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2万5千分1ベクトルデータによる効率的5万分1地形図作 成に関する調査

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2万5千分1ベクトルデータによる効率的5万分1地形図作 成に関する調査
2万5千分1ベクトルデータによる効率的5万分1地形図作
成に関する調査研究作業
実施期間
平成15年度
測図部地図編集課 小原 昇 古屋正樹
中島最郎 寺島健太郎
1.はじめに
わが国の基本図は、明治23年より5万分1地形図として整備されてきたが、昭和39年から2万5千分
1地形図へと移行された。しかし、その後も5万分1地形図は2万5千分1地形図と比較し広域的な情報
が得られる地形図として需要は数多く、2万5千分1地形図の編集図として新たに作成されている。一方、
2万5千分1地形図は、平成12年度よりベクトルデータ整備を開始し、このデータベースに基づき平成
14年度から全国を対象としたリアルタイム修正に移行している。この間、5万分1地形図の修正作業は
2万5千分1地形図の修正を受け実施しているが、2万5千分1地形図修正に対し大幅な遅れをなしてい
るのが現状である。今後さらに、2万5千分1地形図のリアルタイム修正が進むに従って、5万分1地形
図の更新、維持管理は著しく困難になるものと考えられる。このため、本作業では2万5千分1ベクトル
データを利用した効率的な5万分1地形図の作成手法を研究した。
2.研究内容
本作業は、2万5千分1ベクトルデータから5万分1地形図作成手法を検討するため、作業の効率性、ソ
フトウェアによるデータ処理の手法、図式の変更等を考慮に入れ考察を行った。
1)調査・研究対象地区
調査・研究対象地区として、表2−1のとおり都市/郊外部、農地などを含む、標準的な地域およ
びA1版の検討地域として「千葉地区」、大都市(密集地)地域として「東京東北部地区」、山岳地
域として「白馬岳地区」を選定した。
表 2−1 (名称は1/25,000地形図名)
千葉地区
東京東北部地区
白馬岳地区
千葉西部
千葉東部
八 街
草 加
松 戸
白馬岳
雨 中
五 井
蘇 我
東 金
東京首部
船 橋
白馬町
塩 島
姉 崎
海士有木
茂 原
2)機能構成
2万5千分1ベクトルデータ(NTSフォーマット)に対し、ソフトウェアによるデータ処理の可能性
を検討するため、表2−2に示すとおりベクトルデータを処理する部分と色彩調整を行う部分に分け
た機能構成とした。
表2−2
N0
機能名称
機能の説明
1
地形図作成ソフト部
2万5千分1ベクトルデータに対して、ソフトウェアの基本コマンドや
試験的に作成する処理コマンドの組み合わせ、および手作業による編集
により、5万分1のベクトルデータを作成するための機能。
2
グラフィックソフト部
地形図作成ソフト部で作成したベクトルデータを読み込み、色彩等にお
ける表現事項を調整し、試作図を作成するための機能。
3)使用ソフトウェア
本作業で使用したソフトウェアは、以下のとおり。
表2−3
No ソフトウェア名称
1
AutodeskMap 2004
地形図作成ソフト部
2
Illustrator 10
グラフィックソフト部
ソフトウェアの説明
汎用CADソフトウェアAutoCADをベースとしたGIS解析も行うこと
のできるソフトウェアのため、効率的に地形図データ編集を行うことができ
る。また、AutodeskMapのAPI(Object ARX等)を利用することで、プ
ログラミング開発も可能である。このため、NTSファイル読み込み処理は
ここに実装する。
汎用グラフィックソフトウェア(ドロー系)。
AutodeskMapで作成したベクトルデータを読み込み、色彩等の編集を行う。
4)システムの構成
本作業で構成したシステムは、図2−1のとおり。
地形図作成ソフト部
NTS
ファイル
図式 a
NTS
読み込み機能
グラフィックソフト部
データ n
・基本コマンド実行
・試験コマンド実行
・手作業による編集
図式 n
:
:
:
:
:
:
・ 手作業による編集
データ z
図式 z
使用ソフトウェア:
Auto deskMap2004
使用ソフトウェア:
(CAD ソフト)
Illustrator10
(グラフィックソフト)
は、本作業におけるプログラム開発部分を示す
図2−1
5)道路・建物等表現事項の考察
ア.道路・鉄道
現行の5万分1地形図図式を考慮し、2万5千分1地形図上での二条線道路および鉄道記号を自動
的に縮小、間引き、転位等の処理を行うための考察を行った。しかし、NTISデータには道路の優
先度を決めるためのキーとなる情報がないため、自動処理では全体のバランスの良い、かつ、効率的
な編集は困難であった。よって、道路は一条線での表現とし、色および線号で幅員を区別した。その
際、色覚異常者にできるだけ配慮した配色とした。(個人差があるため、完全な対応は不可能である。)
イ.建物
独立建物(小)、総描建物(小)は自動処理を行った場合、最終的な作業者の点検および手直しが
膨大になるため、間引き、転位は行わず色を落として目立たなくし、単純縮小表現とした。独立建物
(大)は全体のバランスを考え、現行のハッチングを建物類似の構築物に使用したため、塗りつぶし
を試みた。中高層建物は、独立建物(大)に対して、同系色のやや濃いグレー色を使用した。都市域
の表現のため、総描建物(大)、中高層建物街は、塗りつぶしとし低層を淡色、高層を同系色の濃色
とした。
ウ.等高線
等高線は、元データが標高値を持っているため、現行の5万分1地形図図式のとおりとし、間引き
処理とした。
エ.植生記号
大まかな土地利用を表現するため、植生記号を色分けして密に配置することにより、面的な視覚効
果をねらった。
6)注記・記号の拡大、転位、間引きの自動化についての考察
ア.注記・記号の拡大、転位、間引き
縮尺を2万5千分1から5万分1にし、再度、5万分1地形図図式で表現するには、拡大、転位、
間引きは不可欠となる。注記・記号の大きさ、注記・記号と対象物との位置関係を5万分1地形図と
して表現するための拡大、転位、間引き等についての考察を行った。
注記文字を拡大した場合に起きる文字列同士の交差を最少にするため、○○一丁目→○○1、営団
地下鉄千代田線→営団千代田線とする注記方法の変更や字隔詰めなどを行い、字大は現行図式の87.
5%とした。また、対象物との位置関係を考慮して自動転位することとした。
記号についても注記同様の考察を行い、大きさは現行図式の75%とした。また、自動でのきれい
な間引きは困難であり、手作業が必要となった。
ィ.注記・記号の色
注記・記号の大きさを従来の図式よりやや小さくしたため、色やマスクによって見やすさを強調す
る表現方法を考察した。
注記・記号は、種別で色分けをし、判別のしやすさや、都市部での煩雑さの低減等を考慮した。
3.得られた成果
数多くの考察、試作図(表面8色、裏面3色)の作成を重ねた結果、図式を大幅に変更することでプ
ログラム処理により、2万5千分1ベクトルデータから5万分1地形図を作成することが可能となった。
これにより、従来の作成方法に比べ大幅な作業時間の短縮となり、常に新しい情報の5万分1地形図の
提供を行うことができるものと思われる。
なお、試作図「東京東北部」の一部について図3−1に示す。
4.結論
本作業の成果をふまえ、平成16年度には図式の確定、作業手法の確立、作成システムの開発、試作
印刷図の作成等を行い、新規格による5万分1地形図の刊行を目指すものとする。
図3−1 1/50,000試作図「東京東北部」の一部
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