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メドレックス - シェアードリサーチ

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メドレックス - シェアードリサーチ
メドレックス
独自ILTS®技術による米国向けテープ型貼付剤開発に注力
TICKER:
4586|マザーズ|HP: http://www.medrx.co.jp/
事業概要
S&Wサマリー
独自ILTS®技術による製剤開発力を収益化
強み
ビジネスモデル:既存の経口薬や注射薬の有効成分を経皮吸収型製剤として開発。
選択と集中:ニッチ市場向けに独自ILTS®技術
製薬会社等から、マイルストン収入、上市後のロイヤリティ収入等を獲得する他、
で差別化
卸売マージン確保も
特許:豊富なイオン液体ライブラリーとILTS®
ニッチ市場:開発製剤は経皮吸収型医薬品(貼付剤や塗り薬)
製剤特許
独自技術ILTS® で差別化:イオン液体による独自の経皮吸収型製剤技術ILTS®
経験:豊富な経験を有する経営陣・ベテラン
(Ionic Liquid Transdermal System)で差別化
社員
ILTS®製剤特許:パイプライン毎に多くの国で特許出願・取得)
弱み
業績動向
軽・中等疼痛向け貼付剤の特質:ETOREAT®
の有効性測定の困難性
開発コスト先行で当期純損失の拡大を同社は予想
人材:人材育成やノウハウ継承の経験不足
2015年12月期実績:売上高37百万円(前年同期比43.1%増)、営業損失999百万
円(損失は前期の1,003百万円から若干縮小)。製品売上増加、研究開発費等収入
収益基盤:弱い
があった一方で、研究開発費は前年並みに止まったことが背景(注:会社発表値
は百万円未満切り捨て)
2016年12月期同社予想:売上高29百万円(前年同期比20.3%減)、営業損失2,177
百万円(同損失額拡大)。製品売上減少を見込む一方、不確実な研究開発費等収
入を見込まず、一方、研究開発費拡大を見込む
利益成長ドライバー
【従来】大型上市医薬品なし
【中期】ETOREAT®、MRX-1OXT他
指標
中期戦略
時価総額
3,720 百万円
株価(2016/3/24)
540 円
発行済株式数
ETOREAT®承認申請+MRX-1OXT開発、他
ETOREAT®:ILTS®を活用した初の完成製剤。軽・中等疼痛向け米国第1号テープ
剤として米国での市場開拓を狙う消炎鎮痛貼付剤。100%米国子会社等が臨床試
験を行う。第III相臨床試験の追加試験を開始。承認取得に至れば、マイルストン
6,889,700 株
外国人持株比率
2.37 %
BPS(FY12/15)
396.79 円
PBR(FY12/15)
1.36 倍
PER(FY12/16会予)
-2.1 倍
配当(FY12/16会予)
- 円
配当利回り(FY12/16予)
やロイヤリティ収入のみならず、卸売のマージンも確保
MRX-1OXT:第2弾大型パイプライン。米国オピオイド市場で最大シェア薬物オ
- %
ROE(12/16会予)
-66.3 %
純負債/株主資本倍率(FY03/15)
-74.4 %
発行済株式数には自己株式を含む
出所:会社資料よりSR社作成
キシコドンに ILTS®を用いて経皮製剤化
業績推移
FY12/10
FY12/11
売上高
( 百万円)
292
741
前期比
( %)
NA
154.1%
FY12/12
88
FY12/13
69
FY12/14
営業利益
( 百万円)
-623
-434
前期比
( %)
NA
NM
-88.2%
-567
NM
-578
NM
-571
NM
-196.25
-21.9%
-604
NM
-617
NM
-622
NM
-113.48
26
-61.7%
-1,003
NM
-1,012
NM
-1,017
NM
-151.96
FY12/15
38
43.1%
-1,000
NM
-991
NM
-878
NM
FY12/16 会予
29
-20.3%
-2,117
NM
-2,102
NM
-2,080
NM
注:百万円未満を四捨五入、1株当たりデータは株式分割調整後
01/17|Research Espresso by Shared Research
経常利益
( 百万円)
-616
-480
前期比
純利益
( %)
( 百万円)
NA
-537
NM
-433
前期比
( %)
NA
NM
EPS
( 円)
-256.37
-151.26
BPS
( 円)
364.24
290.79
ROA
( %)
ROE
( %)
NA
-47.1%
NA
-46.8%
94.55
-66.5%
-101.9%
673.08
-22.4%
-26.0%
522.94
-24.1%
-25.4%
-131.21
396.79
-29.7%
-28.2%
-262.92
-
-
-
R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
事業概要
独自 ILTS®技術による経皮吸収型製剤の開発力を収益化
会社概要
同社は経皮吸収型医薬品(貼付剤や塗り薬)の開発を生業とする創薬ベンチャー企業グルー
プ 。 イ オ ン 液 体 に よ る 独 自 の 経 皮 吸 収 型 製 剤 技 術 ・ ノ ウ ハ ウ ILTS® ( Ionic Liquid
Transdermal System:後段で詳述)で差別化している。同社(本社:香川県東かがわ市)
経皮吸収型医薬品の製剤開発を生業とする創
薬ベンチャー、イオン液体による独自の経皮
吸収型製剤技術 ILTS®で差別化
及び連結子会社MEDRx USA INC.(100%子会社:米国カリフォルニア州)、持分法適用関
連会社ケイ・エム・トランスダーム(同社持分49.0%;カネカ<東証4188>が51.0%を保
有;大阪市;以下KMT)の3社からなる。経営陣8名(社外監査役2名を含む)、従業員25
名(2015年12月末時点:連結ベース)。内、研究開発要員15名+研究開発・事業開発担当
取締役3名。同社経営陣及び従業員の約3割は製薬会社出身のベテラン、約7割が新卒を含
めた若手。
ビジネスモデル
既存の経口薬や注射薬の有効成分を経皮吸収型製剤として開発し、製薬会社等から、マイ
ルストン収入、上市後のロイヤルティ収入等を獲得する他、卸売マージン確保も。医薬品
候補製剤(開発パイプライン)の市場性や開発費用等の特性や、提携候補先製薬会社の当
該パイプラインに対する取り組み姿勢を考慮した上で、開発パイプライン毎に収益モデル
既存の経口薬や注射薬の有効成分を経皮吸収
型製剤として開発;製薬会社等から、マイル
ストンフィー、ロイヤルティ収入を獲得する
他、卸売マージン確保も
を設計する。そして、最適なポートフォリオを構築することによって、全体としてのリス
ク(開発期間、開発資金、成功確度等)とリターン(獲得収益)のバランスを図っている。
ビジネスモデルの概要
出所:会社資料よりSR社作成
同社自身で高いリスクを取るほど、期待リターンも高い。例えば、ETOREAT®では先行投
資(研究開発費)が2016年12月期末には累計40億円超となる見込みであるが、合計30億
5,000万円他のマイルストン収入や、上市後のロイヤルティ収入(単年度ベースでの正味販
同社自身で臨床試験を行う ETOREAT®では多
額の資金を要する一方、期待リターンも高い
売額があらかじめ定められた額に達成した場合に、その5%)のみならず、卸売による医
薬品売上マージンも含め高いリターンが得られる。一方、こうした卸売のスキームを持た
ずに、製剤開発のみで同社がライセンスアウトした場合に同医薬品上市後に同社が得られ
るロイヤルティ収入は同社によれば医薬品売上の数%程度とのことである。
尚、トムソン・ロイター2013年版製薬R&Dファクトブックによれば、2006年~2008年にお
ける世界の製薬会社の各プロセス成功率は、前臨床:67%、第I相臨床試験:46%、第II相
臨床試験:19%、第III相臨床試験:77%、承認申請:90%。
独自性(1)経皮吸収型製剤
皮膚を通して薬の成分を全身循環系に移行・吸収させて薬効を得るTTS(Transdermal
02/17|Research Espresso by Shared Research
独自性(1):経口薬や注射薬にはない特徴を持
つ経皮吸収型製剤の開発に特化
R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
Therapeutics System)薬剤を経皮吸収型製剤という。同社は経皮吸収型製剤の開発を生業
とする。TTSはドラックデリバリーシステムDDSの1つであり、経口薬や注射薬にはない以
下のような特長がある。
◤
◤
◤
◤
薬効成分の除放/持続性:薬物の血中濃度を一定に保ち、効果を持続させやすい
ファーストパスの影響を受けない:経口薬の場合、薬物は腸管から吸収され肝臓に入
り肝臓通過の際に効果が1~2割程度に減退してしまう薬物も少なくない(ファースト
パス<初回通過効果>)。しかし、経皮吸収製剤ではその影響を受けない
服薬コンプライアンスの向上:嚥下障害等で経口薬を飲めない患者にも適用可能、飲
み忘れ防止が図れる、過剰投与時には除去が可能である
痛みを感じない:痛みのある注射剤に対し、経皮吸収型製剤は痛みがない
経皮吸収型製剤は医薬品業界においてニッチな市場を形成しており、大手医薬品会社で
あっても自社内に同製剤の研究開発・製造ユニットを抱える者は少ない。結果、大手製薬
会社との間で比較的対等な条件で提携・協業関係を結びやすいと同社はいう。例えば、同
ニッチな市場:大手製薬会社と比較的対等な
条件で提携・協業関係を結びやすい
社によれば、日本の貼り薬の中で2番目に売れているロキソニン貼付剤は、販売は日本の
医薬品大手の第一三共(東証4568)であるが、開発・製造はリードケミカル(富山県の非
上場企業)。また、ボルタレン貼付剤は、販売は世界の医薬品大手のノバルティスファー
マだが、製造は同仁医薬化工(非上場企業)とのこと。
国内の代表的競合企業としては、久光製薬(東証4530)、帝國製薬(非上場:米国で10億
ドル薬の権利保有)、日東電工(東証6988)の医薬品部門(日本でホクナリン等の貼り薬
競合:久光製薬、帝國製薬、日東電工
のヒット商品を保有し、研究所・開発部隊を米国に有し、貼り薬や核酸医薬の開発を進め
ている)がいる。
独自性(2) ILTS®
経皮吸収製剤は、多くの特長がある一方、皮膚には他界からの異物侵入を防ぐ第一バリア
として役割があるため、薬物の吸収性が制限されてしまうという課題がある。結果、従来
の経皮吸収型製剤は低分子かつ親油性かつ低融点といった一定の物理化学特性を持つ薬物
に限定されていた。その課題を打破する技術(本来皮膚から入りにくい薬物を入り易くす
る技術)として注目されるのが、イオン液体(Ionic Liquid)の特徴を利用した同社独自の
経皮吸収型製剤技術ILTS®である。従来の技術では経皮吸収させることが困難であった難溶
性薬物や核酸・ペプチド(高分子薬物)の経皮吸収性を、イオン液体により、飛躍的に向
上させることに同社は成功。同社のILTS®技術を活用したETOREAT®の場合、薬物をそのま
ま貼付剤にするのに比べ、6~7倍効果が高まる。
出所:会社資料
03/17|Research Espresso by Shared Research
独自性(2):独自の ILTS®技術により本来皮膚
から入りにくい薬物を入り易くする
R
メドレックス|4586|
同社は、人体への安全性が高いと考えられるイオン液体のライブラリー、イオン液体の選
択や保持・増進ノウハウ、イオン液体を活用したILTS®製剤特許を保有し、高い参入障壁を
Research Espresso by Shared Research
高い参入障壁を構築
築いている。
◤
◤
◤
◤
豊富なイオンライブラリー:人体への使用実績がある化合物や、日米欧で医薬品、医
薬品添加物、化粧品として認められている化合物の組み合わせによる数百種類のイオ
ン液体ライブラリーを保有
薬物の特性からのイオン液体選択ノウハウ:対象化合物の経皮浸透性向上に適したイ
オン液体の選択に関するノウハウを保有
イオン液体効果を保持・増進する製造ノウハウ:薬物を含有するイオン液体をその特
性のまま使い勝手の良い形(貼り薬、塗り薬等)に製剤化するノウハウを保有
薬物、薬物群毎に取得したILTS®製剤特許
同社が提供する付加価値
イオン液体を利用した独自の経皮吸収型製剤技術ILTS®や後述するマイクロニードルアレ
イ等による医薬品製剤技術により、薬効の極大化、副作用の低減、患者QOL(Quality of Life)
同社は薬効極大化、副作用低減、患者 QOL 向
上等、多くの付加価値を提供
の向上、医療従事者の利便性向上など、新たな付加価値を有する医薬品を生み出すことに
同社は貢献している。
パイプライン
同社の現行パイプラインは、研究段階のものを含めると10数種類ある(主要なものについ
ては中期戦略の段で詳述)。
資金調達実績(東証マザーズ上場時及びそれ以降)
パイプライン毎にPOC(Proof of Concept:開発コンセプトの妥当性の傍証)を獲得して、
収益化するステージまで開発を進めるために、市場から資金調達を行うのが基本戦略。
2013年12月期に新株発行及び新株予約権の行使による株式の発行により合計4,851百万円
を調達。
◤
◤
◤
東証マザーズ上場時(2013年2月13日)に、新株発行により2,347百万円を調達
行使価額修正条項付第6回新株予約権(第三者割当て)を発行し(2013年9月3日)、
同年11月12日にすべての権利行使が完了して総額2,292百万円の資金を調達
その他新株予約権の権利行使で210百万円
2015年12月期にコミット・イシューの発行(2015年11月20日)及び新株予約権の行使によ
る株式の発行により合計113百万円を調達。
◤
コミット・イシュー:Evolution Biotech Fund*を割当先とする行使価額修正条項付第
8回新株予約権(第三者割当て)**。発行価額4.8百万円。
*特に日本のバイオ関連企業(とりわけ再生医療)の投資にフォーカスしたファンド。Evolutionファイ
ナンシャルグループは、2002年に創設された米国を本拠地(本社:ロサンゼルス)とする機関投資家。
**同社が新株式の発行予定株数(1,600,000株)を予め定め、120価格算定日の売買高加重平均価格(VWAP)
に基づき、原則として割当予定先が必ず全株式を購入する(全部コミット)手法。割当先による株式購
入は、新株予約権の行使請求(原則24回)を通じて行われる。当行使においては、原則として各24回に
わたり5取引日毎に各50,000株相当以上の行使をすること(部分コミット)を約している。グリーンシュー
オプションとして、割当先は行使価額がリセットされてから次のリセットまでの各期間、25,000株相当
04/17|Research Espresso by Shared Research
パイプライン毎の POC を基に資金調達
R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
分を上限に追加で新株予約権を行使することができる。この仕組みにより、株式上昇時に行使を促進さ
せることが期待されるが、行使により発行される株式は、本新株予約権全体で400,000株を上限とする。
上限撤回メカニズム:全株数においてターゲット価格(上限行使価額)を定め、各23回の修正後の行使
価額(注:修正後の各行使価額は価格算定日のVWAPを基準に算定される)と比較して、新株が発行さ
れる。修正後の行使価額が上限撤廃価額を超える場合には、上限行使価額は消滅し、以後の行使価額は
再びその時々の時価を基準に新たに算出される。
発行数
発行価額の総額
行使価額の総額
期間
リセット回数(原則)
ターゲット価格(上限行使価額)
上限撤回価額
行使価額
全部コミット
部分コミット
下限行使価額
出所:会社資料よりSR社作成
第8回新株予約権の概要
1,600,000個
4,800,000円
1,124,800,000円
最大で7.5ヵ月
通算で最大23回 (予定)
1,159円
(価格決定日株価終値の150%、端数切捨て)
1,546円
(価格決定日株価終値の200%、端数切捨て)
VWAP(価格算定日の売買高加重平均価格)の91%
有り
有り
463円
(価格決定日株価終値の60%、端数切捨て)
2016年2月末現在、当新株予約権1.6百万個のうち19%に当たる310,000個の行使が行われ
ており、同社は総額約167百万円(含む新株予約権代金)の資金を調達済みである。尚、
新株予約権1個の行使に付き割り当てられる株数は1株であり、当新株予約権による潜在
株式数は1.6百万株(発行済み株式数の約24%)。
業績動向
ETOREAT®の追加臨床試験及び他パイプライン臨床試験に研究開発費用(先行投資)拡大
2015年12月期実績:同社が2016年2月12日に発表した売上高が37百万円(前年比43.1%増)
、
営業損失は999百万円(2014年12月期の営業損失1,003百万円から縮小)となった。
売上面では、ヨードコート軟膏をはじめとする製品売上が拡大した(2014年12月期26百万
円に対し、2015年12月期は37百万円)と同時に、研究委託による研究開発費等収入を計上
した(2014年12月期はゼロに対し、2015年12月期0.4百万円)。一方、コスト面では、
ETOREAT®をはじめとする各パイプラインの製品化に向けた開発やそれらの源となる製剤
開発のための研究開発費は716百万円と2014年12月期の718万円並みとなった。また、その
他の販管費も309百万円と2014年12月期の301百万円並みにコントロールされた。
特別利益として助成金収入116百万円を計上。具体的には、公的助成事業に伴う、以下の
3つの研究開発テーマについてのもの。
◤
「ナノコロイド含有型貼付技術を応用した偏頭痛治療薬の製剤開発」で、国立研究開発
◤
「生分解樹脂製マイクロニードルアレイのディスポーザブル型装着技術」で、経済産業
◤
「イオン化液体技術を応用した新規骨粗鬆症治療貼付剤の開発」プロジェクトで、公益
法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より79百万円
省の「平成26年度戦略的基盤技術高度化支援事業」より32百万円
05/17|Research Espresso by Shared Research
2015 年 12 月期実績



売上高:37 百万円(前期比+43.1%)
営業損失:999 百万円(2014 年 12 月
期の営業損失 1,003 百万円から縮小)
研究開発費負担大
R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
財団法人かがわ産業支援財団の「平成26年度かがわ中小企業応援ファンド事業」より
5百万円
2016年12月期同社予想:2016年12月期同社予想は、売上高29百万円(前期比20.3%減)、
営業損失2,117百万円(損失額が前期比1,114百万円拡大)。
ドコート軟膏等の製品売上高が減少すると見込む一方、研究開発費等収入を織り込んでい
ない。開発中パイプラインのライセンスアウト等による大型収入獲得の可能性がある一方
で、その不確実性が高いからである。
一方、コスト面では、研究開発費が前期比162.3%(1,162百円)増の1,878百万円になると
同社は見込んでいる。この費用増が2015年12月期に営業損失が拡大すると同社が見込む要
因となっている。同社が計画する研究開発費用として主なものは次の通り。但し、試験研
究の動向次第では金額は流動的である。
ETOREAT®の米国での第III相臨床追加試験2本(900百万円程度)
◤
「MRX-1OXT」の非臨床試験及びThe Tapemark Company(米国における治験薬製造委
◤
「MRX-5LBT」の早期の新薬申請を目指した臨床開発費用(200百万円程度)
◤
託先)への製造技術移転費用(200百万円程度)
「MRX-4TZT」の臨床第I相試験費用(200百万円程度)などが背景。
尚、助成金収入25百万円(特別利益)の計上を同社は見込んでいる。
売上高内訳、営業利益、研究開発費の推移(単位:百万円)
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
-500
-1,000
696
207
85
-623
1,878
939
647
95
-434
415
398
16
72
35
34
-567
-604
FY03/12
FY03/13
-1,500
718
716
0
26
0
37
-1,003
-1,000
FY03/14
FY03/15
0
29
-2,000
-2,500
-2,117
FY03/10
FY03/11
製品売上高
出所:会社データよりSR社作成
研究開発費等収入
期初予想と実績とのかい離
営業利益
FY03/16
CE
研究開発費
期初会社予想と実績
FY12/10 FY12/11 FY12/12 FY12/13 FY12/14 FY12/15 FY12/16
(百万円)
連結
連結
連結
連結
連結
連結
会予
売上高
期初予想
na
na
na
277
1,068
18
29
実績
292
741
88
69
26
38
差異
- -75.2% -97.5% 109.0%
営業利益
期初予想
na
na
na
-714
13
-1,035
-2,117
実績
-623
-434
-567
-604
-1,003
-1,000
差異
経常利益
期初予想
na
na
na
-729
42
-890
-2,102
実績
-616
-480
-578
-617
-1,012
-991
差異
当期利益
期初予想
na
na
na
-732
38
-894
-2,080
実績
-537
-433
-571
-622
-1,017
-878
差異
出所︓会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
06/17|Research Espresso by Shared Research


同社は、売上面では、床ずれを防止する老人介護施設等の施策や薬価改定など背景に、ヨー
◤
2016 年 12 月期同社予想

売上高:29 百万円(前期比-20.3%)
営業損失:2,117 百万円(損失額が前期
比 1,118 百万円拡大)
研究開発費の前期比大幅増を同社は見
込む
R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
中期戦略
大型製剤ETOPEAT®承認申請とMRX-1OXT開発提携先模索等に注力
無限の成長意欲
同社松村眞良社長(1944年9月生まれ)は、貼付剤の開発・事業化に40年以上の経験を持
つ。1971年に帝國製薬に入社。2000年には帝國製薬取締役副社長を務め、帝國製薬(パッ
プ剤で世界一)の成長に大きく貢献した実績がある。松村社長には「技術イノベーション
無限の成長意欲:「技術イノベーションこそ
が新たな市場を切り拓く」
こそが新たな市場を切り拓く」という信念がある。同社の公式な経営計画数字ではないが、
決算説明会等で、売上1,000億円企業を目指す(時期未定)と公言。中期経営目標は、第一
に現在開発中の新薬の上市の実現、第二に財務リスク低減。
主標的
同社が主標的とする医薬品市場は米国の経皮吸収型製剤市場。開発費の安さ、市場の大き
さ、経皮吸収型製剤(テープ型貼付剤)のポテンシャルの高さ(背景:利便性や日本で起
こったこと並びに日本よりも高い販売価格)が理由。
<経緯>
◤
米国の経皮吸収型製剤は疼痛用のみならず、精神疾患を含め多くの疾患領域に適用範
囲が拡大中。しかし、疼痛用貼付剤は、現行、パップ剤(含水製剤)のみであり、し
かもその販売価格は1枚6ドル(約700円)前後と日本の同20~30円と比べて大幅に高
◤
◤
い。
日本の軽い痛み止め用医薬品では、貼付剤(約1,700億円)が経口剤(約900億円<共
に、2010年>)を大きく凌駕
※背景:①貼る文化、②胃が荒れない
日本で、後発のテープ型貼付剤が先発のパップ型貼付剤を凌駕する形で貼付剤全体の
市場拡大を牽引
※効用は両者変わらないが、テープ剤は利便性が高い。例えば、①ひじやひざに使え
る、②1日1回の貼り換えでOK(パップ剤は含水製剤なので乾いてしまうため1日2回の
貼り換えが必要)
日本の貼付剤市場
出所:会社資料
◤
◤
世界最大市場である米国に日本の貼付剤メーカーが進出を挑んだが果たせなかった
(米国の規制当局である米国食品医薬品局FDAから承認が下りなかった)
しかし、2000年にスイスのIBSAが承認申請していた疼痛用貼付剤Flector®(パップ剤;
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米国のテープ型貼付剤市場を狙う
R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
製造は帝國製薬)が、2007年にデータ追加があった訳でもなくFDAにより突然承認
※背景:経口剤でありながら胃が荒れないということでメルクやファイザーのCOX(シ
クロオキシゲナーゼ)-2選択的阻害薬が1999年~2004年にかけて大ヒット。しかし、
メルク社のVioxxは、長期使用による心血管リスク増加が確認され、同薬はメルク社に
◤
◤
より全世界市場から全面的に自主回収された(2004年9月)
2007 年 の FDA に よ る 突 然 の Flector® 承 認 を 見 て 、 NSAIDs ( Non-Steroidal
Anti-Inflammatory Drugs:非ステロイド性抗炎症薬;今日の貼付剤の主流含有成分)
のマーケットが米国で開いたと同社は感じた
2007年に同社も米国疼痛市場向けの経皮吸収型製剤第1弾ETOREAT®の開発に着手
同社の開発主要パイプライン
2016年6~8月
出所:同社資料
最重要パイプラインETOREAT®(消炎鎮痛貼付剤)
◤
◤
◤
開発ステージ:第III臨床追加試験2本のうち1本を開始(最終症例の観察終了は2016年
6月、結果判明は同年7~8月となる見込み);同2本目は2016年後半に予定。承認申
最重要パイプライン ETOREAT®:ITLS®を活用
した初の完成製剤
請は2017年前半を計画
臨床開発主体:同社グループ
販売権許諾先:興和(米国及びプエルトリコにおける独占販売権)
ETOREAT®は、ILTS®を活用した初の完成製剤として米国での市場開拓を狙う消炎鎮痛貼付
剤。首尾良く上市となれば米国での軽・中等度疼痛向け第1号テープ剤となる。経口剤と
して20年以上の使用実績があるNSAIDs薬剤エトドラク(経口薬として日本で約100億円、
米国で200億円の市場規模;ファイザー、日本新薬<東証4516>など多数の医薬品会社が
販売)を、同社ILTS®技術により、テープ型の経皮吸収型製剤として開発。エトドラクは
経口での投与量が多く貼付剤にし難い特性を持つため日本においてもエトドラク成分によ
るテープ型貼付剤は上市されていない。言い換えれば、同社のILTS®技術なしではエトド
ラク薬剤によるテープ型貼付剤の開発は困難。
市場規模:米国
◤
米国における軽・中等程度の疼痛用貼付剤市場:約10億ドル(2011年)
 Lidoderm®(薬剤名Lidocaine patch):8.25億ドル。
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ETOREAT®が挑む市場の規模:同社推定 20~
30 億ドル
R
メドレックス|4586|
 Flector®(Diclofenac epolamine patch):1.71億ドル。販売はファイザー(上
◤
市時の販売会社は2回のM&Aにより吸収合併)
同潜在市場(テープ型貼付剤による市場拡大効果を含む):約20~30億ドル(同社推
定)
米国における軽・中等度の痛み用貼付剤市場
出所:会社資料
開発経過
◤
◤
◤
◤
2009年:第I相臨床試験実施(安全性確認)
2010年4月:米国FDAとのミーティングの結果、承認取得に向けた第III相試験を実施で
きることが確認
2012年11月:肩を対象とした第II / III相臨床試験(試験番号2006)でプラセボ(外観
を治験薬と同じにした偽薬)群との間で有効性に関する統計学的有意差が確認
2013年~2014年:もう1本の第III相臨床試験を実施し有効性を確認した上で、2014年
に医薬品としての承認申請を行う予定であった
第III相臨床試験の結果と追加臨床試験
◤
第III相臨床試験(試験番号1009)Key Open
 ITT(Intend-to-treat:割り付けられた治療から逸脱した患者も全て含めた)解
析225名:主要評価項目において統計学的有意差(5%以内)が認められず(但
し、改善傾向はあり: p < 0.1)
 PP(Per-protocol:脱落者を除外し、治療を完遂した例のみでの)解析211名:
主要評価項目にて統計学的有意差(5%以内)を確認
 ETOREAT®が筋肉で効く薬剤であるため、有効性の測定が主観的なものになり
◤
がち(注:後述するMRX-1OXTとは対照的)
追加臨床試験
 急性疼痛の一種として米国FDAと合意したDOMS(Delayed Onset Muscle
Soreness:遅発性筋肉痛)に関する病態モデルでの臨床試験を2本行う
 具体的には、約100名の健常人を対象として、人為的に筋肉に負荷をかけて
DOMSを発生させ、その痛みの症状に対してETOREAT®の有効性を検証する試
験
09/17|Research Espresso by Shared Research
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R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
 第III臨床追加試験2本のうち1本を2015年3月2日に開始(最終症例の観察終了
は2016年6月、結果判明は同年7~8月となる見込み);同2本目は2016年後半
に予定。承認申請は2017年前半を計画
今後の予定
ETOREAT®の2本の追加臨床試験を2016年末までに終了・試験結果判明。統計学的有意差
が認められるに至れば、2017年前半に承認申請(マイルストン収入10億5,000万円獲得)
ベストシナリオ:2017 年前半承認申請、2018
年承認取得、同年上市
を行い、2018年に承認取得(マイルストン収入15億円獲得)、同上市(ロイヤリティ収入
他、卸売マージンも獲得)を目指す。
バリューチェーン
ETOREAT®バリューチェーンは以下の通り。
◤
開発:旧米国100%子会社IL Pharma Inc. を開発拠点として現地CRO (Contract
ETOREAT®は総額として高いリターンが期待
できる
Research Organization:受託臨床試験実施機関)と連携(注:IL Pharma Inc.は2015
年10月に、同社米国100%子会社MEDRx USA INC.に吸収合併された)
◤
◤
◤
◤
※開発費用は同社グループの費用で実施
製造(本格稼働後:現時点ではまだ製造設備なし):持分法適用会社KMT
製造:祐徳薬品工業(年間5,000万枚まで;c.f. 米国で8億ドル市場を形成する前述の
Lidoderm®では年間2億枚の規模感)
卸売:KMTと祐徳薬品工業で委託生産された製品を当社が仕入、興和(米Kowa)へ
卸売
販売:興和(バンテリン<貼付剤・塗り薬>、キャベジン<胃腸薬>等で有名:米国
で約250名の営業人員を有する米国100%子会社Kowaを通じて、医療用医薬品の販売
を行う)
出所:会社資料
同社が次に注力するMRX-1OXT(中枢系鎮痛貼付剤:オキシコドンテープ)
◤
開発ステージ:非臨床試験を2015年11月に開始(2016年中に第I相臨床試験に入るこ
◤
治験薬製造委託契約締結:米The Tapemark Companyと米国における治験薬製造を委
◤
◤
とが見込まれる)
託する契約を2015年12月に締結
臨床開発主体:第I相については同社グループ
販売権許諾先:未定
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次に重要なパイプライン MRX-1OXT:米国に
おける強い痛み向けテープ型貼付剤の開拓を
狙う
R
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MRX-1OXTはILTS®を活用した強い痛み向けテープ型貼付剤。ETOREAT®に続く、第2弾大
型パイプライン。米国で強い痛み向け薬剤群オピオイド(中枢性鎮痛薬)市場で最大シェ
アを占める薬剤オキシコドンをILTS®により経皮吸収型製剤化。経皮難吸収性のオキシド
コンの経皮浸透度をILTS®により飛躍的に高めると同時に、皮膚に対する安全性も満たす
テープ型貼付剤を開発。
市場規模:米国その他
◤
◤
◤
米国の疼痛向け医薬品市場は約1兆円(2014年:為替レート1米ドル105円による換算)
このうち強い痛み向け薬剤群オピオイドが約半分の5,000億円程度を占める(がん患者
MRX-1OXT が挑む市場の規模:オキシコドン
だけに限定しても米国で約 2,400 億円
向け等に限定的な使用である日本の約6倍、欧州の約3倍)。
そして、そのオピオイドの中で、1薬剤オキシコドンを使った医薬品オキシコンチン
が1品目だけで約5割の約2,400億円を占める
世界の疼痛向け医薬品の市場規模
出所:会社資料
米国でオキシコンチンの販売はPurdue Pharma、欧州では同資本のMundipharmaが販売、
日本では塩野義製薬(東証4507)が販売。オキシコンチンは1日2回の経口薬であり、1
日以上1回(例えば3日で1回)の貼り換えで済む同社MRX-1OXTへの代替を狙う。
米国では腰痛や外反母趾等でもオピオイド薬剤群オキシコンチンが服用される傾向があ
る。一度に多量の薬の処方を受けられる結果、ブラックマーケットに薬が流出する等、オ
ピオイドの乱用が社会問題化。そして、2013年1月、FDAがオピオイド乱用防止のための
ガイドライン(”Abuse-Deterrent Opioids –Evaluation and Labeling”)を発表。有効成分
が抽出できない(2次利用できない)オピオイド製品のみFDAは承認する形に変更。これ
は、ねばねば成分が有効成分に混ざる貼付剤においてGood News。
開発状況
◤
◤
◤
2015年11月に米国で臨床試験を実施するための非臨床試験を開始
課題であった米国での治験薬及び商業生産できる製造拠点先の確保(オキシコドンが
麻薬である故に、日本から輸出できないため)のうち、治験薬についての製造委託を
米The Tapemark Companyと2015年12月に締結
通常の非臨床試験の期間(約1年)を考えると、2016年中に米国で第I相臨床試験に
入ると見込まれる(人体への安全性や副作用の有無、POCを獲得)
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米国で、オピオイド経口薬の同貼付剤への代
替を狙う
朗報:米国におけるオピオイド乱用防止ガイ
ドラインの発表
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米国における医薬品開発に関する専門家3名とのコンサルタント契約
◤
◤
同社米国100%子会社MEDRx USA INC.において、MRX-1OXTをはじめとする米国市場
をターゲットとした同社パイプライン推進のため、米国における医薬品開発に関する
専門家3名とのコンサルタント契約を締結。
コンサルタント3名には、前FDA DAAP(Division of Anesthesia, Analgesia, and
Addiction Products:麻酔、鎮痛、中毒薬物部門)ディレクター、疼痛治療の臨床試
験の実施及び臨床研究デザインに関する第1人者(元FDA諮問委員会議長)、20年以
上にわたり鎮痛剤開発に携わった者(多くの創薬ベンチャー企業の経営に参画)がい
る。
課題
◤
技術的ハードルが高い:挑戦者は多いが完成に至った事例なし(オキシコドンは経皮
難吸収性の薬剤)
ライセンスアウトの時期
◤
POCを早期に確認可能:オピオイド薬群オキシコドンをILTS®により経皮吸収型貼付
剤として開発するMRX-1OXTは中枢で効くものであり、また、オキシコドンは20世紀
初頭より使用されている。結果、どの程度の血中濃度になれば効くということが事前
に判明
※ETOREAT®が筋肉で効く薬剤である結果、主観的な判断・指標による有意差の解析
◤
であるのと対照的
早期のライセンスアウト
 第I相臨床試験(2016年中の開始が見込まれる)でほぼPOCが確認できると同社
では見ている
 早期の開発段階でのライセンスアウト(第I相臨床試験終了後の2017年)を目
論む
MRX-5LBT(帯状疱疹後の神経疼痛治療薬:リドカインテープ剤)
◤
◤
◤
開発ステージ:2016年に臨床第I相試験開始へ(既に特許取得済み)
米国でIND申請提出:2016年2月、IND(Investigational New Drag:臨床試験実施申
請資料)を提出
販売許諾先:未定
リドカイン(Lidocaine:神経末端において痛みの信号を遮断する局所麻酔薬の一種)に
ILTS®技術を用いて経皮製剤化(テープ剤)。2015年3月に米国、同年5月に欧州で基本
特許を登録。米国で約8億ドルを売り上げるリドカインパップ剤(商品名Lidoderm®:前
述)より、経皮浸透性が速く高いことが特徴。帯状疱疹後の神経疼痛治療薬(対象患者数
が少なく、年間の需要も数億円程度と小さい)であるが、リドカインパップ同様、その適
用外処方で軽・中度の消炎鎮痛剤として用いられる市場をも狙う。
2016年2月に米国でFDAにIND(Investigational New Drug:臨床試験実施申請資料)を提出。
2016年に臨床第I相試験を開始し、早期(2~3年以内)のNDA(New Drug Application:
承認申請)取得を目指す。
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ETOREAT®よりも開発開始後早い時期でのラ
イセンスアウトが期待できる
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MRX-4TZT(痙性麻痺治療薬:チザニジンテープ剤)
◤
◤
開発ステージ:非臨床試験を実施中(2016年に米国で第I相試験を開始予定)
販売許諾先:未定
中枢性筋弛緩薬であるチザニジンにILTS®技術を用いて経皮製剤化(テープ剤)。対象と
なるのは米国の筋弛緩薬12億ドル市場(2014年)。経口剤に比べて、有効血中濃度の持続
性が高く、副作用(肝障害、眠気など)が少ない。現在、非臨床試験を実施中であり、2016
年に第I相試験を開始する計画。
ナノコロイドを活用した経皮吸収型製剤技術NCTS*
* NCTS(Nano-sided Colloid Transdermal System)
薬物をナノコロイド化することにより経皮吸収を飛躍的に向上させる独自の経皮製剤技
術。同社によれば、経皮製剤でありながら、液体のまま製剤とすることにより、即効性と
持続性を併せ持つ画期的な製剤となることが期待される。同社は、NCTS技術を用いて、ア
ルツハイマー治療薬(MRX-5DML)や偏頭痛治療薬(MRX-4MIGL)をターゲットとした製
剤開発を進めている。
マイクロニードルアレイ
マイクロニードルアレイとは微小針集合体のことをいう。同社の微小針は生分解性樹脂(ヒ
トの体内で分解されるプラスチック素材)からなる。注射しか投与手段のないワクチンや
核酸医薬・タンパク医薬等の、無痛経皮投与システムの確立を目指す。帝人(東証3401)
と共同で研究開発を行っていたが、帝人の事業戦略の都合により、2015年10月に提携を解
消。事業化には数十億円単位の資金を必要とするため、新たな提携先を模索中。
出所:同社資料
Strength, Weakness分析
強み
◤
選択と集中(ニッチ市場を標的とし独自ILTS®技術により差別化):既存の経口薬や
注射薬の有効成分を経皮吸収型製剤として開発することを生業とする。故に、新規有
効成分の発見/創出をゼロから取り組むのに比べ、開発リスクは相対的に低い。また、
経皮吸収型医薬品は経口剤や注射剤に比べてニッチな市場である。独自経皮吸収型製
◤
剤技術ILTS®で差別化し、米国市場開拓を狙う。
豊富なイオン液体ライブラリーとILTS®製剤特許:人体への安全性が高いと考えられ
る数百種類のイオン液体のライブラリー、同選択や保持・増進ノウハウを蓄積。薬物、
薬物群毎にILTS®製剤特許を取得。例えば、ETOREAT®(イオン液体化したエトドラク
のテープ剤)では、米国、日本、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、
スペイン、ベルギー、オランダ、スウェーデン、アイルランド、オーストリア、トル
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【強み】



選択と集中
豊富なイオン液体ライブラリーと ILTS®
製剤特許
豊富な経験を有する経営陣・ベテラン社
員
R
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◤
Research Espresso by Shared Research
コ、中国、オーストラリア、韓国、南アフリカ、カナダで製剤特許を登録。
豊富な経験を有する経営陣・ベテラン社員:松村眞良社長は貼付剤の開発・事業化に
40年以上の経験を持つ。また、経営陣及び約3割の従業員は製薬会社出身のベテラン。
弱み
◤
◤
◤
軽・中等疼痛向け貼付剤の特質:最重要パイプラインETOREAT®は筋肉で効く薬剤で
ある結果、主観的な判断・指標による有効性の測定となる分、臨床第III相試験に困難
性が伴う。
人材育成やノウハウ継承の経験不足:同社は創業14年と社歴が浅く、同時並行で複数
パイプラインを管理できる人材が不足する他、ノウハウ継承等についても経験が不十
分。
収益基盤の弱さ:大型パイプライン上市経験がない中、大型パイプラインの開発コス
トが先行し、2002年の創業以来、同社は継続的に営業損失及び当期純損失(赤字)を
計上。
損益計算書
損益計算書
10年12月期 11年12月期 12年12月期 13年12月期 14年12月期 15年12月期 16年12月期会予
(百万円)
売上高
前年比
製品売上高
連結
連結
連結
連結
連結
連結
連結
292
741
88
69
26
38
29
na
154.1%
-88.2%
-21.9%
-61.7%
43.1%
-20.3%
85
95
72
34
26
37
29
前年比
na
11.6%
-24.4%
-53.2%
-21.7%
41.6%
-20.3%
構成比
29.1%
12.8%
81.6%
48.9%
100.0%
98.9%
100.0%
207
647
16
35
-
0
-
前年比
na
212.6%
-97.5%
117.2%
nm
nm
nm
構成比
70.9%
87.2%
18.4%
51.1%
0.0%
1.1%
0.0%
58
35
33
9
9
12
10
na
-40.5%
-3.9%
-74.1%
8.2%
30.1%
-17.6%
20.0%
4.7%
38.0%
12.6%
35.5%
32.2%
34.5%
233
707
54
60
17
25
19
na
202.7%
-92.3%
10.1%
-71.7%
50.3%
-25.4%
80.0%
95.3%
62.0%
87.4%
64.5%
67.8%
65.5%
857
1,142
622
665
1,020
1,025
2,136
na
33.2%
-45.5%
6.9%
53.4%
0.5%
108.3%
293.8%
154.0%
708.3%
969.5%
3881.2%
2726.4%
7365.5%
696
939
415
398
718
716
1,878
36
31
26
44
53
na
na
6
5
4
4
4
na
na
研究開発費等収入
売上原価
前年比
売上原価率
売上総利益
前年比
売上総利益率
販管費
前年比
売上販管費率
研究開発費
給料及び手当
減価償却費
その他
営業利益
前年比
営業利益率
経常利益
前年比
経常利益率
当期純利益
120
166
177
219
245
na
na
-623
-434
-567
-604
-1,003
-1,000
-2,117
na
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
-616
-480
-578
-617
-1,012
-991
-2,102
na
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
-2,080
-537
-433
-571
-622
-1,017
-878
前年比
na
nm
nm
nm
nm
nm
nm
利益率
nm
nm
nm
nm
nm
nm
nm
減価償却費・のれん償却額
EBITDA
47
39
27
28
52
76
na
-576
-395
-540
-576
-951
-924
na
注:百万円未満を四捨五入
出所:会社データよりSR社作成
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【弱み】



軽・中等疼痛向け貼付剤の特質
人材育成やノウハウ継承の経験不足
収益基盤の弱さ
R
メドレックス|4586|
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貸借対照表
貸借対照表
10年12月期 11年12月期 12年12月期 13年12月期 14年12月期 15年12月期
(百万円)
現金及び預金
連結
連結
連結
連結
連結
連結
691
614
465
3,937
2,780
4
10
6
11
1
2
16
17
15
25
20
27
売掛金
棚卸資産
2,063
前渡金
-
-
-
15
14
77
未収入金
-
-
43
15
29
27
5
10
9
-
-
-
その他
貸倒引当金
流動資産合計
18
8
-
-
5
-28
730
649
507
4,008
2,854
2,204
265
240
215
256
346
278
205
197
188
217
195
179
48
35
22
13
105
71
13
7
5
25
45
28
-
-
-
0
-
-
0
0
0
1
3
2
投資その他の資産計
投資有価証券
89
27
64
65
465
483
494
-
-
399
414
417
長期前払費用
19
20
21
23
25
34
差入保証金
38
38
38
38
38
38
5
355
5
304
5
5
5
5
280
722
831
774
1,085
952
787
4,730
3,685
2,978
6
2
5
3
0
1
1年以内返済予定の長期借入金
10
10
405
99
-
-
未払金
19
20
27
30
58
89
8
8
7
19
13
11
その他
21
39
6
7
8
8
流動負債合計
64
79
450
158
79
110
有形固定資産
建物及び構築物
機械装置及び運搬具
工具、器具及び備品
建設仮勘定
無形固定資産
その他
固定資産合計
資産合計
買掛金
未払法人税等
16
-
-
-
-
-
繰延税金負債
長期借入金
-
2
2
2
7
8
資産除去債務
-
-
-
8
8
8
持ち分法適用に伴う負債
-
12
51
60
76
80
固定負債合計
16
27
61
69
92
96
負債合計
80
106
511
227
171
205
1,007
849
278
4,507
3,490
2,721
株主資本
(自己株式)
-
-
-
-
-
-
その他の包括利益累計額
-2
-2
-2
-4
8
13
新株予約権
純資産合計
ネットキャッシュ
0
0
16
39
1,005
-
847
275
4,503
3,514
2,772
665
604
61
3,838
2,780
2,063
14
26
16
33
20
28
運転資金
出所:会社データよりSR社作成
◤
◤
-
2015年12月期末ネットキャッシュ2,063百万円。投資有価証券は国債中心。
2016年12月期の親会社株主に帰属する当期純利益は2,080百万円の純損失を同社は予
想。Evolution Biotech Fundを割当先とする行使価額修正条項付第8回新株予約権(第
三者割当て)の行使状況が注目される。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書
(百万円)
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
出所:会社データよりSR社作成
◤
10年12月期 11年12月期 12年12月期 13年12月期 14年12月期 15年12月期
連結
連結
連結
連結
連結
連結
-492
-48
773
-322
-7
263
-535
-302
389
-613
-192
4,545
-931
-119
-99
-789
-43
113
営業活動によるキャッシュフローが赤字の状態である。その赤字を、財務活動による
キャッシュインフローで補う構造が続いている。
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R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
一株あたりデータ(円、株式分割調整後)
一株当たりデータ(円、株式分割調整後)
期末発行済株式数(株)
EPS(1株当たり当期純利益)
EPS(潜在株式調整後)
DPS(年間配当金)
BPS(1株当たり純資産)
出所:会社データよりSR社作成
10年12月期 11年12月期 12年12月期 13年12月期 14年12月期 15年12月期
連結
連結
連結
連結
連結
連結
2,758,600
-256.37
na
-
2,911,300
-151.26
na
-
2,911,300
-196.25
na
-
364.24
290.79
94.55
6,689,700
-113.48
na
673.08
6,689,700
-151.96
na
522.94
6,889,700
-131.21
na
396.79
財務指標
財務指標
10年12月期 11年12月期 12年12月期 13年12月期 14年12月期 15年12月期
連結
連結
連結
連結
連結
連結
総資産経常利益率(ROA)
自己資本当期純利益率(ROE)
棚卸資産回転率 (回)
有形固定資産回転率(回)
流動比率
純資産比率
出所:会社データよりSR社作成
na
na
na
-47.1%
-46.8%
45.3
-66.5%
-101.9%
5.5
-22.4%
-26.0%
3.4
-24.1%
-25.4%
1.2
-29.7%
-28.2%
1.6
na
1141.8%
92.6%
2.9
825.3%
88.9%
0.4
112.6%
35.0%
0.3
2541.0%
95.2%
0.1
3614.7%
94.9%
0.1
2011.1%
91.8%
株主還元方針
株主への利益還元については重要な経営課題であると同社は認識。将来、ETOREAT®をは
じめ現在開発中の新薬が上市され、その販売によって当期純利益が計上される時期には、
経営成績及び財政状態を勘案しながら、配当による利益還元の実施を検討したいと同社は
考えている。しかし、医薬品の研究開発には多額の初期投資を要しその回収も長期に及ぶ
傾向にあり、同社は創業以来継続的に赤字を計上。また、2016年12月期も当期純損失の計
上を見込むことから、今期も利益配当は実施しない予定。
株主
氏名又は名称
雨堤 正博
株式会社SBI証券
松村 米浩
BNP PARIBAS LONDON BRANCH FOR PRIME
BROKERAGE CLEARANCE ACC FOR THIRD PARTY
松村 眞良
興和株式会社
井上 圭司
野村證券株式会社野村ネット&コール
株式会社JTフィナンシャルサービス
志野 文哉
発行済株式数
出所:同社データよりSR社作成
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2015年12月末現在
所有株式数
割合
(株)
250,000
3.6%
241,200
3.5%
233,100
3.4%
209,000
3.0%
178,300
125,000
123,000
118,800
117,000
112,000
6,889,700
2.6%
1.8%
1.8%
1.7%
1.7%
1.6%
100.0%
R
メドレックス|4586|
Research Espresso by Shared Research
コーポレートガバナンス情報
組織形態・資本構成等
支配株主の有無
無
親会社のコード
取締役関係
定款上の取締役数
7名
定款上の取締役任期
1年
社外取締役(独立役員)人数
0名
監査役関係
定款上の監査役員数
4名
社外監査役(独立役員)人数
2名
その他
独立役員人数(社外取締役、社外監査役合計)
2名
議決権電子行使プラットフォームへの参加
無
その他機関投資家の議決権行使環境向上に向けた取り組み
無
招集通知(要約)の英文での提供
無
取締役報酬の開示状況
無
執行役員報酬の開示状況
-
報酬の額又はその算定方法の決定方針の有無
無
買収防衛策の有無
無
出所:会社データよりSR社作
ディスクレーマー
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