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「闘い、行動する四府県」宣言

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「闘い、行動する四府県」宣言
平成17年5月19日
「闘い、行動する四府県」宣言
∼三位一体改革の実現への新たな決意∼
愛知県知事
神田
真秋
京都府知事
山田
啓二
大阪府知事
太田
房江
兵庫県知事
井戸
敏三
日本の活力の源は、地域の多様な魅力と競争力にある。わが国の活力
に翳りが見られる今こそ、「均一化」「中央集権」から「多様化」「地
域主権」への転換を果たし、地域のポテンシャルを最大限に引き出さな
ければならない。
三位一体の改革が、本来、目指しているのは、地方の自由度を高め、
地方自らの権限と財源と責任のもとで、住民に密着した行政サービスの
提供や自律的な地域づくりを行えるよう、わが国の地方税財政システム
を転換することである。しかしながら、これまでの改革は、国民不在の
単なる数字合わせや国の歳出削減の議論に傾き、未だ、「地方分権改革」
の名にふさわしい成果を挙げるには至っていない。
我々四府県は、大都市を抱える府県として、バブル経済崩壊による税
収低迷の影響を大きく受け、これを乗り切るために行財政改革に全力を
挙げてきた。その一方で、施策の「選択と集中」を通じ、産業、観光・文
化、環境、防災など、都市の再生に懸命に取り組んでいる。
理念に反した三位一体の改革は、真の分権社会の実現を阻むだけでは
なく、我々のこうした努力を無にし、地域の活力と住民生活に悪影響を
与えるものである。
三位一体の改革を、国による数字合わせや地方への負担のつけ回しに
終わらせてはならない。今こそ、「国から地方へ」のうねりを強め、地
域から日本の再生を切り開く地域主権型社会を確立するために、我々四
府県知事は、本来の三位一体の改革の確実な実現に向けて、「闘い、行
動する」ことを宣言する。
1
地方に負担のつけ回しを行うことなく、税源移譲につながる補助金
改革を確実に実行すること
地方側が提案した148項目の補助金改革のうち、政府・与党の
合意で廃止、税源移譲が決定されたのは、わずか3割に過ぎない。
地方の自主性・裁量拡大の観点から、奨励的補助金、施設整備費
補助金、公共事業関係補助金等について、交付金化にとどまること
なく、あくまで廃止・税源移譲をすすめること。
義務教育費国庫負担金の費用負担のあり方については、地方案を
尊重すること。
また、生活保護費負担金等の負担率の切り下げは、単なる財政負
担のつけ回しにすぎず、絶対に認められないこと。
そのうえで、平成18年度までに3兆円の税源移譲を確実に実施
すること。
2
平成18年度以降も、安定的に、必要な地方交付税等の財源を確保
すること
国の歳出削減のための地方交付税の削減は、地方の行財政運営、
ひいては地域経済、住民生活に壊滅的な打撃を与える。必要な一般
財源総額を平成18年度以降も引き続き確保すること。
また、地方財政計画と決算の乖離については、ハードからソフト
への地域の行政ニーズの変化を踏まえ、投資的経費と経常的経費を
あわせて全体として是正すること。
さらに「中期地方財政ビジョン」については、地方の参画のもと
で策定を進めること。
3
第一期改革に引き続き、第二期改革に着手することを明らかにする
こと
三位一体の改革は、「百年の計」の視点に立つべき改革であり、
残された補助金改革、さらなる税源移譲など、課題は山積している。
「骨太の方針2005」において、「改革と展望の期間」が終了す
る平成19年度以降の第二期改革への道筋を明らかにすること。
17年度の三位一体の改革に関する主な課題についての主張
1
残された課題の解決
昨年の政府・与党合意において残された課題については、地方分権
の趣旨を十分に踏まえた国民本位の三位一体改革を進める観点に立
ち、「国と地方の協議の場」において十分な論議を行いながら次のよ
うな対応を行うこと。
(1)
義務教育費国庫負担金の一般財源化
義務教育費国庫負担金の検討にあたっては、教育水準の維持を実
践してきた都道府県・市町村が教育現場の実態に応じて、創意工夫
を凝らした教育行政が進められることを基本とすべきである。費用
負担のあり方については地方案を尊重し、義務教育を維持していく
上で十分な税源移譲を行うこと。その際、地方間の税源の偏在は、
地方交付税制度を基本に財源調整を行うこと。
(2)
国民健康保険における都道府県の負担導入に対する意見
国民健康保険における都道府県の負担導入については、配分基準
についての制度的制約を設けないなど、都道府県の裁量を最大限に
保障すること。
保険基盤安定制度(保険料軽減分)における都道府県負担の拡大
は単なる負担転嫁であり、容認できるものではないこと。
さらに、都道府県の負担導入にあたっては、保険者である市町村
と国とが運営しているという制度の根幹を変えないこと。
(3)
生活保護費負担金等の負担率の堅持
生活保護費負担金や児童扶養手当の負担率の切り下げは、単なる
財政負担のつけ回しにすぎず、国民生活に混乱をもたらすのみで、
絶対に認められないこと。
(4)
奨励的補助金等の一般財源化
今回の改革は国民不在の数字合わせの議論に終始し、地方側が提
案した148の補助金・負担金のうち、その大部分が温存されたが、
地方の裁量拡大の観点から、これらの奨励的補助金、小規模・零細
補助金についても廃止・税源移譲を進めること。
(5)
施設整備費補助金の一般財源化
施設整備補助金については、地方の裁量を高めることとして、統
合・交付金化が進められているが、これらの措置により地方の自主
性、裁量性は若干増すものの、補助金としての性格が大きく変わる
ものでなく、あくまでも税源移譲の対象とすること。
(6)
公共事業関係補助金の一般財源化
公共事業関係補助金の財源は国債であるが、その償還は税金で行
われていることから、当然、税源移譲の対象とすること。
また、公共事業関係の補助金の交付金化が改革の一つとされてい
るが、交付金は補助金としての性格が大きく変わるものではなく、
交付申請や実績報告等の事務手続きも必要であることなどから、あ
くまでも税源移譲の対象とすること。
(7)
直轄事業負担金の廃止
直轄事業負担金は廃止すること。特に維持管理に関する直轄事業
負担金については早急に廃止すること。
(8)
道路特定財源の地方への移譲
道路目的税を財源とした地方道路整備臨時交付金及び国庫補助負
担金の廃止にあわせて、道路目的税である揮発油税の一部の地方譲
与税化について、検討すること。
2
一般財源総額の確保
地方が住民サービスを確実に提供し、安定的な地方財政運営を行
えるよう、必要な一般財源総額を平成18年度以降も確保すること。
(1)
確実な地方財政措置
国庫補助負担金廃止後も、引き続き地方が実施する事業について
は、確実に地方交付税等の地方財政措置を講じること。
(2)
地方交付税総額の確保
地方交付税は地方の固有財源である。三位一体改革の名のもとに
国の歳出削減のための地方交付税の削減は行わないこと。
また、地方交付税の本来の機能である財源保障機能と財源調整機
能が適切に発揮できるよう必要な地方交付税総額を確保すること。
3
地方交付税の見直し
地方交付税の見直しにあたっては、投資的経費の決算乖離のみに着
目して削減を図ろうとする動きがあるが、投資的経費と経常的経費を
あわせて全体として議論すること。また、財政の肥大化につながるよ
うな政策誘導には使わず、国民生活から見て真に必要な施策に安定的
かつ十分な財政措置を行うこと。
4
地方財政計画の策定プロセスへの参加
「中期地方財政ビジョン」については、地方の参画のもと作成を進
めるとともに、国と地方との協議機関の継続と地方財政計画の策定プ
ロセスへの地方の参画等を担保すること。
5
国の関与及び規制の廃止
国庫補助負担金の改革にあわせて、一般財源化された事務事業な
どへの必置規制や基準の義務付け等、国による関与・規制を廃止し、
地方の裁量を高めること。
また、国においても行財政のスリム化に努めること。
6
第二期改革への道筋の明確化
三位一体の改革は、緒に就いたばかりであり、取り組むべき課題は
山積している。さらに、現在進めている「改革と展望の期間」は第一
期改革に過ぎず、引き続き第二期改革に着手しなければならない。
このため、骨太の方針2005において、「改革と展望の期間」が
終了する平成 19 年度以降の第二期改革への道筋を明らかにすること。
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