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練習問題
数学基礎 IIA 農学部 1 組 4 月 20 日分練習問題 2015 年度前期 数学基礎 IIA 農学部 1 組 1/2 4 月 20 日分の練習問題 担当: 柳田伸太郎 (数理解析研究所 416 号室) yanagida [at] kurims.kyoto-u.ac.jp 1 行列 1.1 行列の定義 (前回の講義の続き) Ex.(1.1.5. 次の等式を満たす a,)b, c, d を求めよ。 ) ( ( ) ( ) t a−1 3 3 3d d a−2 3 a (1) = (2) = . √ . b c+4 5 5 b+4 2π 2b c √ Ans. (1) a = 4, b = 5, c = 5 − 4, d = 1. (2) a = 6, b = 2, c = 2π, d = 3. Ex. 1.1.6. (1) A が対称行列であることと t A = A となることが同値であることを示せ。 (2) A が交代行列ならばその対角成分は全て 0 であることを示せ。 Ans. (1) 略。 (2) aii = −aii より従う。 1.2 行列の演算 Ex. 1.2.1. 行列の積に関する以下の式を確認せよ。 (1) 次の積は実は座標平面上の回転の合成を表している。 ( )( ) ( ) cos θ − sin θ cos ϕ − sin ϕ cos(θ + ϕ) − sin(θ + ϕ) = sin θ cos θ sin ϕ cos ϕ sin(θ + ϕ) cos(θ + ϕ). (2) 以下の 3 つ行列は Pauli 行列と呼ばれ、電子の状態を記述するのに使われる。 ( ) ( ) ( ) 0 1 0 −i 1 0 σx = , σy = , σz = . 1 0 i 0 0 −1 但し i は虚数単位。これらは以下の関係式を満たす。 σx2 = σy2 = σz2 = E2 , σx σy = −σy σx = iσz , σy σz = −σz σy = iσx , σz σx = −σx σz = iσy . Ans. 略。(1) は三角関数の加法定理を用いる。 Ex. 1.2.2. n を正の整数、c を複素数とする。(i, j) 成分が ci+j−2 で与えられる n 次正方行列 A = (ci+j−2 )n×n と、(i, 1) 成分が ci−1 で与えられる n × 1 型行列 (縦ベクトル) B = (ci−1 )n×1 の積 AB を計算せよ。 Ans. AB は n×1 型行列 (縦ベクトル) で、その第 i 成分は ∑n k=1 ci+k−2 ck−1 = ci−1 (1+c2 +c4 +· · ·+c2(n−1) ). Ex. 1.2.3. A と B を 2 次の正方行列とする。主張「AB = O ⇐⇒ A = O 又は B = O」は真か偽か? ( )( ) 1 1 1 1 Ans. N. = O. 2 2 −1 −1 Ex. 1.2.4. 以下の主張は正しいか否か答えよ。 (1) A,B が同じ型の正方行列なら (A + B)2 = A2 + 2AB + B 2 。 (2) A が正方行列なら、E を同じ型の単位行列として (A + E)3 = A3 + 3A2 + 3A + E 。 数学基礎 IIA Ans. (1) N. 農学部 1 組 4 月 20 日分練習問題 2/2 (2) Y. Ex. 1.2.5. A を正方行列とする。行列の積 t AA が対称行列であることを証明せよ。 Ans. t t ( AA) = t At (t A) = t AA. Ex.1.2.6. 0 1 (1) 0 0 0 0 n 次の正方行列 A に対し A (n は正の整数 ) を計算せよ。 0 1 . 0 (2) 0 Ans. (1) A2 = 0 0 an 0 0 n (3) 0 0 b . 0 0 cn 0 0 0 ( ) 0 0 1 a 0 0 a b 1 0 0. . (3) 0 b 0. (4) 0 1 0 1 0 0 0 c 0 1 1 n 3n+1 3n+2 (2) A = A, A = 0 0 0, A = O (n ≥ 3). 1 0 0 ( (4) an b(1 + a + · · · + an−1 ) 0 1 0 3n 1 , A = E. 0 ) . Ex. 1.2.7. An = O (n は正の整数) の時、(E − A)(E + A + · · · + An−1 ) を計算せよ。 Ans. 全ての正方行列 B に対して (E − B)(E + B + · · · + B n−1 ) = E − B n が成立するので、答えは E. Ex. 1.2.8. n 次正方行列 (aij )n×n は、全ての i, j = 1, 2, . . . , n について i > j なら aij = 0 となる時、上三角行 列と呼ばれる。上三角行列は和、スカラー倍、積について閉じていることを示せ。 Ans. 積のみ示す。A = (aij ) と B = (bij ) を n 次上三角行列とすると、i < j の時の AB の (i, j) 成分は n ∑ k=1 aik bkj = i−1 ∑ k=1 0bkj + n ∑ aik 0 = 0. k=i よって AB も上三角行列。 出典について 教科書に指定した三宅敏恒著「入門線形代数」の §§1.1–1.2 を参考にしました。 以上です。