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要 請 書
要
請
書
「地方公務員給与削減問題・地方行財政・
エネルギー政策と原子力発電所に関する決議」
平成25年6月
北 海 道 市 長 会
地方公務員給与削減問題・地方行財政・
エネルギー政策と原子力発電所に関する決議
北海道の多くの自治体は税収基盤が脆弱なうえに、長引く景気低迷や
雇用の悪化などの厳しい社会経済状況のもとで、職員の削減等、徹底し
た行財政改革に取り組む一方、急速に進む高齢化社会に対応した福祉・
医療サービスの充実や地域経済の振興など、地域住民の安全と安心を確
保するため、懸命の努力をしているところであります。
こうしたなか、平成25年度において地方自治体がこれまで取り組ん
できた行財政改革を斟酌することなく、広く税財源などについて十分な
協議がなされないまま、短期間で地方公務員の給与削減を求め、地方交
付税の削減方針を決定したことは、これまで築き上げてきた国と地方の
信頼関係を大きく損ない、到底容認できないものであります。
今後、北海道内の各都市が将来に向けて安定的に発展していくために
は、地方税財源の充実・確保、社会保障制度の充実強化などについて、
国において、その方向性を明確にした上で、地方とともに着実に推進す
ることが肝要であります。
また、消費税率の引上げを間近に控え、地方自治体の事務に影響を及
ぼすものについては、その対策を早期に講じ、移行が円滑に進むようす
べきであります。
さらに、震災後3年目となる東日本大震災と福島第一原子力発電所事
故への対応については、復旧・復興を加速し、早期収束に向けた取り組
みを一層強化するとともに、中・長期的なエネルギー政策のあり方につ
いて、必要な対策を講じることが重要であります。
また、函館市や北斗市をはじめとする北海道内の自治体等への十分な
説明もなく再開された大間原子力発電所の建設工事は中止すべきであり
ます。
このことから、北海道市長会として、次の事項について決議し、その
対応に万全を期するよう、強く要請するものであります。
1
記
1
地方公務員給与削減問題及び地方分権改革の推進について
(1) 国は、平成25年度地方財政対策などにおいて、国家公務員の給与
削減支給措置に倣い、地方公務員の給与の削減を求めるとともに、地
方交付税の削減を決定した。
地方公務員の給与は、地域の実情やこれまでの給与削減経過などを
総合的に勘案し、それぞれの地方自治体で主体的に決定するものであ
るとともに、行政サービスの根幹を支える地方固有の財源である地方
交付税を地方公務員の給与削減のために用いることは、地方分権の流
れに反し、地方自治の本旨に照らし極めて不適切であり、到底容認で
きないものであること。
(2) 「国と地方の協議の場」は、地方自治に影響を及ぼす国の政策の企
画及び立案並びに実施について、国と地方が協議を行うことを目的に
法制化され、これまで真摯で有意義な議論がなされてきたところであ
る。
しかし、平成25年度に向けた地方公務員給与削減問題については、
平成25年1月15日開催の「国と地方の協議の場」において、一方
的に国から要請がなされ、短期間に国の方針を決定する場になったこ
とは、分権型社会の実現や協議の場の設置趣旨に反するものであり、
国と地方の信頼関係を大きく損なうものであること。
(3) 地方分権改革の推進に向けた、国と地方の役割分担の明確化、基礎
自治体への権限移譲、義務付け・枠付けの廃止・縮小及び条例制定権
の拡大については、分権型社会の実現に向け、地方分権改革推進委員
会の勧告を踏まえた一層の権限移譲や義務付け・枠付けの更なる見直
しを図ること。
2
(4) 財政構造改革の検討にあたっては、これまで国を上回る行財政改革
に努めてきた地方の実態を踏まえ、国と地方を合わせた基礎的財政収
支(プライマリー・バランス)を根拠として地方の財政負担を増大さ
せることのないようにすること。
2
地方税財源の充実・確保等について
(1) 地方税について
① 地方が真に自主的、自立的な行財政運営を行うためには、事務量
に見合う税源配分が必要であるため、国から地方へ税源移譲する
ことにより、地方税の充実・強化を図り、国・地方間の税源配分
を当面5:5とすること。
② 平成 2 5年 度 税 制改 正 で一 部 決定 され た 自動 車 関係 税軽 減 等に
ついては、地方が減収となる財源は、国の配分比率の見直し等を
含め、確実に確保すること。
③ 平成25年度税制改正で議論された、市町村の基幹税目である償
却資 産 に 対す る 固 定資 産 税 は、 資 産 課税 と し ての 性 格 を踏 ま え、
「機械及び装置」に対する課税や取得価格の5%を評価額の最低
限度とする現行制度を堅持すること。
④ 消費税率の引上げに際して、地方自治体の事務に影響を及ぼすも
のについては、早期の対策を講じるとともに情報提供を確実に行
い、移行が円滑に進むようにすること。
3
(2) 地方交付税について
① 国は、平成25年度地方財政対策などにおいて、国家公務員の給
与削減支給措置に倣い、地方公務員の給与の削減を求めるととも
に、 地 方 交付 税 の 削減 を 決 定し た と ころ で あ るが 、 こ の措 置 は、
これまで地方が断行してきている職員定数の削減や諸手当を含
めた総人件費の削減など長い間の独自の削減が反映されること
なく決定されたものである。
地 方自 治 体 と 十分 な 協議 が な さ れな い まま 、 一 方 的な 指 標、 数
値を用いて短期間に地方交付税の削減方針を決定した平成25
年度と同様なことがないよう強く要請する。
② 地方の財政運営には、財源調整と財源保障の機能を持つ地方交付
税の確保が極めて重要であることから、平成26年度予算に向け
ては、地方の財政需要を適切に積み上げるとともに、地方税など
の収入を的確に見込み、必要な地方交付税総額の確保を図ること。
その際、常態化し ている地方財源不 足の解消は法定率 の引き上
げにより対応すること。
③ 福祉、医療、子育て等の社会保障、教育・安全などの経常的行政
サービスの増大や、道路、橋梁、学校等の改修費用の増大など真
に必要な財政需要を的確に地方財政計画に盛り込み、地方自治体
の避けられない財政需要の増蒿を適切に地方交付税の需要額に
反映させること。
④ 地方交付税は、国から恩恵的に与えられるものでなく、地方自治
体の固有・共有の財源であることを明確にするため、国の特別会
計に直接繰り入れる方式等の導入について検討すること。
(3) 国庫補助負担金改革について
① 国庫補助負担金については、国と地方の役割分担を再整理し、明
確化した上で、真に国が義務的に負担すべき分野を除き、廃止し、
財源移譲を進めること。その際、地方の自由度の拡大につながら
ない国庫補助負担率の引き下げは決して行わないこと。
4
3
社会保障制度の充実強化について
(1) 社会保障制度の抜本的見直しについては、「社会保障制度改革国民
会議」での具体的な制度の検討にあたり、地方自治体が社会保障の最
前線 に おい て 中心 的な 役 割を 果 たし てい る こと を 踏ま え、 引 き続 き
「国と地方の協議の場」等において真摯な協議を行い、地方の意見を
的確に反映すること。
(2) 社会保障・税番号制度(マイナンバー)の構築にあたっては、この
制度 が 地方 自 治体 の実 施 して い る事 務に 極 めて 重 大な 影響 を 及ぼ す
ことから、国と地方自治体が情報を共有し、十分な調整・協議を行う
こと。
また、導入した場合、混乱が生じることのないよう、国民への周知
徹底と市町村への早期かつ十分な情報提供を行うとともに、システム
改修等に対し、十分な財政措置を講じること。
(3) 医療保険制 度 改革の方向として 、すべての国民を 対象とする医 療
保険制度の一本化に向けて、まずは、国民健康保険の保険者を都道
府県とする医療保険制度の再編・統合等を行うこと。
4
エネルギー政策の確立と原子力発電所への対応について
(1) 地球環境の 保 全と国民の安全・ 安心の確保や産業 活動の発展を 前
提に、効率的・安定的な電力供給の確保等を図るため、中・長期的
なエネルギー政策のあり方について国民的議論を尽くした上で必要
な措置を講じること。
(2) 国は東京電 力 とともに原子力発 電所事故の早期収 束を図り、住 民
の安全確保と不安解消に努めるとともに、国内外に対し放射線に関
する正しい知識の啓発及び風評被害払拭に向けた積極的な広報を行
うこと。
5
(3) 大間 原子 力 発 電所 につ い ては 、 建設 予定 地 から 北 海道 まで 最 短で
23キ ロメ ート ル しか離 れて おら ず 、活断 層の 存在 も 懸念さ れてお
り、大 きな 危険 性 が指摘 され てい る 。また 、国 にお い ては、 現在、
原子力 規制 委員 会 が新た な安 全審 査 基準の 検討 を行 っ ている ところ
である。
ついては、事故などが生じた場合、地域経済に壊滅的な打撃を与え
るものであるにもかかわらず、函館市や北斗市をはじめとする北海道
内の自治体等への十分な説明もなく、福島第一原子力発電所の事故原
因の 究 明も な され てい な い中 で 再開 され た 大間 原 子力 発電 所 の建 設
工事は中止すること。
(4) 原子力関係施設に対する地震・津波対策など安全審査基準を強化す
ることにより、安全の徹底を図るとともに、各種防護対策の具体的な
内容 や プル ー ム通 過時 の 被ば く を避 ける た めの 防 護措 置を 実 施す る
地域(PPA)についての検討結果を早急に示すなど、万全な防災対
策を構築できるよう支援すること。
また、原子力発電所に関する情報提供と説明責任を果たし、周辺住
民や自治体の不安の解消に努めること。
(5) 大気、海水、農地、農水産物などに対するモニタリングを継続的に
実施し、その安全性について的確な情報を迅速に発信すること。
以上、決議する。
平成25年5月16日
北
6
海
道
市
長
会
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