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Autumn Statement
www.pwc.co.uk PwC J HR News 英国で日本人駐在員業務をご担当されている皆様へ 10 December 2013 Autumn Statement/秋の財政演説 HRS サマリー 12月5日にオズボーン財務相が2013年の秋の財政演説を行いました。発表された改正点の 数は予想を上回るものでした。以下はその中から雇用、駐在員税務および報酬・年金に関 連したものの概要を纏めたものです。 主な改正があったのは以下の分野です。 年金: 国民年金の受給開始年齢が引き上げられます。 雇用関連: 一つの職務を人為的に分割し二重の雇用契約を作り出す慣行、英国外の 雇用仲介業者と税金・社会保険料に係る源泉徴収義務、21歳未満の従業員に対する 社会保険料雇用主負担分の免除と経費・ベネフィットに関する税制の簡素化。 人の国際間移動: 駐在員にとって重要なキャピタルゲイン税に関する二つの改正点。 (この内一つは雇用形態に拘わらず、全ての個人に適用されます。) 報酬: 全ての従業員持株制度(SAYEおよびSIP)に恩恵をもたらす改正、そして従 業員支配会社を奨励する新たな税制優遇措置。 パートナーシップに関する改正点: 虚偽の雇用、混合パートナーシップと利益配分。 年金 国民年金受給開始年齢の引き上げ 国民年金の受給開始年齢をさらに引き上げる 発表がありました。その発効時期も以前の政 府発表より早まり、現在40歳代の人の受給年 齢は68歳となりました。これより若い世代につ いても受給年齢の引き上げは継することが予 想され、今日生まれた人が国民年金を受け取 ることができるのは75歳となります。雇用主は 労働人口の拡大、例えば65歳から70歳までパ ートタイム就労により段階的に退職に移行す るなど、従業員の希望に取り組んでいく必要 があります。より喫緊の改正としては、国民年 金の受給により給付額が相殺される要素を含 んだ確定給付型年金を採用する雇用者は、 国民年金受給開始年齢の引き上げによりこれ らの相殺措置が自動的に繰り延べられる契約 になっている場合の資金手当てコストの上昇リ スクを査定しておくべきです。 あてにできない利上げ 政府の年間借入金が2017/18課税年度まで に現在の1,100億ポンドから230億ポンドに減 少する見込みです。これは以前の予想を800 億ポンド下回る数字で、他に要因が無い限り、 長期金利の低迷状態が続く可能性が高まるこ とになります。長期金利が低いと、企業年金の トラスティー(受託者)は、年金スキームの資産 から期待できる実際の運用益を考慮せず、政 府債の利回りによって保険数理評価を上げる という伝統的なアプローチを取るため、企業年 金の債務が増えることになります。従って、今 回の演説で失業率は2015年より7%を割り込 み、イングランド銀行が政策金利を引き上げる ための条件が満たされると発表されたからとい って、年金スキームのスポンサーにとっては長 期金利が上昇する保証にはなりません。 雇用契約・形態 一つの職務を人為的に分割し、二重の雇用 契約を作る慣行 少人数の高収入の英国非永住者が、一つの 職務を人為的に英国内の雇用契約と英国外 の雇用契約に分け、租税を回避することを防 止する法案が2014年財政法案に盛り込まれま す。これによって回復できる税収は比較的少 ないと予想され、新法令の対象となるのは 元々あった一つの雇用契約を二つに分けた、 あるいは二重に雇用契約を締結することの商 業的な意味が皆無あるいは微少であるなどの 極端なケースに限られる可能性もあります。こ の問題に関しては、当該個人の職務から最終 www.pwc.co.uk 的に経済的な恩恵を受ける雇用主は誰かを 査定するといったアプローチを歳入関税庁が 取る可能性があります。 国外雇用仲介業者と源泉徴収義務(雇用税・ 社会保険料の支払い) 複数の仲介業者を経由して英国の事業に従 事する就労者に関して、その雇用税と社会保 険料の支払いを義務付ける規定の導入が確 認され、2014年4月6日から適用されます。この 義務は一連の仲介業者のうち、当該就労者が 就業する企業に最も近い(通常、その企業と 契約関係にある)業者に課されることになると 思われます。これまでのところ、仲介業者を国 外に置き、歳入関税庁が「自営業を偽装した 雇用」と表現するケースでは、雇用税と社会保 険料が支払われていません。国外の雇用仲 介業者は、歳入関税庁による2013年5月の諮 問の対象分野となっており、同年10月に出さ れた回答の中でその対策の概要が示されまし た。 21歳未満の従業員に対する社会保険料雇用 主負担分の免除 2015年4月6日より、収入が一定額以内(週813 ポンド、年収42,285ポンド)である21歳未満の 従業員については、社会保険料の雇用主負 担分(NIC Class 1 secondary)の支払いが不 要となります。 経費およびベネフィットに関する税制の簡素 化 歳入関税庁が経費およびベネフィットに関す る税制の簡素化に関し9つの「即効策」を実施 するとの発表がありました。これは2013年8月 に税制簡素化室(OTS)が中間報告書の中で 勧告していたものです。同報告書は税務管理 および納税申告、歳入関税庁のガイダンスの 改善および記録の保管などの分野を取り上げ ています。これらの即効策は2014年1月末まで に実施される予定ですが、その詳細は2013年 12月6日に明らかになる予定です。 国際間を移動する従業員 駐在員にとって重要なキャピタルゲイン税に 関する二つの改正点 2015年4月より、英国の非居住者が英国の居 住用不動産を売却する際にキャピタルゲイン 税が課されます。また、2014年4月以降、納税 者が主たる自宅を売却する場合、キャピタル ゲイン税が免除される所有期間の要件が36ヶ 月間から18ヶ月間に短縮されます。この二番 目の改正は雇用形態に拘わらず全ての個人 に適用されます。国際間を移動する従業員の 雇用主は、将来、英国の不動産を売却した際 にキャピタルゲイン税の課税対象となる駐在 員のタイプを把握しておくべきです。この改正 によって影響を受けると思われるのは以下の 二つの英国非居住者のグループです。(1)雇 用を終結し、住んでいた自宅を売却する比較 的長期にわたる英国非居住者の場合(その数 は比較的少数)。このグループにはキャピタル ゲインの非課税限度枠と英国外勤務期間に 係る優遇措置が依然として適用される可能性 があるものの、免税枠を超過した部分につい てはキャピタルゲイン税の支払い義務が発生 する場合があります。(2)自宅以外の目的で所 有した居住用不動産(例:投資用不動産や別 荘)を売却する場合。 二重契約 上記の雇用契約・形態のセクションで述べた 二重契約の慣行を取り締まるために導入され る法令は、こうした雇用契約・形態を採用して いる雇用主にとって特に留意すべきものです。 報酬 従業員持株制度に対する優遇税制 従業員持株制度を持つ企業はその業績がし ばしば好調であることが実証されている中、政 府が同制度の導入インセンティブを雇用主に 与え続けていることは大変評価できます。英 国企業の多数が積極的に採用している株式イ ンセンティブプラン(SIP)および定期積立貯金 制度(SAYE)の年間非課税枠の拡大は多くの 英国企業とその従業員に大きな効果をもたら すでしょう。 - 2014/15年には、雇用主はSIPに加入してい る従業員に3,600ポンド相当(3,000ポンドから 上昇)の株式を無償で与えることができます。 従業員が優遇税制の適用を受けられる株式 の購入金額が1,500ポンドから1,800ポンドに 引き上げられます。 - 2014/15年から、SAYEプランに加入している 従業員の毎月の積立額の上限が250ポンドか ら500ポンドに倍増します。 これらの改正は、近年、企業年金控除額の削 減が続いた後だけに、特に歓迎すべき朗報で す。 www.pwc.co.uk 従業員による株式保有を奨励する新たな優 遇措置 政府は、従業員持株制度によって間接的に 所有・支配されている企業については、2014 年10月より、従業員のボーナス(上限3,600ポ ンド)に係る所得税を免除する新たな「利益連 動」報酬の支払形態を発表しました。従業員 持株制度を持つ会社に導入されるこの全く新 しい免税措置は、該当する企業とその従業員 の士気高揚に大きく貢献するでしょう。この非 課税ボーナスのインセンティブによって、従業 員持株制度を持つ企業は生産性のさらなる向 上が期待でき、雇用主、事業、ひいては経済 全体に恩恵となるポジティブな動きといえます。 従業員持株制度を整備した会社の雇用主とし ての魅力はさらに高まるでしょう。 パートナーシップに対する税制改正 パートナーシップに対する税制改正について も発表がありました。これらの改正点は2013年 5月に出された諮問文書に基づいたものです。 偽装雇用 2014年4月より、有限責任事業組合(LLP)から 給与の支給を受けるメンバー(「給与メンバー」) が PAYEおよび社会保険料の徴収上「従業員」 として取り扱われるようになります。実際に給 与メンバーを持つLLPの場合、社会保険料の 雇用主負担分が上昇するため、パートナーに 分配される利益は減少します。給与メンバー であるかどうかの判定方法は2013年12月10日 に公表されます。この改正により初年度に1億 2,500万ポンドの税収が見込まれていることか ら、多くのLLPが影響を受けると思われます。 混合パートナーシップと利益配分 個人パートナーと個人ではないパートナー(例 えば法人)が混在するパートナーシップ(混合 パートナーシップ)で、法人に分配される利益 について、個人パートナーが当該利益を「享 受する権利」を持っている、あるいはその利益 に係る課税を繰延る仕組みに関わっている場 合、当該個人パートナーが課税されるようにな ります。なお、金融行動監視機構(FCA)によ って利益の繰延が義務付けられている代替投 資ファンドマネージャー (AIFM)には特別規定 が適用されます。 本件に関するご質問がございましたら、下記ま でご連絡下さい。 福田 有紀子(+44 (0)20 7804 9207) 北牧 はるみ(+44 (0)20 7213 1739) <個人情報の取り扱いについて>私どものクライアントの方々、過去にセミナーにお越し頂いた方々、または名刺交換をさせて頂いた方々に対して、皆様に有益と思われる情 報(会計、税務、法務、人事関連トピックス ニュースやセミナーのご案内等)をお送りさせて頂いております。皆様の個人情報は、業務上のご連絡のほか、こうした情報をお知ら せする際に使用いたします。また、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のグローバルネットワークに属するPwC各メンバーファーム、あるいはPwC以外の第三者とセミナ ーを共催した場合は共催者と皆様の個人情報を共有させて頂く場合がございます。今後、私どもからのニュースレターやセミナーのご案内等をご希望されない場合は、お手数 ですが件名に「J HRニュース登録解除希望」とご記入の上、[email protected] までご連絡頂きますようお願い申し上げます。配信を停止し、また配信リストから削 除いたします。 本ニュースレターは概略的な内容を説明したものに過ぎず、日本語訳は英文の理解の一助として翻訳されたものに過ぎません。また、これらは信頼できる情報源から入手して おりますが、法令、規則、規制は随時変更される可能性があるため、これらがそのままの形で個々のケースに適用可能であるとは限りません。従って意思決定を行う、あるいは 何らかの行動を起こされる場合には事前に弊事務所の各分野の専門家にご相談下さい。 This publication has been prepared for general guidance on matters of interest only, and does not constitute professional advice. 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