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3-4-1 施設、機械

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3-4-1 施設、機械
【技術分類】3-4-1
施設、機械、器具/堆肥栽培(コンポスト栽培)/発酵工程
【技術名称】3-4-1-1
発酵室(菌舎)
【技術内容】
堆肥栽培(コンポスト栽培)のプロセスで、室内環境下で行われるのは、二次発酵、菌糸の育成、
収穫と連続する工程となっている。しかし、それぞれの工程における環境設定条件は全く異なってい
る。この点から、栽培室の利用法の違いによる栽培法の差異が生じている。
各工程の環境条件に応じた全く異なる 3 つの室を使用し、順次コンポストを移動する方法が 3 室方
式の栽培法であり、二次発酵だけを別の室で行う場合が 2 室方式である。しかし、わが国では、3 過
程を通じて同一の「発酵室(菌舎)
」を利用する場合が多く、この方式を 1 室方式または単室方式と
いう。
コンポストの各室間移動が多ければ汚染の機会が多くなる欠点があるが、1 室方式ではそのリスク
を避けることができる。しかし、1 室方式を実現するには、二次発酵と菌育成という環境条件の異な
るプロセスを同じ室で行う技術が必用となる 1)。
また、菌舎の古い分類法としては、専業的栽培舎と副業的栽培舎という分類方式があり、前者は専
業の生産者向けの栽培舎として規定され、棚式栽培法用のアメリカ式栽培舎(図2)、イギリス式栽培
舎(図3)、浅箱式栽培用の多室方式(2 室方式)が知られている。これに対して後者は副業的に簡易
な施設で栽培を実現することを目的としたもので、ブロック建栽培舎(図4)や鉄骨ビニールハウス
(図5)、寒冷地用の窖室(コウシツ)(図6)等がある 3)。
【図】
図1
隣接して設置されたマッシュルーム単室栽培用栽培舎
出典:本標準技術集のために株式会社流通システムセンターが撮影、撮影日 2006 年 1 月 26 日、撮
影場所:有限会社舟形マッシュルーム
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図2
アメリカ式栽培舎(半地下式)の構造
出典:
「マッシュルーム栽培の新技術」、1978 年 8 月 20 日、藤沼智忠著、株式会社泰文館発行、96
頁、第 19 図
図3
専業的栽培舎
イギリス式栽培舎の構造
出典:
「マッシュルーム栽培の新技術」、1978 年 8 月 20 日、藤沼智忠著、株式会社泰文館発行、102
頁、第 24 図
イギリス式栽培舎の構造
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図4
ブロック建栽培舎の構造
出典:
「マッシュルーム栽培の新技術」、1978 年 8 月 20 日、藤沼智忠著、株式会社泰文館発行、106
頁、第 27 図
図5
ブロック建栽培舎
鉄骨ビニールハウスの構造
出典:
「マッシュルーム栽培の新技術」、1978 年 8 月 20 日、藤沼智忠著、株式会社泰文館発行、109
頁、第 30 図
鉄骨ビニールハウス
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図6
窖室の断面図(左)と平面図(右)
出典:
「マッシュルーム栽培の新技術」、1978 年 8 月 20 日、藤沼智忠著、株式会社泰文館発行、110
頁、第 31 図
窖室の断面図(左)と平面図(右)
【出典/参考資料】
1)「マッシュルーム栽培法-高度生産技術への対応」、1987 年 11 月 20 日、橋本一哉著、株式会社農
村文化社発行、58-59 頁
2)同前、59-65 頁
3)「マッシュルーム栽培の新技術」、1978 年 8 月 20 日、藤沼智忠著、株式会社泰文館発行、93-110
頁
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【技術分類】3-4-1
施設、機械、器具/堆肥栽培(コンポスト栽培)/発酵工程
【技術名称】3-4-1-2
コンポスト機械
【技術内容】
堆肥栽培の一次発酵工程では、稲ワラ等の堆積物(コンポスト原料)の均質化を目的に切り返しが
行われるが、コンポスト機械(コンポストマシン)とは、この切り返し作業を行う装置類の通称であ
る 1)2)。
コンポスト一般の切り返し作業を行う装置類には、ホイールローダー、トラクタフロントローダー、
スキッドステアローダー等の各種ローダー類、マニュアグラッパ、コンポストターナー等があるが、
稲ワラや馬厩肥を原料とするきのこ栽培用のコンポストの切り返し作業で活用されているのは、ロー
ダー類とコンポストターナーである。
各種ローダーは、ブルドーザー状のバケットを使って堆肥を切り返す装置である。ワラが多く含ま
れているきのこ栽培用コンポストでは、マニュアフォークを使うとよい。大型の堆肥舎や堆肥盤では
バケット容量の大きいホイールローダーが適しており、小型の箱形発酵槽やビニールハウスの堆肥舎
では旋回半径の小さいスキッドステアローダーが良い。
コンポストターナーは、あらかじめ堆肥列を作っておき、これを側方または後方に移動させて、切
り返す機械である。小型のものでトラクタ直装型、大型なものになると自走式のものがある。堆肥の
移動はオーガータイプ、エレベータータイプ、フレイルが付いたロータリードラムタイプがある 3)。
【図】
図 1 ホイールローダー(自走式堆肥切り返し機)
出典:日立建機株式会社ホームページ、ホーム>業種別情報>畜産・農業、検索日 2006 年 2 月 27
日、http://www.hitachi-kenki.co.jp/industry/agriculture/index.html
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図2
コンポストターナー
出典:本標準技術集のために株式会社流通システムセンターが撮影、撮影日 2006 年 1 月 26 日、撮
影場所:有限会社舟形マッシュルーム
【出典/参考資料】
1)「マッシュルーム栽培法-高度生産技術への対応」、1987 年 11 月 20 日、橋本一哉著、株式会社農
村文化社発行、104-108 頁
2)「3.きのこ増殖の実際
テクノロジー全書
9.マッシュルーム
C.栽培の理論と実際
(1)一次発酵」、最新バイオ
きのこの増殖と育種、1992 年 9 月 14 日、橋本一哉著、農業図書株式会社発行、
270-274 頁
3)「3 章 糞尿処理機械・施設 6)堆肥化機械」、家畜ふん尿処理利用の手引き 2004HTML 版、発行日
2004 年 8 月、高橋圭二著、北海道立畜産試験場環境草地部畜産環境科発行、検索日 2006 年 1 月
11 日、http://www.agri.pref.hokkaido.jp/sintoku/ecolo/manual2004/manual04_chap3.htm#3-06
4)日立建機株式会社ホームページ、ホーム>業種別情報>畜産・農業、検索日 2006 年 2 月 27 日、
http://www.hitachi-kenki.co.jp/industry/agriculture/index.html
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【技術分類】3-4-1
施設、機械、器具/堆肥栽培(コンポスト栽培)/発酵工程
【技術名称】3-4-1-3
床詰機
【技術内容】
一次発酵を終えたコンポストを、二次発酵を行う菌床に充填する作業が床詰め作業であり、これを
行う装置類を総称して床詰機という。
棚式栽培(単室栽培)用の菌床に対しては、ベルトコンベアとネットコンベアを組み合わせ、棚板
上に這わせたナイロンネットにコンポストを送り込み、ナイロンネットを牽引するネットコンベアで
棚板上にコンポストを充填する(図1)。同じ装置は、覆土や廃床工程にも利用できる 1)。
箱式栽培(多室栽培)用の菌床については、トレイ充填機を使用して、浅箱やトレイ一つごとにコ
ンポストを充填する。通常、1t のコンポストを使用すると、約 3 坪分の菌床ができる 2)。
また、二次発酵にバルク方式を採用する場合は、首振り充填機を使用して、トンネルの奥から、順
次コンポストを充填するようにする 3)。
このように床詰機とは、単体装置というより、各種コンポスト搬送装置の組み合わせによって構成
されたシステムであり、栽培容器の形状等に応じてそのシステム構成も異なってくる。
【図】
図1
ネットコンベア装置概念図
出典:「13.マッシュルーム」、きのこハンドブック、2000 年 1 月 20 日、衣川堅二郎著、衣川堅二
郎、小川眞編、株式会社朝倉書店発行、139 頁
図 13.7 ネットコンベヤー装置概念図
【出典/参考資料】
1)「13.マッシュルーム」
、きのこハンドブック、2000 年 1 月 20 日、衣川堅二郎著、衣川堅二郎、小
川眞編、株式会社朝倉書店発行、133-143 頁
2)「3.きのこ増殖の実際
テクノロジー全書
9.マッシュルーム
C.栽培の理論と実際
(2)二次発酵」、最新バイオ
きのこの増殖と育種、1992 年 9 月 14 日、橋本一哉著、農業図書株式会社発行、
274-279 頁
3)「マッシュルーム栽培法-高度生産技術への対応」、1987 年 11 月 20 日、橋本一哉著、株式会社農
村文化社発行、137-143 頁
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