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赤十字国際ニュース 2015 年 47 号 2015 年 9 月 15 日 ( 通巻 第 1132 号 ) 日本赤十字社 国際部 東京都港区芝大門 1-1-3 TEL 03-3437-7087 / FAX 03-3435-8509 E-mail:[email protected] http://www.jrc.or.jp/ 移民・難民:西ヨーロッパを目指す人びと 地中海を渡る移民・難民の問題が大きく 取り上げられている終息の兆しの見えない シリア紛争。その影響で紛争前のシリア人 口約 2300 万人の半数以上が、難民もしくは 国内避難民となっています(2015 年 7 月 7 日国際赤十字・赤新月連盟調べ) 。移民・難 民の多くが流れ込んでいるヨーロッパでは、 2015 年 1 月から 8 月までの 8 ヵ月間で流入 した人の数が約 32 万人に上り、すでに前年 1 年間に漂着した移民・難民の数(約 22 万 人)を上回っています(2015 年 8 月 31 日 フェンスの前で受付を待つ移民・難民©Stephen 国連調べ) 。ヨーロッパ諸国は、流入する 何万もの人びとの対応に追われています。 Ryan/IFRC ヨーロッパ各地の赤十字社は、増加する 移民・難民の対応の最前線に立っています。 中東から地中海を渡る多くの難民が、ギ リシャからドイツなどの西ヨーロッパ を目指して北上します。その通過点であ るマケドニアでは、過去 2 カ月で約 6 万 2000 人以上が国を縦断しました。毎日約 3000 人がギリシャ国境から 72 時間の短 期滞在許可を得て流入し、公共交通機関 を使って移動します。 救援物資の配給を受ける移民・難民©Stephen Ryan/IFRC 受 付 を 待 つ 間 、 簡 易 テ ン ト で 生 活 す る 家 族 ©Stephen Ryan/IFRC マケドニア赤十字社(以下、マケドニ ア赤)は、人道危機に対応するため、16 人の職員と 125 人のボランティアを動員 し、応急処置や衛生に関する救援活動を 行っています。また、これまで 4000 人 に対して分かれてしまった家族の連絡 先を見つける追跡サービスを実施して います。特に母子で逃れてきた人びとや 妊婦、子どもたち、新生児などは必要な 情報を受け取るのも困難な状況にある など、ぜい弱な状況に置かれやすいため、 マケドニア赤はこのような人たちを優 先して救援しています。 ■ 苦難続きの難民生活、安全と希望を求めて マケドニア南部で、セルビアとの国境に 向かう列車を待つルーイー・サロームさん (37 歳)は 3 人の子どもの父親です。紛争 が始まった当初から安全を求めて一家で レバノンに逃れました。「レバノンでは 1 カ月分の食べ物を買うための 15 米ドル(約 1800 円)しかもらっていませんでした。し かし、私たちは 5 人家族。これでは食べ物 は元より水を買うにも十分ではありませ ん。この国ではすべての物価が高いのに、 私は短期契約の仕事にしか就くことがで サロームさんと娘のファティマちゃん(5 歳)。後ろに見 きず、働いたのに賃金を支払ってもらえな えるのが妻と息子たち©John Engedal/IFRC いということもありました。私にも子ども たちにも将来はありませんでした」とサロームさんは語ります。 一家は、決死の覚悟でトルコからギリシャ に渡る船に乗ることを決め、ほかの 60 人ほ どとともにゴムボートでエーゲ海に出まし た。最終目的地に着いても、何が起こるかわ かりません。妻や子どもを無事に連れて行け るかとサロームさんは 2 時間半の航海中不安 に駆られていました。 一家はようやく無事にギリシャの海岸に たどり着き、赤十字のボランティアに迎えら れて水や食料、衛生用品を受け取りました。 希望を見出しつつも不安に襲われそうにな るというサロームさんは、「テロや紛争があ るシリアに送り返されるのではないかという恐怖に襲われます。紛争が終わっても、テロ リストはそのまま居続けるでしょうから」と語ります。 赤十字は、ヨーロッパにおける人道危機、また中東紛争地域の犠牲になっている人びと が直面している人道危機に対して支援を続けています。 ※「難民」とは、1951 年に採択された難民の地位に関する条約(難民条約)によって定義された人びとをさしています。 ●日本赤十字社では、中東人道危機救援金を受け付けています http://www.jrc.or.jp/contribute/help/cat751/ 〔お振り込みについての連絡先窓口〕 日本赤十字社組織推進部海外救援金担当 TEL 03-3437-7081 FAX 03-3432-5507 皆さまの温かいご支援と協力をお願いいたします。 ~赤十字7原則の採択から 50 年~ 独立(Independence) ・・・ 赤十字は国や他の援助機関の人道活動に協力しますが、赤十字としての自主性を保ちます http://jp.icrc.org/event/7-independence/(赤十字国際委員会ページ)