Comments
Description
Transcript
「現代におけるヘアカラーの容認度」 ― カラーレベルに対するアンケート
大阪樟蔭女子大学被服学科卒業論文要旨集(2014) 「現代におけるヘアカラーの容認度」 ― カラーレベルに対するアンケート調査から ― 美容研究室 111608 坂田 菜穂美 キーワード:ヘアカラー 容認 茶髪 アンケート カラーレベル はじめに 良いと考える人と暗い髪色が良いと考える人が同数い 現代社会ではヘアカラーは日常生活の一部として定 るという結果であった。何を扱っているのか、社風に 着している。しかし、多様な場面においてヘアカラー 合っているかということが重要であると考えられる。 には様々な意見がある。ヘアカラーリングを行う人の 医療系では、どの年代を見てもほとんどが「C」~ 比率やヘアカラー剤の出荷金額から現代社会において 「変えない方が良い」に回答が集中した。その理由と のヘアカラーの在り方を考察した。その中で、世間に して職場が病院ということもあり、清潔感が一番大事 おいてヘアカラーの容認度に違いがあると考え、男女 という結果になった。更に不特定多数の人が利用する 別、仕事別、年代別に実際にはどのような違いがある 場所で、高齢者も多数いることからこの結果になった のかをアンケート調査し、論文形式で考察した。 と考えられる。 美容系では、男女どちらもハイトーンなヘアカラー 1.現代社会のヘアカラー 日本ヘアカラー協会(JHCA)は髪のレベルを測るスケ ールとしてカラーリングレベルスケールを制作し、配 が容認されているという結果になった。回答者はファ ッション性を重視しており、お洒落であることが最も 重要視されていると考えられる。 布したが、これはその企業を利用する第三者との印象 とも一致するものなのかという疑問を明らかにするた おわりに め、一般を対象としたアンケート調査を行った。 本研究でアンケート調査を行った結果、予想してい た通り、10~20 代の若い年代の人は比較的明るい髪色 2.アンケート調査 使用した画像は、男女1名ずつモデル 1、2 を選出し、 を容認しているという結果になった。しかし、高齢と 言える 70 代以降の女性にも同様の結果が出た。この理 ヘアカラーを行って作成した。髪色は明るい色から 由として、70 代以降の女性が若かった頃はヘアカラー A・B・C・Dの明度別の 4 段階とし、4 枚のアンケ が日常的なものでは無かったため、ヘアカラーを含め ート調査のうち 3 枚は作成したヘアカラーレベルの写 たお洒落に憧れを強く感じているのではないかと考え 真を見ながら答えてもらった(図 1)。更に選択肢に「何 られた。 色でも良い」と「変えない方が良い」を加えた。モデ どの職種においてもヘアカラーの容認度には差があ ルの髪の性質から 1 と 2 では仕上がった髪色の色味に るが、その根本として相手側からの印象を考えた「清 違いがあるため、あくまで明度を基準としてアンケー 潔感」が最も重要であることが分かった。 ト調査を行った。アンケート結果では回答者の年代や 社会に出る上で、自分本位で髪を染めるのではなく 性別、職業、モデルの性別によっても差があると仮定 受け手側の気持ちに立って、職場の人や相手に不潔感 し、アンケート内容に加えた。 を与えない髪色を心がけることが最も大切なことだと 考えられる。 3.結果からの考察 飲食業では 10~20 代が 30 代以降と比べて比較的ヘ アカラーに関しては寛容という結果になった。しかし、 全体的に髪色が明るくても清潔感があれば良いという 回答も多数あった。 一般会社では 10~50 代では明るい髪色は容認でき 図1 アンケート写真 1-A・B・C・D ないという結果になった。一般企業に就職=黒髪とい 参考文献 う固定概念が強いため、暗めの髪色が推奨されている 1) TOMOTOMO のではないかと考えられた。 2) 前田正子(2003)『「日本人は黒髪」時代の終わ り』 LifeDesign REPORT 販売業では全体的に大きな差はなく、明るい髪色が 新美容出版 2012