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会 報 vol. 08 発行月 09.08 OCD = 強迫性障害。強迫的考えにとらわれ、こだわりの行動を止められない! 〔 子どもの強迫(OCD)友の会 〕 強迫性障害などによる「強迫症状」をもつ青少年が、 よりよく生きていくために、当事者家族(当事者が 40 歳くらいまでが対象)や支援者が出会い、情報交換や社 会啓発活動を行なっている自助グループです! ホームページ : http://homepage3.nifty.com/reno/ ●当会は、結成9年目に入り、活発に活動をすすめています♪、おしゃべり交流会「ぼちぼち会」を毎月1回ずつ、 京都・大阪で開催しています。お茶を飲みほっとして、おしゃべりで思いをわかち合い、自由に交流しています。 このおしゃべり交流会には、毎月 10~20 名が参加され、毎年、年間延べ約300名を越える参加者をかぞえて います。これからも当会の生命線として続けてまいります。情報配信や電話相談も地道におこなっています。 ***** お問い合せ、ご相談には、当事者家族の立場でおこたえします ***** 当会直通電話 : 080-6152-3705 毎月 第2水曜日・第4火曜日 10~15時 メール : [email protected] 〒600-8127 京都市下京区河原町通五条下る東側 ひとまち交流館 2F京都市市民活動総合センター内 メールボックス№12 ● 昨年は下記の通り《 発達障害と強迫性障害の当事者を囲む講座 》を主催し、日々の貴重な体験を拝聴しました。 また《 強迫症状に関する勉強会 》や他団体との共催行事なども開き、幅広い交流や学習の機会をつくっています。 ★ 講 座〔南 雲 明 彦 氏〕を開催しました! 08 年11月22日(土) (65名参加) [ディスレクシア (読み書き困難)・OCD = 贈りもの] 南雲さんは「読み書き困難」という発達の傾向性があり、強迫症状とも格闘の毎日で、生きづらさをかかえな がら、ありのままの姿で当事者の声を発信されています。自分らしく社会参加する日々のご様子をお聴きし、 参加した私たちも温かい気持ちになり、生きていく力をいただいた講座でした。後半のオープンミーティング もたくさんのご参加があり、南雲さんにも当事者グループに合流していただきました。言いっぱなし聴きっぱ なしで情報交換し、当事者家族をはじめ専門職の方々も交えて有意義な交流の時間となり手づくりの温かい講 座となりました。 ディスレクシア = 学習障害(中枢神経の機能障害)のなかで、特に読み書きが困難! **************************************************** □■□ メッセージ □■□ (匿名 Y さん) 私は発症して3年、現在 27 歳の女性です。主な症状は確認です。代表的な確認は、鍵・ガスの確認、運転 中の事故をおこしたかもしれないと思い確認する…等です。 その他にも、ゴミを捨てられない(たいせつな物かも?)窓を開けられない(何かが飛んでいくかも?)手 を開くことができない(何かが落ちるかも?)物を触れない(情報が印字されるかも?)ゴミを拾う(自分 のものかも?)…このように「~するかも」という不安に襲われるようになった私は、外にでることができ なくなり、お風呂やトイレにも時間がかかり、家族と食事をするために食卓に座ることもできず、食器を持 つことさえできなくなりました。ある時期は、何もできない、触れない、動けない、という状況でした。 1 <病気を知る> さかのぼること約3年前、確認がひどくなった私は、インターネットで強迫性障害という病気を知りました。 はじめは、1~2週間通院すれば治るだろう!そんな軽い気持ちで精神科に行きました。しかし、日に日に 確認が酷くなっていく気がして、会社を半月ほど休むことにしました。改めて出勤しようと思ったときには 休みをもらう前より電車に乗ることに恐怖を感じていました。会社でも思うように仕事ができず、発症して 半年後、とうとう会社を辞めることになりました。離職後はいろいろなストレスから解放されれば、少しは マシになるだろう!そう思っていたのですが、うまくはいかず、さまざまな確認をすることから逃げたくて、 自室の布団の中にこもるようになりました。雨戸を開けられないため部屋の中は真っ暗で、ゴミは溜まるし、 何も行動できないし、やりたくないし、毎日布団の中で泣いていました。 そんな時、違う病院を知人に紹介されました。しかし、どちらの病院にしても薬を出してくれるだけ!話は 聞いてくれますが毎回同じような話ばかり!そう感じました。自分の病気をあまり理解していなかった私は、 ただただ、薬を飲めば治る!そう思っていました。予約した日に病院に連れて行ってもらい、たくさんの薬 をもらう…治療としてやっていたのはそれだけでした。 「薬を飲んでほっておいたら治る!自分で馬鹿みたい なことをやっていると気がつけば治る!」実際先生にそう言われていました。 でも、何か違うと思った私と家族は他の先生を探すことに決めました。探すといっても、何をどのように探 せばよいのかがわからなかったので、通院できる範囲の病院をインターネットから探し、直接電話をかけて いきました。その中で、一番対応の感じが良かった病院に行ってみることにしました。そこが現在も通院し ている病院です。この病院には強迫性障害担当の先生がいらっしゃいました。この先生のもとで2年弱のあ いだ治療を行なってきたわけですが、ここでも前回までと同様、薬物療法しか受けていません。 <宿題・周りの人たちがしてくれたこと> しかし、ひとつだけ違うのは宿題を出してくれるのです。ハードルの高い宿題ではなく、その時の自分がで きそうでできない宿題です。私の初めての宿題は「チェックをしてもらわずに門まで行く」でした。当時私は、 身体に何かが付いている気がして、外に出ることができませんでした。玄関の扉を開け 2 メートル先にある 門にタッチして戻ってくる。ただこれだけなのですが 30 分弱かかっていました。できそうでできない宿題 は案外難しくて、結構たいへんなのですが、後々自分で、成長したなぁ!と実感できる日が必ず来ると思い ます。このような宿題を積み重ねていくうちに、どんどんできることが増える一方「あぁ~、これもできな い…」と新たな壁にぶつかり、また宿題、また次の宿題!と少しずつ本来の自分に戻していくのです。 行動療法=ハードルが高すぎる=絶対に無理!とはじめはそう思っていましたが、このような“宿題”とい う形であれば、自分に無理なく続けることができます。 ただ、やはり、家で行なう宿題ですので、だらけてきます。そんな時に背中を押してくれたのが、家族と彼 です。家族も彼もだいぶ戸惑ったと思います。それでも私から逃げることなく、いつも一緒に行動してくれ ました。話かけてくれました。笑わせてくれました。その瞬間を楽しめるよういろんな事をしてくれました。 うつ病を併発していた私が、少し前向きになれたのは、家族と彼が、いろんな話をしてくれて、笑う回数も 増えたからだと思います。 自分みずから治療をやろうと思ったきっかけは、理解してくれる人の何気ない会話・声かけ・支え・励まし だったと思います。もし、この病気を一人で乗り越えようとしている人がいるならば、それはたいへん難しく、 苦しく、辛いものだと思います。誰かに相談することを私はお勧めします。薬や病院の先生の力は大きいと 思いますが、それ以上に、身近な誰かは、きっともっと大きな力になってくれると思います。 私は、今も、この病気と共に毎日を過ごしています。正直たいへん辛いです。ほぼ毎日グチャグチャです。 確認ばかりしています。時には何らかの不安に襲われ、おかしくなることもあります。 このような状況の中で、今の私は前向きに頑張っています。みずから行動療法的なことを考え、不安になる ようなことをしています。そして、へこんだり、強迫に勝てたと喜んだり、できなかった!とわめいたり、 苦しんだりしています。いろいろな思いを繰り返しながら日々過ごしています。今後も、たくさんの不安が 襲ってくると思いますが、私はその不安を一つずつクリアしていきながら、頑張っていきたいと思います。 2 <新刊書籍の紹介> ●「強迫性障害のすべてがわかる本」 (原田誠一 監修 講談社 イラスト版健康ライブラリー) ●「僕は、字が読めない」 (小菅宏 著 集英社) 読字障害と戦いつづけた南雲明彦の 24 年 ※‘08 当会講座で講演してくださいました。当会代表の応援文も掲載! 文字の読み書きが困難な「ディスレクシア」という症状を抱えた青年の苦しみと戦いの日々を描いたノンフィクション! ●「僕は人生を巻き戻す」 (テリー・マーフィー 著 強迫性障害からの再生 感動実話 仁木めぐみ 訳 文藝春秋 ) TV「アンビリーバボー」で紹介された米在住の当事者青年の壮絶な物語 <お薬について> (日経メデイカル オンラインより抜粋) (09.8.28 付 日本経済新聞 夕刊掲載) SSRI、SNRI に続く新規抗うつ薬「NaSSA」登場!!というニュース 2009 年 7 月 7 日、うつ病治療薬のミルタザピン(商品名:レメロン錠 15mg、リフレックス錠 15mg)が製造承認を 取得した。 「1 日 1 回、1 回 1~2 錠を就寝前に服用」が標準的な用法・用量である。 うつ病に関しては、国内外で複数の治療ガイドラインが公表され、使用されているが、いずれでも中心的な治療法と して位置づけられているのは薬物療法である。うつ病の薬物療法に使用される抗うつ薬は、患者の増加もあって、次々 と新しい薬剤が開発されており、そうした薬剤を使用することで治療成績も向上している。 現在うつ病治療で主に使用されているのは、パロキセチン(商品名:パキシル)をはじめとする「選択的セロトニン 取り込み阻害薬」 (SSRI)と「セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬」 (SNRI)のミルナシプラン (商品名:トレドミン)である。どちらも、従来の抗うつ薬に比べると安全性が高く、治療領域が広いのが特徴とさ れる。しかし、使用量が増えるにつれ、SSRI や SNRI では、 (1)作用発現までに時間がかかる、 (2)セロトニン受 容体刺激によると考えられる悪心・嘔吐、下痢などの副作用が見られる――といった問題点がクローズアップされる ようになり、臨床の現場からは、こうした問題が少ないさらに新しい抗うつ薬の開発・承認が望まれていた。 今回、承認されたミルタザピンは、SSRI や SNRI とは異なる、全く新しい作用機序を持った抗うつ薬である。その 機序から「ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ薬」 (NaSSA)と呼ばれている。 ミルタザピンは、1994 年にオランダで発売されて以降、現在までに世界 90 カ国以上で発売されている。うつ病患者 を対象としたミルタザビンの日本での臨床試験(プラセボ対照比較試験)では、投与 1 週目から有意に高い改善効果 が示されており、長期投与試験では、52 週まで抗うつ効果が維持されることが確認されている。こうした試験結果か ら、従来薬に比べて、効果発現までの時間が短く、持続的な効果が得られる抗うつ薬として期待されている。ただし 国内の臨床試験で、82.7%に何らかの副作用が認められたことに留意する必要がある。 ************ ↑上記薬剤は抗うつ薬で、抗強迫薬としては未認可です! ※ 基本的には「抗うつ薬」が「抗強迫薬」として考えられていますが、ここ十数年の間で、強迫性障害の薬物療法 は日進月歩で研究がすすんでいます。かつて、三環系の抗うつ薬 クロミプラミン(商品名:アナフラニール)が中 心に使われていた時代から、副作用の少ない選択的セロトニン取り込み阻害薬=SSRI のフルボキサミン(商品名: ルボックス・デプロメール)とパロキセチン(商品名:パキシル)が加わり、06 年には国内3つ目の SSRI で米国製 薬会社のセルトラリン(商品名:ジェイゾロフト)が入ってきました。国内臨床試験などの経緯を見守り、必ず専門 医師の指示を仰ぎ、 慎重に服薬するべきです。 強迫症状と脳の機能の関連が解明されるまでには時間がかかりますが、 それとともに、SNRI・NaSSAのように、脳の各部に作用するという薬物療法の可能性は広がるでしょう。 (抗 強迫薬としては未認可の薬剤もあります)治療現場へより良く導入され、当事者家族の希望となってほしいです。 ▼ 強迫性障害(OCD)について知ってもらうため、皆さんのメッセージ、体験談を匿名で募集中!ぜひお寄せください! 〔発行元・問合せ先〕 子どもの強迫(OCD)友の会 [email protected] 〒600-8127 京都市下京区河原町通五条下る東側 ひとまち交流館 2F京都市市民活動総合センター内 メールボックス№12 3 □■□ 歩み □■□ ◎ “京都府青少年社会的ひきこもり支援ネットワーク ”連絡会議 年間数回出席しています。行政、関連機関の相互連携を図り、青少年のひきこもりの理解を促進し、 民間支援団体として支援の推進と、ボランティアや就労支援にも寄与できるよう活動しています。 〈青少年の社会参加応援委員会〉にも参画し、行事の企画や、資料の配布で理解を訴えています。 ◎ 08 年 8 月 5 日 : “青少年の社会参加応援委員会(京都府) 琵琶湖キャンプ ”に参加 運営協力 ◎ 08 年 11 月 22 日 : “講座「ディスレクシア(読み書き困難)とOCDの当事者を囲んで」 ” を主催! 高機能自閉症・アスペルガー症候群および周辺の発達障害 京都親の会「ONLY ONEの会」と、京都 LD等 発達障害親の会「たんぽぽ」 、京都ADHD親の会「クローバー」の3団体が共催行事として 講座に協力してくださいました。 (この会報1ページ目に詳細報告) ◎ 09 年1月 31 日 : “ 青少年すこやかフォーラム ひきこもり民間支援団体合同説明・相談会 ” (京都府・青少年育成協会 主催)に参加し、資料を配布し強迫症状のある青少年の現状を訴えました。 ◎ 09 年 2 月 23 日 : “青少年の社会参加応援委員会(京都府) 出会いふれあいオリンピック ” ボーリング大会、卓球、ゲームなどを通じて、青少年が交流し合いました。当会も企画運営で参加! ◎ 09 年 4 月 19 日 :“ ISIS 大阪 家族会交流 当会の活動について発表 情報交換!!など (自立/就労支援/居場所活動)を展開されている支援団体と連携を図り、強迫症状のある青少年への理解 を訴えています。当事者家族が生活している地域社会の現場に支援が広がってほしいと願います。 ◎ “ OCD の会(熊本・東京・名古屋) ” や 強迫性障害の当事者家族の会 との連携 強迫性障害の治療に有効な「行動療法」についての勉強や、全国から相談や参加がある当会から、各 地域団体の例会に参加をご紹介するなど、団体同士で情報交流をおこない、当事者家族の孤立を防ぎ ます。医療や社会資源など、より良い情報を提供できるよう心がけています。 ■□ 報告 □■ (※ 研鑚のため、講座やフォーラム・シンポジウム等に事務局や会員有志で参加しています) 08.4.27 社会的ひきこもりを学ぶ講演会「社会に出られない人の病理 社会不安症 SAD」(京都オレンジの会主催) 08.6.30 「ひきこもりと発達障害」大阪和泉保健所主催勉強会〔講師:ノンラベル 田井 氏〕 08.7.02 大阪狭山市「のびのび学習センター」 (不登校・ひきこもり青少年の学習、自立支援施設)訪問 08.6~7 月 映画「memo」 (強迫症状のある監督が、強迫性障害の当事者家族の生活を描いた作品)鑑賞 08.8.2 きょうとセルフヘルプ支援センター 支援団体との情報交換 08.9.27 京都教育大学臨床実践センター スペシャリスト養成講座〔宇都宮大学 梅永雄二 氏〕 08.10.12 「高齢化した社会的ひきこもり青年の生き方を問う」シンポジウム(京都オレンジの会主催)〔芹沢俊介氏 他〕 08.11.15 京都市発達障害者支援センター“かがやき” 公開講座「発達障害への支援 ADHD ~生涯にわたる支 援を~」 〔田中 康雄 氏・高山 恵子 氏〕 08.12.7 TEACCH プログラム研究会大阪支部公開講座「神経科学と認知研究からみた広汎性発達障害」 〔十一元三 氏〕 08.12.14 NPO 特別支援教育ネットワーク がじゅまる「高校卒業後の進路/こんな会社があった/こんな大学があ った」 〔谷 晋二 氏 他〕 09.1.20 精神保健福祉講演会「この不安って?」 (伏見区こころの健康推進実行委員会主催) 〔林 晶子 氏 〕 09.2.07 大阪セルフヘルプ支援センター第 19 回「セルフヘルプグループセミナー」(大阪府立大学) パンフ配布 09.2.28 空いろの会 10周年記念講座 「子どもとともに―安心して少しでも愉しく―」 〔有井悦子 氏 〕 09.3.20 NPO 特別支援教育ネットワーク がじゅまる シンポジウム「発達障がいの理解~医療・家庭・教育現場 から~」 〔小野次朗 氏 他〕パンフ配布 09.4.18 大阪医科大学公開講座 「くり返し確かめないと気がすまないあなたへ -強迫性障害-」 〔西田勇彦 氏 他〕 4