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調達・購買 戦術

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調達・購買 戦術
1
第 章
第 調達・購買 戦術
戦略
戦術
調達戦略・
サプライヤ戦略の構築
評価
競争実施や
交渉実行・VA/VE案収集
サプライヤ評価・
サプライヤマネジメント
支出分析
サプライヤ
戦略
基本プロセス
整備
労務費・
加工費査定
サプライヤ
評価
調達戦略
開発購買
サプライヤ
基本情報入手
労務費逆算
定例
ミーティング
見積依頼
交渉
見積書整備
値上げ抑制
見積書比較
VA/VE提案
依頼
調達・購買理念
CHAPTER1
倒産対応
1-1
調達(基本)プロセス整備
戦略
戦術
調達戦略・
サプライヤ戦略の構築
評価
競争実施や
交渉実行・VA/VE案収集
サプライヤ評価・
サプライヤマネジメント
支出分析
サプライヤ
戦略
基本プロセス
整備
労務費・
加工費査定
サプライヤ
評価
調達戦略
開発購買
サプライヤ
基本情報入手
労務費逆算
定例
ミーティング
見積依頼
交渉
見積書整備
値上げ抑制
見積書比較
VA/VE提案
依頼
倒産対応
調達・購買理念
基礎知識
調達プロセスは大きく、Sourcing(ソーシング)とPurchasing(パー
チェシング)にわかれます。Sourcing(ソーシング)とは、業界調査から、サプ
ライヤの選定や価格決定です。Sourcing は「契約業務」と訳されることもあり
ます。また、Purchasing(パーチェシング)は、発注から納期調整、検収(サ
ポート)等を行い「調達実行」と訳されます。さらに Sourcing のなかに三つの
プ ロ セ ス が あ り、RFI(Request for Information)
: 情 報 提 供 依 頼、RFP
(Request for Proposal)
:提案依頼、RFQ(Request for Quotation)
:見積依頼
にわかれます。そしてこの三つを総称して、RFx と呼びます。あまり難しく考え
る必要はありません。各プロセスを規定し、自社に最適なサプライヤと価格を、
適切なタイミングで調達できるように努めましょう。
解説文章
まずは「Purchasing」と「Sourcing」を説明します。図表 1-1-1 は、企業
の調達プロセスを分解したものです。
●2
Sourcing
ソーシング
支払い
調達仕様の
決定
サプライヤ
見積書入手
試作・納入
品質の安定化
サプライヤ収益調査+安全性調査
検収
納期調整
+フォロー
Purchasing
パーチェシング
折衝+
サプライヤ
決定
数量の確定
+発注
調達・購買
戦術
サプライヤ
パフォーマンスの
フィードバック
調達戦略
の構築
第1章
サプライヤ
業界調査
サプライヤの選定や価格の決定等
※各企業によって分担が異なります
量産準備
調達実行
図表1-1-1 SourcingとPurchasing
ここで Sourcing を説明します。最適サプライヤと適切価格を決めるまでのプロ
セスを RFx と呼びます。この RFx とは、
RFI (Request for Information)
:情報提供依頼
RFP (Request for Proposal) :提案依頼
RFQ (Request for Quotation)
:見積依頼
の三つを総称したものです。
簡単に考えてください。RFI は、サプライヤの企業情報を収集すること。RFP
は、サプライヤから提案をもらうこと。RFQ は見積りをもらうことです。実務的
には、RFI を実施し、RFP と RFQ は同時に行うことが多いでしょうね。企業情報
を聞いて、すぐれたサプライヤがいれば、提案と同時に見積りを依頼するケースが
大半のはずです。
では、次節以降、これら RFx をさらにつっこんで解説を加えていきます。ただ
し、あえてこの節では、本書をはじめるにあたっての助走を書いておきます。
調達・購買業務に絶対的な「型」はあるのでしょうか。ありません。私がこれか
ら書くような一般的な「型」はあります。しかし、業種業態や会社規模、サプライ
ヤとの関係もさまざまですから、調達・購買担当者は自ら考え抜き「自社に最適な
調達手法や調達プロセス」を模索せねばなりません。
●
考えてみれば、調達プロセスは単純です。仕様書がある、サプライヤがいる、見
積りをとる、注文する、納品され支払い処理が完了する……。たったこれだけが上
手くいかない。苦しみ、もがき、投げ出したくなります。しかし、その苦しみのな
かでも、よりよくする努力を怠ってはいけません。改善なき業務は、おなじ苦しみ
を生むだけだからです。重要なポイントは、Sourcing(ソーシング)であっても
Purchasing(パーチェシング)であっても、その手法は日々進化すべきだと考え
ることです。
●よりよい調達プロセス模索の際に重要な心がけ
1.失敗は存在しません。存在するのは教訓です
おなじことを繰り返して、違う結果を求めるひとを異常者と呼びます。よりよい
調達を目指すにはさまざまな手法を試す必要があります。上手くいかないこともあ
ります。しかし、それは失敗ではなく学習の機会です。
2.その教訓を習得していなければ、おなじ学びが何度も訪れます
さきほど書いたとおり、おなじ苦しみを繰り返すひとがいます。たとえば、見積
書入手を繰り返していると、伝え足りなかった条件に気づいたり、設定し忘れた契
約条項があったりするでしょう。あるいは発注数量が見積り段階よりも少なくなり
引き取りを要求されたりとか、品質保証について齟齬があったりとか。それを次回
の見積依頼時の条件に追加するのです。おなじミスを繰り返してはいけません。仕
様書上での不足項目は設計者に書き足してもらいましょう。教訓を習得できなけれ
ば、おなじ学びが何度も訪れるのです。
3.調達・購買をやっている限り、学習は終わりません
調達・購買とは、大げさにいえば、世の中のすべてに関わります。中国リスク、
震災、法規制、業界規制、新技術、新興国の台頭……。何をやったらおしまい、と
いうことにはなりません。それだけ広い分野に接する稀有な業務です。
4.「あっちの業界の調達」
「こっちの業界の調達」がラクなんてことはありません
大手自動車メーカーは調達がラク、大手電機メーカーは調達がラク、サプライヤ
はなんでも大手のいうことを聞く……そんな幻想が蔓延しています。しかし、超大
手も超零細の調達もそれぞれ経験した私からすれば、そんなことはありません。も
ちろん交渉力に違いはあります。しかし、調達にラクはありません。自身の立場を
●
悲観せず、できることに全力投球すべきです。
5.ムカつくサプライヤばかり、ムカつく設計者ばかりいたとしたら、あなたがそ
うだからです
いうひとがいます。しかし、多くはあなたに問題があります。情報をちゃんと提供
ります。接する他者はすべて自分の鏡です。
6.会社とか部門がどうであっても、野心さえあれば道を切り拓くことができます
「会社にビジョンがない」と嘆くよりも、自分自身のビジョンを確立せねばなり
ません。野心を持つことは時代錯誤ながら重要な心がけです。
7.ぶち当たる調達業務の問題の答えを誰かが出してくれるわけではありません。
2時間でも1時間でもよいので、一人で考えることです
「少し考えましたが解決策を思いつきません」と上司に相談するひとがいます。
はたして何個くらいの策を考えたのでしょうか。5~6個では、そもそも考えたと
いいません。本書などを参考にし、まずは徹底的に考えてみてください。
●若き調達・購買部員のために
ここで、私が最初の会社に入社したとき、部長から聞いた(私にとっては感動的
な)話がありますのでシェアしておきます。
「大きなことを成し遂げようと思って入社しただろうが、この部門はもっとも目
立たない部門だ。したがって、謙虚さを学ぶために資材部に入ったと考えてほし
い。サラリーマンとして金を多く稼ぎたいだろうが、他部門にくらべて認められる
残業時間が少ない。したがって、業務をいかに効率的にこなすか考えるために資材
部に入ったと考えてほしい。
自分自身の業績が目立つビジネスマンになりたいだろうが、この仕事は他人に動
いてもらうしかない。製品が成功しても、まず資材部のおかげだと感謝されること
はない。
配属前のイメージと、実際の仕事はおそらく違う。配属前に求めたものはおそら
く手にはいらないだろう。しかし、努力次第ではまったく違った喜びを見つけられ
●
調達・購買
戦術
し、考え抜き、論理的に話せば、きっと1%ずつでも相手は動いてくれるようにな
第1章
「サプライヤがいうことを聞かない」
「社内がいうことを聞かない」と愚痴ばかり
るだろう。そのためには、楽しいことをやるのではない。やることを楽しむ必要が
ある。会社にいる先輩は、あなたを教育するために存在するわけではない。先輩が
何も教えてくれなかったとしても、責任はあなたにのみあるし、仕事をどう広げて
いけるかもあなたにのみかかっている。
そして矛盾するようだが、それでもなお、この仕事に野心を持ち続けなさい。そ
れでは、今日から頑張ってください」
これがそのときのメッセージを完全に再現できているかわかりません。口調は
違っているでしょうし、内容も漏れがあるかもしれません。ただ、このときのメモ
はずっと私の頭のなかにあります。人との出会いだけが一期一会なのではなく、言
葉も一語一会ともいうべき出会いがあります。あのときたまたま聞いた言葉、不意
に飛び込んできたフレーズ。それらが私のいまを形作っているのかもしれません。
また、ある先輩からこういわれました。最初に聞いたときには、なんとヘンな指
針だろうと思ったものの、いまだに私を支えてくれています。
「会社は、会社のために働けという。忠誠心を持てという。しかし、それは無理
な話だ。ただ、自分のために働けといったって、長続きしないかもしれない。自分
のためだけなら、怠けてもいい、と思うかもしれない。そんなときには誰かのため
に働きなさい。あなたには彼女がいますか。それなら、会社で活躍して、彼女をい
つかラクにしてあげたいと思いなさい。彼女がいなくても、母親はいるだろう。活
躍している姿を見せたい、と思って母親のために働きなさい。もし母親が他界して
いたら、美人な同僚のためでもいい、設計者のためでもいい。誰かのために働きな
さい」と。
●瑣末なトラブルを超える意味づけが必要
22 歳のころ、毎日のようにサプライヤから電話がかかってきました。「こんな程
度の数量で安くできるはずないでしょ」
「こんな短い納期で納入は無理っしょ」「お
たくの品質基準は厳しすぎですよ」
「イヤなら発注しないでください」「生産打ち切
りますので、もう納品できません」
。
また、おなじく社内からも電話がかかってきました。「なんであんなに高いんだ」
「サプライヤと癒着でもしているのか」「いつ納入されるんだ」「なんであんなサプ
ライヤにしたんだ」
「俺のいうことを聞け」
「すべて資材部のせいだ」。
Sourcing(ソーシング)と Purchasing(パーチェシング)と、かっこ良くいっ
ても、結局のところ業務とはこういった瑣末な事象の集合体です。しかし、それで
●
もなお「野心を持ち続けなさい」と。そして、「よりよくする努力を怠ってはいけ
ません」と。おそらく、そのためには一つの意識改革が必要なのだろうと、私は思
います。業務を、調達・購買部門のためではなく、「違う誰かのため」へと転換す
ること。そうすると、苦情やトラブルも愛すべきものに感じられるでしょう。
このような精神論は述べません。ただ、私自身が心している想いを、少しでも共感
調達・購買
戦術
いただける読者に向かってご紹介しました。
第1章
ところでみなさんには誰かのために働いているでしょうか—。これ以降、もう
こういった助走を経て、やっと次節以降に進んでいきます。
●
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