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日本における個人の空間とは?
建築史レポート 身近にある日本的な空間.形態 R00069 矢倉芳美 日本における個人の空間とは? 日本の建築は自然に対して融和的である一方、欧米のそれは防御的で自己中心的 であると言われている。その理由として日本の借景や山城といったような建築様式、ま た欧米の城壁などがあげられる。借景は建物自らを自然に対して開放することにより 自然と融和しその美しい風景を切り取ることができる。山城においてもあたかも山を占 領したかのように城はそびえ立つが、その城は自然の力によって守られている。欧米 における都市の城壁は外敵から自分たちを守っているにすぎない。また、欧米におい ては自分たちの空間を造るための努力がなされてきた。では一体自然と融和してきた 日本人にとっての自分の空間とはどのようなものか? 図01 図02 図01は日本の住宅の写真である。日本は集落の中での自分の空間の境界をまず塀 などではっきりさせる。また、家の内部の様子が外部からは見えないようになっている。 図02は欧米の住宅は集落の周りに他の集落との境界があり、その集落内ではあきら かな境界があまり見られない。むしろ各々の庭は地域コミュニティの場として提供され ている。 図03 図04 図03,04は私なりに両方の空間を図にしてみたものである。ここで言えることは日本 的空間は近隣との密接な関係はありつつも明確な境界(壁、塀など) がある。そしてその内部は家族の空間であり、個人の空間でもある。日本人は住居の ことを「うち(家)」「私の家」と言う。家族によって共有されているものはイコール自分の ものである。部屋をしきるにしても障子やふすまのようなあいまいなもので十分である。 一方、欧米的空間は住居の中もいわば「家族コミュニティ」なのである。家族の空間は あくまで家族みんなで共有している空間であって個人の空間ではない。個人の空間は この個人の部屋の中だけである。欧米では子供が自分の家を指すのに「My father’s house」という言い方をすることがあるらしい。まさしくその言葉は欧米の空間概念を表し ているといえる。このことより庭が地域に提供されることが不自然でなくなる。 まとめ。 日本における個人の空間とは家族と共有している空間のことであり、家族内のおける 境界は非常に曖昧であるが外部との境界には非常に敏感である。 参考文献 「イギリスの郊外住宅」片木 篤 「近隣住区論」クランス・A・ペリー 倉田和四生訳 「外壁の意匠」和風建築シリーズ