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アブラナ科アブラナ属 Brassica oleracea var.capitata
札幌市 NO.201 平成 27 年 12 月 1 日発行 発行元:(公財)札幌市公園緑化協会 豊平公園緑のセンター アブラナ科アブラナ属 Brassica oleracea var.capitata キャベツは別名カンラン(甘藍) 、タマナともいいます。学名の Brassica(ブラスシカ)はアブラナ属、 種小名の oleracea(オレラーケア)は食用野菜、変種名の capitate(カピタータ)は頭状を意味しています。 植物としてのキャベツは強壮で短く堅い茎の頂部に多数の 葉が重なり、頭状に結集した一個の葉球を作ります。葉は大き く、円形または長楕円状の倒卵形で径 30 ㎝内外に達し、無毛 で平滑、葉縁に不揃いの鋸歯があり、黄緑色ないし青海色の濃 淡に白蝋質の白粉をつけます。5~6 月に葉球の中心から花茎を 伸ばし、総状花序に花をつけます。淡黄色の花弁は倒卵形で長 さ約 2 ㎝、ガク片は長楕円形で、共に 4 片あり、雄しべ 6 本、 雌しべ 1 本を中心に十字形の花を開きます。 原産地は地中海沿岸や北海から大西洋沿岸で、岩場に自生する多年生の野生ケールから進化したと いわれています。有史前からバスク人はこの野生種を食用にしていましたが、紀元前 6 世紀頃、この 地域に侵入したケルト人が菜園で栽培し、やがてヨーロッパに広がりました。また、スイスの「湖上 生活の遺跡」 (新石器時代)から、この野生種の種子が発見されています。紀元前 4 世紀ころの古代ギ リシャでは、現在のケールの原始型になる不結球葉キャベツの滑らかな葉と縮れ葉の両方が栽培され ていました。その後、ヨーロッパ各地で栽培される中で、改良が進み、結球キャベツができあがりま す。結球型のキャベツは 12 世紀には南ドイツ西部、13 世紀にイギリス、16 世紀にカナダ、17 世紀に アメリカへと栽培が拡大していきました。 日本へは 18 世紀初めにオランダから長崎に伝わったのですが、不結球~半結球ケールの紅紫色系統 だったようです。 『大和本草』(1709)に「おらんだな」 、一名「さんねんな」の記述がありますが、野 菜としての利用はなく、後に改良されて観賞用の葉ボタン(葉牡丹)が作られました。食用としての キャベツ栽培は 1855 年に始まりますが、明治初期に東京へ、北海道には札幌に開拓使によって導入さ れました。当時、導入された欧米の品種は寒暑の厳しい気候に適さず、わずかな品種が気候的に似た ふちゅうだい 北海道で春播き種として土着します。その後、大正から昭和にかけて改良され、わが国独特の不抽苔生 態型の秋播早生品種、次いで中生種、晩生種など幅広く育成されました。中でも “レイト・フラッ ト・ダッチ”に“アーリー・サマー”や“オータム・キング”の系統を交え、いくつかの春播き秋穫 品種が育成され、超大玉の“札幌大球”が定着し、現在のキャベツ栽培につながっています。 原始型ケール系統には、茎が発達肥大したコールラビ(球茎キャベツ) 、葉の腋芽が小結球となった メキャベツ(子持ちキャベツ) 、花茎が密に硬く発達したカリフラワーなどがあり、これらは明治初期 に導入されましたが、同じ系統のブロッコリーは 1950 年頃と比較的遅く導入されています。(N.K) 郭公鳴き 甘藍の玉 昏れなやむ 木下夕爾 、 収穫す キャベツ 白磁に蔬菜籠 飯田蛇笏 <参考文献>「園芸植物大事典」小学館、「最新園芸大辞典」誠文堂新光社、復本「俳句の魚菜図鑑」柏書房 ' 1 5 . 1 2 月号 12 月 の 園芸作業 このコーナーの園芸作業は札幌地方での目安です。 ここに掲載した以外の作業もたくさんありますので、 ご不明な点は緑の相談までお気軽にお問い合わせください。 緑 の相 談受 付 10:00~12:00、13:00~16:00 ☆豊 平 公 園 811-9370 月曜以外毎日 (月 祝 日 の場 合 は受 付 し、翌 平 日 休 み) ※ 12/28~1/4 は年 末 年 始 のため休 館 します。 ※ 平 岡 樹 芸 センター・百 合 が原 公 園 は 冬 期 間 相 談 受 付 しておりません。 ◆葉ボタンの寄せ植え・踊り葉ボタン作り 秋の花壇で彩りを添えていた葉ボタンを、雪の季節を迎えてもプランター 丸葉系 や鉢植え、寄せ植えなどにして、ベランダや玄関フードに取り込み、少しで も長く楽しみたいものです。 葉ボタンの株は根の発達が貧弱で、冬になってから鉢上げしてもあまり長 持ちせず、植え替え後も毎日のように残った葉が次々と黄ばんで枯れていっ てしまいます。それでも、鉢上げ後、できるだけ長く鑑賞できる工夫をして ちりめん系 楽しむことができます。 葉ボタンの種類 葉ボタンには、葉の形状から「丸葉系」 「ちりめん系」 「切れ葉系」 、プラ 切れ葉系 チナケールシリーズなど、豊富な色合いの新品種も出回ります。いずれも非 結球性の「ケール」を改良したものが多いようです。一年草として扱われて いますが、葉ボタンは基本的に多年生で、2年目以降は分枝して生育を 続けることから「踊り葉ボタン」を作って楽しむことも出来ます。 水ゴケ 鉢上げ 庭植えの傷みの少ない株をテラコッタ鉢やプランターに植え 鉢用土 込みます。もともとプランターや鉢植えにしている株は移植をせず、そ ゴロ土 のまま楽しんでみましょう。 虫除けネット 鉢へ鉢上げする場合 庭から掘り上げた株の根は小さく短いため、吸水能力に欠けています。 そのうえ、すでに枯葉を摘んだ茎部が露出すると葉枯れが進むことにな ります。ところが、露出した茎部を土で埋め込むと株は窒息状態となり 水ゴケ 葉の枯れ込みが進んでしまうので、用土に根の部分を倒れないよう植え 用土 ゴロ土 込み、その上から葉の付け根までの空間に十分湿らせた水苔(ピートモ プランターへ鉢上げする場合 ス)などを入れて植え込みます。 植え込み後の置き場所 暖房のない明るい所に置きます。適温は 5~ 株にかからないようにして 周囲に土を盛る 10℃です。高温では株の傷みが進みやすく、腐ったり、枯れあがるので 注意しましょう。 スノコ板等 盛土 踊り葉ボタン作り 踊りハボタンを作るには、株の冬越しが必要になります。庭に地植え 地植えの冬越し したものはそのまま保護します(右図) 。鉢植えの株は鉢の肩部分まで 土に埋めて越冬させます。 芽を見て CUT ・春 雪解け後、地植えした株を掘り上げ、傷んだ下葉を取り除き、鉢 に植え替えします。茎が伸びてきたら 20 ㎝位の高さでカットします。 鉢植えの株も、鉢ごと土から掘り出し、傷んだ葉を掻き取り、茎が伸び 春 秋 てきたら 20 ㎝位の高さで切ります。いずれの場合も、春になると花芽 踊り葉ボタン作りの剪定 が上がってきますので、すぐにかき取ります。 ・春から夏の管理 日当たりの良い場所に置き、肥料を与えて、腋芽を育てます。花芽は 8 月頃まで 出るので全て摘み取り、仕上がりを想定して適宜数本の腋芽を残し、他は掻き取ります。 ' 1 5 . 1 2 月号 ・秋から仕上がり期の管理 9月に追肥をします。気温低下に伴い、葉数が増え、ロゼット葉が出て きます。寒くなるにつれ、徐々に葉の発色が始まるので、未熟な下葉をかき取る手入れをしましょう。 葉をきれいに発色させるには、朝夕と日中の温度差が必要になります。葉ボタンは寒さに強く、霜や 氷点下でも耐えるので、外の日当たりのよい場所で育てます。 ◆平成 27 年(2015 年)の天候と相談 平成 27 年も雨が多い、少ないといっ た傾向のほか、豪雨の日もあり、植物 の育て方で悩まれた方も多かったので はないでしょうか。平成 27 年の札幌の 気象の統計と傾向から、今年はどんな 年だったか振り返ってみましょう。 <月ごとの天候> 4・5 月は日照量が多く、気温も高め で推移し、雨は少なめで、野菜などの 種まき・植え付けには良い天候でした。 6 月の気温はほぼ平年並み、日照は少 なめ、雨は上旬に多かったですが、中・ 下旬は少なく推移しました。 7 月の気温は高め、日照は上・中旬は 多く、下旬は少なく、雨はやや少なく 推移しました。 8 月から 10 月は気温・日照とも平年 並みでした。雨は 8 月 7 日、9 月 2 日 の豪雨、9 月 29 日の多雨以外は平年並 みに推移しました。 <相談の傾向> 7月中旬までは雨が少なく、カイガ ラムシ・アブラムシ・ハダニの発生に ついての相談が多く、7月中旬以降は 適度に雨が降り、気温も平年並みとな りましたが、うどん粉病の発生が多く なりました。 ↓グラフはいずれも一目盛 5 日間の平均をとし、 1 カ月を 6 週で表 しています。「4 月①」は 4 月の 1 番目の 5 日間(1 日~5 日の平 均)を指しています。 ・カイガラムシで相談の多かった植物 ウメ、サクランボ、ブルーベリー、バラ 8/7 9/29 9/2 29.5 ㎜ 72 ㎜ 85 ㎜ ツバキ、ツツジ類、ナツツバキ、ラン類、イチイ、マツ類 を含む を含む を含む ・アブラムシで相談の多かった植物 ウメ、リンゴ、プルーン、バラ、ツツジ類、ハイビスカス、ユリ、コスモス、キク、キュウリ 菜もの、ナス、トマト、ネギ類 ・うどん粉病で相談の多かった植物 キュウリ、カボチャ、エンドウ、トマト、ナス、アジサイ、バラ、シャクヤク ・サビ病で相談の多かった植物 タチアオイ、ゼラニウム、アスター、キク ' 1 5 . 1 2 月号 12 月~1 月の催しのお知らせ 豊平公園 緑のセンター 豊平区豊平 5 条 13 丁目 TEL 011-811-6568 http://www.sapporo-park.or.jp/toyohira/ 内容 日 時間 申込受付開始日 費用・備考 豊平公園花とハーブの会 入場無料 展示会 クリスマス展 12 月 1 日(火)~12 月 13 日(日) 緑のセンターフォト展~冬~ H28.1 月 13 日(水)~2 月 21 日(日) 〃 百合が原緑のセンター 北区百合が原公園 210 TEL 011-772-3511 http://yuri-park.jp/ 市民ラン展(28 年 1/26(火)~1/31(日)開催)一般参加展示鉢募集 ※ 28 年 1/5(火)~1/24(日)の期間、電話にてお申し込み受付。参加費無料。 ※ 詳細は百合が原公園までお問い合わせください。 その他の公園 イベント 内容 日時 備考 直接会場 大通公園 へ 問い合わせ・申込み先 さっぽろホワイトイルミ ネーション実行委員会 ミュンヘン・クリスマス市 in Sapporo実行委員会 ホワイトイルミネーション 11 月 20 日(金)~12 月 25 日(金) ミュンヘンクリスマス市 11 月 27 日(金)~12 月 24 日(木) モエレのホワイトクリスマス 2015 12 月19 日(土)~20 日(日)13:00~ 直接会場へ:入場料有 12 月 19 日(土)15:00~ 直接会場へ:無料 スノーキャンドルを作ろう! 正月飾りづくり 211-3341 211-2032 モエレ沼公園 790-1231 12 月 19 日(土)~20 日(日)9:00~ 要申込:1,000 円 農試公園 615-3680 子りす工房こどもの日 「福わらいを作ろう!」 12 月 20 日(日)10:00~,13:30~ 要申込:500 円 西岡公園 582-0050 滝野スノーワールドオープン! 12 月 23 日(水祝)~ 滝野すずらん 丘陵公園 592-2222 駐車料金有・別途入園料有 イベント等の詳細は滝野すずらん丘陵公園の HP をご覧ください。 http://www.takinopark.com/ 花と緑のネットワークパネル展 川下公園ウィンターフェスティバル スノーキャンドル点灯 12 月 25 日(金)~28 日(日)9:00~17:00 (25 日は 11:00~,28 日は 13:00 まで) H28.1 月 9 日(土)~11 日(月祝) 10:00~ 毎日遊びが変わります。 直接会場 地下歩行空間へ 遊びにより要申込 及び有料あり H28.1 月 10 日(日)、11 日(月祝)16:00~ 直接会場へ 花と緑のネットワー 251-3309 ク事務局 川下公園 879-5311 12/28~1/4 は年末年始のため休館します。1/5(火)より通常通り開館します。 滝野すずらん丘陵公園 モエレ沼公園 12 月 23 日(水祝) 冬シーズン OPEN !! 28 年 1 月 5 日 OPEN !! 歩くスキー、そり スノーシュー チューブそりすべり 歩くスキー 他 農試公園 28 年 1 月 8 日 OPEN !! 歩くスキー 前田森林公園 28 年 1 月 5 日 OPEN !! 歩くスキー 28 年 1 月 9 日 OPEN !! スノーラフティング 28 年 1 月 9 日 OPEN !! わいわいタイヤチューブ (土日祝日のみ開催。 但しイベント時休みます) 川下公園 28 年 1 月 9 日 OPEN !! 歩くスキー 雪の状況により開始日が変更になることがあります。 詳細は各公園管理事務所へお問い合わせください。