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目標とする街並み 連綿と続く鉱都の歴史を継承する街並み まちづくりの
◆目標とする街並み 連 綿 と 続 く 鉱 都 の歴 史 を 継 承 する 街 並 み ◆まちづくりの心得 心得1 心得2 心得3 足尾の歴史を今に伝える産業遺産や建築物を活かしましょう 穏やかで、落ち着きのある街並みの表情をつくりましょう 足尾特有の素材感で鉱都の魅力を伝えましょう ◆まちづくりの作法 作法1 作法2 作法3 作法4 将来に伝えていくべき価値や魅力に合わせた 保全・活用を行いましょう 落ち着きある俯瞰景をつくりましょう 鉱都ならではの特徴的な材料を街並みづくりに活用しましょう 生活者や来訪者が安心して歩ける夜間景観をつくりましょう ※全地区共通のガイドラインと併せてご活用下さい。 52 ◆目標とする街並み ~地区の皆さんが描く街並みの将来像~ 足尾地区にはかつて東洋一の銅の産出量を誇り、公害対策の先駆けと なった足 尾銅山があります。閉山した今もなお、その光と影両面を持 つ歴史 は、役割・形を変えな がらもこの地に続い ています 。 この歴史を次代に継承し てい く ため 、 「 鉱 都 足 尾 」 が 感 じ ら れ る 街 並 み を 目 指 し まし ょ う 。 ◆足尾地区の景観資源 ~足尾地区で大切にしていきたいもの~ 松木渓谷 足尾環境学習センター 公害からの復興を続ける自然 (松木渓谷) 至 日光市街地 神子内川 渡良瀬川 間藤駅 鉱都ならではの 特徴的な素材 古河掛水倶楽部 足尾駅 足尾総合支所 15 通洞駅 足尾歴史館 足尾中学校 足尾に緑を育てる会 足尾小学校 122 足尾の歴史を象徴する 産業遺産や建造物群 足尾銅山観光 独特の雰囲気を残す トロ道 渡良瀬 渓谷鐡道 至 桐生 1 N 0m 500m 1000m 日光市街並形成ガイドライン(足尾地区) 53 2000m ◆まちづくりの心得 ~「目標とする街並み」を実現するための地区の皆さんの行動指針~ 足尾の歴史を今に伝える産業遺産や建築物を活かしましょう 足 尾 地 区 は 、 鉱 都 と し て 4 0 0 年 も の 歴 史 を 歩 ん でき ま し た。 時代の 変遷を経て今なお 残る産業遺産や建築物は、往時の 発展や生 活など 、 歴 史を伝え る 貴重な財 産です 。 建 物 の 現在 の 状 態を 踏 まえ 、往 時 の 面影 を 大 切に しながらも、 建 物が持 つ 価 値 や 魅 力 を 磨 き 続 け る こ とで、 次 代 に 伝 え てい き まし ょう 。 穏やかで、落ち着きのある街並みの表情をつくりましょう 足 尾 山 地 に 囲 ま れ た 山 あ い の ま ち と し て 、 地 形 の 高低 差 と 周 囲 の 自 然景 観 を 活 か し た、 落 ち 着 き の あ る 美 し い俯瞰 景 を 目 指 し ます 。 また、 建 物 の 外 壁 や屋 根 、 電 柱 等 に コー ル タ ー ルを 塗 る こ とで形 成 さ れ て いた黒を基調としたかつての街並みの表情を、地域特有の景観資源と捉 え 、 景 観 づ くり に 活 か し まし ょう 。 足尾特有の素材感で鉱都の魅力を伝えましょう 足尾には、鉱都ならではの特徴的な材料や、持続的な活動によって公 害 か ら の 回 復 を 続 け る み ど り な ど が あ り ます 。 こ れ ら を 地 域 特 有 の 景 観 資 源 とし て街 並 み 形 成 に 積 極 的 に 活 用 す る こと で、素 材 や活 動の 持つ 歴史 性の継 承 を促し なが ら、さら なる 地域 性の 向上 を目指しま しょう 。 日光市街並形成ガイドライン(足尾地区) 54 2 ◆まちづくりの作法 作法1 ~「目標とする街並み」を実現するための具体的な方法~ 将来に伝えていくべき価値や魅力に合わせた 保全・活用を行いましょう ■価値や記憶の継承 今ある建物を何らかの形で未来に残していくということは、その建物が持っている建築物として の 価 値 ( 貴 重な デ ザイ ン・構 造 な ど ) や、 地 域 や そ の 場 所 で 培 っ てき た 役 割 や 記憶 を 未 来 に 継 承するということです。 足 尾 は 、 鉱 都 と し て の 長 く 、 個 性 的 な 歴史 を 歩 ん で きま し た 。 そ の 歴 史 を 継 承 す る た め に も 、 建物の保全・活用は有効な手段の一つです。 ■ 環 境 へ の配 慮 近 年 で は 、 地球 環 境 へ の 配 慮 か ら 、 今あ る 建 物 を 長 く 大 切 に 使 う 、 あ る い は 使 わ れ て い な い 建物を有効活用するといった視点が重要視されています。 足 尾 は 、 公害問 題 を 機に 、先 駆 的に 環境 活 動に 取 り 組 ん で き まし た 。 現 在 も 環境 に 配慮 し た 様 々 な 取り 組み が 行 わ れて い ま す 。 建 物の 保 全 ・ 活用も 、 環 境に 配慮 し た 取り 組み の 一 つ と 言 えます。 ■ 新 しくつ くる こ と 今あるものを保全・活 用す ることだけで なく、新し くつ くることも 歴史 を継 承す る手 段の一 つで す 。 古 い も の が “ 良 い ” 、 新し い も の が“ 悪い ” と い う こ と で は な く 、 “ 何を 将 来 に 伝 えて い き た い か ” を考 え 、そ れ に 合 わ せ た 方 法 を 選 ぶこ と が 重 要 で す。 新 し く 建 物 な どを つ く る 際 に は、 足 尾 ら し さ とは何かを考えてつくりましょう。 ■保全・活用の手法例 現 存 する 建物 に手 を 加え、 現 代 の生 活や 社 会 の需要 に合 った 付加 価 値を 与える ことで 、 新 たな役割を担う存在として使い続けられると共に、地域の記憶を継承していくことができます。 ▲かつて食堂として使われていた建物 (赤倉旧マルサン食堂) ▲かつての食堂の雰囲気を尊重しながら、 アートギャラリーとして活用している例 (ワタラセアートプロジェクト) ラ イ ト アッ プ やイ ベン ト な ど 、一 時 的な 活用 を 図るこ とで、 機能していた 当時の記憶 を 呼び 覚まし、再び、建物の価値や地域における 重要性を認識する機会をつくります。また、 今後の保存・ 活用に向けた活動のき っかけ にもなります。 ▲産業遺産をライトアップしたイメージ (古河掛水倶楽部) 3 日光市街並形成ガイドライン(足尾地区) 55 作法2 落ち着きある俯瞰景をつくりましょう ■足尾地区の地形と俯瞰景 国 道 122 号 線 渡良瀬川 地区内外の高低差から生まれる俯瞰景を 意識した街並み形成を行いましょう。 地域特有の黒を基調と した表情づくりに よ って 、地 区 を 取 り 囲 む山 並 み の 緑 と の コント ラ スト が 美しい 、穏 や かで落 ち着き のある街並みを目指しましょう。 ■屋根の色と街並み 【現況】 【修景イメージ】 ▲彩度の高い色の屋根の街並み ▲彩度の低い色の屋根の街並み 日光市街並形成ガイドライン(足尾地区) 56 4 作法3 鉱都ならではの特徴的な材料を 街並みづくりに活用しましょう ■鉱都ならではの材料の活用イメージ例① <銅> 銅 を 「 鉱 都 足 尾 」 の 象 徴 的 な 材 料 と して 捉 え 、街 並 み を 形 成 す る 要 素 ( オブ ジェやスト リー ト ファ ニ チ ャー、 看 板 等 )に積 極 的 に 活用 す る こ とで、地 区 の 個 性が 強 調 さ れ、魅 力 向 上 につ な がります。 【活用例】 ▲かつて東洋 一の産出量を 誇 った足尾の銅 ▲看板・表札 ▲オブジェ ■鉱都ならではの材料の活用イメージ例② <カラミ煉瓦> カ ラ ミ 煉 瓦 は銅 の 副 産 物 で あ り 、 足 尾 の な ら で は の素 材 の ひ と つ で す 。 こ の 素 材 感 を 塀 や 舗 装、建材やストリートファニチャー等に活用することで、魅力的、個性的な街並み形成につながり ます。 【活用例】 ▲カラミ煉瓦の素材感を活かした 案内板 ▲ 銅 を 精錬す る 過 程で生じ た カ ラミを固めた煉瓦 (地区に現存する防火壁) ▲カラミ煉瓦の素材感を活かした 敷石 5 日光市街並形成ガイドライン(足尾地区) 57 ■鉱都ならではの材料の活用イメージ例③ <木材> 足尾は、公害 発生を機に、先駆的に環境活動に取り組んでいます。現在も行われている植 生復元のための植樹活動は、地区内外の多くの人の努力によって支えられています。 街 並 み の 中 に木 材 を う ま く 活 用 し て い く こ と で 、 地 区の 個 性 と し て新 た な 魅 力 が 生 ま れ る と 共 に 、環 境 へ の 取 り 組 み や自 然 を大 切 に す る 想 い をよ り 身 近 に 感 じ ら れ、活 動 へ の 参 加 意 欲 や 関 心を高めることにつながります。 【活用例】 ▲回復を続ける足尾の緑 (ボランティアによる植樹活動) ▲木製看板 ▲木製のベンチ ■鉱都ならではの材料の活用イメージ例④ <足尾焼き> 地 区 の 新 し い 地 場 産 業 と し て 近 年 注 目 さ れて い る 足 尾 焼 き を 街 並 み形 成 に 活 用 す る こ と で 、 鉱都の個性を新しい形で表現され、魅力の創出と歴史の継承につながります。 【活用例】 ▲銅山から出たスライム(鉱泥)を 利用した焼き物から発展した足尾焼き ▲陶器の絵タイルを利用した壁画 ■鉱都ならではの材料の活用イメージ例⑤ <足字銭> 足 尾 で 鋳 造 さ れ た 寛 永 通 宝 で あ る 足 尾 銭 ( 通 称 : 足字 銭 ) を 看 板や ス ト リー ト フ ァ ニ チ ャ ー 等 のモチーフに活用することで、足尾独自の文化の継承と魅力の向上につながります。 【活用例】 ▲背中に「足」の文字が記され た足字銭 ▲看板 ▲マンホール 日光市街並形成ガイドライン(足尾地区) 58 6 作法4 生活者や来訪者が安心して歩ける夜間景観をつくりましょう ■照明と夜間の街並み ▲夜景のイメージ 温かみのある光源を用いることで、光を 受け照らされる面の魅力を引き立てつ つ、穏やかな印象を与える街並みをつくる ことができます。 7 地区内の主要な道路については、街路 灯を連続的に配置し路面を照らす光の均 一性を高めることで、夜間の視線誘導性 や歩行者の安全性が高まります。 さらに、地域資源を活かしたデザインの 照明とすることで、地域の個性と魅力ある 夜間景観の創出につながります。 日光市街並形成ガイドライン(足尾地区) 59