μs、測定領域160μmx160μm、5μm間隔で表面から
深さ方向に73枚の断層画像を測定し、図56に測定例を示した。71μsは現有のCCDの電子シャッター
時間であり、高出力のレーザ光源、高速の光スイッチを用いれば、ns領域の制御は可能である。
6 血流、組織の微少振動など、動きを持つ被写体を対象とした3次元断層画像測定処理技術の研究
共焦点レーザ走査型断層画像測定法とマルチ入射ビームによるドップラー法との組み合わせによっ
て、断層面内での三次元速度ベクトルと断層画像の同時測定を行う光学システム(図 27)の基礎検討を
行った。ダイナミックレンジは、画像測定時・速度測定時それぞれ 55dB 以上を確認した。空間分解能は、
図 28 で示すように断面方向が6μm、光軸方向が 28μm と得られた。実際の血流に近い数十 mm/s での
散乱体移動速度の3成分が図 29 のように測定され、速度ベクトル成分の測定が可能であることが確
認された。測定誤差の要因として、RF スペクトラムアナライザーのスイ−プタイムなどの測定条件にお
ける最適化が必要なことがわかった。原理動作の確認を行い、血流程度の3次元速度ベクトルが測定可能
であることを確認したが、最終目標仕様には及ばなかった。
7 高機能・同軸型干渉光学系システム技術の研究
1) 同軸型ミロー干渉計を用いた OCT の研究
パワーモニター用 PD 付き LD と PZT 付きハーフミラー及び全反射ミラーを同一光軸上に配置した構
成である図 30 のような同軸型 Mirau 干渉計を提案した。光源に LD を用い干渉基礎特性を測定して、
干渉動作を確認した。光源に SLD を用いて租面測定を行った。空間分解能の評価を行ったところ光軸
方向 19μm、断面方向では鉛直方向に 1.3μm,水平方向に 5.1μm であった。ダイナミックレンジは約
60dB で、サンプルに五円硬貨を用いて粗面形状測定を行い、図 31、32 のように散乱面の形状測定に
有効なことを示した。CMI は、OCT の小型化に対して極めて有効であり、世界的に見てもユニークな
ものである。
H15 年度は,従来のミロー干渉計を改良して長い作動距離が特徴の改良型ミロー干渉計(図 33)を提
案し、図 34 のような光学系を構築してその結像特性を明らかにした。さらに位相シフト法を用いて
OCT としての原理確認実験を行った。試作した改良型ミロー干渉計において、対物レンズの焦点距離
は 3.9[mm],有効焦点距離は 2.1[mm]、Visibility は 0.45,さらに図 35 の干渉信号の RF スペクトル
(図 36)よりダイナミックレンジは 54[dB]であることが確認できた.次に,テストターゲットをサン
プルに用いた画像測定(図 37)を行い,位相シフト法を用いて取得した画像から空間分解能を図 38 の
プロファイルより評価した.プロファイルより横方向空間分解能は 15.6[μm]であることが確認でき
た.光軸方向の空間分解能は光源のコヒーレンス長で決まり約 20μm である。また,画像測定におい
てレンズの収差による画像の歪みを解消するため,アクロマティックレンズと組み合わせ両凸レンズ
の結像特性を比較(図 39,40)して、本光学系の対物レンズにアクロマティックレンズがより適切であ
ることを実験的に確認した。
OCT の小型化に有効な干渉計の提案を行い、有効性を実験的に示した。
2) 部分遅延フィゾー干渉計を用いた OCT の研究
OCT の小型・軽量化は汎用性・多機能化の点から非常に重要である。この点に着目して、部分遅延フィ
ゾー干渉計(PDFI: Partially Delayed Fizeau Interferometer)を提案し、原理の確認と OCT としての動作確認を
行ってきた。H13 年度は、主に最適化に関する検討と二次元干渉光学系への拡張に関して原理確認を行っ
た。
PDFI を用いた OCT 光学系は、図 41、42 に示すように大きさ(PDE+対物レンズ)が約 20mm と小型
である。サンプルに全反射ミラーを用いて測定したダイナミックレンジ DR は、位相変調信号の 2 次高
調波で約 70dB を確認した。また、空間分解能は光軸方向で 20µm、光軸に垂直な平面方向では、7.4µm、
5.4µm と確認された。生体試料として、玉ねぎを用いて表面から 100µm 深層の鉛直断面画像を図 43,
44,45 のように測定することができた。光軸方向の断層画像については、対物レンズにマイクロレンズ
を用いて細胞構造が確認できた。また、二次元光学系への拡張として、PDFI を干渉結像光学系として
58
用い、位相シフト法を併用して、テストパターンの画像測定を行った。その結果、横方向分解能 8.8µm
と横方向測定領域約 80µm を確認した。
OCT の小型化に有効な干渉計の提案を行い、OCT としての動作確認、二次元光学系への拡張を示し
た。
3) GRIN レンズを用いた OCT の研究
体表に微小孔を設けて、体内臓器の表面付近の断層構造を測定可能とする OCT 装置が臨床的に有意
義であることから H13 年度から GRIN レンズを用いた OCT に関する研究を開始した。GRIN レンズを用
いた OCT システムを図 46 に示す。ここで用いる GRIN レンズは、長さ 30cm、直径 2mm と細長い棒状の
レンズである。H15 年度は、GRIN レンズを用いた 2 次元検出 OCT の特性を明らかにし,玉葱の断層画
像の測定を行った。図 47,48 より光軸方向空間分解能 9µm、図 51 より横方向空間分解能 12µm、減衰
させた干渉信号を用いた図 50 の RF スペクトルより最小検出感度-87dB で、玉ねぎ(図 52)の断層画像
(600µmx810µm )を測定し、図 53 のように玉ねぎの奥行き方向に 7µm ステップで 20 枚の断層画像(深
さ 140µm)を測定した。さらにそれらの断層画像から図 54 に示すように垂直断面の断層画像(810µm x
140µm)を合成した。
OCT の臨床応用拡大に有効な新しい OCT の提案を行い、OCT としての動作確認を実験的に示した。
Ⅳ.実用化、事業化の見通しについて
1.実用化、事業化の見通しについて
<事業全体についての実用化の見通し>
本事業の目的が、医学的・工学的知見を活用する医学・工学連携型研究により従来の OCT 技術をベー
スとする次世代の断層画像測定技術の基盤研究を行うことである。よって、各研究テーマの遂行により、
貴重な知見や要素技術が得ることが出来たが、事業全体として実用化に”直接”結びつく見通しは得られ
ていない。
<主な研究テーマの実用化へのシナリオ>
項
目
気管支用内視鏡融合型
OCT
GRIN レンズ型 OCT
時間ゲート型 OCT
汎用型小型OCTの試作
神経機能解析、神経機能損
傷診断
神経系薬品開発における動
物実験の定量評価
生体細胞を用いた新機能の
確認(期間:3年)
、
光源の高出力化・高感度化
の研究(期間:2年)
安 全 性 の検 討 ・試 作 (期
間:2年)
皮膚等診断用小型 OCT
気管支診断用 OCT
体内深部臓器診断用 OCT
マイクロマシン技術を用いた
小型光プローブの試作・研
究 、 OCT 本 体 の コ ン パ ク ト
化・特性改善(期間:2年)
安全性・殺菌処理などに耐え
うる構造・材料の検討・試作
(期間:2年)
高速化、高感度化、光学系
全 体 の コ ンパ ク ト化 ( 期
間:3年)
臨床試験
期間*
動物実験等を通した臨床試
験・試作機の改良(期間:2
年)
動物実験等を通した臨床試
験・試作機の改良(期間:
2年)
動物実験等を通した臨床試
験・試作機の改良(期間:
2年)
動物実験等を通した臨床試
験・試作機の改良(期間:
2年)
実用化ま
での期間
6年
7年
9年
9年
OCT とマイクロマシン技術と
の融合展開
医学・生理学・獣医学等で
の新しい応用展開
神経生理学・薬理学等へ及
ぼす影響は多大と考えられ
る
肺がん等の肺疾患が増加の傾
向にあり、効果は大きい
新しい医療行為であり、新
たな市場が期待される
新しい市場の創出が期待で
きる
差別化技術として、合成光
源等の新規光源の問題がク
リアされればOCTのみなら
ず、その波及効果は大きい
紫外線増加に伴い皮膚ガン
等のニーズが高まる傾向か
ら波及効果は大きい
製品・
用途
技術的課
題解決の
期間*
医療機器
としての
課題解決
の期間*
技術的波
及効果
経済的波
及効果
安全性・殺菌処理などに耐
えうる構造・材料の検討・
試作(期間:2年)
注意:期間については、必要な研究予算・研究開発協力者を想定した場合である。
59
現在、市販の OCT 装置に
対する差別化技術の研究開
発 (期間:5年)
安 全 性 の検 討 (期 間 :2
年)
III. 研究開発成果
別紙
2000 年度(平成 12 年度)
【出願中国内特許:計 8 件】
特許の名称/出願年月日/出願番号/発明者名
測定試料の断面画像測定方法及びそのための装置/平成 12.5.1/2000-162054/
佐藤学・丹野直弘
全反射を用いた吸収スペクトル測定用光ファイバーセンサ及びそのシステム/
平成 13.1.18/2001-00750/佐藤学・丹野直弘
光波断層画像測定装置/平成 13.1.18/2001-007505/佐藤学・丹野直弘
多光波光源による光波断層画像測定用高空間分解能合成光源/平成 13.1.18/2001-007501/
佐藤学・丹野直弘
ヘテロダインビート画像同期測定法及びその装置/平成 13.1.18/2002-007501/
佐藤学・丹野直弘
ヘテロダイン検出によるミロー干渉計型鉛直断面画像測定装置/平成 13.1.18/2002-007503/佐藤学・
丹野直弘
鉛直断面画像測定装置/平成 13.3.28/2001-091933/佐藤学・丹野直弘
高速画像同期測定方法及びその装置/平成 13.3.28/2001-091933/佐藤学・丹野直弘
【学術論文:計 9 件】
佐藤学,丹野直弘,“光コヒーレンストモグラフィーによる生体組織の断層画像計測”
計測自動制御学会・計測と制御,vol.39,no.4,pp.259-266(Apr.2000).
佐藤学,清野勝宏,小野寺一貴,丹野直弘,“ヘテロダインビート信号の高次高調波による
位相揺らぎ抑制法と生体断層画像計測への応用”,電子情報通信学会論文誌,
vol.J83-C,no.6,pp.533-541(Jun.2000).
Manabu Sato,Katsuhiko Seino,Kzutaka Onodera,and Naohiro Tannno,“Phase-drift-suppression
Using harmonics in heterodyne detection and its application to optical coherence tomography”,
Opt.Commun.,vol.184,pp.95-104(Oct.2000).
Manabu Sato,Masakazu Endo and Naohiro Tanno,“Phase-drift-suppression method using higher
Order harmonics in heterodyne detection”,Opt Rev.,vol.7,no5,pp462-467(Sep./Oct.2000).
Kin Pui Chan,Mnabu Sato,Masahiro Akiba and Naohiro Tanno,“Detection schemes for opticalCoherence-domain imaging of biological tissues”,Opt.Rev.,vol.7,no.5,pp.389-395(Sep./Oct.2000)
Manabu Sato,Yoshifumi Ikeda,Masakazu Endo,Shinji Fukuda and Naohiro Tanno,“Phase-driftSuppression in heterodyne detection using coherent light source”,Opt.Rev.,vol.8,no.1,pp.37-42
(Jan./Feb.2000).
Yan Zang,Manabu Sato,Naohiro Tanno, “ Characters of the semiconductor laser with strong
feedback”,Optik,vol.112,no.2,pp.91-96(Feb.2000).
Yan Zang,Manabu Sato,Naohiro Tanno,“Resolution improvement in optical coherence tomography based on
destructive interference”,Opt.Commun.,vol.187,pp65-70(2001).
60
Yan Zang,Manabu Sato,Naohiro Tanno,“Resolution improvement in optical coherence tomography by
optimally synthesizing light emitting diodes”,
Optics Letters,vol.26,no.4,pp.205-207(Feb.2001).
【著書・雑誌:計 0 件】
【国際会議:計 4 件】
Manabu Sato, Hiroshi Sakai and Naohiro Tanno, “Coaxial Michelson interferometer for optical
biotomography ,” Interdisciplinary international conference on polarisation effects in lasers, spectroscopy
and optoelectronics (PELS-2000), pp.79, Southampton, UK, Sept. 6-8 (2000).
Manabu Sato, Kazutaka Onodera, Masahiro Akiba and Naohiro Tanno,
heterodyne detection and its application to optical coherent tomography,”
CTuK22, Nice, France, Sept. 10-15 (2000).
“Phase-drift-suppression in
CLEO/Europe-IQEC 2000,
Yan Zhang, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Multiple reference lights low coherence interferometer,”
Optics and optoelectronic inspection and control, SPIE, Proceedings of vol.4221, Beijing, China, Nov. 8-10
(2000).
Yan Zhang, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Synthesis of low coherence sources for optical ,” Optics and
optoelectronic inspection and control, SPIE, Proceedings of vol.4221, Beijing, China, Nov. 8-10 (2000).
【国内学会・研究会:計 15 件】
秋葉正博,陳 建培,佐藤 学,丹野直弘,”2次元ヘテロダインセンサアレイによる実時間光コヒーレン
ス鉛直断層画像計測,”日本光学会 第一回生体医用光学研究会 講演論文集, pp.2, (Jul. 2000).
梅津枝里子,陳 建培,佐藤 学,丹野直弘,”角分散イメージング法を用いた実時間光コヒーレンス断層
画像計測法,”日本光学会 第一回生体医用光学研究会 講演論文集, pp.4,
(Jul. 2000).
Yan Zhang, Manabu Sato, and Naohiro Tanno," Synthesis of low cherence sources for optical coherence
tomography, "日本光学会 第一回生体医用光学研究会
講演論文集, pp.14, (Jul. 2000).
酒井裕志,佐藤 学,丹野直弘,”同軸型 Mirau 干渉計の光学基礎特性,”日本光学会
光学研究会 講演論文集, pp.26, (Jul. 2000).
第一回生体医用
碇 智文,佐藤 学,丹野直弘,”分割遅延型 Fizeau 干渉計の光学基礎特性,”日本光学会 第一回生体医
用光学研究会 講演論文集,”pp.30, (Jul. 2000).
碇 智文,佐藤 学,丹野 直弘,“部分遅延 Fizeau 干渉計の基礎特性,”2000 年秋季第 61 回応用物理学
会学術講演会予稿集, 3a-A-8(Sep. 2000).
大平 正,佐藤 学,丹野 直弘,“MOS 型リニアイメージセンサによるヘテロダイン検出の基礎検討,”
Optics Japan 2000 講演予稿集, 7aB6 (Oct. 2000).
秋葉 正博,陳 建培,佐藤 学,丹野 直弘,“並列ヘテロダイン検出法による実時間コヒーレ
ンス鉛直断面画像計測,” Optics Japan 2000 講演予稿集, 7aB4 (Oct. 2000).
碇 智文,佐藤 学,丹野 直弘,“部分遅延型 Fizeau 干渉計の光学基礎特性 II,” Optics Japan 2000 講演
予稿集, 7pB3 (Oct. 2000).
張 岩,佐藤 学,丹野 直弘,“高空間分解能 OCT 用多波長光源の最適合成,” Optics Japan 2000 講演
予稿集, 8aD20 (Oct. 2000).
福田真士,池田欣史,佐藤 学,丹野 直弘,“マルチビームを用いた速度ベクトルと断層画像
61
同時測定法の基礎検討,” Optics Japan 2000 講演予稿集, 8aE1 (Oct. 2000).
池田 欣史,福田 真士,佐藤 学,丹野 直弘,“マルチビームを用いた速度ベクトルと断層画像
同時測定法の基礎検討Ⅱ”
,第55回応用物理学会東北支部学術講演会 講演予稿集, 7pB1
(Dec.2000)
江畑 達也,佐藤 学,丹野 直弘,“マルチモードファイバーを用いたフィゾー・マイケルソ
ン干渉計の基礎特性”,第55回応用物理学会東北支部学術講演会 講演予稿集, 7pB3,
(Dec.2000)
碇智文,佐藤学,丹野直弘,“部分遅延 Fizeau 干渉計を用いた生体断層画像測定”,第48回応用物理関
係連合講演会 講演予稿集,28p-ZB-6(Mar.2001)
酒井裕志,佐藤学,丹野直弘,“同軸型 Mirau 干渉光学系を用いた粗面形状測定”,第48回応用物理関
係連合講演会 講演予稿集, 28p-ZB-5 (Mar.2001)
2001 年度(平成 13 年度)
【出願中国内特許:計 9 件】
特許の名称/出願年月日/出願番号/発明者名
低コヒーレンス光干渉計を用いた血糖測定装置/平成 13.4.14/2001-105755/
佐藤学・丹野直弘
光波コヒーレンス断層画像測定用光波の生成方法及びそれを用いた光源装置/
平成 13.10.19/2001-322408/佐藤学・丹野直弘
光波コヒーレンス断層画像化方法及びその装置/平成 13.10.17/2001-319224/
佐藤学・丹野直弘
X線反射型断層画像測定方法及びその装置/平成 13.10.17/2001-319225/
佐藤学・丹野直弘
画像同期測定方法/平成 14.2.28/2002-053239/佐藤学・丹野直弘
合成光源を有する光波コヒーレンス断層画像測定システム/平成 14.2.28/2002-053240/佐藤学・
丹野直弘
低コヒーレンス光干渉計を用いた反射式血糖測定装置/平成 14.2.28/2002-053241/
佐藤学・丹野直弘
光波断層画像測定用高空間分解能合成光源/平成 14.4.16/2002-112854/
佐藤学・丹野直弘
光波断層画像測定用高空間分解能光源/平成 14.4.16/2002-112855/佐藤学・丹野直弘
【学術論文:計 3 件】
佐藤学,丹野直弘,“オプティカル・コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)の最新技術”, 精密工学会・
精密工学会誌, vol.67, no.4, pp.546-549 (Apr. 2001).
Yan Zhang, Manabu Sato, Naohiro Tannno, “Numerical investigations of optimal synthesis of several low
coherence sources for resolution improvement”, Opt. Commun., vol.192, pp183-192 (Jun 2001)
Manabu Sato, Naohiro Tanno, “Stabilization by harmonic intensities for output signal in heterodyne
detection”, Appl. Opt., vol.41, no.13, pp.2461-2469(2002).
62
【著書・雑誌:計 0 件】
【国際会議:計 8 件】
Tomofumi Ikari, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Compact optical coherence tomography system using
partially delayed Fizeau interferometer”, CLEO’ 2001, CTuY, Baltimore, USA, May 6-11 (2001).
Tomofumi Ikari, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Partially delayed Fizeau interferometer for optical
coherence tomography”, CLEO/Pacific Rim 2001, TuD1-3, Chiba, Japan, July 15-19 (2001).
Manabu Sato, Masahiro Akiba, Kin Pui Chan, and Naohiro Tanno, “New Feasibility of Optical Coherence
Tomography to Medicine ” Joint Symposium on Bio-Sensing and Bio-Imaging,1B-14, Yamagata, Japan,
August 2-4 (2001).
Yoshifumi Ikeda, S.Fukuda, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Basic Study on Simultaneous Measurement
of Velocity Vector and Sectional Image”, Joint Symposium on Bio-Sensing and Bio-Imaging, XP-9, Yamagata,
Japan, August 2-4 (2001).
Hiroyuki Itahana, T.Ebata, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Basic Research of Tandem Interferometer for
Optical Coherence Tomography” , Joint Symposium on Bio-Sensing and Bio-Imaging, XP-10, Yamagata,
Japan, August 2-4 (2001).
Tomofumi Ikari, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Application of Partially Delayed Fizeau Interferometer to
Sectional Imaging for Tissues”, Joint Symposium on Bio-Sensing and Bio-Imaging, XP-11, Yamagata, Japan,
August 2-4 (2001).
Hiroshi Sakai, H.Sato, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Rough Surface Measurement Using Coaxial Mirau
Interferometer”, Joint Symposium on Bio-Sensing and Bio-Imaging, XP-12,Yamagata, Japan, August 2-4
(2001).
Adrian Dobroiu, Hiroshi Sakai, Manabu Sato, Naohiro Tanno, “Coaxial Mirau interferometer for
shape measurement of rough surfaces”, Proceeding of The 4th International Workshop on
Automatic Processing of Fringe Patterns (Fringe 2001), pp.391-393, Bremen, Germany, Sept.
17-19 (2001).
【国内学会・研究会:計 11 件】
酒井裕志,Adrian Dobroiu,佐藤学,丹野直弘,“同軸型 Mirau 干渉光学系を用いた散乱面測定”
第二回生体医用光学研究会 (Jul.2001)
Adrian Dobroiu, 酒 井 裕 志 , 佐 藤 学 , 丹 野 直 弘 ,“ Compact interferometer for rough surface
measurement”レーザー学会第289回研究会報告,RTM-01-13 (Sep .2001)
漆山慶一,張岩,佐藤学,丹野直弘,“Optical Coherence Tomography 用合成光源の基礎検
討”レーザー学会第289回研究会報告,RTM-01-14(Sep. 2001)
漆山慶一,張岩,佐藤学,丹野直弘,“OCT 用合成光源の基礎特性Ⅱ”Optics Japan 2001,
7pC5 (Nov .2001)
大滝寿明,佐藤学,丹野直弘,“高速画像同期測定法(Fast Image Lock-in Measurement;FILM)
の基礎検討”応用物理学会東北支部第56回学術講演会,6aA1 (Dec .2001)
増田晃,佐藤学,丹野直弘,
“グリンレンズ型 OCT における光軸方向分解能の検討”
応用物理学会東北支部第56回学術講演会,6aA2 (Dec .2001)
池田欣史,横山浩之佐藤学,丹野直弘,“マルチビームを用いた速度ベクトルと断層画像同時
測定法の基礎検討Ⅲ”第49回応用物理学関係連合講演会,27a-Q-11(Mar.2002)
63
板花博之,大武義尚,佐藤学,丹野直弘,“血管内視鏡融合型OCTの基礎特性”第49回応
用物理学関係連合講演会,27p-Q-1 (Mar.2002)
増田晃,大滝寿明,佐藤学,丹野直弘,“グリンレンズ型OCTの基礎特性”第49回応用物理学関係連
合講演会,27p-Q-5 (Mar.2002)
碇智文,橋本浩和,佐藤学,丹野直弘,“部分遅延 Fizeau 干渉計の基礎特性Ⅲ”第49回応用
物理学関係連合講演会,27p-Q-7 (Mar.2002)
大滝寿明,橋本幸拓,佐藤学,丹野直弘,“2画像データによる位相シフト法の検討”第49
回応用物理学関係連合講演会,27p-Q-8 (Mar.2002)
2002 年度(平成 14 年度)
【出願中国内特許:計 0 件】
【学術論文:計 2 件】
Adrian Dobroiu, Hiroshi Sakai, Hitoshi Ootaki, Manabu Sato, and Naohiro Tannno, “Coaxial
Mirau interferometer”, Opt. Lett., vol.27, no.13, pp.1153-1155 (July.2002)
Tomofumi Ikari, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Partially Delayed Fizeau Interferometer and Its
Application to Optical Coherence Tomography”, Jpn.J.Appl.Phys.,vol.41,no.10B,
pp.1187-1189(Oct. 2002)
【著書・雑誌:計 2 件】
佐藤 学:光コヒーレンストモグラフィ、応用光学, vol.3, no.2, pp.7-12 (Feb. 2003)
佐藤 学、丹野直弘:光コヒーレンストモグラフィの進展、光技術コンタクト
vol.41,pp.21-28 (2003)
【国際会議:計 4 件】
Toshiaki Ohtaki, Y.Hashimoto, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “New phase-shifting method by
two images”, Asian Symposium on Biomedical Optics and Photomedicine 2002(BOPM 2002),
MC6P2(10013), Sapporo, Japan, Oct.21-23(2002)
Keiichi Urushiyama, Yan Zhang, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Axial resolution by synthesized light
source for optical coherence tomography”, Asian Symposium on Biomedical Optics and Photomedicine
2002(BOPM2002), MB1-3(10014), Sapporo, Japan, Oct.21-23(2002)
Akira Masuda, Hitoshi Ohtaki, Manabu Sato, and Naohiro Tanno, “Basic study on imaging interferometer
using long GRIN lenses for optical coherence tomography”, Asian Symposium on Biomedical Optics and
Photomedicine 2002 (BOPM2002), MC2P1 (10015), Sapporo, Japan, Oct.21-23 (2002)
Manabu Sato,Tomofumi Ikari, K.Sugawara, H.Hashimoto, and Naohiro Tanno, “Partially Delayed Fizeau
Interferometer and its application to Optical Coherence Tomography”, Asian Symposium on Biomedical
Optics and Photomedicine 2002 (BOPM2002), MB1-4(10016), Sapporo, Japan, Oct.21-23(2002)
【国内学会・研究会:計 15 件】
佐藤学,丹野直弘,
“光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の展開”第 29 回光波セン
シング技術研究会,LST29-16,(Jun.2002),[招待講演]
佐藤学,丹野直弘,
“光波コヒーレンス断層画像化法の原理とその応用”第 28 回山形大
学医学部・工学部交流セミナー,(Jun. 2002)
64
漆山慶一,佐藤学,丹野直弘,
“OCT 用合成光源の基礎特性Ⅲ”第63回応用物理学関係
連合講演会,25p-H-3(Sep.2002)
増田晃,大滝寿明,大滝均,佐藤学,丹野直弘,
“グリンレンズ型 OCT の基礎特性Ⅱ”
第63回応用物理学関係連合講演会,25p-H-4 (Sep.2002)
漆山慶一,佐藤学,丹野直弘,
“OCT 用合成光源の基礎特性Ⅳ”Optics Japan 2002,
3aD1,(Nov.2002)
岩崎盾,大滝寿明,佐藤学,丹野直弘,
“2画像データによる位相シフト法の検討Ⅱ”
,
Optics Japan 2002,3aD5,(Nov.2002)
中村広隆,佐藤学,丹野直弘,
“光学的血糖値モニターに向けたグルコース溶液の吸光度
測定”
,Optics Japan 2002,3aP12,(Nov.2002)
柴崎智晴,Adrian Dobroiu,大滝均,佐藤学,丹野直弘,
“改良型小型ミロー干渉計の基礎
検討”
,第 57 回応用物理学会東北支部学術講演会,6aB7,(Dec.2002)
橋本浩和,稲垣英介,大滝均,佐藤学,丹野直弘,
“PZT を用いた部分遅延フィゾー干渉
計の干渉基礎特性”
,第 57 回応用物理学会東北支部学術講演会,6aB8,(Dec.2002)
若木一郎,漆山慶一,Razvan Dabu,大滝寿明,佐藤学,丹野直弘,“OCT 用合成光源の
基礎検討Ⅴ”,第 57 回応用物理学会東北支部学術講演会,6aB9,(Dec.2002)
奥村将志,佐藤学,丹野直弘,
“位相揺らぎ抑制法を用いた OCT システムの基礎特性”
,
第 57 回応用物理学会東北支部学術講演会,6aB10,(Dec.2002)
佐藤学,
“光波コヒーレンストモグラフィの原理とその応用”
,東北大学電気通信研究所
共同プロジェクト研究「ミリ波帯イメージング技術の開発と各種波動を用いたイメージ
ング技術の研究」研究会,(Dec.2002)
若木一郎,漆山慶一, Razvan Dabu, 大滝寿明,佐藤学,丹野直弘, “OCT 用合成光源の基礎検討Ⅴ”, 第 50
回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集, 27p-YQ-14, (Mar. 2002).
橋本浩和,増田晃,影沢光彦,大滝寿明,佐藤学,丹野直弘, “グリンレンズ型 OCT による生体試
料の画像測定”第 50 回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集, 27p-YQ-15, (Mar. 2002).
佐藤学,丹野直弘, “光コヒーレンストモグラフィの現状”, 第 50 回応用物理学関係連合講
演会 講演予稿集, 29p-ZA-4, (Mar. 2002).[招待講演]
2003 度(平成 15 度)
【出願中国内特許:計 0 件】
【学術論文:計 5 件】
佐藤学,丹野直弘, “光コヒーレンストモグラフィーの基礎”, 光学, vol.32,no.4 pp.268-274
(Apr. 2003).
Manabu Sato, Akira Masuda, Hitoshi Ohotaki and Naohiro Tanno,”Basic study on imaging
interferometer using long GRIN lenses for optical coherence tomography”, Opt. Rev.,
vol.10,no.5,pp.452-455 (Sept./Oct. 2003).
Manabu Sato, Jun Iwasaki, Toshiaki Ohotaki, Yukihiro Hashimoto and Naohiro Tanno,“New Phase-Shifting
Method Using Two Images”, Opt. Rev., vol.10, no.5, pp.456-461
(Sept./Oct. 2003).
65
佐藤 学, 若木一郎, 漆山慶一, 渡部裕輝,丹野直弘,”Optical Coherence Tomography 用合成光源の基
礎研究”, レーザー研究、vol.31, no.10, pp.663-667 (Oct.2003).
Adrian Bobroiu, Manabu Sato, and Naohiro Tanno,“ Phase modulation in interferometry : Phase-drift
suppression over a wide range of the modulation index”, Opt. Rev., vol.10, no.6, pp.549-553 (Nov./Dec. 2003).
【著書・雑誌:計 1 件】
佐藤 学, “2003 年光学界の進展 9.干渉計測”,光学, vol.44, no.4, pp.217-218 (April 2004).
【国際会議:計 2 件】
Manabu Sato, Ichiro Wakaki, Yuuki Watanabe, and Naohiro Tanno,”Improvement of Axial Resolution for
Optical Coherence Tomography using a Synthesized Light Source”, 7th International conference on optics
( ROMOPTO 2003 ), IV.I.1., Constanta, Romania, Sept.8-11 (2003) (Invited).
Yuuki Watanabe, H.Hashimoto, M. Kagesawa, Manabu Sato, and Naohiro Tanno,”Full-field
optical coherence tomography using long gradient-index lenses for internal tissues”, OSA Biomedical Optics
Topical Meetings, FH31, Florida, USA, April 14-17 (2004).
【国内学会・研究会:計 12 件】
佐藤学, 丹野直弘, “光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の原理と臨床応用”, 第42回
日本エム・イー学会大会 OS12-6, (June 2003). [招待講演]
大武義尚,高橋幸世,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“内視鏡融合型 OCT の基礎特性 II”,第 37
回日本 ME 学会東北支部大会, 03(Nov. 2003)
稲垣英介,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“ファイバ干渉系におけるコヒーレント長測定のパ
ラメータ検討”第 58 回応用物理学会東北支部学術講演会 講演予稿集, 5aA2, (Dec. 2003).
高橋幸世,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“内視鏡融合型 OCT における光プローブのビーム特
性”第 58 回応用物理学会東北支部学術講演会 講演予稿集, 5aA3, (Dec. 2003).
高橋義行,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“内視鏡融合型 OCT の基礎特性”,Optics Japan 2003,
8pBS1(Dec. 2003)
橋本浩和,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“GRIN レンズ型 full-field OCT”,Optics Japan 2003,
8pBS2(Dec. 2003)
高橋義行,高橋幸世,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“内視鏡融合型 OCT の光プローブ特性”
第 51 回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集, 29a-k-10, (Mar. 2004).
高橋義行,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“内視鏡融合型 OCT の基礎特性 II”第 51 回応用物理学関係連
合講演会 講演予稿集, 29a-k-11, (Mar. 2004).
若木一郎,江森文,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“合成光源を用いた OCT による粗面形状測定”第 51 回
応用物理学関係連合講演会 講演予稿集, 29a-k-3, (Mar. 2004).
影沢光彦,橋本浩和,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“グリンレンズ型高速2次元検出 OCT の開
発”第 51 回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集, 29a-k-4, (Mar. 2004).
早坂康洋,渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“回転偏光子によるアクロマティック位相シフターを用いた2
次元 OCT の基礎検討” 第 51 回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集,
29a-k-6, (Mar. 2004).
渡部裕輝,佐藤学,丹野直弘,“ポリゴンミラーを用いた高速 OCT における非線形スキャン
補正法”第 51 回応用物理学関係連合講演会 講演予稿集, 29a-k-9, (Mar. 2004).
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